【まるわかり】介護福祉士国家試験とは?受験資格から対策まで徹底解説!!

資格取得
2022/01/11

先日の介護福祉士国家試験、「問題が難化した」との声が多く聞かれました。
「来年以降、介護福祉士試験、受けてみようかな」と考えた方も多いはず!
そこで本記事では、介護福祉士国家試験について、受験資格から対策まで徹底解説します!

1. これまでの受験者数推移

2017年、介護福祉士の国家試験の受験申し込みは、2016年度よりも半分に減少致しました。背景としては、実務経験3年以上は変わりませんが、 実務者研修を受講しなければ、受験資格を得ることができない ことが影響したと思われます。
これまでは、介護サービス等の現場で介護職として実務経験を重ねることで、介護福祉士の受験資格となりましたが、実務者研修修了が必須となったことで、現場でほぼ毎日、働きながら、自己負担で研修を受講することが負担になり、受験者が減った原因と言われています。
2016年度の受験者数は152,573人、2017年は76,323人と半数以下に減少しましたが、2018年は92,654人と約1万5千人程度、回復しています。

2. これまでの合格率推移

合格率は、2016年は57.9%と低い数値でしたが、2017年は72.1%、2018年は70.8%と 2年連続、70%を超えました。 特に2018年度は、インターネットやSNS等では、問題が難しかったというような、コメントもありませんでした。
介護福祉士実務者研修が浸透したこともあり、受講カリキュラムは試験問題に沿っており、それを学んでから受験することになるので、今後の合格率も70%以上など、それなりの割合になるのではないかと考えられます。

3. 介護福祉士には受験資格がある!

国家資格である介護福祉士の試験を受けるには、受験に際して、資格要件があります。
具体的には下記の4つのルートがあります。

3.1. 養成施設ルート

養成施設とは、介護福祉士を養成する施設のことであり、(厚生労働大臣指定の学校になります。)

  • 四年制大学
  • 短期大学
  • 専門学校

などの種類があります。
介護福祉士資格取得に必要な養成施設に通う期間は、学歴・卒業した学校の種類によって異なります。

  • 普通科の高校を卒業した場合 → 2年以上
  • 福祉系大学、社会福祉士、保育士養成施設を卒業した場合 → 1年以上

上記の期間、養成施設で学び、卒業することで資格要件となります。

3.2. 介護系高校ルート

福祉系高校の場合は、入学年度によって受験資格の内容が異なり、下記の要件になります。

  • 平成21年度以降に入学し、新カリキュラムを履修し卒業した方
  • 平成20年度以前に入学し、旧カリキュラムを履修し卒業した方(試験の際は、実技試験が必要。*但し、介護技術講習を受講された方は、実技試験が免除

3.3. 外国人ルート

EPA(経済連携協定)に基づき、

  • 一定の要件を満たして入国し、受け入れ施設において、介護福祉士の取得を目的とした研修を受けながら、就労することが必要であること
  • 介護等の業務に従事した期間が3年を超えることが受験資格の要件になります。

3.4. 実務経験ルート

必要経験年数について

従業期間3年(1,095日)以上、かつ従事日数540日以上

必要な資格について

介護職員実務者研修修了者

対象施設・対象とならない施設について

対象となる施設の具体的例は下記の通りです。
対象とならない施設は下記以外のものになります。

  • 児童福祉法関係の施設(知的障害者施設・自閉症児施設等)
  • 障害者総合支援法関係の施設(児童デイサービス・障害者支援施設等)
  • 老人福祉法、介護保険法関係の施設(通所介護・介護老人保健施設等)
  • 生活保護法関係の施設(救護施設・厚生施設)
  • その他の社会福祉事業等(地域福祉センター・ハンセン病療養所等)
  • 病院の病棟又は診療所
  • 介護等の便宜を供与する事業(高齢者や障害者を対象とし、主たる業務が介護等である施設)

対象職種・対象とならない職種について

対象となる職種

  • 介護職員
  • 介護従事者
  • 看護補助者
  • 看護助手等

など主たる業務が介護等の業務である者
対象とならない職種

  • 医師
  • 看護師(准)
  • 理学療法士等のセラピスト
  • 介護支援専門員
  • 調理員
  • 栄養士
  • 事務員
  • 運転士
  • 計画作成担当者

等の主たる業務が介護等の業務でない者

研修を修了せずに、受験資格を得る方法もある!?

