【介護職必見!】喀痰吸引等研修の受講の流れから選び方まで徹底解説!
「喀痰吸引等の受講の流れがよくわからない」「どの喀痰吸引等研修を選べばいいのかな」と喀痰吸引研修について知りたい方は多いでしょう。
また喀痰吸引等の研修を受ける前に、ある程度の受講の流れや内容を把握しておきたいですよね。
本記事では、これから喀痰吸引等の資格を取りたい介護職向けに受講の流れや、研修の選び方を解説します。
医療的ケアのスキルアップをしたい方は必見です。
喀痰吸引等研修とは?
「喀痰吸引等研修」は、介護福祉士や介護職員が利用者のたん吸引や経管栄養などの医療的ケアを学ぶ研修です。
本来、たん吸引や経管栄養は医師か看護職のみができる医療行為でしたが、平成24年度(2016年度)の「社会福祉士及び介護福祉士法」の改正によって、介護職が「喀痰吸引等研修」に合格し登録すると、利用者の医療的ケアができるようになりました。
この研修制度ができる背景として、増加する医療ニーズへの対応や看護師の業務負担軽減が挙げられます。
専門的な医療ケア知識をもった介護職員の役割はますます重要となっています。
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ケアきょう求人・転職の無料相談喀痰吸引等研修の受講対象者
研修の受講対象者は、ショートステイや訪問介護事業などの介護施設で働く介護職員です。
特別な受講資格は特に必要ありません。介護福祉士や介護職員初任者研修の方も受講できます。
なお、実務者研修で喀痰吸引等研修の一部を受講した方は、実地研修を修了し、社会福祉振興・試験センターへ届け出ることでたん吸引や経管栄養の実施が可能になります。
喀痰吸引等研修の主な種類:基本研修と実地研修
喀痰吸引等研修の種類は、実地できる医療的ケアとケアの対象者により第1号研修、第2号研修、第3号研修に分かれています。
3つの研修は、さらに基本研修と実地研修の2つの研修で構成されています。
ここでは、種別の基本研修と実地研修に分けて解説します。
1.基本研修
基本研修の内容は、講義と演習で構成されています。
3つの基本研修の内容は以下の通りです。
対象者 | 基本研修の内容 | |
---|---|---|
第1号研修 | 医療的な処置が必要な不特定多数 | ・講義50時間 ・シミュレーター演習 喀痰吸引(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部)各5回以上 経管栄養(胃ろうまたは腸ろう・経鼻)各5回以上 |
第2号研修 | ・講義50時間 ・シミュレーター演習 喀痰吸引(口腔・鼻腔内)各5回以上 経管栄養(胃ろう・腸ろう)各5回以上 |
|
第3号研修 | ALSなどの神経系の障害や重度障害の方 | ・講義8時間 ・シミュレーター演習1時間 |
第1号・第2号研修では、50時間の講義で喀痰吸引の安全性や感染予防の知識を学びます。
筆記試験に合格後、マネキンを使用した「シミュレーター演習」が始まり、喀痰吸引や経管栄養の実技を練習します。
指導者が受講者を「問題なくできる」と判断するまで、繰り返し演習が実施されます。
第3号研修の場合、対象者が希望するスキルのみを学ぶことができます。
講義は8時間と短く、演習も短時間で行われます。
ただし、指導者が受講者に「問題ない」と判断するまで演習する点は、第1号・第2号研修と変わりません。
2.実地研修
「実施演習」とは、介護現場での実践訓練を指します。
介護職員は医師の指示書に基づき、看護師の指導のもと、たん吸引の安全な実施を目指して訓練を受けます。
具体的な実施訓練の内容は下記の通りです。
実施するケアの種類 | 実施する回数 | |
---|---|---|
たん吸引 | 口腔内 | 10回以上 |
鼻腔内 | 20回以上 | |
気管カニューレ ※1 | 20回以上 ※2 | |
経管栄養 | 胃ろうまたは腸ろう | 20回以上 |
経鼻 ※1 | 20回以上 ※2 |
