【解説速報】2021年(令和3年)介護福祉士国家試験

資格取得
2022/01/21

人間の尊厳と自立(問1~2)

問1【解説】

問題文

人権や福祉の考え方に影響を与えた人物に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

  1. リッチモンド(Richmond, M.)は、『ソーシャル・ケース・ワークとは何か』をまとめ、現在の社会福祉、介護福祉に影響を及ぼした。
  2. フロイト(Freud, S.)がまとめた『種の起源』の考え方は、後の「優生思想」につながった。
  3. マルサス(Malthus, T.)は、人間の無意識の研究を行って、『精神分析学入門』をまとめた。
  4. ヘレン・ケラー(Keller, H.)は、『看護覚え書』の中で「療養上の世話」を看護の役割として示した。
  5. ダーウィン(Darwin, C.)は、『人口論』の中で貧困原因を個人の人格の問題とした。

解答&解説

答:① リッチモンド(Richmond,M.)は、『ソーシャル・ケース・ワークとは何か』をまとめ、現在の社会福祉、介護福祉に影響を及ぼした。

  1. 「ケースワークの母」であるリッチモンド(Richmond,M.)は1922年に『ソーシャル・ケース・ワークとは何か』をまとめ、大正時代に日本にケースワークを紹介しています。
  2. ×
    『種の起源』の考え方は、自然科学者のダーウィン(Darwin,C.)です。
  3. ×
    『精神分析入門』をまとめたのは、心理学者であり、精神分析学の創始者であるフロイト(Freud,S.)です。
  4. ×
    『看護の覚え書』で看護の役割を示したのは、近代看護教育の母であるナイチンゲール(Nightingale,F.)です。
  5. ×
    『人口論』で貧困原因を個人の人格の問題としたのは、経済学者のマルサス(Malthus,T.)です。
解き方のコツ

今回の設問では、ソーシャルワーク/自然科学/心理学/看護学/社会学と登場人物が分かれていたので、誰がどのようなことをしたのかが分からなくても、この人はどの分野で活躍した人なのかを覚えていれば解くことができる問題になっています。

問2【解説】

問題文

自宅で生活しているAさん(87歳、男性、要介護3)は、7年前に脳梗塞(cerebral infarction)で左片麻痺(ひだりかたまひ)となり、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用していた。Aさんは食べることを楽しみにしていたが、最近,食事中にむせることが多くなり、誤嚥(ごえん)を繰り返していた。誤嚥(ごえん)による緊急搬送の後、医師は妻に、「今後も自宅で生活を続けるならば、胃ろうを勧める」と話した。妻は仕方がないと諦めていたが、別に暮らしている長男は胃ろうの造設について納得していなかった。長男が実家を訪れるたびに、Aさんの今後の生活をめぐって口論が繰り返されていた。妻は訪問看護員(ホームヘルパー)にどうしたらよいか相談した。
介護福祉職の職業倫理に基づく対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 「医療的なことについては発言できません」
  2. 「医師の判断なら、それに従うのが良いと思います」
  3. 「Aさん自身は、どのようにお考えなのでしょうか」
  4. 「息子さんの気持ちより、一緒に暮らす奥さんの気持ちが優先されますよ」
  5. 「息子さんと一緒に、医師の話を聞きに行ってみてください」

解答&解説

答:③ 「Aさん自身は、どのようにお考えなのでしょうか」
  1. ×
    医療的なことについて発言できないことを断言してしまうのではなく、医師からのコメントを受けた状況でのAさんの意思を尊重する関わり方をAさんの妻にも行うことが求められます。
  2. ×
    医師の判断に従うように助言をするのは、Aさんの意思を尊重した支援とは言えません。

  3. 当事者であるAさんの意思を確認する対応はAさんの意思や自己決定を尊重する対応になるので、適切な対応になります。
  4. ×
    Aさんの意思を尊重しないといけない介護福祉職なのに、妻や息子の意思を優先してAさんの意思決定を妨げようとする対応は適した支援とは言えません。
  5. ×
    妻や息子の意思を優先しようとする対応になるので、適した支援ではありません。
解き方のコツ

介護福祉職として、相談者の意思や自己決定を尊重する支援が求められます。このことを理解していることがこの問題を解くために求められます。

人間関係とコミュニケーション(問3~4)

問3【解説】

問題文

人間関係における役割葛藤の例として、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 就労継続支援B型の利用者が、生活支援員の期待に応えようとして作業態度をまねる。
  2. 家族介護者が、仕事と介護の両立への期待に応えられるかどうか悩む。
  3. 通所介護(デイサービス)の利用者が、レクリエーションを楽しんでいる利用者の役を演じる。
  4. 就労移行支援の利用者が、採用面接の模擬訓練中にふざけて冗談を言ってしまう。
  5. 高齢者が、家事を行う家族に代わり、孫の遊び相手の役割を担う。

解答&解説

答:② 家族介護者が、仕事と介護の両立への期待に応えられるかどうか悩む。
  1. ×
    設問の行動は、他者から期待されている行動と実際の言動が違う、「役割距離」の例です。

  2. 与えられた役割に対して、本人に後悔の念が残ってしまうことで葛藤する、「役割葛藤」の例になります。
  3. ×
    行為者が自分に割り当てられた期待を演じることで相互に期待を満たしている状態である「役割期待」の例です。
  4. ×
    状況下で設定された規範から外れた行動を行う、「逸脱行為」の例です。
  5. ×
    相手の期待を選択的に取り入れ、状況に合わせた役割を果たす、「役割形成」の例です。
解き方のコツ

今回の問題は、社会学における「役割」に関わる内容になっています。今回は「役割葛藤」に関する行動例の選択でしたので、「役割」のなかで「葛藤」している設問を選ぶ意識を持つことが正解の近道になるかもしれません。

問4【解説】

問題文

Bさん(80歳,男性)は、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用しながら自宅で一人暮らしをしている。最近、自宅で転倒してから、一人で生活をしていくことに不安を持つこともある。訪問介護員(ホームヘルパー)がBさんに、「お一人での生活は大丈夫ですか。何か困っていることはありませんか」と尋ねたところ,Bさんは、「大丈夫」と不安そうな表情で答えた。
Bさんが伝えようとしたメッセージに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 言語メッセージと同じ内容を非言語メッセージで強調している。
  2. 言語で伝えた内容を非言語メッセージで補強している。
  3. 言語の代わりに非言語だけを用いてメッセージを伝えている。
  4. 言語メッセージと矛盾する内容を非言語メッセージで伝えている。
  5. 非言語メッセージを用いて言葉の流れを調整している。

解答&解説

答:④ 言語メッセージと矛盾する内容を非言語メッセージで伝えている。
  1. ×
    Bさんが「大丈夫」と発言した内容と“何か大丈夫ではないことがある”不安そうな表情は互いに強調させたものではありません。
  2. ×
    Bさんが「大丈夫」と発言した内容と“何か大丈夫ではないことがある”不安そうな表情は、「大丈夫」と発言した内容を補強しているものではありません。
  3. ×
    Bさんが言語的コミュニケーションとして「大丈夫」と発言していますので、非言語だけを用いてメッセージを伝えている状況ではありません。

  4. Bさんは「大丈夫」と言語メッセージを伝えているものの、“不安そうな表情“という非言語メッセージも伝えています。よって、Bさんの発言内容が矛盾した内容になっていることが分かります。
  5. ×
    今回のケースでは、Bさんの“不安そうな表情”が「大丈夫」という言葉を調整したものであるとは判断できません。何か言いたいけど我慢をしている様子があることを支援者が汲み取ることが求められます。
解き方のコツ

今回の問題では、言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーションに関する知識が問われています。言語的コミュニケーションだけだと表面上の言葉の理解にしかなりませんので、非言語的コミュニケーション(目線・表情・身振りなど)もコミュケーションのなかで普段から意識してみましょう。

社会の理解(問5~16)

問5【解説】

問題文

家族の変容に関する2015年(平成27年)以降の動向として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 1世帯当たりの人数は、全国平均で3.5人を超えている。
  2. 核家族の中で、「ひとり親と未婚の子」の世帯が増加している。
  3. 50歳時の未婚割合は、男性よりも女性のほうが高い。
  4. 65歳以上の人がいる世帯では、単独世帯が最も多い。
  5. 結婚して20年以上の夫婦の離婚は、減少している。

「50歳時の未婚割合」とは、45~49歳の未婚率と50~54歳の未婚率の平均であり、「生涯未婚率」とも呼ばれる。

解答&解説

答:② 核家族の中で、「ひとり親と未婚の子」の世帯が増加している
  1. ×
    2016年(平成28年)「国民生活基礎調査」では、1世帯当たりの人数は、全国平均で2,47人です。

  2. 2013年(平成25年)と2016年(平成28年)の「国民生活基礎調査」によると、核家族の中における「ひとり親と未婚の子」の世帯は、2013年(平成25年)は7.2%、2016年(平成28年)7.3%と増加しています。
  3. ×
    2019年(平成31年)国立社会保障人口問題研究所「人口統計資料集」では、50歳時の未婚割合は男性:23.37%、女性14.66%で女性よりも男性の方が高くなっています。
  4. ×
    2016年(平成28年)「国民生活基礎調査」によると、65歳以上がいる世帯では、単独世帯が男性13.3%、女性22.8%となっています。最も多いのは夫婦のみの世帯で、男性46.7%、女性32.5%となっています。
  5. ×
    厚生労働省「人口動態統計」によると、結婚して20年以上の夫婦による離婚は、2015年(平成27年)38,644組、2016年(平成28年)37,601組、2017年(平成29年)38,235組となっており、僅かな増加と減少を繰り返している状況です。
解き方のコツ

今回は調査や統計のデータの知識を問われる問題でした。数年間の過去問における調査や統計の問題を解く機会を積み重ねて、調査や統計のデータの知識を蓄えておくことが求められてきます。

問6【解説】

問題文

次のうち、セルフヘルプグループ(self-help group)に該当するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 町内会
  2. 学生自治会
  3. 患者会
  4. 専門職団体
  5. ボランティア団体

解答&解説

答:③ 患者会
  1. ×
    町内会はご近所さん同士の助け合いや自治会活動、ボランティア活動が該当する、インフォーマルサポートによるグループです。
  2. ×
    学生自治会は①と同様で、インフォーマルサポートによるグループです。

  3. 患者会は病気という同じ問題を抱える人たちで自発的に活動を行っているグループであり、セルフヘルプグループ(self-help gruop)に該当します。
  4. ×
    専門職団体は支援をする団体になりますので、フォーマルサポートによるグループになります。
  5. ×
    ボランティア団体は①②と同じく、インフォーマルサポートによるグループです。
解き方のコツ

今回は、セルフヘルプグループに関する問題でしたが、インフォーマルサポートやフォーマルサポートといった社会資源に関する知識も問われている問題でした。「自助/公助/共助」に関しての言論が活発になっている社会状況もありますので、今後も問われることが多くなることが想定されます。知識として覚えておきましょう。

問7【解説】

問題文

次のうち、福祉三法に続いて制定され、福祉六法に含まれるようになった法律として、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 社会福祉法
  2. 地域保健法
  3. 介護保険法
  4. 老人福祉法
  5. 障害者基本法

解答&解説

答:④ 老人福祉法
  1. ×
    社会福祉法は1951年(昭和26)年に社会福祉事業法として施行され、2000年(平成12年)に社会福祉法に名称が変わっています。福祉八法には該当しますが、福祉六法には含まれていません。
  2. ×
    地域保健法は戦前の1937年(昭和12年)に旧保健所法が施行され、1947年(昭和22年)に(新)保健所法が制定されました。1994年(平成6年)に地域保健法に改称しています。福祉六法には含まれていません。
  3. ×
    介護保険法は2000年(平成12年)に施行されていますが、福祉六法には含まれていません。

  4. 老人福祉法は1963年(昭和38年)に施行されました。福祉六法に含まれます。 福祉三法とは、(旧)生活保護法/児童福祉法/身体障害者福祉法になります。福祉六法は、福祉三法に加えて、母子及び寡婦福祉法/知的障害者福祉法/老人福祉法とされていました。
  5. ×
    障害者基本法は1970年(昭和45年)に制定されましたが、福祉六法には含まれていません。
解き方のコツ

