介護職の男は底辺なのか?その実態と介護職の将来性を解説【現役の介護職監修】

キャリアアップ
2022/08/18

みなさんは介護の仕事に対してどういうイメージをお持ちですか?

「大変そう」
「給料が低い」
「ブラック……」

一般的には上記のようなイメージが強い介護職。

また、介護職の中には女性も多いのが実態です。
そのためか「介護職は底辺職業」「介護職のとこは底辺」という言われ方がSNSなどでされているのを目にすることがあります。
介護職の男は底辺なのか?」というテーマで、その実態と介護職の将来性について、現役の介護職監修のもと解説していきます。

介護職の男が底辺と言われる理由

介護の仕事は、超高齢化社会である日本を支える素晴らしい仕事であり、とてもやりがいの感じる仕事です。

それなのに、なぜ介護職に対するマイナスイメージが先行してしまうのでしょうか?

ここでは「介護職の男が底辺」と思われる理由を考えてみました。

誰でもできる仕事と思われがち

介護職が誰でもできる仕事というのは、どこからそのようなイメージになったのでしょうか?

理由としては、未経験無資格で、学歴や年齢を気にすることなく、誰でも始めやすいということが挙げられるでしょう。
ゼロから就職し、現場で働きながらスキルアップできるということはメリットでもあります。
しかし、そのハードルの低さが逆にマイナスなイメージに繋がっているとも考えられます。

介護職は誰でも始めやすい仕事であることは確かです。
しかし、認知症対応の専門知識やスキルが必要な介護職は、誰でも続けられる仕事ではありません

介護の仕事はいわゆる3Kの側面も

介護の仕事は3Kと言われてきました。

介護の仕事の3Kとは?

  • キツい
  • 汚い
  • 危険

の3つです。

残業が多く、夜勤などの長時間労働による「キツい」というイメージ、利用者さんの排泄介助に対する「汚い」というイメージ、高齢者施設で起きやすい感染症へのリスクがあるという「危険」というイメージ、こういったイメージが介護の仕事は3Kであると言われる理由でしょう。

しかし実際はラクな仕事なんて存在しませんし、介護の現場では感染症のリスクがあるからこそ、一般的な仕事よりも清潔を意識し衛生面に気を遣っているので、キレイで安全な仕事と言えるでしょう。

他職種と比べた給与は?

一般的に、介護職の給与は低いと言われていますが、実際のところ他の職種と比べてどうなのでしょうか?

以下、介護職と他職種の給与の違いです。

職種 平均月額給与(2020年2月)
介護職員 325,550円
看護職員 383,560円
生活相談員・支援相談員 355,150円
理学療法士・作業療法士
言語聴覚士・機能訓練指導員
364,040円
介護支援専門員 362,510円
事務職員 312,470円
調理員 272,400円
管理栄養士・栄養士 322,010円

引用元:令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(厚生労働省)

ちなみに、全産業の平均月額給与は「307,700円」となっており、介護職は平均よりは高いということが分かります。
参考元:令和2年賃金構造基本統計調査の概況(厚生労働省)

また、介護職の給与は年々上昇傾向で、政府の補助金や処遇改善の影響もあり、今後も上がっていくことが予想されます。
したがって、給与の低さを理由とした「介護職の男は底辺」という答えは当てはまらないと言えるでしょう。

離職率

離職率は、働く人全体のうち、どれほどの人が離職したかを表す数値です。

介護職の離職率の割合は、厚生労働省の調べで、2016年に16.7%となっており、全産業の15%をやや上回る形となっています。

給与が決して高いとは言えないことや、仕事内容、人間関係なども離職率には影響していることも考えらえます。
とは言え、離職率に関しては全産業でも15%前後あり、決して介護職だけが突出して高いわけではありません。

肉体労働

介護職は肉体労働と言われており、肉体労働=底辺のようなイメージがあるかもしれません。
一般的な考えとして、デスクワークよりも肉体労働の方が大変な割に、給与がそこまで高くないというイメージがあるからでしょう。

