介護タクシーってなに?料金や利用方法を分かりやすく紹介【働く方法もあわせて解説】

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2022/11/18

本記事は「介護タクシーについて知りたい人」「介護タクシーのドライバーとして働いてみたい人」に向けて、介護タクシーの種類や料金、サービス内容や利用時注意点などを分かりやすく解説しています。

現場で働く介護士さんは実際に利用しなくても、介護保険サービスとして利用者様の利用支援をすることはあると思うので、ぜひ参考にしてみてください。

介護タクシーってなに?

介護タクシーは、介護が必要な方の移動手段として貴重な存在です。

はじめに介護タクシーの基本情報をお伝えすると、車椅子のままでも乗車できるように車両が改良されています。
要するに、介護が必要な方でも負担なく乗車できるタクシーであるということです。

ここでは、介護保険は適用されるのか、介護タクシーの種類はいくつあるのかなどを紹介します。

訪問介護サービスの一つ?

介護タクシーは、訪問介護サービスの中にある「通院等のための乗車または降車の介助(通院等乗降介助)」のサービスを行う福祉車両のことを指します。

介護サービスということもあり、運転手は介護の資格を有しているので、移動以外の援助も安心して任せることができます。
施設などで生活している利用者様も、家族が対応できない場合などは介護タクシーを利用して通院される方も多くいます。

介護保険は適用される?

介護タクシーは訪問介護サービスに含まれているので、条件を満たせば介護保険が適用されます。
介護保険が適用されれば、自己負担額が軽減できるというメリットがあります。

介護保険適用の条件としては、介護タクシーの利用をケアプランに組み込む必要があるので、介護タクシーを利用する場合はケアマネージャーなどに相談してください。
ちなみに、介護保険が適用されない場合は、全額自己負担になるので注意しておきましょう。

介護タクシーの種類はいくつある?

介護タクシーには前述で紹介した介護保険適用のサービスと、介護保険適用外のサービスの2種類があります。

ここでは前者を「介護タクシー」後者を「福祉タクシー」とします。
それぞれの基本情報は以下の通りです。

サービス名 介護タクシー
(訪問介護サービスの中の一つ)
福祉タクシー
介護の保険適用 条件を満たせば適用あり 適用なし
特徴

  • 運転手は有介護資格者
  • 同乗者の付き添い不要
  • 利用目的はケアプランに反映

  • 運転手は介護の資格なし
  • 同乗者付き添いが必要な場合あり
  • 利用目的はなんでもOK
対象利用者

  • 要介護1以上
  • 自力での移動が難しい
なし
利用方法 ケアマネージャーなどに相談 福祉タクシー会社に相談
費用 介護保険適用で一部軽減あり 全額自己負担

介護保険タクシーに関する解説

介護保険タクシーは先ほどから出ている、介護保険が適用される介護タクシーのことです。

筆者は有料老人ホーム時代に、利用者様の利用支援をよくしていました。
施設の職員さんは、これから介護保険タクシーの手続きに関わる機会があるかもしれません。
そのために、基本情報程度は頭に入れておきましょう。

利用目的は?

介護保険タクシーの利用目的は「日常生活上または社会生活上必要な行為に伴う外出」に限られています。
仕事や趣味などで利用するのはNGってことですね。

介護保険の適用となる利用は、以下のようなことが挙げられます。

  • 通院(受診やリハビリなど)
  • 預金の引き下ろし
  • 選挙投票や日常生活上で必要な申請など
  • メガネや補装具など、利用者様本人が行く必要のある買い物

要するに要介護認定を受けた方など、支援を必要する方のためのタクシーということです。

サービス内容は?

介護保険タクシーのサービスは「通院等のための乗車または降車の介助(通院等乗降介助)」であり、移動以外にも以下のようなサービスがあります。

  • タクシーの乗り降り
  • 着替えなどの外出準備
  • 病院での受付や会計などのサポート
  • 帰宅後のお部屋までの付き添い
  • その他必要に応じてオムツ交換なども対応可能

介助の目的はケアプランで決まるため、あらかじめ担当のケアマネージャーと相談しておくことが必要です。

利用時の注意点は?

