ケアマネ試験の合格ラインと受験対策を徹底解説【現役ケアマネ監修】

資格取得
2022/08/04

「ケアマネ試験の合格ラインはどのくらい?」
「難しそうだけど効果的な勉強法はあるの?」

本記事では、以上のような疑問を解決していきます。

試験対策や試験当日の心得などもご紹介しているので、ケアマネを目指している方はぜひ参考にしてみてください。

ケアマネ試験の合格ラインはどのくらい?

ケアマネ試験の合格ラインは、おおよそ「各分野ごとの正答率が70%以上」となっています。
おおよそというのは、決まった合格点があるわけではなく、毎年問題の難易度によって変わってきます。

分野は2つに分かれてますが、どちらか一方が高得点でも、もう一方が合格ライン(70%以上)を満たしていないと不合格になります。

参考までに、令和3年度の東京都のケアマネ試験の合格ラインをご紹介します。

令和3年度(第24回)東京都のケアマネ試験

分野 問題数 合格点
1.介護支援分野 25問 14点(56%)
2.保健医療福祉サービス分野 35問 25点(71%)

参考元:東京都福祉保健局
介護支援分野に関しては、正答率が低かったこともあり、70%を下回る56%が合格ラインでした。

ケアマネ試験の難易度と合格率は?

続いて、ケアマネ試験の難易度と合格率についてです。
こちらも、昨年の東京都の試験結果を参考に解説します。

令和3年度(第24回)東京都のケアマネ試験

受験者 合格者数 合格率
4,166人 1,153人 27.7%

参考元:東京都福祉保健局
ちなみに、全国のデータは以下のようになっています。

令和3年度(第24回)ケアマネ試験の結果(全国版)

受験者 合格者数 合格率
54,290人 12,662人 23.3%

参考元:第24回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について(厚生労働省)

合格率は2〜3割で、10人中2人ほどしか合格しないことを考えると、なかなか難易度が高い試験と言えます。

受験者の職種別の合格者数は?

ケアマネ試験は、毎年色々な職種の方が受験しています。
一体どの職種の合格者が多いのでしょうか?

ここでは、受験者の職種別に合格数をご紹介していきます。

令和3年度(第24回)ケアマネ試験の職種別合格者数

職種 合格者数 構成比率
医師 35人 0.3%
歯科医師 21人 0.2%
薬剤師 104人 0.8%
保健師 253人 2.0%
助産師 23人 0.2%
看護師、准看護師 2,129人 16.8%
理学療法士 727人 5.7%
作業療法士 364人 2.9%
視能訓練士 3人 0.0%
義肢装具士 3人 0.0%
歯科衛生士 138人 1.1%
言語聴覚士 59人 0.5%
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師 209人 1.7%
柔道整復師 182人 1.4%
栄養士(管理栄養士含む) 205人 1.6%
社会福祉士 937人 7.4%
介護福祉士 7,689人 60.7%
精神保健福祉士 127人 1.0%
相談援助業務等従事者 293人 2.3%
合計 13,501人

1.「合計」欄は、複数の法定資格の取得者を含むため、「2」の合格者数とは一致しない。2.「構成比率」欄は、「2」の合格者数における各職種の割合を示している。3.一部の都道府県では、「看護師、准看護師」、「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師」について区分を行っていないため、これらについては一括計上した。
参考元:第24回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について(厚生労働省)
介護福祉士が60%以上と圧倒的に多くなっています。
やはり、ケアマネ=介護職のキャリアアップという考えが浸透していることを表す結果となりましたね。

ケアマネ試験の内容

ケアマネ試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の実施主体は都道府県で、厚生労働省の登録を受けた法人が自治体から委託され、試験を開催する形になっています。
それでは、気になる試験の内容を見ていきましょう。

出題科目と問題数

出題科目と問題数は、合格ライン紹介時にもお伝えした通り「介護支援分野」が25問、「保健医療福祉サービス分野」が35問合計60問です。
配点は1問1点で、合格基準としては、各分野で70%以上の正答率を目安にするといいでしょう。

解答方法

ケアマネ試験の解答方法はマーク式ですが、選択肢は5つの中から答えを複数選ぶ形となっています。
複数選択と聞くと一見難しそうですが、問題をよく読み消去法で解いていけば、残ったものが正解となるので、焦らず一つ一つ丁寧に解いていきましょう。

