ショートステイのケアプラン作成は必要?ポイント&例文を現役のケアマネが解説
「ショートステイって?」
「ケアプランは必要?」
「ショートステイのケアプランはどんな書き方をすれば良いの?」
今回は以上のような悩みに対して、現役のケアマネ監修のもと解説していきます。
ショートステイのケアプラン作成のポイントや例文などを盛り込んだ内容になっているので、ぜひ参考にしてみてください。
それでは本題に入っていきます。
まずはショートステイについて知ろう
ショートステイについて聞いたことはあるけど、実際にサービス提供には携わったことがないという方もいるでしょう。
まずは「ショートステイ」について以下の内容を簡単に説明していきます。
- 利用できる期間や条件
- 提供している施設
- ショートステイのメリットとデメリット
利用できる期間や条件は?
ショートステイの利用期間は「30日以内」です。
(介護保険外で自費であれば、31日以上でも利用可能)
利用条件に関しては、基本的に介護保険で要介護認定を受けている方が対象です。
ただ、施設の種類によっては、要介護認定がなくても利用できますが、その分自己負担額が多くなることは知っておきましょう。
サービス利用の目的としては、主に介護をしている家族の負担軽減です。
レスパイトケア(休息)と言い、介護者を一時的介護負担から解放することが非常に重要視されています。
提供している施設は3種類
ショートステイを提供している施設は以下の3種類です。
- 短期入所生活介護(特別養護老人ホームなど)
- 短期入所療養介護(介護老人保健施設など)
- それ以外のショートステイサービス(有料老人ホームなど)
上記3つのうち、上2つは介護保険適用内のサービスです。
3つ目の有料老人ホームの場合は先ほども述べたように、要介護認定を受けていなくても介護保険外で利用可能ですが、その分自己負担額が高くなります。
メリット・デメリットは?
ショートステイのメリット・デメリットは以下の通りです。
ショートステイ | 介護者(家族) | 利用者本人 |
---|---|---|
メリット | 一時的に利用者を預けることで心身ともに負担が解消され、時間的余裕も生まれるので、趣味など自分のしたいことができる。 | 家族以外の人と関わることで刺激を受けることができる。自宅とは違う食事や環境、レクリエーションなどもあるため、楽しみを感じられる。 |
デメリット | 利用する方が多いため、予約が取りにくい場合がある。それだけ自宅での介護に負担を感じている方が多いということ。 | 普段とは違う環境での生活にストレスを感じる人もいる。食事や入浴の時間が決まっており、自由に過ごせない。 |
利用者によって、ショートステイが合う人と合わない人がいるということが分かります。
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ケアきょう求人・転職の無料相談ショートステイってケアプランが必要?
ではショートステイのケアプランについて話を進めていきましょう。
- そもそもショートステイにケアプランは必要なのか?
- 何日以上であればケアプランが必要になるのか?
- 作成しない場合のサービス提供内容はどうするのか?
以上のような疑問にお答えしていきます。
すべての利用者様が必要というわけじゃない?
ショートステイのケアプランは、全ての利用者様に対して必要というわけではありません。
利用する日数によっては不要なケースもあります。
中には、すべての利用者様にケアプラン作成をするよう指示する施設があります。
しかし、それは施設独自のルールであって、法令で決まっているわけではないことを知っておきましょう。
では一体、ケアプランは何日の利用から必要になるのでしょうか?
半日の利用でも1日扱いになるのでしょうか?
次の項で詳しく回答していきます。
何日以上の利用で必要になる?
