実務者研修が免除になる方法は?費用面や受講科目の免除制度を分かりやすく解説
「実務者研修って科目や時間の免除制度ってあるの?」
「免除制度を利用して働きながら資格取得はできるの?」
本記事は、以上のような疑問を解決する内容になっています。
これから介護の仕事を始めたい人、今介護士をしていて実務者研修の資格取得を考えている人には特に役立つ内容なので、ぜひ最後まで読んでみてください。
実務者研修の免除制度とは?
実務者研修を取得する際、保有資格により科目が免除されたり、お得な制度で費用が免除されたりします。
主な実務者研修の免除制度は、以下のとおりです。
- 保有資格による科目や時間免除の詳細
- 費用面の免除で無料で資格取得する方法
- 介護福祉士の実技試験免除について
時間も費用も短く、できるだけ負担を少なくして実務者研修を受講したい人は、本記事で紹介する免除の仕組みを理解して、効率的に資格を取得しましょう。
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ケアきょう求人・転職の無料相談保有資格によって免除されることとは?
実務者研修は、無資格で介護の経験がなくても誰でも受講できます。
その場合は、20科目450時間の研修を受ける必要があります。期間にすると6ヶ月ほどかかります。
例えば、すでに介護職員初任者研修を修了している人であれば、450時間のうち130時間が免除になり、期間も通常よりも2ヶ月早い4ヶ月程度で取得可能です。
ここでは、保有資格別の科目や時間の免除を解説しているので、申し込む際の参考にしてみてください。
保有資格別の受講科目と時間の免除一覧
科目 | 無資格 | 介護職員基礎研修 | 介護職員初任者研修 | ホームヘルパー1級 | ホームヘルパー2級 |
---|---|---|---|---|---|
人間の尊厳と自立 | 5時間 | ★免除 | ★免除 | ★免除 | ★免除 |
社会の理解Ⅰ | 5時間 | ★免除 | ★免除 | ★免除 | ★免除 |
社会の理解Ⅱ | 30時間 | ★免除 | 30時間 | ★免除 | 30時間 |
介護の基本Ⅰ | 10時間 | ★免除 | ★免除 | ★免除 | ★免除 |
介護の基本Ⅱ | 20時間 | ★免除 | 20時間 | ★免除 | ★免除 |
コミュニケーション技術 | 20時間 | ★免除 | 20時間 | ★免除 | 20時間 |
生活支援技術Ⅰ | 20時間 | ★免除 | ★免除 | ★免除 | ★免除 |
生活支援技術Ⅱ | 30時間 | ★免除 | ★免除 | ★免除 | ★免除 |
発達と老化の理解Ⅰ | 10時間 | ★免除 | 10時間 | ★免除 | 10時間 |
発達と老化の理解Ⅱ | 20時間 | ★免除 | 20時間 | ★免除 | 20時間 |
認知症の理解Ⅰ | 10時間 | ★免除 | ★免除 | ★免除 | 10時間 |
認知症の理解Ⅱ | 20時間 | ★免除 | 20時間 | ★免除 | 20時間 |
障害の理解Ⅰ | 10時間 | ★免除 | ★免除 | ★免除 | 10時間 |
障害の理解Ⅱ | 20時間 | ★免除 | 20時間 | ★免除 | 20時間 |
こころとからだのしくみⅠ | 20時間 | ★免除 | ★免除 | ★免除 | ★免除 |
こころとからだのしくみⅡ | 60時間 | ★免除 | 60時間 | ★免除 | 60時間 |
介護過程Ⅰ | 20時間 | ★免除 | ★免除 | ★免除 | ★免除 |
介護過程Ⅱ | 25時間 | ★免除 | 25時間 | ★免除 | 25時間 |
介護過程Ⅲ | 45時間 | ★免除 | 45時間 | 45時間 | 45時間 |
医療的ケア | 50時間 | 50時間 | 50時間 | 50時間 | 50時間 |
合計 | 450時間 | 50時間 | 320時間 | 95時間 | 320時間 |
医療的ケアの演習は含まれていません
介護職員初任者研修と介護職員基礎研修については、以下のケアきょうYouTubeと、関連記事で分かりやすく解説しています。
▼参考記事
介護職員基礎研修はどんな資格?初任者研修・実務者研修・介護福祉士との違いも解説
科目と時間の免除で費用も安くなる?
