ケアマネージャーになるには?受験資格と取得までの流れを解説【現役ケアマネ監修】

資格取得
2022/08/03

ケアマネージャーになるには、現場での実務経験を積むだけではなくいくつかのステップがあります。
試験に合格した後も研修を受講する必要があり、そこで初めてケアマネージャーとして活動することができます。

本記事では、無資格もしくは介護福祉士などの国家資格保持者がケアマネージャーになるまでの流れや、ケアマネージャー試験を受ける条件試験の内容などを解説しています。今後ケアマネージャーを目指す方はぜひ参考にしてみてください。

ケアマネージャーになるには?最短何年で取得可能?

ケアマネージャーをはじめ、介護福祉士など、介護系の資格は実務経験を要するものが多くあります。

ここでは、「未経験無資格」「介護福祉士の資格保有者」それぞれの場合で、最短何年でケアマネージャーになれるかをご紹介します。

未経験からケアマネージャーになるには?

無資格未経験からケアマネージャーを目指す場合は「最短で8年」かかります。
なぜなら、ケアマネージャーの受験資格が、介護福祉士を取得してからの実務経験として通算5年以上必要とされているからです。
そして、その介護福祉士を取得するまでに、実務者研修の受講および実務経験が3年は必要なので、「3年+5年=8年」となります。

まとめると、介護未経験で無資格からケアマネージャーになるには、以下のような流れが最短となります。

  1. 介護職員初任者研修を受講
  2. 実務者研修を受講
  3. 現場での実務経験を3年積む
  4. 介護福祉士国家試験を受験し合格
  5. その後さらに現場経験5年を積む
  6. ケアマネージャー試験を受験し合格
  7. ケアマネージャーの研修を受講

無資格未経験の場合は、ケアマネージャーのことは考えずにまずは介護福祉士の合格に全力を注ぐことをおすすめします。

介護福祉士がケアマネージャーになるには?

介護福祉士からケアマネージャーを目指す場合は、介護福祉士を取ってからの実務経験「5年必要」です。
介護福祉士を取得してから数年経っている場合は、すでに受験資格を満たしている場合があるので、一度確認してみましょう。

通算5年なので、間にブランクがあってもトータルで5年を満たしていれば問題ありません。
ただし、育児休業などの休業期間はカウントされないので、その点は注意しておいてください。

▼ケアきょう関連動画(該当部分→03:50 ケアマネジャー(介護支援専門員))

ケアマネージャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の受験資格と試験内容

ケアマネージャー試験の受験資格には、介護や医療現場などでの実務経験が必須です。

実務経験のパターンには大きく分けて2通りあり、「国家資格に基づく業務」もしくは「施設などでの相談援助業務」です。
それぞれの詳しい内容を解説していきます。

国家資格を持ってからの介護の実務経験は何年必要?

介護の代表的な国家資格「介護福祉士」の場合は、現場での実務経験が資格取得後から通算5年以上(900日以上)必要です。

介護福祉士以外も、以下のような国家資格に基づく実務経験も、ケアマネージャーの受験資格に該当します。

  • 医師
  • 歯科医師
  • 薬剤師
  • 保健師
  • 看護士
  • 准看護師
  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 社会福祉士
  • あん摩マッサージ指圧師
  • はり師
  • きゅう師
  • 義肢装具士
  • 言語聴覚士
  • 歯科衛生士
  • 視能訓練士
  • 柔道整復師
  • 精神保健福祉士
  • 栄養士
  • 管理栄養士

相談援助業務の実務経験は何年必要?

国家資格に基づく実務経験以外にも、以下のような相談援助業通算5年以上(900日以上)経験することで、ケアマネージャー試験を受験することができます。

相談援助業務とは、以下のような職業の業務です。

  • 生活相談員
  • 支援相談員
  • 相談支援専門員
  • 主任相談支援員

こちらの方が資格取得が必要ないため、介護福祉士を取得するルートより早くケアマネージャー試験を受けられるように感じられます。
しかし、生活相談員支援相談員などは社会福祉士の資格や福祉関係の実務経験が必要とされる場合も多くあります。
介護福祉士を取得するルートと同じくらいの期間、もしくは国家資格ルートよりも時間がかかる場合もあることは知っておきましょう。

ケアマネージャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の内容

ケアマネージャー試験の内容は、5つの選択肢から正しいものを複数選ぶマークシート方式が主です。
試験時間は120分間で、問題数は合計60問あります。

  • 介護支援分野から25問 (介護保険制度や要介護認定等の基礎知識など)
  • 保健医療福祉サービス分野から35問(保健医療サービスと福祉サービスの知識等)
  • 合計60問が出題

合格ラインは、各分野の正答率70%程が基準ですが、試験全体の結果によって補正されます。
確実に合格するためには、各分野で70%以上の正答率を目指すといいでしょう。
また、ケアマネージャー試験に関して、2015年と2018年に内容や受験資格などの変更がありました。

2015年の変更点

これまで指定の国家資格取得者については、問題の一部が免除されていましたが、2015年よりケアマネージャーの質の向上を目的に、問題の免除がなくなりました。
保有資格に関わらず、受験者全員が全ての問題を解くルールに統一されました。

