介護ロボットは何がいいの?メリットや導入する際の問題点も解説

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2023/08/25

介護ロボットって何?」「介護ロボットを導入すると何がいいの?」こういった疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。
介護ロボットの目的は、介護負担の軽減や業務の効率化がメインです。
そのため、人手不足がますます深刻化し介護職の負担増加が予想される中で、介護ロボットの導入は介護業界にとって明るいニュースと言えるでしょう。

本記事では、介護ロボットに関する基本的情報や導入のメリット、導入事例などを紹介します。
介護ロボットに関するわかりやすい情報が知りたい方や、介護ロボットの導入を検討している方は参考になる内容なので、ぜひご覧ください。

介護ロボットとは?

まずは厚生労働省の資料をもとに、以下のロボットに関する3つの定義を確認しましょう。

  • 情報を感知する(センサー系)
  • 判断する(知能・制御系)
  • 動作する(駆動系)

これらの技術を有する知能化した機械システムが、ロボットと定義されています。

そしてロボット技術が応用され、ご利用者様の自立支援や介護職の負担軽減に役立つ介護機器のことを介護ロボットと言います。

参考:介護ロボットとは|厚生労働省

実際に導入されている介護ロボットの例は、以下のとおりです。

  • 移乗支援:装着型アシストベルト
  • 移動支援:歩行用アシストカート
  • 排泄支援:自動排泄処理装置
  • 見守り支援:見守りセンサー

ケアきょうYouTubeでも「介護ロボット」に関する情報を発信しているので、ぜひご覧ください。

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介護ロボットを導入する5つのメリット

介護ロボットを導入するメリットは、以下の5つです。

  1. 介護職の身体的負担の軽減
  2. 介護職の心理的負担の軽減
  3. 業務の生産性の向上
  4. 利用者の心理的負担が軽減
  5. 睡眠の質の向上

主に職員の負担軽減や業務面の向上があります。
それぞれ詳しく解説するので、介護ロボット導入を検討する際の参考にしてみてください。

介護職の身体的負担の軽減

冒頭でもお伝えしたように、介護ロボットの主な導入目的は、介護職の負担軽減と業務の効率化です。
介護ロボットを導入することで、以下のような介護業務の一部を任せることができます。

  • 移乗介助
  • 移動介助
  • 入浴介助
  • 排泄介助
  • 見守りやコミュニケーション

とくに介護職は疲労の蓄積が原因で、慢性的な腰痛を発症するリスクがあります。
介護ロボットを導入し身体介助を少しでも任せれば、腰痛発症のリスクを減らせられるでしょう。

介護職の心理的負担の軽減

肉体労働が多い介護職ですが、認知症対応や転倒リスクのあるご利用者様の対応など心理的負担がかかる場面も多くあります。
心理的負担は身体的な不調にもつながるため、長く健康に働くためには、負担軽減の取り組みが重要です。
その中のひとつが、介護ロボットの導入です。

本記事でも紹介している「眠りSCAN」という見守り支援の介護機器を導入すれば、ご利用者様の状態を常に遠隔で確認できるため、身体的負担の軽減だけでなく、安心感にもつながり心理的負担を軽くしてくれます
また移乗支援のサポートロボットやアシストベルトなどは、安全に解除できるといった安心感にもつながるでしょう。

業務の生産性の向上

これまで介護職が行っていた業務の一部を介護ロボットに任せることで、介護職の負担が減って他の仕事に時間を費やすことができます
介護職が自由に動ける時間が増えれば、業務全体の生産性は上がっていくことが予想されます。

わかりやすい例で言うと、これまで手書きで記録し紙のデータで管理していたものを、iPadやiPhoneなどのデジタル機器を活用することで、入力も管理も簡単に行えます。
また、紙の書類を減らして記録システムを活用すれば、保管場所の削減や確認作業の短縮につながるでしょう。

利用者の心理的負担が軽減

介護ロボットの導入は、ご利用者様の心理的負担の軽減にもつながります。
とくに排泄や入浴など、ご利用者様のプライバシーにかかわる場面での活躍が期待できます。
なぜなら、排泄や入浴に介護ロボットを活用すれば、介護職に裸を見られてしまう機会を減らせられるからです。
またご利用者様が介護職に対して、気を遣うことも少なくなるでしょう。