ショートステイのケアプランは、4日以上の利用から必要になります。
さらに詳しく言うと「連続して4日以上」かつ「3泊4日以上」です。
「連続して」なので、2日間の利用が月に2回ある場合は不要です。
また4日以上だから4泊5日からではなく、半日でも利用すれば1日にカウントされるので「3泊4日以上」となります。
ちなみに3日以内は作成してはダメという決まりはないので、先述でもあったように全ての利用者様のケアプランを作成するのは問題ありません。
作成しない場合は居宅介護サービス計画書を確認
ショートステイでケアプランを作成しない場合は、その方の居宅介護サービス計画書を確認しましょう。
なぜなら、その中に利用者様の課題やニーズ、希望する生活内容が記載されているからです。
計画書を確認したら利用者様のニーズを満たすためには、ショートステイ内でどのように関わればいいかを考えます。
例えば、「毎日の体操を通じて他者と交流したり歩行状態を維持する」といった内容であれば、ショートステイ内でも体操の時間を設けるなど配慮するといいでしょう。
ショートステイを利用するまでの手順
ショートステイの利用には、以下の5ステップで進めていきます。
- 担当ケアマネに相談
- 利用できる施設を探す
- 施設に受け入れ可能か確認
- ケアプランの作成
- ショートステイの利用開始
誰でも分かりやすく理解できるよう、一つずつ丁寧に解説していきます。
担当ケアマネへの相談
ショートステイを利用したいと思ったら、利用者様または家族の方が、居宅介護サービス計画を担当してくれてるケアマネに相談するところから始まります。
ただ人によってはショートステイの存在すらも知らない場合があります。
その場合は、ケアマネ側から利用者様や家族に対して、説明することが重要です。
特に、家族にとってはショートステイというサービスがあることを知るだけでも、精神的に楽な気持ちになります。
利用できる施設を検索
ショートステイの利用をしたいと思ったら、次は利用できる施設を探していきます。
その際は、以下の点に注意して探しましょう。
- 医療的ケアがあるかどうか
- 送迎はしてくれるか
- 利用可能日数の確認(要介護によって異なる)
下記の表を参照
要介護度 | 利用可能日数 |
---|---|
要支援1 | 6日 |
要支援2 | 11日 |
要介護1 | 17日 |
要介護2 | 20日 |
要介護3 | 28日 |
要介護4 | 30日 |
要介護5 | 30日 |
ショートステイ1泊2日あたりの介護サービス費が1,000単位として計算
要介護認定を受けていない場合は、ショートステイ利用ができる施設が限られます。
その場合は担当のケアマネなども付いていないので、地域包括支援センターなど自治体の窓口に相談してみましょう。
施設に受け入れ可能か確認
利用したい施設が決まったら、次は施設に連絡して空き状況を確認します。
明日明後日でいきなり利用を希望しても空きがない可能性はあります。
ショートステイの利用日が前もって分かっているのであれば、早めに連絡して予約するといいでしょう。
施設検索とともに空き状況の確認も早い段階で始めておくと、場所や料金など自分が希望する条件に合った施設を見つけやすくなります。
余裕を持って準備して、利用する本人様の負担にならないスケジュール管理が大切です。
ケアプランの作成
ショートステイ受け入れ先の施設が決まったら、続いてケアプランの作成に入ります。
ケアプラン作成時のポイントは以下の通りです。
- 利用者様のQOL向上を盛り込む
- ご家族の介護負担軽減によるメリットを記載
- 施設側とケアマネ間で情報共有をしっかりすることを含める
などがあります。
以上の内容を、ショートステイの利用についての内容とともにケアプランに記載しておくことが大事です。
無事にショートステイの利用開始
これまで説明した手続きが終われば、無事にショートステイの利用開始となります。
ショートステイを利用していても担当ケアマネは今まで通りです。
ショートステイ利用中の利用者様の体調変化を気にかけながら、アフターフォローも忘れないことが重要です。
また、ショートステイを受け入れる施設職員は、利用中の利用者様の様子や体調変化などを記録しておき、利用後に担当ケアマネやご家族と情報共有することで、今後の利用を検討する際の参考になるでしょう。
ショートステイのケアプランを作成する際の注意点
ケアプランは、利用者様が適切な介護サービスを受けるために必要な計画書で、利用者様やご家族にとって非常に重要なものです。
ではショートステイ利用中のケアプランを作成する際は、どういったことに注意すればいいのでしょうか?