しかし、介護の仕事は外でする土木のようなハードな肉体労働ではなく、デスクワークもあり、営業職のようなノルマがあるわけでもないので、比較的楽な気持ちで働ける部分はあります。

また介護の仕事は、現場職以外はケアマネや相談員のようにデスクワークが多く、肉体労働とは違う働き方も選択できる点は、介護職のメリットと言えるでしょう。

感情労働

介護職は「感情労働」と言われています。

感情労働とは?
自分の感情を抑えて我慢したり、他者の言動に耐えたりすることが必要とされる労働のことです。
介護職以外では、同じ医療福祉の保育士や看護師、その他接客業も含まれます。

介護の現場では、利用者さんやご家族からの要望に感情をコントロールしながら対応したり、利用者さんが亡くなることで悲しみを感じても、通常通りに業務をする必要があります。
そういった精神的ストレスが強く、肉体労働の体力的負担とともに重くのし掛かることがあります。

このような心身ともに重なる負担が、介護の仕事はキツいというイメージを助長し、介護職は底辺であるという考えに繋がるのかもしれません。

人間関係がもつれるイメージも

介護業界は、人間関係が大変そうというイメージがある人も多いでしょう。
しかし、人間関係の問題に関しては、介護職だけに当てはまることではありません。

ではなぜ介護職は人間関係が大変そうというイメージがあるのでしょうか?
詳しくは、以下のケアきょうYouTubeチャンネルで解説しているので、ぜひ観てみてください。

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ご利用者様とのトラブル・虐待の報道

介護職の男が底辺と言われる理由として、メディアの報道も大きく影響しているでしょう。

例えば、利用者とのトラブルや、介護職による虐待が起こると、「介護施設の職員!利用者に虐待か?」と言ったように、“介護職”のワードと、マイナスなイメージの“虐待”というワードがフォーカスされます。

ただ、実際に介護職の虐待が多いという事実も、以下のケアきょうアンケート結果からも分かっており、そこには労働環境や人手不足といった問題が潜んでいます。
介護職が底辺というイメージの払拭には、現場の労働環境の改善も必要と言えるでしょう。

▼関連動画

介護職の男は底辺ではない?実際の声は?

介護職の男は底辺というイメージに対して、実際に働く介護職の方々や、一般の方々はどういった思いを抱いているのでしょうか?

ここでは、介護職に対する実際の声を集めてみました。

また、以下のケアきょうYouTubeでは、介護職が底辺と言われてしまっている原因を、元介護施設経営者で作家の中村淳彦先生が解説してくれています。

▼関連動画

社会から必要とされているので底辺ではない

「本当に世の中の介護職に関わる方々はすごい、介護の仕事はこれからも必要な仕事だと思う。だからこそ、国はもっと介護に関わる問題について考えてほしいと思う」

こういった声が実際にSNS上で発信されており、介護職は素晴らしい仕事であり、社会から必要とされていることが理解できます。
だからこそ、この声からも分かるように、職員の待遇面や職場環境の改善に、積極的に取り組んでほしいと願います。

仕事内容と待遇のバランス

仕事内容と待遇のバランスに関しては、職場によってかなり差があるようです。

いわゆるブラックと言われる職場にいることで、本来貰えるべき残業代などが支給されないといったことが起こり得ます。
そのため、仕事内容や責任が増えても給与が効率的に上がっていかないが故に、仕事と待遇のアンバランスが起こってきます。

介護職の給与を上げる方法に関しては、以下のケアきょう記事が参考になるので、ぜひチェックしてみてください。

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経験16年の現役介護職の本音!

