【2023年最新】介護職の給料は上がる?2022年の月額9,000円アップと今後の賃上げ政策について解説
「介護職の給料は上がる?」
「岸田政権の月額9,000円アップはどうなった?」
「2023年の賃上げはあるの?」
今回は、以上のような疑問に対してケアきょうで実施したアンケートなどを参考に、今後の介護業界の動向も考えながら解説していきます。
介護職で給料を上げたい方は参考になる内容なので、ぜひ最後まで読んでみてください。
2023年に介護職の給料は上がるのか?
2023年に介護職の給料が上がるのか?という疑問に対して、以下4つのポイントを参考にしてみました。
- 岸田首相の介護職の賃上げに対する発言
- 9,000円アップの現状
- 新たな処遇改善加算
- 介護職の給料の推移
それでは、一つずつ解説していきます。
岸田首相は賃上げを明言している?
岸田首相は、2022年10月頃に「介護職の処遇改善を進める」と明言しています。
参考:JOINT介護「岸田首相「介護職の処遇改善を進める」「公的価格を改善する」所信表明演説で明言」
岸田首相は、物価高・円安への対応と構造的な賃上げを掲げた上で、「看護、介護、保育をはじめ、現場で働く方々の処遇改善や業務の効率化、負担軽減を進める」と述べました。
就任当初から、介護職の処遇改善に対して積極的である姿勢を見せている岸田首相のこの発言は、2023年のさらなる賃上げを期待させるものとなるでしょう。
9,000円アップの現状は?
2022年2月より、介護職のベースアップを目的に、約月額9,000円の賃上げが行なわれました。
当時は補助金の名目で実施された制度も、2022年10月1日を機に、“第3の処遇改善加算”である「介護職員等ベースアップ等支援加算」として引き継がれています。
しかし、介護現場ではさらなる処遇改善が求められており、すべての介護職が月額9,000円アップしていない状況を考えると、課題の根本的解決には至っていないでしょう。
参考:JOINT介護「介護職の「ベースアップ支援加算」、今月からスタート 3%の賃上げを恒久化 基本給アップなどが要件」
新たな処遇改善加算はあるのか?
2023年1月時点では、介護職に対する新たな処遇改善の情報は明らかになっていません。
しかし、現状の処遇改善加算を取得する仕組みが複雑で分かりにくいという理由から、現在ある3つの処遇改善を一本化するという案が浮上しています。
現場で働く介護職として意見させていただくと、この一本化と同時に支給要件も見直すべきではと感じています。
なぜなら、現在の処遇改善は事業所に分配権限が任されている分、適切に介護職に届いていないことが問題視されているからです。
新たな処遇改善も大切ですが、まずは現在ある処遇改善加算が適切に介護職の手に届くようにすることが先決でしょう。
参考:JOINT介護「政府、介護職員の処遇改善加算を見直し 2024年度改定で 全世代型社会保障会議で方針」
介護職の給料は年々増加している
以下、介護職の平均給与(月額)の推移です。
介護職の月額給与(常勤) | |
---|---|
令和2年 | 315,410円 |
令和3年 | 323,190円 |
厚生労働省の調査によると、1年でおよそ8,000円ほど平均給与が増加しています。
このように、介護職の給料は年々増加傾向にあります。
しかし、事業所や地域によって差があり、必ずしも上記のような金額をもらえているわけではありません。
今後は介護職の平均給与を上げるだけでなく、新規参入者を増やすために初任給を増やすことが大切です。
また、長く働いている介護職の給料を魅力あるものにすることが必要となるでしょう。
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ケアきょう求人・転職の無料相談2022年の介護職の賃上げに関するアンケート結果
続いて、ケアきょうで実施した「2022年の9,000円賃上げ」に関するアンケート結果を紹介します。
- 月額9,000円アップしたのか?
- 実際に給料はいくら上がったか?
- 今の給料に満足しているか?