福祉分野における変遷、歴史問題は試験でも出題されます。過去のことになるので、覚えにくいかもしれませんが、過去問を解くなかで時代の変遷を覚えていきましょう。

問8【解説】

問題文

2017年度(平成29年度)の社会保障給付費に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 国の一般会計当初予算は、社会保障給付費を上回っている。
  2. 介護対策の給付費は、全体の30%を超えている。
  3. 年金関係の給付費は、全体の40%を超えている。
  4. 医療関係の給付費は、前年度より減少している。
  5. 福祉その他の給付費は、前年度より減少している。

解答&解説

答:③ 年金関係の給付費は、全体の40%を超えている。
  1. ×
    2017年度(平成29年度) 国立社会保障人口問題研究所「社会保障費用統計」によると、国の一般会計予算は約97兆円でした。社会保障給付費は121兆5,408億円でした。社会保障給付費が一般会計当初予算を上回っています。
  2. ×
    2017年度(平成29年度) 国立社会保障人口問題研究所「社会保障費用統計」によると、介護対策の給付費は10兆1,016円で、2017年度(平成29年度)に初めて10兆円を超えています。全体の割合の8,4%になります。

  3. 2017年度(平成29年度) 国立社会保障人口問題研究所「社会保障費用統計」によると、年金関係の給付費は、54兆8,349億円でした。全体の割合の45,6%になります。
  4. ×
    2017年度(平成29年度) 国立社会保障人口問題研究所「社会保障費用統計」によると、医療関係の給付費は2016年度(2018年度)38兆8,128億円、2017年度(平成29年度)39兆4,196億円で前年比0.8%の増加になりました。
  5. ×
    2017年度(平成29年度) 国立社会保障人口問題研究所「社会保障費用統計」によると、福祉その他の給付費は、2016年度(2018年度)25兆1,856億円、2017年度(平成29年度)25兆9,471億円で増加しています。
解き方のコツ

国立社会保障人口問題研究所「社会保障費用統計」からの社会保障費に関する設問でした。社会保障費は年々増加を続けていますので、毎年出題される可能性が高い内容です。大まかな数字や増減の動きは確認しておくようにしましょう。

問9【解説】

問題文

介護保険法の保険者として、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 社会保険診療報酬支払基金
  2. 市町村及び特別区
  3. 国民健康保険団体連合会
  4. 厚生労働省
  5. 日本年金機構

解答&解説

答:② 市町村及び特別区
  1. ×
    社会保険診療報酬支払基金は社会保険診療報酬法に基づく特別民間法人です。

  2. 介護保険の保険者は市町村及び特別区です。住民登録している地域の行政機関が保険者で、介護保険料を徴収する行政機関になります。
  3. ×
    国民健康保険団体連合会は国民健康保険法に基づく公の法人になります。
  4. ×
    厚生労働省は、介護保険法を取り扱う行政機関ではありますが、保険者ではありません。
  5. ×
    日本年金機構法に基づく特殊法人です。
解き方のコツ

介護保険のしくみは必ずと言って良ほど、毎年出題されています。被保険者が介護保険料をどこに支払っているのだろう、地方自治体によって介護保険料のバラツキがあるのは、保険者である市町村や特別区に介護保険料を払っているからということを知っておきましょう。

問10【解説】

問題文

介護保険制度の利用に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 要介護認定は、介護保険被保険者証の交付の前に行う。
  2. 要介護認定には、主治医の意見書は不要である。
  3. 要介護認定の審査・判定は、市町村の委託を受けた医療機関が行う。
  4. 居宅サービス計画の作成は、原則として要介護認定の後に行う。
  5. 要介護者の施設サービス計画の作成は、地域包括支援センターが行う。

解答&解説

答:④ 居宅サービス計画の作成は、原則として要介護認定の後に行う。
  1. ×
    介護保険被保険者証の交付は65歳以上の方、40歳~64歳で介護は必要である人に交付されます。介護保険被保険者証の交付をもって、要介護認定を受けることができるようになります。
  2. ×
    要介護認定には主治医の意見書が必要です。介護保険法では、申請から30日以内に要介護認定を行うこととされています。
  3. ×
    要介護認定の審査・判定は、市町村の附則機関として設置されている介護認定審査会で行います。

  4. 要介護認定によって介護区分や活用できるサービス時間が決定します。決定された介護区分や活用できるサービス時間を基に、居宅での支援が行われる場合は居宅サービス計画が作成されます。
  5. ×
    要介護者の施設サービス計画の作成は、サービスを利用している事業所で作成します。
解き方のコツ

問題9と同様に介護保険のしくみに関する問題です。介護保険のしくみを知らないで支援を行うことはできませんので、知識としえ覚え、理解して、支援に生かせるようにしましょう。

問11【解説】

問題文

Cさん(75歳、男性、要支援2)は、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用して一人暮らしをしていた。最近、脳梗塞(cerebral infarction)を起こして入院した。入院中に認知症(dementia)と診断された。退院時の要介護度は2で、自宅での生活継続に不安があったため、Uグループホームに入居することになった。
Uグループホームの介護支援専門員(ケアマネジャー)が行うこととして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 訪問介護(ホームヘルプサービス)を継続して受けるために、Cさんを担当していた地域包括支援センターに連絡する。
  2. Uグループホームに入居するときに、認知症対応型共同生活介護計画を作成する。
  3. 地域の居宅介護支援事業所に、Cさんのケアプランを作成するように依頼する。
  4. 認知症対応型共同生活介護計画の作成をするときに、認知症(dementia)があるCさんへの説明と同意を省略する。
  5. 日中の活動を充実するために、地域の通所介護(デイサービス)の利用をケアプランに入れる。

ここでいう「グループホーム」とは、「認知症対応型共同生活介護事業所」のことである。

解答&解説

答:② Uグループホームに入居するときに、認知症対応型共同生活介護計画を作成する。
  1. ×
    CさんはUグループホームに入居するので、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用することはできません。グループホームは介護保険の「地域密着型サービス」に属しているので、グループホームを運営する事業所が介護サービスを提供しないといけません。

  2. グループホームに入居するにあたり、支援計画(認知症対応型共同生活介護計画)を事業所が作成する必要があります。
  3. ×
    CさんのケアプランはCさんが入居するUグループホームで作成をしてもらうことになります。
  4. ×
    認知症対応型共同生活介護計画を作成するにあたり、Cさんへの説明と同意は必要です。認知症(dementia)だから省略するということはできません。
  5. ×
    CさんはUグループホーム入居するので、地域の通所介護(デイサービス)の利用はできません。グループホームは介護保険の「地域密着型サービス」に属しているので、グループホームを運営する事業所がサービスを提供することが求められます。
解き方のコツ

介護保険におけるサービスの併用が可能かどうかということを問われる問題でした。介護保険におけるサービス内容も多種多様になってきています。数年間までの過去問や事例を読み解くなかで、介護保険の知識を自分なりに納得ができる作業をしていきましょう。

問12【解説】

問題文

ノーマライゼーション(normalization)を説明する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 福祉、保健、医療などのサービスを総合的に利用できるように計画すること。
  2. 家族、近隣、ボランティアなどによる支援のネットワークのこと。
  3. 利用者自身が問題を解決していく力を獲得していくこと。
  4. 障害があっても地域社会の一員として生活が送れるように条件整備をすること。
  5. 利用者の心身の状態やニーズを把握すること。

解答&解説

答:④ 障害があっても地域社会の一員として生活が送れるように条件整備すること。
  1. ×
    福祉、保健、医療などのサービスを総合的に利用できるように調整、計画することはケアマネジメントの説明になります。
  2. ×
    家族、近隣、ボランティアなどによる支援のネットワークはインフォーマルサポートの説明です。インフォーマルサポートと公的な支援であるフォーマルサポートでソーシャルサポートネットワークが構成されています。
  3. ×
    利用者自身が問題を解決していく力を獲得していくことはエンパワメントの説明になります。利用者自身が問題を解決していく力を獲得できるようにエンパワメント支援を行うことが大切です。

  4. 障害があっても地域社会の一員として生活が送れるように社会にある様々な環境整備をしていくことは、バンク-ミケルセンが提唱したノーマライゼーション(normalization)の説明になります。
  5. ×
    利用者の心身の状態やニーズを把握することはアセスメントの説明です。アセスメントを通じて利用者を知ることが今後の支援のために必要になります。
解き方のコツ

ノーマライゼーション(normalization)は英訳すると「標準化・正常化」という意味です。英語を「標準・正常」(normal)と「~化する」(-zation)に分解してみると、人との違いを標準化していく、違いが正常なことであるように変化を起こすという解釈を持つことができます。用語の意味が分からなくなった時は、言葉を分解して意味を考えることで、意味をつかむことができるかもしれません。

問13【解説】

問題文

Dさん(64歳、女性、障害支援区分4、身体障害者手帳2級)は、「障害者総合支援法」の居宅介護を利用して生活している。この居宅介護事業所は共生型サービスの対象となっている。
Dさんは65歳になった後のサービスについて心配になり、担当の居宅介護職員に、「65歳になっても今利用しているサービスは使えるのか」と尋ねてきた。
居宅介護事業所の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. Dさんは障害者なので介護保険サービスを利用することはないと伝える。
  2. 障害者の場合は75歳になると介護保険サービスに移行すると伝える。
  3. 現在利用しているサービスを継続して利用することができると伝える。
  4. 継続して利用できるかどうか65歳になった後で検討すると伝える。
  5. 介護予防のための通所介護(デイサービス)を利用することになると伝える。

「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。

解答&解説

答:③ 現在利用しているサービスを継続して利用することができると伝える。
  1. ×
    Dさんが65歳以上になって、現在活用している障害者総合支援法によるサービスを継続して使うことができます。介護保険のサービスのなかでDさんに合ったサービスがあれば利用することはできますので、介護保険サービスを利用することはないと断定するのは間違った対応になります。
  2. ×
    すべての障害者が介護保険に移行することはありません。サービスの中で障害者総合支援法によるサービスと介護保険法によるサービスの選択をするのは、利用する本人です。今回のケースでは、Dさんの意思に反して介護保険サービスへ移行することを伝えることは適した対応ではありません。

  3. Dさんが現在利用しているザービスは、65歳以降も利用することができます。間違いのない情報を伝えることが求められます。
  4. ×
    継続して利用できるかどうかの判断を65歳になるまで待つ必要はありません。現時点で現在のサービスを継続して利用できることが分かっているので、心配になっているDさんに伝えて、安心して生活を続けるように支援をすることが求められます。
  5. ×
    介護予防のための通所介護(デイサービス)を利用するのかどうかは、サービスを利用するDさんが決めることです。事業所が一方的に決めて伝えることではありません。
解き方のコツ

65歳以上の障害者の障害福祉サービスと介護保険サービス利用に関しては、利用者のニーズに合わせた利用が柔軟にできるようになっています。また、サービスを利用する人の自己決定、意思が尊重されないといけないことが理解できていると、選択肢を絞ることができる問題になっています。

問14【解説】

問題文

「障害者総合支援法」の障害者の定義に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 18歳以上の者である。
  2. 65歳未満の者である。
  3. 難病患者は除外されている。
  4. 発達障害者は除外されている。
  5. 精神作用物質による依存症の者は除外されている。

「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。

解答&解説

答:① 18歳以上の者である。

  1. 18歳未満は児童福祉法で障害児であると定義されています。18歳以上になると障害者総合支援法に基づいた障害者の定義になります。
  2. ×
    65歳以上の障害者も障害者総合支援法に基づいた障害者の定義に含まれます。
  3. ×
    難病患者は障害者総合支援法施行により、障害者の定義のなかに含まれるようになり、障害福祉サービスを利用できるようになりました。
  4. ×
    発達障害者は2006年(平成18年)に施行された障害者自立支援法によって、障害者の定義のなかに含まれるようになり、障害福祉サービスを利用できるようになりました。
  5. ×
    精神作用物質(アルコール、薬物など)による依存症の人は、障害者の定義のなかに含まれており、障害福祉サービスを利用できます。
解き方のコツ

障害者の定義に関わる問題です。障害者総合支援法施行により、定義されている障害者の範囲が広がりました。法律改正、新しい法律が施行された時は問題に出題される可能性が高いので、学んでおきましょう。

