ケアマネ志望者向け!ケアマネ試験の合格率と難易度を徹底分析!次回第22回(2019年)も予想!!

資格取得
2022/01/11

介護福祉士として現場で働き、そろそろケアマネへのキャリアアップを考える方もいるのではないでしょうか?

ケアマネジャーは、2000年の介護保険法の施行にともない生まれた資格です。
利用者・家族などの相談を受け、利用者にあったサービスを提案し支援するのが主な仕事です。ケアマネジャーは介護サービスを利用する上で欠かせない存在であり介護のコーディネーターともいえます。

現場で活躍されるみなさんは、普段仕事でケアマネジャーと接する機会があると思いますが、
「実際にケアマネってどんな仕事だろう?」
「ケアマネ試験を受けてみたいけどむずかしいの?」
など、気になるポイントだとおもいます。

今回はそんなケアマネの仕事内容や試験の概要について、解説していきたいと思います。

筆者も現場で働きながらケアマネジャー資格をとりました。
仕事しながらの勉強法、時間の確保のポイントなど経験を交えお伝えしていきたいと思います。

ケアマネのお仕事に興味がある方や、試験を受けようと考えている方の参考になればと思います。

1. そもそも、ケアマネってなに?

ケアマネジャー(通称ケアマネ)の正式名称は介護支援専門員といいます。
介護保険法に基づいて要介護者や要支援者等がその状況に応じた介護サービスを受けられるように支援するのが大きな役割です。
また、ケアマネジャーは、利用者の受けるサービスが総合的に行われるようチームケアのまとめ役としての機能を果たします。

では、次にケアマネジャーの主な仕事内容をご紹介します。

1.1. ケアマネの仕事内容

ケアマネジャーには大きく分けて2つの働き方があります。

対象 勤務先 業務内容
居宅ケアマネ 自宅で生活する人 居宅介護支援事業所 利用者が自宅で暮らしながら介護サービスを受けられるよう支援
施設ケアマネ 介護施設などで暮らす人 特別養護老人ホーム・老人保健施設など 介護業務・その他の業務兼務

では次に、それぞれの仕事の詳しい内容をみていきましょう。

ケアプラン作成・管理

利用者の要望や家族の意向をふまえケアプラン(介護サービス計画書)を作成します。
作成する際には利用者の抱える問題点を明らかにし、自立した生活が送れるように目標を立てます。ケアプランに沿ったサービス開始後は、定期的に利用者宅を訪問し目標達成できているかモニタリングを行い、定期的に見直しをしていきます。

関係機関との連絡・調整

ケアマネジャーは介護サービスを利用する人と事業所をつなぐ調整役としての役割を担っています。
例えば、利用者本人が事業所に要望やクレームを直接言いにくい場合、ケアマネジャーが代弁し事業者に意見を伝えたりもします。逆に事業者からの意見などを利用者側に伝えたりもします。
またサービス担当者会議の開催もケアマネジャーの大切な役割のひとつです。
サービス担当者会議ではケアマネジャーが中心となり、利用者の状況などを利用者本人、家族、各サービス事業者と話し合います。そして介護サービスが順調に提供されているかどうか確認をしていきます。新たな要望や心身状態の変化など会議で話し合った内容をケアプランに反映させ利用者がよりよい生活が送れるよう支援していきます。

給付管理

介護サービスの利用で発生する介護給付の管理も重要な仕事です。
介護保険制度では、利用者の要介護度に応じて給付金の限度額が異なります。
ケアマネジャーは、利用者ひとりひとりの支給限度額を計算し給付の管理を行います。
また事業所に対して介護給付が行われるよう、サービス提供表やサービス利用表などを作成し、関係機関に提出します。

要介護認定の書類作成代行

要介護認定の手続きには、細かい書類の作成や専門知識も必要となります。
ケアマネジャーは「要介護認定」を申請する本人(利用者)や家族に代わって申請手続きを代行することができます。
また、介護認定の有効期間が満了する前の更新手続きもケアマネジャーが行います。

1.2. ケアマネになるメリット・デメリット

ケアマネになるメリット

日勤・デスクワークが中心

ケアマネジャーは日勤が中心となります。変則勤務や夜勤はないので、長く働きやすいといえます。
また、連絡調整や計画作成などデスクワークがメインなので、腰痛や体力の衰えなどが出てきても働きやすい環境になります。

