介護福祉士国家試験に合格すると得られるメリットは!?

資格取得
2023/03/22

「介護福祉士の資格を取るメリットはあるの?」
「資格を取ると何が変わるの?」

このように考える方も多いのではないでしょうか?

資格取得のメリットが分からないと、受験にチャレンジする気持ちも湧きませんよね。

本記事では、介護福祉士の資格取得方法や仕事内容、資格を持つことのメリットを紹介していきます。

これから介護福祉士の取得を考えている方には役立つ内容になっているので、ぜひご覧いただき参考にしてみてください。

介護福祉士とはどんな資格?

まずは多くの介護職が目指している「介護福祉士」の資格について、以下の項目にわけて解説していきます。

  • そもそもどんな資格?
  • 仕事内容は?
  • 資格取得によってできることは?

それぞれの疑問にお答えしていきます。

「介護福祉士」は国家資格!

介護福祉士の資格の具体的な内容について説明していきます。

介護福祉士は、1987年の社会福祉士及び介護福祉士法に基づいて制定されました。
かんたんに言うと、介護に関する専門職であることを証明する国家資格です。

資格取得者に求められているのは、介護が必要な高齢者や障害者への適切なサポートだけではありません。

一緒に働く介護職の方々や利用者様の家族などに、介護に関するアドバイスや指導をする姿勢も大切です。
すなわち介護現場を引っ張っていく存在と言えるでしょう。

介護現場で働くものを表す言葉として「介護士」と「介護福祉士」があります。

介護士介護現場で利用者様に介護サービスを提供すれば誰でも使用可能です。

一方で介護福祉士は、名称独占の国家資格のため、国家試験に合格後、登録を完了した方だけが、介護福祉士という名称で活動できます。

介護福祉士の仕事内容は?

介護福祉士の仕事内容は、主に以下の5つにわけられます。
それぞれの仕事内容の詳細についても紹介します。

仕事の種類 仕事内容
身体介助 ○ 食事や排泄、入浴などの介助
○ 歩行や寝返りのサポートなど
生活援助 ○ 掃除や洗濯など日常生活での身の回りの支援
○ 各種手続きのサポートや買い物代行など
相談業務 ○ 悩みや不安を聞くことによるメンタル面のサポート
○ 福祉用具の選定や介護の注意点に対するアドバイス
レクリエーション ○ ラジオ体操や脳トレなどを一緒に実施
○ お花見や誕生日会などのイベントの企画や運営
マネジメント ○ 介護のリーダー職として人員配置やシフトの管理
○ 勉強会や研修による職員への指導や教育

介護福祉士には、介護現場での仕事以外にも、レクリエーションの運営や職員への教育など多岐にわたることがわかります。

介護福祉士を取ることでできるようになることは?

先ほどの仕事内容に加えて、介護福祉士を取得すると医療的ケアができるようになります。

一定の研修は必要になりますが、医師の指導のもと経管栄養や喀痰吸引といった医療的ケアが可能です。

介護の現場では、医療的ケアを必要とする利用者様が増加傾向にあるため、医療的ケアができる介護福祉士は貴重な存在と言えます。

介護福祉士は介護のスペシャリストとして、介護以外の視点からも利用者様に関わっていく必要性が、今後ますます増していくでしょう。

介護福祉士は「意味がない」と言われがち?

介護福祉士の資格を取っても意味がない」という意見を耳にすることがあります。
おそらく、どこかで聞いたことがあるという方もいるでしょう。

ではなぜ「介護福祉士は意味がない」と言われるのでしょうか?
その理由や、意味がないという答えに対する回答、介護福祉士のメリットなどについても触れていきます。

介護福祉士が「意味がない」と言われる理由は

介護福祉士が意味がないと言われる理由には、以下のようなことが挙げられます。

  • 独占業務がない
  • 給料が増えない

先述のとおり、介護福祉士は名称独占資格ではありますが、業務独占ではないため介護福祉士しかできない仕事は存在しません。

そのため「資格を取る意味があるの?」という疑問が生まれるのでしょう。

また介護福祉士を取得しても、必ずしも給料が上がるわけではありません。

介護福祉士が「意味がない」への反論

では介護福祉士の資格は、本当に意味がないのでしょうか?
答えは、「意味がある」です。

独占業務がなくても、介護福祉士を取得するまでに学んだ知識は、介護現場で存分に発揮されるでしょう。

ほとんどの介護施設は、介護福祉士の資格を取得すれば給料は上がります。
これは国の調査でも証明されています。
給料が上がらない場合は、施設のルールに問題がある可能性が高いです。