介護保険タクシーを利用する際は、以下の点に注意しましょう。

家族の同乗は原則不可

家族同乗では介護サービスの提供が認められていません

しかし、特別な事情があると市町村が判断した場合は、同乗が認められています。
家族が付き添った方がいいと感じたら、事前に希望を伝えておきましょう

乗降介助以外のサービスに切り替わることがある

介護保険タクシーは、訪問介護の中の「乗降介助」としてカウントされますが、以下のような場合は「身体介護」や「生活援助」と判断されることがあります。

  • 要介護4または5の場合で外出前後の介助に20~30分以上の時間が必要なとき
  • 外出の前後で入浴や食事介助など30分以上の身体介護が発生するとき
  • 外出中に日常生活品の買い物などの生活援助が行われるとき

運転手以外にヘルパーが同乗する場合は、移動中の介助によって「通院等の乗降介助」と「身体介護」の判断が異なります。
正直判断基準は複雑なので、事前にしっかり確認しておくことをおすすめします。

運転手は原則病院内まで付き添えない

病院内は病院のスタッフが対応するため、原則運転手は付き添いません
しかし、以下のような場合は、運転手の付き添いが認められるケースもあります。

  • 病院内での移動介助が必要な場合
  • 認知症などの理由で見守りが必要な場合
  • 排泄介助が必要な場合

これらは各市町村の規定によって異なります。

介護保険タクシーの利用時の注意点は複雑な面も多いため、ケアマネージャーとしっかり相談しておきましょう。

福祉タクシーに関する解説

続いて介護保険適用外である「福祉タクシー」について解説していきます。
こちらは介護保険タクシーと違い、細かい制約や基準がないため利用しやすいと言えます。

しかし、費用は全額自己負担というデメリットもあることを頭に入れて、基本情報を押さえておきましょう。

利用目的は?

福祉タクシーも介護保険タクシー同様、支援が必要とする高齢者を対象にしていますが、利用条件は設けられていません。
介護保険適用外ということもあり、ケアプランの作成も不要で、それぞれのニーズに合わせて利用できます。
家族や友人と外出したいけど、普通のタクシーだと心配って方にはおすすめのサービスと言えるでしょう。

サービス内容は?

基本的には支援が必要な方のタクシーへの乗り降りや、目的地までの移動支援がサービス内容となっています。
しかし、介護保険タクシーのように、運転手が必ず介護の資格を有しているわけではないので、要介護度が高い方などへの身体介助には限界があると考えた方がいいでしょう。
家族や友人の同乗が可能という点を活かし、車椅子利用者がプライベートを楽しむためなど、幅広いニーズに対応できるサービスとして求められています。

利用時の注意点は?

利用条件が設けられていないため、特に注意する点はないでしょう。
しかし、中には介護についてよく知らない運転手もいるので、利用する前は目的や身体状況を伝えておくことをおすすめします。

もし身体介護が必要な方であれば事前に伝えておいて、介護の資格を持っている運転手を希望するといった相談もしやすくなります。
その後のトラブル回避のためにも、申し込み時はこちらの状況や希望をしっかり伝えてお苦ことが大事です。

介護タクシーの利用手順4ステップ(介護保険の適用がある場合)

ここでは、まだ要介護認定を受けていない方を対象に、介護タクシー(介護保険適用あり)の利用手順を解説していきます。
手順は以下の4ステップです。

  1. 要介護認定の申請
  2. 要介護認定を受ける
  3. ケアプラン作成
  4. 事業所の選択

すでに要介護認定を受けている方は、ステップ③から進めればOKです。

①要介護認定の申請

介護タクシーを利用するには、まず要介護認定の申請をします。
要介護認定は、各市町村の福祉課などに申請するのが一般的です。

申請の際は、以下の4点が必要になります。

  • 印鑑
  • 介護保険要介護認定・要支援認定申請書
  • 介護保険被保険者証または医療保険被保険者証
  • 主治医意見書

よく分からないという方はお近くの「地域包括支援センター」に相談することで、申請のアドバイスや代行をしてもらえます。
介護職の方も要介護認定の申請方法は、ある程度覚えておくといいでしょう。