給与アップ

介護業界でケアマネジャーは比較的給与が高く、平均給与は常勤月給348,760円となっています。介護に従事する他職種と比較しても看護職に次いで高収入です。
介護職員の平均月給が297,450円なのでケアマネになることによって給与のアップが期待できます。(厚生労働省平成29年度介護従事者処遇状況等調査結果より)

転職の幅が広がる

ケアマネの活躍の場は広く、高齢者施設、居宅介護支援事業所、さらにキャリアを積めば地域包括支援センターなどで勤務できます。
また、資格を取りすぐにケアマネとして働かなくても、試験に合格するレベルの高い知識や技術があることが高く評価され昇進や転職におおいに役立つでしょう。

ケアマネになるデメリット

仕事量が多く残業がある

ケアマネジャーの仕事はただ単にケアプラン作成だけではありません。利用者の自宅を訪問し利用者や家族の話を伺ったり、サービス事業所と連絡調整したり給付管理など多岐にわたります。記録する書式も多く、介護保険制度が頻繁に変わりその対応に時間と労力がかかります。さらに虐待などの困難ケースの対応には手間がかかります。
このようにたくさんの仕事をひとりのケアマネが抱えるケースも多く、月初めや月末など忙しい時期などは、残業や休日出勤をせざるを得ないケアマネも少なくありません。

理想と現実のギャップ

居宅介護支援事業所の運営基準では「ケアマネジャー1人の標準担当件数は35人」となっています。事業所によって差はあるものの、ひとりのケアマネが多くの利用者を抱えなければならないのが現状です。
利用者の抱える問題はひとりひとり違います。中には認知症や老老介護、虐待など個人や制度では解決が難しいケースもあります。本来であればケアマネが利用者の目線に立って問題を解決していくのがベストです。しかし、担当する利用者の数が多すぎてじっくりと本人の問題に向き合えないという現実もあります。このような理想と現実のギャップに悩むケアマネも少なくありません。

2.ケアマネ試験って難しいの??合格率・難易度を徹底分析!!

2.1. ケアマネ試験の概要は?

ケアマネジャー試験の正式名称は「介護支援専門員実務研修受講試験」といいます。
国家資格ではなく公的資格です。 試験は年に1回行われ、各都道府県が管轄、実施しています。
またケアマネジャーは、試験に合格しただけでなれません。試験合格後に実務研修を修了し、各都道府県に登録しはじめてケアマネジャーとなることができます。また登録後も5年ごとに研修を受講し更新の手続きが必要になります。

試験
問題数 60問
配点 1問1点
試験時間 120分
回答方式 マークシート方式・「5肢複択」(問題に5つの選択肢がありその中の複数を選ぶ)
問題分野 介護支援分野(25問)
保健医療サービス分野(35問)

合格点はそれぞれ分野ごとに正答率70%を基準とし、毎年問題の難易度によって補正されます。どちらかの分野が合格点に達していても、もう一方の分野が合格点に達していなければ不合格となる難易度の高い試験です。

2.2. 過去のケアマネ試験の合格率・難易度の推移は?

過去5年間のケアマネ試験の各分野の合格点・受験者数・合格者数・合格率の推移をみていきましょう。

回数 年度 介護支援分野【25問】 保健医療福祉サービス分野【35問】 受験者数 合格者数 合格率
第17回 平成26年 14点 25点 174,974人 33,539人 19.2%
第18回 平成27年 13点 25点 134,539人 20,924人 15.6%
第19回 平成28年 13点 22点 124,585人 16,281人 13.1%
第20回 平成29年 15点 23点 131,560人 28,233人 21.5%
第21回 平成30年 13点 22点 49,333人 4,990人 10.1%

出所:厚生労働省 介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況
ケアマネジャー試験がスタートした第1回目(平成10年)の合格率は40.1%でした。
しかし年々合格率は低下し、直近の第21回では10.1%と過去最低となっています。
ケアマネ試験は、介護保険制度の改正や国の施策によって時代とともに変化してきました。厚生労働省は近年、介護支援専門員の質の向上を重視しています。
このような背景から第18回で「所有資格による回答免除」(保有資格に応じ問題の一部分野の解答が免除される)が廃止され、前年よりも受験者数が減ったようです。
第19回試験でもこうしたケアマネの質の向上の観点から、試験の難易度を上げたため合格率は低下したと考えられます。

2.3. なぜ毎年の合格率・難易度が変化する?第20回(平成29年)と第21回(平成30年)を徹底比較!

