訪問介護のときに自家用車を使うのはアリ?必要な手順や注意点を解説
訪問介護の介護職として働いており、以下のような疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。
本記事では、訪問介護のときに自家用車を使う際の手順や注意点などを解説します。
訪問介護の職員として働き、事業所から自家用車を使うよう言われている方やすでに使っている方は、ぜひ参考にしてください。
訪問介護の際に自家用車は使える
訪問介護で利用者様の自宅に訪問する際や、買い物代行でスーパーやホームセンターなどに行く際、自家用車を使用することは可能です。
ただ基本的には事業所の公用車を使うのが一般的で、自家用車を使うのは当たり前ではありません。
訪問介護で働く方で、事業所から自家用車を使うように言われている場合は、ガソリン代やメンテナンス費用、任意保険などの負担について事業所側と事前に話し合っておくことが大切です。
一定のルールを決めないまま自家用車を使って万が一事故があった場合、事業所だけでなく事故を起こした相手方との余計なトラブルに発展する恐れがあります。
基本は公用車を使うという認識を持っておきましょう。
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ケアきょう求人・転職の無料相談訪問介護で自家用車を使う際の注意点
訪問介護で自家用車を使う際の注意点は、以下の3つです。
- 事業所との契約内容を確認する
- 交通ルールを守る
- 公用車の使用ができるか相談する
それぞれ詳しい内容を見ていきましょう。
事業所との契約内容を確認する
訪問介護で事業所側から自家用車を使うように指示された場合は、契約内容を確認してください。
事前に書面で一定のルールを決めておかないと、後でトラブルに発展する恐れがあります。
たとえば、以下のようなことはお互いに納得した上で内容を書面に残しましょう。
- ガソリン代の負担割合
- メンテナンス費用の負担
- 任意保険の加入負担
- 自家用車使用手当の有無
- 公用車が使えない理由の確認
ガソリン代やメンテナンス費用などお金に関する内容が多く、トラブルに発展しやすいため、必ず事前確認をしておきましょう。
また基本的には公用車を使うのが一般的なので、自家用車でなければいけない理由を事業所に確認することをおすすめします。
交通ルールを守る
交通ルールは必ず守りましょう。
公用車を使う場合も同様ですが、普段以上に安全運転を意識することが大切です。
とくに、利用者様を乗せて運転する場合は、他人の命を預かっている意識を強く持ってください。
利用者様の自宅に向かう際に万が一交通違反や事故を起こした場合、サービスの提供が遅れる可能性があります。
最悪の場合、その日の訪問ができなくなる恐れもあるでしょう。
交通違反や事故は職員も大変ですが、利用者様に迷惑がかかるということを意識して、安全運転を徹底しましょう。
公用車の使用ができるか相談する
訪問介護で車を使う場合は、原則公用車が基本です。
自家用車を使うよう事業所から指示された場合は、公用車の使用ができないか相談しましょう。
どうしても自家用車を使わなければいけない場合は、ガソリン代やメンテナンス費用の負担、運転手当の支給など、事業所側と書面でしっかりと契約を交わしておくのが大切です。
契約が中途半端なまま自家用車を使うと、万が一事故が起きた場合にすべて自己責任になる恐れがあります。
利用者様を自家用車に乗せる場合の注意点
訪問介護で自家用車に利用者様を乗せる場合には、以下5つのことに注意しましょう。
- 有償運送の許可申請をする
- 運転手の要件を確認する
- 介護給付費の制度を確認する
- 事業所との契約を書面に残す
- 他人の命を預かっていることを意識する
それぞれ詳しい内容を解説するので、ぜひ参考にしてください。
有償運送の許可申請をする
訪問介護で、買い物や通院など利用者様を自家用車に乗せて運転する場合は「有償運送の許可申請」が必要です。
有償運送とは、訪問介護事業所等の指定を受けた一般乗用旅客自動車運送事業者(特定旅客自動車運送事業者を含む)との契約に基づき訪問介護サービスを提供する訪問介護員等が、その使用権限を有する自家用自動車を使用して要介護者等を有償で輸送できることとする制度です。
