【最新】機能訓練指導員ってどんな仕事?資格要件から研修まで徹底解説!

介護職仕事紹介
2022/01/11

1. そもそも、機能訓練指導員とは?

今後より介護の現場で重要な意味を持ってくる「機能訓練」。
機能訓練指導員とはデイサービスなどの介護福祉施設に必ず一人は配置することが義務付けられている職業です。
機能訓練指導員という資格があるわけではなく、医療やリハビリテーション業務などに従事する7つの国家資格のどれかを保有している人のみが機能訓練指導員として従事することを認められています。

今回は、機能訓練指導員の具体的な仕事内容について、ご紹介します。

1.1. 機能訓練指導員の仕事内容

機能訓練指導員はデイサービスなどの介護福祉施設などに通所もしくは入所している利用者が、現在の身体機能や精神機能を維持・向上できるようにサポートする役割を担っています。

  • 利用者一人一人に合わせた計画を立案し、機能訓練を行うことで、可能な限り身の回りのことを自分で行えるようにサポートします。
  • それぞれの利用者ごとの身体機能や精神機能、生活環境などを総合的に評価し、利用者本人や家族の意向も聞きながら計画を立てます。
  • 計画に基づき機能訓練を行い、3ヵ月ごとに再度評価を実施し、計画の修正を行っていきます。

多職種との連携を図りつつ、利用者や家族のニーズに応える重要な役割を担っているのです。

1.2. 機能訓練指導員のやりがい・大変さ

機能訓練指導員は比較的新しく設置された職業です。以前はデイケア(通所リハビリテーション)や介護老人保健施設などではリハビリテーションを受けることができていましたが、デイサービスなどでは機能訓練を受けることができませんでした。機能訓練指導員の配置が義務付けられたことにより、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリテーション専門職がいない介護福祉施設においても機能訓練を受けることができるようになったのです。そのため、より多くの人に、介護予防や機能維持のサポートを提供できるようになりました。

高齢者が自分で計画をたてて運動をすることは難しい場合が多いことが予想できます。機能訓練指導員が個人に合わせて計画を立案し機能訓練を行うことで、

  • 介護度が高くなるスピードを緩める
  • 利用者に合った自助具の選定を行うことで身体機能が低下しても身の回りのことを行える
  • 重介護の人も自分でできることが増える
  • 今できていることを維持することができる

など機能訓練指導員の役割は利用者の生活を快適にするためにも重要な職業といえます。

利用者や家族に寄り添い、目標に向かいサポートすることは大きなやりがいにもなります。その反面、個人個人の身体状況や精神状態、生活環境などを評価し、計画を立てることは容易ではありません。

また、維持期や慢性期とも呼ばれる介護分野においては、ルーティーン作業として機能訓練をこなすことも可能な場合があります。高いモチベーションを維持し、利用者一人一人と向き合い、寄り添うことが難しくもあり、やりがいを感じるポイントでもあります。

1.3. 機能訓練指導員になるメリット・デメリット

メリット 利用者一人一人と向きあい、寄り添い支援をすることができる点
デメリット 夜勤の仕事をしていた人は、日勤のみになるため給料が安くなる点

機能訓練指導員になるメリットとしては、利用者一人一人と向きあい、寄り添い支援をすることができる点が挙げられます。利用者の今後の人生を豊かなものにするために介護予防や自立支援ができることはやりがいもあり、超高齢化社会を迎える今後は更に求められる仕事でもあります。

また、現在は介護施設に機能訓練指導員を必ず一人は配置することが義務付けられているため人材確保に頭を悩ませている事業所も多くあります。機能訓練指導員として転職をする際にも選択肢が多く、自分の理想とする働き方を実現できる可能性も高まります。また、機能訓練指導員としてデイサービスなどを開業する場合は、事業を始めやすいというメリットもあります。

デメリットとしては、夜勤の仕事をしていた人は、日勤のみになるため給料が安くなる点があげられます。その他には病院や施設での勤務経験がない人にとっては、利用者や家族への接遇などコミュニケーションの取り方が難しく感じる人もいるかもしれません。

また、機能訓練指導員が、訓練中のリスク管理や急変時の対応を過ってしまうことで、今後の介護度に影響を与えてしまう場合もあります。常にリスクを意識しつつ利用者に向き合うことは医療介護の有資格者にとっては当たり前のことですが、それが難しい人にはデメリットになるともいえます。

1.4. 機能訓練指導員の給与

機能訓練指導員の給与は2016年の厚生労働省の調査によると介護職員処遇改善加算を取得している事業所での平均給与が約34万円となっています。
しかし実際には、機能訓練指導員は看護師や理学療法士、作業療法士などの国家資格を持っているため、保有している資格や施設によって給与に差が出ていることが予想されます。

2. 機能訓練指導員になるには?

実際に機能訓練指導員になるためにはどのようにすればよいのでしょうか?

2.1. 機能訓練指導員という資格が無いって本当?