1 気管カニューレと経鼻経管栄養は、第1号研修では実施されますが、第2号研修では実施されません。第3号研修の場合、5つのケアのうち1つの実地訓練を受けることになります。
2 実地研修を所定の回数以上クリアすると、実地研修の評価が行われます。例えば、たんの口腔内吸引の場合、合格基準は成功率が70%以上、3回以上連続して吸引への成功が求められます。ただし、吸引の成功率だけではなく、正しい手順を守って習得しているかといった点も評価の対象となります。
第1号・第2号・第3号研修の違い
第1号・第2号研修の大きな違いは、実施できる医療的ケアの範囲です。
第1号研修の受講者は気管カニューレの吸引と経鼻経管栄養のケアの研修を受けますが、第2号研修の受講者は受けられません。
また第1号・第2号研修では、多くの利用者に対して医療的ケアが可能ですが、第3号研修は特定の利用者だけを対象としています。
そのため、基本研修も短時間ですみます。
介護現場の要望やニーズに合わせて選択していきましょう。
喀痰吸引等研修の注意点
実地研修を介護者の勤務先で実施する際は、勤務先が「登録喀痰吸引等事業者」でなければいけません。
事業者登録されていない場合は、勤務先に登録を依頼して下さい。
喀痰吸引等研修の選び方
喀痰吸引の研修の特徴や違いをこれまで詳しく説明してきました。
しかし、実際にどの研修を選んだら良いのか、迷う方も多いのではないでしょうか。
特に訪問介護事業所の介護職員は、利用者の希望に合わせて第3号研修を受け、その後第1号研修を受けるという方が非常に多いです。
逆に、さまざまなニーズの利用者を受け入れる可能性がある事業所では、第1号研修を受けることをおすすめします。
第1号研修者は、ほぼすべての医療的ケアができるため、利用者が必要なケアに対応可能です。
結論として、特別養護老人ホームなどの介護施設で働く方や将来的に仕事の幅を広げたい方は、第1号研修の受講がおすすめです。
短期間で研修を希望する方は、第3号研修が適しています。
目指すキャリアや勤務先も考慮しつつ、受ける研修を考えましょう。
喀痰吸引等研修の受講期間
研修修了までの受講期間は、開催時期や主催者によって異なります。
一般的に、第1号・第2号研修の基本研修は約12〜15日、第3号研修は約2日です。
さらに、実地研修はおおよそ10日といわれています。
以前は基本研修の座学は対面で行われていましたが、令和4年度から厚生労働省の指示により、基本的にオンラインでの開催となりました。
例として大阪府の第1号研修の日程表をみてみましょう。
1日目〜2日目 | 講義・オンライン研修 |
---|---|
3日目 | 救急蘇生研修 |
4日目〜7日目 | 講義・オンライン研修 |
8日目〜9日目 | 実施手順の解説 |
10日目〜11日目 | シミュレーター演習 |
12日目 | 基本研修の筆記試験 |
実地研修 | 合格後、半年以内に実施する |
令和5年度 介護職員等によるたんの吸引等の実施のための研修 カリキュラム及び日程表を参考に作成。
このように、一部の講義はオンライン研修で実施されています。
また、実地研修は受講者の勤務施設で異なりますが、できるだけ早く終えるようにするのが望ましいでしょう。
喀痰吸引等研修の受講の流れ
喀痰吸引等研修の大まかな流れは、下記の通りです。
- 基本研修(座学)を受けて筆記試験に合格する。
- 基本研修(シミュレーター演習)を受けて、評価試験に合格する。
- 評価試験に合格し、勤務先の「登録喀痰吸引等事業者」にて実地研修を受講する。
- 実地研修修了後の評価試験をクリアし、「登録喀痰吸引等事業者」から修了証をもらう。
「登録喀痰吸引等事業所」から修了証を発行してもらったら、 介護福祉士の方は社会福祉振興・試験センターへ「認定特定行為業務従事者」の追記を依頼してください。
介護福祉士の資格証明書に喀痰吸引等研修の詳細が記載されます。
介護福祉士以外の方は、管轄されている都道府県に「認定特定行為業務従事者」の申請をします。
