介護職が知っておきたいイラっとするメカニズムと解決方法

ストレス・メンタル対策
2022/01/31

介護の仕事についていると、利用者さんにイライラしてしまうことありませんか?
つい、「手を挙げてしまいそうになる……」という人もいるのではないでしょうか。

今回は、そんな時の対処方法や、イライラしてしまう原因を解説します!

イライラするメカニズムは?

イライラしてしまうメカニズムについて、まずは知っていきましょう。
敵を倒すには、まず知ることが大切です!

イライラのメカニズムは、次のように考えることが出来ます。

イライラしている状態は、ストレスが、自分で抑えられる範囲を超えるギリギリの状態です。

例えば、ストレスを溜めるバケツがあるとイメージしましょう。

バケツの底には、小さな穴が開いており、そこから溜まったストレスが出ていきます。
そして、このバケツにたくさんの「ストレス」を入れてしまい、出ていく量よりも入る量の方が多くなると、いつかバケツから溢れてしまいます。

これが、怒りです。

怒りになるその一歩手前、バケツが、ストレスという水で、いっぱいになり、表面張力でギリギリ収まっているような状態が「イライラ」と言えるでしょう。

このバケツに入れるストレスはいろいろな種類があり、大きく4つに分類できます。

一つは、「物理的、化学的、肉体的ストレス」です。
これは、病気や労働時間、飲酒、睡眠不足、人混みといったものです。

二つ目は、「心理的ストレス」です。
悲しみ、不安、おそれ、喜びといった感情が当てはまります。

三つ目は、「社会的、人間関係的ストレス」です。
利用者さんとの人間関係や、仕事の解雇や昇格、結婚などです。

四つ目は、「変化」です。
暑い所から、寒い所に移動するなどが当てはまります。

介護の仕事では、
「物理的、化学的、肉体的ストレス」
「心理的ストレス」
「人間関係的ストレス」
が、大きく関係してきそうです。

利用者にイラっとする瞬間は?

そんな、ストレスなっているタイミングの中で、特に介護職が、利用者さんにイラっとしてしまうのはどのようなタイミングなのでしょうか?
今回は、ケアきょうの相談に届いた声をもとに、ご紹介していきます。

①ナースコールがいっせいに鳴る

夜勤など、介護職が少ないタイミングでナースコールが鳴ってしまい、息をつく間もない……というタイミングです。
また、同時にナースコールが鳴り、オムツ交換が必要な方や、歩き回ってしまう方が出てきてしまったときなど。。。

こんなときは本当に大変ですよね。

②何回も同じことを言われる

こちらは、認知症の方などによく見られる現象です。

帰宅願望が強く、「家に帰りたい」と、何度も繰り返しお話しされる方。
何度言っても、名前を憶えてくれず、「あなたは誰?」と言われる、というようなことです。

「認知症は病気による症状」と、頭で理解していても、イラっとしてしまうものですよね。

③言葉が強く、見下すような態度をされる

これも、よくあるのではないでしょうか?

「やってもらって当然」というような態度を取られたり、「介護職なんて……」というような言葉を言うような人です。
傷ついてしまいますよね……。

④利用者から暴力される

これも、大きな問題になっていますね。

利用者さんが不穏になり、暴れてしまった。
利用者さんがイライラして、利用者さんから暴力をされた、などです。

被害を受けていたのに、施設の管理職さんなどから、「お前のせいだ」なんて言われた時には、やっていられませんよね……。

イライラするって悪いこと?

では、こういった時に、イライラしてしまうことは悪いことなのでしょうか?

答えは、悪いことではありません

先ほど話した通り、イライラは、人間が感じてしまう自然現象の一つです。
人間なのですから、イライラするときがあって当たり前なのです。

イライラを通りすぎ、「怒り」となり、その結果暴力に及んでしまうというのが最悪で、むしろ、その前で留まれていることは正しいと言えるでしょう。

また、イライラしているときに「イライラするんじゃないよ~」という言葉を投げかけられることもあります。

しかし、ヒヤリハットと同じ考え方で行けば、「何か問題があるはず。しかし、大きな事故に発展していない」という状況ですから、対策を打つことが必要なのかもしれません。

イライラした時にどうすればいい?

最後に、「イライラ」を感じたときにどう対応すればいいのでしょうか?

先ほどのバケツの例を参考に、イライラへの対処法を考えると、以下の3つが考えられそうです。

  1. バケツからストレスという水を抜く方法
  2. バケツに入れる水の量を減らす方法
  3. バケツ自体を大きくする

①バケツからストレスという水を抜く方法

イライラしてしまっているときは、こちらの方法が有効です。

  • 時間を作る
  • 身体を動かす
  • 自分の感情を吐き出す

まずは、「時間を作る」ですが、アンガーマネジメントでよく言われる、6秒間深呼吸をして、怒りが過ぎ去ることを待つ「6秒ルール」などです。

イライラも、バケツから自然と排出されていくので、そんな時は「待つ」ということも一つの手です。

次に、「身体を動かす」ですが、その場では難しいですが、汗ばむ程度の運動をすることも有効です。
血行が促進され、緊張をほぐすことが出来ます。

それによって、心身共にリラックスすることが出来ます。

最後に、「自分の感情を吐き出す」ことです。

人に話すでも良いし、紙に書き込むなどです。
なんなら、独り言でもOKです。

自分の感情は、思っているよりも整理できていないものです。
箱に、荷物を適当に投げ込んでいるような状態です。

荷物を整理してあげれば、同じ量の荷物があっても、箱にはより多くのものが入ります。

この整理を、自分の感情を吐き出すことで、行うことができるのです。

ただ、同僚に対して、他の同僚の悪口を言うのは、避けた方が良いかもしれません。

②バケツに入れる水の量を減らす方法

これは、同僚も巻き込む必要がありますが、お勧めです。

イライラしてしまうことは平等で、程度は異なっても、皆同じ理由でイライラしている可能性が高いです。

ですから、問題をチームで共有することも大切です。

例えば、ある利用者さんが、暴力行為や暴言を言ってくるということがあったとします。

そのときは、介護職全体で、
「なぜ暴力行為や暴言をしてくるのか?」
「どうすれば、その背景に隠れた問題を解決できるか?」
を、共有してみると良いです。

認知症だったとしても、自分が我慢すれば良いで、済むものではありません。

③バケツ自体を大きくする

これは長期的な視点が必要になりますが、とても有効です。

怒りという感情は、訓練次第で耐えることが出来るようになると、言われています。

その方法としては、怒りやイライラを感じたときに、点数を付けておく方法があります。

点数を付けていくことで、
「これくらいのイライラなら、我慢できる」
「この点数でも我慢できるんだな……」
という風に、自分の基準が分かってきます。

基準が分かっていれば、そこまでは「まぁ許そうか」と、許容することが出来るようになっていきます。

また、基準ギリギリの場合も、「仕方がないから、許そう……」と努力していくことで、許せるゾーンが少しずつ広がっていきます。

かなり時間のかかる方法ではありますが、やってみると良いと思います!

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