【徹底解説】訪問介護員のできる仕事・できない仕事・しなくて良い仕事
自分や家族のために介護をお願いしたいと考えていても、実際にどこまでが介護の仕事のなのかよくわからないということはありませんか? また、今後転職を考えていて、介護に関心を持っているが本当に自分に務まるのか不安に感じている方もおられるでしょう。介護の仕事の中でも、ホームヘルパーなら別の仕事と兼業もしやすく、主婦の方にも始めやすいお仕事と言えるでしょう。この記事では、そんなホームヘルパーのお仕事について説明していきます。
1. そもそも、訪問介護員(ホームヘルパー)とは?
1.1. ホームヘルパーの概要
まず、ホームヘルパーとは何なのかを考えていきましょう。ホームヘルパーとは、ホーム(家)で暮らす方をヘルプするお仕事です。 ホームヘルパーの現場は、
- 利用者の方々が暮らす家
- 老人ホーム
- 高齢者住宅
などで、さらには買い物に同行もしますから、利用者の生活範囲が含まれ、さらには、利用者を病院までお連れするお仕事も含まれます。
どんなサービスを行うかは、ホームヘルパーや利用者が自分で決めるのではありません。この点はいわゆる「お手伝いさん」とは異なるところです。サービスの内容は、あらかじめケアマネージャーがケアプランを作成し、ホームヘルパーは基本的にケアプランに含まれる業務だけを行います。
1.2. ホームヘルパーの仕事内容(「身体介護」と「生活援助」)
ホームヘルパーのお仕事には、大きく分けて二つの分野があります。一つは体に関するお仕事である「身体介護」、もう一つは生活に関するお仕事「生活援助」です。 身体介護と生活援助の違いについては、後程それぞれ詳しく考えていきます。ただ、介護の基本的な方向性を示す言葉に「自立支援」という言葉があります。つまり、利用者がなるべく自分自身でできるように援助するのが介護の役割なのです。
支援内容によっては、すべてをホームヘルパーが行うのではなく一緒に行うこともあります。利用者ができないことを援助しつつ、なるべく自立できるように支えていくお仕事なのです。
1.3. ホームヘルパーの現状(就業形態・給与・男女比・平均年齢等)
就業形態 | 正規職員:非正規職員=23%:76% |
---|---|
平均的な月収 | 19万円~25万円 |
男女比 | 男:女=1:9 |
訪問介護 | 1割 |
平均年齢 | 53歳 |
では、ホームヘルパーたちはどんな人たちなのでしょうか。就業形態は、正規職員が23%、非正規職員76%ほどですから、ほとんどの業務がパートタイムのヘルパーたちで賄われています。平均的な月収は19万円~25万円ほどです。男女の比率は女性がほぼ9割、男性1割となっており、ほぼ女性が占める職場です。平均年齢は53歳です。
1.4. ホームヘルパーの魅力(やりがい・メリット)
上述の給与額からも分かるように、ホームヘルパーは利用者の生活や身体を扱う大変なお仕事のわりに、給与自体は安いほうの部類に入るお仕事ですね。ただ、介護の仕事ならではのメリットややりがいもあるのです。例えば、パートタイムでも始めやすく、学歴や職歴も関係ありません。 主婦やリタイヤした方々など、まだ体力があって働きたいという方には魅力的なお仕事ですね。
さらに、利用者と日々接する中で、お年寄りとからの感謝の言葉を聞けたり、利用者が自分でできることが増えたりと、生活が向上していくのを見られるのもうれしいですね。利用者に礼儀正しく一定の距離を保ちつつも、親身に援助をしていくことで、利用者たちと心で通じ合うこともあります。こうした人とのつながりやコミュニケーションが好きな方々にとっては、介護のお仕事は魅力的なお仕事と言えます。
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それでは、介護のお仕事の二大要素のひとつ、「身体介護」について考えてみましょう。
2.1. そもそも身体介護とは?
