実務者研修の費用とお得に取得する方法を分かりやすく解説【介護福祉士監修】

資格取得
2022/12/19

実務者研修の費用は、一律いくらか決まっているわけではなく、利用するスクールや方法によって異なります。

本記事では、実務者研修の費用の相場や、お得な費用または無料で取得する方法を紹介しています。
ぜひ、これから実務者研修を取得する際の参考にしてください。

実務者研修については、以下の動画で分かりやすく解説しています。

実務者研修の費用はいくらかかる?

実務者研修の費用は、相場で言うと10万〜20万円ほどです。
ただ、保有資格や利用するスクールによって金額は異なります。

また、職場や自治体でさまざまな資格取得に関する支援制度があり、条件を満たせば無料で実務者研修の資格を取得可能です。

まずは今現在持っている資格が、実務者研修の免除制度に当てはまるか確認することと、職場やお住まいの自治体で、資格取得支援制度が利用できるか相談することが大切です。

実務者研修のスクールに関しても、全国各地で開講しているため、ネットで「実務者研修 〇〇(あなたの住む地域名)」を検索して費用や内容を確認してみましょう。

保有資格によって費用や内容に差がある

前述のとおり、実務者研修の費用は保有資格によって異なります。
さらに、費用だけでなくカリキュラムも一部免除されるため、無資格で受講するよりも短い期間で取得可能です。

ここでは、保有資格による費用や内容の差を具体的に紹介していきます。

以下の記事では、資格を持つことで実務者研修の最短取得期間を解説しているので、参考にしてください。

▼参考記事

無資格の場合

無資格で実務者研修を受講する場合は、20万円近くかかるため決して安いとは言えない値段です。
ただ、現在無資格で将来的に介護福祉士の資格取得を目指しているのであれば、最初から実務者研修の取得をおすすめします。

なぜなら、介護職員初任者研修の資格を取得してから実務者研修を受けても、トータルの費用や時間は変わらないからです。

介護未経験で、まずは介護の基本を分かりやすく学びたい場合や、介護福祉士を取得する予定がない場合以外は、実務者研修のみを取得すればいいでしょう。

介護系の資格を持っている場合

免除の対象となる介護系の資格を持っている場合は、その分費用もやすくなっています。

以下、保有資格別の免除されるカリキュラムや、費用の相場の一覧表です。

科目 無資格 介護職員基礎研修 介護職員初任者研修 ホームヘルパー1級 ホームヘルパー2級
人間の尊厳と自立 5時間 ★免除 ★免除 ★免除 ★免除
社会の理解Ⅰ 5時間 ★免除 ★免除 ★免除 ★免除
社会の理解Ⅱ 30時間 ★免除 30時間 ★免除 30時間
介護の基本Ⅰ 10時間 ★免除 ★免除 ★免除 ★免除
介護の基本Ⅱ 20時間 ★免除 20時間 ★免除 ★免除
コミュニケーション技術 20時間 ★免除 20時間 ★免除 20時間
生活支援技術Ⅰ 20時間 ★免除 ★免除 ★免除 ★免除
生活支援技術Ⅱ 30時間 ★免除 ★免除 ★免除 ★免除
発達と老化の理解Ⅰ 10時間 ★免除 10時間 ★免除 10時間
発達と老化の理解Ⅱ 20時間 ★免除 20時間 ★免除 20時間
認知症の理解Ⅰ 10時間 ★免除 ★免除 ★免除 10時間
認知症の理解Ⅱ 20時間 ★免除 20時間 ★免除 20時間
障害の理解Ⅰ 10時間 ★免除 ★免除 ★免除 10時間
障害の理解Ⅱ 20時間 ★免除 20時間 ★免除 20時間
こころとからだのしくみⅠ 20時間 ★免除 ★免除 ★免除 ★免除
こころとからだのしくみⅡ 60時間 ★免除 60時間 ★免除 60時間
介護過程Ⅰ 20時間 ★免除 ★免除 ★免除 ★免除
介護過程Ⅱ 25時間 ★免除 25時間 ★免除 25時間
介護過程Ⅲ 45時間 ★免除 45時間 45時間 45時間
医療的ケア 50時間 50時間 50時間 50時間 50時間
合計 450時間 50時間 320時間 95時間 320時間
費用の相場 10万〜20万 3万〜5万 10万〜15万 5万〜10万 10万〜15万

医療的ケアの演習は含まれていません

実務者研修のスクールによって費用に差がある理由

実務者研修の講座は、多くのスクールが開講しており、費用やお得なキャンペーンなどスクールによってさまざまです。

ここでは、実務者研修の基本的なカリキュラムの内容は同じであるにも関わらず、費用面に差が出る理由を解説していきます。
ぜひ、最寄りのスクールを探す際の参考にしてみてください。