第20回と第21回を比較してみていくと、20回より21回試験の受験者数が大きく減少しています。これはケアマネの資質や専門性の向上のため、第21回試験から受験資格が大幅に縮小されたことが大きく影響したとみられます。
具体的には、現場で経験を積んだ無資格者やヘルパー2級などの有資格者が、受験資格から外されました。この変更により、第20回で駆け込み受験の影響で前年より受験者数は増えました。しかし、受験資格の縮小によって今まで受験資格があった人が受験できなくなり、第21回の受験者数は激減したと考えられます。

合格率についても、第21回は10.1%の過去最低を記録しています。
ケアマネ試験開始時、第1回・第2回試験の合格率は40%以上でした。
受験者数半数近くが合格し、難易度もそれほど高くないものでした。当初、国は介護保険の中核を担うケアマネの数を多く確保する必要がありました。しかし、近年では数よりもケアマネの資質や専門性を重視する時代となりました。
そのため質の高い人材をケアマネにするために、年々、出題内容の範囲も広がり難易度も上がってきているのです。

2.4. ズバリ!第22回(2019年)の合格率・難易度予想!!

国がケアマネジャーの資質や専門性を重視する傾向は、これからもますます高くなることが予測されます。近年の出題傾向も法改正や制度の細かい内容のものが多く、ケアマネ試験の難易度の高さは、しばらく変わらないでしょう。

近年の合格率から分析すると、第22回の合格率も以前のように20%にとどくのは厳しいかもしれません。
これはあくまでも目安ですが、22回試験では、介護支援分野15点、保健医療サービス分野25点をとるくらいの気持ちで臨まないと合格するのは難しいかもしれません。
また2018年に介護保険法の改正が行われています。昨年に引き続き法改正されたところは出題される傾向が高いので、法改正のポイントをしっかり押さえて第22回の試験に臨みましょう。

3. これで合格!ケアマネ試験の「対策」を伝授!

3.1. ケアマネの受験資格は?

ケアマネジャーの受験資格は次のようになります。

①国家資格等に基づく業務5年

該当する国家資格を有するものが、要援護者に対する直接的な業務に従事した期間が通算して5年以上かつ従事した日数が900日以上である者。

該当する国家資格

  • 医師
  • 歯科医師
  • 薬剤師
  • 保健師
  • 助産師
  • 看護師
  • 准看護師
  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 社会福祉士
  • 介護福祉士
  • 視能訓練士
  • 義肢装具士
  • 歯科衛生士
  • 言語聴覚士
  • あん摩マッサージ指圧師
  • はり師
  • きゅう師
  • 柔道整復師
  • 栄養士(管理栄養士)精神保健福祉士
②相談援助業務経験5年

相談援助業務を特定の福祉施設、介護施設、障害者施設等で従事した期間が通算して5年以上かつ従事した日数が900日以上である者。

対象の相談援助業務

  • 生活相談員
  • 支援相談員
  • 相談支援専門員
  • 主任相談支援員

過去にケアマネジャー試験において、受験資格や回答免除などが相次いで変更されています。受験する場合は、必ず事前に詳細をしっかり確認するようにしましょう。

3.2. 対策方法を伝授! 〜合格率をあげる勉強法とは?〜

このように合格率が低く難関資格のケアマネジャー。
なんとなく勉強すれば受かるという試験ではありません。
しかし、やるべきことをきちんとやれば決して合格できない試験ではありません。
まず、合格するためにはしっかり受験対策をすることが重要です。

基本の流れは、まずテキストをしっかり読みそのポイントをおさえ、その後じっくり問題を解いてみる。間違った問題は必ずテキストに戻り確認します。そして後日また同じ問題を解き知識を定着させていきましょう。

問題集はいろいろなものがありますが、特におすすめなのが過去問題集です
過去問は最も本試験と同じレベルの問題が集まっています。実際の試験問題を解くことで出題の傾向を把握することもできます。
過去問の正答9割を目指して反復してみてください。大変な作業ですがこの流れを丁寧に進めることが大切です。
シンプルですがこの「繰り返し問題を解く」ことでより合格に近づきます。
筆者も本試験までに過去5年分の過去問を各回10回程、繰り返しやりました。

過去問にも慣れ正解率も上がってきたら、予想問題集や模擬問題集にチャレンジしてみましょう。予想問題集や模擬問題集は法改正なども含め過去の試験を分析して作成されています。過去問で鍛えた知識がどのくらい自分に定着しているか実力を試すこともできます。
何よりもコツコツと問題を解いて、しっかり理解していくことが合格への近道なのです。

