看護師と介護職の違いを待遇面や仕事内容など8つの視点から比較してみた
介護現場で働く主な職種として、介護士と看護師の2つがあります。
高齢化社会の真っ最中である日本にとって、介護士や看護師は非常に貴重な存在です。
そんな中で「看護師と介護士の違いは何?」と思う方もいるのではないでしょうか?
介護現場で働きたいけど、どちらの職種が自分に向いているのか悩む方もいるでしょう。
本記事では看護師と介護士の違いを8つの視点から紹介します。
看護師と介護士の違いを知りたい方や、自分にあった職種を考える参考にしたい方は、ぜひ内容をご覧ください。
看護師と介護士の違いとは?
看護師と介護士の違いについて、以下8つの項目ごとに解説します。
- 活躍できる場所
- 仕事内容
- 待遇面
- 必要資格
- メリット
- デメリット
- 向いている人
- 向いていない人
それぞれの詳しい内容を確認しながら、自分にあった職種を考える際の参考にしてください。
活躍できる場所
看護師と介護士の活躍できる場所は、それぞれ以下のとおりです。
職種 | 活躍できる場所 |
---|---|
看護師 | ・病院やクリニック ・訪問看護ステーション ・老人ホーム ・デイサービスセンター ・看護系の教育機関 |
介護士 | ・老人ホーム ・デイサービスセンター ・訪問介護ステーション ・介護系の教育機関 ・障害者施設 |
介護施設であれば、看護師も介護士も配置基準があり、お互いの職種が協力して働くことになります。
また病院によっては、看護助手のような形で介護士を募集している場合もあります。
仕事内容
看護師と介護士の仕事内容について、以下の表にまとめました。
職種 | 主な仕事内容 |
---|---|
看護師 | ・バイタルチェックをはじめとした健康管理 ・服薬指導や薬の管理 ・血糖測定やインスリン注射 ・点滴や採血 ・傷や褥瘡などの処置 ・経管栄養の準備や痰吸引 |
介護士 | ・排泄や入浴などの身体介助 ・シーツ交換や掃除などの生活支援 ・レクリエーションの立案や実施 ・日常生活上の悩み相談 ・利用者様の日常生活の記録 ・必要な医療的ケア(有資格者限定) |
看護師の主な仕事は、利用者様の健康管理や服薬管理です。
一方、介護士の場合は利用者様の日常生活のサポートがメインの仕事になります。
ただ施設によっては、看護師が生活支援をしたり、資格を持った介護士が医療的ケアをしたりする場合もあります。
待遇面
待遇面では、看護師と介護士の平均給与を見ていきましょう。
厚生労働省の調査によると、介護施設で働く看護師と介護士の給与は以下のとおりです。
職種 | 平均給与 |
---|---|
看護師 | 373,750円 |
介護士 | 317,540円 |
およそ6万円の差があり、看護師のほうが待遇面で恵まれていることがわかります。
さらに、病院やクリニックなどの看護師も含めると、平均給与は40万円ほどになります。
少しでもいい待遇を求めるなら、介護士より看護師のほうがおすすめです。
必要資格
看護師として働く場合は、国家資格である正看護師または民間の資格である准看護師が必要です。
一方で介護士として働きたい場合は、以下のような資格が必要です。
- 認知症介護基礎研修
- 介護職員初任者研修
- 介護福祉士実務者研修
- 介護福祉士
- 認知症ケア専門士
以前は無資格でも介護士として働けましたが、2024年4月より無資格の方は「認知症介護基礎研修」以上の資格がないと介護士として働けなくなります。
参考:令和6年度から認知症介護基礎研修を完全義務化 認知症利用者への対応力向上へ|老施協デジタル
介護士の場合は、国家資格である介護福祉士を取得すれば、待遇面の改善をはじめキャリアアップが期待できるでしょう。
メリット
看護師と介護士のメリットは、それぞれ以下のとおりです。
職種 | メリット |
---|---|
看護師 | ・介護士よりも給料が高い ・需要が高く就職に困らない ・ブランクがあっても復帰しやすい ・平日に休める |
介護士 | ・需要が高く全国に求人がある ・処遇改善により給料が増えている ・資格を取れば長く安定的に働ける ・平日に休める |
看護師も介護士も全国的に需要が高く、就職に困らないのは共通のメリットです。
介護士は看護師に比べると給料は劣るものの、介護福祉士を取得すれば安定的な給料をもらえるため、資格取得を目指しながらキャリアアップを図るといいでしょう。
デメリット
看護師と介護士のデメリットは、それぞれ以下のとおりです。
職種 | デメリット |
---|---|
看護師 | ・職場によっては体力的な負担が大きい ・ストレスが溜まりやすい ・ミスが許されないプレッシャーがある ・土日祝が必ず休みにならない |
