【比べてみよう】介護職の給与、3つの適正度チェック!

業務支援
2022/01/13

今回は、「ご自身の給与が適正なのか」、確認する3つのステップをご紹介します。
「周りと比べて、自分の施設が適正な給与なのか?」を確認する方法です。
地域別の給与や、自分の施設が加算をもらっているかも、紹介していきますので、最後までお楽しみください。
チェックした結果、「実は良かった」という方は、ぜひ今の職場に残るべきですし、「実は悪かった…」という方は、他の職場も検討すると良いと思います。

ステップ1:給与明細の見方

まず、給与明細をしっかり理解する必要があるので、解説していきます。
皆さんはご自身の給与明細をしっかり読んだことがありますか?意外と見ていない、という人も多いのではないでしょうか?
給与明細は、自分の額面給与はいくらで、保険料・税金を払った結果、手取りはいくらになるのか?を記載したものです。

具体例で見ていこう!

給与明細は、一般的にこのような形式になっています。

確認するべきポイントは、大きく分けて、「勤怠」「支給」「控除」です。

まずは「勤怠」に関してです。
こちらは、出勤日数などを記載する部分です。自分のシフトとあっているのか、確認しましょう。

次に「支給」です。「総支給」と記載されることもあります。「額面給与」と言うこともあります。
支給は、その月の基本給と各種手当が入ります。
資格手当、夜勤手当や、処遇改善加算、特定処遇改善加算は単独の項目があることが一般的です。

最後に「控除」です。
ここは、税金や年金、健康保険などの金額が記載されています。また、食事などが出る施設では、夕食代などの項目があることもあります。
最終的に支払われる「手取り」は、「支給から控除を引いたもの」になります。
まず、給与明細を見て、ご自身がどのくらいもらっているか確認しましょう。

ステップ2:平均との比較

周りと比べて自分の給与が高いのか、低いのか。気になりませんか?

職種別データ

介護労働安定センター発表の「令和元年度 介護同労実態調査結果」を確認してみましょう。
ここでいう給与は「所定内給与」というものです。
総支給から月ごとに変動する「夜勤手当」、「休日出勤手当」などを除いたものになります。全国平均では介護業界の給与は次のようになっています。

職種 給与平均
介護職員 21.6万円
ホームヘルパー 21.7万円
サービス提供責任者 24.9万円
ケアマネ 26.0万円
生活相談員 25.3万円
看護職員 27.2万円

地方別データ

この数字は、「正社員」で「月給で支給」されている人の「所定内給与」になります。
地方差もあるので、地方ごとの平均値はこちらです。
関東、近畿が比較的高く、東北、九州・沖縄が低い結果になっています。

地方 給与平均
北海道 221,722円
東北 208,413円
関東 253,002円
中部 236,461円
近畿 242,357円
中国・四国 221,802円
九州・沖縄 210,912円

都道府県別データ

都道府県別には、このようになっています。
東北の平均給与では、宮城県が高く、関東の中では東京都が最も高いです。
中部地方では、愛知県が高く、近畿の中では、大阪府が最も高いです。中国・四国では広島県が高く、九州・沖縄地方では福岡県が高いという結果です。

都道府県 給与平均
北海道 221,722円
青森県 196,527円
岩手県 205,337円
宮城県 223,247円
秋田県 201,633円
山形県 207,771円
福島県 217,386円
茨城県 234,186円
栃木県 228,764円
群馬県 238,932円
埼玉県 250,404円
千葉県 249,923円
東京都 274,650円
神奈川県 254,682円
新潟県 225,508円
富山県 228,095円
石川県 227,649円
福井県 238,033円
山梨県 232,836円
長野県 231,844円
岐阜県 243,183円
静岡県 238,798円
愛知県 251,884円
三重県 234,775円
滋賀県 237,815円
京都府 237,176円
大阪府 247,332円
兵庫県 242,500円
奈良県 244,622円
和歌山県 225,351円
鳥取県 217,264円
島根県 210,251円
岡山県 228,545円
広島県 231,197円
山口県 228,445円
徳島県 216,274円
香川県 225,702円
愛媛県 208,146円
高知県 221,335円
福岡県 216,948円
佐賀県 208,367円
長崎県 203,421円
熊本県 207,508円
大分県 214,131円
宮崎県 205,096円
鹿児島県 214,848円
沖縄県 207,466円

これらの数字は、介護業界全体の従事者になるので、サ責や生活相談員の給与も含まれています。
介護職単体となると、これより多少低くなるくらいかと思われます。お手元のご自身の明細とぜひ比較してみてください。
これと同じ、もしくは上だという人は、その地域の介護職の給与平均を超えています!