②要介護認定を受ける

要介護認定の申請をしたら、次に要介護認定を決めるための調査が必要です。
前述の準備するものの中にあった主治医の意見書を踏まえながら、調査員が要介護認定の可否を判断していきます。

また要介護認定は、その方の状態だけでなく支援する家族などの意見も参考にします。
介護タクシーを利用するには、要介護1以上の認定を受ける必要があるので、介護が必要である理由を、調査員にしっかりと伝えることも重要です。

③ケアプラン作成

要介護申請をして認定を受けると、居宅介護支援事業所や地域包括支援センターなどに相談して、担当のケアマネージャーを決めます。
ケアマネージャーは、介護サービスを受けるためのケアプランを作成する専門家で、介護タクシーを利用するためには、このケアプランが必要になってきます。

前述でもあったように介護タクシーは「通院等のための乗車または降車の介助(通院等乗降介助)」なので、ケアプラン内に組み込んでもらえるよう事前にケアマネージャーに依頼しておくことが大事です。

④事業所の選択

最後は、介護タクシーを利用するための事業所を選択していきます。

選択方法としては、自分でネット検索しながら相談したり、ケアマネージャーがおすすめの事業所を検討するのもありです。
ケアマネージャーに相談すれば、事業所ごとの内部事情なども知っている場合があるので、遠慮せず質問するといいでしょう。

一度決めた後に変更したい場合は、手続きやケアプランの変更など手間がかかるので、事前に利用目的や必要な支援などを細かく確認しておくことが大事です。

介護保険適用外の介護タクシーは自分で探す

介護保険適用外の介護タクシー(福祉タクシー)を利用する場合は、要介護認定を受けておらず、担当のケアマネージャーも決まってない状態なので、自分で探すことになります。

ネットなどの口コミを参考に探すことが多いですが、色々な事業所があり悩むこともあるでしょう。
その際は、近くの地域包括支援センターでアドバイスを求めるのがおすすめです。

介護タクシーの料金について

介護タクシーの利用料金は、基本的に以下の3つで決まります。

  • タクシーの基本運賃
  • 介助に関する料金
  • 介護用具のレンタル

ちなみに介護保険の適用は介助に関する料金のみで、その他2つは実費負担となることは知っておきましょう。
それでは、一つずつ解説していきます。

時間や距離で変わる?送迎は?

介護タクシーの多くは「距離制運賃」と言って、一般タクシーと同じ仕組みで運賃設定をしています。
他に時間制運賃の場合もあり、違いの例を以下に示しています。

距離または時間 料金
距離制運賃 初乗り1km 500円
以降250mごと 100円追加
時間制運賃 30分 1,000円
以降30分ごと 1,500追加

その他にも、予約や送迎料(無料の事業所もある)がかかる場合もあるので、利用前にしっかり確認しておきましょう。

必要な介助に応じて差がある?

介護タクシーの介助項目である「通院等のための乗車または降車の介助(通院等乗降介助)」は、自己負担が1回100円〜300円です。
介護保険が適用されない場合は全額自己負担となり、以下のような料金設定です。

  • 基本介助(乗降介助):500円〜1,500円(乗降スタイルによって異なる)
  • 室内の介助:1,000円
  • 外出の付き添い:1,200円
  • 病院内の介助:30分で900円など

上記は介護保険適用前なので、利用前は料金について確実に確認し、結局いくらかかるのか把握しておくといいでしょう。

介護用具のレンタルは?無料のものもある?

介護タクシーを利用する際に、介護用具をレンタルすると料金が発生することがあります。
代表的なものは以下のようなものです。

  • 車椅子:無料〜1,400円
  • リクライニング車椅子:1,500円〜2,000円
  • ストレッチャー:4,000円〜6,000円

その他、医療機器などのレンタルもしている事業所もあるので、必要な場合は事前に確認しておきましょう。
ちなみに介護用品のレンタルに関しては、介護保険適用外なので全額自己負担です。

介護タクシーを探す際のポイントは?

