社会福祉士と精神保健福祉士は何が違う?それぞれの仕事内容やメリットを紹介

介護職仕事紹介
2024/03/18

社会福祉士精神保健福祉士の資格取得を目指す方で、以下のような疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。

同じ福祉系の国家資格だけど何が違うの?
試験の難易度は?
どのような仕事内容なの?

本記事では、社会福祉士や精神保健福祉士の仕事内容や収入面の違い、それぞれのメリットなどを解説します。

社会福祉士や精神保健福祉士どちらの資格を取得しようか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

社会福祉士と精神保健福祉士は何が違う?

社会福祉士精神保健福祉士の違いを、以下4つの項目ごとに解説します。

  1. 仕事内容
  2. 就職先
  3. 収入面
  4. 試験の難易度

同じ福祉系の資格ですが、さまざまな面で異なります。
それぞれ詳しい内容を紹介するので、ぜひご覧ください。

仕事内容

それぞれの職種の仕事内容は、以下のとおりです。

職種 主な仕事内容
社会福祉士 ・対象者はさまざま理由で日常生活に困難がある人に対する相談援助
・高齢者や障害者だけでなく、いじめやひきこもりに苦しんでいる人なども対象
精神保健福祉士 ・精神疾患がある人に対する助言や指導、就労支援などの相談援助
・学校や企業などで行う一般の方向けに対するメンタルヘルスケア

社会福祉士は幅広い悩みごとに関する相談に乗るのに対して、精神保健福祉士は精神疾患をはじめとした、メンタルに不調を抱えるような方々をメインに援助する職種です。

就職先

それぞれの就職先の例は、以下のとおりです。

職種 主な仕事内容
社会福祉士 ・福祉事務所
・地域包括支援センターなど
・特別養護老人ホーム
・小学校、中学校
・病院、クリニック
精神保健福祉士 ・保健所
・精神保健福祉センター
・自立訓練施設
・就労移行支援施設
・精神病院、メンタルクリニック

社会福祉士と精神保健福祉士は、どちらの資格も社会福祉にかかわるため、専門領域は違いますが、同じ職場で働いている場合もあります。

それぞれの資格の専門領域に特化した福祉事務所や、精神保健福祉センターのような職場で働くこともあります。

収入面

公益財団法人社会福祉振興・試験センターのデータによると、それぞれの平均収入については、以下のような結果になっています。

職種 平均収入
社会福祉士 403万円
精神保健福祉士 404万円

参考:社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士の「就労状況調査」|公益財団法人社会福祉振興・試験センター

調査結果は、さまざまな職場で働いているそれぞれの資格取得者の統計です。
働く場所や年齢などさまざまな要素によって、収入は異なってきます。

ちなみに社会福祉士では50代の平均年収が564万円ともっとも高く、精神保健福祉士でも同様に50代の平均年収がもっとも高く、541万円という調査結果でした。

試験の難易度

厚生労働省のデータによると、それぞれの国家試験の合格率は、以下のとおりです。

職種 国家試験の合格率(過去5年分)
社会福祉士 ・第31回:29.9%
・第32回:29.3%
・第33回:29.3%
・第34回:31.1%
・第35回:44.2%
精神保健福祉士 ・第21回:62.7%
・第22回:62.1%
・第23回:64.2%
・第24回:65.6%
・第25回:71.1%

参考:社会福祉士国家試験の受験者・合格者の推移|厚生労働省参考:参考:第25回精神保健福祉士国家試験合格結果を公表します|厚生労働省

調査結果だけ見ると、精神保健福祉士の合格率が圧倒的に高いことがわかります。

要因としては、社会福祉士のほうが出題範囲がやや広く、覚えることが多いことが考えられるでしょう。

社会福祉士と精神保健福祉士を目指すルートとは?

社会福祉士と精神保健福祉士を目指すルートについてそれぞれ解説します。

また、どちらの資格を先に取得するべきか、同時に受験することは可能なのかといった疑問についてもお答えしていきます。

社会福祉士と精神保健福祉士の資格取得を目指している方は、ぜひ参考にしてください。

社会福祉士になる方法

社会福祉士として働くには、社会福祉士の国家試験に合格しなければいけません。
国家試験を受験するまでのルートは、主に以下3つのパターンがあります。

  • 福祉系大学や短期大学を卒業する
  • 短期養成施設等を経由する
  • 一般養成施設等を経由する

福祉系大学で指定科目を履修している場合は、受験資格を満たしているので国家試験に合格すれば社会福祉士になれます。

高卒の場合は、大学や短大、養成施設等でのカリキュラムが必要なため、社会福祉士取得までに最短でも4年ほどかかるでしょう。

精神保健福祉士になる方法

精神保健福祉士として働くには、精神保健福祉士の国家試験に合格しなければいけません。
国家試験を受験するまでのルートは、社会福祉士と同様に以下3つのパターンがあります。

