【実は自分も!?】病んでいる介護職が多い理由【早めの対策を】

ストレス・メンタル対策
2022/01/24

今回は、介護の仕事で病む人が多い理由をご紹介していきます。

介護の業界、実は一番精神疾患による労災が多い業界です。

なぜ介護職は病みやすいのか?
その原因を考えながら、介護のお仕事をつづけるための対応もご紹介するので、ぜひ最後まで見てもらえると嬉しいです。

介護福祉業界は病みやすい?

労災件数の伸び

先ほども出てきましたが、介護業界は非常に精神疾患が多い業界だということをご存じですか?

厚生労働省が、業種別に労働災害の理由と申請数と認定件数をまとめたデータがあります。

仕事のストレスが原因でうつ病などの精神疾患を発症したとして、労働災害を申請した介護職員が2009年には66人でしたが、2019年には256人。
10年間で約3.9倍も増えています。
申請した人のうち認定された人数では10人から48人へと約5倍に増えています。

2019年に労災申請、労災認定された人の数では不名誉ながら第一位となり、介護を含む「社会保険・社会福祉・介護事業」は、それ以外の年でも上位の常連となっています。

労災認定基準

うつ病などの精神疾患による労災認定には、厚生労働省が定めている「労災認定基準」が使用されます。

その内容は、労働時間に関する基準と、セクハラやいじめ等に関する基準の二つがあります。

労働時間

  • 月160時間程度の時間外労働
  • 発症直前の連続した2か月で1か月に120時間以上の時間外労働
  • 発症直前の連続した3か月で1か月に100時間以上の時間外労働

セクハラやいじめなどに関する基準

  • セクハラやいじめが6か月間継続
  • 強姦やわいせつ行為

といったものがあります。

厚生労働省は、個々の判定理由に関して公表していません。
しかし、この判定基準を見ると介護職の多くが、ギリギリの環境で勤務しているのではと理解できます。

なぜ介護福祉業界は病みやすいのか?

なぜ介護福祉業界は病みやすいのか?その理由を考えていきたいと思います。

まず、病むメカニズムについて解説していきます。

人間はストレスや緊張にさらされると、その時間頑張ろうとドーパミンが排出されます。

ドーパミンの効果としては

  • 幸せな気持ちにさせて意欲につながる
  • 集中力がアップする
  • ポジティブになる

といった特徴があります。

しかし、毎日ストレスにさらされていると、このドーパミンが排出されにくくなってしまいます。
すると、楽しくない、食欲が減る、動けなくなるなどの鬱になってしまうのです。

また、最新の研究では、ストレスを受けることによって、脳にも炎症が起きているということが判明しています。

これによって、心が弱いから鬱になるということではなく、炎症が起きているから鬱になる、体調が崩れるということが分かったのです。

介護の職場も、自分よりも立場が上で、攻撃性の高い利用者や同僚・上司がいますよね。
そうした人たちと、1日何時間も、毎日接することがあります。ストレスがたまって当然です。

こう考えると、介護の職場・職場によっては病みやすい環境だということが分かるかと思います。

どんな人が鬱になりやすいのか

ただ、同じ職場にいても鬱になる人、鬱にならない人がいます。
では、どんな人が鬱になりやすいのでしょうか?

性格が良い人

まず性格面の特徴としては、

  • 真面目で勤勉
  • 責任感が強い
  • 完ぺき主義
  • 気を使いがちな人
  • 道徳観に強い人

といわれています。
シンプルに性格が良い人ですよね。

介護業界に入ってくる人、比較的性格の良い人が多いように思います。
ですので、介護職でも多くの人が、この特徴に当てはまるということがあるのではないでしょうか?

女性

また、女性ホルモンの関係で、男性よりも女性の方が鬱になりやすい、といわれています。
女性の方が、男性の2倍程度うつ病になりやすいとの発表もあります。

介護業界の男女比は、女性が7割、男性が3割程度だといわれています。

具体的な介護職のストレスの原因は?

では、具体的な介護職におけるストレスとは何なのでしょうか?

大きいところでいうと、ハラスメントや人間関係なのではないでしょうか?
人間関係は言わずもがな、上司との相性、同僚からのいじめが考えられます。

また、ハラスメントにおいても衝撃的なデータがあります。

2019年に、三菱総合研究所が公表した『介護現場におけるハラスメント対策マニュアル』という資料によると、利用者本人やそのご家族からハラスメントを受けたことがある介護職員は、業種によって差はあるものの4~7割いるそうです。

ハラスメントの種類では、訪問、通所介護などでは、精神的暴力が多く、入所系では身体的暴力が多い傾向にあるそうです。

ハラスメントの原因は、ご利用者さんの、サービスへの過度な期待や勘違いや、性格、生活環境等が考えられています。

サービスへの考えなどは、どうにか正していきたいですよね

また、ハラスメントによる影響は、介護従事者が辞めることにもつながっています。

ハラスメントを原因に辞めたいと考えた経験がある職員は2~4割もいます。

また、職員間・利用者等との間で起こる「人間関係」が原因で退職した人は、退職者のうち22.7%にも及びました。

今すぐできることは?

現在、こういった状況から国は、各事業所に相談窓口の設置を徐々に義務付けています。
義務がづけられていないものでも、指針を明記されています。

また、2021年3月に行われる介護報酬改定においても議論がなされており、介護報酬や人員、運営基準などにおいてハラスメント対策を行えるものはないのか、ということが論点となっています。
将来的には、ハラスメント対策をおこなえば、加算といったものが生まれるかもしれませんね

何もしないはNG

では、介護職自身で行えるものは何かあるのでしょうか?

ストレスに気を付ける

まずは、ストレスに気を付けましょう。
ストレスによる身体への変化が表れるはずです。
早期にその変化に察知することで、何が問題なのか、どう対応するべきかを発症してしまう前に見つけることができます。

ストレスの軽減を図る

次に仕事のストレスの軽減を図りましょう。

自分自身で、軽減できない場合もあるかもしれませんが、少しでも軽減するように努めましょう。
自分一人で抱え込んでしまい、オーバーワークになっている人も多いと思います。
早め早めに、仕事を分散するなどの処置を取りましょう。

早めに相談をしましょう

うつになる前に、上司に仕事の相談をすることも大切ですし、問題が起こる前にカウンセリングを受けましょう。

問題の整理や、対応するためにはどうすればいいのかまで、教えてくれたりします。

そうでなくても、自分がどういう人なのかを見つめなおすことで問題に対応できるようになったりもします。

ハラスメントの問題は、とても根深い問題です。
職場の人との人間関係だけでなく、利用者さんとの関係も見直していく必要があるのかもしれません。
あくまで人と人。うまく付き合っていきたいものです。

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