そんな筆者も仕事しながらの受験勉強は本当に大変でしたが、一発合格できました。
当時、実行していたポイントをまとめたので参考にしてみてください。

最低1日1回は時間を決めて勉強する!(習慣化する)

介護現場で変則勤務しながらの勉強は本当に大変なもの。日ごろの業務に追われ、正直やる気がなくなる日もありました。
しかし、どんなに疲れていても「1日最低30分は問題を解く!」ことを肝に銘じ、短時間でもいいからとにかく1日に1度は何かやることを習慣づけました。
時間があまりないときは、夜勤の空き時間を活用したり、通勤電車の時間を使ったりして勉強時間を確保しました。

分からないことをそのままにしない

分からないことは、とことんネットで検索したり本で調べたりしました。
またSNSのコミュニティー(ケアマネの試験コミュニティーなど)で質問したりもしました。コミュニティーでは同じ受験生同士なので同じような悩みも共有でき息抜きにもなりました。
さらに、自分の働く施設の先輩ケアマネに分からないことは聞いていました。現場にいるケアマネは法改正なども把握していますので、介護保険に関する新たな情報を得ることができました。
大切なのは「分からないことをそのままにしない」ということ。
ケアマネ試験はたった1点の差でも不合格になる試験です。私のまわりでもこの1点に泣いた受験者がどれほどいたことか!! 分からない事をうやむやにするのは命取り。
疑問点はひとつひとつ必ずクリアにしていきましょう。

最後の3ヶ月は集中

試験の3ヶ月前からは旅行や飲み会などのプライベートの時間は、全部勉強にあて集中ました。筆者の場合は思うように勉強が進まず「このままでは合格できない!!」と本気で思ったからです。この期間は「自分の人生の中のたった3ヶ月!」と考え試験勉強に必死に取り組みました。
もちろん、数時間勉強したら息抜きにネットを検索したり、音楽を聴いたり気分転換することも大切にしていました。

ここにご紹介したのはあくまでも私のやり方です。
人によって勤務時間もさまざまですし、ライフスタイルは違います。自分自身にあった方法を見つけて試験勉強に臨んでくださいね。

3.3. 効率よく勉強する方法とは?!

効率よく勉強するなら、スクールの「ケアマネジャー試験対策講座」を利用することをおすすめします。ケアマネ試験は学習する範囲がとても広く、たくさんの専門知識を覚えなければなりません。
働きながらの試験勉強はできるだけ効率よく済ませたいですよね?
そんな忙しい人に、試験の傾向などポイントをつかんでいるスクールは強い味方です。
スクール講座は、基礎講座や直前講座、模擬試験など期間は1日~2週間程度のものなどさまざま。
通学だけでなく、通信講座や自宅で講義が受けられるWEB講座など行っているスクールもあります。自身のスケジュールやライフスタイルに応じて選択することも可能で勤務しながらでも受講しやすくなっています。

ちなみに、筆者もこの試験対策講座に通いました!
結論から言いますと、本当に行ってよかったです!! この講座がなかったら自分の合格は難しかったかもとも思います。

というのも、スクールでは法改正のポイントや試験の傾向などを熟知しています
ケアマネ試験は法改正されたところが出題される傾向も高いので、講座では法改正などの新しい情報を得ることもできます。
また、わからないことがあったら直接、講師に質問できるのも大きなメリットです。
筆者は分からないことがあると「ケアマネ試験のプロに聞けるチャンス!これは活用しない手はない!」と講師に聞きまくっていました!!

また、本試験前に行われる模擬試験を受けてみるのもおすすめ。模擬試験はスクールが独自に過去の傾向などから徹底分析し厳選した問題を盛り込んでいます。
自分の弱点を把握し復習すべきポイントも明確になるので本番前の総仕上げに最適です。
試験後には講師が問題についてポイントを詳しく解説してくれます。
また、本試験とほぼ同一形式で実施されるので、時間配分や問題のレベルを体感できます。本試験を予行練習することによって、余裕を持って本番にのぞむことができます。
費用を安く抑えたい人や、多忙で通学することが難しい人なども、この模擬試験だけでも受けてみることをおすすめします。

4. 実際にケアマネさんにインタビューしてみた!!