ステップ3:加算の取得状況を確認する

こうした給与の違いはどこから出ているのでしょうか?
特に、平均よりも下回っている方は、ぜひチェックしてみて下さい。

給与が低くなりがちな理由は、いくつかあります。

①事業所に十分な利用者がいない・稼働率が低い

介護事業所の売上は、基本利用者の人数に比例します。ですので、例えば、空いている部屋がたくさんある老人ホームは収益性が低く、給与も低くなりがちです。
転職の際は、ぜひ施設の見学・面接の際などにチェックしましょう。

②保険外収益など、利用者一人あたりの単価が低い

先ほどと同じですが、収益が給料の源です。
保険以外のサービスを行っている分、仕事は大変になりますが、収益性が高くなります。
そういったサービスをうまく組み合わせて入る施設では、その分売上が上がり、給与に反映されることがあります。
逆に、介護サービスのみで収益を上げることには限界があり、うまく言っていない場合、給与が伸びない……ということになることもあります。

③経営者ががめつく、搾取している

売上が上がっているが、給料には反映させない……というパターンです。
しかし、そういった施設からは従業員も逃げていくことが多く、こちらの理由は、以前よりも少なくなってきた印象があります。

④ご自身の経験が浅い、保有資格がない

この理由の場合は、経験を積んだり、資格を取ることをまずは意識していきましょう。
現状、介護は経験がかなり大きく給料に関係していきます。
最近では、それ以外を考慮するべきだ!という話も出てきていますが、まだまだメインではありません。
将来のことを考えて、今から、得意分野等を作っておくこともいいかもしれませんね!

⑤加算を取っていない

介護事業所を運営する上では、追加でもらえる売上である「加算」が重要です。
この「加算」をしっかり取っている事業所は、収益に余裕が出ますし、取っていない事業所は、カツカツになってしまいます。
また、処遇改善加算などは、原則、介護職の給料に直結する加算です。
しっかりと加算を取得しているか?確認することも重要ですね

加算の取得状況の確認方法

この重要な加算、自分の施設がしっかり受け取っているか、皆さんは把握していますか?
なかなか自分の職場で聞きづらいですし、転職の面接時などでも質問するのは難しいですよね。

実は、特にお給料にとって重要な、処遇改善加算や特定処遇改善加算を取得しているか、確認する方法があります。
インターネットがあればすぐにできるので確認してみましょう!
ちなみに、加算のルール自体は複雑ですので、例えば、処遇改善加算などに関しては過去の記事なども参照して下さい!

今回は、以前ケアきょうで訪問させて頂いた東京都渋谷区の特養「杜の風」さんを例に探してみます。

  1. こちらの「介護事業所・生活関連情報検索」を開いてください。
  2. そして、真ん中のマップからお住いの都道府県をクリックします
  3. 画面が変わったら、「介護事業所を検索する」をクリックします。こちらのキーワード検索にご自身のお勤めの施設を記入し、検索を押します。
  4. 検索結果から、該当する施設を探しクリックします。
  5. 画面が移り変わると、色々な情報が出てくると思います。こちらのページを下にスクロールしていきます。
  6. すると「介護報酬の加算状況」があります。
  7. こちらをクリックし、下にスクロールすると、介護職員処遇改善加算(Ⅰ)(Ⅱ)などと記載されている部分があります。ここを確認しましょう。
  8. 杜の風さんでは、介護職員処遇改善加算の(Ⅰ)を取得していることが分かります。

今回、特定処遇改善加算がなしとなっているのは、更新が間に合っていないからだと思われます

こんな風に調べると、皆さんの施設で、どんな加算を取得しているかを確認出来ます。

もし、加算を受け取っているのに、毎月の給与明細に記載されていなかったり、支給されていない場合は、適切な対応をしていなかったり、かなり偏った分配をしている可能性があります。

時折、現在の給与だけを見て転職を望まれる方もいますが、加算をしっかり取得&支給している施設は、比較的「良い施設」の可能性があり、転職した結果、むしろ悪い結果になることもあります。
こうした情報も踏まえながら、落ち着いて決めていきましょう。

まとめ

今回は、「周りと比べて、自分の施設が適正な給与なのか?」を確認する方法をご紹介しました。

  • 給与明細を読んで、ミスがないか、自分の総支給はいくらなのか確認しましょう。
  • 地方別・資格別の給与平均値と比較して、自分の給与が多いのか、少ないのか確認しましょう。
  • 加算をもらっているのか、手当が支給されているのかを確認しましょう!

資料

  • 事業所における介護労働実態調査結果報告書
    給与平均:表V-2(2)①【労働者】所定内賃金(事業所状況別)(問30⑨)
    介護サービスごと:表V-2(2)①【労働者】所定内賃金(事業所状況別)(問30⑨)
    地域別:表V-2(2)【労働者】所定内賃金(月給の者、日給の者、時間給の者)(問30⑨)
    資格別:表V-2(2)② 【労働者】所定内賃金(労働者属性等別)(問30⑨)
    賞与実施の有無:表Ⅲ-10(1) 正規職員の「賞与制度」の有無と実施状況(問23)
    賞与の額:表V-2(3)①【労働者】賞与<月給の者>(事業所状況別)(問30⑩)
  • 給与明細の見方
  • 処遇改善加算、特定処遇改善加算をもらっているか?

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