介護士 | ・看護師に比べると給料が低い ・職場によっては体力的な負担が大きい ・感情労働である ・土日祝が必ず休みにならない |
看護師も介護士も、患者様や利用者様の命と向き合うため、心身ともに負担が大きい仕事です。
またどちらも土日祝日の休みが取りにくい環境ですが、その反面平日に休みやすいのがメリットです。
土日や祝日に休みたい方は、クリニックやデイサービスなどで働くという選択肢もできます。
向いている人
看護師と介護士、それぞれに向いている人を以下の表にまとめました。
職種 | 向いている人 |
---|---|
看護師 | ・コミュニケーションが好きな人 ・緊急時でも柔軟に対応できる人 ・他人の役に立つのが好きな人 ・ストレス発散が上手な人 |
介護士 | ・人とかかわるのが好きな人 ・体力に自信のある人 ・オンとオフの切り替えが上手い人 ・不規則な勤務時間に抵抗がない人 |
看護師も介護士も人とかかわる仕事のため、コミュニケーションが得意な人や、他人とのかかわりが好きな人は向いているでしょう。
またどちらもストレスが溜まりやすい感情労働のため、自分なりのストレス発散法を持っている人におすすめの仕事です。
向いていない人
看護師と介護士、それぞれに向いていない人を以下の表にまとめました。
職種 | 向いていない人 |
---|---|
看護師 | ・コミュニケーションが苦手な人 ・責任感がない人 ・手先が不器用な人 ・感情移入しやすい人 |
介護士 | ・人とのかかわりが嫌いな人 ・思いやりの気持ちが持てない人 ・せっかちな人 ・体力がない人 |
どちらもコミュニケーションが多い仕事のため、人とのかかわりが苦手な人は向いていません。
看護師は傷の処置や採血など、こまかい作業もあるため、手先が不器用な人は苦労するでしょう。
介護士は利用者様のペースに合わせた介護をしなければいけないため、何でも早くしたいせっかちな人には向いていない仕事です。
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ケアきょう求人・転職の無料相談介護士から看護師を目指すには?
介護士から看護師を目指すには、以下のような選択肢があります。
- 看護系の大学または短期大学に通う
- 看護師の養成所に通う
- 准看護師を取得し実務経験を積む
「介護士として働きながら看護師は目指せる?」「准看護師の資格だけでも働ける?」といった疑問にもお答えするので、ぜひ参考にしてください。
看護系の大学または短期大学に通う
正看護師を目指す場合は、4年制の看護系大学または、3年制の短期大学に通い、規定のカリキュラムを受けることで看護師国家試験の受験資格を得られます。
保健師や助産師を目指せるのもメリットです。
4年制よりも3年制の短大のほうが短期間なのでいいのではと思う方もいるかもしれません。
しかし、期間が短い分スケジュールが過密になることや看護系の短大自体が少ないというデメリットがあります。
大学に行く場合は、介護士として働きながら通うのは難しいため、退職または休職をする必要があるでしょう。
時間や費用に余裕がある場合は、大学や短大経由で看護師を目指すのがおすすめです。
看護師の養成所に通う
大学や短大以外にも、看護系の養成所(専門学校)に通う方法もあります。
看護師の資格取得に特化した養成所のため、ゆとりを持って学べます。
社会人から看護師を目指す方におすすめのルートで、介護士として働きながら看護師を目指したい方は、選択肢のひとつに入れておくといいでしょう。
ただしフルタイム勤務は難しいため、パートとして介護士を続けることになります。
最終学歴が中学卒業の場合は、5年一貫制の看護師養成課程校に通えば、高卒資格と看護師の受験資格をあわせて取得できます。
最終学歴や時間的な余裕なども考慮して、自分にあったルートで看護師国家試験の受験資格を取得しましょう。
准看護師を取得し実務経験を積む
看護師には国家資格である看護師資格と、民間資格である准看護師の2種類があります。
介護士から看護師を目指す場合、少しでも早く看護師経験を積みたい方は、准看護師の資格を取得して実務経験を積むルートもおすすめです。
准看護師は、准看護師学校養成所に2年間通い、都道府県が実施する准看護師試験に合格することで資格を取れます。
准看護師の資格取得後、すぐに看護師学校養成所で2年学んで国家試験を受けることも可能ですし、一度実務経験を積んでから看護師学校養成所に通うルートもあります。
ただし、最初から看護系大学や看護師養成所に通い看護師を目指すより時間がかかる点はデメリットです。
介護士として働きながら看護師は目指せる?