以上の質問に対するアンケート結果を振り返っていきましょう。
9,000円賃上げの概要については、以下の動画をご確認ください。
月額9,000円アップした?
以下「月額9,000円アップしましたか?」の問いに、ケアきょうで308名の介護職の方にご協力いただいたアンケート結果です。
- すでにアップした:49%
- アップする予定:12%
- アップなし(説明なし):33%
- アップなし(発表あり):6%
全体の6割は給料がアップし、4割の方はアップしなかったという結果でした。
介護職のための賃上げ政策のはずが、給料アップにつながっていないのは、制度の仕組みに問題があると言えるでしょう。
実際は給料いくら上がった?
では実際にいくら給料が上がったのでしょうか?
以下、アンケートの結果です。
- 0〜1,000円:18.6%
- 1,000〜2,000円:6%
- 2,000〜3,000円:4.2%
- 3,000〜4,000円:5.6%
- 4,000〜5,000円:14.9%
- 5,000〜6,000円:17.7%
- 6,000〜7,000円:6%
- 7,000〜8,000円:6%
- 8,000〜9,000円:7%
- 9,000〜10,000円:6%
- 10,000円以上:7.9%
約9,000円アップしたのは、全体の2割ほどという結果になりました。
また、1,000円以下の方も2割近くいることから、事業所の裁量に任せる仕組みに疑問を抱く介護職の方も多いでしょう。
今の給料に満足しているか?
最後に「現在の給料に満足していますか?」という問いに対するアンケート結果も紹介します。
- とても満足:3%
- やや満足:13%
- 満足:21%
- やや不満:31%
- とても不満:32%
およそ6割の方が不満と答えていることからも分かるように、介護職の待遇改善という課題解決には、到底及ばない結果となりました。
また、厚生労働省でも18,881名の介護職の方々にアンケートを実施し、8割近くの人が賃金に対して、普通、やや不満足、不満足と答えています。
あらためて介護職の平均給与を確認してみよう
ではここで、介護職の平均給与について、あらためて確認していきましょう。
主に以下3つの視点から、介護職の給与についてまとめてみました。
- 介護職と他職種の給与の違い
- 施設形態による介護職の給与の違い
- 勤続年数による介護職の給与の違い
- 年齢や性別による介護職の給与の違い
それでは、一つずつ内容を見ていきましょう。
介護現場で働く人の平均給与と比較
まずは、介護職以外の職種の方々と給与を比較した内容が、以下のとおりです。
令和3年9月時点
職種 | 平均給与(月給・常勤) | 平均給与(時給・非常勤) |
---|---|---|
介護職員 | 316,610円 | 113,490円 |
看護職員 | 369,210円 | 132,140円 |
生活相談員・支援相談員 | 338,370円 | 133,150円 |
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士または機能訓練指導員 | 350,080円 | 106,800円 |
介護支援専門員 | 353,560円 | 135,250円 |
事務職員 | 301,940円 | 104,060円 |
調理員 | 259,270円 | 81,490円 |
管理栄養士・栄養士 | 311,190円 | 109,970円 |
やはり看護師やリハビリ職などの専門職と比べると、介護職は低い傾向にあります。
また事業所によりますが、相談員や介護支援専門員などの方が、介護職よりも高い給与の場合もあるようです。
施設形態による介護職の平均給与の違い
次は、施設形態による平均給与の違いです。
令和3年9月時点
施設形態 | 平均給与(月給・常勤) | 平均給与(時給・非常勤) |
---|---|---|
介護職全体 | 316,610円 | 113,490円 |