ご利用者様の心理的負担が軽減されれば、日常生活に対する満足度の向上も期待できます。
介護ロボットの導入は介護職の負担軽減だけでなく、ご利用者様が生きやすい環境を提供しQOL(人生の質)向上にもつながるでしょう。

睡眠の質の向上

先ほども紹介した「眠りSCAN」を導入すれば、夜間数時間おきに必要な巡視がなくなるため、ご利用者様の睡眠の質が向上します。
なぜなら、直接部屋に行って状態確認をする必要がなく、物音や照明などでご利用者様を起こしてしまう可能性が低いからです。

ご利用者様の体調に大きく関係しているのが睡眠の質です。
良い睡眠は良い体調につながり、ご利用者様の生活が安定します。
ご利用者様に良好な状態で過ごしていただければ、介護職の負担軽減にもつながります。
ご利用者様の睡眠の質の向上につながる介護ロボットは、今後もニーズが高まることが予想されるでしょう。

介護ロボットを導入する3つのデメリット

介護ロボットを導入するデメリットは、以下の3つです。

  • 購入費や維持費などのコスト
  • 設置や保管に必要な場所
  • 使い方を教える教育時間や人材

それぞれの詳しい内容を解説します。

購入費や維持費などのコスト

介護ロボットを導入したいと考えている事業所は多くあります。
しかし「導入コストが高い」という理由で、半数以上の事業所が実際に導入できない状態です。
また導入時だけでなく、維持や管理をするためにも継続的な費用が必要です。

参考:令和2年度介護労働実態調査|公益財団法人 介護労働安定センター

コスト面に関する対策としては、補助金制度の利用があります。
ただし、必要書類や手続き内容が多かったり、対象機器が限定されていたりするなど、気軽に利用できる制度とは言えません。
また介護ロボットは原則介護保険の対象外のため、今後制度が改定され対象となるのかが注目されるでしょう。

設置や保管に必要な場所

導入コストの高さに次いで、介護ロボット導入の妨げになっているのが「設置や保管場所の確保が難しい」という点です。
介護ロボットの中には大型のものもあるため、小規模な事業所の場合は設置や保管が難しい可能性があります。

介護職の負担軽減や業務の効率化を目的に介護ロボットを導入しても、場所だけを奪ってしまい本来の目的から外れてしまいます。
そのため、なんとなく介護ロボットを導入するのではなく、ニーズや確保できるスペースを考慮した上で、環境に適した介護ロボットを選びましょう。

使い方を教える教育時間や人材

新しく介護ロボットを導入する際は、使い方を教える人や時間が必要になります。
とくに導入直後は慣れていないため、介護ロボットの利用が負担となり、一時的にデメリットに感じるかもしれません。
しかし長期的なメリットを考えると、介護職とご利用者様の負担軽減につながります。

新しいことを始める場合は、コストや時間など一時的に負担が大きくなります。
そのため、事前に職員間で教育担当や時間について話し合っておき、介護ロボットの教育体制を整えておきましょう
また介護ロボットを導入する旨を、ご利用者様に事前に伝えておくことも大切でしょう。

介護ロボットの種類について

介護ロボットの種類について、以下2つの項目に分けて解説します。

  • 介護ロボットの種類は大きく分けると3つ
  • 介護ロボットの開発を重点的に支援する分野6つ

それぞれの詳しい内容を見ていきましょう。

なお介護ロボットの種類に関する情報は、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

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介護ロボットにはどのような種類がある?それぞれの特徴とメリット・デメリットを紹介

介護ロボットの種類は大きく分けると3つ

介護ロボットの種類は、主に以下の3つに分けられます。

種類 内容 介護ロボットの例
介護支援型 排泄や入浴、移乗などの介護業務に対する支援を目的としている ROBOHELPER SASUKE
wellsリフトキャリー(WLC)
自立支援型 ご利用者様の動作をサポートすることを目的としている Hug T1-02
歩行アシストロボット
見守り型 AIを活用しご利用者様を見守り、日常生活での安全を守ることを目的としている 眠りSCAN
ALROビジネスシリーズ 高齢者福祉施設向けモデルⅢ