スクールを開講する場所の影響

都市部であるか地方であるかなど、スクールを開講する地域によって金額に差があります。
都会であれば、場所を確保する家賃なども高くなるため仕方ないことでしょう。

また、通学に便利な駅から近い場所なども、同様の理由で高い傾向です。

逆に駅から遠かったり、比較的通学に不便な田舎などに開講している場合は、費用も安い傾向にあるため、通学手段に制限がない人は遠くても安いスクールを選ぶといいでしょう。

カリキュラムやスケジュールの柔軟性

実務者研修のカリキュラムは、受講するコース別にあらかじめ日程が決まっています。
そのため、もし欠席した場合は振替受講という形で、別の日に受講できるようになっています。

多くの施設では、振替受講が無料ですが、格安スクールだと振替受講ができなかったり、追加料金がかかる場合があるので注意しましょう。
大手のスクールであれば問題ありませんが、あまりにも費用が安く聞いたことないスクー雨の場合は、申し込み前に必ず確認しておきましょう。

サポート体制の充実度

スクールによっては、研修修了後に求人の紹介や面接対策など、就職面でのサポートをしてくれます。
そういったサポート面の充実度が、費用にも反映されていると言えるでしょう。

こちらも先ほどの振替受講と同様に、申し込み前に確認することをおすすめします。
値段が安いため申し込んだが、期待していたサポートが受けられなかったということも考えられます。

提示されている値段だけでは、サポートの内容などは分からないので、事前相談は必ずしておきましょう。

実務者研修以外の事業展開

実務者研修を開講している運営元が、他の事業も展開している場合は費用が安い傾向にあります。
なぜなら、他事業からの収益もあるため、スクール一本の運営より経済的に余裕があるからです。

例えば、介護施設や介護の人材派遣を運営してる企業が、実務者研修のスクールを開講してる場合もあります
こういったスクールでは、研修修了後に自社施設への就職を条件に、お得な金額で受講案内をするなど工夫しています。

キャンペーンや割引制度など

実務者研修には、以下のようなキャンペーンや割引制度があります。

  • 友人紹介割引制度
  • 春のキャリアアップキャンペーンで4万円割引
  • 資格応援サマーキャンペーン30%OFF
  • 秋の応援キャンペーンで40%OFF
  • 介護福祉士直前キャンペーンで20%OFF
  • 運営元の施設に就職すると受講料0円

など。

紹介したキャンペーンの例からも分かるように、スクールは何かしらのキャンペーンを実施しています。
40%以上であれば比較的お得であることを参考に、自分のタイミングでキャンペーンを利用してみましょう

使用教材や学習スタイルの違いなど

スクールによって講座の内容はほとんど差はありませんが、使用教材には違いがあります。
また、通学メインか通信と併用かで費用も変わってきます。
通学よりも通信と組み合わせたほうが、費用も安くなります

多くの人が働きながら実務者研修を受講するので、通学よりも通信を選ぶほうがいいでしょう。
費用も抑えられ、通学の時間も削減できるので特にこだわりがなければ、通学+通信の学習スタイルを選ぶことをおすすめします。

自社施設の有無によるもの

実務者研修を開講するスクールが、自社の学習施設の有無によっても費用に違いが出てきます。

自社施設がない場合は、レンタルスペース等を利用して講座を開講しているため、レンタル料が受講費用にも反映します。
当然、自社の学習施設を使用するほうが費用を抑えられるでしょう。

大手のスクールや、介護施設等を運営している法人の場合は、専用の学習施設を所有していることが多く、受講費用も比較的安くなっています。
また、キャンペーンの割引などもよりお得な傾向にあるので、参考にしてみてください。

実務者研修のスクールを選ぶ際のポイントは?

実務者研修のスクールによって費用が違う理由をお伝えしました。
では、どういったスクールを選べばいいのでしょうか。

ここからは、実務者研修のスクールを選ぶ際のポイントを解説します。
自分が優先するポイントを確認しながら、最適なスクールを選びましょう。

実務者研修の費用が高すぎないか?

実務者研修の費用の相場は、以下のとおりです。(保有資格別)

無資格 介護職員基礎研修 介護職員初任者研修 ホームヘルパー1級 ホームヘルパー2級
10万〜20万 3万〜5万 10万〜15万 5万〜10万 10万〜15万

上記の費用を参考にすると、無資格で実務者研修を受講する際に20万円近い、またはそれ以上の金額の場合は高いと言えます。
資格を持っている場合は、資格による科目や費用の免除が確実にされているか確認してください。

その他、キャンペーンなどを利用せず定価で受講すると費用も高くなるので、事前に割引制度の有無や実施状況を把握しておきましょう。

実務者研修のスクーリングが通いやすい場所にあるか?

