ケアカンファレンスの3つの意義とは?コミュニケーションのポイントも解説
介護の現場では、ケアカンファレンスがよく行われています。
「ケアカンファレンスでどのように発言したらいいか分からない」と悩む新人介護スタッフも多いでしょう。
今回は、ケアカンファレンス3つの意義とコミュニケーションのポイントも含めて解説します。
ケアカンファレンスの意義を知り、これからの介護に活かしましょう。
ケアカンファレンスとは?
介護におけるケアカンファレンスとは、さまざまな専門職が集いケアの支援方法や方向性について話し合う場です。
ケアマネジャーや介護スタッフなど利用者のサービスに関わるメンバーが参加し、利用者の状況や問題点などの意見を交わします。
介護業界では略して「ケアカン」と呼ばれています。
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ケアきょう求人・転職の無料相談ケアカンファレンスの3つの意義
ケアカンファレンスには、担当者が問題の抱え込みを回避できるなどの利点があります。
ここでは、ケアカンファレンスの3つの意義について分かりやすく説明します。
担当者が問題の抱え込みを回避できる
介護スタッフが担当者の問題を一人で抱え込んでしまうと、精神的な負担が大きくなり、全体の業務に悪影響を及ぼす可能性があるかもしれません。
ケアカンファレンスで問題を共有することにより、一人で抱え込む負担を減らし、孤独感を回避できます。
全体での問題が共有できる
ほかの職種と連携して問題を共有すると、それぞれの専門知識を活用した問題解決のヒントが見つかる可能性があります。
また課題の共有により、新しいアイデアや解決策が生まれるかもしれません。
ケア方法の選択肢が増える
ケア方法の選択肢が増えると、より適切な援助が可能です。
たとえば、レクリエーションに転倒予防体操を取り入れる、理学療法士によるリハビリなどが考えられます。
さらに利用者の異変や問題点を早期に発見し、柔軟な対応もできるようになります。
ケアカンファレンスの5つの目的
ケアカンファレンスでは、主に5つの目的が挙げられます。
それぞれ解説していきましょう。
対象者の情報を把握する
ケアカンファレンスの主な目的は、利用者の状態やケアに関する情報や問題の把握です。
とくに新人介護スタッフにとって、ほかの介護スタッフからの具体的な情報や注意点を学ぶのは、絶好の機会になります。
ケアカンファレンスを通して、新人介護スタッフはすぐに利用者さんの状態を把握し、どのような対応が適切かなどの知識が得られるでしょう。
他職種連携しチームワークを深める
ケアカンファレンスは、施設内のスタッフや関係者との連携を深め、チームワークを高めます。
各専門職の視点や知識を活用し、利用者の問題点や課題に対するアイデアの共有が可能になるでしょう。
食事摂取量の問題であれば、管理栄養士は栄養面や食事形態に関するアドバイス、リハビリ専門職は食事姿勢の体位や摂食動作の工夫が提案されます。
介護スタッフは、ケアにおける日々の気づきを共有できます。
各視点からの情報が一度に集まるため、より質の高い介護サービスが提供できるでしょう。
ケア技術を向上させる
ケアカンファレンスは、ケア技術の向上にも役立ちます。
利用者さんが誤嚥しやすい場合、ケアカンファレンスでは食事の見守り方やよい声かけの方法が学べます。
また、食事毎にする口腔ケア体操や筋力を維持するリハビリ運動など、実際の現場ですぐ使えるケア技術も提供されるでしょう。
また、問題が起きた際の対応に備えて前向きな意見交換が行われると、チーム全体のケア技術が向上します。
お互いの認識をすり合わせておくと、介護のケアの方法が定まり、利用者に対するケアの質を高められます。
ケア知識を向上させる
ケアカンファレンスを通して、介護のケア知識の向上も期待できます。
ケアカンファレンスでは、最新の介護研究結果や新しいケア手法、ケアに関する法律などの情報が共有されます。
最新情報を自分の知識として取り入れると、日々の介護業務にも役立つでしょう。
利用者家族の負担を軽減する
利用者家族の負担の軽減は、ケアカンファレンスを開催する目的のひとつです。