問15【解説】

問題文

「障害者総合支援法」のサービスを利用するための障害支援区分を判定する組織として、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 身体障害者更生相談所
  2. 協議会
  3. 基幹相談支援センター
  4. 居宅介護事業所
  5. 市町村審査会

「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。

解答&解説

答:⑤ 市町村審議会
  1. ×
    身体障害者更生相談所は身体障害者やその家族に対し、専門的な知識と技術を必要とする相談・指導や医学的、心理学的、職能の的な判定業務、補装具の処方及び適合判定や来所が難しい人のために巡回相談等を行う行政機関です。設置主体は、都道府県、政令指定都市です。
  2. ×
    協議会は地域の相談支援等の社会資源の調整、整備、地域の事業所で勤務する職員の研修等を行っています。
  3. ×
    基幹相談支援センターはその地域の相談事業の中核を担い、相談体制の調整を担う事業所です。
  4. ×
    居宅介護事業所は居宅介護に関わるサービスを提供する事業所です。

  5. 障害者総合支援法では、市町村審査会でサービスを利用するための障害支援区分を判定します。
解き方のコツ

障害者自立支援法では自立支援協議会が障害程度区分を判定する組織となっていました。障害者総合支援法では協議会という組織がありますが、自立支援協議会という名前を使っている地域も少なくありません。
障害者自立支援法から障害者総合支援法に法律が変わり、変化が出ている部分が出題されていますので、混合して引っかからないように注意しましょう。

問16【解説】

問題文

「高齢者虐待防止法」に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 養護者及び養介護施設従事者等が行う行為が対象である。
  2. 虐待の類型は、身体的虐待、心理的虐待、経済的虐待の三つである。
  3. 虐待を発見した場合は、施設長に通報しなければならない。
  4. 立ち入り調査を行うときは、警察官の同行が義務づけられている。
  5. 通報には、虐待の事実確認が必要である。

「高齢者虐待防止法」とは、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。

解答&解説

答:① 養護者及び要介護支援従事者が行う行為が対象である。

  1. 高齢者虐待防止法では、養護者及び要介護支援従事者が行う行為が対象であると記されています。家族に限らず、施設職員や訪問介護員等の支援者からの虐待行為を禁止しています。
  2. ×
    虐待の類型は、身体的虐待、心理的虐待、経済的虐待だけでなく、介護や世話の放棄(ネグレクト)、性的虐待等があります。
  3. ×
    虐待を発見した場合は、市町村への通報が義務となっています。
  4. ×
    立ち入り調査を行う時は市町村職員や地域包括支援センターの職員が行います。自治体によって警察に援助を求めることがあることを取り決めているところはありますが、警察官の同行は義務づけられていません。
  5. ×
    通報は虐待の事実確認が出来ていない場合でも可能です。通報後、虐待行為があるのかどうかの事実確認を行います。
解き方のコツ

虐待は社会問題として大きな問題となっているため、虐待対応を問う問題は今後も出題される可能性が高いです。虐待は高齢者に限らず、子どもや障害者でも虐待に関する法律が施行されています。虐待の類型や通告義務等共通している内容が多いので、覚えておくと応用ができます。

介護の基本(問17~26)

問17【解説】

問題文

「2016年(平成28年)国民生活基礎調査」(厚生労働省)における、同居の主な介護者の悩みやストレスの原因として、最も多いものを1つ選びなさい。

  1. 家族の病気や介護
  2. 自分の病気や介護
  3. 家族との人間関係
  4. 収入・家計・借金等
  5. 自由にできる時間がない

解答&解説

答:① 家族の病気や介護

  1. 2016年(平成28年) 厚生労働省「国民生活基礎調査」では、同居の主な介護者の悩みやストレスの原因が家族の病気や介護である回答した人は、男性73.6%、女性76.8%で最も多いです。
  2. ×
    2016年(平成28年) 厚生労働省「国民生活基礎調査」では、同居の主な介護者の悩みやストレスの原因が自分の病気や介護であると回答した人は、男性33.0%、女性27.1%でした。
  3. ×
    2016年(平成28年) 厚生労働省「国民生活基礎調査」では、同居の主な介護者の悩みやストレスの原因が家族との人間関係であると回答した人は、男性23.9%、女性18.7%でした。
  4. ×
    2016年(平成28年) 厚生労働省「国民生活基礎調査」では、同居の主な介護者の悩みやストレスの原因が収入・家計・借金であると回答した人は、男性23.9%、女性18.7%でした。
  5. ×
    2016年(平成28年) 厚生労働省「国民生活基礎調査」では、同居の主な介護者の悩みやストレスの原因が自由にできる時間がないと回答した人は、男性14.9%、女性20.6%でした。
解き方のコツ

2016年(平成28年) 厚生労働省「国民生活基礎調査」の統計結果を覚えているかどうかを問われている問題です。数字を覚えるというより、統計結果により問題になっていることが明確にされた内容を理解していれば解くことができます。

問18【解説】

問題文

「価値のある社会的役割の獲得」を目指すソーシャルロール・バロリゼーション(Social Role Valorization)を提唱した人物として、正しいものを1つ選びなさい。

  1. バンク-ミケルセン(Bank-Mikkelsen.N.)
  2. ヴォルフェンスベルガー(Wolfensberger.W.)
  3. メイヤロフ(Mayeroff.M.)
  4. キットウッド(Kitwood.T.)
  5. ニィリエ(Nirje.B.)

解答&解説

答:② ヴォルフェンスベルガー(Wolfesberger.W.)
  1. ×
    バンク-ミケルセン(Bank-Mikkelsen,N.)はデンマークでノーマライゼーションを提唱しました。「ノーマライゼーションの父」と言われています。

  2. ヴォルフェンスベルガー(Wolfesberger.W.)は、アメリカでノーマライゼーションを理論化、体系化した人です。ノーマライゼーションは社会への同調を要求してしまうのではないかという批判や反論がありました。ヴォルフェンスベルガー(Wolfesberger.W.)は社会的マイノリティに対して高い社会的役割を考え、維持するように能力を高めることを促すことで社会意識の改善を目指していく、ソーシャルロール・バロリゼーション(Social Role Valorization)を提唱しました。
  3. ×
    メイヤロフ(Mayeroff,M.)は、ケアリング(ケア)を看護の観点から提唱した人です。
  4. ×
    キットウッド(Kitwood,T.)は、パーソンセンタードケアを提唱した人です。認知症の人を1人の人として尊重し、その人の視点や立場に立って理解しながらケアをする、認知症ケアの考え方の1つです。
  5. ×
    ニィリエ(Nirje,B.)は、バンク-ミケルセン(Bank-Mikkelsen,N.)が提唱したノーマライゼーションをスウェーデンで定義し、「ノーマライゼーション8つの原理」を提唱しています。 アメリカにノーマライゼーションを紹介したのはニィリエ(Nirje,B.)です。
解き方のコツ

ノーマライゼーションの歴史的変遷を知っていると解くことができる問題です。人物を1人ずつ覚えるというよりも、ソーシャルワークの歴史的変遷を覚えていく覚え方をする方法をすれば覚えやすいです。

問19【解説】

問題文

ICF(International Classification of Functioning、 Disability and Health:国際生活機能分類)における環境因子を表す記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)である。
  2. 糖尿病(diabetes mellitus)があるため服薬をしている。
  3. 医者嫌いである。
  4. 町内会の会長を務めていた。
  5. 娘が近隣に住み、毎日訪問している。

解答&解説

答:⑤ 娘が近隣に住み、毎日訪問している
  1. ×
    病気がある状態は、ICF(国際生活機能分類:International Classification of Functioning, Disability and Health)の生活機能のうち、心身構造/身体構造に該当します。
  2. ×
    病気を治療している状況は、ICF(国際生活機能分類:International Classification of Functioning, Disability and Health)の生活機能のうち、活動に該当します。
  3. ×
    個人の人の好き嫌いに関することは、ICF(国際生活機能分類:International Classification of Functioning, Disability and Health)の背景因子のうち、個人因子に該当します。
  4. ×
    役職を務めていた経歴は、ICF(国際生活機能分類:International Classification of Functioning, Disability and Health)の生活機能のうち、参加に該当します。

  5. 様子を見に来てくれる家族がいることは、ICF(国際生活機能分類:International Classification of Functioning, Disability and Health)の背景因子のうち、環境因子に該当します。
解き方のコツ

今後も出題される可能性が高い問題です。ICF(国際生活機能分類:International Classification of Functioning, Disability and Health)の構成図は覚えておきましょう。

問20【解説】

問題文

利用者の自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. ごみの分別がわからない利用者だったので、その場でごみを分別した。
  2. 利用者の自宅の冷蔵庫の中が片づいていないので、整理整頓した。
  3. トイレ誘導した利用者の尿パッドを、本人に配慮して無言で取り替えた。
  4. 服薬時に、薬を飲むように促して、そばで確認した。
  5. 利用者が居間でテレビを見ているそばで、洗濯物を畳んだ。

解答&解説

答:④ 服薬時に、薬を飲むように促して、そばで確認した。
  1. ×
    利用者以外の人がごみを分別するのは見守り的援助とは言えません。
  2. ×
    利用者以外の人が冷蔵庫の整理整頓をするのは見守り的援助とは言えません。
  3. ×
    利用者の意思を聞かないで尿パッドを取り換える行為は見守り的援助とは言えませんし、利用者の意思を尊重した支援ではありません。

  4. 利用者が服薬をすることを声かけ、服薬する様子を確認することは見守り的援助として適しています。
  5. ×
    利用者が洗濯物を畳まないのは、見守り的援助とは言えません。
解き方のコツ

今回の問題は、厚生労働省が2018年3月30日に公表した「老計10号」で明確化された、見守り的援助に関する内容でした。「老計10号」を知らなくても、見守り的援助がどのような内容なのかを考えれば、④以外は見守り行為をしていませんので、解くことができる問題です。

問21【解説】

問題文

高齢者のリハビリテーションに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 機能訓練は、1回の量を少なくして複数回に分けて行う。
  2. 基本的な動作を行う訓練は、物理療法である。
  3. 関節障害のある人の筋力訓練は、関節を積極的に動かすことが効果的である。
  4. パーキンソン病(Parkinson disease)の人の訓練では、体幹をひねることは避ける。
  5. 関節リウマチ(rheumatoid arthritis)の人の訓練は、朝に行うことが効果的である。

解答&解説

答:① 機能訓練は、1回の量を少なくして複数回に分けて行う。

  1. 機能訓練は、高齢者の心身の負荷が重くならないように、1回の量を少なくして継続的に行うことが効果的です。
  2. ×
    物理療法とは、電気療法や温泉療法、マッサージや指圧等です。基本的な動作を行う訓練ではありません。
  3. ×
    関節障害がある高齢者への筋力訓練は、積極的に動かすことで関節を痛めてしまう可能性があります。動かさないと関節障害が重度化してしまいますので、注意が必要です。
  4. ×
    パーキンソン病(Parkinson disease)の人の訓練では、身体を動かすことで運動機能の維持を期待することができますので、体幹をひねることは効果的です。座位で訓練をすることで転倒防止にもつながります。
  5. ×
    関節リウマチ(rtheumatoid arthritis)の人は、朝にこわばる症状があるので、朝に訓練を行うではなく、症状が落ち着いた日中に行うことが効果的です。
解き方のコツ

高齢者のリハビリテーションに関する問題です。パーキンソン病(Parkinson disease)の人が体幹をひねることは避けるといった、ひっかけたような問題もありますが、1回が少量でも継続的に行うことがリハビリテーションには効果的であることを知っておきましょう。

問22【解説】

問題文

施設利用者の多様な生活に配慮した介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 夜型の生活習慣がある人に、施設の就寝時刻に合わせてもらった。
  2. 化粧を毎日していた人に、シーツが汚れるため、化粧をやめてもらった。
  3. 本に囲まれた生活をしてきた人に、散乱している本を捨ててもらった。
  4. 自宅で畳に布団を敷いて寝ていた人に、ベッドで寝てもらった。
  5. 自宅で夜間に入浴をしていた人に、夕食後に入浴してもらった。

