ケアマネジャー(介護支援専門員)の実務研修とは?研修の内容や費用などを徹底解説

介護職仕事紹介
2024/04/05

ケアマネジャー(介護支援専門員)実務研修について、次のような疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。

ケアマネジャー(介護支援専門員)の実務研修ってなに?
研修の内容は?
研修を受ける際の注意点は?

本記事では、ケアマネジャー(介護支援専門員)実務研修の内容や、受講する際の注意点などを紹介します。

ケアマネジャーを目指している方や、試験に合格しこれから研修を受ける方に役立つ内容なので、ぜひ参考にしてください。

ケアマネジャー(介護支援専門員)の実務研修とは?

ケアマネジャーの実務研修とは、都道府県が実施する「介護支援専門員実務研修受講試験」合格後に受講する研修です。
試験に合格しても、実務研修を受けなければケアマネジャーとして働くことはできません。

実務研修は、ケアマネジャー業務に必要なケアマネジメントの知識やスキルを学び、介護保険のスペシャリストであるケアマネジャーを養成することを目的としています。

ケアマネジメントには、主に以下のような業務があります。

  • ケアプランの立案(アセスメント)
  • 利用者様の支援経過の観察(モニタリング)
  • ご家族や関係機関との連絡調整
  • 多職種との連携や情報共有
  • サービス担当者会議の開催

実務研修では、このような業務に関する知識を講義だけでなく、演習や現場実習を通じて学んでいきます。

ケアマネジャー(介護支援専門員)実務研修の内容

ケアマネジャーの実務研修は、主に以下の3つで構成されています。

  • 講義形式
  • 演習形式
  • 現場実習

講義と演習は87時間、現場実習は3日間かかります。
講義科目には、一部オンラインで履修可能なものもあります。

参考:令和5年度広島県介護支援専門員実務研修事業実施要領|広島県社会福祉協議会

時間や費用の負担が大きい分、中身の濃い研修内容になっています。
それぞれの研修内容について、より詳しく内容を見ていきましょう。

講義形式

講義形式の研修内容は、以下の内容で構成されています。

  • 介護保険制度の理念・現状及びケアマネジメント
  • 自立支援のためのケアマネジメントの基本
  • 相談援助の専門職としての基本姿勢及び相談援助技術の基礎
  • 人格の尊重及び権利擁護並びに介護支援専門員の倫理
  • 利用者、多くの種類の専門職等への説明及び合意
  • ケアマネジメントのプロセス
  • ケアマネジメントに必要な基礎知識及び技術
  • 介護支援専門員に求められるマネジメント
  • 地域包括ケアシステム及び社会資源
  • ケアマネジメントに必要な医療との連携及び多職種協働の意義
  • ケアマネジメントに係る法令等の理解
  • 実習オリエンテーション
  • ケアマネジメントの展開

講義では、実務で求められるケアマネジメントをメインに学習します。
具体的にはケアマネジメントに関する法令や実践の手順、多職種連携の方法など、ケアマネジャー業務で不可欠な実践力を学べます。

演習形式

演習形式の研修内容は、以下の内容で構成されています。

  • ケアマネジメントに必要な基礎知識及び技術
  • 介護支援専門員に求められるマネジメント
  • 利用者、多くの種類の専門職等への説明及び合意
  • ケアマネジメントの展開 事例演習
  • アセスメント及び居宅サービス計画等作成の総合演習
  • 研修全体を振り返っての意見交換、講評及びネットワーク作り

演習では、ロールプレイや実演などの具体的なシミュレーションを通して、ケアマネジメントを実践できる高いスキルと知識を習得可能です。

実際の現場であるような事例も含まれているため、現場での業務をイメージしながらケアマネジメントを学べます。

現場実習

現場実習では、実際に居宅介護支援事業所に行き、リアルな介護現場で先輩ケアマネジャーからケアマネジメントを学びます
具体的にはケアマネジャーがしている業務を見学したり、ケアマネジメントに関する書類を見たりしながら、現場の空気を感じられます。

利用者様の自宅に行き、直接コミュニケーションを取る機会もあり、ケアマネジャーのリアルな現場を体験できる貴重な時間です。

実在する利用者様を対象に、その方が求めている支援や課題解決に必要な介護サービスを考え、実際にケアプランを作成する場合もあります。

各カリキュラムの課題を提出し、研修最後の修了テストに合格することで、無事にケアマネジャーの実務研修が修了となります。

ケアマネジャー(介護支援専門員)実務研修の費用は?

