介護職の退職理由とは?円満退職のためのマナーも紹介します!

キャリアアップ
2022/01/11

介護職の退職理由って?離職に踏み切るきっかけとは?

自分の退職理由が正しいのか悩みは尽きないことでしょう。介護労働安定センターの「平成30年度介護労働実態調査」によると、介護職の前職退職理由として、以下の理由が報告されています。

第1位 職場の人間関係に問題があった

介護職に限ったことではないですが、職場の人間関係に悩んで退職するケースは多いです。介護の仕事はチームケアが基本であり、職員同士の協力がなければ、利用者の生活を支えることはできません。

一方で、考え方が一緒の人もいれば違う人もおり、職場のすべての人と円滑な人間関係を築くことは難しい部分があります。特に上司や先輩と意見が合わない場合、解決方法を見つけられず、退職に踏み切るきっかけ になりやすいです。

第2位 結婚・出産・妊娠・育児

結婚によって職場から自宅が遠く、通勤が困難となり、退職や転職に至る場合があります。

また結婚後は働き続けていても、入浴介助や利用者の移乗など身体に負担のかかる業務が多く、妊娠や出産のため、退職や休職を希望する人もいます。

加えて、入所施設の場合、早出、日勤、遅出、夜勤など変則勤務のため、出産後は日中を中心とした勤務の事業所へ転職を検討する人も多いです。

第3位 他によい仕事・職場があった

職場によって待遇が異なるため、資格を取得したことをきっかけに資格手当のある職場へ転職する人は多いです。また新規開設施設の場合、役職者として優遇されることがあるため、キャリアアップを目指して転職することもあります。

第4位 法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があった

理念や運営のあり方は法人の経営方針でもあるため、利用者に対して説明していることと、働く職員に対して行っていることにズレが生じると不満となって現れます。

不満の一番の例は、人員配置があげられます。人手が足りないといっても職員は増えず、利用者が増える、利用者の重症度が増すといったことで職員の不満は募り、退職に至るケースは多いです。

第5位 収入が少なかった

以前に比べて改善されてきたものの、他の業種に比べると仕事の大変さに対して給与が比例していない現状があります。国税庁の「平成30年分 民間給与実態統計調査」によると、全業種の平均年収が441万円に対して、医療・福祉は397万円と報告されており、平均年収より低いことがわかります。

以上が調査結果の上位理由です。その他は以下の理由があげられます。

休みが取りにくい

休日がないわけではないですが、夜勤を含めた変則勤務のため、まとまった休みが取りにくい現状があります。

特に入所施設の場合、24時間365日の介護が必要な利用者が大勢います。ゴールデンウイーク、盆休み、年末年始など長期休暇を取得する人が多い期間はうらやましく感じてしまうこともあるでしょう。

業務量が多く、身体がつらい

日中は入浴介助や利用者の移乗介助があります。夜勤の場合、業務自体は少なくても勤務時間が長いなど身体的に負担が大きい業務があります。

業務量が多い上、変則勤務でなかなかゆっくり休める日が少ないと疲労がたまることも多いです。

デイサービスにはデイサービスなりの大変さはありますが、日中勤務で夜はゆっくり休めることもあり、入所施設から退職してデイサービスや訪問介護へ転職を希望する人も多いです。

介護職の退職届の書き方とは?マナーについても解説!

退職する際はいきなり退職届を書くわけではありません。まず、退職願を直属の上司に提出します。

退職願は、すぐに退職できるものではなく、退職の意思を会社に伝える書類になります。

上司に提出し、法人内で退職願が受理されて退職日が決定されたら速やかに退職届を提出します。

退職願や退職届を書く場合、白無地または罫線入りの便せんを使用します。サイズはB5が一般的ですが、A4でも構いません。封筒も便せん同様に白無地のものを用意しましょう。

ペンは黒ボールペンで書きます。大切な書類のため、消せるボールペンは使用してはいけません。判子は三文判で問題ありません。シャチハタの使用は避けましょう。

どちらの書類にも一身上の理由により退職したい旨を記入しますが、書類の意味が異なるため、語尾に注意しましょう。退職願は、退職したい旨を伝えるものになるので、「退職いたしたく、お願い申し上げます」です。

反対に退職届は、退職が決まってから提出するものになるため、「退職いたします」となります。

退職を考えときは、第一に直属の上司に相談しましょう。相談によって、退職理由となっていた問題が解決し、退職しないという選択肢が出てくる可能性があります。

しかし相談しても解決できず、退職する場合は、会社の就業規則を確認しましょう。就業規則には、入職や入職してからのこと以外に退職時の規則について明記されています。

特に退職願は、会社によって時期が若干異なりますが、退職希望の●カ月前に提出しなければならないと細かく規定されています。円滑に退職するためにも必ず就業規則は確認しましょう。

職場に不満があるからといって就業規則を無視した退職願はマナー違反です。不満を理由に無断欠勤は社会人としての質を疑われてしまいます。わだかまりなく、退職するためには、就業規則というルールを守ることが大切です。

円満な介護職退職方法とは?引き留めへの上手な断り方って?