「介護職員基礎研修」+「喀痰吸引等研修」で受験資格を取得する方法もあります。
介護職員基礎研修修了者は、2012年度末で廃止されていますが、修了者は、研修機関で、介護職員等による喀痰吸引研修を受講し、修了すれば受験資格を得ることができます。

4. 試験について網羅しよう!!

4.1. 筆記試験について

試験科目と問題数は?

合計 125問

試験科目 問題数
人間の尊厳と自立 2
人間関係とコミュニケーション 2
社会の理解 12
介護の基本 10
コミュニケーション技術 8
生活支援技術 26
介護過程 8
発達と老化の理解 8
認知症の理解 10
障害の理解 10
こころとからだのしくみ 12
医療的ケア 5
総合問題 12

試験時間は?

午前、午後に分かれ、合計220分になります。

  • 午前 10:00~11:50(110分)
  • 午後 13:45~15:35(110分)

問題例を見てみよう!

問題形式=マークシート方式(五肢択一)となっています。

問題例①

地域包括ケアシステムを支える互助の説明として、最も適切なものを一つ選びなさい。

  1. 所得保証を中心としたナショナルミニマムの確保
  2. 地域福祉向上のための住民の支え合い
  3. 市場サービスの購入
  4. 介護保険制度における介護サービスの利用
  5. 「高齢者虐待防止法」に基づく虐待への対応

答え)2

問題例②

Gさん(66歳 女性)は、1年前に脳梗塞を発症して、方麻痺となった。在宅復帰を目指し、介護老人保健施設に入所して、「家に帰れるように頑張らなくちゃ」と熱心に立位訓練に取り組んでいた。しかし、同居していた孫が3日前に訪れてから、「体調が悪い」と言って、閉じこもり、食事は半分も食べなくなった。傾聴ボランティアがGさんの居室を訪れると、「訓練しても帰るところがない」と泣いて話したという。
Gさんに対する介護福祉職の対応として、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 食事量を調整して、栄養指導を行う。
  2. 立位訓練を評価して、回復状況を把握する。
  3. 家族と調整して、退所後の住まいを整える。
  4. サービス担当者会議に孫を招集する。
  5. 傾聴ボランティアの情報を基に、本人の生活ニーズを確認する。

答え)5

4.2. 実技試験について

試験対象者は?

福祉系高卒ルート、経済連携協定(EPA)ルートの方で実技試験を選択した方のみが対象となります。

試験科目と問題数は?

介護技術・1事例

試験時間は?

受験者 一人につき5分

問題例を見てみよう!

問題例)

青木かおるさん(93歳)は下肢筋力が低下して杖を使用しています。立ち上がりと歩行に一部介助が必要です。
今、本人は居間で横になっています。青木さんは「窓の近くにある植木に水をやりたい」と言っています。
青木さんが窓の近くまで移動して、いすに座るまでの介護をして下さい。
青木さんは右利きです。青木さんの返事は、「はい」または、うなずくだけです。

4.3. 試験日程について確認しよう!

通年、筆記試験は1月の第4日曜日です。
第31回試験では

  • 筆記試験 2019年1月27日(日)
  • 実技試験 2019年3月 3日(日)

となっています。

4.4. 試験会場はどこ?

筆記試験会場は全国34都道府県となり、具体的な試験会場は、各都道府県に確認が必要です。

  • 北海道
  • 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、福島県
  • 群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県
  • 新潟県、石川県、岐阜県、静岡県、愛知県
  • 京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県
  • 鳥取県、島根県、岡山県、広島県
  • 香川県、愛媛県、高知県
  • 福岡県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県
  • 沖縄県

実技試験(2箇所)は、東京都、大阪府のみです。

4.5. 申し込み手順をチェック!!

通年6月下旬に「財団法人 社会福祉振興・試験センター」受験申し込み手続きの詳細がホームページ等で公示されます。受験希望者は申込書類を請求、請求手段として、インターネットの場合はホームページで必要事項を記入することで請求可能、また、郵便はがきで請求もできます。

  • 送付先:〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1丁目5番6号
  • 公益財団法人 社会福祉振興・試験センター

試験案内が届いたら、受験希望者は、実務経験証明書を勤めている事業所や過去、勤めていた事業所へ証明依頼を行い、必要事項を記入し、締切日までに郵送を行いましょう。

5. ズバリ!!合格基準点推移と合格ライン予想!

