【介護福祉士監修】介護職に必要な言葉遣いとは?チェックリストで確認
「ご利用者様への適切な言葉遣いってどうすればいいの?」とお悩みではありませんか?
ここでは、介護職員が気を付けたい言葉遣いや接遇マナーといった、ご利用者様やご家族への対応について詳しくご説明します。
介護現場で気をつけるべき言葉遣いとは
「利用者様と接する際の言葉遣いに悩んでいる」という介護職員は多いです。
介護業務中のコミュニケーションの基本として敬語は大切ですが、かしこまりすぎてしまうと、利用者様との心の距離が開いてしまうため、親しみやすさも欠かせません。
そこでまずは、言葉遣いの基本となる敬語について詳しく説明していきます。
尊敬語
尊敬語とは、「相手や第三者を目上の人として敬意や尊敬を表すための言葉遣い」のことを意味します。
「いらっしゃる」「おっしゃる」「召し上がる」などがあたります。
- NG例「○○さん、ご飯を食べる?」→OK例「○○さん、お食事を召し上がりましょう」
- NG例「家族が来てるよ」→OK例「ご家族がお越しになられていますよ」
また、相手への敬意を示すための言葉遣いなので、自分の行動に対して使わないことに注意が必要です。自分に対しては、謙譲語という敬語を使います。 - NG例「私もお昼ご飯を召し上がりました」→OK例「私もお昼ご飯をいただきました」
謙譲語
謙譲語は、「自分・自分側の人間や行動を下げてへりくだることで、間接的に相手や第三者を高める言葉遣い」というもの。
「伺う」「申し上げる」「差し上げる」「お持ちする」などがあたります。
- NG例「今日はレクリエーションをするよ」→OK例「今日はレクリエーションをいたします」
- NG例「私が行くよ」→OK例「私が伺います」
- NG例「わかったよ」→OK例「承知いたしました」
謙譲語は敬語の中でも最上級の表現ですが、日常的に使用すると堅苦しい印象を受けることがあります。
介護現場で使う場合、かしこまった席で用いるのがおすすめ。
丁寧語
丁寧語は、「自分の言葉を丁寧にして品位を高め、相手への敬意を表する言葉遣い」というもの。
主に2つの種類があり、文末に「です」「ます」などを添えた丁寧な表現の「丁寧語」、物の名前に「お」や「ご」を添えて、上品で美しい表現の「美化語」です。
丁寧語は敬語の中でも日常的によく使われています。
- NG例「ご飯は食べたの?」→OK例「お食事は食べましたか?」
- NG例「わかったよ」→OK例「わかりました」
丁寧語を使うと、敬語にありがちな堅苦しい印象を避けて、柔らかい表現にできます。
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ケアきょう求人・転職の無料相談利用者には敬語は使う?使わない?
事業所によっては、ご利用者様に対して、家族のような親しみをこめたコミュニケーションを心掛けているというところもあります。
しかし、ご利用者様は介護職員よりも年上で目上の方。
介護職員としては、どういった対応が望ましいのか悩んでしまいますよね。
そこで、ご利用者様に対して敬語は使うべきなのか、詳しく説明していきます。
介護職の中には利用者に敬語を使わない人も
ご利用者様に敬語を使わず、「タメ口」を使う介護職員もいます。
もちろん、タメ口を使うことで、家族といるような安心感や、心の距離を縮めるとれるメリットもあります。
ただし、ご利用者様のプライドや自尊心を傷付けたり、心の距離が近づきすぎてしまうというデメリットも。
ご利用者様のご家族からの印象が悪くなります。
介護職にとって介護の現場はプライベートな場ではないので、ご利用者様への敬意をもって接する必要があります。
信頼関係を築くために、馴れ馴れしすぎるコミュニケーションは避けましょう。
同僚の言葉遣いにモヤモヤするシーン
タメ口以外にも、幼児言葉や命令口調をする介護職員もいます。
幼児言葉とは、「痛いでちゅかー?」「ご飯食べられまちたかー?」と子ども扱いする言葉遣い。
自分よりも年下の介護職員に、子ども扱いをされることで介護職員への不信感や不快感を持つご利用者様は多いです。