ここからは、現役のケアマネジャーさんの声をお届けしたいと思います。
居宅介護支援事業所に勤務して2年目のケアマネジャーAさんに、ケアマネの仕事や試験のことなどを伺ってみました。

4.1. 一日のスケジュールを教えてください。

――Aさんの一日の仕事のスケジュールを教えてください。

【一日の仕事の流れ】

  • 9:00   出勤 1日のスケジュール確認
  • 10:00  電話対応、ケアプランの作成や見直しなど
  • 12:00  昼食・休憩
  • 13:00  外出
  • 13:30  サービス担当者会議
  • 15:30  利用者宅訪問(モニタリング)
  • 16:30  区役所に申請書類等の提出
  • 17:30  事務所に戻り書類の確認や明日のスケジュール確認等
  • 18:00  退社

Aさん:
これはあくまで私のとある1日で、基本的に毎日同じスケジュールということはありません。毎日、利用者様の状況や仕事の進捗状況によって臨機応変に動いています。
だいたい午前中はケアプラン作成や給付管理など事務がメインの業務をこなします。午後はサービス担当者会議や、利用者宅へ訪問しモニタリングなど外出する業務がメインとなります。他にも利用者様のかかりつけ医へ書類の作成依頼や相談などに行くこともあります。

4.2. やりがいと大変さは?

――Aさんがケアマネを目指されたきっかけ、仕事のやりがいを教えてください。

Aさん:
私はケアマネになる前、長年、訪問介護に勤務していました。訪問介護の利用者様は自宅で生活している方です。そこで聞いた声が、『やっぱり、家がいちばん!』病気の方も認知症があるかたも多くのひとが言っていたこの言葉は、私の胸に突き刺さりました。「利用者様の自宅での生活を近くでサポートできる仕事はこれだ!」「居宅のケアマネジャーになって利用者様本位の介護がしたい!」と思うようになったのがケアマネになるきっかけでした。
ケアマネとしてのやりがいは、自分がたてたケアプランの支援で、利用者さんが以前より元気になったときです。利用者様に『あんたのおかげで元気になったよ!ありがとう!』
そんなお言葉をいただくと、本当にケアマネになってよかったとやりがいを感じます。

――ケアマネの仕事で大変なことはなんですか?

Aさん:
ケアマネの仕事は、単にケアプランの作成だけではありません。事業所間の連携もケアマネの仕事の大部分をしめサービス事業者をまとめていくという役割があります。
訪問介護の時は、「自分 対 利用者様」という関係がメイン。しかし、ケアマネジャーになるとこの関係にくわえ、「自分 対 サービス事業者」という関係も生まれます。利用者様が利用するサービス事業所をまとめ、連携を図っていくのは思った以上に大変です。
連携がスムーズにいくように普段から事業所への報・連・相はまめに行い、事業所ともしっかりと信頼関係が築けるように心がけています。

4.3. 過去にどれくらい勉強しましたか?

――Aさんも勤務しながらのケアマネ受験でしたが、勉強時間のとり方や勉強方法など教えてください。

Aさん:
私は訪問介護の現場で働きながらの試験勉強でした。勉強は10月の試験に向けて4月からスタートしました。
まずは参考書を読んで理解し、ひたすら問題集をやることの繰り返しでした。
はじめは分からないことだらけでしたが、間違った問題の解説を読んで自分がどうして間違ったのか?を明確にしていきました。そうすることによって、だんだん複雑な保険制度のしくみも理解できるようになっていきました。
私は訪問介護だったので日中のみの勤務でした。勤務後の夜間は疲れて集中できないタイプだったので、朝を勉強時間にしました。試験までの期間は生活を完全朝方に変え、夜は9時に寝て毎朝4時に起き3時間勉強しました。また常にポケットサイズの問題集を持ち歩き、通勤の電車の中などわずかな空き時間を活用し勉強ました。休日は時間がとれるので1日8時間は勉強しました。でも生活にメリハリは大事なので仕事の日は帰宅し就寝21時までの時間は自由に過ごしました。
私の勤務する訪問介護事業所は、居宅支援事業所も併設されていました。介護保険に精通している現役のケアマネさんに接することも多く、分からないことをすぐ聞ける環境にあったのはとてもラッキーでしたね。

4.4. 今後の目標は?

