認定介護福祉士とは?試験はある?認定介護福祉士の定義から資格取得方法まで徹底解説!

資格取得
2022/01/11

1. 認定介護福祉士とは

介護福祉士の上位資格として、「一般社団法人認定介護福祉士認証・認定機構」が2015年12月から認証・認定を開始した民間資格になります。

1.1. 認定介護福祉士の定義

在宅・施設系サービスを問わず、様々な利用者や居住環境・サービス提供の場に対応を行い、質の高い介護実践やサービスのマネジメント、介護と医療の連携や地域包括ケアシステム等に対して、幅広い考え方や知識、技術等を認定介護福祉士養成研修で知識を習得した介護福祉士のことです。

1.2. 認定介護福祉士の目的

介護福祉士は、資質向上の責務が課せられていることから、今後は、キャリアパスが重要になっていきます。認定介護福祉士は、介護福祉士を取得してからも、継続的な教育機会の提供、資質の向上等、また、社会の要請に応えていくことを目的につくられた資格です。

1.3. 認定介護福祉士の役割

これまでの経験や習得した幅広い知識等を活用し、利用者や他職種・地域等と幅広く、関わることや介護職の支援を担っていくことになります。

2. 介護福祉士と何が違うの?

2.1. 資格の種類の違い

介護福祉士は国家資格ですが、認定介護福祉士は民間資格です。 介護福祉士は国家試験があり、合格しなければ資格取得となりませんが、認定介護福祉士は試験がなく、養成研修を受講し、修了・申請・受理されれば資格取得となります。

2.2. 仕事内容の違い

認定介護福祉士は、介護職員やリーダー職等へのサービスの質向上を指導する役割や介護福祉士のリーダーとして看護やリハビリ職、ソーシャルワーカー等の他職種との連携やコミュニケーションを図る、中心的な役割を求められており、直接的な介護業務は少なくなっていく可能性があります。

2.3. 資格を取得するまでに必要な実務経験年数の違い

介護福祉士になるには、介護現場等での実務経験が3年必要です。認定介護福祉士は介護福祉士になってから、5年以上の実務経験が必要です。実務経験後、認定介護福祉士養成研修の受講が必須です。 カリキュラムは科目毎にスケジュールが組まれており、1年半程度時間を要するのが現状です。

2.4. 資格を取得した時の待遇の違い

認定介護福祉士の資格を取得したことで、待遇面がよくなるかというと、現状では、明確ではありません。 現在は資格取得者も少なく、世間的認知もまだまだです。今後の待遇は認定介護福祉士の資格取得をされた方々が、期待されている中核的な役割を担えるかどうか?で変わってくると思います。役割を担うことで認定介護福祉士が世の中に認められ、資格が必要だと浸透するかどうかで決まってくると思われます。この先、まだまだ不明瞭なことも多いので、焦って資格取得をする必要はないと思われます。

2.5. 登録者数の違い

登録者数は介護福祉士が2017年で約155万に対し、認定介護福祉士は2017年で約28人と少ないのが現状です。

3. 認定介護福祉士になるメリット

3.1. より責任のある役職に就くことが出来る

認定介護福祉士になると上位職に就いて仕事をすることが可能になります。認定介護福祉士は介護職のリーダーよりも、責任のある立場になり、教育・マネジメントを行うことにより、サービスの質向上を遂行する役割を担います。**見方を変えると経営者的な立場になります。**サービスの質の向上と高いレベルのサービスの創出を目指す、やりがいのある環境で介護サービスに携われるメリットがあります。

3.2. ほかの職種に触れる機会が増える

認定介護福祉士は、医師・看護師・理学療法士等の医療職との他職種連携や協働を担う立場として、介護サービスを提供する立場になります。よって、必然的に他職種と意見や連携を行うことが増えることになります。

3.3. 介護の知識や技術が上がる

認定介護福祉士は、他職種(医師・看護師・理学療法士等)と意見や連携を行うことにより、自身の知識が増え、新たな技術が習得できることになります。ひいては、認定介護福祉士自身が質の高いサービスを提供できることになるでしょう。

3.4. 介護職の人材を育成することができる

認定介護福祉士は、介護職の人材育成を行う役割も担います。自身の技術を伝授すること、講義や演習を行う機会が増えると思います。 講義や演習を受けた人だけでなく、自身も人に教えることで成長できるので、介護業界全体の底上げに貢献することになります。

3.5. 給料アップが期待できる

認定介護福祉士は、人材の育成や、サービスの質向上やマネジメントを実施することを積み重ねることで、世間や所属先の法人に認められ、資格手当の支給や、上位の役職に就くことができ、自身の給与に反映されると思われます。

4. 認定介護福祉士に試験はあるの?認定介護福祉士になる方法

4.1. 認定介護福祉士資格の取得条件

認定介護福祉士になるには、

  • 介護福祉士の資格取得後、実務経験が5年以上
  • 認定介護福祉士養成研修を600時間の講義を受講

以上の条件が必要です。

4.2. 資格取得条件を持たない人はどうすれば良いの?