  • 保健福祉系大学や短期大学を卒業する
  • 短期養成施設等を経由する
  • 一般養成施設等を経由する

社会福祉士と精神保健福祉士のカリキュラムには共通科目があるため、社会福祉士を取得しておくことで一部の科目が免除になります。
(社会福祉士を受験する際も同様)

資格取得を目指す場合は、まず自分がどのルートが学習しやすいか確認しておくことが大切です。

社会福祉士と精神保健福祉士どちらの資格を先に取るべき?

社会福祉士と精神保健福祉士は、それぞれ援助の対象者が異なるため、自分が活躍したい場所に応じて資格取得を目指しましょう。

さまざまな悩みを抱えている方をサポートしたい場合は、社会福祉士がおすすめです。
一方、精神保健福祉士精神疾患を抱えている方がメインの対象者になります。

介護職の場合は高齢者施設で働くため、どちらの資格を取得しようか悩んでいる方は、社会福祉士の資格取得を先にするといいでしょう。
資格取得が、相談員へのキャリアアップにも役立ちます。

高齢者でも精神疾患を抱えている方はいるため、より知識やキャリアの幅を広げたい場合は、精神保健福祉士の資格取得も検討しましょう。

社会福祉士と精神保健福祉士ダブル受験は難しい?

社会福祉士と精神保健福祉士の資格を両方取得することで、以下のようなメリットがあります。

  • 福祉の専門領域が広がる
  • 就職やキャリアアップに有利になる
  • 試験科目が免除され資格が取りやすい

両方の資格を取得すれば、その分専門領域を拡大でき、就職やキャリアアップに有利に働くでしょう。

また先にどちらか一方の資格を取得しておけば、試験科目が免除されるため、受験勉強の負担が少なくて済みます。

ただし、両方同時に受験する場合は、それだけ受験勉強の範囲が多くなります。
両方の資格取得を検討している場合は、まずどちらか一方の資格を取ってから受験すると余裕を持って勉強できるでしょう。

社会福祉士のメリット

社会福祉士のメリットは、以下の3つです。

  • キャリアアップにつながる
  • 特別養護老人ホームの施設長になれる
  • 相談援助事業所を開業できる

キャリアの選択肢が広がるメリットが多くあるため、福祉業界で成果を出したい人にとって魅力的な資格です。

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キャリアアップにつながる

社会福祉士を取得するとキャリアの面で、以下のようなメリットがあります。

  • 資格手当により収入アップする
  • 生活相談員へキャリアチェンジできる
  • 資格取得が転職時に評価される

社会福祉士は取得までに時間がかかり専門領域も広いため、資格がプラス評価につながることが期待されます。

福祉業界でキャリアアップを目指している方は、ぜひ資格取得にチャレンジしてください。

特別養護老人ホームの施設長になれる

社会福祉士は、特別養護老人ホームの施設長要件である「社会福祉主事の要件を満たす者」に該当するため、特養で施設長になりたい方におすすめの資格です。

参考:施設長の資格要件等|厚生労働省

施設長まで上り詰めれば、現場の介護職とは違った視点で介護に携われるだけでなく、待遇面でも大きなキャリアアップが期待できます。

特養での施設長に興味がある方は、社会福祉士の資格取得を検討しましょう。

相談援助事業所を開業できる

社会福祉士の取得により、相談援助事業所を独立開業できるチャンスが広がります。

具体的には、以下のようなステップを踏む必要があります。

  • 社会福祉士の資格を取得する
  • 都道府県社会福祉士会の会員になる
  • 認定社会福祉士の認定を受ける
  • 独立型社会福祉士に関する研修を修了する
  • 公益社団法人日本社会福祉会の独立型社会福祉名簿に登録する