また、業務中に心の余裕がなくなると、「早く立って!」「こぼさないで食べて!」など、強い命令口調をしてしまう介護職員は目立ちます。
命令口調はご利用者様を萎縮させたり、恐怖感情を植えつけてしまうことも。
ご利用者様の自尊心を傷付けるだけでなく、その場の雰囲気がギスギスと悪くなってしまいます。
敬語は使うべき
介護の現場で使う言葉遣いは、敬語が基本。
敬語は目上の方への敬意を表すためだけでなく、思いやりやおもてなしの心として大切な意味があります。
ご利用者様に敬意を表する言葉づかいを意識することで、ご利用者様やご家族との信頼関係を築けます。
もしも、「親しみを込めてあえてタメ口を使っている」「かしこまった敬語で堅い印象を避けたい」という介護職員は、丁寧語を使うように心掛けてみましょう。
丁寧語を使えば親しみやすさや柔軟な印象を与えながらも、上品な言葉遣いにできるのでおすすめです。
一定の親しさなら普通語を使うことも
もちろん、勤務経験が長く、長年ご利用者様に接している介護職員であれば、普通語で会話しても、ご利用者様やご家族からの信頼関係を損なうということはないでしょう。
中には、介護職員との心の距離が縮まることで、喜ばれたり、嬉しいと感じるご利用者様もいます。
しかし、これまでの経験から、ご利用者様と充分信頼関係を築けているからこそ。
「親しき中にも礼儀あり」の心構えは忘れてはいけません。
親しいご利用者様だからといって、馴れ馴れしすぎる言葉遣いや、若者言葉、粗野な言葉遣いは慎みましょう。
介護職が言葉遣いで気になった時考えるべきチェックリスト
NG言葉のチェックリスト
介護の現場では、敬語を使うのが基本ですが、特に言葉遣いに配慮したいシチュエーションがあります。
ただ、具体的に「どういった場面で、どのような言葉遣いに気を付ければいいのか」、イメージしにくいですよね。
そこで、次のチェックリストを確認しながら、NG言葉を使っていないか、確認してみましょう!
- 正しい敬語の使い分けができているか
- 馴れ馴れしくタメ口を使っていないか
- あだ名や呼び捨てをしていないか
- 幼児言葉を使っていないか
- 命令口調になっていないか
- 敬語を意識しすぎてよそよそしい口調になっていないか
- 「~してあげる」という上から目線の言葉遣いになっていないか
- 高齢者が理解できない若者言葉や専門用語を使っていないか
挨拶のチェックリスト
一方で、言葉遣い以外に、体全体を使った非言語的コミュニケーションも同じくらい大切です。
そこで、介護現場で有効な、挨拶時のチェックリストは次の通りです。
- 元気よく声をかけられているか
- 明るい声のトーンで、親しみやすい雰囲気づくりに努めているか
- 目線の高さを合わせているか
- 明るい表情や笑顔でいるか
- 相手が話している際は大きく頷き、共感の姿勢を示す
言葉遣いと、非言語的コミュニケーションを上手に組み合わせることで、親しみやすさや心の距離が縮まり、信頼関係を築きやすくなります。
利用者に向けて使ってはいけない言葉
ご利用者様は認知力が低下している方が多く、身の回りのことが自分一人で行えないため、介護職員がサポートします。
しかし、その際に、ご利用者様を否定したり、ないがしろにするような言葉を使うのは避けましょう。
- 「おかしいですよ」:ご利用者様が事実と違う内容を話していても、否定する言葉はかけない
- 「間違っていますよ」:ご利用者様が間違えてことを話しても、強く指摘しない
- 「家族に言いつけますよ」:脅かしたり、強制させるような言葉はかけない
- 「早くして」:動作が遅くても急かさない
- 「何度言ってもできないんですね」:バカにしたり、非難しない
- 「できないんだからやらないでください」:先入観で決めつけた言葉は使わない
介助中の拒否や、協力がうまく得られないとき、つい焦って余裕がなくなってしまうため、強い命令口調になってしまいがちです。
強制するのではなく、ご利用者様1人1人に配慮した言葉遣いを意識しましょう。
ご家族向けに使ってはいけない言葉
業務に追われている忙しい時間帯に、家族対応しなければならない状況で、つい返答が雑になってしまう介護職員は多いです。
