介護ハラスメントの実態や現場の声は?対策も含めた徹底分析!
介護現場においてハラスメント対策が重要な課題となっています。ただでさえ、介護人材不足であるのにも関わらず職場の労働環境が整っていないことで離職者が増えてしまうためです。この問題の一因となっているのが、セクハラやパワハラといわれるハラスメント問題です。
今回は、このハラスメント問題が起きてしまう理由や原因について深く考察し、どのように対処していきべきかを解説していきたいと思います。現在、介護職についており利用者のハラスメントに悩んでいる方や、セクハラに対する対処方法がわからず転職しようか悩んでいる方に対してお役に立てればと思います。
1. 介護現場のハラスメント問題とその実態に迫る!
介護現場におけるハラスメント問題は大きく分けて二つ!
セクシュアル・ハラスメント
介護現場におけるセクシャル・ハラスメントの問題は社会問題化しており、どの職場にも共通している課題でありますが介護現場においてはより顕著となっております。介護現場におけるセクハラとは「性的な嫌がらせ」のことを意味しており、男性利用者が女性スタッフや、他の女性利用者に対して性的な言葉や行為を行うことを指します。 事実、施設に入所している利用者、介護スタッフによる車の送迎で施設に通う利用者、どちらも女性職員と直接接する機会が多いことから問題が発生しやすい原因となっています。
パワー・ハラスメント
また、セクハラと同様にパワハラも問題となってきています。男性利用者の中には、過去に会社経営者や学校の教職員など社会的立場の位が高い職についていた方がいます。そういった方々が自分の立場の優位性を誇示し、介護スタッフに対し精神的・身体的苦痛を与えることをパワハラといいます。
介護職員の中には、シングルマザーの方も多く、働ける職場が中々見つかりにくいことから比較的就職しやすい介護職につく場合が多々あります。男性利用者が女性スタッフとの関係が親密になるに従い、相手の学歴が乏しいことを理由に相手の嫌がることを言い困らせるケースが多発しています。
1.2. 「殴る蹴る」の暴行やみだらな要求も!
セクハラの事例
セクハラ問題における1つ目のケースが、送迎中に女性スタッフの身体に過剰にしがみついてくる場面です。 介護現場は人手不足な現場が多く、専属のドライバーを雇えない事業所も多々あります。そのため、会社へ出勤後すぐに送迎車に乗り利用者を迎えに行く現場も少なくありません。
高齢化している利用者は、杖を使い歩いていたり、車椅子に乗っていたりと状況は様々ですがどの方も足腰が衰えてきてしまっている方が多いです。しかし、その中にも比較的元気な方がおり過剰な介助を求めてくるケースがあります。車へ乗車する際の介助中に、女性スタッフの胸元を執拗に覗いたり、女性スタッフに対し意図的に身体を密着させてくることがあります。
2つ目のケースは、男性利用者が入浴介助中に意図的に性器を見せてくるケースです。 業務上、自立している利用者には陰部を自分で洗ってもらうことがルールとなっていますが、できないから洗ってほしいと訴える方や、陰部の具合が悪いから見てほしいなどといったケースが後を絶ちません。どちらのケースにおいても女性スタッフを非常に悩ませており現場の課題となっております。
パワハラの事例
パワハラ問題における1つ目のケースとしては 職員の言葉遣いが不適切な点が挙げられます。 元々会社の経営者や学校の教職員を経験してきた男性利用者に対して、職員が適切に敬語を使えていなかったり、信頼関係が築けていないと 怒りのあまり暴力を振るわれたり 叩かれることがあります。また 認知症を患っているケースでは 職員が発した言葉の意味を別のものと解釈してしまい混乱を招くケースがありそれが暴言や暴力に繋がっている可能性も考えられます。
2つ目のケースとしては、送迎や入浴の時間等に遅れが発生しこれに対し怒るケースがあります。 ただでさえ、人手が不足している介護現場においてスケジュール通りに業務が進まないことは度々あります。これに対して、時間に厳しい男性利用者からクレームとして声があげられ直接スタッフに怒鳴りつけることがあり、この行為が徐々にエスカレートしていく場合があります。
1.3. なぜハラスメントが起こるのか
ハラスメントが起きてしまう原因は様々あります。
ハラスメントの原因はストレス解消のため?
男性の利用者が家庭内で溜まっている不満を職員にぶつけるケースも多々あります。基本的には介護を受ける人は家族が何らかの事情で面倒を見れないことがほとんどです。身体的な問題の他にも精神的な問題により家族との人間関係が破綻してしまい不仲になってしまうことで施設に入所する場合や通うケースが多いです。
そのため介護職員としては身体の介護のみならず話を男性利用者の話を聞き家庭での悩みも引き出す必要があると思います。高齢化した男性利用者は頭は若くても衰えてきた自身の体を認識できず気持ちとしては若いままであると捉えているケースが多いです。
1.4. ハラスメント被害の多くは女性!
