下手すりゃパワハラ!介護現場の上司が行うべき正しいキレ方・𠮟り方

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2022/01/24

ケアきょうでいただく相談の中でも、よくあるパターンの1つが、上司が理不尽に「キレる」ケースです。
仕事で部下がミスをしたときに「キレる」人がいますが正しいのでしょうか?

今回は「キレるべきでない理由」「正しいキレ方」を紹介していきます。
現場のリーダー職・管理職の方は、ぜひご覧ください!
また、まだ部下がいない方も、将来に向けてぜひご覧いただければ嬉しいです。

そもそも怒りとは?

そもそも「怒り」とは何でしょうか?

心理学では、「怒りは感情の蓋」と言われています。
「感情の蓋」という言葉の通り、「怒り」の背景には、抑圧・我慢している様々な感情がある状態です。
最初に「不安」「いらだち」「寂しさ」といった感情があり、それが表面に出ているものが「怒り」なのです。

つまり、他の感情がきっかけで「こうなってほしい」という気持ちを表すものが「怒り」として出てきているのです。
期待していた結果と違うときに、「期待通りになってほしい」ということを表現しているのです。

こう聞くと、「怒り」をただひたすらに部下にぶつけることは間違っているようにも感じます

怒ることのメリット・デメリット

「怒ること」のメリット・デメリットを見ていきましょう

メリット

一番は、真剣さや重要度が伝わります。

大の大人が怒っているところを考えてみると、「相当大切な何か」を守りたいというときではないでしょうか?
うまく怒ることが出来れば、相手にその真剣さが伝わりそうです。

しかし、これは信頼関係が成り立っていなければ、怒られる側としては、恐怖です。
メリットではなくなります。

次に、怒りをプラスのエネルギーにできるということもメリットです。
例えば、スポーツで屈辱的な負け方をした人は怒り、「見返すぞ」と前向きなエネルギーに変えることができることもあります。

しかし、これは個人の中で表面化した怒りの使い道です。他人に向けるものではありません。

デメリット

デメリットは、3つあると思います。

1つ目は、感情のコントロールができない人に見えることです。

すぐに怒る人は、人間的に成熟していないように見えてしまいます。
余計なことを言って怒らせたら「めんどくさいな」と思われて、浮いてしまうことにもつながります。
怒った後に、反省して謝罪したところで、評価を変えるのはなかなか難しいです。

2つ目のデメリットは、かまってほしい人に見えることです。

怒っている人も、怒りたくて怒っているわけではありません。
しかし、たいていの場合、怒っている人の話は整理がされておらず、趣旨が伝わりづらいことがあります。
そのため、怒っている側は、「なんでわからないの?」というような言葉を言いがちです。

一方、怒られている側からしたら、何が何だか、なぜ怒られているのかわからない、という状況に陥ります。
怒る人も、問題解決のために怒ってるのですから、うまく伝える必要があります。

3つ目のデメリットは、お互いに疲れることです。

怒る側も、怒られる側も、相当なストレスや苦痛を伴うのが「怒る」です。
怒る側は、怒った後の周囲へのフォロー等、気を遣うことになります。

怒られる側も、一刻も早く怒りを鎮めようとしたり、大きな声を聞くことでストレスを感じてしまうものです。
お互いに疲れてしまう方法なのですから、他の方法を模索した方が賢明です。

正しいキレ方=叱ること

これまで見てきた通り、デメリットの多い「怒ること」。
しかし、部下を正しい方向に導く必要はあります。

そういう時、どうすればいいでしょうか?
それは、「叱る」です。

これまで述べた通り、感情をぶつける「怒り」は自分本位なものですが、「叱る」は相手を相手自身の心から動かすためのものです。
叱ることで、部下を納得させて、自ら行動を変えてもらうことができます。
自分で行動を変える、これが非常に重要です。押し付けではいけません。

怒らないためには?

「叱る」の第一歩として、怒らないことが必要です。

ここで使われるのが、いわゆる「アンガーマネジメント」です。
よく6秒で怒りのピークに達する、と言われますが、6秒たっても大抵の場合「怒っている」と思います。

これは、感情が脳内物質の影響を受けているためです。
脳内物質の発生で、怒りのピークを迎えますが、ピークを過ぎ去ってもその物質の影響はすぐには消えません。

おおよそ90秒ほどで、脳内物質は消えるといわれています。
90秒ほどは、深呼吸をする、問題が発生している場所から離れる、といった行動をとるといいかもしれませんね。
これにより、物事を自分からの視点以外で見ること、客観視ができるようにもなります。

正しい叱り方

では正しい叱り方を見ていきましょう。
5つステップがあります。

準備

まず第1ステップでは準備をします。

  • 叱るタイミングと場所を決めましょう
  • 叱るタイミングは、基本的には、問題が起きたそのタイミングで行いましょう

後で叱ろうとすると、部下としては「セーフ」と思っていたことを蒸し返されることになるので、気分は良くないものです。

次に場所です。

  • 人前と、密室は避けるようにしましょう
  • 特にご利用者さんの目の前で叱ることは、辞めましょう

ご利用者さんとしても気分が良くないですし、その人たちに後程接する介護職としては非常にやりにくくなります。
また、密室はパワハラと言われたりする可能性があります。
第三者の目があるが、ご利用者さんの前では行わない、という環境が大切です。

事実確認

第2ステップは事実確認です。
何があったのか、どうしてそうなったのかを、冷静に整理します。

叱る側の主観が入ると、事実の把握はできませんし、事実の把握ができないと、正しく叱ることはできません。
お互いが事実をありのままに確認できるまで、話を確認しましょう。

事実を基に明確な理由とともに叱る

第3ステップは、事実を基に明確な理由とともに叱ることです。
事実に対して、明確に、それがなぜ良くないのかを教えましょう。

例えば、
「誤った介護の方法をしている人がいたら、その方法だとここに負担がかかるので、やってはいけない」
「毎回遅刻してくる人がいたら、一人が遅刻すると申し送りが遅れてしまい、その後の業務にも支障がでてしまう」
という風に、明確な理由を教えましょう。
これが主観だと、相手は納得することができず、今後も解決が望めません。

今後の改善策を促す

第4ステップは、今後の改善策を促すことです。

「どうすれば今後問題が解決されるのか」を相手に考えさせましょう。
相手に改善策を教えたとしても、自分で考えたことではないですし、改善はその場限りになってしまいます。

簡単に改善策が出ないなら、手助けすることも良いことだと思います。
問題解決能力のトレーニングにもなります。

期待を伝える

第5ステップは、期待を伝えることです。
叱られることは、気分のいいことではありません。

だからこそ「期待を伝える」ことが必要です。
今後も叱りやすくなりますし、お互いに気持ちよく話し合いを終えることができます。

今回は、「正しいキレ方」として「叱り方」をご紹介しました。
上司によって、施設を良く変えていくためには、うまく部下を叱ることができるかどうかも大切な要素です!

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