喀痰吸引の研修費用は?免除できる項目や申請の流れも解説
と喀痰吸引等の研修費用について知りたい方も多いでしょう。
喀痰吸引等の研修を受講すると、介護現場で医療行為の一部を行うことができるようになります。
今回は、喀痰研修の費用にまつわる疑問を徹底解説します。
必要な研修を受講して、お得に喀痰吸引の資格を取りましょう。
喀痰吸引等の研修とは?
喀痰吸引等の研修は、たん吸引や経管栄養といった重要なスキルを身に付けるためのプログラムです。
以前は、たんの吸引や経管栄養の医療行為は、医師や看護師などの限られた職員だけが行っていました。
しかし、研修をきちんと受講すれば、自力でたんを排出するのが困難なALS患者さんや、胃や腸から直接栄養を取る胃ろうの患者さんへの医療行為が可能になります。
喀痰吸引等の研修が導入された背景には、地域医療の向上と看護師や利用者家族の負担軽減のためです。
なお、これらの医療行為は、医師や看護師等の協力の下、安全性を確保する・医療的ケアの詳細な記録を残すなど、特定の要件に基づいて実施されていますので注意して下さい。
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ケアきょう求人・転職の無料相談喀痰吸引等研修の種類とできる医療行為
喀痰吸引の研修には、第1号・第2号・第3号研修の3つの種類があります。
大きな違いは、実施できる医療行為と範囲と医療行為ができる対象者です。
ここでは、3つの研修内容やできる医療行為を詳しく紹介します。
第1号研修の内容とできる医療行為
研修内容 | 講義:50時間 演習:シュミレーター演習 各5回以上 |
---|---|
できる医療行為 | ・たんの吸引(口腔内、鼻腔、気管カニューレ内部) ・経管栄養(胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養) |
ケアの対象者 | 不特定多数の方 |
第1号研修は、基本講義50時間に加え、たん吸引と経管栄養の各シュミレーター演習を各5回以上受ける必要があります。
講義後の筆記試験に合格しなければ、次のシュミレーション演習に行くことができません。
演習では、医師や看護師など医療従事者の指導の下、たん吸引や胃ろうケアなど実践的な医療技術を身につけます。
「しっかりと実践できる」と判断された方は、さらに実際の現場で実地トレーニングが行われます。
第1号研修を取得すると、介護施設の利用者のほとんどの医療ケアができます。
医療的ケアの利用者が多い施設で働いている方は、第1号研修の受講を強くおすすめします。
第2号研修の内容とできる医療行為
研修内容 | 講義:50時間 演習:トレーニング演習 各5回以上 |
---|---|
できる医療行為 | ・たんの吸引(口腔内、鼻腔) ・経管栄養(胃ろう、腸ろう) |
ケアの対象者 | 不特定多数の方 |
第2号研修は第1号研修のカリキュラムとほとんど同じですが、「気管カニューレ内部のたん吸引」と「経鼻経管栄養」の医療行為ができません。
そのため、多くの利用者が医療的ケアを必要とする施設では、第1号研修の取得を推奨しています。
しかし、第2号研修でも基本的な医療ケアの知識やスキルを身につけることは可能です。
第2号研修を基盤にし、将来的に第1号研修の取得も検討すると、さらに仕事の幅を広めることができるでしょう。
第3号研修の内容とできる医療行為
研修内容 | 講義:9時間 演習:ケア対象者が希望する医療行為のシュミレーション演習 |
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できる医療行為 | ※下記の5つの内、ケア対象者が希望する行為 ・たんの吸引(口腔内、鼻腔、気管カニューレ内部) ・経管栄養(胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養) |
ケアの対象者 | ・筋萎縮性側索硬化症(ALS) ・筋疾患筋ジストロフィー ・高位頚髄損傷 ・遷延性意識障害 ・重症の心身障害を患っている療養患者・障害者など |
第1期研修や第2期研修と比べて、第3号研修は研修内容や実施できる医療行為、ケアの対象者の範囲が大きく異なります。
