グループホームにおけるユニットとは?基準やメリット・デメリットを現役介護職が解説

施設タイプ紹介
2022/09/15

「グループホームってどんな施設なの?」「ユニットとはなんのこと?」などの疑問を持っている人もいるでしょう。

本記事では、グループホームのサービス内などを含めた基本情報や、介護職がグループホームで働くメリット・デメリットもあわせて解説していきます。

グループホームとは?

グループホームの正式名称は「認知症対応型共同生活介護」といい、認知症の方が共同で生活する施設のことです。

ここでは、グループホームの入居条件や必要な費用など、基本的な情報を分かりやすく紹介していきます。

グループホームの定義

グループホームの定義は以下の通りです。

知的障害者や精神障害者、認知症高齢者などが専門スタッフの支援のもと集団で暮らす家のこと。

参考:厚生労働省「e-ヘルスネット」

さらに補足すると、グループホームは以下の2つに分けられます。

  • 障害を持つ方が自立的に生活できるよう組まれた生活援助事業
    (5〜6人での共同生活)
  • 認知症の方が症状進行を緩和させるための日常生活を送る介護事業
    (5〜9人での共同生活)

介護のグループホームは後者にあたり、認知症の方が家庭的な環境で安心して暮らすことで、認知症の進行を緩和する効果が期待されています。

入居条件

グループホームは、介護保険の地域密着サービスになるため、入居条件は、原則施設がある市区町村に住民票があることです。
また、名前の通り「認知症」であるということも入居条件です。

以上のことをまとめると、以下のようになります。

グループホームの入居条件
  • 医師から認知症と診断され証明書がある方
  • 施設がある市区町村に住民票がある方
  • 65歳以上で要支援2および要介護1〜5の認定を受けている方
  • グループホームでの共同生活に支障がない方

ちなみに、以上の条件を満たしていれば、生活保護の方でも入居は可能です。

必要な費用

グループホームの費用は、主に以下の2点です。

  • 入居時の費用
  • 毎月の生活費

入居時の費用については、0円のところもあれば100万円近くの場合もあり、施設のよってかなりの差があるようです。
一般的な平均としては、10〜20万円ほどが多いです。

毎月の生活費に関しては、「介護サービス費」と「日常生活費」がメインです。

介護サービス費に関しては、要介護度によって以下のように価格が変動します。

要介護度 1ユニットの施設
(1日)
1ヶ月(30日) 1ユニット以上の施設
(1日)
1ヶ月(30日)
要支援2 22,800円 760円 22,800円 22,800円
要介護1 22,920円 764円 22,560円 752円
要介護2 24,000円 800円 23,610円 787円
要介護3 24,690円 823円 24,330円 811円
要介護4 25,200円 840円 24,810円 827円
要介護5 25,320円 858円 25,320円 844円

参考:厚生労働省「介護報酬の算定構造」

また、グループホームでは、以下のようなサービス加算が発生する場合もあります。

項目 内容 費用
夜間支援体制加算 夜間巡回や緊急対応のため人員を増やし見守りを強化するための費用 1ユニット:50円/1日 1,500円/月(30日)
2ユニット:25円/日 750円/月(30日)
医療連携体制加算 医療ケアを充実させる際に必要な費用 39〜59円/日
1,170〜1,770円/月(30日)
認知症専門ケア加算 ・認知症自立度Ⅲ以上の利用者割合が半分以上
・認知症介護実践リーダー研修修了者を規定人数以上配置
などの条件を満たす場合の発生費用
3〜4円/日
退所時相談援助加算 退所後の介護に関する相談援助を実施した場合に、指定の条件の下での発生費用 400円/回
看取り介護加算 指定の条件の下で看取りを行った際の発生費用 死亡日:1,280円/日
死亡日前日および前々日:680円/日
死亡日以前4日〜30日:80円/日

その他にも、以下のような日常生活費がかかります。

  • 居住費(家賃)
  • 食費
  • 光熱費
  • 管理費や共益費
  • 雑費(オムツ・医療費・日用品や嗜好品など)

この中で居住費に関しては、地域の物価や施設設備や広さなどによって変動します。

グループホーム以外の施設との違いは?

