介護職員初任者研修の費用はいくら必要?無料で受講する方法やメリットを紹介

資格取得
2022/12/16

本記事では、介護職員初任者研修に必要な費用や無料でお得に受講する方法を紹介します。

また、資格取得によるメリットを解説しながら、介護福祉士を目指す際の介護職員初任者研修の必要性なども考えていきましょう。

介護職員初任者研修の費用はいくらかかる?

介護職員初任者研修の費用は、相場で言うとおよそ5万円〜10万円くらいです。

以下、介護職員初任者研修を開講しているスクール5つの費用を比較してみました。

スクール名 費用
ニチイ 88,000円
三幸福祉カレッジ 87,780円
未来ケアカレッジ 29,500円〜
カイゴジョブアカデミー 31,900円〜
ベネッセスタイルケア 50,000円〜

このように、5万円以下のものもいくつかあり、スクールによって費用が異なります。
ここでは、介護職員初任者研修の費用の差に関する疑問について、詳しくお答えしていきます。

地域やスクールによって費用に差があるのはなぜ?

介護職員初任者研修の費用が、地域やスクールによって異なるのは以下のような理由からです。

  • 都市部や田舎などの立地
  • 振替受講が柔軟などサポート体制の充実度
  • 講師やスタッフなどの人件費

などが挙げられます。

一見安さだけに目が行きがちですが、費用だけで決めるのではなく、どういった受講方式で、どのようなサポート体制なのかといったことも事前にチェックしておきましょう。

その他、介護の人材派遣会社が実施している研修の場合は、資格取得後にその派遣会社経由で就職することを条件に、無料で受講できるといった制度もあります。

費用の差は受講内容に影響するの?

費用の差が受講するカリキュラムに影響することはほぼありません。
なぜなら介護職員初任者研修は、都道府県の各実施要項に従って行うようにと記載があり、自治体ごとに多少の差はあっても、カリキュラムに関しての違いはありません。

したがって、費用が安いからといってカリキュラムが省略されることなどはなく、全国共通で同じような内容で受講できます。

参考:厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について」

カリキュラムの内容や取得期間は?

カリキュラムの内容と時間は、以下のようになっています。

科目 時間
職務の理解 6時間
介護における尊厳の保持・自立支援 9時間
介護の基本 6時間
介護・福祉サービスの理解と医療との連携 9時間
介護におけるコミュニケーション技術 6時間
老化の理解 6時間
認知症の理解 6時間
障害の理解 3時間
こころとからだのしくみと生活支援技術 75時間
振り返り 4時間
合計 130時間

取得期間はスクールで選ぶコースによって異なり、最短で取得を目指す場合は1ヶ月程度で修了することができます。
働きながら資格取得を目指す場合は週1回の受講を選べば、3〜4ヶ月での取得が可能です。

焦る気持ちがある方もいると思いますが、無理することなく自分のペースで学習できるスケジュールを選択しましょう。

無料で介護職員初任者研修を受講する方法は?

続いては、介護職員初任者研修を無料で取得できる方法を紹介します。
働く前に取得したい方、働きながら取得したい方、どちらのニーズも満たせるお得な制度があるので、ぜひ参考にしてみてください。

▼参考動画

ハローワーク経由で受講する

まず1つ目は、ハローワークを利用した取得方法で「求職者支援制度」です。
制度の内容については、雇用保険を受給できない方が、月10万円の生活支援の給付金を受給しながら、無料の職業訓練を受講し、再就職、転職、スキルアップを目指す制度です。

主な受講要件は?

  • ハローワークに求職の申し込みをしている
  • 雇用保険受給資格者ではないなど

職業訓練受講給付金の主な支給要件は?