第3号研修は、筋萎縮系側素硬化症(ALS)や筋ジストロフィー、重度障害を患っている方などの個人が必要としている医療行為を取得するための研修です。
第3号研修は、合計9時間の講義と人体模型を使った1時間のシミュレーション演習を行います。
シミュレーション演習の回数に制限はありません。
医師や看護師などが「手順通りに問題なく実施可能」と判断されるまで繰り返し行います。
第3号研修のカリキュラムは、在宅事業所で働く介護職員を対象に作られています。
そのため、実施する医療行為を限定的にすることで効率的に取得できます。
介護職ができる医療行為を詳しく知りたい方は下記の動画も参考にしてください。
介護福祉士の資格を2017年度以降に取得した方は実地研修のみでOK
2017年度(平成29年度)以降に介護福祉士の資格を取得した方は、実地研修のみの受講で喀痰吸等の資格が得られます。
また、2016年度(平成28年度)以降に介護福祉士養成校を卒業された方も同様です。
なぜなら、2017年度の法改正により、介護福祉士のカリキュラムに喀痰吸引等の授業やトレーニングが含まれたためです。
ただし2016年度以降に卒業された方でも、何らかの理由により喀痰吸等の単位を取得していない場合は、各研修における講義やトレーニングが必要となります。
単位取得が不明な方は、ご自身が卒業された学校に問い合わせしてみましょう。
喀痰吸引研修にかかる費用
喀痰吸引等の研修費用は、1万5千円〜23万円といわれています。
研修にかかる費用は主催者によって大きく異なり、都道府県に委託された民間スクールの費用は高く、地方自治体が主催している研修は安い傾向があります。
また、医療的ケアの幅が広く、不特定多数の方を対象とする第1号・第2号研修は、第3号研修よりも費用が高く設定されています。
具体的な民間スクールの例として、三幸福祉カレッジとTBC福祉教育センターの費用を見てみましょう。
研修名 | 三幸福祉カレッジ | TBC福祉教育センター |
---|---|---|
第1号研修 | 236,500円 | 135,000円 |
第2号研修 | 184,800円 | 135,000円 |
第3号研修 | 40,480円〜 | 33,000円〜 |
2023年7月時点の情報費用は全て税込み価格を表示、テキスト代込み
第1号研修の費用を比較すると、「三幸福祉カレッジ」は236,500円で「 TBC福祉教育センター」は135,000円です。
「TBC福祉教育センター」よりも約10万円の費用が必要です。
第2号研修は約5万円、第3号研修は約7,500円の差があります。
しかし、一概に費用で判断せず、サポート体制や提供するサービスなども考慮する必要があるでしょう。
一方、地方自治体の例として神奈川県川崎市の場合をみてみましょう。
研修名 | 神奈川県川崎市 |
---|---|
第1号研修 | 15,000円 |
第2号研修 | 15,000円 |
第3号研修 | ー |
神奈川県川崎市の研修費用は、第1号研修も第2号研修もともに15,000円となっています。
民間スクールと比較すると、非常に安価に受講できます。
しかし、第3号研修は提供されていませんでした。
このように自治体主催で安く研修が受けられる一方で、受講できる研修が限られている場合もあります。
費用面だけでなく、自分が受けたい研修が開催されているかどうかも事前に調べておくことをおすすめします。
詳しい情報は、露道府県が委託するスクールや地方自治体のホームページでご確認ください。
介護福祉士が実地研修のみ受けたい場合の費用
実地研修とは、基本研修後に行う、実際に医療的ケアを学ぶための演習です。
介護福祉士が実地研修のみ受けたい場合の費用は、1万円〜3万円程度かかるケースが多いです。
例えば、公共財団法人 介護労働安定センター静岡支部の場合、第1号・第2号のフォローアップ付き履修免除コースは32,420円、履修免除コースは10,000円で提供しています。
フォローアップ付き履修免除コースは、自分の職場で実地研修を行えない方に適しています。
実地研修先は、自力で登録研修機関を探さなければいけません。
通常の履修免除コースは、勤務先でも実地研修ができる方向けのコースです。
ただし、勤務先が「登録喀痰吸引等事業者」であり、対象行為ができる利用者がいるなどの一定の条件を満たす必要があります。