グループホームと他の施設との違いを表にしてみました。
(今回は、グループホーム、特別養護老人ホーム、有料老人ホームの3つを比較)

項目 グループホーム 特別養護老人ホーム 有料老人ホーム
入居条件 要支援2〜要介護5
(認知症の診断あり)
要介護3〜5 非認定〜要介護5
施設の目的 認知症高齢者が専門スタッフによる支援を受けながら、住みなれた地域で生活を送ること 自宅で介護を受けられない高齢者が、介護を受けながら生活を送るための施設 高齢者が暮らしやすいように配慮された住まいで、食事サービス、介護サービス、家事援助、健康管理などを受けられる施設
認知症への対応 可能 可能 可能
費用 入居一時金:0〜100万円
月額費用:10万〜20万円ほど
入居一時金:0円
月額費用:5万〜15万円ほど
入居一時金:0〜数億円
月額費用:10万〜50万円ほど
サービス 介護サービス、生活支援がメイン 介護サービス、生活支援がメイン 介護サービス、生活支援以外にレクリエーションなども充実
居室 個室 個室と多床室 個室がメインで広め
運営 民間企業、社会福祉法人、医療法人など 自治体や社会福祉法人 民間企業

部屋の作り

グループホームの部屋の作りは、大きく分けて以下の2つです。

  • ユニット型
  • サテライト型

ユニット型は、少人数のユニットを構成した作りとなっています。
ユニットとは、グループホームの定員を表す単位で、1ユニットは5〜9人で構成され、原則1施設2ユニットまでと定められています。

小規模にしている理由は、認知症の方々に家庭的な環境で穏やかに生活してもらう狙いがあります。

サテライト型は2014年に新設されました。
建物の作りとしては、本体住居サテライト型住居に分かれていて、本体住居ではユニット型と同様の生活ができ、サテライト型住居では1人暮らしを送ることができます。
1人暮らしとは言っても、連絡すればすぐに支援員のサポートを受けられる形です。

グループホームのサービス内容

グループホームは、認知症の方に対する専門的ケアを提供する場でもあります。

その他にも、基本的な支援の安定や看取りへの対応など、グループホームの魅力とともにサービス内容を解説していきます。

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グループホームは質の高い認知症ケアが特徴

グループホームは認知症の方が生活する場であり、専門的な認知症ケアが提供されています。
例えば、レクリエーションは脳トレや体を動かすことで脳を活性化する体操など、認知症ケアに効果的なものが多いです。

また、グループホームは地域密着型の施設であり、認知症ケアに有効な地域交流を取り入れている施設も多くあります。
地域のボランティア活動に参加したり、近くの幼稚園や学校の子どもたちと交流することで、入居者の方々のQOL向上も期待できます。

基本的な支援の安定

グループホームでは、以下のような基本的支援が行われています。

  • 食事の提供や介助
  • 排泄介助
  • 入浴介助
  • 生活相談
  • 買い物代行
  • レクリエーション

グループホームの利用者様は、認知症は患っているものの、身体機能は安定している方も多いので、全面介助というよりはちょっとしたサポートをするという場合が多いです。

介護の基本である「自立支援」を意識したケアが日々提供されています。

グループホームでは看取り対応が可能

グループホームは基本、日常生活を送るための施設で、医療体制が整っていないところも未だ多くあります。
そのため、看取り対応も以前は行われていませんでした。

しかし、介護を必要とする高齢者が増えていく中で、看取りの必要性も高まってきました。
そして、2009年の介護保険法改正で、看取りを提供する施設が受け取れる「看取り加算」を導入しました。

それに伴い、看取り対応をするグループホームも増えているのが現状です。

ご利用者様の生活

先ほどもお伝えしましたが、グループホームで生活している利用者様は認知症は患っているものの、身体機能は安定している方が多い傾向です。
そのため、生活上の介助は必要最低限にして、自立支援を意識したケアを提供します。