ちなみに令和3年度(第24回)の試験問題では、60問中44問は3つを選択、その他の問題は2つを選択する内容でした。

試験時間と試験会場

試験時間は120分で、点字受験者1.5倍、弱視等受験者1.3倍の時間設定となっています。

受験会場に関しては、住んでいる地域ではなく、勤務地の指定の場所が設けられています。
各地域によって申し込み期間が違うなどの異なる点があるので、遅くても受験年の4月頃には、担当窓口に問い合わせておきましょう。
「ケアマネ 試験 〇〇(あなたの勤務する都道府県)」で検索すれば、窓口のホームページが出てきます。

【必勝法】ケアマネ試験に合格するための勉強法3選

ケアマネ試験は合格率が20%ほどで、決して簡単に合格できるものではありません。
しかし、事前に準備をして確実に勉強を積み重ねれば誰でも合格することは可能です。

ここでは、ケアマネ試験に合格するための勉強法をご紹介していきます。

通信講座の受講

まず一番難易度が低く継続しやすい勉強法として通信講座の受講があります。
あらかじめ決められたカリキュラムの中で、受験対策のポイントを絞った内容になっているので、自分で学習スケジュールを立てるのが苦手な人におすすめの勉強法です。
また、模擬試験を受けれるというメリットもあります。

デメリットをあげるとしたら、独学で用意するテキスト代よりも費用がかかることくらいです。
何から始めたらいいか分からないという人は「通信講座の受講」を検討してみましょう。

過去問の反復

こちらは、独学で勉強をする方向けの勉強法になります。
ケアマネの試験勉強では、テキストを購入し、それに沿って学習していく人が多いです。
その時にテキストだけ購入するのではなく、できれば過去5年分ほどの過去問題集も購入しましょう。
そして、過去問を何度も繰り返し解いて、間違ったところは解説を見ながら理解を深めましょう。

過去問を繰り返し解く効果は、問題の傾向に慣れるということと、ケアマネ試験は毎年必ず似たような問題が出題されています。
過去問で基本的なポイントを押さえておけば、簡単な問題で貴重な1点を取りこぼさない効果も期待できます。

勉強会への参加

独学や通信学習の場合は、1人で黙々と勉強することになるので、人によってはモチベーションの維持が難しい場合もあります。
そこで効果的なのが、ケアマネ受験対策講座のような勉強会に参加することです。
同じ志を持った仲間とも時間を共有できるので、モチベーションアップだけでなく、他人の勉強法を知れるといったメリットもあります。

勉強会は色々なスクールで開講されており、授業内容や日数なども異なるので、比較しながら自分に合った勉強会に参加してみましょう。

ケアマネ試験当日に大切にすること

ケアマネ試験への対策は勉強だけでなく、試験前日や当日の過ごし方も大切です。
ここでは、試験前の効果的な過ごし方と、試験中のメンタルを安定させる方法を解説します。

試験前日の過ごし方は?

試験前日にまずやめた方がいいのは夜更かしして追い込むことです。
メインの試験勉強は前々日までに終了し、前日は軽い復習のみにしましょう。
可能な限り心身ともにリラックスできる環境を作り、夜は早めに寝て体調管理に努めましょう。

試験直前の過ごし方は?

試験直前は「一問一答」のようなミニテキストで、簡単な復習をしつつマイペースにリラックスして過ごしましょう。
周囲は気にせず、あくまでも自分自身に集中しましょう。
試験の1、2時間前にコーヒーなどカフェインを摂取することで、試験中に集中力が高まる効果も期待できます。

悩む問題の解答法は?

試験中に悩んでしまいどうしても分からない問題がある場合でも、とりあえず解答用紙は埋めておきましょう
一旦全ての問題に触れて、余った時間で分からなかった問題に再度チャレンジすることで時間不足を解消できます。
時間配分としては1問2分以内の計算ですが、分かる問題から率先してやっていけば時間は十分あります。
回答のコツである「消去法」を意識して確実に分かる問題を片付けていきましょう。

ケアマネの仕事内容

ケアマネの働き方には、大きく分けて2つの働き方があります。

対象 勤務先 業務内容
居宅ケアマネ 自宅で生活する人 居宅介護支援事業所 利用者様が自宅で暮らしながら介護サービスを受けれるよう支援
施設ケアマネ 施設で生活する人 特別養護老人ホームなどの介護施設 介護業務やその他の業務を兼務

それでは、ケアマネの詳しい仕事内容を見ていきましょう。

ケアプラン作成は?