利用者の体に触れるお仕事で、内容としては、
- 入浴
- 排泄
- 食事
- 着替え
などが含まれます。さらに、利用者の身体状況によっては移動や、外出介助なども含まれ、利用者が通常は自分で行っていたものの、病気や加齢に伴い自分ひとりで行うのが難しくなってしまったことを身体面で支援していきます。 それでは、身体介護に含まれる業務の概要、流れ、注意点についてお伝えしていきます。
入浴介助について 〜概要・流れ・注意点〜
入浴介助とは、一人では入浴が難しい利用者の援助を行うことです。入浴介助の流れとしては、
- 衣類の上げ下ろし
- 浴室や浴槽までの移乗
- 入浴中の清拭
などが含まれます。その際、利用者の障害の程度や部位、利用者の性別や年齢、好みなども考慮に入れる必要があります。入浴前後の水分補給などにも気を配り、血圧や体温も確認しつつ、入浴後衣類を着替えた後も身体状況を確認します。万一、入浴後に体の具合が悪くなるようであれば、医療従事者の援助を求める必要があるでしょう。
排泄介助について 〜概要・流れ・注意点〜
排泄介助とは、トイレで排泄ができるよう助けるものです。また、寝たきりの利用者の場合は、おむつの交換も含まれます。介助の流れとしては、
- ベッドからトイレへの付き添い
- 車いすから便座への移乗
- 衣類の上げ下ろし
- 排泄後の清拭
などが含まれます。歩行が可能な場合と、車いすを利用している場合、通常のトイレと、ポータブルトイレへの移乗の場合、寝たきりなど、それぞれの手順や注意点が大きく異なります。
食事介助について 〜概要・流れ・注意点〜
食事介助とは、一人でうまく食事を行えない利用者たちのために、食前、食事中の介助、食後の援助を行うことです。介助者は利用者の横に並んで同じ目線になり、下のほうからスプーンや箸で食べ物を運ぶのが原則です。 口に含んでからは飲み込みを確認し、利用者のペースに合わせて介助します。利用者の中には嚥下障害がある方もおり、誤嚥を起こさないよう見守る必要があります。
さらに、利用者の中には食事に興味を持ちにくい方もいるため、食事介助を通じてなるべく食事に興味を持てるよう援助することも含まれます。
着替え介助について 〜概要・流れ・注意点〜
着替え介助とは、一人で着替えができない利用者の衣服の交換を介助することです。あらかじめ着脱しやすい服を準備しておきます。また、医師から塗り薬や張り薬などを処方されている場合は、準備しておきます。着替えの際には、室温やプライバシーにも注意します。また、座位で着替えを行う場合には、転倒などにも注意します。
着替え介助ではありますが、利用者が行えることはなるべく自身でもしてもらいます。また、着替えの際には皮膚の状態などもチェックしておき、皮膚状態や褥瘡など、異常などがないかも確認しておきます。
清拭について 〜概要・流れ・注意点〜
清拭(せいしき)とは、入浴が難しい利用者の身体をタオルなどで拭くことです。全身清拭と部分清拭の二種類があり、身体を清潔に保つことができます。清拭の際は、
- 洗面器やぬるま湯
- 清拭用のタオル
- 防水シート
などをあらかじめ用意しておきます。入浴介助の時と同じように、プライバシーや体温の変化にも十分気を配ります。また、用意するぬるま湯は体温より少し高めのぬるま湯を準備します。室温にも注意し、清拭後の体の冷えなどにも気を配ります。
身体整容・服薬介助について 〜概要・流れ・注意点〜
身体整容とは
- 洗髪
- 着替え
- 爪切り
- 耳かき
- 髭剃り
- 整髪
などの身だしなみを整えることを指します。整容を行うことで、気持ちもすっきりし、意識もしっかりすることが多いようです。また、服薬介助とは、利用者の服薬を促し、見守ることです。医師から処方されている薬の用法容量に気を配り、食前や食後に服薬の必要のあるものが、きちんと服薬されているかを見守ります。飲み忘れや飲み過ぎなどがないように注意していきます。
体位変換援助について 〜概要・流れ・注意点〜
体位変換援助とは、自分で寝返りが打てない人に褥瘡(じょくそう)が発症することを防ぐため、体の向きを変えてあげることを指します。 褥瘡ができれば、疲労や痛みを訴えるようになりますから、なるべく定期的に、介助者が体の向きを変えるのを援助します。少なくとも二時間以上、同じ姿勢のままでいることのないように、こまめに体位交換する必要があります。 ただし、むりやり体位変換をするのではなく、利用者に声がけしてどうするかを伝えるなどし、利用者が心身ともに準備できるようにしましょう。
起床・就寝介助について 〜概要・流れ・注意点〜
起床・就寝介助とは、ベッドや布団の確保や起き上がりの手伝い、ベッドからの移動を行います。必要であれば、布団の片づけなども行います。利用者が布団かベッドで休んでいるかによっても介助の内容が異なります。ベッドや布団への移動、ベッドサイドでの端坐位、側臥位の状態を確認して介助を行います。
移乗の介助について 〜概要・流れ・注意点〜
移乗介助とは、自身での移動が困難な利用者の移動を介助することです。利用者をベッドから車いすやいす、便座へ移乗するのを援助します。利用者の身体状況や麻痺の状況によって、移乗の方法が異なるため、障害や麻痺の程度や範囲をあらかじめ確認しておく必要があります。
外出介助について 〜概要・流れ・注意点〜
利用者の外出先での歩行や車いすの介助を行います。また、公的機関での移動に付き添います。場合によっては、外出時の買い物にも付き添います。外出時の衣類や水分補給などにも気を配り、外出時の体調の急変がないかにも注意します。
2.2. そもそも生活援助とは?