2017年→2018年の変更点

2017年までは特に資格がなくても、介護の実務経験が10年以上あればケアマネージャーの試験を受験できました(初任者研修を持っている場合は5年以上)。
しかし、変更後は特定の国家資格に基づく業務、もしくは専門の相談援助業務に5年以上従事することが受験する条件となりました。

ケアマネージャーになるまでの7ステップを解説

ケアマネージャーとして業務をしていくには、7つのステップをクリアしていく必要があります。
これからケアマネージャーを目指す方は、ぜひ参考にしてみてください。

介護福祉士の資格取得

まずは、特定の国家資格を取得する必要があります。
今回は介護職からケアマネージャーになることを想定して、介護福祉士の資格取得を目指していきましょう。

ケアきょうでは介護福祉士国家試験専用のTwitterアカウントを開設しているので、介護福祉士を目指す際はぜひ参考にしてみてくださいね。
ケアきょう介護福祉士国家試験

通算5年の実務経験

介護福祉士の資格を取得したら、そこから通算5年以上(従事日数900日以上)介護の実務経験を積みます。
従事日数は申し込み時点で不足していても、試験の前日までに満たしていれば大丈夫です。
その場合は実務経験見込証明書という文書を提出すればよいとされています。

試験に必要な書類の提出

ケアマネージャー試験の受験に必要な書類は以下のようなものがあります(東京都の令和4年度の受験要項を参考)。

  • 受験申込書
  • 証明写真
  • 実務経験証明書(または見込証明書)
  • 実務経験証明書の内容確認等に必要な添付書類
  • 国家資格別の添付書類など

ケアマネージャーの試験は、現在住んでいる都道府県で受験します。
通常5〜7月に申し込みをしますが、各自治体によって若干の違いはあるので、4月に入った頃からご自分の自治体のホームページなどで確認しておきましょう。
「ケアマネ 試験 〇〇県」と検索すれば、すぐに確認することができます。

ケアマネージャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の合格

ケアマネージャーの試験(正式名称は介護支援専門員実務研修受講試験)は、毎年10月頃に1回行われます。

試験時間は120分で、問題数も60問ということで、220分で125問の介護福祉士の試験に比べると、一見負担が軽いように感じます。
しかし合格率は、介護福祉士が60〜70%台に対して、ケアマネージャーが20%とかなり低くなっています。

ケアマネージャー試験は試験問題は少ないですが、内容が難しいので、計画的な学習をしていく必要があります。

介護支援専門員実務研修の受講

ケアマネージャーになるには道のりは遠く、試験に合格した後さらに研修を受ける必要があります。

この研修では、ケアプランや介護保険制度の知識を合計87時間で学びます。
2016年までは44時間の研修でしたが、実務研修の充実を図ることで、より実践的能力を高めることを目的としています。
ここでしっかりとしたケアマネージャー業務の基礎を学ぶことができるので、安心して現場に立つことが可能となります。

▽ケアマネージャー実習の主な内容

研修形式 研修内容 研修時間
講義 ・介護保険制度の理念や現状について
・実習オリエンテーション
・ケアマネジメントにかかる法令等の理解
・地域包括ケアシステム及び社会資源
・ケアマネに必要な医療との連携及び他職種協働の意義
・人格の尊重及び権利擁護並びに介護支援専門員の倫理
・ケアマネジメントのプロセス
16時間
演習 ・ケアマネジメントの基本
・相談援助の専門職としての基本姿勢及び相談援助技術の基礎
・ケアマネジメントに必要な基礎知識及び技術
・実習の振り返り
・利用者、多くの種類の専門職等への説明及び合意
・介護支援専門員に求められるマネジメント
・サービス担当者会議の意義及び進め方
(必要な基礎知識及び技術に追加)
・ケアマネジメントの展開
71時間
現場実習 基礎技術の実習 3日間
費用と時間 受講費用は61000円 87時間

介護支援専門員証の交付申請

実務研修が終わると、研修修了書を受け取ります。
その後は3ヶ月以内に、お住まいの都道府県にケアマネージャーの登録申請を行います。
すぐにケアマネージャーとして働く場合は、同時に介護支援専門員証の交付申請も行いましょう。

ケアマネ資格を取得後は定期的に更新が必要?

ケアマネージャーの資格を取得すると、その後5年ごとの更新研修が必要です。
研修内容は、ケアマネージャーとしての実務経験の有無によって異なります。

介護保険制度は3年ごとに改定しながら内容を更新しています。
その中で、介護保険制度のスペシャリストであるケアマネージャーの資質向上を図るためにも、更新研修は必要と言えます。

ケアマネージャーの仕事内容は?

では、実際にケアマネージャーになったらどういったことをするのでしょうか?
ここでは、ケアマネージャーの仕事内容をご紹介していきます。
ケアマネージャーを目指す方は、ぜひ参考にしてみてください。

▼ケアきょう関連動画

ケアプランの作成は?