介護タクシーを探す際のポイントは、まずケアマネージャーに相談することが重要です。
なぜなら、ケアマネージャーはネットの情報だけでは把握できない情報を知っている可能性が高いからです。

その他にも料金の総額や運転手の信頼性なども考慮するといいでしょう。
ここでは、それぞれのポイントを詳しく解説していきます。

まずはケアマネージャーに相談

ケアマネージャーに相談し、つながりのある介護タクシー事業所を利用すると、以下のようなことが事前に分かります。

  • 細かい料金設定
  • 申し込みから利用までの流れ
  • 相性の良い利用者様の特徴
  • 基本サービス以外の支援状況
  • レンタル用品の種類や値段

など。

自分で問い合わせるとなると、質問する手間があり時間がかかってしまうので、事業所との直接的なやり取りを省略できるメリットがあります。

料金の総額で考える

料金については基本運賃以外にも、介助やレンタルの費用もあるため、予約する際に見積もりを依頼しておきましょう。

時間はかかりますが、見積額を見てから決めないと、納得いかない状態で話を進めることになり、その後のトラブルにも影響します。
細かい料金は聞きにくい部分ではありますが、安心して利用するためにも遠慮せず確認しておくことが重要です。

信頼できる運転手とは?

運転手の情報についても、ケアマネージャーに相談した際に確認しておきましょう。
介護タクシーにおいて信頼できる運転手とは、以下のような人です。

  • 運転がスムーズで荒くない
  • 人柄がよく優しい
  • 乗降介助が丁寧で的確
  • 利用者様の体調を考慮してくれる
  • 臨機応変な対応ができる

などが挙げられます。

もし利用を開始してから、信頼できない運転手だと判断した場合は、ケアマネージャーに相談し変更を検討しましょう。

介護タクシーの運転手として働くには?

最後に介護タクシーの運転手で働いてみたいって人に向けて、必要な資格や仕事内容を簡単に紹介していきます。
介護の資格を持っていると転職しやすい職種なので、今後の働き方の参考にしてみてください。

また、こちらの動画でも詳しく解説しています。

介護タクシーに必要な資格は?

介護タクシーの運転手に必要な資格は以下の2つです。

  • 普通自動車二種免許
  • 介護職員初任者研修以上(実務者研修、介護福祉士など)

普通自動車二種免許の受験資格は年齢が21歳以上で、普通免許を取得後3年が経過していることが条件です。
運転以外は介護現場のスキルを活かせるので、何らかの理由で現場の介護職として働けなくなった方で、運転が好きな方は転職先として検討するのもありでしょう。

介護タクシーの仕事内容は?

介護タクシーの運転手の主な仕事は、利用者様を安全に目的地に送ることです。
一般のタクシーと違う点といえば、タクシー乗り降りの介助や、場合によってはオムツ交換などの排泄介助も行います。

また通院で利用する方が多く、病院内の手続きや付き添いといった支援をすることもあります。
ただ一般のタクシーのように街中を走りながら乗客を見つけることはなく、完全予約制での利用になるので、せっかく走ってるのに乗客がいないといったストレスはないでしょう。

介護タクシーを個人で開業するのもあり?

介護タクシーの運転手になるには、介護タクシー会社に就職する方法が一般的です。
しかし、その場合は当然ですが給料制となり、多くの乗客を対応したからといって給料が上がるわけではありません。

ちなみに介護タクシー運転手の年収は、300万円弱と言われており、日本の平均給与(443万円)を大きく下回ってます。
そのため、介護タクシーを個人で開業して始める方法もあります。
売り上げが全て自分の手元に入ってくるメリットはありますが、その分、介護保険事業者としての登録や、運輸局などへの申請、業務管理など、すべて自分で行う必要があり個人の負担は増えるでしょう。

参考:国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査」

まとめ

今回は介護タクシーについての基本情報や、料金設定、福祉タクシーとの違いなどを解説してきました。

今後、要介護者の増加が予想されている中で、介護タクシーの存在は貴重です。
本記事を参考に介護タクシーの基本知識を押さえておき、実際に現場で必要な利用者様と関わった場合は、スムーズな利用支援に活かしてみてください。
簡単な情報でも知っているか知らないかで、サポートの質は変わってくるでしょう。

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