あなたの施設は大丈夫?介護職員の長時間労働の実態
皆さんは、夜勤やっていますでしょうか?手当がついたり、正社員になる条件だったりで、介護職員には身近な勤務の一つですね。
しかし、長時間勤務や一人に負担が集中したりと、不安になる声も多く聞きます。そこで、今回は夜勤を交えた介護職員の長時間労働の実態とその対策をお送りします。
長時間労働の代名詞?夜勤実態
夜勤のシフトは、特に介護業界の人手不足の煽りを受けています。
調査によると、6割以上の介護施設が、16時間以上勤務する2交代制の夜勤シフトを取り入れていいます。
職員の負担を考えれば、例えば早出・日勤・夜勤のような3交代制シフトが望ましいとされていますが、それを実行しようとすれば人手・人件費が多く必要になり、経営を圧迫することになります。
施設によっては、人手不足により、日勤はパート中心、夜勤は正社員という風にわかれている施設も多いです。日勤の利用者さんの状況把握がしにくい状態では、夜勤の介護職は不安を抱えながらの夜勤になったり、精神的にも負担となります。
夜勤回数
2019年の調査では、2交代制を取っている施設の平均夜勤回数を調べると、月4.5回以上という人が43%に上ったそうです。
2015年においては、30%だったことを踏まえると、徐々に介護職員の労働環境が苛酷になってきていることがうかがえます。
夜勤の回数が多くなると、体調面でも管理がしにくくなります。特に中高年の職員は、体内時計が正常に保てなくなり、睡眠障害や、酷いときには自律神経失調症などになることもあるそうです。
勤務体制は
1フロア、1ユニットに対する職員の配置体制は図の通り、62%が1人以下の人数で配置されています。
また、小規模な施設、GHや小多機などでは、すべての職場が1人体制となっていたり、仮眠はおろか、休憩すらまともに取ることができなかったりもします。
この休憩時間をまともに取れない問題ですが、たとえ、休息が取れていたとしても、何かが起きた際にすぐに対応しないといけない状況は、厚労省が労働時間と認識する通知を出しています。
そのため、16時間夜勤の2交替制の施設では、2時間の休憩時間も結局は労働時間になっており、18時間が実質の労働時間となることもありうるということです。
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ケアきょう求人・転職の無料相談夜勤のルール、法律違反なルールは?
では、夜勤にまつわる疑問についてです。
皆さんから多く聞かれる質問は
- 夜勤で睡眠や休憩が取れないのは法律違反?
- 1ヵ月の夜勤回数は法律で決まってるの?
- ワンオペ介護って違法?
- 夜勤手当はどれだけ貰えればいい?
などがあります。
夜勤で睡眠や休憩が取れないのは法律違反?
まず、睡眠時間に関してですが、法律的には取れなくても問題となることはありません。しかし、休憩に関しては以下のように労働基準法で取り決められています。
労働基準法第34条 第1項
使用者は、労働時間が6時間を超える場合には45分以上、8時間を超える場合には60分以上の休憩時間を労働者に与えなければなりません。
つまり、16時間夜勤の場合は、1時間以上は休憩を取れる必要があります。さらに
労働基準法第34条 第3項
使用者は、休憩時間を自由に利用させなければいけない。
という決まりもあります。ワンオペだったりすると、自由に利用することはほぼ不可能だと思います。ですので、厳密に言うと夜勤中の1時間の休憩時間は法律で言うところの休憩時間には当たらず、つまりは法律違反である、と言うことも出来るのかもしれません。 ただ残念ながら実際の夜勤現場では「それが当たり前だと思ってと半ばあきらめている」という場合がほとんどだと思います。
1ヵ月の夜勤回数は法律で決まってるの?
規定の労働時間内であれば、夜勤の回数に決まりはありません。
ワンオペ介護って違法?
実際のところ、利用者の数に対するハッキリとした夜勤人員配置基準が設定されているのは、介護老人福祉施設(特養)と短期入所生活介護(ショートステイ)だけです。また、夜勤加算という加算を受けるための人員配置基準は設定されていますが、十分に配置基準が多いわけではないのが現状です。
また、利用者の状態や施設構造などによって実質的なワンオペ、となることも多々ある模様です。
夜勤手当はどれだけ貰えればいい?
夜勤手当は、時間外労働と深夜労働の手当が最低限取れていれば法律的には問題ありません。
まず、時間外労働は、1日8時間、週40時間を超えた労働に支払われるお金です。
また、深夜労働手当は、22時~05時までの労働に支払われるお金のことです
それぞれ、
- 時間外労働は、1.25倍
- 深夜労働は、1.25倍
- 両方いっぺんなら約1.5倍
基礎時給にかけて支払われる必要があります。
労働基準法違反だったらどうする?
職場の管理職に相談する
何はともあれ、最も身近な上司である職場の管理職に相談してみましょう。ただ、ある程度大きな会社になると、その管理職も所詮同じ雇われの身といった場合もあると思います。そうなると相談をしてもあまり意味が無い場合もあるかもしれません。
労働基準監督署に相談・申告する
管理職に相談しても駄目だった場合、いよいよ労働基準監督署に相談、申告しないといけない場合もあるかと思います。相談の方法は
- メールでの相談
- 電話での相談
- 直接訪問しての相談
などがあります。
なお、「申告」とは、「相談」よりもさらに具体的な違法行為の事実を伝えて、何らかの対処を要求することをいいます。
転職する
それでも駄目な時は、思い切って転職するのも一つの方法です。
まとめ
介護の仕事は、人が人と関わる仕事ですので、想定外の様々な状況に出くわすこともたくさんあると思います。そんな仕事だからこそ、自分が働いている職場環境について、しっかりとした知識を持っておくということは、自分を守ることにもなり、さらには職場そのものを守ることにもつながっていきます。
なにか疑問に思うことがあれば、自分一人で抱え込まずに、職場の上司や仲間に相談していくことが大切です。介護職は社会から必要とされている仕事です。長く続けていけるためにも、より良い職場環境で働きたいものですよね。
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