ハラスメント被害者の多くは女性であると言われています。現在の高齢者は世代的に男尊女卑・亭主関白という時代に育ってきた方が多くいます。そのため女性に対しては上から目線で話す人が多く言葉遣いが命令口調となっていることがあります。若い女性職員に対しては特にその傾向が強いと言えるでしょう。
7割以上がハラスメントの被害者に
介護職員でつくる労働組合「日本介護クラフトユニオン」が2018年4月~5月に実施した調査では、同組合員のうち7割がハラスメント被害を受けたことがあると答えました。 そして、その約9割が利用者から暴言などのパワハラを受け、4割がセクハラにあたる行為を受けたとありました。実際の現場でも多くのハラスメント被害が起きていることが分かります。
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2.1. 介護職の多くは女性
介護職員の多くを女性職員が占める理由としては、介護現場は賃金が安く家庭を支える男性職員が働きづらい環境にあります。そのため職場の男女比としては女性が圧倒的に多いため 被害の対象となる人も女性が多いという理由があります。 そのため被害者を減らすためにも企業側は賃金を上げたり男性職員が働きやすい環境を作っていく必要があると考えられます。
2.2. ハラスメント問題に対する介護士の声
ハラスメント問題に関する電話の声は男性利用者のことでクレームを上司に伝えると少々のことは我慢するようにとさとされるケースもあります。なぜならば、利用者が減ってしまうと会社に入る収益が減ってしまうためです。実際にはハラスメントに対して嫌ではあるものの職員が我慢していることもあります。介護の仕事自体は好きであるがあまりにもハラスメントが多いと集中して働くことができず苛立ちや不満が募ってしまうということも考えられます。
2.3. 介護士と利用者の負の連鎖
利用者自身の家庭内におけるストレスや精神的な面による不調とこれを受け入れる介護士との間でトラブルが発生することも考えられます。
2.4. ストレスで利用者への虐待に至るケースも
近年、テレビのニュースで話題になっているのがストレスを抱えた介護職員が利用者に対して暴力を働いてしまうケースです。
3. ハラスメント問題の対策を考える
3.1. ハラスメント問題は見過ごすべきなのか
私はハラスメント問題について見過ごしてはいけない問題だと捉えています。なぜならば利用者や職員の両方がストレスを抱えたまま接しなければいけないという問題があるからです。互いにストレスを抱えたままだと、職員であれば業務にいつしか支障が生じることが考えられますし、利用者も快くサービスを受けるのが難しいと思われます。
受け流して一人前という風潮
このような風潮もありますが実際問題そううまくはいきません。なぜならば介護を提供する側のスタッフも人であるためです。職員も心に 不安やモヤモヤを抱えたままでは決して良い仕事を行うことはできません。根本的な問題を解決するためには利用者本人が家族や自身の中で抱えている課題や悩みを見つけそこに関わっていく必要があると考えます。
認知症等で本人にその意思がない場合もある!
暴力や暴言に関して本人の性格以外にも認知症の症状として現れている場合があります。そのため本人に自覚がなく行動を起こしていることもしばしばあります。
3.2. 事業所に相談する
同姓介護にしてもらう
問題や衝突を避けるために同性介護で対応するというのも一つの手段です。あまりにも女性スタッフに対してセクハラな発言が目立つには女性スタッフの気持ちの面も考慮して 男性スタッフに帰る対応も取るべきです。男性であるからこそ悩みを打ち明けられるケースもあります。
3.3. 同僚に相談する
男性利用者が一人の職員に固執して好意を持っているケースがあります。悩みを一人で抱えず同僚に相談することで気持ちが晴れる場合があります。場合によっては他の女性スタッフのから協力を仰ぐことで自身の負担が減る場合もあります。シフトの調整対応の仕方、接し方、関わり方を変えることで解決の糸口が見つかる場合もあります。
3.4. 都道府県労働局雇用均等室に相談する
職場の上司に相談しても解決が難しい場合に、都道府県の労働局に相談することで解決のヒントが見つかることもあります。雇用均等室では、
- 男女雇用機会均等法
- 育児・介護休業法
- パートタイム労働法
に関する相談に応じており、内容に応じて、必要な行政指導や紛争解決援助を行っています。
相談から解決までの流れとしては、職場にて利用者からのセクハラやパワハラがあった場合に、都道府県労働局雇用均等室へ相談や情報提供を行います。紛争解決援助の場合には、都道府県労働局長による指導や調停会議による調停、事業主に対する法の基づく指導を実施しており、解決までのサポートを行っています。
4. いっそのこと職場を変えたい!という方に
4.1. おすすめ対処法
介護現場でハラスメント被害に遭われている人で、職場を変えたいと思っている方も多いかと思います。そんな場合は、一度冷静になりいくつかの対処法を試してみてはいかがでしょうか。
相談窓口
上司や都道府県の窓口へ相談するのが不安という方には、まずは身近な話しやすい職員に相談するのをオススメします。話しをすることで気持ちが落ち着き楽になることもあります。また、上司と仲の良い介護職員の場合には上司にかけあってくれることも考えられます。まずは一人で悩まずに周囲に打ち明けてみるのはいかがでしょうか。
部署変え
介護サービス事業を展開する会社においては、複数の事業所を運営し収益のバランスをとっている会社も多く見られます。例えば、同じ法人内であれば上司に相談をすることで、他部署への異動も検討してくれる場合があります。
業種変え
これは発想としては部署変えに近いのですが、介護員として働いている場合に生活相談員やサービス提供責任者として別の職種として雇用してもらう相談を上司してみる方法もあります。ただし、資格として介護実践者研修を修了していることや、社会福祉主事などの資格を求められることがあるため、雇用期間中に資格取得のために自己研鑽を積んでいる必要があるといえます。 また、法人内にそのポジションがあるかを常日頃から上司と会話から情報を集めておく必要があります。
転職
利用者と顔を合わせるのが辛い場合、ストレスで体調不良を起こしてしまった時、上司や都道府県の窓口に相談しても解決に至らない際には思い切って転職してしまうのも有りかと思います。
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