ケアマネジャー実務研修の費用は、都道府県によって異なりますが、だいたい5万円〜8万円が費用の相場です。
いくつか都道府県の研修費用の例を紹介します。

都道府県 費用(テキスト代や実習費を含む)
東京都 52,800円
大阪府 60,300円
広島県 71,800円

参考:第26回東京都介護支援専門員実務研修の実施及び受講者の募集について|東京都福祉保健財団参考:令和5年度介護支援専門員実務研修の仮申込受付について|大阪府参考:令和5年度広島県介護支援専門員実務研修事業実施要領|広島県社会福祉協議会

ケアマネジャー実務研修の受講費用は、2019年10月から開始した「特定一般教育訓練給付金制度」の対象になっています。

特定一般教育訓練給付金制度とは、受講費用の4割をハローワークが負担してくれる制度で、以下の要件をすべて満たす方が対象の制度です。

  • 雇用保険の被保険者である方又は被保険者であった方のうち、被保険者資格を喪失した日以降、受講開始日までが1年以内の方
  • 受講開始日までの雇用保険の被保険者期間が3年以上(初回の場合は1年以上)ある方
  • 平成26年10月1日以降、教育訓練給付金を受給した場合は、前回の教育訓練給付金受給日から受講開始日前までに3年以上経過している方

引用:特定一般教育訓練給付金制度|厚生労働省

申請や受給方法などの詳しい内容は、お近くの都道府県労働局またはハローワークにご確認ください。

ケアマネジャー(介護支援専門員)実務研修受講からの流れ

ケアマネジャー実務研修受講から資格取得までの流れは、以下のとおりです。

  1. ケアマネジャー実務研修修了
  2. 研修修了証明書の交付
  3. 都道府県への登録
  4. 介護支援専門員証の交付
  5. ケアマネジャーとして就業可能

都道府県への登録は、原則職場がある都道府県で行います
たとえば自宅が神奈川県でも職場が東京都にある場合は、東京都への登録が必要です。

実務研修が修了し、実際にケアマネジャー業務を開始した後でも、5年ごとに定期的に受けなければいけない更新研修や、任意のスキルアップ研修などがあります。

ケアマネジャー(介護支援専門員)実務研修を受ける際の注意点

ケアマネジャーの実務研修を受ける際には、以下3つの点に注意してください。

  • 合格したら早めに日程調整する
  • 無理のないスケジュールで受講する
  • 研修を受講できない場合は日程や会場を変更する

研修を受けるまでの調整は、基本的に自分で行う必要があるため、あらかじめ注意点を把握した上で申し込みましょう。

合格したら早めに日程調整する

ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)に合格したら、実務研修の日程調整を早めに行いましょう
実務研修の日程は、都道府県によって異なりますが、ケアマネジャー試験の合格発表後にわかります。

実務研修の受講に期限はありませんが、試験のために学んだ知識を活かすためにも、試験合格後1年以内の受講がおすすめです。
可能であれば、直近の研修受講が望ましいでしょう。

無理のないスケジュールで受講する

働きながら実務研修を受講する場合は、無理のないスケジュールを組むことが大切です。
ケアマネジャー試験合格後は日程を確認し、休日の指定や有休の使用など事前に上司に相談しておきましょう。

都道府県によって異なりますが、研修日程は前期と後期に分かれており、そこからさらにAとBのコースを選ぶ形が一般的です。

現在は動画配信で学ぶオンライン研修と、研修会場で行われる集合研修が合わせて行われる場合が多いため、働きながらでも無理なく受講しやすくなっています。

研修を受講できない場合は日程や会場を変更する

実務研修の日程は、ケアマネジャー試験の合格通知とともに送られてきて、その時点ですでに研修日程が決まっています。

前期と後期でいくつかの日程を選択できるとはいえ、場合によっては都合が合わず受講できない可能性もあります。

日程の関係や自己都合等でどうしても研修が受けられない場合は、お住まいの都道府県に相談し、来年度に振り替えたり他の地域での受講を検討しましょう。

ケアマネジャー(介護支援専門員)の更新研修について

ケアマネジャーの資格取得後は、まず実務研修を受けることになります。
その後は、5年ごとに更新研修を受けなければいけません。

ここでは、更新研修に関して以下3つの疑問に回答する形で解説します。

  • 更新研修の内容は?
  • 実務研修と更新研修の違いは?
  • 資格の有効期限が切れた場合の研修は?

それぞれ詳しい内容を見ていきましょう。

更新研修の内容は?

