ケアカンファレンス(事例検討会)とは?はじめて出席する際のポイントも解説

介護現場では、情報共有のためにケアカンファレンスが開催されます。
経験が浅い介護職員にとっては、「何をするんだろう」「事前に詳しく知っておきたい」と考えている方もいるでしょう。
本記事では、ケアカンファレンス(事例検討会)の事例やはじめて出席する際のポイントもあわせて解説します。
ケアカンファレンスの概要を知り、ぜひ自身のケアに活かしてください。
ケアカンファレンス(事例検討会)とは
ケアカンファレンスとは、ケアの質やサービスの向上を目的に病院や介護施設で開催される会議です。
介護スタッフだけでなく看護師や理学療法士などの従事者が集まり、情報の共有や問題の掘り下げ、解決策や対応方法などを考察します。
サービス担当者会議との違い
「サービス担当者会議」とケアカンファレンス(事例検討会)は、どちらもケアの質やサービスの向上を目的にしています。
両者の大きな違いは、法律で開催が定められている点です。
サービス担当者会議の開催は、厚生省令第38号 第13条の9にて規定されています。
九 介護支援専門員は、サービス担当者会議(介護支援専門員が居宅サービス計画の作成のために、利用者及びその家族の参加を基本としつつ、居宅サービス計画の原案に位置付けた指定居宅サービス等の担当者(以下この条において「担当者」という。)を招集して行う会議(テレビ電話装置その他の情報通信機器(以下「テレビ電話装置等」という。)を活用して行うことができるものとする。
引用:e-Gov法令検索「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」
サービス担当者会議は、ケアマネージャー(介護支援専門員)がケアプランの作成・変更や介護認定の更新時に主催しています。
ケアカンファレンスは、施設全体で自主的に開催される会議であり、法律での開催は定められていません。
つまり、多くあるケアカンファレンスの一つが「サービス担当者会議」といえます。
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ケアきょう求人・転職の無料相談ケアカンファレンス(事例検討会)の5つの目的
ケアカンファレンスには、施設のスタッフと関係者が集まります。
たとえば、テーマが「介護食」であれば、介護スタッフや調理スタッフ、言語聴覚士なども参加します。
この項目では、ケアカンファレンスにおける5つの目的を詳しく解説していきましょう。
利用者情報を把握する
ケアカンファレンスの目的は、利用者情報や問題の把握です。
とくに経験が浅い介護職員にとって、ケアカンファレンスは先輩の介護職員から学ぶよい機会になります。
利用者の生活習慣やニーズ、日々のケアに関する注意点などの情報を得られます。
利用者情報への理解は、ケアの質の向上に役立つでしょう。
ほか職種との連携を深める
ケアカンファレンスを利用して、施設内のスタッフや関係者との連携が深まり、チームワークを向上させます。
利用者ケアには、介護職員だけでなく、看護職やリハビリ専門職なども携わっています。
他職種がケアカンファレンスに参加すると、各分野の専門性を活かした新たな解決策やアイデア、課題発見などが期待できるでしょう。
ほかの職種の視点を取り入れると、ケア提供の場が広がり、より包括的な支援が可能です。
ケア技術の向上を図る
具体的な事例を活用すると、施設全体のケア技術は向上します。
たとえば、利用者が転倒し骨折や皮膚剥離のようなケガの対応や、利用者間で不適切な発言が出た時の対処法などです。
職員が同じ認識を持つと、一貫した介護サービスの提供が可能となり、施設全体のケア技術が向上するでしょう。
利用者満足度を高める効果も期待できます。
知識の向上を図る
ケアカンファレンスでは、現場で導き出された知見や、最新の介護研究の成果などを共有されるケースが多いです。
ケアカンファレンスを通じて、介護スタッフや施設関係者は専門的な知識やスキルを深める貴重な機会となります。
利用者家族の負担を軽減させる
「食事の際にむせこんでしまう……」「夜間の頻尿で、安心して眠れない」など利用者家族の悩みを事例として取り上げる場合があります。
利用者家族の悩みを共有し、具体的な対応策を考えることによって、利用者家族の身体的な負担だけでなく、精神的な負担も軽減できるかもしれません。
ケアカンファレンス(事例検討会)に出席する際の5つのポイント
ほとんどのケアカンファレンス(事例検討会)では、事前にテーマが決められています。
また、検討会を有意義な時間にするには、事前準備も欠かせません。
ここでは、新人介護職員がケアカンファレンスに参加する際の5つのコツをお伝えします。
1.事前に利用者の状態を把握しておく
ケアカンファレンスは、実際に施設で起こった事例をもとに開催されます。
事例対象である利用者状態の把握は必須です。
具体的に何を確認したらわからない方は、以下のポイントを参考にしてください。