実務者研修は、少なくても1週間から10日ほどのスクーリングが必要です。
そのため、通学しやすい場所にあるかという点も、スクールを選ぶ際の大事なポイントです。

駅近や都市部などは通学しやすい反面、費用が高くなる傾向にあるので、優先順位を考え自分に合ったスクールを選ぶことが重要です。

家から近く自転車でも行ける距離であったり、車で通学しやすい場所であれば、立地の利便性は特に気にする必要はないでしょう。

受講スタイルは合っているか?

実務者研修は、通学メイン、または通学と通信を組み合わせたどちらかの受講スタイルがあります。
それぞれのメリット、デメリットは以下のとおりです。

通学メインのコース 通学+通信コース
メリット ・疑問点をすぐに講師に聞ける
・仲間と時間や場所を共有できる
・自宅よりも集中しやすい環境
・自分のペースで受講しやすい
・通学の負担が少ない
・自ら学習する力が育つ
デメリット ・通学が体力的負担になる
・交通費や時間がかかる
・自宅学習のためダラけやすい
・分からないことを講師に聞けない

それぞれの特徴を理解し、自分に合ったコースを選びましょう。

受講スケジュールは合っているか?

働きながら実務者研修を受講するのであれば、平日の決まった曜日や土日のみなど、ある程度固定されたスケジュールが学習しやすいです。

多くのスクールでは、コースによって曜日が固定されているので、自分が希望する曜日のコースが空いているか問い合わせてみるといいでしょう。

ちなみに、実務者研修の夜間コースはほとんどなく、調べてみましたが小規模な法人がごく稀に開講してる程度でした。(今現在の募集はありません)

サポート体制は充実しているか?

実務者研修受講中の学習フォロー(質疑応答)や、受講後の就職支援など、サポート体制が充実しているかも大事なポイントです。

また、スクールに専用のお問い合わせ窓口があり、色々と相談しやすい仕組みになっているかという点も気にしてみてください。
不安なことなどをすぐに解消できる環境も大切です。

具体的には、メールで気軽に質問できる仕組みや、無料対策レッスンといったレポート課題の疑問をその場で解決できる体制を整えていることなどが挙げられます。

実務者研修をお得な費用で取得する方法

実務者研修を受講する際は、誰もができるだけ費用を抑えたいと思うでしょう。

ここでは、実務者研修をお得な費用で取得できる方法を紹介します。
それぞれの利用条件などを紹介しているので、ぜひ活用してお得に実務者研修を取得しましょう。

ハローワークを利用する場合

ハローワークで実務者研修をお得に取得する方法は、以下の2つです。

  • 公共職業訓練:失業保険の受給資格がある人が対象
  • 求職者支援訓練:失業保険の受給資格がない人が対象

これらの制度は、無料で実務者研修を取得できますが、選考試験があるため誰でも利用できるわけではありません
詳しくは、最寄りのハローワークに相談してみるといいでしょう。

参考:厚生労働省「ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)」

自治体の制度を利用する場合

各自治体でも、独自の資格取得支援制度を展開しています。
例えば、東京の場合は「実務者研修施設在学者向け修学資金貸付事業」という制度があり、以下のような内容です。

  • 指定の実務者研修施設に在学している者が対象
  • 無利子で最大20万円の貸し付け可能
    (使い道は、実務者研修の受講料をはじめ、交通費やテキスト代、国家試験の受験料などにも充てることができる)
  • 一定の条件を満たせば貸付金は返還不要
    (一定の条件とは、実務者研修施設を卒業し、国家試験合格後に介護福祉士の登録を行い、東京都の区域内において2年間継続して、返還免除対象の介護業務に従事した場合)

参考:東京都社会福祉協議会「実務者研修施設在学者向け修学資金貸付事業」

興味ある方は、お住まいの介護課などに問い合わせてみましょう。

職場の資格取得支援を利用する場合

職場の資格取得支援制度を利用する方法もあります。
内容は以下のようなものです。

  • 実務者研修の受講料を会社が全額負担
  • 資格取得後1年間の就業で返還免除

この他にも、職場の法人が開催している実務者研修に参加することで、無料で資格を取得できます。
筆者もこの方法で資格を取得したため、シフトの調整がしやすく、スムーズにスケジュール調整ができました

キャンペーンや割引制度を利用する場合

民間のスクールで実務者研修を取得する場合は、必ず割引制度を利用しましょう。
なぜなら、定価だと割高であることと、年間を通じて何かしらのキャンペーンが開催されているからです。

また先ほどの職場の資格取得支援とは逆に、実務者研修の修了後、スクールが運営している施設に就職することで、受講料を無料にしてくれる場合もあります
スクールを利用する場合は、必ずキャンペーンなどの割引制度を確認しましょう。

実務者研修を取得するメリットは?

