週休3日制を導入した介護施設のシフト例を紹介!メリット・デメリットも解説
週休3日制を導入している介護施設のシフトは、どのような勤務形態になっているのでしょうか?
実際に週休3日で働いている介護職の、シフトの例を知りたい介護職の方も多いでしょう。
本記事では、週休3日制を導入した介護施設の、実際のシフトの例を紹介します。
また、週休3日制を導入するにあたって直面するメリットやデメリット、導入する際のポイントなども解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
介護職の週休3日制とは?
介護職の週休3日制とは、主に以下のようなことが特徴です。
- 勤務時間はそのままで休日を増やす
- 夜勤業務の負担軽減につながる
- 介護人材確保対策事業のひとつになっている
上記3つの特徴は、介護現場に週休3日制を導入する目的もわかる内容になっています。
では、それぞれの詳しい内容を見ていきましょう。
勤務時間はそのままで休日を増やす
週休3日制を実現するためには、出勤日数を減らさなければいけません。
しかし、単純に現状から出勤日数を減らすと業務が正常に進まなくなります。
そのため、1週間の勤務時間はそのままで、休日を増やすのが現状もっともベストな選択です。
現在のシフト(週休2日制) | ・8時間労働×5日=40時間 ・残りの2日を休日にする |
---|---|
理想のシフト(週休3日制) | ・10時間労働×4日=40時間 ・残りの3日を休日にする |
これだけを見ると単純ですが、出勤する介護職の人数が減り勤務時間が増えるので、一人ひとりの業務負担の増加は避けられないでしょう。
夜勤業務の負担軽減につながる
週休3日制を導入すると、日勤と夜勤の労働時間が同じになります。
なぜなら、日勤の労働時間が伸びることで夜勤業務の負担軽減につながっているからです。
介護施設の夜勤の多くは、16時間夜勤と言われる長時間労働です。
そのため、夜勤が大きな負担となり体調を崩したり腰を痛めたりする原因にもなっています。
週休3日制を導入したシフトの例は、主に以下のような勤務時間です。
- 早番:7:00〜18:00(10時間労働、休憩1時間)
- 遅番:11:00〜22:00(10時間労働、休憩1時間)
- 夜勤:21:00〜8:00(10時間労働、休憩1時間)
勤務時間の長さが統一されることで、これまで夜勤に偏っていた負担を分散する効果が期待できます。
介護職の16時間夜勤については、以下の記事を参考にしてください。
▼関連記事
介護職の16時間夜勤の実態を徹底解説!給料や休憩時間などメリット・デメリットの紹介
介護人材確保対策事業のひとつになっている
政府は介護人材確保対策事業で多様な働き方として、兼業や副業の導入とあわせて、働く時間の選択や週休3日制の導入を促進しています。
効果的かつ効率的な事業運営を目指しているのが、導入のおおまかな目的です。
はじめは週休3日制とこれまでの週休2日制を選択できるようになっており、個人の理想の働き方に合わせられるようになっています。
今後は介護事業に限らず、さまざまな業種で週休3日制が増えてくることが予想されるでしょう。
参考:厚生労働省|令和3年度に実施する新たな介護人材確保対策事業について
1分で登録OK
ケアきょう求人・転職の無料相談週休3日制を導入した介護施設のシフト例
週休3日制を導入した介護施設のシフト例を、実際に行われた以下3つの取り組みを参考に紹介します。
それぞれ詳しい内容を解説するので、自分の職場と照らし合わせて考えてみてください。
宮城県介護職週休3日制応援宣言
まずひとつ目は、2020年に宮城県の村井知事が発表した「介護人材確保対策緊急アクションプラン事業」の1つである『宮城県介護職週休3日制応援宣言!』です。
地方自治体では初の試みで、週休3日制を定着させて介護人材確保につなげようとする取り組みです。
実際に週休3日制を導入した、ある特養のシフト例は以下のようになっています。
引用元:宮城県ホームページより引用
上記の法人では、準夜勤(夜勤明けが休み扱いになる)を導入していたこともあり、これまで丸1日の休みが1ヶ月で4日しかありませんでした。
週休3日制を導入したことで、丸1日の休みが1ヶ月で10日に増え、休日自体も13日まで増加しました。
そのため、1ヶ月に2回も3連休を取れる理想的なシフト作成が可能になっています。
「わたし」を大切にする働き方
かなえグループが運営する特別養護老人ホーム「すないの家」では、いちはやく週休3日制を導入し、月に12~14日の休日を確保できています。
さらに残業もほとんどなく、有給休暇取得率も100%という理想的な職場環境を実現しています。
かなえグループでは「ライフスタイルの充実」をテーマに、週休3日制の強みである休日の多さを、心地よい働き方の実現に活かしています。
