ソーシャルワーカーの年収はどのくらい?【職種・職位別、雇用形態別に紹介】

介護職仕事紹介
2023/01/13

ソーシャルワーカーという言葉を聞いたことはあるものの、あまりこの仕事について知らないという方もいるかもしれません。

本記事では、ソーシャルワーカーのお給料事情を分かりやすく解説するとともに、職種別の仕事内容も合わせてご紹介していきます。

ソーシャルワーカーのお給料事情

ソーシャルワーカーの給料といっても、働く場所や雇用形態によっても違ってきます。
今回は、ソーシャルワーカーの代表的な資格である社会福祉士をもとに、ソーシャルワーカーのお給料事情を確認していきましょう。

ソーシャルワーカーの平均年収は増加傾向にある!

平成27年度に発表された社会福祉士の平均年収は「377万円」でしたが、令和元年の調査では「403万円」となっており、26万円増加しています。
大幅な増加は見られないものの、社会福祉士の給料は確実に上がっていることが分かります。

参考元:社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士 就労状況調査(令和2年度)結果報告書(P.11)よりケアきょう作成

ソーシャルワーカーの正規職員と非正規職員では給与の差がある?

社会福祉士の平均年収は、雇用形態別で見るとどれほどの差があるのでしょうか?

下記の図で示されたように、正規職員の場合は「300万円以上400万円未満」と「400万円以上500万円未満」が全体の約半数を占めています。
また「600万円以上」も13.7%いることを考えると、正規職員であることは給料アップに重要と言えるでしょう。

参考元:社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士 就労状況調査(令和2年度)結果報告書(P.12)よりケアきょう作成

契約職員に関しては、「200万円以上300万円未満」と「300万円以上400万円未満」が半数以上ということで、やはり正規職員に比べると低くなります。

パートタイム職員の場合は、「103万円未満」が最も多い割合となっています。
働く時間が短いといった要因もあるでしょうが、パートタイム職員の給料は正規職員や契約職員に比べると、大きく下がることが分かります。

平均年収が最も高い職種は?(正規職員の場合)

以下の表は、社会福祉士の職種・職位別に平均年収を表したものです。

職種 平均年収(正規職員)
経営者・施設長・事務所管理者 559万円
主任・相談部門の長 499万円
介護支援専門員 386万円
地域包括支援センターの社会福祉士 392万円
障害者相談支援専門員 403万円
児童自立支援専門員 442万円
医療ソーシャルワーカー 391万円
スクールソーシャルワーカー 464万円
相談員 391万円
指導員 389万円
介護職員(ホームヘルパー含む) 354万円
支援員 376万円
事務職員 478万円
その他 462万円

参考元:参考元:社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士 就労状況調査(令和2年度)結果報告書(P.12,13)よりケアきょう作成

経営者や施設長などの管理職を除くと、事務職員(478万円)、スクールソーシャルワーカー(464万円)、児童自立支援専門員(442万円)の順で高くなっています。

事務職は、行政関係で働く方も含まれるため、その分平均年収も高くなっていると考えられます。

介護福祉士・精神保健福祉士との年収比較

では、社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士、それぞれの平均年収を比較してみましょう。

職種 平均年収(令和元年)
社会福祉士 403万円
介護福祉士 292万円
精神保健福祉士 404万円

参考元:社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士 就労状況調査(令和2年度)結果報告書

社会福祉士と精神保健福祉士は、行政機関で働くことで地方公務員扱いになるため、勤続年数や年齢とともに年収も上がっていく傾向にあります。

今後、日本の高齢化率が上昇するとともに、介護福祉士同様、社会福祉士のようなソーシャルワーカーの需要も高まることが予想されます。

ソーシャルワーカーの年収はどうすれば上がる?