  • 本人収入が月8万円以下(シフト制で働く者などは月12万円以下)
  • 世帯全体の収入が月40万円以下
  • 訓練の8割以上に出席しているなど

詳しくは、以下の参考元をご覧ください。

参考:厚生労働省「求職者支援制度について」

以上のように、ハローワーク経由で求職者支援制度を利用することで、介護職員初任者研修を無料で取得できます。

教育訓練給付制度を利用する

教育訓練給付制度とは、働く人のキャリア形成等を支援し、雇用の安定と就職の促進を目的に、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了すると、受講費用の一部が支給される制度です。

教育訓練給付制度は、レベル等に応じて、以下の3種類の訓練があります。

  • 専門実践教育訓練
  • 特定一般教育訓練
  • 一般教育訓練

介護職員初任者研修は、この中の「特定一般教育訓練」に含まれ、内容は以下のようになります。

特定一般教育訓練
  • 特に労働者の速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練が対象
  • 受講費用の40%(上限20万円)が訓練修了後に支給される

教育訓練給付制度に関する詳しい内容は、以下の参考元をご覧ください。

参考:厚生労働省「教育訓練給付制度」

自治体の取得支援制度を活用する

各都道府県でも、介護職員初任者研修の取得支援制度が存在します。
ここでは、東京都の「介護職員資格取得支援事業」を例に解説します。

概要は以下のとおりです。

  • 無料で介護職員初任者研修を受講できる
  • 高齢者介護業界への就労を希望する方が対象
  • 福祉人材センターが実施する「職場体験事業」の終了が申し込みの条件

職場体験事業の申し込みについては東京都社会福祉協議会に問い合わせてみてください。
東京都が実施する介護職員初任者研修のチラシ案内はこちら

この制度は、資格取得後に福祉人材センターで仕事の斡旋を受けることもでき、無料であるにも関わらずサポート体制が充実しています。
また事前の職場体験学習が必須のため、体験してみて自分には合わないなと感じたら、別の仕事を検討できるというメリットがあります。

参考:東京都社会福祉協議会「介護職員資格取得支援事業」

勤務先の資格取得支援制度や研修を活用する

ハローワークや自治体の制度以外にも、職場の資格取得支援や研修を活用する方法もあります。
実際に筆者が働く職場であった制度は、以下の2つです。

  • 資格取得後、1年間働くと全額キャッシュバック
  • 運営法人が実施する介護職員初任者研修の受講が無料

職場によっては一部負担(半額)といった場合もあるようです。

先に介護の仕事を始めて、働きながら資格取得を目指す場合は、以上のような資格取得支援や法人内で研修を実施しているか事前に聞いておきましょう。

ちなみに2つ目の、法人内で研修を受ける場合は勤務などの調整もしやすく振替受講なども柔軟に対応してくれるので、スケジュール管理の手間が少ないというメリットがあります。

全額負担や割引など特典がある民間のスクールで受講する

介護職員初任者研修は、実施するスクール自体にもお得な割引制度があります。
講座を開催する時期によってキャンペーンはありますが、その場合は〇%OFFといった一部割引するものが多いです。

ただ民間のスクールでも、介護職員初任者研修を無料で取得する方法があります。
手順は以下のとおりです。

  1. 介護専門の人材会社に登録する
  2. その際に介護職員初任者研修を実施しているか確認
  3. 実施している場合は受講する
  4. 資格取得後は人材会社経由で就職先を探す
  5. 無事に就職できれば研修費用は無料になる

という仕組みになっています。

正社員ではなくまず派遣から始めてみたいという方は、介護職員初任者研修の講座を実施している人材会社を活用してみてもいいでしょう。

資格取得支援などを利用する場合の注意点

介護職員初任者研修を、資格取得支援などを利用してお得に受講する場合には注意しなければいけないポイントがあります。
「安いから」「無料だから」という理由だけで判断するのは危険です。

それでは、資格取得支援を利用する際の注意点を見ていきましょう。

費用が安いスクールの評判はどうか?