年間休日167日プロジェクト
社会福祉法人 愛宕福祉会では「167(イチロクナナ)プロジェクト」と題して、年間休日167日という圧倒的な休日数の増加を実現しました。
週休3日制にすることで、1ヶ月のおよそ半分の出勤日数で済むため、プライベートの時間が取りやすくなります。
実際に法人で働いている職員の方々も、以下のような効果を感じているようです。
また勤務時間は長くても、休みが多くオンとオフの切り替えがしやすいため、仕事へのモチベーションも上がったという意見も出ています。
介護施設が週休3日制を導入するメリット
介護施設が週休3日制を導入するメリットは、以下の5つです。
- 年間休日が50日近く増える
- 求人募集のアピールになる
- 残業の削減効果が期待できる
- 手厚い介護サービスを提供できる
- 仕事のモチベーションアップにつながる
では詳しい内容を見ていきましょう。
年間休日が50日近く増える
週休3日制を導入すると、年間休日が50日以上増えます。
以下の表に、週休2日制と3日制の休日数の違いをまとめました。
働き方 | 年間休日数 |
---|---|
週休2日制 | 107〜110日程度 |
週休3日制 | 150〜167日程度 |
休みが増えれば、その分疲労回復やストレス発散に使えるため、仕事のパフォーマンス向上効果も期待できます。
求人募集のアピールになる
週休3日制を導入している介護施設はまだ少なく、導入するだけでも求人募集のアピールになります。
通常は年間休日110日という表記が、年間休日160日と記載されているだけでも興味を持ってもらえるきっかけになるでしょう。
週休3日制の導入は、慢性的な人手不足に陥っている介護業界を救う一手になる可能性を秘めています。
今後は、週休3日制を導入する介護施設が増えてくることが予想されます。
残業の削減効果が期待できる
週休3日制では1日の勤務時間が長くなります。
すると、職員同士の重なる時間も増加し、引き継ぎや協力がしやすい環境になり、その結果残業の削減効果につながります。
休日が増えるだけでなく、残業が削減することで働き方満足度のさらなる向上も大きなメリットです。
とくに夜勤者の場合は労働時間が短くなり、ほぼ残業もない状態になるため、これまでの「夜勤=長くてキツい」といったイメージが崩れていきます。
週休3日制の導入は、長時間労働による体調不良やメンタルの不調など、職員の負担を大きく解消してくれる効果が期待できるでしょう。
手厚い介護サービスを提供できる
週休3日制を導入すれば、介護サービスの質を向上させることが可能です。
なぜなら、先述の残業の削減効果同様に、週2日制に比べて職員が複数になる時間が増え、食事前後や排泄介助の負担が多い時間に人を集めやすいからです。
勤務時間を各施設の忙しい時間帯に合わせてシフトを調整すれば、人手が欲しい時間帯に職員を集中させられます。
週休3日制は、職員だけでなく、介護サービスの質の向上といった利用者にもメリットがあります。
仕事のモチベーションアップにつながる
週休3日制は、以下のような効果があり結果的にモチベーションがアップします。
- 休日数の増加
- 残業の削減
- 人手不足の解消
とくに休日数の増加はオンとオフの切り替えを促進し、仕事のパフォーマンス向上効果が期待できるでしょう。
また当日の勤務する職員の人数は減るものの、忙しい時間帯に人を集中させやすいため、介護サービスの質が向上します。
質の高い介護サービスの提供は、利用者だけでなく職員のやりがいにもつながり、その結果モチベーションアップに良い影響を及ぼします。
介護施設が週休3日制を導入するデメリット
介護施設が週休3日制を導入するデメリットは、以下の3つが挙げられます。
- 1日の労働時間は長くなる
- 業務スケジュールを見直す負担がある
- 夜勤明けが休み扱いになる
デメリット次第では、人によって週休3日制を導入したくないと感じる人もいるでしょう。
それぞれの詳しい内容を紹介するので、ぜひご覧ください。
1日の労働時間は長くなる
週休3日制を導入すると、以下のように1日の労働時間は長くなります。
働き方 | 労働時間 |
---|---|
週休2日制 | 1日8時間 |
週休3日制 | 1日10時間 |
たった2時間ですが慣れるまでは長く感じ、心身ともに疲れを感じやすいかもしれません。
ただ休日が増えるというメリットが大きく、多少の労働時間の増加は気にする必要はありません。
逆に夜勤の時間は短くなるため、日勤の労働時間の増加だけがデメリットと言えるでしょう。
業務スケジュールを見直す負担がある
週休2日制から週休3日制に移行する際は、働く時間帯や人数が変わるため、業務スケジュールの見直しが必要です。
業務スケジュールが変更された直後は、職員も慣れていないためストレスを感じるかもしれません。