- 対象利用者の最新〜2ヶ月前までの行動や言動の変化
- 対象利用者に接する中で気になった点
- 対象利用者の既往歴や薬の把握
紹介したポイントを把握し自分の意見を持つと、より有意義な場となるでしょう。
2.メモを持参する
ケアカンファレンスへの参加だけでは、細かな情報を見逃してしまうことがあるかもしれません。
情報を見逃さないために、メモを取るといいでしょう。
もし時間がない場合でも、キーワードを記録しておけば、後で先輩やほかの職種の方に質問もしやすくなります。
他者の意見を書き留めておくのもおすすめです。
聞いた時には理解できなくても、経験を積むと、意味が分かることもあります。
メモした情報を活用し、ケアの質をあげるとともに、自身のスキル向上にも図りましょう。
3.意見を否定しない
発言した意見を尊重する姿勢は、信頼関係を築くために非常に重要です。
また他者の意見を受け入れると、問題解決を多面的に捉えるきっかけにもなります。
活発な議論は、さまざまな意見を出し合う環境で生まれます。
意見を否定するだけでは、新たな考えや解決策は見つかりません。
他者の意見を否定せず、受け止める姿勢が重要です。
4.自分の意見も積極的に発言する
経験が少ない介護スタッフは、積極的な意見を述べにくいかもしれません。
しかし、ケアカンファレンスを有益な会議にするには、参加者全員の意見を交わすことが大切です。
「自分が意見をいってもいいのかな」と不安になるかもしれませんが、新人スタッフの意見が有益な時もあります。
もし何を発言して良いかわからない時は、日頃から利用者に対し気になっている点について話してみましょう。
まずは「発言」を目標に頑張ってみてください。
5.守秘義務を遵守する
ケアカンファレンスの参加者には「守秘義務」が求められます。
「守秘義務」とは、職務上知った情報や秘密を他者に漏らさない責任を意味します。
ケアカンファレンスでは、利用者様の既往歴や介護記録などの個人情報を取り扱います。
名前や性別といった情報を含め、カンファレンスの内容も他人に話してはいけません。
もし情報が漏れた場合、訴訟に発展する可能性もあるでしょう。
個人情報の取り扱いには、細心の注意が必要です。
実際のケアカンファレンスの進め方
ケアカンファレンスの進行は、実際どのように進めればよいのでしょうか。
2つの事例でみてみましょう。
ケース1|食事を取りたがらない利用者がいる場合のケアカンファレンス
認知症の利用者様A様はショートステイに入居しています。
介護スタッフは、A様に食事が進まない理由を尋ねますが、うまく説明ができません。
施設では、間食時にA様の好きなプリンやヨーグルトの提供や、食事の際の声かけもしていますが食事摂取量は増えません。
訪問歯科医による口腔内チェックにより、A様の入れ歯が合わないとの指摘を受けました。
新しい入れ歯を作った結果、A様は食欲を再び取り戻したのです。
ケアカンファレンスでは、リハビリスタッフが食事時の姿勢保持について提案しました。
食事を摂る際は、車椅子から椅子に移り、クッションで座位を調整します。
また看護師は、食事が進むように、A様を他の利用者様の隣に座らせる案を提案しました。
各専門職からの提案により、利用者様の問題が改善へとつながった好例といえるでしょう。
なお正しい高齢者の口腔ケアについては、下記の動画を参考にしてください。
ケース2|廊下で歩いている時に転倒した後のケアカンファレンス
認知症のB様は、介護施設で生活しています。
ある日、食堂へ移動中の廊下で転倒する事態が発生しました。
すぐに手すりをつかんだB様と近くにいた介護スタッフのおかげで、大きな転倒には至りませんでした。
しかし転倒事故は、再発防止が重要です。
全スタッフで情報共有をする目的で事例検討会が開催されました。
リハビリスタッフは、足腰の強化を提案し、ほかの介護スタッフは移動時の付き添いとリハビリ体操の導入を提案しました。
再発防止について考えるのもケアカンファレンスの大事な要素といえます。
また施設には、時々クレームを入れるご家族様もいます。
対処法については、下記の記事をご覧ください。
ケアカンファレンスを実施する頻度は?
ケアカンファレンスは、施設内で必要と判断された際に実施されます。
開催頻度は異なりますが、月に1回実施する施設もあります。
ケアカンファレンスの開催頻度を知りたい場合は、面接時に確認しておきましょう。
ケアカンファレンスを知り自身のケアに活かそう
ケアカンファレンスは、さまざまな職種と話し合いできる絶好の機会です。
ケアカンファレンスで得た知識を吸収すれば、より質の高いケアが提供できるでしょう。
より深い学びを得たい場合は、認知症に対する理解を深め、自身の意見を持つことが重要です。
ケアカンファレンスを有効活用し、よりよいケアに活かしましょう。
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