実務者研修を受講する際、保有資格によって科目と時間が免除されることで、費用も通常より安くなります。
以下、実務者研修の費用の相場です。(保有資格別)
無資格 | 介護職員基礎研修 | 介護職員初任者研修 | ホームヘルパー1級 | ホームヘルパー2級 |
---|---|---|---|---|
10万〜20万 | 3万〜5万 | 10万〜15万 | 5万〜10万 | 10万〜15万 |
介護職員基礎研修を持っている方であれば、かなりお得に受講できます。
また、スクールによって割引率やキャンペーンなども異なるので、詳しくは自分が通いたいスクールに直接問い合わせてみましょう。
お得な制度を利用した費用面の免除について
保有資格による免除や、スクールの割引制度以外にも、実務者研修をお得に受講する方法があります。
ここでは、ハローワークや自治体、職場のお得な制度を利用し、費用を全額免除(無料)で実務者研修を受講する方法をご紹介します。
ハローワークの職業訓練等を利用する場合
ハローワークには、以下2つの職業訓練があります。
- 公共職業訓練:失業保険の受給資格がある人
- 求職者支援訓練:失業保険の受給資格がない人
このようなハローワークの職業訓練を利用すれば、実務者研修の費用が免除され無料で取得できます。
ただ、職業訓練には選考試験があり、誰でも必ず利用できるわけではありません。
「職業訓練」について詳しく知りたい人は以下の動画や、厚生労働省の公式サイトで確認してみてください。
各自治体が実施する資格取得支援を利用する場合
その他にも、各自治体の資格取得支援制度を利用することで、実務者研修を無料で取得できます。
例えば、東京都の「実務者研修施設在学者向け修学資金貸付事業」です。
対象者や内容は以下のとおりです。
- 東京都の区域内に住民登録している
- 東京都の区域内の実務者研修施設に在学中
- 資格取得後に東京都の区域内の介護施設等に従事する意志がある
- 貸付金は最大20万円で無利子
貸付金となっていますが、実務者研修修了後に国家資格である介護福祉士を取得し、その後2年間、介護施設等で継続的に働けば返還は全額免除になります。
今後介護業界で頑張っていこうと考えてる人で、介護福祉士へのキャリアアップを考えてる人であれば、必然的に返還免除になり無料で実務者研修を無料で取得可能です。
参考:東京都社会福祉協議会「実務者研修施設在学者向け修学資金貸付事業」
東京都以外にも各自治体で似たような制度があるので、詳しくは最寄りの市役所等に問い合わせてみましょう。
職場の研修や資格取得支援を利用する場合
実務者研修の費用を免除してもらう方法は、職場にもあります。
具体的な方法は以下の2つです。
- 職場の資格取得支援制度を利用する
- 職場が主催の実務者研修の講座に参加する
筆者も以上の方法で、資格を無料で取得した経験があります。
ただ一つ注意点があり、職場の資格取得支援制度を利用した場合、資格取得後1年〜2年は勤続しないと会社が負担した費用を返還しなければいけません。
実務者研修を取得し、今の職場でキャリアアップを考えているのであれば、ぜひとも利用したい制度と言えるでしょう。
実務者研修を取得することで介護福祉士の実技試験も免除になる?
通常、介護福祉士の国家試験は「筆記試験」と「実技試験」があります。
実務者研修を取得すれば、実技試験は免除になり、筆記試験のみで介護福祉士を取得できます。
筆記試験を突破すれば、ほとんどの人が実技試験も合格しますが、免除になればその分負担も減るので大きなメリットと言えます。
また一度実務者研修を修了すれば、仮に介護福祉士の国家試験に落ちたとしても、翌年以降も実技試験は免除されるので心配はいりません。
免除制度を活かして働きながら実務者研修を取得する方法
今回ご紹介した実務者研修の免除制度を活用して、働きながら資格を取得する方法を筆者の経験も交えながらご紹介します。
現在、介護施設等で働いている人はもちろん、これから働きながら実務者研修を取得した人には参考になる内容です。
▼参考記事
実務者研修の最短取得期間は?介護福祉士取得までのスケジュールも解説!