ここでは、現役介護職(経験16年)で本記事の筆者である私の意見も入れさせていただきます。

結論から申し上げますと、介護職の男は底辺ではありません
まず底辺と感じたこともありませんし、そもそも仕事に底辺も頂点もないというのが私の意見です。
介護に限らず、多くの仕事には必要としている人が存在し、それぞれが誇りを持って仕事しています。

介護職であれば、利用者様はもちろん、自宅で介護が難しいご家族の方々も必要としており、介護の仕事は現在の日本の超高齢化社会を根本から支えています

先ほども述べた、待遇面や職場環境の問題も、介護職だから悪いのではなく、働く場所によって差があることが問題です。
待遇面に関しては、毎年確実に改善されており、徐々に良くなっていることは紛れもない事実です。

介護職の男が底辺であるというレッテルは、介護職をしたことない人や、介護職が合わなかった人たちが作り出した幻想であると思っていいでしょう。
介護職の仕事は、将来性のある素晴らしい仕事であると、改めて声を大にして言わせていただきます。

介護職の男は貴重な存在

介護職は女性の比率が高く、利用者様の移乗介助など肉体労働の面などを考慮すると、男性職員の存在は貴重と言えます。

ここでは、介護現場の男性職員の現状を見ていきましょう。

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介護現場の男性比率は?

令和2年度介護労働実態調査によると、介護職員の男女比率は、男性が26.0%、女性が73.7%となっており、7割以上が女性という結果になっています。

また、施設形態による男女比の違いや、平均年齢、平均給与も参考までに載せておきます。

男性 女性
割合
(%)
平均年齢
(歳)
平均給与
(円)
割合
(%)
平均年齢
(歳)
平均給与
(円)
全体 36.4 40.7 335,460 63.6 46.9 306,590
介護老人福祉施設 43.9 38.5 358,030 56.0 42.6 335,900
介護老人保健施設 42.2 40.0 353,830 57.7 43.0 327,140
介護療養型医療施設 28.8 38.5 316.680 71.1 50.2 273.920
介護医療院 27.6 40.8 320,610 72.3 46.7 302,470
訪問介護事業所 24.7 42.7 336,910 75.2 50.7 306,960
通所介護事業所 27.5 42.4 297,250 72.4 46.7 270,920
通所リハビリテーション事業所 28.9 43.8 316,400 71.0 45.7 290,720
特定施設入居者生活介護事業所 40.7 38.9 330,280 59.2 45.5 312,320
小規模多機能型居宅介護事業所 32.7 43.2 300,690 67.2 47.7 283,960
認知症対応型共同生活介護 30.6 42.9 301,620 69.3 49.9 286,570

引用元:令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果(厚生労働省)

全体的に7割近くが女性職員で、平均年齢は男性の方が低く、給与に関しても男性の方がやや高めになっています。

上記のような状態は、今後より介護現場で働く男性が増えていくことが予想されるでしょう。

ご利用者様・ご家族からの印象

介護施設では、利用者様の7割近くが女性という状況です。
そのため、男性の介護職が、利用者様から好かれるということはよくあります。
年齢的にも自分の孫世代の男性職員に対して、好印象を抱く傾向はあるようです。

その他、女性よりも体力があるという理由から、移乗介助を安心して任せられるという声があがっています。

しかし、身体介助は同性がいいと言われる利用者様もいるため、男性職員だけでは対応できない状況もあります。

ご家族から見た男性職員への印象は、「優しい」「物腰が柔らかい」といったイメージがあるようです。
また、最近は男性の介護職員も増加傾向にあり、ご家族との信頼関係も築きやすくなっていると言えるでしょう。

女性職員から見た男性職員

女性職員から見た男性職員への印象は、体力面に関する信頼が厚いと言えます。
例えば、移乗介助が職員2人対応の利用者様がいる場合、女性職員2人でするよりも、男性職員とする方が安心感があるようです。

その他、筆者である私が実際に現場で聞いたのは、「男性職員は私の愚痴をとにかく聞いてくれるのがありがたい」という女性職員の意見です。
利用者だけでなく、職員の思いも傾聴する男性職員は、介護現場において貴重な存在と言えるでしょう。

介護職の男が将来性のある魅力的な仕事であるワケ

最後に、介護職の男は底辺ではなく、将来性のある魅力的な仕事であることを解説していきます。

介護現場において、男性職員の必要性を以下のケアきょうYouTubeで解説しているので、参考にしてみてください。

▼関連動画

介護職のこれからの需要は?