続いては、二大要素のうちの二つ目の要素、生活援助について考えていきましょう。
料理・洗濯・掃除 〜概要・流れ・注意点〜
料理は、食材の買い物、下ごしらえ、利用者の好みに合わせた味付けに気を配って料理作りを行います。後片付けも生活援助に含まれます。利用者以外のための料理はできません。
洗濯は、洗濯物を洗濯し、干し、たたみ、たんすなどに戻すまでを行います。
掃除は、利用者の掃除の方法を把握しておき、掃除機や水拭きなどで掃除します。さらに日用品の整理なども行います。掃除用具はすべて利用者の所有する道具を使用し、ヘルパーが持参する必要はありません。こうした援助は利用者によって好みや方法が異なります。ホームヘルパーのやり方で行うのではなく、利用者が慣れた方法で行う必要があります。
生活必需品の買い物 〜概要・流れ・注意点〜
買い物は必要最低限のものを買うために、近所のお店での買い物に同行します。買い物は外出するための貴重な機会ですから、身体状況や障害の程度が許す範囲でなるべく外出することで、気分転換もできます。ただし、買い物の範囲はあくまで生活必需品に限られますから、嗜好品や趣味にかかわるものの買い物のみへの同行はできません。利用者以外の必要物の買い物もできません。
- 利用者さんの嗜好品(お酒やタバコ)を頼まれたら?
お酒やタバコは嗜好品のため、生活援助では行えません。さらに嗜好品として買い物ができないものには、宝くじやお中元、お歳暮の品なども代行で買い物に行くことはできません。もちろん、中にはタバコやお酒がなくてはならない必需品と感じる利用者もおられるとは思いますが、嗜好品の買い物は介護保険の範疇に入ってはいないのです。こうしたものの買い物を頼まれた場合は、丁重にお断りする必要があります。
訪問介護での薬の受け取り
利用者の身体状況によっては、薬局や病院などでの定期的な薬の受け取りを、利用者に代わり行います。その際には、必ず処方箋を持参する必要があります。
2.3. これって医療行為?介護職員ができる範囲とは?
では、医療現場でも行われているものの、ホームヘルパーも介護業務として行えるものとして、どんなものがあるのでしょうか。
- 服薬介助
- 軟膏の塗布
- 湿布の貼付
- 座薬の挿入
- 目薬を差すこと
- 軽い擦り傷・切り傷程度の処置
- 体温計での体温測定
- 血圧測定
- 酸素濃度測定器の装着
はできます。中でも、法律上医療行為となっているものの介護職が行える医療行為としては
- 耳かき
- 爪切り
- 歯ブラシ
- 口腔ケア
- ストーマにたまった排せつ物の除去
- 自己導尿補助
- カテーテルの準備
- 市販の浣腸機による浣腸
も行えます。ただし、介護職の主な仕事は直接介助、介護ですから他の業務とのバランスを保つ必要があります。
3. 先輩ホームヘルパーさんにインタビュー!
3.1. この仕事の魅力について教えてください!
3.2. 一日のスケジュールについて教えてください!
3.3. この仕事の大変なところについて教えてください!
3.4. サービス内容に含まれないことを利用者に頼まれたら?
3.5. クレームが入った場合は?その後の対応について教えてください!
クレームはないに越したことはありませんが、万一クレームが今後の成長の材料と前向きにとらえ、あまりくよくよ考えすぎないようにしています。
3.6. 働きやすい事業所の選び方について教えてください!
4. 最後に
4.1. 利用者を担当から外すことは可能か?
サービス提供時に生じる問題やストレスは、なるべく早い時点でサービス提供責任者に相談しましょう。一人で抱え込まず事業所に相談してみることで、対処方法を教えてもらうこともできるでしょう。あまりにストレスが大きく、サービスが過度の負担になるときには、サービスをお断りしたい旨をサービス提供責任者に事前に伝えることもできるでしょう。事業所ではこうした状況も想定して、人材を確保しているはずですから、精神的に追い詰められる前に早めに相談して、場合によっては担当から外してもらうこともできるでしょう。
4.2. まとめ
ホームヘルパーとは「お手伝いさん」や「家事代行」とも異なります。日々利用者さんや利用者さんのご家族と接する、人と接することが多い仕事であり、しかもそのすべての方々が何らかの援助を必要としています。身体や生活など範囲も多岐にわたる専門性の高いお仕事です。それだけに、技術の向上や、成長の余地がいくらでもある魅力的なお仕事と言えますね。また、ヘルパーの利用を考えている方々も、ホームヘルパーができること、できないことをよく理解し、上手に介護サービスを利用していきましょう。
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