解答&解説

答:⑤ 自宅で夜間に入浴をしていた人に、夕食後に入浴してもらった。
  1. ×
    施設の生活規則に合わせてもらうことは、利用者の多様な生活に配慮しているとは言えません。
  2. ×
    シーツが汚れるからやめてもらうというのは施設側の都合です。利用者の多様な生活に配慮している対応とは言えません。
  3. ×
    本が好きな利用者の私有物を勝手に捨てることは、利用者を尊重している、利用者の多様な生活に配慮している対応とは言えません。
  4. ×
    布団を敷いて寝たいと希望している利用者に対して、ベッドで寝てもらうようにするのは施設側の都合です。用者を尊重している、利用者の多様な生活に配慮している対応とは言えません。

  5. 日中に入浴してもらうのではなく、利用者の意思を尊重して入浴時間を調整することは、利用者の多様な生活に配慮している対応です。
解き方のコツ

利用者の意思を尊重した、多様な生活に配慮した対応かどうかを理解できれば解くことができる問題です。

問23【解説】

問題文

介護医療院に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 入所できるのは要介護3以上である。
  2. 介護医療院の開設は市町村から許可を受けなければならない。
  3. 入所者のためのレクリエーション行事を行うように努める。
  4. 入所者一人当たりの床面積は、介護老人福祉施設と同じ基準である。
  5. サービス管理責任者を1名以上置かなければならない。

解答&解説

答:③ 入所者のためのレクリエーション行事を行うように努める。
  1. ×
    介護医療院に入所できる方は、要介護1~5の方になります。
  2. ×
    介護医療院の開設は都道府県知事から許可を受けなければいけません。

  3. 介護医療院は地域との関りを意識していくことが求められていますので、レクリエーション行事を行うように努めていくことが求められています。
  4. ×
    介護老人福祉施設の入所者一人当たりの床面積は10.65㎡です。介護医療院の入所者一人当たりの床面積は定員4名以下で8.0㎡、転換の場合、大規模改修までは6.4㎡以上とされています。
  5. ×
    介護医療院の職員配置に関して、サービス管理責任者の配置条件はありません。
解き方のコツ

従来の介護療養病床、介護療養型医療施設は、2018年4月より介護医療院へ移行すること決められています。2023年4月までに移行しないといけません。介護医療院は新しい動向として、今後も出題されるでしょう。

問24【解説】

問題文

Eさん(女性、82歳、要介護1)は、夫(80歳)と二人暮らしである。膝の痛みがあるが、夫の介助があれば外出は可能である。最近Eさん宅は、玄関、トイレ、浴室に手すりを設置している。Eさんは料理が趣味で、近所のスーパーで食材を自分で選び、購入し、食事の用意をしたいと思っている。こうした中、Eさん宅で介護支援専門員(ケアマネジャー)が関係職種を招集してサービス担当者会議を開くことになった。
Eさんの思いに添ったサービスの提案として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 訪問介護員(ホームヘルパー)による調理の生活援助の利用
  2. 介護支援専門員(ケアマネジャー)の手配による配食サービスの利用
  3. 社会福祉協議会の生活支援員による日常生活自立支援事業の活用
  4. 福祉用具専門相談員の助言による四輪歩行者の利用
  5. 通所介護(デイサービス)の職員による入浴サービスの利用

解答&解説

答:④ 福祉用具専門相談員の助言による四輪歩行者の利用
  1. ×
    調理の生活援助に関しては、Eさんが自立している内容なので、サービスとして提案することには適していません。
  2. ×
    料理が趣味であるEさんに配食サービス利用を提案することはEさんの思いに添った提案ではありません。
  3. ×
    社会福祉協議会の日常生活自立支援事業は、判断能力が不十分な方が対象者になりますので、Eさんは利用できません。

  4. Eさんが課題に思っていることは、外出時に夫の介助が必要になることです。福祉用具専門相談員の助言による四輪歩行者の利用を提案することがEさんの思い添った提案になります。
  5. ×
    Eさんは入浴サービスを希望していませんので、Eさんの思いに添った提案ではありません。
解き方のコツ

利用者の意思を尊重した支援かどうかを考える問題内容になっています。Eさんが求めているサービスが何かを判断することが求められています。社会福祉協議会の日常生活自立支援事業に関する知識も求められていますが、利用者の意思を尊重した支援かどうかを見極めることができれば解くことができる問題です。

問25【解説】

問題文

介護施設におけるプライバシーの保護として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. ユニット型施設は個室化が推進されているため、各居室で食事をしてもらった。
  2. 個々の利用者の生活歴の情報を、ルールに従って介護職員間で共有した。
  3. 個人情報記録のファイルを、閲覧しやすいように机の上に置いたままにした。
  4. 着衣失行があるため、トイレのドアを開けたままで排泄(はいせつ)の介護を行った。
  5. 家庭内の出来事や会話の内容は、情報に含まれないため記録しなかった。

解答&解説

答:② 個々の利用者の生活歴の情報を、ルールに従って介護職員間で共有した。
  1. ×
    個室で食事をしてもらうのかどうかは、入居している人の意思を尊重して決めることです。介護施設でのプライバシーの保護の取り組みとしては相応しくありません。

  2. 支援のために利用者の生活歴の情報を介護職間で共有することは必要です。第三者に個人情報を漏洩しない等、プライバシー保護に配慮したルールを遵守することが必要です。
  3. ×
    閲覧しやすい場所に個人情報の記録ファイルを置いておくことは、プライバシー保護に配慮しているとは言えません。
  4. ×
    トイレのドアを開けたままで排泄の介護を行うことは、プライバシー保護に配慮しているとは言えません。
  5. ×
    家庭内の出来事や会話の内容は、利用者の情報になりますので、支援のために記録することが求められますが、プライバシー保護に配慮した情報管理が必要です。
解き方のコツ

プライバシー保護に配慮した取り組みかどうかを問われている問題です。①の「各居室で食事をしてもらう」、⑤の「家族内の会話に関する内容は、情報に含まれない」に惑わされることもあるかもしれません。利用者の意思を尊重した支援かどうか、利用者の生活背景を知ることが支援を行うにあたり必要であることを理解していれば解くことができる問題です。

問26【解説】

問題文

ハインリッヒ(Heinrich.H.)の法則に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 機能障害、能力障害、社会的不利という障害をとらえるための分類である。
  2. 人間の自己実現に向けた欲求を5つの階層で示したものである。
  3. 一つの重大事故の背景には、多くの軽微な事故とヒヤリハットが存在する。
  4. 患者が余命を知らされてから死を受容するまでの心理的プロセスである。
  5. 生活課題を抱えた人の支援をする上で必要な7つの原則である。

解答&解説

答:③ 一つの重大事故の背景には、多くの軽微な事故とヒヤリハットが存在する。
  1. ×
    ICIDH(国際障害分類)についての記述
  2. ×
    マズローの欲求5段階説について記述。心理学者のマズローは、人間には5段階の欲求があり、1つの欲求を満たすと次の欲求を満たそうとするという理論

  3. 設問の通り。1つの重大事故の背景には、重大事故にならなかった29件の軽微な事故と、さらにその背後には事故寸前だった300件の異常が隠れているという考え方
  4. ×
    キューブラ―・ロスの5段階モデルについての記述
  5. ×
    バイスティックの7原則についての記述。個別化の原則、意図的な感情表現の原則、統制された情緒関与の原則、受容の原則、非審判的態度の原則、自己決定の原則、秘密保持の原則、7つの原則で構成される

コミュニケーション技術(問27~34)

問27【解説】

問題文

介護福祉職が利用者と信頼関係を形成するためのコミュニケーション技術として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 利用者の意見に賛成できなくても同意する。
  2. 「○○ちゃん」と親しみを込めてお互いを呼び合う。
  3. 介護福祉職からは質問をせずに受け身の姿勢で聞く。
  4. 介護福祉職の価値判断に従ってもらう。
  5. 介護福祉職自身の感情の動きも意識しながら関わる。

解答&解説

答:⑤ 介護福祉職自身の感情の動きも意識しながら関わる。
  1. ×
    信頼関係を築ける範囲で自分の考えを示す自己開示も必要である。
  2. ×
    ○○ちゃんと呼び合うことが、必ずしも信頼関係を築くことにはならない。介護福祉職として節度ある対応をしても、信頼関係を構築することが大切である。
  3. ×
    状況に応じて適切な質問をすることも大切である。
  4. ×
    利用者の価値判断を尊重し、一人の人間として敬意を持って接することが大切である。

  5. 設問の通り。「バイスティックの7原則」の中の、「統制された情緒関与の原則」の考え方である。

問題文

次の事例を読んで、問題28、問題29について答えなさい。

〔事例〕

Fさん(85歳、女性)は、中等度の認知症(dementia)がある。同居していた娘の支援を受けて生活してきたが、症状が進行してきたために、介護老人福祉施設への入所が決まった。
入所当日、介護福祉職はFさんの付き添いで来た娘に初めて会った。介護福祉職が、「はじめまして。よろしくお願いします」と挨拶をすると、娘は少し緊張した様子で、「お願いします」とだけ答えた。娘は、介護福祉職の問いかけに応えるまで時間がかかり、また、あまり多くを語ることはなかった。
持参した荷物の整理を終えて帰宅するとき、娘が寂しそうに、「これから離れて暮らすんですね」とつぶやいた。

問28【解説】

問題文

初対面の娘と関係を構築するために介護福祉職がとる対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 友人のような口調で話す。
  2. 相手のペースに合わせて、表情を確認しながら話す。
  3. 会話が途切れないように積極的に話す。
  4. 密接距離を確保してから話す。
  5. スキンシップを用いながら話す。

解答&解説

答:② 相手のペースに合わせて、表情を確認しながら話す。
  1. ×
    関係を構築するための対応としても、介護福祉職としても適切ではない。

  2. 設問の通り。
  3. ×
    家族の気持ちを理解し、相手のペースに合わせて話すことが必要である。
  4. ×
    介護場面は密接距離で利用者とコミュニケーションをとるが、ご家族との距離としては近すぎる。
  5. ×
    介護場面ではスキンシップを用いるが、家族に用いるのは適切ではない。

問29【解説】

問題文

帰宅するときの娘の発言に対する、介護福祉職の共感的な言葉かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 「心配しなくても大丈夫ですよ」
  2. 「私も寂しい気持ちは一緒です」
  3. 「元気を出して、お母さんの前では明るく笑顔でいましょう」
  4. 「お母さんに毎日会いに来てください」
  5. 「お母さんと離れて暮らすと寂しくなりますね」

解答&解説

答:⑤ 「お母さんと離れて暮らすと寂しくなりますね」
  1. ×
  2. ×
  3. ×
  4. ×
解き方のコツ

共感的な言葉かけについての問題なので、選択肢⑤がふさわしい。他の選択肢は共感的な言葉かけではない。

問30【解説】

問題文

Gさん(55歳、男性)は父親と二人で暮らしている。父親は週2回通所介護(デイサービス)を利用している。Gさんは、父親が夜に何度も起きるために睡眠不足となり、仕事でミスが続き退職を決意した。
ある日、Gさんが介護福祉職に、「今後の生活が不安だ。通所介護(デイサービス)の利用をやめたいと考えている」と話した。
Gさんが、「利用をやめたい」と言った背景にある理由を知るためのコミュニケーションとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 開かれた質問をする。
  2. 「はい」「いいえ」で答えられる質問をする。
  3. 介護福祉職のペースに合わせて話してもらう。
  4. 事実と異なることは、訂正しながら聞く。
  5. 相手が話したくないことは、推測して判断する。

解答&解説

答:① 開かれた質問をする。

  1. 設問の通り。
  2. ×
    話の展開を狭めてしまい、介護福祉職の示す方向に話を誘導してしまう危険性がある。
  3. ×
    介護福祉職ではなく、Gさんのペースに合わせて話をする。
  4. ×
    安心して本心を話すことができない。
  5. ×
    推測で判断しては背景にある理由を知ることができない。

問31【解説】

問題文

利用者と家族の意向が対立する場面で、介護福祉職が両者の意向を調整するときの留意点として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 両者が話し合いを始めるまで発言しない。
  2. 利用者に従うように家族を説得する。
  3. 利用者と家族のそれぞれの意見を聞く。
  4. 家族の介護負担の軽減を目的にして調整する。
  5. 他職種には相談せずに解決する。