ここでは、ショートステイのケアプランを作成する際の注意点を分かりやすく解説していきます。
居宅介護サービス計画書の内容をベースに
まずはじめに、居宅の担当ケアマネのケアプラン(居宅介護サービス計画書)に沿った内容にしましょう。
例としては、以下のような内容です。
居宅介護サービス計画書にショートステイの利用目的が「他者と交流」という文面があるとします。
その場合は、他者との交流機会を持つためにショートステイを利用しているということです。
そして、他者との交流には何をすればいいのかを考えましょう。
例えば……
- 毎朝10時に他者とラジオ体操をする
- 食事やお茶の時間には他者と会話できるよう座席を配慮する
- 職員が利用者様と他者とのコミュニケーションを仲介する
利用者様がなんのためにショートステイを利用しているかを考えることが大事になってきます。
個別ケアへの意識(オリジナリティ)
ショートステイのケアプランを作成する際は、利用者様一人一人のニーズや、そのご家族の希望が何なのかという視点は必ず持つようにしましょう。
その利用者様だからこそ実施するサービスを、明文化することが大切です。
例えば……
- 利用者様本人は家事が好き
- ご家族も本人様には役割を持ってほしいと思っている
こういった場合は、ショートステイ利用中でも洗濯物をたたんでもらったり、お皿洗いやテーブル拭きなどをしてもらうといいでしょう。
その方の生活が、より良くなるような関わり方を考えることが重要です。
加算を取る際はプランの内容に注意
ショートステイの加算には以下のようなものがあります。
- 看護体制加算
- 医療連携強化加算
- 療養食加算
- 送迎加算
- 在宅中重度者受入加算 など。
参考:厚生労働省「短期入所生活介護及び 短期入所療養介護 (参考資料)」
以上のような加算を算定する場合は、ケアプランの内容にも含めるようにしましょう。
記載がないことで、加算が取れない可能性もあることを理解しておくことが大切です。
ショートステイのケアプランの書き方(事例別)
最後に、ショートステイで実際に使えるケアプランの書き方を事例別に紹介していきます。
- 課題(ニーズ)
- 長期目標・短期目標
- サービス内容
以上の内容を含めて、具体的に分かりやすく解説していくので、参考にしてみてください。
(今回は、連続30日間利用するロングショートステイを想定した内容になっています)
他者との交流を目的とする場合
課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
---|---|---|---|
家族以外の人と交流を持ち気分転換を図りたい | 意欲的な生活を送ることができる | 仲の良い友人ができる |
|
気分転換をしたい | 生活の中で楽しみが増える | 居室以外で過ごす時間が増える |
|
外出の機会増加を目的とする場合
課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
---|---|---|---|
いろいろなことに挑戦したい | 外出の機会を増やし、仲間とともに新しいことに挑戦できる | 外出の機会を増やしながら、仲のいい方と交流できる |
|
できるだけ部屋以外で過ごして外出する機会を増やしてほしい(家族より) | 活動的な生活を送り、物忘れの進行を予防できる | メリハリのある生活を送ることができる |
|
自立支援を目的とする場合
課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
---|---|---|---|
自宅でしている家事などこれからも続けていきたい | 施設生活の中で役割を持つことができる | テーブル拭きと洗濯物たたみを毎日できる |
|
トイレや入浴など、自分でできていることを維持したい | トイレや入浴など日常生活動作を自力で継続できる | 転倒なく過ごすことができる |
|
リハビリを目的とする場合
課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
---|---|---|---|
転倒なく以前のように歩けるようになりたい | 以前ように歩けるようになる | 転倒なく過ごすことができる |
|
体力を維持向上し、自宅での生活を維持したい | 自宅での生活が今後も継続できる | 体力維持のために毎日体操レクに参加できる |
|
精神的安定を目的とする場合
課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
---|---|---|---|
孤独や不安を感じることなく生活したい | 不安なく笑顔のある生活が送れる | 日中はダイニングで他者と一緒に過ごすことができる |
|
環境の変化に対してストレスなく過ごしてほしい(家族より) | 施設の生活に慣れる(今後も継続的にショートステイを利用予定) | 職員に自分から相談できる |
|
まとめ
今回は「ショートステイのケアプラン」について解説してきました。
- ショートステイのケアプランは連続して4日以上から必要
- プランの内容は居宅介護サービス計画書を参考
- 一人一人に合った個別ケアが重要 など。
基本的な考え方としては従来のケアプランと変わりませんが、普段は自宅で生活していることを考慮し、自宅生活がより良くなるような内容が求められます。
ショートステイに来られる利用者様が、施設での生活に満足していただき自宅へ気持ちよく戻っていただくことが大事です。
本記事を参考に、その方一人一人に合ったサービスを提供していきましょう。
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