それぞれの内容と、製品の例も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

介護ロボットの開発を重点的に支援する分野6つ

介護ロボットの開発においては、以下6つの分野を重点的に支援するとされています。

分野 内容
移乗支援 ご利用者様をベッドや車椅子などに移乗介助する際の、身体的負担を軽減する分野
移動支援 ご利用者様が歩く際の身体的負担を軽減し、移動をサポートする分野
排泄支援 ご利用者様の排泄にかかわるすべての動作をサポートする分野
見守り支援 センサーや通信機能を活用し、ご利用者様の異変を検知し安全を守る分野
入浴支援 ご利用者様の入浴動作や介護職の入浴介助など、入浴にかかわることをサポートする分野
介護業務支援 介護業務での情報収集に関してサポートする分野

参考:ロボット技術の介護利用における重点分野|厚生労働省

これらの重点分野をもとに、開発側と現場で利用する介護職側の意見交換を行いながら、ニーズに沿った介護ロボットが考えられています。

介護ロボットの活用事例はある?

介護ロボットの活用事例を、以下7つの介護ロボットをピックアップして紹介します。

  1. 移乗介助「Hug T1-02」
  2. 移乗介助「ROBOHELPER SASUKE」
  3. 入浴支援「wellsリフトキャリー(WLC)」
  4. 排泄支援「DFree(ディー・フリー)」
  5. 見守り支援「眠りSCAN」
  6. コミュニケーション支援「PALROビジネスシリーズ 高齢者福祉施設向けモデルⅢ」
  7. 介護業務支援「SCOP Home,SCOP Now」

1.移乗介助「Hug T1-02」

Hug T1-02」は、介護現場でのベッドから車椅子、車椅子からトイレといった移乗動作や、脱衣場での立位保持をサポートするロボットです。
当製品は、2021年3月11日に第9回ロボット大賞にて、介護・医療・健康分野における最高位の厚生労働大臣賞を受賞しました。

製品参考:移乗サポートロボット Hug T1-02|株式会社FUJI

「Hug T1-02」の導入事例について見ていきましょう。

神奈川県にある特別養護老人ホーム「かまくら愛の郷」では、“身体をボロボロにしながら定年を迎えて良いのかという疑問”をきっかけに、「Hug T1-02」を導入しました。
実際に導入する前に、セミナーや展示会などに足を運び、実際に体験することで現場のニーズと擦り合わせていきました。
「Hug T1-02」は操作のわかりやすさが大きな決め手となったと、現場の介護職の方々は答えています。
導入後は「腰の負担が軽くなった」「〇〇さんが移乗の時に痛がらなくなった」など、介護職とご利用者様それぞれにメリットがあったようです。

事例参考:神奈川県の特別養護老人ホーム「かまくら愛の郷」

2.移乗介助「ROBOHELPER SASUKE」

ROBOHELPER SASUKE」は、抱き上げ式のやさしい移乗で、介護をする側と受ける側の双方にやさしい移乗機器です。
体重120㎏までの方が利用でき、リクライニング型、ティルト型、標準型、ストレッチャー等のさまざまなタイプの車椅子に対応しています。

製品参考:ROBOHELPER SASUKE|マッスル株式会社

導入した施設の声を見ていきましょう。

腰への負担がほぼなくなりました
介助時の身体的な負担軽減に大きな変化があることが期待される
使用に慣れれば5分ほどで移乗が完了するので、時間に縛られることが少なくなった
(導入前や導入直後は、時間の拘束を気にしている職員が多かった)
最初は利用者もやや怖がっていたが、現在はそういった様子はない
導入するまでの細かな設定や居室で使用するにはスペースが必要となり、機器に併せた環境整備が必須となり現場での戸惑いがあった
さらに使いやすくするには、よりコンパクトに、より軽量化してもらえたらというのが希望です
導入後、スムースな活用に至るには、現場では今までよりひと手間が必要となるが、利用者の負担はほとんどない様子であるため、介護者側の認識の切り替えが必要になると考えている