筆記試験の合格基準点の推移は、以下のようになっています。

回数 年度 合格率 合格基準点
第25回 2013年 64.4% 69点/120点
第26回 2014年 64.6% 68点/120点
第27回 2015年 61.0% 68点/120点
第28回 2016年 57.9% 71点/120点
第29回 2017年 72.1% 75点/125点
第30回 2018年 70.8% 77点/125点

第29回から、設問数が5問増えたことにより、総得点が125点にアップしています。
合格基準点は、総得点の60%程度(75点)を基準に補正されます。
予測としては、第31回試験では、総得点は75点~77点前後が合格ラインになると思われます。

6. 試験対策はどうやればいいの?

6.1. 筆記試験対策について

効果的な対策方法とは?

テキストや過去問題で勉強することが一般的です。
最近は過去問題集を買わなくても、無料アプリがあります。
受験対策講座の受講や、模擬試験の受験もお勧めします。

ポイントを伝授!

無理のない計画で勉強をする。
ストレスがかからない内容のテキストや過去問題集を選びましょう。

6.2. 実技試験対策について

効果的な対策方法とは?

出題基準として以下4項目を把握しておき、実技試験問題の予測をすることが大切です。

  • 「介護の原則」
    安全、安楽、自立支援、個人の尊厳が中心となり、転倒や転落の防止麻痺側の保護、意欲促進、コミュニケーションが評価となります。
  • 「健康状況の把握」
    利用者の外観や意識の理解、感染予防が評価となります。
  • 「環境整備」
    室内環境の管理とベッドメイキングが評価となります。
  • 「身体介護」
    正しい体位、車イスの正しい使用、ベッド上での移動が安全に行えるか、排せつ、更衣、入浴の介助等ができるかが評価となります。

ポイントを伝授!

実技試験の課題にはいくつか、ポイントやクリアするべき項目が決まっています。
試験の際に、課題を見たときにクリアすべき項目を正しく実践することが、重要になります。
家族や友人に要介護者の役をしてもらい、何度もシュミレーションすることが大切です。

7. 特別インタビュー!先輩の合格体験記コーナー

Aさん:参考書を使った勉強方法
テキストを流し読みして、なるべく理解するようにしました。(完全に覚えようとしないことが大事)
その後、テキストの「穴埋め問題」を口頭で、自分が答えられない問題は本文の箇所に戻って確認し、この内容を覚える
のち、もう一度、穴埋め問題を、はじめから解く、全問正解できるまで、同じことを繰り返しました。
そのうち、試験日が近くなるにつれ、今度は過去問題へ変更し、4~5年分を、最低3回は解きました。
もちろん100%は目指していません。合格基準の60%を目指すこと、問題の傾向に慣れること、
繰り返すことで、自分に知識を定着させました。この勉強法で私は、合格しました。

Bさん:短期間で効率よく勉強する方法
試験範囲が11科目あり、全てで得点を取らなければならないので、全科目を網羅する方法と要点をつかめるような手段はないか?と考えました。
私が選んだ手段は、受験対策講座を受講することでした。
資格試験のプロ達が、出題傾向を分析してくれて、合格に必要なポイントだけおさえてくれました。すごく効率が良かったです。
デメリットは受講費用がかかりました。でも、不合格であれば、また翌年となり、介護福祉士の資格手当がもらえなかったので、今となっては、十分な費用効果があったと思います。

8. 最後に、資格取得は給与UPに繋がるか?

現在、介護業界では、ほとんどの場合、必要となる資格は特には定められていません。(訪問介護のみ初任者研修修了者以上)
しかし、利用者に上質なサービスを提供する上では、資格は取得したいものです。経験がなくても、早い段階で取得できる資格として、介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修があります。
その後、3年以上の実務経験を得たのちには、国家資格である介護福祉士を目指すのは、知識のみならず、待遇の面でも良い選択でしょう。
資格を取ることで、1ヶ月あたり5,000円~10,000円の介護福祉士手当てや基本給の昇給を実施するという事業所も多くなっています。 介護福祉士の資格取得は、給与アップに直結しますので、ぜひ目指して見てください。
2019年10月には介護職員処遇改善加算の増額も見込まれています。、実務経験3年以上、若しくは、実務経験2年を超えた方は、実務者研修を受講する計画を立てて、その後介護福祉士の試験受験・合格を目指していきましょう!

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