周囲にもいるかも?介護職員で発達障害の方へのサポート方法

業務支援
2022/01/28

発達障害の介護職

最近では、雑誌や新聞などでも多く取り上げられるようになった発達障害ですが、実は身近なものかもしれません。
ケアきょうにも、発達障害について多くの相談が寄せられています。

今回は、発達障害の特徴と、どのくらいの人が発達障害なのか。そして、発達障害の方への接し方を説明していきます。

発達障害はどんなものなのか?

まず、そもそも発達障害とはどのようなものなのでしょうか?
発達障害における大前提は、同じ障害を抱えていても、個人差がとても大きいということです。

「自分は当てはまらないから違う」「そもそも知らなかった」といった理由から、大人でも自分が発達障害だと気が付かずに過ごしている方もいるのが特徴です。

ですから、これからお話しする内容も人によっては程度が異なるといったことや、重複している場合がありますので、その点は留意していただければと思います。

発達障害の定義ですが「発達障碍者支援法」によると、このように定義されています。

自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの

つまり、最近耳にしやすいADHD、自閉症、アスペルガー症候群、学習障害のいずれも「発達障害」と分類されるものです。
こちらの図に書かれているすべてが「発達障害」に含まれるということです。


国立障がい者リハビリテーションセンターより
こちらの図に書かれていた3つの障害に関して紹介します。
今回紹介する以外にも、発達障害は様々ですので注意しましょう。

自閉症

特徴としては、イギリスの精神科医ウィングが提唱した、ウィングの3つ組があります。

社会性の質の違い

1つ目が社会性の質の違い
周囲の人とかかわるときに適切にふるまうことができず、関係を築いたり、維持することが難しい。

コミュニケーションの質の違い

2つ目がコミュニケーションの質の違い
相手の言ってることや、感じていることを理解することが難しい。
また、自分の言いたいことや感じていることを相手に伝えることが難しい。

想像力の質の違い

3つ目が想像力の質の違い
自分の予想していたこと以外の出来事への対応が難しい。
「こだわりが強い」という表現もあります。

周囲から見ると

  • グループでの業務・活動が苦手
  • やり取りがうまくかみ合わない
  • 自己流で物事を進めたがる

という特徴があると思います。

ADHD

ADHDとは、Attention-deficit(注意欠陥) hyperactivity disorder(多動性障害)の二つを足し合わせたものです。
最近、テレビや書籍でも取り上げられる回数が特に多いものです。
タイプとしては、不注意優勢型、多動・衝動優位型、混合型の三つに分けられます。

不注意優勢型

不注意優勢型ですが、いわゆる「うっかり」間違いが多いタイプです。
忘れ物や約束を忘れることが、普通の人に比べて多い、うっかりの度合いが大きいということがあります。
また、気がそれやすいので、長時間集中し続けることが苦手、整理整頓が苦手ということがあります。

多動・衝動優位型

次に多動・衝動優位型に関してです。
ひとつの物事にじっくり取り組むこと、ひとつの場所にじっと留まることが苦手です。
つい貧乏ゆすりをしたり、じっとしていても内心落ち着かないということがあるようです。
また、気持ちのコントロールが苦手で、かっとなって言い返す、後先考えずに思ったことを話してしまうこともあります。

混合型

最後に混合型です。
これは、これまでの不注意優勢型と多動・衝動優位型の両方の特徴を持つ人のことを指しています。

学習障害

学習障害と聞くと、学校の勉強が苦手な人、知的障害と思うかもしれませんが、異なるようです。
しかし、学習障害の人は全体的には理解度に遅れがないのですが、「読む」「書く」「計算」などの、特定の課題の学習に困難がある方を指します。
理解度が遅れない点で、知的障害とは異なります。

読み書きの障害に関しては、流暢に読むことができない・正確に読むことができないという障害です。
計算の障害に関しては、簡単な数字や記号が理解できない、数字の大小が分からない、グラフや図形を理解できない、といったことがあるようです。

どのくらい発達障害の人はいるのか?

では、こういった発達障害の人はどのくらいいるのでしょうか?
発達障害自体が、1970年代以降に日本に入ってきた概念で、まだまだ十分に調査が進んでいないのが現状です。

しかしながら、さまざまなデータを見ると意外と多そうです。
文部科学省が2012年に発表した調査によると、全国の公立小中学校の通常学校に通う児童・生徒のうち、発達障害の可能性があるのは6.5%だったそうです。

つまり、クラスに2人くらいはいる計算になります。
全人口の6.5%となれば、日本人のうち780万人が発達障害となります。
この数字は医師による診断ではありませんが、そのように見える人が多いことは分かります。

また、実際に学習障害と診断された児童の数は平成18年~25年の間で4倍にも増加したといわれています。

このように見てみると、私たちが思っている以上に、実は発達障害の人は多く、診断を受けていない人も相当数いるということが分かります。

仲間にいた場合の対処方法

では、発達障害の人が職場にいた場合どうすればいいのでしょうか?

まず、大前提として「今のその人の状態をそのまま受け入れる」ということが大切です。
発達障害は、生まれ持った性質で「頑張って変えられる」ものではありません。
苦手を克服するように強制したとしても、うつ病などを引き起こす原因になってしまします。

ですから、基本方針としては、その人の特性を受け入れ、その人が実力を発揮できるように環境を整えるという発想がとても大切です。

診断されていない人の対応方法

また、これまでお話しした通りに、本人が気付いていないということも多いです。
一生懸命やっているができない、という状況に、本人も困惑していることがあります。

気がついていない人に対しては、
・真面目さや努力を評価する
・事実をもとに何か要因があるのでは?と伝える
という風にしましょう。
一生懸命やっているのに、うまくいかない原因を一緒に探す形で接しましょう。

診断されている人の対応方法

それでは、実際に発達障害と診断されていたり、自覚している場合はどうすればいいでしょうか?
心のサポートも大切ですが、情報の伝え方に関して、今回は取り上げてみます。

情報の使え方で大切なことはこちらです。

  1. 単純で、分かりやすいものにする
  2. 伝える時は形に残す
  3. 何度も情報を伝える
  4. 方針変更があった場合も、しっかり伝える

単純で分かりやすいものにする

  • 気が散るので、必要以上の情報を伝えない
  • 細かい点も気になるので、できる限り手順などを細かく伝える
  • 理解しやすいように、箇条書きで伝える

ことが大切です。
オブラートに包まず、ストレートに伝わるようにしましょう。

伝える時は、形に残す

  • 口頭だけでなく、メモに残す
  • メモに文字だけでなくイラストを加える

等をするとよいと思います。

何度も情報を伝える

一度では分からないという人や、こだわりが強く、一度では納得できない人がいるため、何度も情報を伝えましょう。

方針変更があった場合も、しっかり伝える

発達障害の人は、記憶力が良く、一貫性がないことを嫌う傾向があります。
信頼を得てスムーズに仕事を進めるためにも、以前から方針が変わったことは、理由とともに伝えるようにしましょう。

また、他の方と異なる方法で仕事をしていた場合ですが、危険がない場合は、あまり注意しなくても問題ないかもしれません。
もちろん、危険がある場合などは、理由とともに正しい方法を伝える必要があります。
しかし、自己流で仕事が出来、危険がないのであれば、特段気にする必要はないかもしれません。

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