【介護】特定処遇改善加算、なぜ月給8万円上がらないのか
キャリアアップ
2022/01/20
月給8万円UPが一人歩き!? 特定処遇改善加算、計画書提出は8月末!職員周知はどうする?【介護】
本記事は、介護職のためのYouTubeチャンネル「ケアきょう」の動画で特筆すべき部分を文字に起こしたものになります。
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特定処遇改善加算、なぜ介護職の月給が8万円上がらないのか?
本日は、「特定処遇改善加算、なぜ月給8万円上がらないのか」というテーマでお話をさせて頂きたいと思います。
10月スタートの特定処遇改善加算なんですけど、計画書の提出が今年の8月の末までということで、職員さんへの周知が必要になっています。
以前から、介護福祉士で勤続10年、8万円月給がアップするというようなお話が一人歩きしていると思いまして、現実的には上がらないというお話が多いと思います。
10月スタートの特定処遇改善加算なんですけど、計画書の提出が今年の8月の末までということで、職員さんへの周知が必要になっています。
以前から、介護福祉士で勤続10年、8万円月給がアップするというようなお話が一人歩きしていると思いまして、現実的には上がらないというお話が多いと思います。
今回の動画の対象となる方は、管理者の方でしたら職員さんへの説明が必要だと思いますので、説明の際に使って頂ければというのと、介護職員の方に関しては、なんで8万円もじゅうぶん上がらないのかというような理解のためにぜひご覧頂けたら、と思います。
理由その1:そもそも特定処遇改善加算の用件を満たしていない
理由いくつかあるんですけれども、1つ目。そもそも特定処遇改善加算の対象の事業所さんではない所もあると思っています。
こちらは以前、厚生労働省が出しました『2019年度介護報酬改定について』という資料です。
こちらは以前、厚生労働省が出しました『2019年度介護報酬改定について』という資料です。
その中で、『処遇改善加算全体のイメージ』というところで取得要件が書かれているんですけど、『現行の介護職員処遇改善加算(Ⅰ)から(Ⅲ)までを取得している』という要件が求められていまして、ここの介護職員処遇改善加算を取得している事業者さんは全てではございませんので、当てはまっていない所に関しては取得が今回もできないと思います。
この中の資料の中で新加算の(Ⅰ)、新加算の(Ⅱ)の記載があるんですけれど、より条件が良いのは新加算(Ⅰ)のほうになります。
この中の資料の中で新加算の(Ⅰ)、新加算の(Ⅱ)の記載があるんですけれど、より条件が良いのは新加算(Ⅰ)のほうになります。
この新加算(Ⅰ)は結構要件が難しくて、例えばデイサービスであれば『介護職員の総数のうち介護福祉士の割合が50%以上』と求められていたり、訪問介護であれば、『訪問介護員のうち介護福祉士の割合が30%以上、あるいは介護福祉士+実務者研修等を修了している職員さんの割合が50%以上』の要件が求められていまして、ここの要件を満たすような施設さんって結構難しいんじゃないかなと思っています。
理由その2:配分原資(お金)がない介護事業所
理由の2つ目。特定処遇改善加算、もちろん出したいんだけども、計算すると原資がそこまでいかない施設さんもあるんじゃないかなと思います。ですので、取らないという選択肢を取っていると。
こちらが加算率の資料になっています。訪問介護、新加算(Ⅰ)であれば6.3%という数字が出ていまして、ここはざっくり言えば月額の売り上げにこの加算を掛けて特定処遇改善加算の原資とする、という考え方になっています。
例えば、通所介護の新加算(Ⅱ)の場合は1%となっていまして、通所介護施設さんで売上月額500万円の場合、この1%を掛けると月額5万円の特定処遇改善加算となります。
例えばお一人にでも月額8万円出そうとすると、むしろ3万円足りないという計算になりまして、事業所側でプラス3万円持ち出しでお支払いをするという形になってくる。そうすると、今回の特定処遇改善加算をまだ取らない事業者さんも結構多いんじゃないかなと思います。
ですので、特に小規模の事業所さんの場合は、こうした特定処遇改善加算を意識的に取らない選択を取る所が多いんじゃないかと思います。
ですので、特に小規模の事業所さんの場合は、こうした特定処遇改善加算を意識的に取らない選択を取る所が多いんじゃないかと思います。
理由その3:既に他の介護職員が待遇要件を満たしている
理由の3つ目に関しては、既に誰かしらが今回の条件を満たしている可能性があると思います。
こちらの資料が今年の4月に出ました、厚生労働省が出した特定処遇改善加算に関するQ&Aの1つ目の資料になっています。
資料の中で、事業所の配分方法という記載がございます。この中に『現に賃金が年額440万円以上の者がいる場合にはこの限りでない』という記載がございまして、こうした方は少ないと思うんですけど、既にいらっしゃる場合に関してはこの限りではない、となっています。
この場合に関しては特定処遇改善加算の原資を、①経験・技能のある介護職員、②他の介護職員、③その他の職種、というところで、2:1:0.5の割合に基づいて、平均の賃金改善を行っていくという形であればよいとなっております。そうした場合においても8万円以上上がる方がいないというようなことはあると思います。
理由その4:誰に設定しているか介護事業所が情報を開示していない
理由の4つ目に関しては、今回の年収440万円以上になる人、あるいは月給8万円以上(アップ)になる人というのを誰かしら1人設定すればよいというところで、誰かしらは事業所の中で設定されているけれども、その情報が開示されていないケースもあるんじゃないかと思います。