申請方法については、お住まいの管轄の運輸支局に問い合わせて確認しましょう。
運転手の要件を確認する
訪問介護で有償運送をする運転者は、過去2年以内に事故を起こしていないことが要件とされています。
さらに、以下2つの要件も満たさなければいけません。
- 2種免許を持っている(または福祉有償運送運転者講習などを修了している)
- 介護福祉士や初任者研修などの資格を持っている
福祉有償運送運転者講習は自分で申し込む必要があり、費用負担(17,600円)もあるため事業所と相談して受講しましょう。
参考:福祉有償運送運転者講習へのお申込み|福祉送迎研修センター<東日本>
介護給付費の制度を確認する
訪問介護で有償運送をする場合、サービス提供が介護給付費の対象になっているか確認しましょう。
訪問介護では、以下のサービスが介護給付費の対象です。
- 通院のために利用者様を乗せて自家用車を運転
- 自家用車への乗降介助
- 乗車前後の移動介助
訪問介護において自家用車での有償運送をする場合、ケアプランに入っていないサービスや介護保険外のサービスのための運送を行ったとしても、介護給付費の対象外となります。
事前に、介護給付費の制度について確認しておきましょう。
事業所との契約を書面に残す
自家用車を使って利用者様の移動介助をする場合は、事前に事業所と書面で契約を交わしておきましょう。
たとえば、ガソリンやメンテナンス代などの費用負担や、万が一事故が発生した際の責任の所在などです。
契約内容があいまいであったり、口頭だけでの約束だったりすると、アクシデントが発生した際にさらなるトラブルに発展する恐れがあります。
また事業所自体も、以下いずれかの指定を受けておかなければいけません。
- 訪問介護事業所等の指定を受け「一般乗用旅客自動車運送事業者」である
- 訪問介護事業所等の指定を受け「特定旅客自動車運送事業者」である
そのほか指定を受けた事業所は、管理体制の整備や事故防止の教育や指導など、さまざまな要件が課せられます。
参考:訪問介護事業所等の訪問介護員等による自家用自動車の有償運送とは
他人の命を預かっていることを意識する
訪問介護において利用者様を自家用車に乗せて運転する場合、許可申請や要件の確認などは大切です。
しかし、それ以上に重要なのは、利用者様を乗せて運転する際に、他人の命を預かっていることを意識することです。
運転者は、以下のようなことに注意してください。
- 十分な睡眠をとり体調を整える
- 交通ルールを守り安全運転を徹底する
- 介護サービス上で不要な場所への運転はしない
利用者様を安全に目的地まで送り届けることに集中し、業務上必要なサービスのみを提供しましょう。
訪問介護の仕事内容
ここからは、訪問介護の仕事について解説していきます。
訪問介護は、以下のような仕事内容で構成されています。
- 買い物の付き添い支援
- 食事の準備や提供介助
- 部屋の掃除やシーツ交換
- 排泄や入浴介助
1日の中で複数の利用者様の自宅に訪問し、排泄や入浴などの身体介護や、掃除やシーツ交換などの生活援助を時間を区切って提供するのが訪問介護です。
それぞれの仕事内容の様子は、ケアきょうYouTubeチャンネルで実際の訪問介護事業所に密着させていただいているので、ぜひご覧ください。
▼関連動画
訪問介護で働くメリット
訪問介護で働くメリットは、以下の3つが挙げられます。
- 時間的に効率よく働ける
- 利用者様一人ひとりに向き合える
- 人間関係に悩みにくい
訪問介護で働こうと考えている方は、職場を選ぶ際の参考にしてください。
時間的に効率よく働ける
訪問介護のサービスは、30分単位(生活援助は45分単位)で提供するため、隙間時間を有効活用しながら働くことが可能です。
たとえば、子育てが忙しい主婦の方であれば、子どもが保育園や学校に行っている間だけ働けます。
短時間で自分の好きな時間に働きやすいメリットもあるため、他の仕事と掛け持ちしながら効率良く稼ぎやすいのも魅力です。
訪問介護は、空いている時間を無駄なく使って効率よく稼ぎたい方におすすめの仕事です。
利用者様一人ひとりに向き合える
訪問介護は施設介護と違い、利用者様の自宅に訪問してサービスを提供するため、基本的には1対1での仕事です。