利用者様が実際に介護サービスを受けるには、「ケアプラン」の作成が必須です。
ケアマネージャーは、利用者様やご家族の要望を聞きながら、サービスの内容だけでなく、目標達成に必要な頻度や社会資源の結びつけなど、その方に合ったケアプランを立案していきます。

モニタリングは?

ケアプランを作成し、それに沿ったサービスの提供が開始されたら、その後は経過観察とともに、必要であればケアプランの見直しが必要となります。
これを「モニタリング」といい、月に1回ほどの頻度で利用者様の状態ケアプラン内容をチェックします。

サービス担当者会議は?

ケアプラン作成時や更新時には、ケアプランのサービスに携わっている主治医や介護職、リハビリ職などを集めて「サービス担当者会議」を行います。
ケアマネージャーは、その会議でまとめ役を担っており、司会進行をしながらケアプランの内容を詰めていきます。

介護給付費の管理は?

介護保険サービスを利用すると介護給付費の管理が必要になります。
事務員が行う事業所もありますが、基本的にはケアマネージャーの仕事です。
確実に事業所に対して、介護給付が実施されるよう、国民健康保険団体連合会に、給付管理票などの必要書類を提出する必要があります。

要介護認定の申請は?

ケアマネージャーは、利用者様の代わりに「要介護認定の申請」を自治体に行います。
この要介護認定の申請をしないと、介護サービスを受けることができません。
また、介護保険の申請や更新を代行する場合もあります。

社会資源の活用は?

ケアマネージャーは、ケアプラン作成時にサービス担当になった事業所などと積極的に連絡を取り合い、利用者様やご家族の相談内容を共有しておくことが大切です。
また、利用者様の課題解決や目標達成のために必要な社会資源(さまざまなサービスのこと)には、どのようなものがあるかリサーチしておくことも重要な役割と言えるでしょう。

居宅ケアマネと施設ケアマネの違いは?

居宅ケアマネは、居宅介護支援事業所に所属しながら在宅で介護サービスを利用する方を支援し、施設ケアマネは、介護施設に入居し生活されている方を支援します。
利用者様の自宅に伺ったり、利用されている介護サービス事業所への訪問など、基本的に外出していることが多い仕事です。

一方の施設ケアマネは、施設で生活されている方のみを担当しています。
ケース訪問といって、施設に入居を検討されている方の面談にいくことは時々ありますが、基本施設から出ることはあまりありません。
また、施設ケアマネの場合は、事務仕事や現場の介護業務と兼任するといった形を取っている事業所が多いです。

ケアマネージャーのやりがいや魅力は何?

ここまでご紹介したケアマネージャーになるまでの流れや、仕事内容だけを見ると、「大変そう」「忙しそう」「ストレス溜まりそう」と思う方もいるでしょう。
決してマイナスなことばかりではないケアマネージャーという仕事の、やりがい魅力をご紹介していきます。

利用者様が幸せになる?

ケアマネージャーの主な仕事であるケアプランの作成。
この中には、利用者様やご家族の願いが詰まっています。

だからこそ、ケアプランの内容によって利用者様の状態が良くなった時には大きなやりがいを感じます。
例えば、ケアプランのサービス内容によって歩けなかった方が歩けるようになったり、食事量が戻り体調が良くなり元気になることもあります。

改善が難しいケースもありますが、その中でも利用者様の課題が解決し目標が達成した時の喜びは最高に嬉しいものです。

仕事の継続性は?

ケアマネージャーは、年齢を重ねても継続しやすい仕事と言えます。
居宅ケアマネであれば、自分で連絡をして日程調整をしながら訪問するので、空いた時間で書類の作業などができます。

また、朝から夕方までの仕事で夜勤もなく、事務作業がメインとなるので体力的に負担も少ない仕事です。
ケアマネージャーの平均年齢が高めな理由は、こういった年齢を重ねても続けやすい仕事内容にあるのでしょう。

人生経験が長いと有利?

ケアプラン作成には、介護に関する知識はもちろん必要ですが、それ以上にケアマネージャー自身の人間性や経験も重要になります。

なぜなら、どれだけ知識があっても、利用者様に寄り添えないと良いケアプランは作ることができません。
色々なことを経験し、柔軟な価値観を持っていることは、ケアマネージャーにとって大切です。
体力仕事がメインの介護の仕事において、年齢を重ねることが逆に有利に働く仕事は珍しいと言えるでしょう。

まとめ

今回は、「ケアマネージャーになるには?」ということをテーマに解説してきました。

ケアマネージャーになるには、介護福祉士など特定の国家資格を持っている方であれば最短で5年かかり、無資格の場合は8年かかります。
その間に研修などもあり、資格を取得し実際に働くまでにかなりの期間を要しますが、その分年齢を重ねても、肉体的負担が少なく継続しやすい仕事です。

また、今後の超高齢化社会となる日本において、介護士同様、ケアマネージャーの需要も高まることが予想されます。
ケアマネージャーを目指している方は、受験資格を満たすとともに、今のうちから受験勉強や、ケアマネージャーの仕事の肝である介護保険についても少しずつ学んでおくといいでしょう。

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