前述したように機能訓練指導員という資格はありません。

  • 看護師
  • 准看護師
  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 言語聴覚士
  • あん摩マッサージ指圧師
  • 柔道整復師
  • 鍼灸師

の7つの国家資格のどれかを所有している人のみが機能訓練指導員になることができます。
たとえ介護施設での実務経験が豊富であっても、上記の国家資格を保有していなければ機能訓練指導員と認められないのです。
7つの資格のうち鍼灸師は平成30年の介護報酬改定で加わり、他の6つの資格とは扱いが少し変わります。

2.2. 資格別!機能訓練指導員への道

機能訓練指導員になるための道のりを資格ごとに見てみましょう。
全資格にいえますが、機能訓練指導員になるための試験はありません。
鍼灸師を除き、基本的には機能訓練従事者として届け出をだせば機能訓練指導員として当該施設にて活動できます。
ここでは資格別に機能訓練指導員として働くために必要な知識などを確認していきましょう。

看護師・准看護師編

2017年の調査では機能訓練指導員の約65%が看護職員であるという結果が出ており、機能訓練指導員の半数以上を看護職員が占めています。
看護師や准看護師は、生活全般の管理やリスク管理、急変時の対応などは他の職種よりも得意分野ですが、機能訓練などリハビリテーションの経験は少ないため、それらの知識や技術を身に着ける必要があります。

理学療法士編

機能訓練指導員の仕事内容は理学療法士の仕事内容と重複しているため、機能訓練指導員になるために新たに知識をつけることは少ないかもしれません。
日ごろの業務から、日常生活全般の評価を運動機能評価と結び付けてプログラムを立てている人は問題なく機能訓練指導員の仕事をすることができるでしょう。
日常生活の評価が苦手な人は、生活全般の評価から問題点の抽出などの知識を身に着ける必要があります。

作業療法士編

作業療法士も概ね機能訓練指導員の仕事内容と重複しているといえます。
しかし、病院や介護福祉施設のリハビリテーション業務で理学療法士が担っている身体活動に関しては、知識や経験が不足しているといえます。
たとえば歩行訓練などの計画立案や歩行介助の方法などは作業療法士として請け負う機会が少ないため、新たに勉強する必要があります。
作業療法士でも歩行介助の経験が豊富な場合もありますので、機能訓練指導員になるまでの経験によって必要な知識や技術が変わってくるでしょう。

言語聴覚士編

言語聴覚士は嚥下機能や口腔機能など食事の場面や高次脳機能障害などへのケアが専門のため、運動機能訓練に対しては新たに知識と技術を学ぶ必要があります。
機能訓練についての計画立案などは言語聴覚士としても携わる仕事のため、運動機能訓練の知識と技術を身に着けることで対応できるでしょう。

あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師

高齢者の身体機能について理解がある人も多い職種ですが、リハビリテーション業務のような計画立案や日常生活内での身体機能の評価は経験が少ない場合が多い傾向です。
解剖学や運動学の知識をもとに、訓練内容の作成方法や訓練の進め方など新たな知識を身に着ける必要があります。
また、生活全般の評価方法とともに問題点を抽出する方法も学ぶことが必要になるでしょう。

鍼灸師編

平成30年度の介護報酬改正により鍼灸師も機能訓練指導員として認められることとなりましたが、他の資格保有者とは扱いが異なります。

鍼灸師が機能訓練指導員になるためには、鍼灸師以外の機能訓練指導員がいる施設もしくは事業所に半年以上勤務をし、機能訓練の指導に従事した経験を持つという条件が必要になります。
他の国家資格も保有している鍼灸師に関しては問題がありませんが、鍼灸師のみ保有している人は条件を満たしてから機能訓練指導員として働くことが可能になります。

3. 機能訓練指導員の研修について

機能訓練指導員の研修にはどのような種類のものがあるでしょうか?

3.1. どんな研修に参加すれば良い?

機能訓練指導員の研修について義務付けられているものはありません。 しかし7つの異なる国家資格の保有者が機能訓練指導員という同一の職業に就くということは、得意不得意な知識や技術があってもおかしくありません。機能訓練指導員として利用者や家族のニーズに応えていくためにも、知識や技術を高めていく努力は必要です。

例えば理学療法士は歩行訓練などの経験が豊富な場合が多いですが、他の職種では歩行の評価や訓練内容を検討するための知識や経験が少ないこともあります。
その場合に機能訓練指導員として現場に出ても適切な機能訓練を行うことは難しいでしょう。場当たり的に機能訓練を行うことは利用者の不利益にもなるため、運動機能訓練の研修を受けて実用的な知識や技術を会得する必要があります。

その他にも介護報酬の改定は3年ごとに見直しがあります。
機能訓練指導員にまつわる施設基準や介護報酬の変更にも対応しなければならず、改正前までに改定内容を理解しておかなければなりません。
介護報酬改定や診療報酬改定に関する研修や勉強会へ参加し、制度の変更に対応できるようにする必要があるでしょう。

3.2. 研修にかかる費用と時間は?