介護士として働きながら看護師を目指す場合は、以下3つのルートがあります。
- 定時制の看護師学校養成所に通う
- 准看護師の資格取得後に看護師学校養成所に通う
- 准看護師の資格取得後に実務経験を積み通信制の看護師学校養成所に通う
働くといってもフルタイム勤務は難しいため、パートでの短時間勤務になるでしょう。
また准看護師学校養成所経由で実務経験を積み、通信制の看護師学校養成所に通う場合は、看護師取得までに最短でも11年もかかるため非常に長い道のりです。
お近くの看護師養成学校を検索したい方は、以下のサイトから確認できるので、ぜひご覧ください。
介護施設で働くなら准看護師だけでも可能
介護士から看護師を目指す場合は、准看護師の資格のみを取得する選択もおすすめです。
介護施設は複雑な医療業務が少なく、スキルや経験が少なくても働きやすい環境です。
准看護師の資格を取得し、介護現場で経験を積みながら正看護師を目指すという働き方もできます。
すでに働いている介護施設でそのまま働く場合は、利用者様の状態を把握した状態で看護師として働けるため、広い視野で医療ケアを提供できるでしょう。
看護師と介護士の違いに関するよくある質問
看護師と介護士の違いに関するよくある質問は、以下の3つです。
- 看護師にできて介護士にできないことは何ですか?
- 看護師が介護士として働くことは可能ですか?
- 看護師と介護士はどちらが上ですか?
それぞれの質問にわかりやすく答えているので、ぜひ回答をご覧ください。
看護師にできて介護士にできないことは何ですか?
介護士は基本的に医療行為が禁止されています。
具体的には、以下のような医療行為は、看護師のみ可能で介護士はしてはいけません。
- 血糖測定
- インスリン注射
- 床ずれの処置
- 点滴の管理
- 摘便
ただし経管栄養の管理や痰吸引などの医療的ケアは、必要な研修を受講すれば介護士でも可能になります。
参考:介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度について|厚生労働省
看護師が介護士として働くことは可能ですか?
看護師の資格を持っている方でも、介護を希望して求人に応募すれば介護士として働けます。
実際に介護現場では、看護師の資格を持っていながら、介護士が人手不足であるという理由から介護業務をメインに働いている方もいます。
また看護師資格を持っている方は、申請することで介護職員初任者研修の資格を発行してもらえるため、わざわざ介護の資格を取る必要がありません。
看護師の資格を持っている方で介護士として働きたい方は、施設に相談してみるといいでしょう。
看護師と介護士はどちらが上ですか?
介護施設によっては、資格取得の難易度や収入面などの理由で、介護士よりも看護師のほうが上だという雰囲気が出ている場合もあります。
介護施設は介護サービスがメインのため、主任やリーダーなどは介護士が担うケースがほとんどです。
看護師も介護士もそれぞれの専門領域があり、仕事内容が違うため優劣をつけられません。
上限関係ではなくお互いが対等な立場で協力して、利用者様の生活をサポートすることが大切です。
まとめ
看護師と介護士は、介護施設のような同じ職場で働くことはありますが、医療と介護というそれぞれの専門分野で仕事内容は分かれています。
介護士から看護師を目指したい方という方であれば、働きながら看護師の資格を取得することも可能です。
どちらの職種にもメリットやデメリット、向き不向きがあるため、ぜひ本記事で紹介した「看護師と介護士の違いとは?」を参考に、自分にあった職種を考えてみてください。
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