解答&解説

答:③ 利用者と家族のそれぞれの意見を聞く。
  1. ×
    利用者または家族が話し出せるきっかけとなるような発言をする。
  2. ×
    どちらか一方の意見に従うのではなく、双方の共通点や妥協点を見出すことが重要である。

  3. 設問の通り。
  4. ×
    どちらか一方の目的の調整ではなく、双方の共通点や妥協点を見出すことが重要である。
  5. ×
    状況に応じて他職種の相談することは重要である。

問32【解説】

問題文

運動性失語症(motor aphasia)のある人とコミュニケーションを図るときの留意点として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 絵や写真を使って反応を引き出す。
  2. 大きな声で1音ずつ区切って話す。
  3. 手話を使うようにする。
  4. 五十音表でひらがなを指してもらう。
  5. 閉ざされた質問は控える。

解答&解説

答:① 絵や写真を使って反応を引き出す。

  1. 重度の運動性失語症の場合でも選択肢を示せば、うなずきや動作で意思を示せる。
  2. ×
    日本語の50音体系が機能してないことが多いので有効ではない。
  3. ×
    聴覚障害の方へのコミュニケーション方法である。
  4. ×
    書字が障害されるので、言えないことを文字で表現することは難しい。
  5. ×
    選択肢を示せば意思を示せるので、閉ざされた質問は有効である。
解き方のコツ

運動性失語症の症状の理解が必要である。

問33【解説】

問題文

介護記録を書くときの留意点として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 数日後に書く。
  2. 客観的事実と主観的情報は区別せずに書く。
  3. ほかから得た情報は情報源も書く。
  4. 利用者の気持ちだけを推測して書く。
  5. 介護福祉職の意見を中心に書く。

解答&解説

答:③ ほかから得た情報は情報源も書く。
  1. ×
    記憶が鮮明なうちに書く。
  2. ×
    客観的事実と主観的情報はわけて書く。

  3. 設問の通り。
  4. ×
    介護福祉職の推測を書く場合は、その根拠となる客観的事実が書かれていることが重要である。
  5. ×
    5W1Hの要素を使い客観的に書く。介護福祉職の意見を書く場合は、その根拠となる客観的事実が書かれていることが重要である。

問34【解説】

問題文

報告者と聞き手の理解の相違をなくすための聞き手の留意点として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 受け身の姿勢で聞く。
  2. 腕組みをしながら聞く。
  3. 同調しながら聞く。
  4. 不明な点を確認しながら聞く。
  5. ほかの業務をしながら聞く。

解答&解説

答:④ 不明な点を確認しながら聞く。
  1. ×
    疑問点・不明点は確認しながら聞く。
  2. ×
    必要な点はメモを取りながら聞く。
  3. ×
    同調しては疑問点・不明点に気づきにくくなる。

  4. 設問の通り。
  5. ×
    注意力が散漫になり、重要な点を聞き逃す危険性がある。

生活支援技術(問35~60)

問35【解説】

問題文

次の記述のうち、古い住宅で暮らす高齢者が、ヒートショックを防ぐために必要な環境整備の方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 居室の室温を低くする。
  2. 脱衣室の照明を明るくする。
  3. トイレに床置き式の小型のパネルヒーターを置く。
  4. 入浴直前に浴槽の湯温を60℃にし、蒸気を立てる。
  5. 24時間換気システムを導入する。

解答&解説

答:③ トイレに床置き式の小型のパネルヒーターを置く。
  1. ×
    冬季の冷えたトイレでの排泄は、心筋梗塞につながることもあるので、室内を温めた方がよい。
  2. ×
    転倒の防止にはなるが、ヒートショックとは関係がない。

  3. 設問の通り。
  4. ×
    火傷をする危険性がある。
  5. ×
    外気が流入し浴室内を冷やすので、ヒートショックがおこりやすい環境になる。
解き方のコツ

ヒートショックは急激な温度の変化によって、体が影響を受けることである。どのようにすれば急激な温度変化を防げるかを考えることが重要である。

問36【解説】

問題文

高齢者にとって安全で使いやすい扉の工夫として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. トイレの扉は内開きにする。
  2. 開き戸は杖の使用者が移動しやすい。
  3. 引き戸は開閉の速度が速くなる。
  4. アコーディオンドアは気密性が高い。
  5. 引き戸の取っ手は棒型にする。

解答&解説

答:⑤ 引き戸の取っ手は棒型にする。
  1. ×
    トイレのような狭い場所で倒れると、救出が難しくなる。
  2. ×
    扉の閉開時の前後移動が大きいので、杖の使用者には使いにくい形状である。
  3. ×
    閉開の速度の調節は簡単にできる。
  4. ×
    アコーディオンドアや折れ戸は、気密性が高くない。

  5. 高齢になるにつれて握力や指先の力が低下するので、棒型の取っ手は他の形状と比較して閉開しやすい。ちなみに、掘り込み式の引手の場合は、指先の力が必要となるので、不適切。
解き方のコツ

生活空間の各設備の正しい理解が必要となる。

問37【解説】

問題文

下肢の筋力が低下して、つまずきやすくなった高齢者に適した靴として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 靴底の溝が浅い靴
  2. 靴底が薄く硬い靴
  3. 足の指が固定される靴
  4. 足背をしっかり覆う靴
  5. 重い靴

解答&解説

答:④ 足背をしっかり覆う靴
  1. ×
    溝が浅いと滑りやすい。
  2. ×
    高齢者は、足部や足底にある軟部組織の柔軟性が低下し、バランス保持・衝撃吸収能力が低下する。よって、衝撃吸収性のある靴の方がよい。
  3. ×
    足指が固定されていると歩きにくい。

  4. 設問の通り。踵や足首をしっかりと支える靴の方が歩きやすい。
  5. ×
    靴が重いと足に負担がかかり、すり足になり転倒しやすくなる。
解き方のコツ

高齢者の歩き方の特徴を理解することが重要である。

問38【解説】

問題文

介護が必要な利用者の口腔ケアに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. うがいができる場合には、ブラッシング前にうがいをする。
  2. 歯磨きは、頭部を後屈させて行う。
  3. 部分床義歯のクラスプ部分は、流水で軽く洗う。
  4. 全部の歯がない利用者には、硬い毛の歯ブラシを使用する。
  5. 舌の清拭(せいしき)は、手前から奥に向かって行う。

解答&解説

答:① うがいができる場合には、ブラッシング前にうがいをする。

  1. 設問の通り。取れる汚れはこの段階で取るようにするとよい。
  2. ×
    誤嚥の危険性がある。顎を引き頭部を前屈させることで誤嚥防止になる。
  3. ×
    クラスプ部分は細菌が繁殖しやすいので、流水で軽く洗うのではなく、専用の歯ブラシを使用して汚れを取る。
  4. ×
    硬い毛の歯ブラシではなく、粘膜用ブラシを使用する。
  5. ×
    手前から奥ではなく、奥から手前に向かって行い汚れを取る。

問39【解説】

問題文

口腔内が乾燥している人への助言に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 苦みの強い食べ物を勧める。
  2. 臥床時は仰臥位(背臥位)で枕を使用しないように勧める。
  3. 水分は控えるように勧める。
  4. 唾液腺マッサージをするように勧める。
  5. ジェルタイプの保湿剤は、前回塗った上に重ねて塗るように勧める。

解答&解説

答:④ 唾液腺マッサージをするように勧める。
  1. ×
    唾液の分泌とは関係がない。
  2. ×
    仰臥位は口が開き、口呼吸が増えるので、側臥位をすすめた方がよい。
  3. ×
    成人の場合、1日1~1.5リットルの唾液が分泌されるので、そのためにも水分補給は必要である。

  4. 設問の通り。唾液腺マッサージをすることによって、唾液の分泌を促すことができる。
  5. ×
    保湿剤を重ね塗りしたり使いすぎたりすると、保湿剤そのものが口腔内で固まってしまう。

問40【解説】

問題文

介護福祉職が利用者を仰臥位(背臥位)から側臥位へ体位変換するとき、図に示された力点の部位として、適切なものを1つ選びなさい。

  1. AとC
  2. AとD
  3. BとC
  4. BとD
  5. BとE

解答&解説

答:① AとC
  1. ×
  2. ×
  3. ×
  4. ×
解き方のコツ

A(肩)・C(膝)を力点とすることで、小さな力で仰臥位から側臥位へ体位変換できる。

問41【解説】

問題文

標準型車いすを用いた移動の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 急な上り坂は、すばやく進む。
  2. 急な下り坂は、前向きで進む。
  3. 踏切を渡るときは、前輪を上げて駆動輪でレールを越えて進む。
  4. 段差を上がるときは、前輪を上げて進み駆動輪が段差に接する前に前輪を下ろす。
  5. 砂利道では、駆動輪を持ち上げて進む。

解答&解説

答:③ 踏切を渡るときは、前輪を上げて駆動輪でレールを越えて進む。
  1. ×
    ゆっくり進む。ボディメカニクスを意識し、体勢を整えながら介助をする。
  2. ×
    下り坂は後ろ向きで下りる。前向きだと利用者が前のめりになり不安定となる。特に急な坂道はスピードが出て恐怖心を抱く。

  3. 設問の通り。前輪(キャスタ)を上げないと、線路部分の溝にはまって転倒してしまう危険性がある。
  4. ×
    駆動輪(後輪)が段差に接するまで傾けたまま前進する。
  5. ×
    前輪(キャスタ)を上げて進む。
解き方のコツ

車椅子のパーツや介助方法を正しく理解することが重要である。

問42【解説】

問題文

Hさん(35歳、男性)は6か月前、高所作業中に転落し、第6胸髄節(Th6)を損傷した。リハビリテーション後、車いすを利用すれば日常生活を送ることができる状態になっている。
Hさんの身体機能に応じた車いすの特徴として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. ヘッドサポートを装着している。
  2. ハンドリムがないタイヤを装着している。
  3. レバーが長いブレーキを装着している。
  4. 片手で駆動できるハンドリムを装着している。
  5. 腰部までのバックサポートを装着している。

解答&解説

答:⑤ 腰部までのバックサポートを装着している。
  1. ×
  2. ×
  3. ×
  4. ×
解き方のコツ

脊髄損傷後の身体機能についての問題。第2~第6胸髄節の損傷では、上肢の機能及び体幹の一部の機能は保たれているが不安定である。この点から選択肢5が正解となる。選択肢の1~4は頸部・上肢の機能が失われた方へ配慮した車椅子の特徴である。

問43【解説】

問題文

Jさん(80歳、女性、要介護3)は、介護老人福祉施設に入所している。食事の後、Jさんから、「最近、飲み込みにくくなって時間がかかる」と相談された。受診の結果、加齢による機能低下が疑われると診断された。
次の記述のうち、Jさんが食事をするときの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. リクライニングのいすを用意する。
  2. 栄養価の高い食事を準備する。
  3. 食前に嚥下体操を勧める。
  4. 自力で全量を摂取できるように促す。
  5. 細かく刻んだ食事を提供する。

解答&解説

答:③ 食前に嚥下体操を勧める。
  1. ×
  2. ×
  3. ×
  4. ×
解き方のコツ

問題文からJさんは嚥下機能が低下したことがわかる。この点から選択肢③が正解となる。選択肢③以外は嚥下機能とは関係のない記述である。

問44【解説】

問題文

慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)のある利用者の食事に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 繊維質の多い芋類を食事に取り入れる。
  2. 炭酸飲料で水分補給をする。
  3. たんぱく質の多い食事は控える。
  4. 高カロリーの食事は控える。
  5. 1回の食事量を減らし、回数を増やす。

解答&解説

答:⑤ 1回の食事量を減らし、回数を増やす。
  1. ×
    芋類はおなかにガスがたまりやすく、横隔膜が圧迫されて息苦しくなる。
  2. ×
    炭酸飲料は芋類と同じでおなかにガスがたまりやすく、横隔膜が圧迫されて息苦しくなる。
  3. ×
    病気の悪化を防ぐためにも、たんぱく質を多く摂り筋肉の衰えを防ぐ必要がある。
  4. ×
    病気の影響で使われるエネルギー量が多くなるので、カロリーのある食事をすることが重要である。