給料面で不安な方は、あらかじめ介護福祉士を取得すると、どのように給料に反映されるか確認しておきましょう。

介護福祉士にはメリットがたくさん

介護福祉士が意味がないと言われることへの反論は、そのほかにも多くあります。

介護福祉士を取得することで、現場の仕事だけでなく、今後のキャリアの幅も大きく広がります。

たしかに資格を取っただけでは何も変わらないでしょう。
しかし、介護福祉士という資格を自分なりに活かすことで、意味が生まれさまざまなメリットをもたらしてくれるでしょう。

次の項では、介護福祉士を取得することのメリットについて触れていきます。

介護福祉士を取得することのメリット

介護福祉士を取得することのメリットは、主に以下の3つです。

  1. キャリアアップ・スキルアップに役に立つ
  2. 収入がアップする
  3. 転職で有利になる

それぞれの内容を詳しく解説します。

また、以下の動画でも介護福祉士を取得することのメリットについて紹介しているので、あわせてご覧ください。

メリット1

キャリアアップ・スキルアップに役に立つ

介護業界でキャリアアップしたい方や、介護職としてのスキルを高めたい方にとって、介護福祉士の資格取得は最適です。

なぜなら、介護福祉士を取得することで職場で信頼度が上がるからです。

同僚や上司から信頼が得られれば、介護のリーダー職を任される可能性も高くなるでしょう。
管理職といったより上位の役職へのステップにもなります。

また介護福祉士はケアマネジャーの資格取得につながり、キャリアの選択肢が広がります。
なおケアマネジャーの平均収入は、以下のように介護福祉士よりも高い傾向です。

資格 平均月収 平均年収
介護福祉士 334,510円 4,014,120円
ケアマネジャー 373,610円 4,483,320円

引用:厚生労働省|令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果

メリット2

収入がアップする

厚生労働省の調査によると、介護福祉士の月収は無資格の方と比べると、およそ5万円ほど高くなっています。

介護福祉士とそのほかの資格取得者の平均収入を比べたデータは、以下のとおりです。

資格 平均月収 平均年収
無資格 278,370円 3,340,440円
介護職員初任者研修 308,960円 3,707,520円
実務者研修 314,170円 3,770,040円
介護福祉士 334,510円 4,014,120円

引用:厚生労働省|令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果

年収にすると、およそ70万円近く多くなることを考えると、介護福祉士を取得するメリットは大きいと言えるでしょう。

メリット3

転職で有利になる

介護福祉士の資格を持っていることで、転職で有利になるでしょう。

なぜなら多くの介護施設は、人手不足に悩まされており、介護福祉士を取得している経験豊富な人材を必要としているからです。

またサービス提供体制強化加算を取得したい事業所の場合、介護福祉士の資格所有者の割合が重要です。

サービス提供体制強化加算とは
事業所に在籍している介護福祉士の割合に応じて評価される加算です

参考:厚生労働省|サービス提供体制強化加算

介護福祉士を優遇している事業もあり、転職によってキャリアアップや収入アップを実現しやすいことも大きなメリットです。

介護福祉士の資格の取り方

介護福祉士の資格の取り方について整理していきましょう。

介護福祉士の資格取得には、主に3つのルートがあることや試験に合格すること、資格取得にかかる費用などについて触れていきます。

今後介護福祉士の資格取得を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

資格取得するための主な3つのルート

介護福祉士の資格を取得するルートは、主に以下の3つのルートにわけられます。

  1. 実務経験ルート
  2. 養成施設ルート
  3. 福祉系高等学校ルート

実務経験ルート

実務経験ルートでは、以下いずれかの受験資格を満たすことが必要です。

  • 3年以上の実務経験 + 実務者研修の修了
  • 3年以上の実務経験 + 介護職員基礎研修 + 喀痰吸引等研修の修了
3年以上の実務経験とは
「従業期間3年(1095日以上)かつ従事日数540日以上」を指します

以上の条件を満たした上で、介護福祉士国家試験に合格する必要があります。

実務者研修については「実務者研修とは?介護福祉士を取るために必要?資格取得方法やメリットは【介護福祉士監修】」の記事を参考にしてみてください。

養成施設ルート

養成施設ルートでは、福祉系の大学や介護福祉士養成施設などを卒業してから試験に合格することが必要です。

2027年度からは、そういった養成施設を卒業しても、国家試験を受ける必要があるので注意が必要です。

福祉系高等学校ルート

福祉系の高校に入学、必要単位を取得して卒業した後に国家試験を受験するルートです。

特例高等学校の場合は、9か月以上の実務経験が必要なので注意が必要です。

それぞれのルートの詳しい内容は「介護福祉士を取ったときにどんなメリットが?介護以外でも生きる??」でも解説しているので、ぜひご覧ください。

介護福祉士国家試験に合格する

前述のいずれかのルートによって、介護福祉士国家試験の受験資格が得られます。
あとは試験に合格し登録を済ませれば、介護福祉士として活動できます。

国家試験といっても合格率は過去10年で6割〜7割を推移しており、決して狭き門ではないことがわかります。

介護福祉士の国家試験の概要や、おすすめの勉強法などは、後ほど詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

介護福祉士取得にかかる費用は?

