介護施設に現れるクレーマー・モンスター家族【タイプ別対処法】

ストレス・メンタル対策
2022/01/28

モンスター家族3タイプと対処法

近年、介護現場で急増しているモンスター家族をご存じでしょうか?
時折、ケアきょうでもご相談を頂くことがあります。

今回は、そのモンスター家族の特徴や実例を踏まえ、対応方法までお伝えしていこうと思います。

モンスター家族とは?

まずは、モンスター家族とは何なのかを考えていきます。
モンスター家族・モンスターファミリーに関して、明確な定義はありません。

同じような言葉で、学校や塾でのモンスターペアレントがあります。
こちらは、学校などに対して、「自己中心的」かつ「理不尽な」要求をする親のことを意味しています。

モンスター家族も同様に、介護事業所に対して「自己中心的」かつ「理不尽な」要求をするご家族のことを意味していると考えて良いと思います。
注意点として、要求が「常識的な要求」であり、「正当な理由がある」場合は、モンスター家族ではありません。
そういった家族はまともな方で、むしろ要求はその介護事業所をより良くするためのヒントだったりもしますので、最初から「モンスター家族が来た」と考えたりしないようにしましょう。

モンスター家族が増えた背景

厚生労働省は、介護現場におけるハラスメントに対して調査を行った結果

  • 利用者からのハラスメントを4~7割
  • 家族からのハラスメントは1~3割

の介護職が、経験したことが分かりました。

こうした現状から、利用者による介護職へのハラスメント対策を強化するように、政府が動き出しました。
このことからも分かるように、利用者、そしてモンスター家族からのハラスメントは大変多くなっています。

その理由はなんなのでしょうか?

おそらくは、介護を取り巻く環境が変化し、「お客様意識」が生まれたことにありそうです。

元々、2000年に介護保険制度が出来るまで、介護は市区町村が必要なサービスなどを決めていたため、利用者や家族も「面倒を見てもらっている」意識がありました。
そのため、不満があってもなかなか言い出さない環境にありました。

しかし、現在は介護保険制度が始まり、最終的には「自分でサービスを決める」という形に進化し、これに伴い自己負担が発生しました。
これにより「お金を払っているお客様」という意識が生まれ、「お金を払っているのだからやってもらって当たり前」という利用者や家族が、ある一定数生まれてしまっているようです。

あくまで、仮説ではありますが、このような理由が考えられます。

タイプ別特徴

モンスター家族といっても、さまざまなタイプが存在します。
今回は、そのタイプを3つに分けてご紹介します!

職員を信じないタイプ

このタイプは、「自分の介護」のイメージを持っていたり、年下である介護職の話を信じられないタイプです。

介護サービスを利用するまで、ご自宅で介護をしてきていると、介護職による介護がある意味「特殊」で「正しくない方法」に思えてきてしまう人がいるようです。
自分がやっていた「正しい方法」を行わないことに、憤りを感じてしまうのです。

介護サービスを利用する方のご家族は、40~60歳代の方が多く、介護職員よりも年上ということもあります。
「年下が特殊な方法をしている」と考えて、不満が爆発してしまう人もいるようです。

任せきりなのに、たまに顔を出して騒ぐタイプ

2つ目は、普段は介護を施設や他の家族に任せきりなのに、たまに顔を出して大騒ぎするタイプです。

親のことは大切に思っているけど、遠方に住んでいる、忙しいなどの理由で、ケアマネさんとの打ち合わせや面会にはほとんど来ないという方が、このタイプになっているようです。

そのため、ある日訪ねて来て、以前は歩いていた親御さんが車椅子だったりすると、現実を知らないために「虐待だ」などと騒いでしまいます。

お客様意識が強すぎるタイプ

最後は、先ほどもお話しした「お金を払っているのだから、やってもらって当然」と考えているタイプのご家族です。
もちろん、お金を払っているからこそ、しっかりとしたサービスを受ける権利はあります。
だからといって、全ての要求が通るわけではないので困ったものです。

モンスター家族への対応方法

こういったモンスター家族に対しては、どのように対処すればいいのでしょうか?

現れないようにするための対応

契約時に過度な期待を捨てさせる

モンスター家族は、過度な期待をしているために、理不尽な要求をしてきています。
ですから、その過度な期待を減らす工夫をしましょう。

例えば、「うちでできるサービスの限界はここまでです」と話すなどです。
「24時間ずっとそばに居続けることはできない」ということをお伝えしておくことで、認識を擦り合わせることが出来ます。

普段から信頼関係を構築していく

不安から、モンスター家族になってしまうということもあります。
こちらが、今は多いのではないでしょうか?

普段から、ご家族と適切なコミュニケーションを取ることを心掛け、信頼関係を築いておくことで、「この施設のやり方は安心できる」と考えてくれるようになります。
そうすれば、問題が起こることは、そう多くなくなるはずです。

実際に現れてしまったときの対応

モンスター家族と決めつけず、静かに話を聞く

相手の話を遮らずに、どのような要求をしてきているのか、しっかり聞きましょう。

一見、口調がきつい場合でも、正当な要求をしている可能性があります。
そういった場合、はモンスター家族ではありません。

また、相手の話を遮ることは、相手をイラつかせてしまう原因になります。
ですから、話を遮らず、しっかりと相手の要求を聞くようにしましょう。

可能な限り相手に寄り添う

要求に対しては、可能な限り対応してあげましょう。
もちろん、無理をして要求に対応する必要はありません。

しかし、最初から全否定するのではなく、「こういった対応なら出来る」と、相手も納得する妥協案を見つけていくことも大切です。

理不尽な事には妥協しない姿勢を見せる

限度を超えた要求には、断固として応じてはいけません。
一度でも、そのような要求が通ってしまうと、ずっと要求してしまうのが人間です。
これ以上は対応できない、という部分は守り通しましょう。

個人対応が難しければチームで対応する、それでも無理なら契約解除も視野に入れる

家族対応をしていて、自分一人で対応できないなら、リーダー職や管理職が出るタイミングです。

自分一人で全てを解決する必要はありません。
無理と思ったら、上司を呼びましょう。

そして、あまりに理不尽な要求を長時間続けるようでしたら、契約を解除することも選択肢の一つです。
一人のために、他の利用者を犠牲にするような要求に応じることは出来ません。


以上、モンスター家族への対応方法を紹介しました。
介護職が辞めていく原因の一つは、ストレスです。
もちろん職場環境・人間関係などもあると思いますが、「家族対応が辛くなってしまった」という声もお聞きします。
そういった方が、一人でも減ると嬉しいです!

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