介護職の個人目標の具体例を紹介!新人からベテランまで使える例文付き
介護職をしていると、職場で個人目標の提出を求められるのではないでしょうか?
しかし、普段から目標設定をしていない限り、急に個人目標を立てましょうと言われても難しく感じますよね。
個人目標の設定は、職員一人一人のスキルアップとボーナスに向けた人事考課のためにも必要です。
本記事では、介護職の個人目標を立てる際のポイントや具体例を、キャリア別の例文付きでご紹介していきます。
ぜひ、職場で個人目標を考える際の参考にしていただければと思います。
介護職が個人目標を立てる目的
そもそも、介護職が個人目標を立てる目的は何なのでしょうか?
介護職のような、成果が目に見えにくい仕事では個人目標なんて必要ないのでは?と感じる方もいるでしょう。
ここでは、介護職こそ個人目標が必要である理由を解説していきます。
個人のキャリアプランの整理
介護職が目標を設定することは、個人としてのキャリアプランを整理することに繋がります。
例えば、無資格で資格取得を目指す場合であれば「3年後に必ず介護福祉士の資格を取得する」といった目標を設定します。
また、介護福祉士を受験するために必要な実務者研修の取得も目標に入れるといいでしょう。
資格取得の目標を軸に、職場のキャリア制度と繋げて、介護福祉士を取得した後は介護リーダーを目指すといった方向性も明確になるという効果も期待できます。
スキルアップはまず目標設定から
個人目標を設定することで自分のやるべきことが可視化され、行動力が上がりスキルアップに繋がります。
もし目標設定をしないままだと、やるべきことが理解しにくく、ただ何となく仕事をすることになってしまいます。
結果としてスキルアップもしにくいでしょう。
自分で考えた個人目標だからこそ、自分を客観視して課題を把握することで、自分で考えて仕事をすることにも繋がり、スキルアップの効果を高めてくれます。
モチベーション管理
介護職は、日々の業務が数字や成果として現れにくく、モチベーションの維持が難しい仕事と言えるでしょう。
そのため、個人目標を設定して定期的に評価することで、モチベーションを維持または向上させる効果が期待できます。
また、目標を設定しそれに向かって仕事をする中で、自分自身の強みに気付き「自分にしかできない仕事」という認識を持つことにも繋がります。
継続的なモチベーション管理という面でも、介護職の個人目標の設定は必要と言えるでしょう。
以下、目標設定とモチベーションの関係を図で表してみました。
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ケアきょう求人・転職の無料相談介護職の個人目標の設定方法とポイント
介護職にとって個人目標が重要であることが分かったところで、次はどのように目標を設定すればいいか具体的な方法とポイントを解説していきます。
実際に、自分の個人目標と照らし合わせてみるとより分かりやすいでしょう。
課題を明確にする
個人目標のヒントは、普段仕事をする中での失敗や上手くいかないことの中に隠されています。
例えば、認知症対応が上手くいかず、いつも利用者さんを怒らせてしまうという場合であれば、認知症対応に関する目標が入ってくるでしょう。
さらに具体的に言えば、認知症関連の資格(認知症ケア専門士や認知症対応実践者研修など)の取得も、目標に入れるとより明確になります。
目標=課題の克服という考え方もできるでしょう。
自分の理想を言葉にする
個人目標は課題の克服だけでなく「こうなりたい」「こうしたい」といった、自分の理想を反映させるのも一つの方法です。
より具体像を設定したいのであれば、尊敬する先輩職員をイメージするのもいいでしょう。
先輩の現在の姿を、自分の数年後の姿と捉え、そこから具体的な目標を考えると設定しやすくなります。
期限を設ける
個人目標を設定する上で、期限を設けることはとても大切です。
例えば、「来年必ず介護福祉士の試験に合格する」という目標を設定すれば、それまでにやるべきことも明確になります。
「平日は過去問を1年分する」「休日は最低5時間は問題集をする」といった形で、目標達成までの具体的行動も立てやすくなるでしょう。
期限を設けない場合は、目標までの行動が曖昧になりやすく評価もしにくいので、継続性という面での効果が薄れてしまう可能性があります。
自分のキャリアプランを照らし合わせながら、目標の期限を自分なりに設定しておきましょう。
達成可能な目標か?
