ケアマネの資格は廃止されるのか?今後どうなる?将来性や需要についても解説
ケアマネの資格は廃止されるのか、不安を抱いている方は多いのではないでしょうか?
「これからケアマネを取る意味はあるの?」「ケアマネに将来性はあるの?」などの疑問もあるでしょう。
本記事では、ケアマネの資格が廃止されると言われるようになった背景やケアマネの将来性、これからケアマネを目指したい人が知っておくべきことなどを解説します。
これからケアマネを目指したい人で、資格が廃止されるのか不安な方は、ぜひ参考にしてください。
ケアマネの資格は廃止はされると言われるようになった背景
ケアマネの資格が廃止されるのではと言われるようになったのは、以下のような背景があります。
- 資格試験の改定による受験者数の減少
- 法改定による管理者要件の変更
- ケアプラン有料化によるケアマネ不要論
今現在、ケアマネの資格が廃止される予定はありませんが、法改定や介護現場の状況変化によって、ケアマネの需要が変わることも考えられます。
ここで紹介する、ケアマネ資格の現状を確認しながら、ケアマネの今後についても考えてみてください。
資格試験の改定による受験者数の減少
2018年のケアマネ試験より受験資格が変更され、以下のように受験者数が大幅に減少しました。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|
2017年 | 131,560人 | 28,233人 | 21.5% |
2018年 | 49,332人 | 4,990人 | 10.1%% |
受験者数も合格率も大幅に下がったことで、ケアマネになった人が80%以上も減りました。
これまでは、介護職員初任者研修以上の資格を取得し実務経験が5年あれば受験でき、無資格の場合でも、10年の実務経験でケアマネ試験を受験可能でした。
しかし2018年より、介護福祉士や社会福祉士などの国家資格を取得したのち、5年の実務経験を完了しないと、ケアマネ試験は受けられなくなりました。
ケアマネ試験の受験者数の大幅減少は、ケアマネ資格の廃止が囁かれるきっかけの出来事でした。
法改定による管理者要件の変更
2018年の介護報酬改定の際に、居宅介護支援事業所の管理者が主任ケアマネージャーに限定されました。
ただし、2026年までは経過措置として、これまで管理者をしていたケアマネが管理者を続けることが可能となっています。
主任ケアマネージャーになるには、ケアマネの実務経験に5年以上従事し、主任介護支援専門員研修課程の研修を修了しなければいけません。
この法改正で、居宅介護支援事業所の管理者が主任ケアマネしかできなくなりました。
そのため、今後ケアマネは廃止されるのではないかという意見が出て、ケアマネ資格の廃止論につながりました。
ケアプラン有料化によるケアマネ不要論
次のような流れから、ケアプラン有料化とケアマネ不要論が同時に議論されました。
- 財務省が膨らむ介護給付費や要介護認定者の増加を問題視
- 要介護度の悪化を防ぐのがケアマネの仕事ではないのかと指摘
- 役割を果たせていないのであればケアマネは不要なのでは?議論が勃発
財務省はさらに、介護給付費の財源をケアプランを有料にすることで賄えないかという議論も始め、実質ケアプランが無料である現状を問題視しました。
こういった議論がされている中で、ITの発展やAIの導入などにより、ケアプランの自動化といった案が浮上し、結果ケアマネは必要ないのではないかという話になっていった背景があります。
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ケアきょう求人・転職の無料相談ケアマネの資格に将来性はあるのか?
ケアマネの資格に将来性はあるのか、以下のような疑問とともに解説します。
- ケアマネの処遇は改善される?
- 減少していた受験者数は増加している?
- ケアプラン作成の業務はAIに奪われる?
- ケアマネの国家資格化が検討されている?
- 高齢者の増加によりケアマネが足りなくなる?
時代の変化によりケアマネを取り巻く状況も変化していきます。
今後のケアマネの需要について、考えるきっかけにしてみてください。
ケアマネの処遇は改善される?