ソーシャルワーカーの年収は、勤続年数によるベースアップが基本となるでしょう。
その他にも、役職に就いたり、別の資格を取得するなどして年収を上げることも可能です。

ここでは、ソーシャルワーカーが年収を上げる方法をご紹介します。

社会福祉士の資格手当をもらう

ソーシャルワーカーは、働く上での資格要件がありません。
そのため、無資格でも働くことは可能です。

しかし、勤務先の施設形態によっては、資格を求められる場合もあります。
例えば、病院の医療ソーシャルワーカーであれば社会福祉士、精神科の病院であれば精神保健福祉士が必要になるでしょう。

資格取得によって資格手当が支給され、給料アップにつながる可能性があります。
手当の額は職場によって違いますが、平均で1万円前後の給料アップが期待できます。

介護施設で管理職に就く

ソーシャルワーカーから管理職などの役職に就くことで、大幅な給料アップが可能です。
管理職になれば、基本給のベースが上がることはもちろん、役職手当も支給され、年収100万円以上のアップも十分可能でしょう。

介護施設であれば、ホーム長や施設長などの管理職になることで、月に数万円の手当が支給されます。
将来的に給料を上げていきたい人は、管理職を目指すのもひとつの方法でしょう。

副業

給料のアップの方法として、副業も一つの選択肢になります。
介護施設の場合だと、ソーシャルワーカーは相談業務がメインなので、別の時間を現場の介護職をすることで副収入を稼ぐことができます。

その他にも、現場経験を活かしたライター業務であったり、新たなスキルとしてプログラミングなどを学び、パソコン一つで稼ぐスキルを身に付けておくのも効果的です。

副業をする場合は、職場の許可がいる場合もあるので、就業規則などを事前に確認しておきましょう。

独立して開業する

介護施設や福祉事務所を開業することで、上手くいけば高収入を得ることができ給料アップにつながります。
しかし、開業資金や経営マネジメント力が必要であるなど、簡単にできるものではありません。

また、会社に雇われている場合であれば、働いた時間分は給料を貰えますが、自分で開業する場合は完全に成果給です。
利益を出さなければ、赤字になるというリスクがあるということを理解した上で開業するようにしましょう。

ソーシャルワーカーの主な職種と仕事内容は?

ソーシャルワーカーといっても色々な職種があります。
対象年齢も、子どもから高齢者までと、幅広い年代の方々をサポートしています。

ここでは、ソーシャルワーカーの主な職種と仕事内容を紹介していきます。

生活相談員

生活相談員は、主に介護施設などで利用者様や家族からの相談を聞き、関係機関をはじめとした社会資源を活用して、課題の解決に導く役割を担っています。

ここである介護施設の生活相談員の1日のスケジュールをご紹介します。

時間 内容
9:00
(出勤)
出勤したら前日までの利用者様の記録や、家族からの連絡があったかどうかの確認をします。
そこから、その日のスケジュールを立てます。生活相談員は基本的に、自分でその日のスケジュールを決めることが多く、タイムマネジメント力も求められます。
10:00
(情報収集)
生活相談員は現場の介護はしませんが、実際に利用者様と関わり、体調などを聞くことも大切な仕事です。介護職からの報告だけでなく、自分の目で確かめることで家族へ連絡する際に、よりスムーズに状況を伝えることができます。
12:00
(休憩)
昼休憩
13:00
(面会対応)
利用者だけでなく、家族との関わりも非常に重要です。面会や連絡があった際には、日常で感じたことや体調変化などを伝えるようにしています。
14:00
(入居案内)
入居希望者や見学者の対応も、生活相談員の仕事の一つです。施設内を案内したり、利用者様の生活の様子などを丁寧に説明しています。
17:00
(記録や連絡)
もしその日に急変や体調不良の方がいれば、速やかに家族へ連絡をします。また、介護施設においては多職種連携が大切で、生活相談員は部署間を繋ぐ役割も担っています。
18:00
(退勤)
業務終了

児童福祉司

児童福祉司は児童相談所で配置が必須となっている職種で、児童の保護や福祉に関する中心的役割を担っています。

具体的な仕事内容は、子どもの安全確保はもちろん、その保護者や関係者などからの相談にも応じ、子どもを取り巻く環境を調整していくことです。
また、子ども一人一人に合った援助を考えることも大切な仕事の一つです。