目標を設定する際は、自分自身が本当に達成できる内容であるか考えましょう。
これについては難しく、簡単すぎても難しすぎてもダメです。
ベテラン職員にとって「ミスなく統一したケアを提供する」といった目標は当たり前すぎますし、逆に新人職員が「介護リーダーとして他の職員のお手本になる」といった内容は、時期尚早です。
目標というのは簡単すぎても難しすぎても、モチベーションの低下に繋がります。
期限を設けるという点と合わせて考えると、半年〜1年後を目処に達成可能な目標を設定するといいでしょう。
自分が上司だったらどうするかを考える
個人目標を設定する際、それを評価する上司の気持ちも想像しながら考えるといいでしょう。
「自分は昇格を目指してないから」と思うのではなく、リーダーや管理職の視点で、施設運営やチームマネジメントの視点を持つことで、現場の介護職としての成長速度がグッと上がります。
たとえリーダーや管理職にならなくても、広い視野を持っている介護職が現場にいることで、ケアの質は大きく上がりますし、現場の業務改善の際にも非常に役立つでしょう。
目標を達成したかどうかを客観視できるか
目標設定する際は、達成度を客観的に判断できるかも考えておきましょう。
内容が曖昧だと、達成度の評価がしにくく、その後のキャリアプランやさらなる目標設定をしにくくなります。
良くない例としては「毎日介護の本を読んで知識を深める」といった内容だと、目標達成の基準が曖昧で評価しにくくなります。
この場合は「介護の本で学んだ知識を基に、3ヶ月に1回の勉強会を開催する」と設定すれば、本を読むという行為が目標のための手段となり、目標がより具体的になるので評価もしやすくなるでしょう。
【例文付き】介護職の個人目標の具体例をキャリア別に解説
介護職は経験値が大きく左右する仕事です。
そのため、一人一人の経験年数によって、設定する個人目標も変わってくるでしょう。
ここでは、介護職のキャリア別個人目標の具体例をご紹介します。
以下、目標設定シートのサンプルです。事業所によって内容は異なりますが、今回はこのシートを使って具体例を解説していきます。
目標 | 行動内容 | 期間 | 評価 (自分) |
評価 (上司) |
---|---|---|---|---|
〇〇を身に付ける | 〇〇の資格を取得する | ◯年 | 期間終了後に評価 | 期間終了後に面談実施 |
〇〇を習得する | 〇〇の本を毎日10分読んで知識を深める | ◯ヶ月 | 期間終了後に評価 | 期間終了後に面談実施 |
〇〇できるようになる | 毎日〇〇を意識して〜する | ◯ヶ月 | 期間終了後に評価 | 期間終了後に面談実施 |
▼関連動画
介護経験1〜3年の新人の場合
目標 | 行動内容 | 期間 | 評価 (自分) |
評価 (上司) |
---|---|---|---|---|
介護の基本的技術を身に付ける | 実務者研修の資格を取得する | 1年 | ||
認知症対応の基礎を学び実践で活かす | 認知症に関する本を読んで学び、インプットした内容を現場でアウトプットする | 6ヶ月 | ||
利用者さんの細かい変化を観察し、確実に申し送りできるようになる | こまめにメモを取り、分からないことは、その都度先輩職員に確認して解決する | 6ヶ月 |
新人の場合は、介護系の資格取得を目標設定に入れるといいでしょう。
まだ無資格であれば、初任者研修や実務者研修を目指し、経験2年以上の人は国家資格である介護福祉士の取得を目標にするといいでしょう。
資格取得は目標として分かりやすく、行動内容も明確にしやすいので、モチベーション管理もしやすいのでおすすめです。
介護経験4〜9年の中堅の場合
目標 | 行動内容 | 期間 | 評価 (自分) |
評価 (上司) |
---|---|---|---|---|
介護リーダーを目指す。その後は現場の業務改善を図り、離職率低下に繋げる | まずはサブリーダーとして現在のリーダーから具体的な業務内容を学び、リーダーの視点を養っていく。 | 6ヶ月 | ||
介護職と他職種とのパイプ役になり、チームケアを実践する | 1ヶ月に1回開催される他職種連携会議に出席し、現場の課題を施設全体で共有する | 6ヶ月 | ||
ケアマネの資格を取得する | 平日は問題集を1日5ページ、週末は過去問を1日1年分以上の勉強を試験の1年前から継続する | 1年 |
経験4年を超えてくると、ある程度の資格を取得している人が多く、次なるステップに進む段階です。
ここで管理職を目指すのか、専門職としてリーダーやケアマネなどを目指すのかで方向性が決まってくるでしょう。
ちょうど介護職のキャリアの中でも過渡期であり、自分自身のキャリアプランを見つめ直す機会にもなるので、上司や同僚と相談しながら目標設定をするといいでしょう。
介護経験10年以上のベテランの場合
目標 | 行動内容 | 期間 | 評価 (自分) |
評価 (上司) |
---|---|---|---|---|
ヒヤリハットの件数を増やし、事故を50%減らす | 月間のヒヤリハット目標数を60個以上に設定し(各職員に2日に1回のヒヤリハット報告を促す)事故の対策マニュアルを作成する | 6ヶ月 | ||
現場のマネジメントを学ぶため、シフトの作成ができるようになる | 3ヶ月間は現リーダーとともにシフトを作成し、4ヶ月目以降は自分で作成していく | 6ヶ月 | ||
利用者さんの生活スケジュールを見直し、個別ケアの統一化を図る | 起床、排泄、就寝時間などを1ヶ月間観察し、利用者さん一人一人に合った適切なケアの時間を割り出す 2ヶ月目以降は、見直したスケジュールを実際のケアに反映し、よりベストなスケジュールを導き出す |
1年 |
10年以上のベテランになると、管理職などの役職が現実的になってきます。
経験が長いからと言って管理職になれるわけではありませんが、会社としても豊富な経験値を活かして上の立場を目指してほしいと考えるでしょう。
現場で直に後輩の育成にあたるのか、施設全体をマネジメントする管理職になるのか、いずれにしてもチームを引っ張る立場である自覚を持ちながら目標を設定しましょう。
介護職の個人目標の失敗例も紹介
あまりにも高い目標や、自分自身が魅力的だと感じない目標は、仕事のモチベーションを大きく下げる要因となります。
現在の自分の能力と将来のビジョンを明確にした上で、魅力的かつ自分に合った目標設定を心がけることが重要です。
ここでは、介護職の個人目標の失敗例をご紹介します。
目標設定が自分に合っているか?