――Aさんの今後の目標を教えてください。

Aさん:
利用者様やその家族様の困っていることをアセスメントし、その課題を解決に導くのがケアマネの役割です。実際に利用者様の支援にあたるなかで介護保険以外の制度やサービスなど豊富な福祉の知識がもとめられます。
そのため福祉分野で幅広い知識を持つ社会福祉士資格に魅力を感じています。現場では、高齢者虐待などのケースを持つこともあり、権利擁護などの観点から社会福祉士の知識はケアマネの仕事におおいに役立ちます。また社会福祉士はソーシャルワーカーとして働くことができ仕事の幅を広げることもできます。簡単な試験ではありませんが、次のキャリアアップとして資格取得にチャレンジしたいと思っています。

5. 〜キャリアアップとしてのケアマネについて〜

5.1. ケアマネは、消える?消えない?〜ケアマネの将来を予想〜

ケアマネジャー不要論」というのがあります。厚生労働省が主催する一部の委員会などで議論されたのがきっかけのようです。
具体的には「良質で効果的なケアマネジメントが実施できているか?」などのケアマネの資質を問う内容のものでした。実際に現場ではケアマネジャーの質に対する厳しい意見や苦情があることも確かです。しかし、誠実に利用者や家族と向き合い信頼を得ているケアマネジャーもたくさんいます。
今現在の方向性としては、ケアマネを廃止するのではなく、ケアマネの質の向上にむけて、試験の内容や研修内容を見直す動きがメインとなっています。
介護保険制度においてケアマネジャーなしでは、サービスを利用することはできません。
ですから、近い将来にケアマネがなくなるということは、まずないと言えるでしょう。

5.2. ケアマネだけがキャリアアップ?

介護現場で経験を積み次のステップアップとしてケアマネジャーを目指すひとは多いとおもいます。しかし、介護福祉士からのキャリアアップはケアマネだけなのでしょうか?

介護福祉士からケアマネ以外にもキャリアアップの道はたくさんあります。
次ではそんな介護福祉士のキャリアアップを詳しくご紹介したいとおもいます。

5.3. 介護福祉士のキャリアアップ一覧!

社会福祉士

社会福祉士はソーシャルワーカーといわれ、幅広い福祉の知識を有する相談援助の専門職です。 高齢者介護の分野だけでなく、障害者福祉・児童福祉など活躍の場は多岐にわたります。特別養護老人ホームやデイサービスなどの生活相談員を目指す場合も、社会福祉士資格があるとても有利です。また福祉分野の知識が豊富な社会福祉士資格所を有するケアマネジャーはとても重宝されます。

理学療法士・作業療法士

心身に障害を持った方が自身の生活をとり戻し社会復帰できるようにリハビリのお手伝いをするのが理学療法士・作業療法士の仕事です。
近年、医療・介護分野ではリハビリの需要がますます拡大しています。
リハビリの専門職であるこの資格の重要性は高くこれからますます注目されていく資格です。

看護師

介護職から看護師になることもステップアップのひとつでしょう。
仕事を退職して看護学校に通うとなるとかなりハードルが高いチャレンジにはなります。
しかし、看護師になると介護職よりも給与は格段にアップします。 看護師の活躍の場はとても多く仕事の幅もぐんと広がるでしょう。時間と費用はかかりますが、持っていれば一生働くのに困らない資格なのは間違いありません。

訪問介護事業のサービス提供責任者

サービス提供責任者(通称:サ責)は、訪問介護事業所の柱となる役職です。訪問介護サービスの責任者で、ヘルパーの指導やスケジュール管理、訪問介護計画書などを作成します。介護福祉士資格があればサービス提供責任者になれますので、ステップアップとして目指してみるのも良いかもしれません。

開業

今まで培ってきた介護の経験を活かし、思い切って開業してみるのもありです。
施設などに勤めていると、理想のケアができない状況ありジレンマを感じることもあると思います。自分のやりたい介護を提供できることは開業の大きなメリットです。
事業所を運営するとなると利益を出さなくてはいけなかったりスタッフを管理したり大変なことも多いでしょう。しかし、開業によって地域や社会にも貢献できることは魅力的なことではないでしょうか。

6. まとめ

ケアマネジャー試験は難易度が高く合格するのは狭き門となっています。
近年の合格率の低さには、絶望する方もいるかもしれません。

しかし、試験の出題範囲は広く細かいですが出る部分は限られています。しっかり準備して試験にのぞめば合格の道は開けます。合格率の低さは意識せず、継続しコツコツと問題をこなすことが何より大切です。
そして、ケアマネ試験に合格すれば、給与がアップしたり仕事の幅もぐんと広がったり、仕事の満足度も上がるでしょう。

日本の65歳以上の高齢者人口は2025年には3,677万人となり、2042年にはピークを迎えます。そんな超高齢社会の日本を支える重要な専門職がケアマネジャーです。
これからますます活躍の場を広げるケアマネ。希望と誇りをもってぜひ試験にチャレンジしてみてください。

おすすめ役立ち情報

役立ち情報一覧に戻る

ピックアップ