参考:独立型社会福祉名簿とは|公益社団法人日本社会福祉会

社会福祉士として独立を考えている方は、資格取得後、独立に向けて一つひとつ必要条件を満たしていきましょう。

精神保健福祉士のメリット

精神保健福祉士のメリットは、以下の3つが挙げられます。

  • キャリアアップにつながる
  • 精神保健福祉センターや保健所などで働ける
  • 精神保健福祉士のニーズは年々高まっている

社会福祉士とは違った職場で活躍できる資格のため、自分のキャリアに必要かどうか考えながらぜひご覧ください。

キャリアアップにつながる

社会福祉士と同様に、精神保健福祉士の資格を取得することで、キャリアアップにつながります。

とくに精神保健福祉士は、収入アップ以外にも活躍の場を広げてくれる効果が期待できるため、介護福祉以外の領域で働きたい方におすすめの資格です。

今のうちに将来のキャリアの選択肢を広げておきたい方は、精神保健福祉士の資格を検討しましょう。

精神保健福祉センターや保健所などで働ける

精神保健福祉士を取得すれば、精神保健福祉センターや保健所で働けます。

職種 概要
精神保健福祉センター ・精神保健福祉法にもとづき各都道府県、政令指定都市に設置されている支援機関
・心の病気に関する相談や支援機関などについての情報を提供
・市町村や関係諸機関への技術指導うあ普及啓発などの機能あり
・精神保健福祉士以外にも医師や臨床心理士などの専門家が在籍
保健所 ・地域保健法にもとづき、都道府県や指定都市などにある公衆衛生行政を実施する機関
・健康づくりや健康問題への対応、健康危機管理などの地域拠点
・難病や精神疾患などに関する相談や食品衛生、環境衛生に関する指導など専門性の高い業務を担当
・精神保健福祉士以外に、医師や薬剤師、栄養士などが勤務

参考:精神保健福祉センター|厚生労働省参考:保健所の活用の仕方|厚生労働省

精神保健福祉士のニーズは年々高まっている

精神疾患の患者が増えていることで、精神保健福祉士のニーズも高まっています。

精神疾患で入院する方は減少傾向にあるものの、それ以上に精神疾患の外来患者は増加しています。

参考:精神疾患を有する総患者数の推移|厚生労働省

しかし、精神保健福祉士は、社会福祉士や介護福祉士などの国家資格と比べると、登録者は少ないのが現状です。

参考:登録者の資格種類別-年度別の推移|公益財団法人社会福祉振興・試験センター

登録者数が需要に追いついていないため、資格を取得しておけば、さまざまな場所で必要とされる存在になれるでしょう。

社会福祉士と精神保健福祉士に関するよくある質問

社会福祉士と精神保健福祉士に関するよくある質問は、以下の3つです。

社会福祉士と精神保健福祉士はどちらが難しいですか?
社会福祉士と精神保健福祉士はどのような人に向いていますか?
介護現場では社会福祉士と精神保健福祉士どちらが活かせますか?

それぞれわかりやすい内容で回答しているので、ぜひ参考にしてください。

社会福祉士と精神保健福祉士はどちらが難しいですか?

共通科目もあり、学習範囲に大きな差があるわけでもないため、難易度としては同じくらいのレベルであることが予想されます。

精神保健福祉士は、社会福祉士に比べて受験者数も少なく、資格取得に対する意欲が高い方だけが受験していることが、合格率の高さに反映していると考えられるでしょう。

社会福祉士と精神保健福祉士はどのような人に向いていますか?

それぞれの資格取得に向いているのは、以下のような人です。

資格名 向いている人の特徴
社会福祉士 ・人と関わることが好き
・協調性がありコミュニケーションが得意
・他人の幸せに喜びを感じる
精神保健福祉士 ・人と接するのが好き
・忍耐強く精神的に強い
・物事を客観的に判断できる

どちらも人と深く関わる仕事のため、人との関わりに苦痛を感じる方は向いていません

また他人のために頑張れる人でないと、長く仕事を続けることは難しいでしょう。

介護現場では社会福祉士と精神保健福祉士どちらが活かせますか?

介護現場では社会福祉士のほうが役に立つ可能性は高いでしょう。
なぜなら、介護施設の生活相談員業務に活かせたり、特別養護老人ホームの施設長を目指せたりするからです。

精神保健福祉士は、精神障害のある方やメンタルヘルスケアを必要とする方が支援対象です。
そのため、介護現場よりも障害者施設や精神科クリニック、精神保健福祉センターなどが主な活動場所になるでしょう。

現在介護職として働いており、今後も介護業界に携わっていくのであれば、社会福祉士の資格取得がおすすめです。

まとめ

社会福祉士と精神保健福祉士は、それぞれ福祉のスペシャリストですが、専門領域が異なる資格です。

どちらの資格を取得しようか悩んでいる方は、自分が活躍したい場所によって適した資格を選びましょう。

資格取得はキャリアアップやスキルアップなど必ずプラスになるので、両方の資格を取得することもおすすめです。

本記事を参考に、自分にあった資格取得を目指してみてください。

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