介護福祉士の資格取得には、人によって異なりますが、主に以下のような費用がかかります。

項目 費用
実務者研修の受講 10万円ほど
介護福祉士の参考書や過去問など 1万円ほど
介護福祉士国家試験の受験料 18,380円(2023年3月現在)

職場によっては、資格取得支援制度を設けている場合もあるので、介護福祉士の資格取得を目指す方は、上司に相談してみるといいでしょう。

デメリットである費用も公的サポートで乗り越えられる

介護福祉士の資格を取得するまでに、およそ10万円以上の費用が必要で、決して安い金額ではありません。

ただ、このデメリットに思える費用面も、先ほどの職場の支援制度や、以下のような公的サポートで解消できます。

  • ハローワークの職業訓練
  • 自治体の資格取得支援制度

参考:厚生労働省「ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)」参考:東京都福祉保健局|資格取得に関する各種支援、修学資金貸付制度

いずれも申請が必要な制度なので、お住まいの地域で実施している支援について、役所に問い合わせてみましょう。

介護福祉士国家試験とは

最後に、介護福祉士国家試験の内容について解説します。

  • 試験日と合格発表日
  • 合格点と合格率
  • おすすめの対策方法

実際に試験を受ける前に、介護福祉士国家試験の全体像を把握してみてください。

介護福祉士国家試験の試験日と合格発表日は?

介護福祉士国家試験の試験日や合格発表日などは、以下のとおりです。
2023年1月に実施された第35回の内容

試験日 筆記試験:2023年1月29日(日)
実技試験:2023年3月5日(日)
試験地(35試験地) (筆記試験)
北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、福島県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県
(実技試験)
東京都、大阪府
受験申し込み期間 2022年8月10日(水)〜9月9日(金)
受験手数料 18,380円
合格発表 2023年3月24日(金曜日)14時

参考:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター

受験申し込み期間が1ヶ月しかないので、早めに必要書類を揃えて申し込める状態にしておきましょう。

介護福祉士国家試験の合格点

過去5年の介護福祉士国家試験の合格点は以下の通りです。(125点満点)

第30回 第31回 第32回 第33回 第34回
合格点 77点 72点 77点 75点 78点

また、過去5年の介護福祉士国家試験の合格率は以下の通りです。

第30回 第31回 第32回 第33回 第34回
受験者数(人) 92,654 94,610 84,032 84,483 83,082
合格者数(人) 65,574 69,736 58,745 59,975 60,099
合格率(%) 70.8 73.7 69.9 71.0 72.3

参考:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「合格発表について」

決して難しい試験ではありませんが、確実に合格できるよう計画的かつ効果的に学習を進めていきましょう。

おすすめの対策方法は?

介護福祉士の国家試験対策は、以下の方法がおすすめです。

  • 毎日10分でもコツコツ継続する
  • スキマ時間に一問一答を解く
  • 過去問を繰り返し行う

とくに過去問の繰り返し学習は効果的です。
なぜなら、介護福祉士の国家試験問題は、過去に出た問題を少し変えた似た問題が出題されるからです。

また、過去問をする際は答え合わせだけをするのではなく、解説も繰り返し確認することで、学びがより定着しやすくなります。

介護福祉士の勉強法については、以下の動画も参考にしてみてください。

また2023年度から、少し出題傾向が変わっています。
詳しくは「【介護福祉士国家試験】2023年より出題傾向が変わる?今年の出題傾向と受験対策を解説」で解説しているので、ぜひご覧ください。

まとめ:介護福祉士を取るとメリットたくさん!

本記事では、介護福祉士の資格を取るメリットや、介護福祉士国家試験のおすすめの勉強法などについて解説しました。

介護福祉士は「取得しても意味ない」という意見もある中で、以下のようなメリットがあります。

  • キャリアアップ・スキルアップに役に立つ
  • 収入がアップする
  • 転職で有利になる

まとめると、介護福祉士を取得することで、キャリアと収入アップが実現し、どこの事業所に行っても求められる存在になれるでしょう。

介護福祉士を目指している方は、ぜひ本記事を参考に、効率的に資格取得を目指してみてください。

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