前述にもあるように、介護職員初任者研修はスクールによって金額に差があります。
あまりにも費用が安い場合は、授業内容や講師の質など、評判を確認しておくといいでしょう。

費用が安い理由が立地の場合、無理なく通える場所にあるのかということと、交通費は自費のため、通学にいくら必要かも確認しておくといいでしょう。

現在は、ネット上でさまざまなスクールの評判を知ることができます。
もちろん書いてあることが全て正しいという保証はありませんが、参考にはなります

評判を調べることで「費用は安く授業内容や講師の質も良い」というスクールを発見できるかもしれません。

自分が資格取得支援の対象であるか?

ハローワークの求職者支援制度や教育訓練給付制度、自治体の資格取得支援を利用する場合は、自分が対象になっているか事前に確認しておきましょう。

また、以上のような制度は審査制で、誰でも必ず利用できるわけではありません。
自分が介護職員初任者研修を取得したい理由や、介護の仕事を続けていきたい理由などを言葉にして書類に書けるようにしておくことも大切です。

資格取得支援を利用しようと思っていたにも関わらず、利用寸前で対象外だったとならないように注意しましょう。

資格取得支援制度利用時の契約内容の確認は?

これは職場の資格取得支援を利用する際の注意点です。
筆者が利用した資格取得支援は、以下のような内容でした。

  • 受講費用の全額を会社が負担
  • 資格取得後の1年間は退職しないこと
  • 1年以内に退職したら全額会社に返金
  • 誓約書に名前と印鑑を押す

施設によっては1年間ではなく、2年以上は退職NGといったケースもあり、お金の問題も絡むので、事前にしっかり確認しておきましょう。

介護職員初任者研修の取得は一人一人にあったペースで受講しよう

介護職員初任者研修のカリキュラムは、全国共通で130時間と決まっています。
そして、このカリキュラムを週に何回通学するかで、資格取得の期間が変わってきます。

時間に余裕がある方の場合は、週4日通学し最短1ヶ月で資格を取得できます。
逆に働きながら週に1〜2回通学する場合は、2ヶ月〜4ヶ月かかります。

またカリキュラムを受講するにあたり、通学のみと通学+通信の学習スタイルを選べます。

早く資格を取得したいという焦りが出る人もいるでしょう。
しかし、無理なスケジュールで体調を崩したり、疲れた状態でカリキュラムの内容が頭に入ってこないと、せっかくの学習機会が無駄になってしまいます。

スケジュールは一度申し込むと変更が難しいので、事前に担当者と相談してしっかりと計画しておきましょう。

介護職員初任者研修の資格を取得するメリットは?

続いて、介護の初歩的資格である「介護職員初任者研修」のメリットをご紹介していきます。
新しいことを学べるだけでなく、キャリアアップや介護現場以外でも役立つなど、さまざまなメリットがあることを知っておきましょう。

介護の基礎が学べる

介護職員初任者研修は、その名の通り「介護の基礎」を初心者でも分かりやすく学べる内容になっています。
介護とは何かということから認知症の理解、利用者とのコミュニケーションや介助方法など、実践的なスキルも習得できます。
最も大切なことは、資格を取ることが目的ではなく、介護の基本を学び、現場で利用者の生活を支えるための研修であることを知っておきましょう。

現場での自信につながる

介護職員初任者研修で介護の基礎を学ぶことで、現場で悩んだ際の判断材料になります。

利用者は認知症などを理由に、正しい判断ができない状態です。
そういった状況をサポートするのが介護職の役目であり、介護職員初任者研修の学びは必要不可欠と言えます。

例えば、認知症利用者が「ご飯を食べてない」という発言に対して「さっき食べましたよ」と伝えるのではなく、お腹が空いているという気持ちに寄り添った発言が大切になってきます。

適切な知識の有無は、介助に対する自信にも影響し、利用者の安心感にもつながるでしょう。

求人の選択肢が増える

無資格か介護職員初任者研修を取得しているかで、職場の選択肢は広がります。
採用する事業所からしても、無資格で介護の基本から指導するよりも、資格取得者で介護の基本を理解している人の方を歓迎します。
もちろん、資格を持っていれば必ず採用されるとは限りませんが、介護職員初任者研修の資格を持っていることはプラスに評価されることは間違いないでしょう。