認定介護福祉士は、介護職のキャリアパス要件の最上級資格になります。 ゼロからスタートされる方は、介護職員初任者研修から、ステップアップ式で資格を取得していくことになります。

4.3. 認定介護福祉士資格を取得までの流れ

日本介護福祉会では、介護福祉士資格取得が前提の上、主条件を定めています。

  • 実務経験 7~8年以上
  • 介護職員同士(チーム)でのリーダーとしての実務経験
  • 在宅、施設での生活支援の経験を持っている。

上記条件を満たすことで、認定介護福祉士養成研修を受講し修了することで資格が得られるように定めています。

5.認定介護福祉士養成研修とは

5.1. 認定介護福祉士養成研修の内容

認定介護福祉士養成研修は

  • 認定介護福祉士養成研修Ⅰ類
  • 認定介護福祉士養成研修Ⅱ類

で構成され、全科目を修了するためには600時間(約1年半程度)必要です。

5.2. 認定介護福祉士養成研修Ⅰ類について

認定介護福祉士養成研修Ⅰ類の受講条件

  • 介護福祉士としての実務経験(5年以上)
    *ただし、科目によっては実務経験を問わない場合がある。
  • 現任研修受講による内省や学習習慣の獲得
    ・実務と現任研修の受講経験を通じて、的確な判断や対人理解に基づいた尊厳を支える。
    ・ケアについて、常に考え、内省する習慣、学習する習慣を獲得している。
    ・研修受講歴とレポートの提出によって研修期間が確認するようになっている。
    研修受講等 + レポート提出 or 試験
    →現任研修等 100時間以上
    →200時間以上で機構が認めた一定の研修については、レポート提出(or 試験)を免除する。
  • 介護職の小チーム(ユニット等、5~10名の介護職によるサービス提供チーム)のリーダー(ユニットリーダー、サービス提供責任者等)としての実務経験を有することが望ましい
  • 居宅、居住(施設)系サービス双方での生活支援の経験をもつことが望ましい

認定介護福祉士養成研修Ⅰ類のカリキュラム

  • 介護福祉士養成過程では学ばない新たな知識(医療、リハビリ、福祉用具と住環境、認知症、心理・社会的支援等)を習得し、他職種との連携・協働を含めた認定介護福祉士としての十分な介護実践力を完成させる。
  • 利用者の尊厳の保持や自立支援等のおける考えにたった介護過程の展開を、介護職の小チーム(ユニット等、5~10名の介護職によるサービス提供チーム)のリーダーに対して必要な知識を獲得する。

*認定介護福祉士養成研修Ⅰ類【計:345時間】

履修科目 領域 科目 時間数
認定介護福祉士養成研修導入 認定介護福祉士概論 15
医療に関する領域 疾患・障害等のある人への生活支援・連携Ⅰ 30
疾患・障害等のある人への生活支援・連携Ⅰ 30
リハビリテーションに関する領域 生活支援のための運動学 10
生活支援のためのリハビリ知識 20
自立に向けた生活をするための支援の実践 30
福祉用具と住環境に関する領域 福祉用具と住環境 30
認知症に関する領域 認知症のある人への生活支援・連携 30
心理・社会的支援の領域 心理的支援の知識技術 30
地域生活の継続と家族支援 30
生活支援・介護過程に関する領域 認定介護福祉士としての介護実践の視点 30
個別計画作成と記録の演習 30
自職場事例を用いた演習 30

5.3. 認定介護福祉士養成研修Ⅱ類について

認定介護福祉士養成研修Ⅱ類の受講条件

  • 認定介護福祉士養成研修Ⅰ類を終了
  • 介護職の小チーム(ユニット等、5~10名の介護職によるサービス提供チーム)のリーダー(ユニットリーダー、サービス提供責任者等)としての実務経験を有すること
  • 居宅、居住(施設)系サービス双方での生活支援の経験をもつことが望ましい

認定介護福祉士養成研修Ⅱ類のカリキュラム

  • Ⅰ類で学んだ知識をもって、根拠に基づく自立に向けた介護実践の指導をする力を獲得する。認定介護福祉士に必要な指導や判断力、考える力、根拠をつくりだす力、創意工夫する力等の基本的知識に基づいた応用力を養成する。サービス管理に必要なツールを整理、改善し、それらから根拠を導きだし、その根拠に基づいた指導をする力を獲得する。
  • 生活支援の視点から、地域の介護力を高める力を獲得する。介護サービスという特性のもと、チーム運営、サービス管理、人材育成等について必要な専門的な理論に基づき、チーム、サービス、人材マネジメントを実践し、利用者を中心とした地域づくり(地域マネジメント)に展開できる力を獲得する。

*認定介護福祉士養成研修Ⅱ類【計:255時間】

履修科目 領域 科目 時間数
医療に関する領域 疾患・障害等のある人への生活支援・連携Ⅲ 30
心理・社会的支援の領域 地域に対するプログラムの企画 30
マネジメントに関する領域 介護サービスの特性と求められるリーダーシップ、人的資源の管理 15
チームマネジメント 30
介護業務の標準化と質の管理 30
法令理解と組織運営 15
介護分野の人材育成と学習支援 15
自立に向けた介護実践の指導領域 応用的生活支援の展開と指導 60
地域における介護実践の展開 30

6.まとめ

認定介護福祉士になるには、介護福祉士資格取得後、実務経験が概ね7~8年以上や介護チームのリーダー経験、施設・在宅の両方での介護経験を有していることが必要です。 その上で、大学や介護福祉士養成校・社会福祉協議会・職能団体等が実施する認定介護福祉養成研修を受講します。研修内容は、生活支援・介護過程・リハビリに関する1類、自立に向けた敬語実践指導、マネジメントに関する2類、医療や社会的支援に関するものまで様々です。研修を終えて、認定介護福祉士認定委員会から認定を受けると、認定介護福祉士になることができます。

認定介護福祉士になるとより高いレベルでの介護職に携わることができます。その前には介護の実務経験を積んだり、知識を身につけたりしなければなりません。そのためには、自身の将来を見越して、職場選びも重要な要素になってきます。

また、介護職のキャリアパス要件における最上位の資格となります。資格取得まで時間はかかりますが、今後の介護業界全体のサービスの質向上を指導できる立場になり、自分自身のスキルアップになります。介護福祉士の資格をお持ちの方は、先々を見据えて、認定介護福祉士の資格取得を考えておくことも必要ではと思います。

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