最後に、実務者研修を取得するメリットをご紹介します。

実務者研修は、国家試験の受験条件であることはもちろん、できる仕事の幅が広がったり待遇面でもプラスになるなど、多くの効果をもたらします。
取得前にメリットを知ることで、目的を持って実務者研修を受講するといいでしょう。

介護福祉士の国家試験を受けられる

実務者研修は、介護福祉士の国家試験を受けるために必要な資格です。
多くの人は、介護福祉士を目指すために、実務者研修を取得しています。

そのため、実務者研修を受講しながら、介護福祉士の勉強も徐々にしていくことをおすすめします。

なぜなら、介護福祉士国家試験の出題数は多く、範囲も幅広いため、早い段階から少しずつ勉強する必要があるからです。
実務者研修を取得するのであれば、ぜひ介護福祉士も目指しましょう。

サービス提供責任者の仕事ができる

実務者研修を取得すれば、訪問介護事業所でサービス提供責任者(通称サ責)として働けます。
サービス提供責任者の主な仕事は以下です。

  • 利用者さんからの相談対応
  • 利用申し込みや面談など
  • ヘルパーやケアマネジャーと連絡調整
  • アセスメントやモニタリング
  • 訪問介護計画書の作成

などがあります。

サービス提供責任者については、以下の記事でも解説しています。

▼参考記事

【まるわかり】サービス提供責任者(サ責)とは?仕事内容・なり方・対策まで徹底解説!!

就職や転職の幅が広がる

実務者研修を取得することで、就職や転職に有利になります。
なぜなら、介護の実践スキルがあることの証明であるとともに、今後介護福祉士を目指す人材としても評価されるからです。

もし同じような経験年数でも、無資格または介護職員初任者研修取得者と実務者研修者であれば、後者が採用されやすくなるのは当然です。

どこの職場でも必要とされる人材であると証明するためにも、実務者研修の取得は大きなメリットになるでしょう。

実務者研修の資格手当によって給料が上がる

実務者研修を取得することで、手当による給料アップが狙えます。
以下、保有資格別の給料(目安)です。(参考:筆者の職場調べ)

初任者研修 実務者研修 介護福祉士
月給 20万円〜 22万円〜 25万円〜
年収 280万円〜 300万円〜 340万円〜

実務者研修取得者の給料アップは、ただ単に資格を取ったからではなく、今後キャリアアップをしたいという向上心も評価されています
そのため、手当だけでなくベースアップにもつながるので、取得して損はないでしょう。

医療的ケアの資格取得につながる

実務者研修には医療的ケアのカリキュラムも含まれています。
そのため、実務者研修修了者は、医療的ケアの実地演習を受ければ、喀痰吸引等研修の資格を取得できます。

資格取得後は、現場で痰吸引や経管栄養の対応が可能になり、特別養護老人ホームなど医療的ケアのニーズが高い施設では、非常に重宝される存在になります
今後も医療的ケアができる介護職の需要は、高まることが予想されるので、喀痰吸引等研修の資格はぜひ取得しておくといいでしょう。

介助への自信や他者からの信頼につながる

実務者研修は介護福祉士につながる資格であり、高度な介護の実践スキルが身に付く内容になっています。

無資格で正しい介護が分からない状態だと自分の利用者も不安です。
資格を取得し適切な介護を理解することで自信のある介護ができ、利用者も安心感も持って介助を受けられます

その他、同僚や上司から信頼されやすくなり、働きやすさの向上にもつながるでしょう。

自ら学ぶ力が育つ

実務者研修は課題レポートも多く、ただ研修を受けているだけでは取得できません。
自宅での通信学習が多くなり、自ら学び考える力は必須と言えます。

実務者研修を受講する中で、この「自ら学び考える力」が養われていきます。
そして、その先にある介護福祉士の国家試験にもつながります。

介護現場でも、自分で考え行動しなければいけない場面が訪れます。
そんな時、実務者研修での経験が活きてくるでしょう。

まとめ

今回は、実務者研修の費用と、お得に取得する方法などを紹介してきました。

実務者研修の費用は高いところだと20万近くかかりますが、自治体や職場の制度を上手く活用すれば無料で取得できます

実務者研修を取得したいけど、費用面で一歩踏み出せない人は、本記事を参考にお得に資格を取得し、今後のキャリアアップにつなげていきましょう。

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