厚生労働省の発表によると、ケアマネの処遇について以下のように明記されています。
適切なケアマネジメントを実現するため、ケアマネジャーの処遇の改善等を通じた質の高いケアマネジャーの安定的な確保や、事務負担軽減等を通じたケアマネジャーが力を発揮できる環境の整備を図ることが必要である。ケアマネジャーを取り巻く環境や業務の変化を踏まえ、ケアマネジャーに求められる役割を明確化していくことも重要である。
次の表のとおり、2021年と2022年のケアマネの給与を比べると、アップしていることがわかります。
ケアマネの平均給与 | |
---|---|
2021年 | 348,030円 |
2022年 | 361,770円 |
今後も、ケアマネの処遇は徐々に改善していくことが予想されるでしょう。
減少していた受験者数は増加している?
先述のとおり、2018年を境に、ケアマネ試験の受験者数は大幅に減少しました。
しかし、その後は徐々にではありますが、以下のように受験者数と合格者数は増加しています。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|
2019年 | 41,049人 | 8,018人 | 19.5% | 2020年 | 46,415人 | 8,200人 | 17.7% | 2021年 | 54,290人 | 12,662人 | 23.3% | 2022年 | 54,406人 | 10,328人 | 19.0% | 2023年 | 56,532人 | 未発表 | 未発表 |
参考:これまでの試験の合格者数等|厚生労働省参考:第26回介護支援専門員実務研修受講試験・受験者数|厚生労働省
要介護高齢者の増加により、今後もケアマネの需要は高まるでしょう。
ケアプラン作成の業務はAIに奪われる?
今後ケアプラン作成において、AIが導入される可能性は高いでしょう。
ではAIが導入されれば、ケアマネは必要ないのかというと、そんなことはありません。
あくまでAIが行うのはケアプランの作成業務であり、そのほか利用者様のニーズの聞き取りや現状の把握、家族との連絡調整などは人間だけが行える仕事です。
そのためAIの発展によりケアマネの業務負担が減り、より人間しか行えない業務に集中できるでしょう。
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ケアマネは今後どうなるの?AIの影響は?現ケアマネや志望者が把握すべきキャリア選択肢
ケアマネの国家資格化が検討されている?
ケアマネは国家資格ではありませんが、日本介護支援専門協会はケアマネの国家資格化に向けた取り組みを行っていました。
参考:「国家資格」及び「民間技能審査事業認定制度による資格」に関する質問主意書・答弁書について|一般社団法人 日本介護支援専門協会
ケアマネは介護現場において必要な存在であり、国家資格化に向けた取り組みが行われるほど重要な資格です。
ケアマネの国家資格化については、以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。
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高齢者の増加によりケアマネが足りなくなる?
以下の表が示すように、ケアマネの人数はやや減少傾向です。
引用:居宅介護支援事業所に従事するケアマネジャーの従業者数等|厚生労働省
しかし、日本の高齢化率は今後も増加し、要介護高齢者も増えていくことが予想されています。
そのため介護職不足同様に、ケアマネ不足も懸念されています。
介護保険制度の議論の中でも、ケアマネの処遇や働く環境の改善の必要性が挙がっているため、今後もケアマネの需要は高まっていくでしょう。
ケアマネ取得前に知っておきたいこと
ケアマネの資格取得前に知っておきたいことを、以下4つの項目に分けて紹介します。
- ケアマネ資格を取得するメリット
- ケアマネ資格を取得するデメリット
- ケアマネに向いている人
- ケアマネに向かない人
これからケアマネを目指す人にとって参考になる内容なので、ぜひご覧ください。
ケアマネ資格を取得するメリット
ケアマネの資格を取得すると、以下のようなメリットがあります。
- 介護職に比べて体力的負担が少ない
- 給与アップが見込める
- 転職で有利になる
ケアマネは夜勤がなく、実際に利用者様に介護するわけではないので、介護職と比べると体力的な負担は減ります。