  5. 病気のため満腹になると横隔膜が圧迫されて息苦しくなるので、1回の分量を減らし食事の回数を増やすようにする。
解き方のコツ

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の症状を正しく理解することが重要である。

問45【解説】

問題文

入浴の身体への作用を踏まえた介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 浮力作用があるため、食後すぐの入浴は避ける。
  2. 浮力作用があるため、入浴中に関節運動を促す。
  3. 静水圧作用があるため、入浴後に水分補給をする。
  4. 静水圧作用があるため、入浴前にトイレに誘導する。
  5. 温熱作用があるため、お湯につかる時間を短くする。

解答&解説

答:② 浮力作用があるため、入浴中に関節運動を促す。
  1. ×
    食後すぐの入浴を避ける理由は、消化機能が低下するから。

  2. 浮力作用により間接の緊張がゆるむので運動に適している。
  3. ×
    水分補給をする理由は、脱水症状を防ぐため。
  4. ×
    効果としては正しいが、トイレ誘導まですべきとしている文献がない。
  5. ×
    温熱作用で疲れが取れて新陳代謝が活発になるが、長すぎるとデメリットが大きくなる。

問46【解説】

問題文

四肢麻痺の利用者の入浴に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 仰臥位(背臥位)で行う。
  2. 手指は、30分以上お湯に浸す。
  3. 手関節を支えながら洗う。
  4. 指間は、強く洗う。
  5. 指間は、自然乾燥させる。

解答&解説

答:③ 手関節を支えながら洗う。
  1. ×
    座位の姿勢を保てるなら座位がよい。側臥位で手浴をすると寝具を濡らすこともある。
  2. ×
    浸漬時間は10分程度。

  3. 設問の通り。
  4. ×
    マッサージするようにやさしく洗う。
  5. ×
    タオルでしっかりと水気をふき取る。

問47【解説】

問題文

利用者の状態に応じた清潔の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 乾燥性皮膚疾患がある場合、弱アルカリ性の石鹸で洗う。
  2. 人工透析をしている場合、柔らかいタオルでからだを洗う。
  3. 褥瘡がある場合、石鹸をつけた指で褥瘡部をこすって洗う。
  4. 糖尿病性神経障害(diabetic neuropathy)がある場合、足の指の間はナイロンたわしで洗う。
  5. 浮腫のある部位は、タオルを強く押し当てて洗う。

解答&解説

答:② 人工透析をしている場合、柔らかいタオルでからだを洗う。
  1. ×
    弱酸性の石鹸で洗う。

  2. 設問の通り。
  3. ×
    こすらずに洗う。
  4. ×
    刺激に対する感覚が低下し外傷に気づかないことがあるので、足の状態を観察しながら、柔らかいタオルやスポンジで優しく洗う。
  5. ×
    優しく洗う。

問48【解説】

問題文

Kさん(72歳、女性、要介護2)は、脳梗塞(cerebral infarction)で入院したが回復し、自宅への退院に向けてリハビリテーションに取り組んでいる。トイレへは手すりを使って移動し、トイレ動作は自立している。退院後も自宅のトイレでの排泄を希望している。
Kさんが自宅のトイレで排泄を実現するために必要な情報として、最も優先されるものを1つ選びなさい。

  1. 便意・尿意の有無
  2. 飲食の状況
  3. 衣服の着脱の様子
  4. 家族介護者の有無
  5. トイレまでの通路の状況

解答&解説

答:⑤ トイレまでの通路の状況
  1. ×
  2. ×
  3. ×
  4. ×
解き方のコツ

「Kさんが自宅のトイレで排泄を実現するために必要な情報」について問題である。問題文からKさんが「トイレへは手すりを使って移動」「トイレ動作は自立」していることがわかるので、消去法で⑤が正解となる。

問49【解説】

問題文

自己導尿を行っている利用者に対する介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 座位が不安定な場合は、体を支える。
  2. 利用者が自己導尿を行っている間は、そばで見守る。
  3. 利用者と一緒にカテーテルを持ち、挿入する。
  4. 再利用のカテーテルは水道水で洗い、乾燥させる。
  5. 尿の観察は利用者自身で行うように伝える。

解答&解説

答:① 座位が不安定な場合は、体を支える。

  1. 設問の通り。
  2. ×
    羞恥心の配慮をしなければいけない。
  3. ×
    カテーテルの挿入は、医療職と本人しかできない。
  4. ×
    カテーテルを再利用する場合は、水道水で洗浄して十分に水を切ってから潤滑・保存液を入れたケースに戻す。
  5. ×
    介護福祉職が尿を観察し、異常があった場合は医療職に報告する。

問50【解説】

問題文

下肢筋力の低下により立位に一部介助が必要な車いすの利用者が、トイレで排泄をするときの介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 便座の高さは、利用者の膝よりも低くなるように調整する。
  2. 便座に移乗する前に、車いすのバックサポートに寄りかかってもらう。
  3. 車いすから便座に移乗するときは、利用者の上腕を支える。
  4. 利用者が便座に移乗したら、座位が安定していることを確認する。
  5. 立ち上がる前に、下着とズボンを下腿部(かたいぶ)まで下げておく。

解答&解説

答:④ 利用者が便座に移乗したら、座位が安定していることを確認する。
  1. ×
    便座が膝より低いと、膝折れをして尻もちをついてしまう。
  2. ×
    前傾姿勢の方が立ち上がりやすい。
  3. ×
    上腕ではなく腰のあたりを支える。

  4. 設問の通り。
  5. ×
    立ち上がってから、体を支えながら下着とズボンを下す。

問51【解説】

問題文

図の洗濯表示の記号の意味として、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 液温は30℃以上とし、洗濯機で洗濯ができる。
  2. 液温は30℃以上とし、洗濯機で弱い洗濯ができる。
  3. 液温は30℃以上とし、洗濯機で非常に弱い洗濯ができる。
  4. 液温は30℃を上限とし、洗濯機で弱い洗濯ができる。
  5. 液温は30℃を上限とし、洗濯機で非常に弱い洗濯ができる。

解答&解説

答:④ 液温は30℃を上限とし、洗濯機で弱い洗濯ができる。
  1. ×
    洗濯マークの中に書かれている数字は、以上ではなく上限となっており、この選択は間違いです。また、マークの下に棒線が書かれていない場合は通常、1本の場合は弱く、2本の場合は非常に弱く洗濯ができるということになります。
  2. ×
    1の説明通り、弱い洗濯ができますが、30℃以上ではないため不正解となります。
  3. ×
    同じく、30℃以上ではなく、非常に弱い選択の場合はマークの下に棒線が2本付くため、不正解です。

  4. 30℃を上限とし、棒線が1本のため弱い洗濯ができます。よって、この選択肢が正解です。
  5. ×
    30℃を上限とするのは間違っていませんが、非常に弱い洗濯ではないので不正解です。
解き方のコツ

洗濯マークの覚え方の1つとして、5つの基本記号と、付加記号と数字を別々で覚えるという方法があります。ご自宅の衣類の洗濯マークを確認しつつ、学習につなげられると良いですね。

問52【解説】

問題文

衣服についたバターのしみを取るための処理方法に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 水で洗い流す。
  2. しみに洗剤を浸み込ませて、布の上に置いて叩く。
  3. 乾かした後、ブラッシングする。
  4. 氷で冷やしてもむ。
  5. 歯磨き粉をつけてもむ。

解答&解説

答:② しみに洗剤を浸み込ませて、布の上に置いて叩く。
  1. ×
    基本的に油と水は反発し合うため、水で洗い流しても落ちないと考えられます。

  2. 衣類の繊維についた油汚れをたたいて落とす事がこの中の選択肢としては正解です。
  3. ×
    乾かす前の洗濯方法が重要であり、ブラッシングのみで落とせるとは考えにくく不正解です。
  4. ×
    ①と同様に、水で冷やしても汚れを落とせるとは考えにくいです。
  5. ×
    衣料用漂白剤や、油汚れに効果の期待できる台所用洗剤を使用する方法はありますが、歯磨き粉では効果が期待できないため不正解となります。
解き方のコツ

バターは油ですので、水洗いだけは落ちにくいと考えられます。その食品が何で作られているかを理解できることが、正解への一歩かもしれません。

問53【解説】

問題文

食中毒の予防に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 鮮魚や精肉は、買物の最初に購入する。
  2. 冷蔵庫の食品は、隙間なく詰める。
  3. 作って保存しておく食品は、広く浅い容器に入れてすばやく冷ます。
  4. 再加熱するときは、中心部温度が60℃で1分間行う。
  5. 使い終わった器具は、微温湯をかけて消毒する。

解答&解説

答:③ 作って保存しておく食品は、広く浅い容器に入れてすばやく冷ます。
  1. ×
    鮮魚や生肉は、保存状態を考え買い物の最後に買うのが望ましいでしょう。よって不正解となります。
  2. ×
    冷蔵庫が全体が冷えにくくなり、食品も冷えない可能性があるため、この選択肢も不正解となります。

  3. 熱い状態での保存は食品が痛む原因となるため、素早く冷やす事が食中毒の予防の1つとなります。よってこの選択肢が正解です。
  4. ×
    60℃では菌を殺しきれない可能性があるため、不正解となります。食品にもよりますが、70℃以上で2分以上が望ましいとされています。
  5. ×
    微熱湯ではなく、熱湯での洗浄が望ましいでしょう。よって、この選択肢は不正解となります。
解き方のコツ

食中毒の問題は頻出傾向にあります。消毒の方法も理解するとともに、寄生虫やウイルスの知識も学べるとより理解が深まります。

問54【解説】

問題文

喘息のある利用者の自宅の掃除に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 掃除機をかける前に吸着率の高いモップで床を拭く。
  2. 掃除は低い所から高い所へ進める。
  3. 拭き掃除は往復拭きをする。
  4. 掃除機の吸い込み口はすばやく動かす。
  5. 掃除は部屋の出入口から奥へ向かって進める。

解答&解説

答:① 掃除機をかける前に吸着率の高いモップで床を拭く。

  1. 床の埃が部屋に舞わないようにするために、先にモップで床を掃除しておくと、利用者の負担にならない掃除ができます。
  2. ×
    掃除は高い所から低い所に進めないと、せっかく綺麗にした箇所がまた汚れることになります。喘息を持っていても同様です。
  3. ×
    往復拭きは汚れが舞う原因になるだけでなく、汚れを取りきれない事があるため、不正解です。
  4. ×
    埃が舞うのを避けるため、掃除機の吸い込み口はゆっくり動かす事が望ましいです。
  5. ×
    掃除は汚れを外に逃すため、奥から出入り口に向かって進めていく必要があります。よってこの選択肢は不適切です。
解き方のコツ

喘息を持っている人への支援は、汚れを残さないことに加え、埃を舞わないための配慮が必要となってきます。

問55【解説】

問題文

ベッドに比べて畳の部屋に布団を敷いて寝る場合の利点について、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 布団に湿気がこもらない。
  2. 立ち上がりの動作がしやすい。
  3. 介護者の負担が少ない。
  4. 床からの音や振動が伝わりにくい。
  5. 転落の不安がない。

解答&解説

答:⑤ 転落の不安がない。
  1. ×
    布団を敷くことによって湿気がこもらなくなるわけではないため、不正解となります。
  2. ×
    ベッドに比べると、立ち上がりに足の力が必要となるため、動作がしやすくなるとは考えにくいため不適切です。
  3. ×
    介護者は低姿勢にならなければならず、ベッドと比べて負担が少なくなるとは言い切れません。
  4. ×
    布団を床に敷けば、ベッドよりも音や振動は伝わりやすくなると考えられます。よってこの選択肢も不正解です。

  5. 一番低い位置に寝具があるため、転落の心配はありません。よって、立ち上がれる場合には有効な方法となります。
解き方のコツ

自分がベッドで寝ているときと、布団で寝ているときでの違いを思い浮かべると解きやすい問題かもしれません。

問56【解説】

問題文

睡眠の環境を整える介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 寝具を選ぶときは、保湿性を最優先する。
  2. 湯たんぽを使用するときは、皮膚に直接触れないようにする。
  3. 寝室の温度は、1年を通して15℃前後が望ましい。
  4. 枕は、顎が頸部につくぐらいの高さにする。
  5. 就寝中の電気毛布は、スイッチを切る必要がない。