引用:介護ロボット導入活用事例集2020|厚生労働省

3.入浴支援「wellsリフトキャリー(WLC)」

wellsリフトキャリー(WLC)」は、経済産業省のロボット介護機器開発・導入促進事業において開発され、移乗介助の負担を軽減しながら安全な入浴サービスの提供をサポートする介護機器です。
椅子に座ったまま身体を洗えて、そのままの状態で浴槽にも入れる点が特徴です。

製品参考:wellsリフトキャリー|積水化学工業

導入した施設では、以下のような声があがりました。

使い方に関してはマニュアルをユニットで管理しています
基本的に1日の入浴業務が終われば脱衣所でバッテリーを充電し、朝にはフル充電の状態で使用しています
背もたれや座面のマットも外して乾かすようにしています
導入後、1年半以上経ちますが、特にトラブルなく稼働しています

引用:介護ロボット導入活用事例集2020|厚生労働省

4.排泄支援「DFree(ディー・フリー)」

DFree(ディー・フリー)」は、排尿のタイミングを「見える化」してトイレの不安を解消してくれる介護機器です。
排尿のタイミングを予測して失禁を防ぐことで、ご利用者様の快適な生活につながります。

製品参考:DFree(ディー・フリー)|トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社

東京都にある特別養護老人ホーム「フロース東糀谷」では、介護業界向けのロボットの開発や導入を行う「介護ロボット研究室」を設置し活動していました。
その活動の調査において、最先端の介護ロボット機器である、排泄予測デバイス「DFree」の存在を知り、介護業務で最も負担とされている排泄介助の課題解決に着目し、2017年から導入に向けたトライアルを開始しました。

「DFree」導入後の主な効果は、以下の2つです。

  • トイレ誘導時の排尿なしという空振りや尿漏れを削減
  • 同じパット交換時も同様の効果を実感

導入後の声を見ていきましょう。

2017年度から導入に向けての検証をはじめ、機器やアプリの使い勝手などをメーカーにフィードバックを行いました
サービスの改善を行っていただくことで、導入に向けての課題を一つずつ一緒に克服していきました
新しいセンサーということで、法人内でも、どのように活用すれば、最適なオペレーションとなり業務効率化を図れるかを検証しながら、導入時の効果を見極めていきました
他のセンサー(「眠りSCAN」「シルエット見守りセンサ」等)とも連携しながら、「DFree」の効果を最大化できる組み合わせを検討していきました

引用:介護ロボット導入活用事例集2020|厚生労働省

5.見守り支援「眠りSCAN」

眠りSCAN」は、マットレスの下に敷いて体動(寝返り、呼吸、心拍など)を検出することで、睡眠状態を遠隔で確認できる機器です。
夜間の巡視業務を減らすことで、ご利用者様の睡眠を向上させる効果も期待できます。

製品参考:眠りSCAN|パラマウントベッド株式会社

埼玉県にある特別養護老人ホーム「三郷さくらの杜」はユニット型で、夜間は20人のご利用者様を20時〜翌朝7時まで1人で対応します。
そのため、職員の身体的、心理的負担は大きいと言えます。
実際に全室に眠りSCANを導入したことで、夜間の巡視業務が減少し負担は軽減しました。
また、睡眠日誌のパターンをもとに夜間のトイレ介助の適正化を図ったり、体調変化にいち早く気付くことで、適切なケアを素早く行えたりといった効果も表れています。

事例参考:埼玉県の特別養護老人ホーム「三郷さくらの杜」

実際に筆者が働く施設でも眠りSCANを導入しており、夜間の巡視業務の負担が減ったことで、働きやすくなりました。

6.コミュニケーション支援「PALROビジネスシリーズ 高齢者福祉施設向けモデルⅢ」

PALROビジネスシリーズ 高齢者福祉施設向けモデルⅢ(以下PALRO)」は、自律型のコミュニケーションロボットで、相手の顔をしっかりと認識し、まるで感情を認識をしているかのように自然な会話が可能です。
投げかけられた言葉から関連性のある話題を自発的に選択し、PALRO自らが話題を広げられます。
また、ゲームや体操、音楽など、さまざまなレクリエーションの時間を提供することも得意としている優れものです。

