特養職員が犯人…あってはならない介護施設での殺人事件!介護職の反応は?【介護職監修】

ストレス・メンタル対策
2022/09/27

2022年9月15日の夜から16日未明にかけて、東京都北区浮間の特別養護老人ホームで同施設の男性介護職員が、入居中の女性ご利用者様に暴行を加え殺害するという痛ましい事件が起こりました。

今回は、事件の概要と事件発生後の全国の介護職の反応を紹介していきます。
亡くなられたご利用者様のご冥福を心よりお祈りいたします。

あってはならない介護職の殺人事件が発生!どんな事件だった?

介護職によるご利用者様への殺人事件はあってはならないことです。
いったい事件の内容はどんなものだったのでしょうか?

すでに逮捕されている介護職やご利用者様のことにも触れながら、事件の概要を紐解いていきます。

事件の概要

事件については、2022年9月15日の夜から16日未明にかけて、東京都北区浮間の特別養護老人ホームで入居中の山野辺陽子さん(92)が、施設で働く介護職員の菊池隆容疑者(50)によって殺害された。

容疑者の供述によると、山野辺さんから「痛いところがある」と相談されたが発見できず「バカ」と言われ、カッとなり平手で叩いた。
その後暴力はエスカレートし、顔や胸、腹などを複数回殴り、両腕を枝を折るように折ったとのこと。
反応が無くなった後も、気付けのつもりでポットのお湯をかけたとも供述しています。

▼参考

容疑者はどんな介護職だったのか?

逮捕された菊池容疑者は、5年前から介護に携わり、同施設の採用面接では「介護の仕事にやりがいを感じている」とも話していたといいます。
勤務態度は真面目で、亡くなった山野辺さんの担当もしていたそうです。

施設長の会見でも、「トラブルなどはなく、基本的にまじめだった」とのコメントです。
他のスタッフの面談を行う中でも、特に問題は挙がっていない状況でしたが菊池容疑者が残した介護記録の内容から「8〜9月に(容疑者と)山野辺さんとの相性が悪くなってきた印象はある」と施設長は話していました。

参考:朝日新聞デジタル「入所者殺害容疑の職員、被害者と「相性悪くなった印象」特養が会見」(2022年9月26日)

ご利用者様について

亡くなった山野辺さんは7月に入居したばかりでした。
それまではデイサービスなどを利用しながら、長男が自宅で介護していました。
施設での生活はプライバシーの関係で施設側はコメントを差し控えています。

事件現場になった施設は?

事件の現場となった「浮間こひつじ園」は、東京都北区浮間にあるユニット型と従来型が混合する特別養護老人ホームです。
同施設を運営する社会福祉法人育美会は、特養の他にショートステイやデイサービス、地域包括支援センターの運営も行っていました。

同施設では2020年7月にも、派遣スタッフが入所者を小突く事案があり、管轄する北区に虐待と認定されていました。
施設長は「(虐待を受けて)職員への研修は実施していたが生かされなかった」と話し、改めて再発防止策を講じる考えを示しました。

介護職の反応は

ケアきょうでは、今回の事件に対する介護職の声をアンケートで集めました。
ケアきょうのInstagramストーリーズを通じて集まった80件の意見から、特に多かったものや気になるものをご紹介していきます。

介護職員としてありえないという声

実際に寄せられたアンケート内容

バカと言われたぐらいで殺すのはありえない!私は死ねと言われて首を絞められたことがある。
虐待や殺人は絶対だめ。だからこそ職員の体と心のゆとりが本当に大切。
同じ介護職としてあってはならないこと。でも私たちも人間であることを忘れないで欲しい

あってはならない事件であることは間違いありません。
だからこそ介護職として利用者様とどのように向き合っていくかを、改めて考えさせられるきっかけになります。

もしかしたら自分も?他人事ではないという声

実際に寄せられたアンケート内容

絶対やってはいけないことだけど……気持ちはわからなくはない。利用者からの暴言はある。
正直、利用者にカッとなって殺したくなることはワンオペ夜勤だと多々あります。
このような報道を聞くたびに、自分自身も加害者になるのではないかと思います。

介護職はストレスの多い仕事で、もし自分だったら我慢できただろうか?と心配する声も挙がっていました。
アンケートに答えてくださった方の多くが、イライラする気持ちはわかると答えており、他人事ではないことが分かります。

施設や職場環境の問題をあげる声

実際に寄せられたアンケート内容

施設側やご利用者に問題はなかったのでしょうか?理由に目を向けるべき。
人手不足や低賃金など、職員のメンタルや衛生環境を守れない職場の悪環境も大きな原因。
やった本人が悪いんだけど、その施設と施設長がヤバいんだろうなと感じます。

賃金や人手不足の問題はたしかにあるでしょう。ただそれ以上に、この職員が愚痴や不満を言える環境であったかも考えるべきだと思います。
根本的な解決にはならなくても、思いを吐き出すだけで心はだいぶ楽になります。

他の選択肢はなかったのか?という声

実際に寄せられたアンケート内容

利用者の暴言や暴力に対してマニュアルを作成するべきだった。
イライラすることはあるけど、そんな時は他の職員を頼るべきだと思う。
事件を起こす前に仕事を辞めようという判断にはならなかったのか?

利用者様の対応でイライラすることは、多かれ少なかれ誰にでもあります。
そんな時にその場を離れ他の職員を頼ったり、どうしても無理なら辞めるという選択肢が自分から言える環境が大切です。

介護職員を擁護する声も?

実際に寄せられたアンケート内容

事件の背景や介護職の人権のなさも報道してほしい。
介護現場の本当の姿を見てもらいたい。綺麗事ばかりではないことを。殺すことは絶対にダメなことですが。
暴言、叩かれ、引っ掻かれ、ツバ吐かれ、それでも介護士は我慢しなきゃいけないの?

殺人は絶対にダメです。
その上で、介護職員は利用者様のすべてを受け止めて我慢しなくてはいけないのでしょうか?
今一度、社会全体で介護現場のリアルな現場を共有し、課題の発見と解決に取り組むことが必要と言えるでしょう。

まとめ

今回は、特養の介護職員が利用者様を殺してしまうという、あってはならない事件についてケアきょうのアンケートとともに記事にさせていただきました。

犯罪行為は絶対にしてはいけません。しかし、今回のような事件でただ介護職員のことを批判するのではなく、その行為に至るまでに何があったのか?事件の背景や理由を明らかにする必要があるでしょう。

なぜなら、介護業界が抱える課題を解決していかないと、今後も同じような事件が発生する可能性はゼロとは言えないからです。
今回の事件が私たち介護職にとって、利用者様との関わり方を見直すきっかけになることを願っています。

最後になりましたが、亡くなったご利用者様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

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