また資格取得による給与アップや、ケアマネの経験が転職時のキャリアアップにもつながるでしょう。
ケアマネ資格を取得するデメリット
ケアマネの資格取得のデメリットは、以下のとおりです。
- 利用者様やご家族などとのやりとりを負担に感じる可能性がある
- 更新研修の手間や費用がかかる
- 時間外でも仕事をしなければいけない場合がある
ケアマネは介護をするわけではないので体力的負担が少ないですが、他人とのコミュニケションが多く、精神的に疲れる場面が多くなります。
また、利用者様やご家族の都合にあわせなければいけない場合、時間外での出勤を余儀なくされる可能性もあります。
また、ケアマネ資格は5年ごとの更新制で、その都度手間や費用がかかることもデメリットです。
ケアマネに向いている人
ケアマネは、以下のような人に向いています。
- コミュニケーションが好きな人
- マルチタスクをこなせる人
- 予定管理がうまい人
ケアマネは利用者様やご家族と、介護施設や医療機関を結ぶ仲介役のため、さまざまな方々とコミュニケーションを取る必要があります。
そのため、人と話すのが好きな人は、ケアマネに向いているでしょう。
ケアプラン作成や各事業所への訪問など、色々な仕事を行うため、マルチタスクをこなさなければいけません。
仕事をスムーズに進める必要もあるため、予定管理がうまい人もケアマネに向いています。
ケアマネに向かない人
ケアマネに向かない人は、以下のような人です。
- 自分のこだわりが強い人
- コミュニケーションが苦手な人
- 臨機応変に仕事を進められない人
ケアマネの業務であるケアプラン作成は、利用者様の立場になって利用者様のニーズを分析して、適切なサービス内容を組むことが大切です。
しかし、自分のこだわりが強く相手の立場に立てない人であれば、質の高いケアプランは作成できません。
またケアマネはさまざまな場面で多くの人と関わるため、コミュニケーションが苦手な人はケアマネには向いていないでしょう。
ケアマネに関するよくある質問
ケアマネに関するよくある質問は、以下の3つです。
- ケアマネは何をする仕事ですか?
- ケアマネの平均年収はいくらですか?
- ケアマネの資格はどのような流れで取得できますか?
それぞれわかりやすく回答しているので、ぜひ参考にしてください。
ケアマネは何をする仕事ですか?
ケアマネの主な仕事は、ケアプランを作成し利用者様の自立した生活をサポートすることです。
具体的には、利用者様の課題解決に必要な介護サービスを見極めてケアプランに組み込むことで、利用者様の生活をコーディネートします。
たとえば、自宅で生活している高齢者で掃除や洗濯、料理などの家事をメインで手伝ってほしい場合は、生活支援メインで訪問介護サービスを1日数時間導入します。
ケアマネの仕事内容については、動画でも解説しているので、ぜひご覧ください。
ケアマネの平均年収はいくらですか?
厚生労働省が発表したデータによると、ケアマネ(介護支援専門員)の平均給与は「365,180円」という結果でした。
介護職の平均給与は「322,550円」のため、ケアマネの資格を取得しキャリアチェンジすることで、給与アップも見込める可能性があります。
介護職からさらに給与アップを図りたい場合は、ケアマネの資格を取るのもひとつの選択肢と言えるでしょう。
ケアマネの資格はどのような流れで取得できますか?
ケアマネの資格取得までの流れは、次のとおりです。
- 介護の実務経験を積む
- 介護福祉士の資格を取得する
- その後5年の実務経験を積む
- ケアマネ試験に申し込む
- 試験に合格する
- 研修を受講し終了する
- 介護支援専門員の登録を行う
ケアマネになるまでの詳しい流れは、以下の記事でも解説しています。ぜひ参考にしてください。
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ケアマネージャーになるには?受験資格と取得までの流れを解説【現役ケアマネ監修】
まとめ
ケアマネの資格は廃止されるのではないかと、不安に感じた方もいるかもしれません。
ケアマネの資格は廃止されるどころか、今後も需要が高まり待遇や環境も改善されることが予想されています。
今現在ケアマネをされている方はもちろん、これからケアマネを目指す方も、本記事を参考にケアマネのメリットや将来性を知っていただき、自身のキャリアアップにつなげていってください。
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