ケアマネは、利用者様やご家族の要望を聞いて、介護サービス計画書というケアプランを作成します。
プランの内容は、利用者様がその人らしく生活できるよう、課題解決や目標達成などを記載。
そのために、どういったサービスを提供するかが示されています。

また、作成だけでなく、実際に介護サービスを開始してからその後の変化などをチェックするモニタリングをして、必要であればケアプランの内容を見直します。

利用者や家族との面談は?

ケアプラン作成後は、その内容を利用者様やご家族に確認していただくため面談をします。
施設であればご家族に来ていただき、ご自宅の場合はこちらから伺う形になります。

また、「サービス担当者会議」を開催する場合は、主治医や訪問介護職員など、ケアプラン上にあるサービスを提供する方々の出席を依頼することも必要です。

介護事業所との連携は?

ケアプラン上で介護サービスを提供している事業所との連携も、ケアマネの重要な役割です。
ケアマネは自分でサービスを提供しているわけではないので、しっかりとサービスが提供できているか、その際の様子はどうかなどを確認しないと、ケアプランの評価ができません。
日頃から介護事業所と信頼関係を築いておくことは、その後の連携をスムーズにするためにも大切なことと言えます。

介護保険の給付管理は?

介護保険の給付管理もケアマネの仕事の一つです。
主な仕事は、利用者様の自己負担額と、介護報酬の給付費の管理となります。
ケアマネは、確実に事業所に対して介護給付が実施されるよう、国民健康保険団体連合会に給付管理票などの必要書類を提出する必要があります。

要介護認定の代行は?

要介護認定は、基本的に市町村に申請をしてから審査を受ける必要がありますが、ケアマネが代わりに申請から調査、介護認定の更新作業なども行うこともできます。

ケアマネの仕事はケアプラン以外にも、こういった事務作業的な手続きも多くあります。

ケアマネになるには?

ケアマネになるまでには道のりが長く、大きく分けて以下の3つのステップになります。

  1. ケアマネ試験の受験資格を満たす
  2. ケアマネ試験に合格する
  3. ケアマネ研修を受講する

それでは一つずつ解説していきます。

ケアマネ試験の受験資格は?

まずはケアマネ試験の受験資格ですが、以下のいずれかを満たす必要があります。

  • 介護福祉士や看護師、医者などの国家資格に基づく業務に、通算5年以上(900日以上)従事した実務経験がある
  • 特別養護老人ホームなどで、相談援助業務に通算5年以上(900日以上)従事した実務経験がある

無資格からケアマネの受験資格を満たすまでには、早くても8年はかかる計算です。
まずは、自分自身が将来ケアマネになるために今必要なことは何かを把握して、目の前のことを一つ一つ確実にやっていきましょう。

ケアマネ試験の合格

本記事内でも紹介したように、ケアマネになるには、合格率20%ほどのケアマネ試験に合格する必要があります。
合格ラインが厳しいため、難しいと思われがちですが、半年〜1年ほど計画的に勉強をすれば、十分1回で受かることは可能です。

まずは過去問に触れて、少しずつ問題に慣れていきましょう。

ケアマネ研修の受講

ケアマネ試験に合格した後は、介護保険やケアプランの作成に関する知識や技能、実践的スキルを学ぶ「介護支援専門員実務研修」を受ける必要があります。

研修時間は87時間で、その後居宅介護支援事業所での実習が3日間となっています。
この研修が終わり、都道府県に登録申請後、資格証が交付されてから初めてケアマネとして働くことができます。

まとめ

今回の記事の要点は、以下の通りです。

  • ケアマネ試験の合格ラインは、各分野で70%以上の正答率が必要
  • 毎年合格率は20%ほどで、10人に2人しか受からない難易度高めの試験
  • 効果的な勉強法としては「通信講座」「過去問の反復」「勉強会参加」等がある
  • 問題は複数選択のマーク式で、基本は消去法で解答していく
  • 試験前日は無理に勉強せず体調管理に努める

ケアマネ試験の合格ラインは決して低くありませんが、計画的に学習を進めれば十分合格できます。
まずは、自分に合った勉強法を見つけて、合格を確実に近づきましょう。

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