医療ソーシャルワーカー

医療ソーシャルワーカーの主な活動場所は病院です。
患者や家族に地域の公的窓口や医療・福祉機関を紹介し、必要なサービスを受けられるようサポートします。

その他にも、 家族からの相談を受けて、家族の不安軽減や経済的問題への対応を支援していきます。

精神科ソーシャルワーカー

精神科ソーシャルワーカーの活躍場所は主に医療機関になりますが、その他にも行政機関やサービス支援事業所などがあります。

仕事内容は、精神疾患の方やその家族の生活上の相談に対応し、社会生活に関する助言や指導、援助を行うことが主な役割です。

スクールソーシャルワーカー

スクールソーシャルワーカーは、教育機関に配置されており、問題を抱えた児童生徒に対し積極的に介入したり、関係機関とのネットワークを活用するなど、多様な支援方法を用いて、課題解決を図る役割を担っています。

また、現代の社会問題になっているヤングケアラーに対しても、スクールソーシャルワーカーは重要な存在として位置付けられています。

参考元:厚生労働省・文部科学省における ヤングケアラー支援に係る取組について

ケースワーカー

ケースワーカーの主な勤務先は、福祉事務所です。
仕事内容に関しては、身体上・精神上・社会上などの理由によって、生活上で困難を抱えている方々の相談に乗り、課題解決のために適切な支援を行うことです。

支援の対象者が、病気を抱えた高齢者や児童、生活保護の方など多岐に渡り、多様で複雑な課題に対して、柔軟に対応できる能力が必要な仕事と言えます。

ソーシャルワーカーに必要な資格はある?

ソーシャルワーカーは資格がなくても仕事は可能ですが、求められる資格として「社会福祉士」「精神保健福祉士」、任用資格である「社会福祉主事」などがあります。

年収アップはもちろん、こういった資格を応募の条件にしている場合もあるので、ソーシャルワーカーとして柔軟に働くためにも資格取得を目指すのがいいでしょう。

以下の記事では、ソーシャルワーカーに必要な資格の取得方法などを解説しているので、参考にしてみてください。

▼参考記事

社会福祉士

社会福祉士は、ソーシャルワーカーの代表的な資格です。
相談援助の専門家である照明になるだけじゃなく、職場によっては生活相談員をする際の必須要件となっている場合もあります。
実際の業務だけでなく、転職などのキャリアアップにも役立ちます。

参考元:社会福祉振興・試験センターホームページ

資格を取得するためには「4年生の福祉系大学で定められた課程を修了する」もしくは「福祉系の短大で定められた課程を修了後、実務経験を積む」などにより、社会福祉士の受験資格を得てから国家試験に合格する必要があります。

また、現在資格なしで相談員の仕事をしている方、もしくはケアマネをされている方などは、「相談援助の実務経験4年+一般養成施設等で必要カリキュラムを履修」というルートで、社会福祉士の受験資格を得ることも可能です。

精神保健福祉士

精神保健福祉士は、医療ソーシャルワーカーや精神科ソーシャルワーカー、スクールソーシャルワーカーを目指す人におすすめの資格です。
精神障害を抱える方の援助を行う仕事で、精神科ソーシャルワーカーの必須資格となっています。

資格の取得ルートは、社会福祉士と同様に「4年生の保健福祉系大学で定められた課程を修了する」もしくは「保健福祉系の短大で定められた課程を修了後、実務経験を積む」などがあります。

参考元:社会福祉振興・試験センターホームページ

スクールソーシャルワーカーをする場合も、資格要件に入ってることがあるので、取得しておいた方がいいでしょう。

その他の資格

その他の資格では、任用資格である社会福祉主事があります。
各自治体の福祉事務所に配置され、社会福祉によるサポートを行う職種です。

任用資格ということで、取得するだけでは効力を発揮せず、資格取得後に地方公務員試験に合格し、実際に福祉事務所で働いてはじめて「社会福祉主事」を名乗ることが可能となります。

無資格

先ほども述べたように、ソーシャルワーカーは必ずしも資格が必要というわけではありません。
理由としては、資格の有無よりも経験や人間性を重視する仕事だからでしょう。

しかし、資格があることで間違いなく仕事の幅は広がりますし、職場の資格要件になってることもあります。
ソーシャルワーカーとして働くのであれば、ここで紹介したような資格を取得しておいて損はないでしょう。

ソーシャルワーカーのあれこれ

最後に、ソーシャルワーカーの満足度や職場の探し方、将来性などについて解説していきます。

これからソーシャルワーカーを目指す人に役立つ情報になっているので、ぜひ参考にしてみてください。

仕事の満足度が高い職種は?