まずは、設定した目標が自分の今の能力や状況に合っているかを確認しましょう。
自分自身との能力と大きくかけ離れた目標だと、できたという達成感を感じにくく自信をなくす可能性があります。
目標設定のポイントでも解説しましたが、「難しいけど達成できそう」くらいの目標が、その人にとってちょうどいい目標と言えます。
目標を考える際は、自分自身の能力を適切に分析し、簡単すぎず難しすぎない目標を設定しましょう。
本当に自分にとって必要な目標か?
その目標が本当に自分にとって必要かを考えることも大切です。
例えば、ケアマネになりたいわけでもなく、ケアマネ業務より現場で頑張っていきたいと思っているにも関わらず、なんとなくケアマネの資格を取得するといった目標は適切とは言えません。
まずは「自分がどういうキャリアを進みたいのか?」ということを前提に考え、それに対して必要な目標を設定することが重要と言えるでしょう。
上司の言いなりになっていないか?
目標というのは、自分で決めるからこそやりがいに繋がります。
もちろん会社が求めてることを理解することは大切です。
だからと言って、上司の方針にすべて従うのは避けましょう。
モチベーションが下がるだけでなく「上司に言われたからやっている」といった考えになり、自発的な成長も見込めません。
上司から「リーダーとして現場を引っ張ってほしい」という願いなどはありがたいことです。
しかし、自分自身がリーダーとして頑張ろうという気持ちがなければ、結果的にツラいだけになる可能性があります。
個人目標を設定する際は、会社や上司が求めてることと、自分自身がなりたい介護士像をすり合わせて、丁寧な話し合いが必要と言えるでしょう。
職場のキャリアパス制度を確認しておこう
介護現場では、国が推奨する「キャリアパス制度」を導入することで、色々なメリットを受けることができます。
また、キャリアパス制度があることで、個人目標を設定する際の参考にもなるでしょう。
ここでは、介護現場のキャリアパス制度をご紹介していきます。
自分が働く職場では、キャリアパス制度が導入されているか確認してみましょう。
キャリアパス制度とは?
引用元:介護人材の機能とキャリアパスについて(厚生労働省)
介護現場の人手不足の解消や、人材育成の改善を図るために、2019年に国が介護現場でのキャリアパス制度を推奨しました。
キャリアパスの要件としては、以下のようになります。
- Ⅰ.職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系を整備すること
- Ⅱ.資質向上のための計画を策定して研修の実施または研修の機会を設けること
- Ⅲ.経験もしくは資格等に応じて昇給する仕組みまたは一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること
簡単に言うと、「職場内でのキャリアプランを明確にして、キャリアに応じて適切な賃金を与えましょう」ということです。
では、このキャリアパス制度を導入するメリットは何なのでしょうか?
キャリアパス制度を導入するメリットは?
先ほどご紹介した「キャリアパス要件」を満たすことにより、介護職員に対する処遇改善が受け取れます。
詳細は以下の図を参照
引用元:「介護職員処遇改善加算」のご案内(厚生労働省)
キャリアパス制度の導入は、職員のモチベーションアップはもちろん、キャリアアップとともに処遇も改善されるというメリットがあります。
上記の図にあるように、キャリアパス要件をすべて満たす事業所には、介護職員1人当たり月額3万7千円の処遇改善加算があります。
キャリアパス制度は、事業所にとっても職員にとってもメリットのある制度なので、自分の事業所が導入しているか確認することをおすすめします。
まとめ
今回は、介護職の個人目標の設定方法や、実際の具体例やキャリア別の例文を紹介してきました。
介護職が個人目標を設定することは、モチベーションの向上やスキルアップはもちろん、職場のキャリアパス制度による処遇の改善も期待できます。
ぜひ本記事を参考に、あなたに合った目標を設定することで、自分なりのキャリアプランを明確にしていきましょう。
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