例えば、以下のようなことを職員と利用者様の共同で行います。

  • 食事の準備や盛り付けなど
  • 簡単な掃除や洗い物
  • 洗濯物をたたむ作業
  • 花の水やりや畑で野菜を栽培
  • お菓子作りや折り紙などのレクリエーション

生活の中に認知症の症状を和らげる要素が多く含まれているのが、グループホームの特徴と言えるでしょう。

グループホームは医療的ケアは非対応

グループホームは医療職を配置が必須ではないので、基本的には医療的ケアには対応していません
ただ、服薬管理やバイタル測定など、介護職でも行えるような簡単な医療的サポートは可能です。

その中で、先ほどもご紹介した「医療連携体制加算」があるため、訪問看護など医療機関と連携することで、充実した医療的ケアを提供している施設もあります。
看取り対応の需要とともに、医療的ケアを求められるグループホームも増えています。

グループホームにおけるユニットケアとは?

グループホームは1〜2ユニットで構成されており、そこで提供されているサービスはユニットケアと言います。

▽ユニットケアとは?
  • 利用者様と職員が共同で生活している空間を提供
  • まるで家庭にいるようなその人らしい生活の実現
  • 利用者様一人一人に合わせた適切な支援体制
  • プライバシーを守り尊厳を体制にする介護

ここでは、グループホームで提供されるユニットケアの特徴を解説していきます。

徹底した個別ケア

ユニットケアの基本は、一人一人に合わせた支援の提供です。
つまり、個別ケアの徹底が重要だということです。

例えば、以下のような支援は利用者様によって時間が異なります。

  • オムツ交換やトレイに行く時間
  • 食事を食べる時間
  • お茶を飲んだりおやつを食べる時間
  • 入浴する時間
  • 夜寝る時間 など。

ユニットケアでは以上のような支援を、利用者様一人一人から情報を得た上で最適な時間に支援をします。

利用者様が今まで生活してきたスケジュールを大切にすることは、ユニットケアにおいて重要なポイントです。

かつての介護との違いは?

ユニットケアと従来のケアとの最大の違いは、施設の作りです。

以下、2つを比べたものです。

従来型はいわゆる多床室で、複数人が同じ部屋で生活をして、食堂やトイレは共同です。
病院をイメージすると分かりやすいでしょう。

援助の方法も、全員同じ時間に食堂へ移動し食事をしたり、オムツ交換やトイレ誘導などの援助も、一人一人に合わせるのではなく、ある程度時間を決めて、一斉に行う形が多いです。

一方ユニット型の場合は、利用者様一人一人に個室があり、トイレや洗面台も付いている場合が多いです。
各部屋の真ん中にリビングスペースがあり、基本はユニット内で過ごし、顔馴染みの職員や他の利用者様と生活していく形です。

例えば、朝食の時間であれば、それぞれが起きたい時間に起きてきて、可能な限り好きな時間に食事をしていただくようになっています。
また、ユニット内にはキッチンもあり、食事の準備や食器を洗うなどの生活音が、より家庭的な空間を作り上げてくれます。

グループホームのユニットケアに必要な3つの要素

ユニットケアには、以下の3つの要素が必要です。

  1. ハード(環境面):利用者様と職員がともに生活する環境であること。利用者様によって「その人らしい生活」が送れること。
  2. ソフト(援助面):利用者様の今までの生活を理解した上で、一人一人に合った支援をしていく。
  3. システム:職員一人一人が、利用者様の自立支援のために、自発的に支援ができる業務体制を整える。

何よりも、利用者様一人一人が、その人らしい生活を送りながら、QOLを高めてもらうことが非常に大切だと言えるでしょう。

グループホームで介護職が働くメリットとデメリットは?