また変更したスケジュールが上手くいかなかった場合には、再度修正が必要になります。
見直しと実行と改善を繰り返し、PDCAサイクルを回しながら、最適なスケジュールを見つけていく忍耐力も求められるでしょう。
夜勤明けが休み扱いになる
週休2日制の場合は、多くの介護施設で16時間夜勤を導入しています。
そのため、夜勤1回が2日分の勤務になり、夜勤明けの翌日は基本休みになるのが一般的なシフトです。
一方で週休3日制の場合は、夜勤の時間が短くなったとはいえ、夜勤明けの当日が休み扱いとなります。
そのため休日は増えるものの、丸1日休める日数は週休2日制と大きな差はないため、週休3日制にメリットを感じない人もいるでしょう。
週休2日制で長時間夜勤の場合、夜勤明けの後に2連休を取れば日中使える時間が多いため、16時間夜勤を好む介護職もいます。
週休3日制は、すべての介護職にとってメリットではないということです。
介護施設が週休3日制を導入する際のポイント
介護施設が週休3日制を導入する際のポイントは、主に以下の5つです。
- 導入の目的を明確にしておく
- 職員にアンケートを実施する
- 選択制にして柔軟な働き方に対応する
- 業務スケジュールを見直す
- モデルシフトを作成してみる
週休3日制を検討している施設の担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
導入の目的を明確にしておく
週休3日制を導入する前には、必ず導入の目的を明確にしておきましょう。
たとえば法人目線では、以下のような目的が挙げられます。
- 法人のイメージ向上による採用力アップ
- 職員の働き方満足度アップ
一方で介護職目線の場合は、以下のような目的です。
- 仕事とプライベート両立の充実のため
- 休日日数を増やすため
- 業務の効率化を図るため
導入の目的を明確にしておけば、シフトや業務スケジュールを作成する際の参考になるため重要です。
職員にアンケートを実施する
週休3日制については、原則選択制です。
そのため、すべての職員に週休3日制を強制することはできません。
そのため、まずは週休3日制を導入したいか、したくないのかといったアンケートを実施しましょう。
また、導入してみたい理由やしたくない理由、週休3日制に対する意見なども集められたら導入時の参考になります。
お試し期間を設けて、1ヶ月週休3日制を体験してもらい、そこで感じたことを共有するのも効果的です。
選択制にして柔軟な働き方に対応する
政府が掲げている介護人材確保対策事業での多様な働き方において、週休3日制は選択制であると明記されています。
そのため、職員一律で週休3日制を導入するのではなく、希望者のみが導入できる仕組みも重要です。
ただ一律週休3日制にしないと、完全な導入が難しい事業所も多いでしょう。
そのため、前述のアンケートの実施でもお伝えしたように、導入当初は希望制にして徐々に完全移行していくといいでしょう。
記事内の「年間休日167日プロジェクト」でも紹介しているように、トライアルから始めて職員の理解を得つつ完全導入している事業所は多くあります。
業務スケジュールを見直す
週休3日制を導入すると、1日の出勤人数はこれまでより少なくなるため、業務スケジュールの見直しが必要です。
たとえば、本来3人で行っていた時間帯を2人で対応しなければいけない場面が出てきます。
ただし1人あたりの労働時間が長くなった分、これまでよりも余裕のある業務スケジュールを組むことが可能になります。
排泄介助や入浴介助など、これまで人がいる時間帯に集中させていた業務を、少し時間をずらして長くなった労働時間を有効に使う意識で見直すといいでしょう。
モデルシフトを作成してみる
急に週休3日制を導入すると言われても、職員はピンときません。
そのため、本記事でも紹介したようなシフト例を参考に、モデルシフトを作成し職員全体で共有してみましょう。
週休2日制と比べて、何が違うのかをシフトを通して可視化することで、なんとなくですがイメージが湧きます。
またモデルシフトを見て感じたことを情報共有することで、実際に導入する際の参考にもできます。
シフトと合わせて、おおまかな1日のスケジュールも作成しておけば、より具体的に週休3日制の導入について考えるきっかけになるでしょう。
まとめ
さまざまな介護施設が、徐々に週休3日制を導入しています。
本記事でも、以下3つのプロジェクトを取り上げ、週休3日制のシフト例を紹介しました。
週休3日制導入にはメリットとデメリットが存在し、必ずしも自分の職場に適しているとは限りません。
まずは職員にアンケートを実施したり、期間限定で導入してみたりしながら、週休3日制と職場との相性を確かめてみましょう。
1分で登録OK
ケアきょう求人・転職の無料相談