解答&解説

答:② 湯たんぽを使用するときは、皮膚に直接触れないようにする。
  1. ×
    保湿性も大切ですが、重さや保温性なども視野に入れなければならず、最優先とはならないため不適切です。

  2. 低温やけどを防ぐため、皮膚に直接当たらない位置におく必要があります。よって、この選択肢が適切です。
  3. ×
    室内の温度は20℃前後が眠りやすいとされています。15℃では寒すぎるため、この選択肢は不適切です。
  4. ×
    頸部(首の部分)までの高さの枕は高すぎるため、不適切です。寝やすい高さとしては、肩口から頭が10~15度の傾斜の状態といわれています。
  5. ×
    電気毛布の電源を付けっぱなしにしての就寝は望ましいとはいえません。
解き方のコツ

睡眠の適温や明かりなどは人それぞれですが、科学的な根拠も研究されています。暑すぎず、冷えすぎず、また危険を排除する必要があります。

問57【解説】

問題文

Lさん(78歳、男性)は、脳梗塞後遺症による右片麻痺がある。妻の介護疲れで、3日前から介護老人保健施設の短期入所療養介護(ショートステイ)を利用している。入所以降、Lさんは日中もベッドで横になっていることが多かったため、介護福祉職がLさんに話を聞くと、「夜、眠れなくて困っている」と訴えた。
介護福祉職のLさんへの対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 施設の起床時間や消灯時間をわかりやすく伝える。
  2. 眠ろうとする意志が大切だと説明する。
  3. 自宅での睡眠の状況について詳しく尋ねる。
  4. 日中の睡眠の必要性を伝える。
  5. 睡眠薬の服用について提案する。

解答&解説

答:③ 自宅での睡眠の状況について詳しく尋ねる。
  1. ×
    起床時間や消灯時間が分からないことが眠れないと訴えていることに繋がっているとは考えにくいと思われます。
  2. ×
    眠れなくて困っているということは、眠ろうとする意志があると思われ、環境的な問題があり眠れないと考えられるため、不適切です。

  3. 自宅での睡眠時間や、睡眠時の環境を知ることがLさんの悩みの解消のために大切になります。
  4. ×
    夜眠れないと訴えているため、日中の睡眠の必要性を伝えることは不適切だと考えられます。
  5. ×
    睡眠薬の服用は、医師や看護師からの診察・助言を受けて行われるものであり、介護職からの提案は不適切です。環境の改善から行っていくことが重要です。
解き方のコツ

介護福祉職として、というのがポイントです。服薬や医療的な視点ではなく、本人と環境を整えていくことを意識しましょう。

問58【解説】

問題文

「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(2018年(平成30年)改訂(厚生労働省))において、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)が重要視されている。このアドバンス・ケア・プランニング(ACP)を踏まえた、人生の最終段階を迎えようとする人への介護福祉職の言葉かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 「生活上の悩みごとは、近くの地域包括支援センターに相談できます」
  2. 「今後の医療とケアについては、家族が代わりに決めるので安心です」
  3. 「今後の生活について、家族や医療・介護職員と一緒に、その都度話し合っていきましょう」
  4. 「口から食べることができなくなったら、介護職員に相談してください」
  5. 「意思を伝えられなくなったら、成年後見制度を利用しましょう」

解答&解説

答:③ 「今後の生活について、家族や医療・介護職員と一緒に、その都度話し合っていきましょう」
  1. ×
    地域包括支援センターに相談するのも1つの方法ですが、これからの状態の変容に備えるACPの内容としては不適切です。
  2. ×
    家族だけではなく、本人も共に話し合って決める必要があります。

  3. ACPは、家族や医療・ケアチームが繰り返し話し合って進めていくものです。よって、この選択肢が適切となります。
  4. ×
    介護職員ではなく、医師や看護師の診察・助言を受ける必要があります。介護職員からつなげることもできますが、内容としては不適切です。
  5. ×
    こちらも、ACPを進めていく上ではあり得る内容かもしれませんが、問題の内容としては不適切です。
解き方のコツ

ACPは、何度も利用者本人と、周りの関係機関が話し合って行っていくものです。他職種にはない、普段から接しているという点に着目することが理解への一歩になりそうです。

問59【解説】

問題文

死期が近づいたときの介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 食事量が減少したときは、高カロリーの食事を用意する。
  2. チアノーゼ(cyanosis)が出現したときは、冷罨法(れいあんぽう)を行う。
  3. 全身倦怠感が強いときは、全身清拭から部分清拭に切り替える。
  4. 傾眠傾向があるときは、話しかけないようにする。
  5. 口腔内乾燥があるときはアイスマッサージを行う。

解答&解説

答:③ 全身倦怠感が強いときは、全身清拭から部分清拭に切り替える。
  1. ×
    食事量が減少した場合は、提供方法を変えたり時間をずらすといった対応が考えられますが、死期が近い場合は高カロリーのものを食べてもらう必要は基本的にはありません。
  2. ×
    体を温めるために温罨法を行います。冷罨法は体を冷やすため、不適切です。

  3. 負担を減らすために、全身清拭から部分清拭に切り替えるのは適切です。
  4. ×
    特別に話しかけてはいけないという事はありません。家族や親しい人が近くにいる場合は、やめてもらう必要などもないでしょう。
  5. ×
    マッサージによって唾液分泌の促進を図るのは負担となり不適切です。
解き方のコツ

死期が近い人への対応は、頻出傾向にあります。本人がいかに楽が出来る状況を作り出せるかを考えていく必要があります。

問60【解説】

問題文

高齢者施設で利用者の死後に行うですカンファレンス(death caonference)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. ボランティアに参加を求める。
  2. ケアを振り返り、悲しみを共有する。
  3. 利用者の死亡直後に行う。
  4. 個人の責任や反省点を追及する。
  5. 自分の感情は抑える。

解答&解説

答:② ケアを振り返り、悲しみを共有する。
  1. ×
    ディスカンファレンスに、ボランティアの参加は関係がありません。よって、不適切な回答です。

  2. ディスカンファレンスでは、今後のケアのためにも内容を振り返り、介護者たちで悲しみを共有します。
  3. ×
    利用者が亡くなり、家族への対応等が終わり一段落ついたところで行います。
  4. ×
    個人の責任や反省点を追及するカンファレンスではないため、この選択肢は不適切です。
  5. ×
    介護者たちの感情を共有する場のため、抑える必要はありません。
解き方のコツ

デスカンファレンスは、マイナスな点に着目するわけではなく、これからのケアの質の向上も目指していくものです。

介護過程(問61~68)

問61【解説】

問題文

介護過程の目的に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 利用者の健康状態の改善
  2. 介護福祉職の介護観の変容
  3. 他職種との役割の分化
  4. 家族の介護負担の軽減
  5. 利用者の生活の質の向上

解答&解説

答:⑤ 利用者の生活の質の向上
  1. ×
    介護過程とは、専門的知識などの根拠に基づいて介護を行うためのプロセスを指します。健康状態の改善は介護過程の目的には入りません。
  2. ×
    上記同様に、利用者への介護の過程ではないため、選択肢としては不適切です。
  3. ×
    機能分化の目的であり、介護過程の内容としては不適切となります。
  4. ×
    利用者に対しての過程のため、家族の介護負担の軽減は選択肢としては不適切となります。

  5. 介護過程では、生活の質の向上・その人らしい生活が求められます。よって、この選択肢が最も適切となります。
解き方のコツ

QOL(生活の質の向上)に関する問題でした。その人らしい生活を求めていくのが介護福祉職であり、その理解が重要となってきます。

問62【解説】

問題文

介護福祉職の情報収集に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 五感を活用した観察を通して情報を集める。
  2. 一つの場面に限定して得られる情報を集める。
  3. 初対面のときから踏み込んで情報を集める。
  4. 興味のある個人情報を集める。
  5. 実践したい支援に沿った情報を集める。

解答&解説

答:① 五感を活用した観察を通して情報を集める。

  1. 目で見えるものや、音、匂いなど様々なものからその人の情報を得る必要があります。 よって、この選択肢が最も適切となります。
  2. ×
    1つの場面だけではなく、様々な場面での情報を得ていくことがその人を知る大きな手がかりとなります。
  3. ×
    初対面の時から踏み込んで情報を集めることもありますが、様々な角度から情報を得ていく必要があります。
  4. ×
    興味があるものだけだと、偏った情報しか得られないため、様々な情報を集めていく必要があります。
  5. ×
    実践したい支援という考え以外で知っていくことにより、よりよい支援が行えることもあります。
解き方のコツ

様々な視点から、情報を得ていく必要があります。個人的な趣味や考えではなく、客観的な情報も重要です。

問63【解説】

問題文

次の記述のうち、介護過程の展開におけるアセスメント(assessment)の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 支援内容を説明して同意を得ること。
  2. 具体的な支援計画を検討すること。
  3. 達成できる目標を設定すること。
  4. 支援の経過を評価すること。
  5. 利用者の生活課題を明確にすること。

解答&解説

答:⑤ 利用者の生活課題を明確にすること。
  1. ×
    アセスメントとは、利用者の課題分析を行い、何を求めているかを正しく知るために行われます。支援内容を説明して同意を得るのは、アセスメントの後になります。
  2. ×
    アセスメントの後に行われる、プランニングと呼ばれるものの説明です。よって、この選択肢は不適切となります。
  3. ×
    目標の設定はアセスメントを行い、達成したい課題を把握してから行われます。
  4. ×
    評価はアセスメントが終わり、支援計画が作成・実施されてから行われます。

  5. より良い生活を送ってもらうために、その妨げになりえる課題を明確にすることがアセスメントの内容となっています。
解き方のコツ

アセスメント・プランニング・モニタリング等といった介護過程の問題は頻出傾向です。それぞれが、どんな役割をもっているのかを理解することが正解への近道になると思います。

問64【解説】

問題文

短期目標の設定に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 介護福祉職の視点で目標を設定する。
  2. 多様な解釈ができる言葉を用いて設定する。
  3. 実現可能な目標を段階的に設定する。
  4. 長期目標とは切り離して設定する。
  5. 最終的に実現したい生活像を設定する。

解答&解説

答:③ 実現可能な目標を段階的に設定する。
  1. ×
    短期目標・長期目標は利用者の視点に沿って設定する必要があります。福祉職の目標を反映するものではありません。
  2. ×
    分かりやすく、目指しやすくなるような言葉を用いて設定する必要があります。

  3. 長期的な目標を達成するまでの段階として、短期目標では実現可能な目標を段階的に設定していきます。
  4. ×
    長期目標を達成するための前段階でもあることから、関連付けた内容である必要があります。よって、この選択肢は不適切です。
  5. ×
    最終的に実現したい生活像は、長期目標で設定する事が望ましいと考えられます。
解き方のコツ

目標を立てるときは、実現可能である必要があります。特に短期目標は、モチベーションを上げるために重要な役割を持っており、手の届き分かりやすいものである必要があります。

問題文

次の事例を読んで、問題65、問題66について答えなさい。

〔事例〕

Mさん(78歳、女性、要介護2)は、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)に入居している。
楽しみは、お風呂に入って肩までつかることである。身体機能に問題はない。短期目標を、「見守りのもと、一人で入浴する(3か月)」と設定し、順調に経過していた。
1か月が過ぎた頃、朝の申し送りで「Mさんが昨日浴室を出ようとしたときに足を滑らせたが、転倒はしなかった。念のため受診したが問題はなかった」と報告があった。その日の夕方、介護福祉職が入浴に誘うと「行きたくない」と強い口調で断った。それから1週間入浴していないことを心配した介護福祉浴が居室を訪ねて、安全に入浴できるように良く室内を整えたことを伝えた。しかし、Mさんは、「怖いから」と小声で言った。

問65【解説】

問題文

Mさんの再アセスメントに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 順調に経過していたときの状況を分析する。
  2. 「怖いから」という思いを解釈する。
  3. 入浴を断られた介護福祉職の思いを理解する。
  4. 入浴時間の変更を検討する必要があると判断する。
  5. 入浴を面倒に思っていると判断する。