補助金や割引でサポートしているところもあるため、研修の受講前に主催者へ確認して見るものいいでしょう。
受講料をサポートする助成金も
介護職の喀痰吸引等研修の研修費用は、受講者の金銭的負担を少なくするために、講習代を助成する地方自治体がいくつかあります。
例えば、東京都の港区では、登録研修機関が開催する基本研修の受講費用を上限22,000円まで補助する制度があります。
地方自治体の助成金を利用すると、質の高い研修を受けつつ、自己負担額を抑えることが可能です。
研修を始める前に、最寄りの自治体がどのようなサポートをしているのかホームページなどで確認してみましょう。
喀痰吸引研修の流れ
喀痰吸引研修は、基本研修(講義と演習)と勤務先で行われる実地研修から成り立っています。
研修を受ける流れは、保有している資格で受講するべき範囲が異なります。
ここでは、それぞれの喀痰吸引研修の流れを紹介します。
介護職員の場合
医療的ケアや基礎研修を終了していない介護職員は、50時間の講義と2日間の演習の基礎研修と実地研修の両方を受講する必要があります。
実務者研修の資格がある場合
実務者研修の資格がある場合は、「医療的ケア」の講義と演習は実務者研修のカリキュラムに含まれているため、基本研修の受講は不要となります。
実際に介護現場で行う実地研修の受講が求められます。
介護福祉士の資格がある場合
2015年以前に介護福祉士を取得した方は、登録研修機関で基本研修の講義50時間(7〜8日)と演習の受講が必要です。
2016年度以降に介護福祉士の資格に合格した方は、登録研修機関で実地研修のみを受講し、修了証明書をもらう必要があります。
介護養成施設校で医療ケアの単位を終了した方、もしくは実務者研修や実務研修・痰吸引研修では、実務者研修の資格と同様に要件を満たしているため、基本研修を受ける必要はありません。
研修終了後は認定登録と事業者登録を行う
実地研修終了後は、「修了証明書」を都道府県に提出すると、「認定特定行為業務従事者認定証」が発行されます。
認定書には、実行できる医療行為の範囲が記されています。
介護福祉士の方は、「介護福祉士登録証」の項目変更をする必要があります。
「社会福祉振興・試験センター」で変更の申請をしましょう。
また、施設内で医療的ケアをするためには、職場が「登録喀痰吸引等事業者」か「登録特定行為事業者」のどちらかに登録する必要があります。
未登録の場合は、職場に申請を依頼してください。
喀痰吸引研修を受ける際の注意点
喀痰吸引研修は、介護現場で必要なスキルを身につけるための重要なところですが、一方で注意したいところもあります。
ここでは、喀痰吸引研修をスムーズに進めるための注意点を2つ紹介します。
補講には別途費用がかかる
喀痰吸引研修は一発試験が基本となっていますが、一部の地域や研修機関では再試験や補講を実施しているところがあります。
補講を受ける際、通常の研修費とは別に費用がかかります。
例えば、医療法人社団の慶勝会で行う研修では、補講を1時間あたり2500円の追加費用が発生します。]
各研修機関の補講のルールや費用は異なるため、研修を受ける前に詳細を確認しておくことが大切です。
合格基準が9割以下は再試験が必要
喀痰吸引等の研修には、習得した知識の定着を図るために試験が実施されます。
合格基準は、9割以上の正答率が望ましいです。
試験では、正答率によって補講や再試験が行われます。
正答率の違いによるサポートは以下の通りです。
- 正答率が7割以上で9割未満の場合:
補講と再試験が必要となり、その結果によって合否が判定される - 正答率が7割未満の場合:
不合格。指導者と相談の上で、今後の日程を話し合う
上記の基準を踏まえ、補講や試験に挑んでください。
喀痰吸引等研修を受けて、お得にスキルアップしよう
今回は喀痰吸引等の研修の費用を主に解説しました。
民間スクールと地方自治体が主催する研修では費用面に大きな違いがあり、民間スクールの研修は費用が高い反面、サポートが充実しているのが特徴です。
喀痰吸引等の研修は、高齢化が進む日本で日々重要性が高まっています。
研修内容や費用面を比較し、自分に合ったものを選びましょう。
ぜひ喀痰吸引と研修を受けて、お得にスキルアップを図ってみてください。
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