続いては、グループホームで介護職として働く際のメリットとデメリットを、実際にグループホームで働く筆者が紹介していきます。

それぞれ3つずつ考えたので、これからグループホームで働きたいという方は、参考にしてみてください。

グループホームのメリット

グループホームで働くメリットは以下の3つです。

  • 体力的負担が少ない
  • 少人数制でゆっくり利用者様と関われる
  • 実践的な認知症ケアが学べる

体力的負担が少ない

グループホームは、認知症であれば要支援2から入居可能です。
そのため、身体機能は安定してる方もいるので、排泄や入浴などは見守り程度でできる方も多くいます。
体力への負担が少ないということもあり、介護未経験の方でも始めやすい施設です。

少人数制でゆっくり利用者様と関われる

グループホームは1ユニット9名以下の少人数制なので、一人一人に余裕を持って関わることが可能です。
また、毎日のように顔を合わせているので、細かい変化にも気付きやすいという面があります。
一緒にお茶を飲んだりしながら、利用者様と職員が日々関わることで、信頼関係も気付けるでしょう。

実践的な認知症ケアが学べる

グループホームの利用者様は、原則として「認知症」の診断を受けている方が対象です。
そのため、毎日のように認知症対応を経験します。
その中で、どのような対応が最適なのかを肌で感じることができます。

また既存の職員は、認知症の研修を受けたり資格を持ってることもあるので、的確なアドバイスを受けながら、認知症ケアのレベルを上げることが可能です。

グループホームのデメリット

グループホームで働くデメリットは以下の3つです。

  • 慣れるまでは精神的に疲れる
  • 夜勤が1人の場合がある
  • 看護師が常にいないので不安

慣れるまでは精神的に疲れる

グループホームでは認知症の方を対応するので、認知症ケアに慣れるまでは気疲れするでしょう。
例えば、食事はしたが「ご飯まだ?」と何度も聞いてこられたり、「ちょっと息子が来てるから帰ります」と荷物をまとめて出かけようと人を説得するなど、対応が難しい場面があります。
最初のうちは対応方法に困るので、先輩職員に聞きながらより良い関わり方を見つけるといいでしょう。

夜勤が1人の場合がある

1ユニットのグループホームの場合は、夜勤は1人体制です。

包み隠さずお話しすると、利用者様の状態によってはまとまった休憩が取れない場合もあります。
例えば、夜間急変があって救急対応をしたり、転倒リスクの高い方が不眠状態で、夜通しフロア内を歩かれるなどの対応に追われると、どうしてもゆっくり休憩を取れません。

逆に利用者様がゆっくり休まれる時は、比較的余裕があるので自分の時間を過ごすことができ一長一短と言えます。

看護師が常にいないので不安

グループホームは看護師などの医療職を配置する決まりがありません
そのため、特養など他の介護施設と違い、看護師が常にいるわけではありません。
中には、訪問看護や近くの医療機関と連携し、医療的ケアの提供をしている施設もありますが、それでもすぐに対応できる体制が整っていないのが現状です。
働く前に医療的ケアの状況を聞いておくといいでしょう。

グループホームでの生活はどんな感じ?

グループホームでは、調理や片付け、掃除や洗濯などの家事は職員と利用者が共同で行います
一人一人が役割を持ち、生きがいを持っていただくことを目的としています。

ここでは、1日の流れから行事やイベントのことなど、グループホームでの生活について紹介していきます。

1日のスケジュールは?

まず、グループホームの1日のスケジュールは以下のようになります。

時間 内容
7:00 起床(モーニングケア)
8:00 食事の準備、朝食
9:00 歯磨き、トイレ、バイタルチェックなど
10:00 体操、水分補給(入浴)
11:00 洗濯物をたたむなどの家事
12:00 食事の準備、昼食
13:00 歯磨き、トイレ、居室で休むなど
14:00 脳トレなどのレクリエーション(入浴)
15:00 おやつ、水分補給
16:00 トイレ、それぞれの時間を過ごす
17:00 食事の準備、夕食
18:00 歯磨き、お部屋に戻るなど
19:00 トイレ、それぞれの時間を過ごす
20:00 就寝(ナイトケア)

あまりバタバタすることはなく、利用者様のペースに合わせた支援ができることがグループホームの強みと言えるでしょう。

職員の人数は?