認定を受けると、正式にたん吸引などのケアが可能になります。
喀痰吸引等研修の申し込み方法
喀痰吸引等の研修は、各自治体や介護福祉士の養成施設、病院などの多くの団体が定期的に開催しています。
オンラインを通じた申し込みができる団体が多いようです。
また、各地方自治体の公式ホームページ上には、研修の委託している施設の詳細が掲示されている場合があります。
気になる方は、詳細を確認してみるといいでしょう。
喀痰吸引等研修後にできる5つの医療的ケア
研修受講後に実施できる医療的ケアは、口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内のたん吸引と胃ろ及び腸ろう、経鼻による経管栄養の5つです。
ここでは、医師の指示の下で可能な医療的ケアの具体的な内容を紹介します。
医療的ケア | 具体的な内容 |
---|---|
口腔内のたん吸引 | 口腔内のたん吸引は、装置を利用し口からたんや唾液、口の中に残っている食べものを排出します。たんや唾液は、舌の周囲や頬の部分にたまりやすく、その部分を中心に吸引します。介護職が吸引できる範囲は、喉の手前までです。 |
鼻腔内のたん吸引 | 鼻腔内のたん吸引は、装置を利用し鼻の奥にたまった鼻汁を吸い出します。特に鼻の内部にある鼻腔は、鼻汁が溜まりやすい場所です。介護職ができる範囲は、咽頭前が限度です。 |
気管カニューレ内のたん吸引 | 気管カニューレのたん吸引は、のどに挿管されている気管カニューレ内にたまったたんを吸引装置とカテーテルを使い体外に排出します。介護職の場合、気管カニューレより奥の吸引はできません。気管カニューレの長さは、医師の指示書に記載されているため注意しましょう。 |
胃ろうと腸ろうの経管栄養 | 胃ろうと腸ろうの経管栄養とは、手術で腹部に穴(ろう孔)をあけ、直接胃や腸に栄養の補給をすることを指します。ろう孔の周囲はスキントラブルが起きやすいため、気をつけましょう。 |
経鼻経管栄養 | 経鼻経管栄養は、鼻腔から胃に通したチューブを通して栄養補給をする方法です。チューブは固定されておらず、すぐに動ける状態なので、抜けないように注意する必要があります。 |
他の医療行為について知りたい方は、下記の動画も参考にして下さい。
喀痰吸引の手順
それでは、実際に研修で行うシミュレーター演習とはどのようなものでしょうか。
イメージしやすくするために、3つの喀痰吸引のうち「口腔内のたん吸引演習」の手順をみていきましょう。
- 手指を石鹸で洗い清潔にします。
- 吸引をする前に、患者さんに意思確認を行い、ベッド周りの環境や利用者の体位を整えます。
- 吸引カテーテルを丁寧に取り出し、吸引カテーテルを吸引器の接続管に繋げます。
- 吸引器の電源を入れ、吸引圧を調整します。吸引圧の調整は、毎回行う必要はありません。
- 患者さんに声掛けし、吸引カテーテルを挿入します。口腔内は、両頬や舌の周囲、前歯と唇の間などを吸引していきます。
- 吸引完了後、カテーテルを取り出し、患者さんに吸引が十分にできているかなどの意思確認を行います。
- 吸引の後始末を行います。
吸引カテーテルを口の中に入れる行為は、患者さんに苦痛を与えます。
そのため、1回の吸引でなるべく多くのたんや唾液を排出し、回数自体を減らす努力が求められます。
喀痰吸引等研修を終了し、仕事の幅を広げよう
喀痰吸引等研修は、介護職員がたん吸引や経管栄養の技術を身につけるための研修です。
特にヘルパーとして勤務する介護職員は、対象者が限定される第3号研修のみ受講する方がいますが、最終的に多くの方が第1号研修を選択する傾向があります。
研修にいく費用や労力を考慮すると、初めから第1号研修を選択するのがおすすめです。
自分にあった研修を見極め、介護職員として仕事の領域を広げてみてはいかがでしょうか。
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