利用者様一人ひとりにじっくり向き合えるため、信頼関係を築きやすいメリットがあります。
訪問介護は利用者様のささいな変化にも気づきやすく、質の高い介護サービスを提供しやすい環境です。
利用者様とかかわる期間が長くなると、その方の癖や好き嫌いなどにも気を配りながら介助できるようになります。
利用者様が「いつもありがとう」と声をかけてくださり、顔馴染みの職員である自分のことを頼りにしてくれていることを実感できると、仕事のやりがいにもつながるでしょう。
人間関係に悩みにくい
訪問介護は施設介護のように、ほかの職員とかかわる機会が少ないため、同僚や上司との人間関係に悩みにくいというメリットがあります。
施設の場合は、苦手な上司がいたとしても毎日のように顔を合わせなければいけません。
調査によると、訪問介護で働く方よりも施設で働く方のほうが職場の人間関係に悩んでいるという結果でした。
人間関係が上手くいかないと、仕事に対する意欲も湧きにくくなります。
人間関係に悩みたくないという方は、訪問介護で働いてみるのもおすすめです。
参考:介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書|公益財団法人介護労働安定センター
訪問介護に関するよくある質問
訪問介護に関するよくある質問は、以下の3つです。
- 訪問介護への転職はどのような人におすすめですか?
- ブラックな訪問介護事業所の見極め方は?
- 訪問介護の給料はいくらくらいですか?
それぞれわかりやすく回答しています。ぜひご覧ください。
訪問介護への転職はどのような人におすすめですか?
次のような方は、訪問介護に向いています。
- コミュニケーションが好き
- こまかい気配りができる
- 時間管理が上手い
- 責任感が強い
訪問介護は、利用者様と1対1になって介護サービスを提供します。
そのため、コミュニケーションが得意なことや、最後まで介助をやり遂げる責任感の強さなどが求められるでしょう。
施設介護のような広い空間で多くの利用者様を介助するよりも、自宅という狭い空間で1対1でじっくり介護するほうが好きという方は、訪問介護がおすすめです。
ぜひ転職する際の参考にしてください。
ブラックな訪問介護事業所の見極め方は?
以下のような点に該当する場合は、ブラックな訪問介護事業所の可能性があります。
- 求人が頻繁に出ている
- 悪い口コミばかりを目にする
- 経営状況がよくない
- 就業条件が面接のときと異なる
- 職場の雰囲気が悪い
- 面接官が高圧的な態度を取る
- 契約書面が提示されない
それぞれの詳しい内容については、ケアきょうYouTubeでも解説しているので、ぜひご覧ください。
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訪問介護の給料はいくらくらいですか?
厚生労働省が発表したデータによると、訪問介護事業所の介護職の給料は、以下のとおりです。
雇用形態 | 平均給与(月給) | 全体の平均給与(月給) |
---|---|---|
常勤 | 315,170円 | 317,540円 |
非常勤 | 219,390円 | 209,540円 |
特養や老健のような施設介護の平均と比べるとやや少なくなりますが、デイサービスや小規模多機能型居宅介護などで働くよりは稼ぎやすいという結果でした。
介護福祉士を取得していれば月給は30万を超えてきますが、資格がない状態だと手当もなく基本給も低くなる可能性があります。
まとめ
訪問介護の際に自家用車は使用できますが、事前に許可申請や事業所の指定など必要な手順を済ませなければいけません。
また、自家用車の職員と事業所側でガソリン代の負担や保険適用など、契約内容を事前にしっかり決めておくことが大切です。
訪問介護では公用車を使うのが一般的です。
どうしても自家用車を使わなければいけない場合は、交通ルールを守り安全運転を徹底しましょう。
利用者様を載せる場合は、必要な申請を済ませた上で、他人の命を預かっていることを意識して、万全の状態で運転できるよう体調管理や時間管理など自己管理をきちんと行いましょう。
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