介護は、利用者家族にとって大きな負担であり、介護による負担をどのように軽減するかについて考えるときもあります。
たとえば、どのようなサポートが家族にとって適切か、具体的な改善策を模索できるかもしれません。
ケアカンファレンスは、利用者家族の解決策を見つけ、非常に有益な場としても機能しているのです。
ケアカンファレンスにおけるコミュニケーションのポイント
コミュニケーションとは、情報や感情を言葉で伝える行為です。
利用者さんのケアにはさまざまなスタッフが関わっているため、限られた時間の中でより効果的なコミュニケーションが求められます。
この項目では、ケアカンファレンスにおけるコミュニケーションのポイントを4つ紹介します。
事例やケアプランに対して否定しない
ケアカンファレンスでは、事例やケアプランに対してまれに否定的な意見を持つ方もいます。
しかしケアカンファレンス自体の目的は、事例に対してどのように問題に取り組むか意見を共有し、全体のチームワークを高めることです。
単に否定的な意見だけでなく、建設的な提案や意見の共有が大切です。
批判的な意見は、ケアカンファレンスの目的と合わないため、適切ではありません。
相手の意見を肯定する
ケアカンファレンス中は、相手の意見を肯定する姿勢が大切です。
相手の意見が肯定されると、参加者は意見を自由に発言しやすくなり、活発な議論が生まれます。
また「自分の意見を受けとめてくれた」と相手が感じると、参加者は安心し信頼関係が結びやすくなります。
自分だけの視点に固執せず、多角的な視点で問題を捉える意識が大切です。
多角的な視点で問題を追求すると、よりよい解決策が見つかる可能性が高まります。
相手の意見を尊重しあう環境によって、ケアカンファレンスは最大の効果が見込めます。
与えられた時間を考慮する
ケアカンファレンスは時間が限られているため、効率的な議論の進行が求められます。
各自の発言時間をあらかじめ決めておくと良いでしょう。
一部の人だけが長く話しすぎてしまうと、他の参加者が意見を言えなくなる可能性もあります。
参加者全員が発言できるように、時間配分を意識してください。
実現できるサポート方法を考える
実際にできるサポート方法の提案は重要です。
確実に実現できる支援を考えなければ、時間の浪費になるでしょう。
ケアカンファレンスの提案は、具体的で現実的な範囲内で検討する必要があります。
ケアカンファレンス後、議論が具体的な行動につながったり、ケアの質の向上につながることもあります。
ほかにもコミュニケーションを円滑にする方法はあります。
詳しくは、下記の記事も参考にしてください。
ケアカンファレンスの運営側になった場合
ケアカンファレンスの運営側になった際、各参加者が特定の役割を持っています。
経験が浅い介護スタッフが依頼される時もあり、知っておくと安心です。
それぞれの参加者が担当する役割について説明します。
役割の名前 | 担当する内容 |
---|---|
事例提供者 | 事例検討会で議論するための具体的な事例を提供します。提供される事例は、自身が直接関与したものを選んでください。 事例内容が記載された用紙を事前に準備し、参加者に配布します。 ケアカンファレンスの当日は、事例を選んだ理由や説明を丁寧に説明しましょう。 ケアカンファレンス後は、個人情報が記された事例内容の用紙は回収し、必ず破棄してください。 |
司会者 | 司会者は、ケアカンファレンスの進行役です。議題を進め、話す順番を決めるなど、スムーズな進行を担います。 事前準備では、事例提供者とともに利用者の希望や、事例提出者の考察や思いを共有します。 ケアカンファレンスの当日は、目的のルールや説明、論点の明確化や発言の整理などを記録係やファシリテーターと協力して進めます。 |
記録係 | 記録係は、会議の内容を記録する役割を担います。意見の要約やケアカンファレンスが実施された背景なども記載します。次回の資料にもなるため、できるだけ簡潔にまとめましょう。 |
ファシリテーター | ファシリテーターの役割は、参加者が議論に参加できるように促す役割です。参加者の意見を引き出す問いかけや司会者のフォローなどを行います。 |