ケアマネジャーの更新研修は、ケアマネジャーとして働き続けるために資格取得後5年ごとに必ず受けなければいけない研修です。

以下の図に示したように、実務経験の有無や期間、更新研修の回数によって対象の研修が異なります。

実務研修受講後にケアマネジャーとして働き続ける場合、更新研修は必須のため、更新が必要になる1年前くらいから自分が対象の研修は何かを確認しておきましょう。

実務研修と更新研修の違いは?

実務研修と更新研修の違いは、以下のとおりです。

研修の種類 内容
実務研修 ・ケアマネジャー試験合格後に受ける
・研修の種類は1つのみ
・受講しないとケアマネジャー資格を取得できない
更新研修 ・ケアマネジャー資格取得者が5年ごとに受ける研修
・実務経験の有無や期間などにより対象の研修が異なる
・資格の有効期限が1年前以降でないと受けられない(専門研修は除く)

更新研修は実務研修に比べると研修の種類も多く、人によって必要な研修が異なるため、自分が対象の研修を把握することが大切です。

更新研修の中でも「専門研修」に関しては、いつでも受講可能なので、対象の方は余裕を持って早めに受講しましょう。

資格の有効期限が切れた場合の研修は?

ケアマネジャー資格の有効期限が切れた場合は、更新研修ではなく以下のような「再研修」を受けることで、再び介護支援専門員として働けます。

項目 内容
研修時間 54時間
費用例(※都道府県によって異なる) 36,000円(参考:広島県社会福祉協議会
対象者 ・5年以上ケアマネジャー業務に従事していない人
・ケアマネジャーの資格が失効しており、今後ケアマネジャーとしての就業を希望する人
受講の時期 都道府県により異なるため要確認
研修の内容 ケアマネジャー業務の基礎的なスキルを学べる

再研修は、ケアマネジャーとして5年以上の実務経験がなく資格が失効しており、今後ケアマネジャーとしての就業を希望する人が対象の研修です。

ケアマネジャー(介護支援専門員)の実務研修に関するよくある質問

ケアマネジャーの実務研修に関するよくある質問は、以下の3つです。

ケアマネジャーの実務研修を受けないとどうなりますか?
体調不良や急用などで実務研修を受けられない場合はどうすればいいですか?
実務研修で不合格になる場合はありますか?

それぞれわかりやすく回答しているので、実務研修を受ける際の参考にしてください。

ケアマネジャーの実務研修を受けないとどうなりますか?

ケアマネジャーの実務研修を受けないと、ケアマネジャーとして働くことはできません。
ケアマネジャーは試験に合格しても資格取得はできず、研修を受ける権利が与えられるだけです。

試験に合格しケアマネジャーとして働きたい場合は、必ず実務研修を受講し修了した上で資格を取得し、都道府県に登録しましょう。

試験合格から登録までの流れは「ケアマネジャー(介護支援専門員)実務研修受講からの流れ」を参考にしてください。

体調不良や急用などで実務研修を受けられない場合はどうすればいいですか?

研修を申し込んだにもかかわらず、当日体調を崩したり急用が入って受講できない場合は、別日に振替が可能です。

ただし、研修によっては定員を満たしているため振替ができなかったり、自治体によって対応が異なったりします。
受講できないとわかった時点で研修の担当窓口に連絡しましょう。

どうしてもその年の研修が受けられない場合は、翌年にあらためて申し込んで受講することも可能です。

実務研修で不合格になる場合はありますか?

ケアマネジャーの実務研修は、真面目に受講し科目ごとにある課題を提出しておけば問題なく修了できます。
修了試験のような形の課題もありますが、一つひとつの課題を丁寧に行っていけば、とくに難しいものではありません。

講義の途中に頻繁に居眠りをしたり、課題を期限までに提出しなかったりすると、研修の評価内容に影響が出てスムーズに修了できない可能性があります。
問題なく修了し資格を取得するためにも、講義を真面目に受けて確実に課題を提出しましょう。

まとめ

実務研修は、ケアマネジャー(介護支援専門)をする上で必要な知識やスキルを身に付けられる研修です。
ケアマネジャーとして働くためには、実務研修の修了証明が必要なため、必ず受講してください。

ケアマネジャー試験に合格したら、自分で研修のスケジュールを確認し、早めに日程調整を行いましょう
ほとんどの方が働きながら研修を受けるため、職場と相談しながら無理のないスケジュールで受講するのが大切です。

費用面の負担もあるため、事前にいくら必要なのか、職場の補助は受けられるのか等も確認しておくといいでしょう。

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