え?本当?「介護で固定残業はブラック」本当なのか確認してみた
固定残業とは?
ケアきょうのご相談で、「固定残業が入っているとブラックなのか」という質問を度々いただきます。
今回は、そもそも固定残業とは何なのか?
また、どういったポイントに注意すれば良いのかについて解説していきます。
固定残業代とは
まず初めに、固定残業代とは何なのでしょうか?
通常、時間外労働をする場合は、その分の割増賃金を支払う必要があります。
一方で、固定残業は、残業の有無にかかわらず、毎月一定の残業時間を、あらかじめ残業をすると計算して残業代を支払う方法になっています。
例えば、20時間の固定残業代を定めていた場合、
0時間の残業でも、10時間の残業でも20時間の残業代が支払われます。
最近では、この固定残業を取り入れる企業や施設も、徐々に増えています。
一方で、悪用して、固定残業以上の残業をしているのに、残業代を支払わないことを行っている企業もありますので、注意が必要です。
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ケアきょう求人・転職の無料相談固定残業があるメリット
固定残業があることでの、メリットはなんでしょうか?
職員側のメリット
職員側のメリットを考えていきましょう。
まずは、不公平感をなくすことが出来るということ。
通常の残業代の支払いシステムだと、「仕事ができない人や残業をする人ほど、給料が多くなる」という構図が出来上がってしまいます。
事務仕事に時間がかかってしまう人ほどお金がもらえて、仕事を手早く終わらせられる人ほど損をするシステムです。
これだと不公平なシステムですが、その不公平さを防止できると言えそうです。
次に、モチベーションアップにつながるということ。
固定残業代は、残業をしていなくても、同額の給料が支払われます。
そのため、残業をしない人ほど、時間当たりの給料は高くなります。
ですので、短い時間で出来るだけ多くのお金を稼ぎたい人にとっては、嬉しいシステムです。
テキパキと仕事を進めるモチベーションにつながると言えるでしょう!
企業側のメリット
次に、企業側のメリットを考えてみます。
正直、企業側は、給料計算の手間が削減されることが、最も大きなメリットとなります。
おおよその仕事時間を把握できてさえいれば、固定残業を入れた方が楽になりそうです。
適正に法律を守るためには、それ相応の準備が必要です。
また、従業員のモチベーションが上がることは、企業側としても大きなメリットになります。
固定残業の気になる仕組み
固定残業の大まかなことが分かったところで、皆さんから頂く、良くある疑問について考えていきましょう。
①固定残業が導入されていたら、その分残業しなくてはいけないのか?
よくある疑問の一つ目は、「固定残業が導入されていたら、その分残業しなくてはいけないのか」ということ。
答えは、残業をしなくてもOKです。
そもそも、契約で定められた所定時間分の労働をすれば、問題がないと言えます。
また、先ほども言った通り、従業員がテキパキ仕事をするモチベーションアップも一つの狙いです。
ですから、強制的に残業時間を長くすることは、狙いとずれてしまうことになります。
②固定残業を越えた場合はどうなるのか?」
二つ目の疑問は、「固定残業を越えた場合はどうなるのか」ということ。
その答えは、超えた分は残業代が支払われるです。
固定残業で決められた時間までは、給料が一定となっています。
しかし、だからと言って、いくらでも残業させることが出来るというものではありません。
固定残業は、月単位で決められていることが多いと思います。
例えば、月に10時間が固定残業と定められていて、13時間残業して働いた場合は、3時間分の残業代が追加で支払われる必要があります!
③固定残業の上限は何時間までOKなのか?
三つ目の疑問は、「固定残業の上限は何時間までOKなのか」ということ。
答えは、特に決められていないです。
特に決められてはいませんが、36協定で設定できる上限から考えると、「30時間」と言われています。
労働基準法の規定を越えて、残業させるためには「36協定」というものを結ぶ必要があります。
しかし、36協定で定めることの出来る残業時間の上限は
- 1か月あたり45時間
- 1年あたり360時間
となっています。
そのため、360÷12=30となり、
平均すると1ヶ月あたり「30時間」が上限になるといわれています。
④固定残業を導入していたら、ブラック施設なのか?
最後の疑問は、「固定残業を導入していたら、ブラック施設なのか」ということ。
答えは、導入の有無で判断はできないです。
固定残業は、認められた制度です。
運用が適切であれば、ブラック施設と言うことはできません。
しっかりと、次で扱うポイントがクリアできていれば、ブラックとは言えないのではないでしょうか?
固定残業におけるチェックポイント
固定残業を導入している事業所が、制度を悪用していないかどうか確認するには、次の3つのチェックポイントがあります。
①固定残業代が明記されているか?
厚生労働省は、固定残業代を賃金に含める場合、
- 固定残業代を除いた基本給の額
- 固定残業代に関する労働時間数と金額の計算方法
- 固定残業代を越えた労働に対して、割増賃金を支払う旨
の3つを明示するように働きかけています。
しかしながら、「月給30万円(固定残業代5万円含む)」としか記載していない求人や、労働条件通知書もたびたび見かけます。
これは、不親切です。
5万円の固定残業代が、何時間分の残業を想定しているのか等が記載されている方が、親切な事業者と考えられます。
②固定残業代が割増賃金になっているか?
固定残業代も、通常の残業と同様に割増賃金になっている必要があります。
労働時間は、労働基準法で、
- 1日8時間まで
- 週40時間まで
と定められており、それ以上働く場合は、通常の時間当たり、給与の1.25倍を支払う必要があります。
親切な事業所においては、
- 1時間当たりの賃金
- 時間当たりの割増賃金
- 固定残業代の内訳
まで、説明できるようになっていたりします。
③固定残業時間を超えた分、残業代が支払われるか?
先ほども述べた通り、固定残業時間として定められた時間以上に残業をした場合は、残業代が別途支給されます。
固定残業時間内での残業なら、給料は変わりませんが、超えた分は申請・支給される必要があります。
しっかりと明記されている求人も、見かけることがあります。
そういった施設の方が、制度がしっかりしている可能性がありますので、チェックしておくと良いでしょう。
「固定残業が悪い」というより、固定残業を悪用する事業所がブラックということになります。
元々、目的のある制度ですから、制度の悪用は辞めてもらいたいものですね!
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