保有資格を確認し受講不要な科目を把握する
まずは、現時点で自分が持っている資格と、それによって免除になる科目や時間数を把握しましょう。
以下、主な保有資格と必要な学習期間です。
- 無資格:約6ヶ月(450時間)
- 介護職員初任者研修:約4ヶ月(320時間)
- 介護職員基礎研修:約2ヶ月(50時間)
無資格であれば半年ほどかかるので、申し込みの際には余裕を持ったスケジュールを計画しましょう。
実務者研修が無料になる制度が利用可能か確認する
続いては、無料になる制度が利用可能か確認しましょう。
現時点ですでに介護施設等で働いている場合は、職場の取得支援制度を利用する形になります。
これから介護施設等で働こうと考えている場合は、ハローワーク経由で職業訓練を利用してもいいですし、就職予定先の資格取得支援制度についてあらかじめ聞いておくといいでしょう。
ハローワークの職業訓練を利用する場合は、雇用保険が発生しないように週20時間以下の労働制限や、給付金の条件である収入が月8万円以下など、いくつか制約があります。
したがって、働きながら職業訓練で実務者研修を受講する際は注意が必要です。
詳しくは、最寄りのハローワークに問い合わせてみましょう。
通信講座を活用しスクーリングを最低限に収める
働きながら実務者研修を受講する際は、通信講座を活かして通学を最低限に抑えましょう。
なぜなら、働きながら講座を受講する際は、休日を利用して通学する必要があるからです。
仮に週2回の休みで、両日とも通学すると、その分体力的な負担も大きくなります。
どちらか1日でも通信学習で自宅で受講できれば、通学の時間や負担も減らせます。
通学の方が対面で学べるというメリットはありますが、働きながら受講する場合は圧倒的に通信学習を活用することをおすすめします。
実務者研修に関するよくある質問
最後に、実務者研修に関するよくある質問にお答えしていきます。
当たり前のことも含まれていますが、改めて知ることで、ぜひ実務者研修を受講する際の参考にしてみてください。
実務者研修については、以下の動画で分かりやすく解説しています。
実務者研修取得までの日数はどれくらいですか?
A. 厚生労働省が定める「実務者研修の指定基準」では、教育機関が6ヶ月、450時間以上と定められています。
その中で、通学が必要なスクーリングは最低でも7日間からです。
仮に通学は1日8時間、通信を1日4時間と想定すると、107日間が必要です。
通信学習に関しては、期限があるものの自分のペースで学習することが求められます。
必要日数よりも、毎日1時間でも少しずつ学習を継続していくことが大事になってくるでしょう。
実務者研修の自宅学習は何時間必要ですか?
A. 前述からも分かるように、自宅学習はおよそ400時間です。
6ヶ月を180日で計算すると、1日2.2時間の自宅学習が必要です。
ちなみに介護職員初任者研修を取得していれば、自宅学習は280時間ほどで済みます。
働きながら計画的に自宅学習を進めるためには、スケジュール管理はもちろん、自分自身の体調管理も大切と言えるでしょう。
実務者研修のスクーリングは何日ありますか?
A. 必要日数の箇所でも触れたように、実務者研修のスクーリングが最低でも7日間からです。
これはスクールによって異なり、平均すると7日間〜10日間のスクーリングが多くなっています。
ちなみに、スクーリングで学ぶのは以下の2科目です。
- 介護課程Ⅲ(講義と演習)
- 医療的ケア(講義と演習)
それまでの講義で学んだ知識と技術によって介護課程を展開し、介護計画から適切なケアを実施していく段階に入ります。
実務者研修に落ちることはありますか?
A. 実務者研修で修了試験に落ちても大丈夫なの?って思う方もいると思いますが、落ちることはほとんどないので心配はいりません。
もちろん何もしないで修了できるわけではなく、理解度が低いと判断されれば追試が待っています。
実務者研修の取得に特別な学習は必要なく、講義の内容や課題を確実に理解しながら進めていけば、まったく問題ありません。
そのため、途中で分からないことが出てきた場合は、遠慮せず講師の方に質問して、なるべく早く疑問点を改善しましょう。
実務者研修を途中で諦めそうになった場合はどうすればいいですか?
A. 実務者研修の学習期間は、無資格の場合だと6ヶ月と長期間となっています。
そのため、モチベーションの維持に苦労したり、途中でやる気がなくなって諦めそうになる人も出てきます。
そんな時には、以下のような意識を持つといいでしょう。
- とにかく焦らないこと(振替受講などを活用しマイペースに受講する)
- 週に1日〜2日は休養日を設ける(実務者研修の学習をしない日)
- 介護福祉士のために必要だからと割り切ることも大事
最も良くないことは、完全に辞めてしまい今までの学習を無駄にすることです。
途中で学習が嫌になったら、一度休んで再開するなど、とにかく完全に辞めないことを意識しましょう。
まとめ
今回は、以下の実務者研修に関する主な免除制度を紹介しました。
- 保有資格による科目や時間の免除
- 科目や時間の免除によるお得な費用
- ハローワークの職業訓練によ費用免除
- 自治体や職場の資格取得支援制度による費用免除
- 介護福祉士国家試験の実技試験免除
以上のような仕組みを理解し活用することで、実務者研修をお得な費用で受講できます。
さらには働きながら資格取得を目指す方の、負担を軽減する効果も期待できます。
ぜひ本記事を参考に、実務者研修の免除制度を存分に活用してください。
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