以下、社会福祉士の就労調査で、仕事の内容とやりがいに対する満足度調査の結果です。

職種 満足 やや満足
経営者 66.5% 21.0%
施設長・事務所管理者 36.2% 39.5%
主任・相談部門の長 29.5% 42.6%
介護支援専門員 25.5% 37.4%
地域包括支援センターの社会福祉士 29.5% 42.4%
障害者相談支援専門員 32.8% 42.0%
児童自立支援専門員 31.6% 38.2%
医療ソーシャルワーカー 22.0% 42.0%
スクールソーシャルワーカー 40.7% 39.8%
相談員 23.2% 39.9%
指導員 26.2% 41.1%
介護職員(ホームヘルパー含む) 13.2% 33.7%
支援員 21.1% 39.7%
事務職員 18.0% 36.4%
その他 25.4% 37.5%

経営者に関しては、自ら運営していることもあり、7割近くの人が仕事に満足している等です。

実際にソーシャルワーカーとして働いている方々を見てみると、「スクールソーシャルワーカー」が8割以上の人が、仕事に対して満足しています。
「医療ソーシャルワーカー」や「相談員」の場合でも、6割以上の方が満足、やや満足と答えています。

以下の結果報告書では、仕事の内容以外も給与や人間関係、勤務形態など項目別に満足度を調査した結果が載っているので、参考にしてみてください。

参考元:社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士 就労状況調査(令和2年度)結果報告書(P.16〜18)

現在の職場をどうやって探した?

以下の表は、「現在の職場を探した方法」のアンケート結果です。(令和2年度)

現在の職場を探した方法 回答人数
(人)
割合
(%)
福祉人材センターの無料職業紹介 3,799 4.8
ハローワークの無料職業紹介 14,503 18.7
民間の職業紹介、就職情報誌、求人チラシ、求人情報サイト等 10,418 13.4
法人・会社の求人(就職説明会等) 7,236 9.3
行政広報誌(区報・市報等) 5,906 7.6
学校・養成施設等での進路指導 8,436 10.9
実習・施設見学・ボランティア 4,256 5.5
前の職場からの紹介 2,520 3.2
友人・知人からの紹介 16,777 21.6
その他 12,987 16.4

「友人・知人からの紹介」が21.6%と最も高く、次いで「ハローワークの無料職業紹介」が18.7%、「民間の職業紹介、就職情報誌、求人チラシ、求人情報サイト等」が13.4%となっています。

知り合いからの紹介ということで、職場の雰囲気がより詳しく分かることを考えると、信頼性が高いと言えるのでしょう。

参考元:社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士 就労状況調査(令和2年度)結果報告書(P.15)よりケアきょう作成

ソーシャルワーカーの将来性は?

日本は今後さらに高齢化率が高まり、世界的に見ても最も高齢者の割合が高い国となっています。
その他の社会福祉問題である、精神疾患の患者の増加や生活保護世帯の増加、子どもの貧困などを考えると、ソーシャルワーカー需要はますます高まることが予想されます。

需要の高まりという面では、将来性があると言えますが、その分仕事の内容は多様化し過酷になっていくことも考えられます。
待遇面の改善を期待しながら、福祉現場での経験を積んで仕事の幅を広げておくことが、ソーシャルワーカーとしての将来性を自分自身で高めることに繋がるでしょう。

まとめ

今回はソーシャルワーカーのお給料事情から資格取得、将来性などを解説してきました。

ソーシャルワーカーの年収は増加傾向にあるものの、まだまだ十分な金額とは言えません。
その中で、資格を取得したり役職に就くなどすることで、確実に年収をアップさせることができます。
資格に関しては、働く職場によって違いますが、主に「社会福祉士」や「精神保健福祉士」といった資格の取得を目指すのがいいでしょう。

ソーシャルワーカーのニーズは、今後ますます高まることが考えられます。
子どもから高齢者まで幅広い年齢の方々を対象としているため、働き方も多様化しています。

本記事を参考に、ソーシャルワーカーとしての自分自身に合ったキャリアプランを考えておきましょう。

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