製品参考:PALROビジネスシリーズ 高齢者福祉施設向けモデルⅢ|富士ソフト株式会社

導入した施設の声は以下のとおりです。

PALROの使用を始めて間もなくサイズが小さく声が届かないとの意見が上がりました
PALRO本体からの音量には限界があるため、スピーカーを用意して大人数の前でもレクが実施できるようになりました
スタッフの声がPALROに理解されないとの意見が上がりました
テレビや人の話し声がPALROの聞き取り能力の邪魔をしてレクが止まってしまう可能性がありました
介護スタッフからの指示はアプリケーションを操作し、介護スタッフとご利用者共にPALROの独特な間に慣れていただくように働きかけました
スタッフの中から“かわいい”や“思いつかなかった体操をした”などの高評価をいただいた一面がありました

引用:介護ロボット導入活用事例集2020|厚生労働省

7.介護業務支援「SCOP Home,SCOP Now」

SCOP Home」は、介護現場のニーズから生まれた介護記録向けのiPadアプリです。
「SCOP Home」を導入することで、iPad上で一度記録すればPCにも反映されます。
また、未入力の箇所がわかりやすく、記録の抜け漏れを防げます。

一方「SCOP Now」は、介護現場で利用されるセンサー機器の情報を集約し、現場の状況やアラート情報などを一元的に管理できるiPhoneアプリです。
センサー機器メーカーとシステム連携を行えば、介護職が必要とする情報をすぐにチェックすることができます。

製品参考:SCOP Home,SCOP Now|社会福祉法人善光会 サンタフェ総合研究所

導入した施設の声は以下のとおりです。

SCOP Home,SCOP Nowの導入により、介護職員の業務負担が大幅に削減されたことが大変大きな効果だと思っています
お客さまに提供する介護サービスは省略されるのではなく、むしろデータに基づいた科学的介護によって、今まで経験や勘に頼っていたものがより客観的な根拠をもとに、よりよい介護サービスの提供ができるようになりました
業務負担の軽減と介護サービスの品質・向上の両立をすることができています
さらにSCOP HomeとSCOP Nowで特筆すべきは、圧倒的に低価格な点です
介護ロボット等のテクノロジーを介護現場に導入する際に最も大きな障壁となるのが価格であり、基本的には補助金なしにはなかなか導入しづらいものですが、初期費用を除けば、月々に施設定員×100円、または50円という価格は魅力的かと思います
さらに使いやすくするには、よりコンパクトに、より軽量化してもらえたらというのが希望です
導入後、スムースな活用に至るには、現場では今までよりひと手間が必要となるが、利用者の負担はほとんどない様子であるため、介護者側の認識の切り替えが必要になると考えている

引用:介護ロボット導入活用事例集2020|厚生労働省

介護ロボットの将来性と今後の課題について

介護ロボットの将来性と今後の課題について、以下のテーマごとに解説します。

  • ご利用者様は介護ロボットの導入を望んでいる?
  • 将来ロボットとの生活が当たり前となる
  • 介護現場が変わらなければならない

それぞれ詳しい内容を見ていきましょう。

ご利用者様は介護ロボットの導入を望んでいる?

介護ロボットの主な目的は、介護職の負担軽減です。

では、ご利用者様は介護ロボットの導入を望んでいるのでしょうか?
答えとしては、望んでいるかどうかはわかりませんが、介護ロボットはご利用者様にもメリットをもたらすことはたしかです。

また総務省の調査で「あなたが介護される立場になった場合、介護ロボットを介護者に利用してほしいと思いますか?」という質問に対して、63.3%の方が「利用してほしい」または「利用を検討してほしい」と答えています。

参考:社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究|総務省(スライド62枚目)

将来ロボットとの生活が当たり前となる

2040年頃を目処に、介護ロボットが導入しやすい環境の普及が進むでしょう。
軽度の要介護者であれば、介護ロボットを導入することで、在宅で快適に自立した生活が送れるようになることが予想されます。

介護施設では、重度の要介護者に合わせた介護ロボットの導入を前提に、受け入れる要介護者の状態に合わせた介護ロボットが事前に準備されるようになることが考えられます。
基本的な介護業務は介護ロボットが行い、介護職はご利用者様とのコミュニケーションや心のケアなどに専念できる環境が当たり前になります。
時代の移り変わりとともに、介護ロボットとの生活が日常になり「介護は人間がするもの」という価値観は薄れていくでしょう。