まずは、介護職の今後の需要を見ていきましょう。

参考元:第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について(厚生労働省)

今後20年で、介護職の需要は増え続けます。
それによって、男性介護職の必要性も高まっていくでしょう。

介護職が社会から必要とされていく中で、より魅力的な仕事になっていく理由を、さらに解説していきます。

待遇に関する将来性

介護職の男が魅力的な仕事である理由として、給与などの待遇面の改善が見込まれることにあるでしょう。

介護職の給与は年々増加しており、平成31年2月の時点で「307,430円」だった平均給与は、令和2年2月の時点で「325,550円」になり、月額18,120円程度増えています
参考元:令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(厚生労働省)

また、2022年には新たな処遇改善加算が実施され、介護職の給与がアップするという政府からの発表がありました。
詳細については、以下のケアきょうYouTubeを参考にしてみてください。

▼関連動画

働き方の選択肢

介護職の魅力は、働き方の選択肢の豊富さにあるでしょう。

まず、需要の高さから日本全国で働くことが可能です。
また、正社員だけでなく、パートや派遣などの働き方もあり、夜勤専従など自分に合った雇用形態を選択できます。

時代の変化とともに、介護職の働き方も柔軟になっており、場合によってはパラレルワークといった介護職以外の仕事も並行して行うことを許可してる事業所もあります。

キャリアアップはのぞめる?

介護職は働き方とともに、キャリアの選択肢も多い仕事と言えるでしょう。

例えば、現場のスペシャリストであれば、介護福祉士を取得し介護リーダーを目指すのがいいでしょう。
より良いケアプランを作成することで利用者様に貢献したい方は、ケアマネージャーという選択があります。
介護職として培ったスキルを、施設運営や人材マネジメントに生かしたいのであれば、施設長などの管理職を目指すことも可能です。

このように、介護職から他の職種にチャレンジすることで、給与やスキルアップを実現し、効果的なキャリアアップをすることができます。

職場環境の改善はのぞめる?

令和2年度「介護労働実態調査」によると、介護職の離職率は14.9%と過去最低で、さらに全産業の15.6%を下回っており、介護職の職場環境が徐々に改善し、職員の定着率が上がっていることを表しています。

しかし、職場環境に関しては事業所によって差があり、期待されるような改善ができていない事業所があることも理解しておきましょう。

以下のケアきょうYouTubeで、介護職が働きやすい施設の選び方を解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

▼関連動画

また、ケアきょうでは、介護職の理想的な働き方を実現するために、介護職専門のアドバイザーが転職を強力サポートします!
詳しくは、こちらのケアきょう公式サイトをご覧ください!

介護職の男が底辺だと言ってるのは一部のメディアだけ!

先日、とある就活サイトの記事が話題になりました。
それが、以下のニュースで紹介されている内容です。

記事内では、介護職の他に建設作業員なども底辺職として紹介されていましたが、主に現職の方々から批判が殺到し、記事は削除されました。

このニュースに対してネット上では、「ランキングに入っている職業は、仕事の割に給料が低い」という意見が多くあがっています。
介護職に関しても、より一層の待遇改善が必要になってくるでしょう。

そして、介護職を始めとした底辺職と紹介された職業は、日本社会を下から支えており、まさに縁の下の力持ちです。
したがって、介護職が底辺というのは一部のメディアが報じているだけで、実際は底辺ではなく、日本社会を土台から支えている素晴らしい仕事であるということです。

まとめ

今回は「介護職の男は底辺なのか?」というテーマでお話しさせていただきました。
結論、「介護職の男は底辺ではなく魅力ある素晴らしい仕事である」ということ。

改めて、介護職の男が魅力ある素晴らしい仕事である理由をまとめてみました。

  • 社会から必要とされている
  • 日本の高齢化社会を支える柱
  • 需要は増え続ける一方
  • さらなる待遇改善が予想される
  • 働き方の選択肢が多い
  • 豊富なキャリアプランを描ける
  • 職場環境の改善効果も見られる など

介護職は多くの人が必要としており、この世になくてはならない仕事です。
本記事を参考に介護職に誇りを持ち、これからの介護業界を支えてくれる人が1人でも多く現れることを心より願っています。

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