介護老人福祉施設 | 345,590円 | 135,590円 |
介護老人保健施設 | 338,390円 | 141,700円 |
介護療養型医療施設 | 287,070円 | 143,390円 |
介護医療院 | 307,550円 | 138,640円 |
訪問介護事業所 | 314,590円 | 93,960円 |
通所介護事業所 | 278,180円 | 117,920円 |
通所リハビリテーション事業所 | 297,980円 | 135,480円 |
特定施設入居者生活介護事業所 | 319,760円 | 136,370円 |
小規模多機能型居宅介護事業所 | 289,520円 | 120,460円 |
認知症対応型共同生活介護事業所 | 291,460円 | 139,030円 |
特別養護老人ホームに該当する介護老人福祉施設が、最も高い結果となっています。
勤続年数による介護職の平均給与の違い
続いて、勤続年数による平均給与の違いです。
令和3年9月時点
勤続年数 | 平均給与(月給・常勤) |
---|---|
1年〜4年 | 306,410円 |
5年〜9年 | 320,270円 |
10年〜19年 | 345,717円 |
20年以上 | 384,130円 |
介護職でも長く同じ職場で働くことで、確実に給料をアップできることが分かります。
さらにリーダー職や管理職などの役職に就けば、さらなる給料アップが見込めるでしょう。
年齢や性別による介護職の平均給与の違い
最後に、年齢や性別による平均給与の違いを紹介します。
令和3年9月時点
年齢 | 男性の平均給与 | 女性の平均給与 |
---|---|---|
全体 | 335,460円 | 306,590円 |
29歳以下 | 297,240円 | 287,400円 |
30〜39歳 | 340,130円 | 305,860円 |
40〜49歳 | 355,700円 | 310,510円 |
50〜59歳 | 332,670円 | 315,760円 |
60歳以上 | 286,900円 | 292,710円 |
30歳を境に男性と女性の給与に差が開いていますが、要因として男性は勤続年数とともに役職などに就くことが挙げられるでしょう。
それでも、男性と女性で給与にあまり差がないのが介護職の特徴とも言えます。
介護職の給料はなぜ上がりにくいのか?
ここまで紹介したとおり、介護職の給料はたしかに上がっていますが、そのペースは緩やかで大きく上がりにくい傾向にあります。
その要因について、以下の2つの理由が考えられます。
- 介護報酬への依存
- 評価されにくい専門性
それぞれ詳しく解説していきます。
介護報酬に依存している
介護職の給料が上がりにくい理由として、介護報酬に依存していることが挙げられます。
介護事業所の運営費については、基本国から支給される介護報酬から支払っています。
介護報酬は、介護サービスを提供する対価として支給されるもので、その上限が決められています。
さらに、介護報酬の財源は、主に税金など国民の負担によって支えられています。
そのため、簡単に介護報酬を上げることができず、介護職の給料も上がりにくいという仕組みになっています。
専門性が評価されにくい
介護職の代表的な資格として介護福祉士がありますが、介護の仕事は資格がなくてもできるため、資格や専門性が評価されにくい傾向にあります。
もちろん介護福祉士は国家資格であり、介護のスペシャリストである証明なので、しっかりと給料に反映してくれる事業所もあります。
また、介護支援専門員などの資格もあわせて取得することで、より専門性が高まる効果が期待できます。
専門性が評価されにくい業界ではありますが、自分なりに資格取得や学びを深めることで、将来の待遇改善につながるので、専門性を高める努力は重要と言えるでしょう。
介護職が給料を上げる方法3選
では介護職が給料を上げるには、どのような方法があるのでしょうか?