機能訓練指導員研修はリハビリテーション病院や理学療法士や作業療法士など機能訓練に長けている有資格者が講習を行っているケースが多く見られます。
費用や時間は主催団体や内容により異なり、2日間で5000円のものや、1日(5時間)で10,000円のものまで様々です。
費用や時間が取られるため、しっかりと研修内容を吟味するとともに、高額な研修の場合は講師についても把握しておくと良いでしょう。

4. 機能訓練指導員の働く場所・働き方

機能訓練指導員が働く場所は大きく分けて

  • 要介護者向けの医療施設
  • 介護福祉施設

の二つに分けることができます。

4.1. 医療施設で働く

機能訓練指導員が働く医療施設には

  • 介護療養型医療施設
  • 病院併設型リハビリテーション
  • 介護老人保健施設

などの医療施設があります。

やりがい・大変さ

医療施設の利用者は、介護度の高い人など重い障害を抱えている人が多い傾向にあります。
そのため介助が難しいことや、介助量が多い傾向があるため力任せに介助をしていると腰痛などになりやすいので注意が必要です。
その分、機能訓練によって出来ることが増えたときや、在宅への外出や外泊、在宅復帰ができた際の喜びは大きくなるでしょう。
また、利用者やその家族、多職種と目標を共有できる点も大きなやりがいとなります。

勤務形態

日中に機能訓練を行うため日勤になります。
看護師と兼務している場合は勤務形態により夜勤が入る場合もありますが、施設によって扱いが変わります。

4.2. 介護施設で働く

機能訓練指導員が働く介護福祉施設には

  • デイサービス
  • 特別養護老人ホーム
  • 有料老人ホーム

などの施設があります。

通所介護施設をはじめ、ショートステイや特別養護老人ホームなどの施設は一人以上の常勤する機能訓練指導員の配置が義務付けられており、これらの基準を満たしていない場合は個別運動機能加算を請求することができません。
そのため機能訓練指導員は介護福祉施設にとって常に求められる人材といえます。

やりがい・大変さ

通所介護施設は主に自宅で生活ができている人が来所します。
そのため現在の運動機能を維持するだけでなく自宅で不便に感じていることなどを共有し、訓練の目標とすることや解決に向けてのアイデアを提供することが求められます。
日常生活中の問題点を運動機能に結びつけて考えることは容易ではありませんが、利用者や家族の抱えている問題を解決するために、知識や技術を役立てられることは、とても大きなやりがいになります。

勤務形態

日勤が主な勤務形態です。
看護職員と兼務の場合はバイタルチェックなど看護業務も含まれることがあります。また、施設によっては利用者の送迎を任されるケースもあります。

4.4. 資格別ベストな施設とは?

  • 理学療法士や作業療法士
    →どこの施設でも向いている資格といえます。
  • 言語聴覚士
    →医療施設の方が、食事の際の嚥下機能や口腔ケアなど専門的な知識や技術を活かすことができる場面が多いことが予想されます。
  • 看護職員
    →どこの施設でも問題ありませんが、医療施設の方がバイタルチェックや点滴の管理など看護職としての知識や技術を必要とする場面が多い傾向にあります。
  • 柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師
    →介助について苦手意識を持つ人も少なくありません。医療施設では介助量の多い利用者も多く、点滴や経管栄養などへの対応も必要な場合があります。まずは通所介護施設などでの勤務から始め、介助の知識や技術を身に着けてから医療施設を検討することをおすすめします。

6. 機能訓練員の今後とキャリアアップについて

機能訓練指導員は今後どのような活躍が期待されているのでしょうか?
また、機能訓練指導員としてキャリアアップしていくことは可能なのでしょうか?

6.1. 今後、機能訓練指導員はどうなる?

2025年には超高齢化社会を迎え、介護・医療費などの社会保険費用が急増することが懸念されています。
機能訓練指導員の働きが広がることにより地域の高齢者の介護予防が可能となり、将来的な社会保険費用の削減にも多いに役立つことが期待されています。
今後、介護報酬が縮小されている傾向になった場合でも機能訓練指導員は必要とされる重要な職業であるといえるのではないでしょうか。

6.2. 機能訓練指導員のキャリアアップとは?

機能訓練指導員の経験を活かし、介護スタッフや家族を対象に介護指導教室を行うことや、地域で介護予防の体操などを紹介するサークル活動などを主催することも可能です。
理学療法士の中には機能訓練指導員に向けて研修を開いている人もいますが、看護師など他の職種においても、自身の経験を踏まえて機能訓練指導員向けに研修を行う人も出てくるかもしれません。
指導する立場になるためには豊富な知識と実務経験が備わっていないと難しいですが、高い技術力や知識が豊富な人は機能訓練指導員の質を向上させることも選択肢としてあります。

7. まとめ

これからの社会にとって必要とされている機能訓練指導員。利用者と個別に向き合い、寄り添いながら目標を共有することは、やりがいのある仕事です。
今の仕事に疑問を持っている人や、新しいことに挑戦したいという人こそ機能訓練指導員という道を検討してみてはいかがでしょうか。

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