退職願や退職届に細かい退職理由を書くことはありませんが、上司へ退職願を提出する際に必ず聞かれるのが退職理由です。

多くの施設で人手不足が進んでいるため、引き留められることも多いでしょう。ここでは、具体的な退職理由と引き留められた際の上手な断り方について説明していきます。

退職理由は、職場の人間関係や待遇に不満を持っていてもそのまま伝えると悪口に聞こえしまい、よい印象を与えません。ネガティブな思いをポジティブな思いに変えて伝えることが基本です。

具体的な退職理由は以下のことがあげられます。

人間関係に悩み退職する場合

「●●さんの介護の行い方が嫌だった」「▲▲さんと一緒の勤務は負担が大きかった」など不満を口にしてはいけません。

「先輩の意見に流されてしまい、自分の意見が出せなかった」「周りのやり方と自分の仕事を比べてしまうことが多かった」など特定の人の名前を出さず、仕事の行い方に自分自身が疑問に思ったことを退職理由にしましょう。

業務量が多く、仕事がつらくて退職する場合

「仕事が大変だった」「仕事がつらかった」と大変だったことだけを伝えてしまうと、少しでも仕事が増えるとすぐに不満を持ち辞めてしまう人と思われてしまいます。またその後についてどのように考えたかが大切です。

仕事がつらくて辞めた場合であっても、

「自分に与えられた仕事は最後まで自分でやり遂げたいと思って今まで仕事に取り組んできたが、人を頼らなかった結果、体調を崩してしまいました。現在は、無理せず自分のペースで仕事を行うことで落ち着きましたが、今後が心配になり、退職を決めました。」

など、退職に至ったが、自分なりの解決方法を伝えることで相手の印象が変わります。

資格取得によりキャリアアップを目指して退職する場合

「資格を取得したため」で終わってしまうと、また新しい資格を取得したら辞めてしまう可能性があると思われてしまいます。資格を取得して自分はどのようなビジョンを持ったのかを説明しましょう。

「無資格、未経験から始めた介護の仕事でしたが、同僚や先輩方に支えられて介護支援専門員を取得することができました。
介護支援専門員の研修を受けて、困っている利用者の直接介護ではなく、介護支援専門員として今後も支えていきたいと思い、退職に至りました。
介護職として経験したことを利用者のアセスメントに役立て、安心して相談してもらえる介護支援専門員を目指してがんばっていきたいと思います。」

などより具体的な今後の方向性を伝えることが大切です。

続いて、引き留められた場合の上手な断り方は以下のことがあげられます。

必要な人材だと引き留められる

「必要な戦力だ」「私たちも利用者もあなたを頼りにしている」と上司からいわれると、お世辞でもうれしいでしょう。それで続けられるのであれば、続けても問題ありません。

しかし、褒められることとその職場で仕事を続けることは違います。評価してもらったことに対しては、感謝を伝え、自分の考えを説明しましょう。退職の意思をはっきり伝えることが大切です。

役職や待遇改善をいわれる

退職を願い出たところ、急に役職や待遇の改善をいわれても、信用は難しいことでしょう。

本当に役職につくのか否かもわかりません。提案してくれたことに対して感謝した上で退職の意思が固いことを伝えましょう。

後任が見つかるまで助けてほしい

人手不足はわかりますが、後任がいつ見つかるかも定かではないため、安易な返事はやめましょう。人手が足りないとズルズル退職を引き延ばすことはよいとはいえません。

自分が行っていた仕事を引き継げる人がいるのであればその人に対して引き継ぎを行います。ルーズな関係は周りの人にも迷惑をかける恐れがあります。

退職前までに後任が見つからない場合は、書面にまとめて誰にでも引き継げるように準備をしましょう。

退職は次への一歩

ネガティブなイメージを持たれる退職ですが、失敗に終わるか、成功するかは自分次第です。介護の仕事に疲れ切って、職場に不満を持ち、人間関係に悩んで辞めることはよいこととはいえません。

「石の上にも三年」ということわざがあります。つらいことや大変なことも我慢して続けていけば、いつか成し遂げられることを意味していますが、それでも限界はあります。体調を崩すまで我慢の必要はありません。

一方で不満のある職場であってもそこから学ぶものもあったはずです。「悪い職場だった」「二度と関わりたくない」と批判的な気持ちでは、学ぶこともできず、また同じことを繰り返す恐れがあります。

そこでできなかったからこそ、次につなげる何かを見つけてください。先輩のいいなりになり、自分の意見が持てなかったのであれば、新しい職場では自分の意思をはっきり持ち、仕事に臨みましょう。

頑張りすぎて体調を崩してしまったのであれば、次の職場では、周りに協力を仰いて支え合って仕事をしていくことも大切です。

どんな経験であっても悪い経験はありません。自分がやってきた介護から得るものが必ずあるはずです。経験をマイナスにするのも、プラスにするのも自分の行動や考え方次第です。

円満退職の秘訣は、事業所の悪口や他人を批判しないことです。伝え方次第で相手がもつ印象が異なります。前向きな発言を心がけましょう。

福祉業界は広いようで狭く、いろいろつながりがあります。退職して転職することでキャリアアップにつながることも多いです。経験を活かして輝く未来を手に入れましょう。

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