今回こうした設定を1人以上すればよいので、1人のみ設定をする事業所さんも結構多いかな。ちなみにこの『①経験・技能のある介護職員さん』は、事業所側の裁量の判断でOKとなっていると。
理由その5:対象者でも一気に月給が上がるわけではない
理由の5つ目。自分自身8万円アップの対象だけれど、今回一気に上がるわけではないというようなケースもあると思います。
こちらの資料が今年の7月に厚生労働省が出しました、特定処遇改善加算に関するQ&Aの2つ目の資料になっています。この中のQ&A形式なんですが、問いの20番に記載がございまして、問いとしては『年度当初から特定加算を織り込んで賃金改善を行いたいと考えた場合、4~10月分の賃金改善に特定加算を充てることは可能か』どうかという問いに対して、回答としては『こうした場合には、その年度当初から10月より前に行っていた賃金改善分について、介護職員等特定処遇改善加算を充てることも差し支えない』という記載がございます。
つまり既に4月から賃金改善に一部行われていた方に関しては、その分も含めて月額で8万円上がればよいとなっておりますので、今回10月以降で一気に8万円上がったということではなくて、今年度ずっと通して8万円上げるという形になる方もいらっしゃるんじゃないかなと思います。
このようなところが理由なんですけれども、事業所さん側は結構説明がしづらいのかなと思いまして、苦労されてらっしゃる事業所さん、管理者の方も多いんじゃないかな。
具体的に言えば経験・技能のある介護職員が複数いらっしゃって、でも8万円上げる原資は1名分しかない、本当はみんなにあげたいけど、という事業所さんかなり多いんじゃないかと思っています。
結構その事業所の中でも、「なんであの人はリーダー級で、なんで自分は一般の介護職なのか」というところで少し不公平感を感じる方も結構多いのかなと。ですので、ややこしいので適当に説明しちゃう。あるいは特に説明をしない。というような選択を取っている所も多いんじゃないかと思います。結構リーダー級と一般の介護職の方の線引きがかなり難しいかなと。簡単な、単純な、客観的な指標だとリーダー級というのを測れないし、活躍度でいうと結構主観的な指標というところで、管理者としてはこの人が一番リーダー級だと思っていても、職員さん側からすると少しそこに納得がいかないというケースの距離、あるんじゃないかと思います。
事業所側の注意点としてはこの指標を説明する際に、来年以降も考えておくというのが大事かと思います。
一番わかりやすい説明の仕方としては、例えば「介護福祉士取得してから何年」とか、「こちらの施設で勤続年数何年以上の人に関しては今回の特定処遇改善加算8万円以上アップ」と設定します、という説明をもししてしまった場合、例えば社内ルールとして勤続年数7年と決めて、「今年はその対象お一人だったので月給8万円アップはお一人です」みたいな説明をした場合に、逆に来年以降、勤続年数7年という方が2名3名と増えていくことは当然あり得ると思いますので、そうした場合に原資が足りないケースが出てきてしまう可能性はあると思います。
ですのでやり方としては、「勤続年数上位をお一人、あるいはお二人が8万円アップの対象だ」という、そうしたやり方も一つあると思うんですけれども、こうした形でやると説明がある程度つくというのと、人件費が上がるリスクも下がると思うんですが、逆に若手の職員さんからすると、もう、ずーっともらえないんじゃないかというふうに思ってやる気が下がる、あるいは辞めてしまう、そうしたケースもあり得ると思いまして、かなり今回の特定処遇改善加算のルール、事業所側からすると説明がしづらいと思います。
まとめとしては、正直この特定処遇改善加算のルールが説明しづらいところを事業所側に押し付けている制度になっていると思います。
資料であるとか、これまでのルール設定の経緯を見ると、国全体の統計の数字を見ながらルール決めをしている印象なんですけれども、逆に国全体の数字を見て統計数字で判断しているので、小さい事業所という集団の単位で見てみると、かつ職員要件という形で決めてしまうと偏りが出て、施設内の不満が出やすくなるという構造になっているんじゃないかな。
資料であるとか、これまでのルール設定の経緯を見ると、国全体の統計の数字を見ながらルール決めをしている印象なんですけれども、逆に国全体の数字を見て統計数字で判断しているので、小さい事業所という集団の単位で見てみると、かつ職員要件という形で決めてしまうと偏りが出て、施設内の不満が出やすくなるという構造になっているんじゃないかな。
例えば事業所によってはベテランさんの割合が多くて今回の説明に苦労しているという事業所かなり多いかなあと。
そうしたところも考えてみると本来は国全体で経験年数であるとか、わかりやすい指標で要件を決めて、その要件を満たす介護職の方に一律にこのぐらいアップをするというほうがややこしくなくて、事業所側としては非常にやりやすい制度になったのかな。
介護職員側としても、ある意味で納得しやすい制度になったんじゃないかなと思っています。
そうしたところも考えてみると本来は国全体で経験年数であるとか、わかりやすい指標で要件を決めて、その要件を満たす介護職の方に一律にこのぐらいアップをするというほうがややこしくなくて、事業所側としては非常にやりやすい制度になったのかな。
介護職員側としても、ある意味で納得しやすい制度になったんじゃないかなと思っています。
今回は以上です。ご視聴ありがとうございました!
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