しかし、家族対応がぞんざいだと、ご家族の不信感につながり、クレームも増えます。
- ご家族から声を掛けられた際、「あー、はいはい」「ちょっと待ってねー」と適当な返事はしない
- ご家族がご利用者様の体調の異変や外傷に気付いた際に、「こんなのたいしたことないんで」「よく分かりません」といった、冷たい返事は避ける
ご家族に対しても、温かみのある言葉遣いで対応しましょう。
同僚に使ってはいけない言葉
同僚に対しては、つい遠慮のない言葉のやり取りになってしまいがち。
しかし、同僚同士で適切な言葉遣いができていないと、お互いの信頼関係が築けず、提供する介護の質も落ちてしまいます。
- 「どうせ分からないわよ」:同僚の前でご利用者様をバカにしたり、悪口は言わない
- 「こんなことも分からないの?」:若手や新人の介護職員を下したり、尊厳を傷つけるような言葉は使わない
- 「早くやっといてよ」:同僚に命令したり、強い口調で威圧しない
気持ちよく働き、和気あいあいとした雰囲気づくりのために、同じ業務所で働く同僚にも、礼儀をもって接しましょう。
言葉遣い以外に気をつけるべきこと
いくら言葉遣いだけ丁寧にしても、他のマナーがおざなりになっていては、ご利用者様との信頼関係を築けるコミュニケーションは取れません。
言葉遣い以外に、ご利用者様の尊厳を守り、敬意を表した接遇を心掛けることで、より質の高い介護ケアの提供や、思いやりの溢れるコミュニケーションを行えます。
ただ、具体的にどのようなことに気を付ければいいのか分からなくて悩んでしまう介護職員は多いはず。
そこで、介護職員が言葉遣い以外に気を付けたい接遇マナーについて詳しく説明します。
接遇マナーも重要
ご利用者様に敬意を表し、信頼関係を築けるコミュニケーションとして、言葉遣い以外に接遇の面も欠かせません。
介護における接遇マナーとは、「挨拶・言葉遣い・表情・傾聴・身だしなみ」の5原則。
接遇マナーに配慮することで、ご利用者様の尊厳を守り、安全に介護を行え、ご利用者様との信頼関係が築きやすくなります。
特に身だしなみは第一印象に大きく影響し、ご利用者様やご家族から信頼を得るための重要ポイント。
日常的に身だしなみに配慮することで、清潔感のある誠実な介護職員として、ご利用者様やご家族様に認知してもらえます。
そこで、服装について気を付けたいポイントについてご紹介します。
服装
服装について気を付けたいポイントは次の通りです。
- 汚れがなく、清潔であるか
- 体のサイズに合っているか
- 下着が見えたり透けていないか
- 洗濯されていて、悪臭はしないか
清潔面だけでなく、安全な介護ケアのために、体のサイズに合っている服装は大切です。
言葉遣いや表情などは日常的に意識して継続しなければならないので、難しいと感じる人もいますが、服装は明日からすぐにでも改善できるもの。
改善ポイントを見つけたら、迅速に対応してみましょう。
何よりも敬意を持つことが必要
介護現場での接遇マナーは、ご利用者様やご家族に対して、敬意を持つことが一番大切です。
敬意を持って接することで、自然とご利用者様やご家族を目上の人として敬った接遇マナーを心掛けることができます。
1人1人ニーズや体調が異なるご利用者様への対応に、丁寧さは欠かせません。
思いやりやおもてなしの心を持った行動や言葉は、ご利用者様やご家族に伝わるもの。
良好な信頼関係を築くために、敬意を忘れずにご利用者様やご家族と接しましょう。
まとめ
介護現場で、ご利用者様に親しみやすさや、自宅にいるような安心を感じてもらうために、あえてタメ口を使う介護職員は多いです。
しかし介護現場は職員にとってのプライベートな場ではないので、丁寧な言葉遣いや正しい敬語を使うのがおすすめです。
もしも普通語を使うのであれば、一定の信頼関係を築いてからにしましょう!
また、幼児言葉や命令口調、若者言葉などは、目上の方であるご利用者様に使うべきではありません。
言葉遣い以外に、接遇マナーにも気をつけたいところ。
ご利用者様やご家族への敬意を忘れず、思いやりの心をもって対応しましょうね!
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