キャリアアップの土台になる

介護職員初任者研修は、その後の「実務者研修」や「介護福祉士」といった資格取得や、現場の介護リーダーや管理職といったキャリアへの土台となります。
介護職員初任者研修で介護の基礎を学び、その基礎を現場で活かしながら経験値を重ねることは、さらなる資格取得につながります。
今後、介護職としてキャリアアップを考えているのであれば、まず介護職員初任者研修を取得するといいでしょう。

介護以外の場面でも活かせる

介護職員初任者研修の学びは、介護現場以外でも役立ちます。
例えば、シーツ交換のスキルはホテルのベッドメーキングに活かせますし、街中で困っている高齢者や、障害のある方へ適切な介助でサポートすることができます。

その他、家族に介護が必要になった場合でも慌てることなく、介護職員初任者研修の学びが多いに役立つでしょう。
実際に家族の介護のために資格を取得する方もいるようです。

介護福祉士を目指すなら実務者研修から受講する方がお得?

国家資格である介護福祉士の取得を目指すのであれば、介護職員初任者研修ではなく、最初から介護福祉士受験の条件である実務者研修を受けるほうがいいのではないかという意見もあります。
ここでは、介護職員初任者研修と実務者研修の違いや、それぞれの必要性について解説します。

初任者研修と実務者研修の違いは?

介護職員初任者研修と実務者研修の受講科目や時間などの違いは、以下のようになっています。

介護職員初任者研修 実務者研修 互いの差
受講科目 9科目 20科目 11科目
受講時間 130時間 450時間 320時間
受講費用 5万〜10万円ほど 10万〜20万円ほど 5〜10万円ほど

それぞれ違いはありますが、実務者研修の中に介護職員初任者研修の内容が含まれています。
介護職員初任者研修では介護の基礎のみを学びますが、実務者研修ではさらに実践的なスキルなどを学ぶため、より受講科目や時間が多くなっています。

初任者研修と実務者研修を両方受講するといくらかかる?

介護職員初任者研修を取得してから実務者研修を受講すると、すでに学んでいる科目は免除される仕組みになっています。

また科目の免除だけでなく、費用もその分安くなるので、両方受講したとしても実務者研修一つ受講する費用と大きな差はないでしょう。

実務者研修のみを受講したほうが費用面でお得なのであれば、介護職員初任者研修の取得損をした気分になるかもしれません。
しかし、説明したように科目も費用も免除されるので、自分のペースに合わせて受講する資格を選べばいいでしょう。

実務者研修を受けるつもりなら初任者研修は飛ばしてOK?

介護職員初任者研修に比べて、実務者研修の内容は基礎以外の内容も含まれており、介護初心者には難しく感じるかもしれません。

ただ介護福祉士の資格を目指す前提で資格を取るのであれば、介護職員初任者研修を受ける必要性はあまりないと言えます。

介護福祉士の取得までは考えておらず、まずは介護の基本を学びたい人であれば介護職員初任者研修をおすすめしますが、明確に介護福祉士を取得すると決めている場合は、いきなり実務者研修から始めるといいでしょう。

まとめ

今回は介護職員初任者研修に必要な費用と、無料で資格を取得する方法などを解説してきました。

  • スクールによって費用に差がある
  • 安すぎるスクールは内容を確認したほうがいい
  • 条件次第ではハローワーク経由での取得がお得
  • 職場の資格取得支援を利用すると無料で取得可能
  • 介護福祉士を目指すのであれば実務者研修から受けるのもあり

などの内容を紹介させていただきました。

介護職員初任者研修を申し込む際は、さまざまな制度があることを理解した上で、自分にとって最適な方法を選択し、お得な費用で受講するようにしましょう。

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