十数年後には「介護ロボットに介護されるほうが快適」と思えるような状況が当たり前の世の中になっているかもしれません。

介護現場が変わらなければならない

導入コストや技術面など、介護ロボットの導入にはさまざまな課題があると述べてきましたが、今後より普及していくためには「介護現場が変わっていくこと」が必要不可欠と言えるでしょう。
現状は、介護職の負担軽減や業務の効率化が、介護ロボットの主な目的です。
しかし、もっとも大切なのは「誰のための介護ロボットなのか?」という問いに対する明確な答えです。

介護職の負担軽減はもちろん大切ですが、真の目的は「ご利用者様の快適な生活の実現」であるべきでしょう。
また、日常生活をより快適にするためのロボット開発が普及すれば、ロボットの活用が当たり前になります。
そして生活の中で使われるロボットが身近になることで、介護に生かされる場面も自然と増えてくるでしょう。

参考:介護現場にロボットがもっと普及するために|介護ロボットポータルサイト

介護ロボットに関するよくある質問

介護ロボットに関するよくある質問は、以下の3つです。

  • 介護ロボットはなぜ普及しないのか?
  • 介護ロボット導入の課題はなに?
  • 介護ロボットの補助金はいくら?

それぞれの質問に対する回答を見ていきましょう。

介護ロボットはなぜ普及しないのか?

介護ロボットが普及しない理由は、主に以下の7つです。

  • 介護ロボットに関する情報が少ない
  • ご利用者様への機械的な作業は難しい
  • 高度な技術を使いこなせない
  • 作る側と使う側の温度差がある
  • 作業効率が下がる可能性がある
  • 設置や保管場所の確保が難しい
  • 導入するためのコストが高い

それぞれの詳しい内容が知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

▼関連記事

介護ロボットが普及しない理由とは?最新の普及率や導入するまでの問題点を解説

介護ロボット導入の課題はなに?

介護ロボット導入の課題は、主に以下の2つです。

  • 導入コストの高さ
  • 設置や保管場所に関する問題

公益財団法人 介護労働安定センターの調査でも「介護福祉機器や介護ロボット、ICT機器の導入や利用についての課題・問題」に関して、上記2つが介護ロボット導入の課題となっています。

質問内容 回答結果
導入コストが高い 50.6%
設置や保管等に場所をとられる 26.0%
投資に見合うだけの効果がない 26.0%
清掃や消耗品管理などの維持管理が大変 22.3%
技術的に使いこなせるか心配 20.2%

参考:令和2年度介護労働実態調査|公益財団法人 介護労働安定センター

設置や保管場所に関しては、よりコンパクトな介護ロボットの開発を期待しましょう。
コスト面については、補助金制度の充実や、介護ロボットの利用料に介護保険が適用される形になるといったことが必要になるでしょう。

介護ロボットの補助金はいくら?

介護ロボット導入時に利用できる補助金制度があり、支給額は以下のようになっています。

介護ロボット
(1機器あたり)
・移乗支援(装着型・非装着型)
・入浴支援
上限100万円
・上記以外 上限30万円
見守りセンサーの導入に伴う通信環境整備
(1事業所あたり)
上限750万円

引用:地域医療介護総合確保基金を利用した介護ロボットの導入支援|厚生労働省

補助金制度の実施主体は各都道府県で、申請方法や支給額も自治体によって若干異なります。

介護ロボットの補助金制度の利用方法や、自治体ごとの補助金事例などについては、以下の記事を参考にしてみてください。

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介護ロボットに補助金制度はあるの?対象者や対象機器など最新情報を紹介

まとめ

介護ロボットは、介護職の負担軽減と業務の効率化が主な目的です。
今後さらなる高齢化が訪れる日本社会において、介護ロボットの導入は大きなメリットになります。
しかし、導入コストの高さや設置場所の確保など、実際に導入するまでの課題も存在します。

介護ロボット導入前には職員同士で話し合い、導入する介護ロボットが現場のニーズを満たしてくれるか考えることが重要になるでしょう。
本記事を読んで、まずは介護ロボットの全体像をつかみ、導入を検討する際の参考にしてみてください。

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