グループホームでは、利用者様3名に対して1人以上の介護職の配置が定められています。
したがって、1ユニット9名のグループホームであれば、3名の介護職が日勤帯にいることになります。

3名に対して1人以上ということで、他の介護施設に比べて余裕を持った支援ができます。
グループホームでは、利用者様と職員がゆっくり座って話をしたり、一緒にお茶を飲んでる光景が見られます。
ゆっくりと流れる時間が、家庭的な雰囲気を作っているのでしょう。

行事やイベントはある?

グループホームでは、年間を通じて以下のようなイベントを開催しています。

  • 花見
  • 納涼祭
  • 敬老会
  • クリスマス会
  • 誕生日会 など。

その他にも、認知症ケアの一環で「お菓子作り」や「近所の保育園や小学校の子どもたちと交流」といったイベントを開催することもあります。

グループホームは少人数だからこそ、イベントを開催しやすいと言えます。

料理は一緒にする?

グループホームでは、食事の準備を職員と利用者様が共同で行います
包丁を持って実際に料理をするところもあれば、盛り付け程度のところもあります。
最近は、職員の負担を減らすために、温めるだけで提供できる食事を導入している施設も増えてきました。

利用者様に食事の準備や後片付けをしていただくことは、役割を持つことで生きがいを感じやすくなり、認知症の進行予防効果も期待できます。

場合によっては退去になる可能性も

グループホームでは、他の方との共同生活が難しい場合に退去になる可能性があります。

以下のような行為が退去要件です。

  • 自傷行為や暴言・暴力がひどい
  • 重度の医療的ケアが必要な状態
  • 利用料が払われていない
  • 長い間入院している
  • 居室に高価な物や貴金属など、持ち込み不可なものを持ち込んでいる

などです。

退去要件は契約書や重要事項証明書に記載されているので、事前に確認できます。

良いグループホームの特徴

グループホームは数多く存在しますが、その中で良いグループホームとはどういった物なのでしょうか?

ここでは、良いグループホームの特徴を紹介していきます。

職員の人数は?

先ほどもお伝えしたように、グループホームの人員基準は利用者様3名に対して1人以上の介護職が必要です。
この基準を満たしていない時点で、余裕がない状態であることが分かります。

また働く職員の様子にも注目しましょう。
利用者様への接し方や、職員同士がしっかりとコミュニケーションを取っているかも、良いグループホームを見極めるポイントです。

利用者様の様子は?

利用者様の様子も、良いグループホームを見極める判断材料です。
例えば、利用者様の笑顔はよく見られるか、安心感を感じられる表情であるかなど注意して観察するといいでしょう。

また、利用者様が気軽に職員に話しかけているか、話しかけやすい雰囲気などから、利用者様と職員の信頼関係が確認できます。

医療機関との連携は?

基本的には医療的ケアを提供していないグループホームですが、最近は医療機関と連携し医療面を強化している施設も増えてきました。
やはり利用する側の立場で考えると、医療面の充実は安心します。

具体的な医療連携としては、近くの医療機関と連携し、週1回の往診や24時間体制で緊急時に医師が対応してくれるオンコール体制や、同法人の訪問看護と連携し、連絡すればすぐに駆けつけてくれる体制の整備などがあります。
今後は、グループホームにも医療的ケアの充実が求められるでしょう。

施設の設備や清掃面は?

利用者様が生活しやすい設備環境になっているかは、とても重要なポイントと言えます。
例えば、手すりの位置は適切に付けられているか、部屋の洗面台は使いやすいか、車椅子でも動きやすい広さかといったことが挙げられます。

また、清掃面にも目を向けましょう。
掃除が行き届いていなかったり、整理整頓ができていない場合は、支援をする上で職員に余裕がない可能性が考えられます。
余裕がないということは、事故のリスクも上がります。
環境面を観察するだけでも、良いグループホームを見極めるポイントになるでしょう。

入居率から見える経営状況

良いグループホームは、入居待ちが発生するくらい需要があります。
しかし、開設して1年以上経っているにも関わらず、入居率が半分以下である場合は、厳しい経営状況と言えます。
これでは、長く安心して暮らしたいと思っても、いつ無くなるか分からないという不安が出てくるでしょう。