ケアカンファレンスにおいて、司会者とファシリテーターの兼務はよくあります。
司会者やファシリテーターがタイムキーパーを兼ねる場合もあります。
参加人数によって役割を考慮しましょう。
準備するもの
開催する当日に準備するものもまとめました。
参考にしてください。
- 事例内容が記載された用紙。利用者への支援状況などの内容も含む。
- ケアプランが記載された用紙
- ホワイトボードとマジック
- 記録用の用紙
- 時計(タイムキーパーが使用する)
ケアカンファレンスの進め方(90分の場合)
ケアカンファレンスは、6つのステップで進めます。
進行目安のタイムスケジュールも合わせて参考にしてください。
概要 | 詳細 | 時間目安 |
---|---|---|
①挨拶と事例についての概要を説明する | ・それぞれの役割を説明する ・事例提供者は、事例を選んだ理由や概要を説明する。 ・検討したい問題や課題について話をする。 |
15分 |
②参加者が事例についての質問をする | ・参加者は問題点を明確にするために質問する。この時点での発言は控える。 ・事例提供者の気持ちを考慮した質問を行う。 ・司会者は参加者の質問から判明した情報を整理する。 |
15分 |
③話し合う論点をはっきりさせる | ・事例について話し合う論点の範囲を決める。 ・論点を具体的に言語化し、整理する。 |
10分 |
④意見を出す | ・参加者は、論点を踏まえて意見を出し合う。 ・利用者の意思の反映や、利用者さんらしい生活を送るためには、何をポイントにすべきか考慮して意見を出す。 ・司会者は、意見がある程度そろったら、検討項目や意見を要約する。 |
グループワーク30分、個人ワーク5分 |
⑤意見のまとめを共有する | ・参加者と改めて意見を共有する。 ・事例提供者は、参加者の意見の感想を話す。 |
5分 |
⑥カンファレンスの感想を言い合う | ・カンファレンスに参加した感想をそれぞれ話す。 | 10分 |
ケアカンファレンスにおける注意点
ケアカンファレンスを実施する上で、以下の注意点があります。
- 守秘義務を徹底する
- 誰もがわかる表現を選んで発言する
- ケアカンファレンス後に配布した紙を回収する
それぞれ詳しく説明していきます。
1.守秘義務を徹底する
ケアカンファレンスに参加する全ての関係者は、利用者のプライバシーを守り、職務上知った情報の秘密を守る法的義務を負います。
もし情報が漏れた場合、守秘義務違反として最大2年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
情報の取り扱いには、細心の注意を払いましょう。
2.明確で簡潔な言葉を使う
すべての参加者が共通理解を持つために、情報を明確で簡潔に話すことが求められます。
具体的には、専門用語の解説や病状の説明などを補足する必要があります。
また意見を話す際には、話すスピードも意識しましょう。
ゆっくり話すと、参加者が内容を確実に理解し、意見を言いやすくなります。
ケアカンファレンスの参加者は、専門家だけでなく、業界が専門外の方もいます。
そのため、明確で簡潔な言葉を使うことが重要となります。
3.ケアカンファレンス後に配布した紙を回収する
ケアカンファレンスで使用した資料やメモには、利用者さんの個人情報やケアの詳細が記載されています。
資料やメモが不適切な場所に残されたり、第三者の手に渡ると、利用者のプライバシーが侵害される可能性があります。
さらに、個人情報保護法に違反する恐れもあるでしょう。
ケアカンファレンスが終了したら、主催者や関係者が配布した資料を回収し、適切に処分を行います。
利用者のプライバシーを守るとともに、法令遵守の責任も果たせます。
質の高いケアを目指そう
ケアカンファレンスは、異なる分野のスタッフが意見を交換し、必要な議論をする場所です。
質の高いサービスを提供するには、専門家からの意見を積極的に共有していくことが重要だといえます。
ケアカンファレンスの意義を理解し、より質の高いケアを目指していきましょう。
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