ここでは、以下3つの方法について触れていきます。
- 副業をする
- 転職をする
- 昇格または職種を変える
それでは、一つずつ詳しく解説していきます。
副業をする
2018年に政府が発表した働き方改革を機に、介護業界でも副業をする方が増えています。
給料が上がりにくいと言われる介護業界で、月に数万円でも収入が増える副業は魅力的と言えるでしょう。
ここでは、介護職におすすめの副業を紹介する程度にして、詳しい内容はケアきょうの記事を参考にしてみてください。
介護職におすすめの副業5つは、以下のとおりです。
- 家事代行サービス
- 同じ介護業界で働く(日勤)
- 在宅ワーク
- 他の業種のバイト
- 介護派遣(夜勤専従)
参考記事
転職をする
介護職は転職をすることで、大きく給料を上げることが可能です。
前述でも紹介したように、介護職は施設形態によって給料に差があり、特に特別養護老人ホームに該当する介護老人福祉施設の給料が高い傾向にあります。
日勤のみのデイサービスなどは夜勤手当がない分、給料も低くなっています。
また施設形態だけでなく、運営会社の規模によっても給料が変わってくるので、色々な職場を経験しながら給料を上げていく方法もあるでしょう。
介護職が転職によって給料アップする方法については、以下の動画が参考になります。
昇格または職種を変える
副業や転職以外であれば、今の職場で役職に就いたり職種を変えることで給料を上げる方法があります。
現場が好きであれば介護リーダーをするのもいいでしょう。
介護職以外であれば、相談員や介護支援専門員は、介護職よりも給料が高い調査結果が出ています(前述を参考)
ただ、施設形態同様に、事業所によって給与体系に違いがあるので、一概に職種を変えたらかといって給料が上がるわけではないので注意しましょう。
介護職以外の仕事については、以下の記事を参考にしてみてください。
参考記事
介護職の給料は今後どうなる?
最後に、介護職の給料を含めた将来性について触れていきます。
今後も介護職の給料は増加が予想される理由や、2024年の介護報酬改定の影響などに触れながら、これからの介護業界について考えていきましょう。
今後も増加が予想される理由は?
前述でも紹介したように、介護職の給料は年々増加傾向にあります。
また、要介護者も今後増加していくため、介護職の需要も増えていきます。
こういった状況で介護職の給料が上がらないと、今まで以上に人員不足に陥り、日本の介護は崩壊してしまいます。
そのため、岸田首相が明言してるとおり、介護職の給料が上がっていくことは間違いないと言えるでしょう。
2024年の介護報酬改定の影響は?
2024年の介護報酬改定に向けて、以下のようなことが議論されています。
- 業務の効率化と経営の大規模化・協働化
- 介護施設・事業所等の経営状況の把握
- 利用者負担の見直し
- ケアマネジメントの利用者負担の導入等
- 多床室の室料負担の見直し
- 区分支給限度額の在り方の見直し
- 地域支援事業(介護予防・日常生活支援総合事業)の在り方の見直し
- 軽度者へのサービスの地域支援事業への移行等
- 軽度者に対する居宅療養管理指導サービス等の給付の適正化
- 介護給付費適正化事業(適正化計画)の見直し
- 居宅サービスについての保険者等の関与の在り方
これらは確定ではありませんが、介護保険支給額や負担金の見直しなど、介護職の給料アップにも関係しているので、今後の動向に注目しておきましょう。
介護職の仕事は将来性があるのか?
今後も介護を必要とする高齢者が増えることを考えると、介護職の必要性はより高まることが予想されます。
その中で岸田首相が、介護職をはじめとしたエッセンシャルワーカーの待遇改善を明言していることから、これからの成長が楽しみと言えます。
また、介護の仕事はスーパーのレジのように、AIに仕事を奪われる可能性は低く、認知症対応をはじめとした専門スキルが必要で人間にしかできません。
テクノロジーの発展とともに多くの仕事がなくなっていく中で、介護の仕事は今後も伸びていく将来性のある仕事と言えるでしょう。
まとめ
今回は「介護職の給料は今後上がるのか?」というテーマで解説してきました。
冒頭でもお伝えしたように、岸田首相は介護職の処遇改善をすると明言しています。
あとは具体的にどのような取り組みをするのか注目されるところでしょう。
ただ、実際に働く私たち介護職は、国の取り組みを待つだけでは十分な待遇改善は見込めません。
そのため、記事内でも紹介したように、副業や転職、職場での昇格など、自分でも給料アップを目指すことが大切です。
介護職の待遇改善は、国の動向だけでなく自分自身の行動にも大きく左右されると言っても過言ではないでしょう。
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