経営状況を確認する場合は、その法人の「財務諸表」を見るといいでしょう。社会福祉法人であれば「WAM NET」などの財務諸表の電子開示システムがありますし、「財務諸表 〇〇(企業名)」で検索すれば、会社のホームページなどで経営状況を確認できます。

グループホームの入居手順

グループホームで働く介護職として、利用者様がどういった流れで入居に至ったのかを知ることは、その方に寄り添うという点で大切です。

ここではグループホームの入居手順である、相談から見学、体験入居などの内容を紹介していきます。

相談&問い合わせ

まずは気になる施設をネットで検索したり、地域包括支援センターなどに相談します。
入居を検討する施設が決まったら、見学可能かどうか、空きがあるかなどを問い合わせます。

もし自分の働く施設に問い合わせの電話があった場合は、丁寧に対応しましょう。
この時点で、入居を検討している利用者様やご家族は不安な気持ちを抱いています。
最初の対応から寄り添うことで、その後の入居にも繋がりやすくなります。

見学時はどこを見てる?

入居を検討したら、続いて施設見学をします。

見学者は以下のような点をチェックします。

  • 施設の環境(清掃面や設備など)
  • 職員の様子
  • 利用者様の様子
  • 食事の内容 など。

特に職員の対応によって印象は大きく変わるので、当たり前のことですが、笑顔で元気よく挨拶することを心がけるといいでしょう。

体験入居は前向きに考えている証拠

施設の空き状況にもよりますが、体験入居やショートステイができる場合は、一度施設での生活を体験する場合もあります。
体験入居をしているということは、前向きに入居を検討している証拠なので、安心して生活できることを感じてもらうことが大切です。

また、入居を検討している方は、他の利用者様と上手くやっていけるかという不安を抱いています。
そのため、体験入居の時点で職員が間に入り、他の利用者様との橋渡しをするといった配慮も必要です。

待機期間も考慮

グループホームは小規模な施設のため、入居のハードルは比較的高めです。
そのため、入居を申し込む際に、他の施設と複数検討される方が多いです。

もし自分が働く施設が満員で待機の状態なら、問い合わせの時点でそのことをしっかり伝えておきましょう。
今は入居できなくても、丁寧に対応することで、将来的な入居につながる可能性があります。

入居前面談のポイント

入居前面談では、入居を検討している利用者様と施設側で、以下のようなことを情報共有します。

  • 利用者様のこれまでの生活歴
  • 医療的ケアの注意点
  • 認知症の状態 など。

グループホームは認知症の方を対象としているので、専門医からの認知症診断書の提出は必須です。
その他、要介護度や既往歴、体験入居時の様子などを確認して、入居可能かどうかの判定に入ります。

契約時の確認事項

入居判定が無事に終わり、問題なければそのまま入居(契約)へと移ります。
契約は重要事項などの説明があるため、1〜2時間程度かかります
この段階で、お互いの疑問や不明点を確認しておくことが大切です。

確認事項などの説明が終わり、特に問題がなければ、そのまま契約となります。

入居当日は心のケアを忘れずに

入居当日の利用者様は、不安でいっぱいの状態です。
職員は他の利用者様以上に、新しい方に気を配ることが重要です。
私たちでも新しい生活環境では不安になり、多くのストレスを感じます。

グループホームに入居する方は、認知症を患っているからこそ、私たち以上に不安を感じやすくなっています
したがって、入居から数日間は職員から積極的に関わり、少しでも不安を感じにくくすることが必要でしょう。

まとめ

今回はグループホームについて、以下のようなことを解説しました。

  • グループホームの基本情報(入居条件や費用など)
  • グループホームにおけるユニットとは?
  • グループホームで働くメリット・デメリット
  • グループホームでの生活状況
  • 良いグループホームの特徴
  • グループホーム入居までの手順 など。

グループホームで働く職員として、施設のことを客観的に理解することは非常に大事です。

自分自身の仕事を見直したり、今後グループホームで働きたい方は、ぜひ役立ててみてください。

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