解答&解説

答:② 「怖いから」という思いを解釈する。
  1. ×
    入浴が好きだったMさんが、入浴を拒否し始めていることから、順調に経過していた時の状況よりも、今のMさんの状況や心情を知る必要があります。

  2. 足を滑らせたこと日から入浴を怖がっていること、本人が怖いからと言っていることが、現在の状況に繋がっているため、再アセスメントではその心情を理解する必要があります。
  3. ×
    アセスメントでは、介護福祉職の思いを理解することが目的ではないため、選択肢としては不適切です。
  4. ×
    入浴自体を怖がっていることから、時間の変更を検討するのは内容としては不適切です。
  5. ×
    「怖いから」と言っていることから、面倒になったわけではないと考えられます。
解き方のコツ

再アセスメントでは、現状での課題を明るみにする必要があり、今の本人の心情を理解することが重要です。

問66【解説】

問題文

再アセスメントによって見直した支援の方向性として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 湯船につかる自信を取り戻す支援
  2. 浴室内の移動の不安を取り除く支援
  3. 浴室まで安全に移動できる支援
  4. 足浴で満足感を得ることができる支援
  5. 身体機能を改善する支援

解答&解説

答:② 浴室内の移動の不安を取り除く支援
  1. ×
    自信の喪失も考えられますが、入浴自体を怖がっている事から、この選択肢では不適切です。

  2. 浴室内で足を滑らせ、不安を持ったと考えられるため、移動の不安を取り除く支援が適切だと考えられます。
  3. ×
    浴室内で足を滑らせたことが不安につながっており、浴室までの移動の支援はこの問題では重要ではないと考えられます。
  4. ×
    入浴自体は好きであり、身体機能に問題もないことから、足浴への支援の切り替えは適切ではありません。
  5. ×
    身体機能に問題は無いため、再アセスメントの内容としては不適切です。
解き方のコツ

問題65と同様に、利用者の理解の必要性が問われる問題となっている。

問題文

次の事例を読んで、問題67、問題68について答えなさい。

〔事例〕

Aさん(80歳、女性、要介護3)は、パーキンソン病(Parkinson disease)と診断されている。診断後も家業を手伝いながら、地域の活動に参加していた。
半年前からパーキンソン病(Parkinson disease)が悪化し、動作は不安定となったが、「家族に迷惑をかけたくない」と、できることは自分で取り組んでいた。また、主となる介護者である娘に服薬を管理してもらいながら、通所介護(デイサービス)を週3回利用し、なじみの友人と話すことを楽しみにしていた。
最近、通所介護(デイサービス)の職員から娘に、昼食時にむせることが多く食事を残していること、午後になると、「レクリエーションには参加したくない」と落ち着かない様子になることが報告された。

問67【解説】

問題文

介護福祉職がAさんについて、主観的に記録したものを1つ選びなさい。

  1. パーキンソン病(Parkinson disease)と診断されている。
  2. 帰宅願望から、レクリエーションの参加を拒否した。
  3. 「家族に迷惑をかけたくない」と話し、できることは自分で行っていた。
  4. 週3回、通所介護(デイサービス)を利用している。
  5. 昼食時にむせることが多く、食事を残していることを娘に報告した。

解答&解説

答:② 帰宅願望から、レクリエーションの参加を拒否した。
  1. ×
    介護福祉職の主観ではなく、医師による診断からの情報なので誤りです。

  2. 帰宅願望があるということを介護福祉職が主観で理解し記録しているため、この問題が適切です。
  3. ×
    本人からの視点、介護福祉職以外からの客観的な視点のため、こちらの選択肢は不適切となります。
  4. ×
    客観的な事実・情報のため、介護福祉職の主観的な情報でないため誤りです。
  5. ×
    上記同様、客観的な事実・情報となります。
解き方のコツ

客観的な情報、主観的な情報の違いを理解することが、この問題の正解への道となっていました。介護職として分かりえないことは客観的な情報・事実である場合が多いと考えられます。

問68【解説】

問題文

その後、娘が腰痛を発症し、Aさんは短期入所生活介護(ショートステイ)を利用することになった。
次の記述のうち、短期入所生活介護(ショートステイ)におけるAさんの生活課題として、最も優先すべきものを1つ選びなさい。

  1. 食事を安全に摂取できること。
  2. 服薬の管理ができること。
  3. 通所介護(デイサービス)の利用を再開できること。
  4. なじみの友人が出来ること。
  5. 地域の活動に参加できること。

解答&解説

答:① 食事を安全に摂取できること。

  1. 食事でむせること、残すことが多いことから、最も優先すべき課題はこの選択肢になると考えられます。
  2. ×
    服薬の管理は娘が行っていましたが、生活課題として優先されるものではありません。よって、この選択肢は不適切です。
  3. ×
    結果的に利用の再会を目指す場合もあり得ますが、通所介護を再開することは、課題とはなりません。
  4. ×
    自信で地域の活動の積極的に参加していたこともあり、なじみの友人を作ることを優先とするのは不適切だと考えられます。
  5. ×
    上記同様で、まずは自身のADLの低下を防ぐための生活課題を優先すべきだと考えられます。
解き方のコツ

ストレングス(その人の強み)を理解する必要があります。すでにできていることを目標とせず、不安定であったり、助力によってできることを課題として取り合えるのが望ましいのではないかと考えられます。

発達と老化の理解(問69~76)

問69【解説】

問題文

Aさん(小学4年生、男性)は、思いやりがあり友人も多い。図画工作や音楽が得意で落ち着いて熱心に取り組むが、苦手な科目がある。特に国語の授業のノートを見ると、黒板を書き写そうとしているが、文字の大きさもふぞろいで、一部の漢字で左右が入れ替わっているなどの誤りが多く見られ、途中で諦めた様子である。親子関係や家庭生活、身体機能、就学時健康診断などには問題がない。
Aさんに当てはまる状態として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)
  2. 愛着障害
  3. 注意欠陥多動性障害
  4. 学習障害
  5. 知的障害

解答&解説

答:④ 学習障害
  1. ×
    自閉症スペクトラム障害は、コミュニケーションの問題や、対人関係の特異性が見られる障害です。親子関係・友人も多いことから、不適切となります。
  2. ×
    愛着障害は、親と子の愛着が生まれずに起こってしまう障害です。親子関係・家庭生活は良好のため、不適切となります。
  3. ×
    注意欠陥多動性障害は、落ち着かなくなってしまうことが多くみられる障害です。落ち着いて授業を受けている様子から、考えにくいと思われます。

  4. 文字の大きさを均一に保てないこと、授業に取り組もうとするが集中しきれていない様子から、学習障害であると考えられます。
  5. ×
    コミュニケーション・家庭生活で問題はなく、知的障害ではないと考えられるため、この選択肢は不適切です。
解き方のコツ

障害における理解度が問われた問題でした。障害によって妨げになることを理解することが、正解へ道となります。

問70【解説】

問題文

医療や福祉の法律での年齢に関する記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 35歳の人は、老人福祉施設に入所できる。
  2. 50歳の人は、介護保険の第一号被保険者である。
  3. 60歳の人は、医療保険の前期高齢者である。
  4. 70歳の人は、介護保険の第二号被保険者である。
  5. 75歳の人は、後期高齢者医療の被保険者である。

解答&解説

答:⑤ 75歳の人は、後期高齢者医療の被保険者である。
  1. ×
    特例として60歳以上、原則として65歳以上が入所の対象となっているためこの選択肢は誤りとなります。
  2. ×
    介護保険の第一号被保険者は65歳以上となります。よって、この選択肢は誤りです。
  3. ×
    前期高齢者の対象は、64歳から74歳となっています。よって、この選択肢は誤りです。
  4. ×
    40歳から64歳までが第二号被保険者の対象となり、70歳は第一号被保険者となります。

  5. 75歳から後期高齢者の被保険者となるため、この選択肢が正解です。
解き方のコツ

介護保険・医療保険の年齢によってどの被保険者となるのか、施設の基本的な要件を理解していく必要があります。

問71【解説】

問題文

高齢期の喪失体験と悲嘆に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 喪失体験とは、加齢に伴う身体機能の低下のことである。
  2. 悲嘆過程とは、病的な心のプロセスのことである。
  3. 死別後の悲嘆からの回復には、喪失に対する心理的対処だけでなく生活の立て直しへの対処も必要である。
  4. ボウルビィ(Bowlby. J.)によれば、悲嘆過程には順序性はない。
  5. 身近な人との死別後に生じる病的悲嘆への支援では、亡くなった人への愛着をほかに向けることを目標にする。

解答&解説

答:③ 死別後の悲嘆からの回復には、喪失に対する心理的対処だけでなく生活の立て直しへの対処も必要である。
  1. ×
    喪失体験は、身近な人や親族・生き物との死別や関りがなくなったことによりおこるもので、加齢に伴う身体機能の低下ではありません。
  2. ×
    必然的なものであり、病的な心のプロセスではありません。よって、この選択肢は誤りです。

  3. 身体的な低下を防ぐため、心理的な対処だけではなく、生活面に目を向ける必要があります。
  4. ×
    ボウルビィは、悲観過程に順序性が生じると唱えており、誤りとなります。
  5. ×
    愛着を他のものに向けることも方法としては考えられますが、目標にするべきではありません。よって、この選択肢は誤りです。
解き方のコツ

喪失体験とは、心理的なものから身体的に繋がっていくものです。病気ではないことを理解する必要があります。

問72【解説】

問題文

加齢による味覚の変化に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 味蕾の数に年齢による違いはない。
  2. 服用する薬剤で味覚が変化することはない。
  3. 唾液が増加して味覚が敏感になる。
  4. 濃い味を好むようになる。
  5. 口腔ケアは関係ない。

解答&解説

答:④ 濃い味を好むようになる。
  1. ×
    味蕾の数は年齢によって減少する傾向があり、加齢による味覚の変化の原因となりえます。
  2. ×
    薬の副作用によって味覚が変化することもあり、この選択肢は誤りです。
  3. ×
    唾液は年齢によって減少する傾向があり、それに伴って味覚も低下する原因となります。よって、この選択肢は誤りです。

  4. 味覚が減少し、濃い味を好むようになる可能性は考えられます。よって、この選択肢が適切です。
  5. ×
    口腔ケアによって清潔を保つことは、味覚を維持する重要な要因となります。
解き方のコツ

加齢による身体機能の低下、それによって何が起こりえるのかを理解することが重要です。

問73【解説】

問題文

意欲が低下した高齢者の動機づけに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 高い目標を他者が掲げると、動機づけが強まる。
  2. 本人が具体的に何をすべきかが分かると、動機づけが強まる。
  3. 本人にとって興味がある目標を掲げると、動機づけが弱まる。
  4. 小さな目標の達成を積み重ねていくと、動機づけが弱まる。
  5. 本人が自分にもできそうだと思う目標を掲げると、動機づけが弱まる。

解答&解説

答:② 本人が具体的に何をすべきかが分かると、動機づけが強まる。
  1. ×
    動機づけは、自身で分かりやすく、達成しやすいものを目標にすると高まりやすいとされています。

  2. 本人が理解し、イメージがつき、手が届くものを目標とすると動機づけが高まると考えらえます。
  3. ×
    本人にとって興味があるものであれば、動機づけが高まると考えらます。よって、この選択肢は誤りです。
  4. ×
    小さな目標を達成し重ねていくことで自己肯定感、自信が付き、動機づけは高まると考えれます。
  5. ×
    自分でできる目標にすることによって、動機づけは高まっていきます。
解き方のコツ

動機づけは、分かりやすく、手の届く範囲である必要があります。

問74【解説】

問題文

高齢者の便秘に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 大腸がん(colorectal cancer)は、器質性便秘の原因になる。
  2. 弛緩性便秘はまれである。
  3. けいれん性便秘では、大きく柔らかい便がでる。
  4. 直腸性便秘は便が直腸に送られてこないために起こる。
  5. 薬剤で、便秘になることはまれである。

解答&解説

答:① 大腸がん(colorectal cancer)は、器質性便秘の原因になる。

  1. 大腸がんによって、器質性便秘が生じることがあります。したがって、この選択肢が適切となります。
  2. ×
    高齢者の大腸の蠕動運動が弱まり、弛緩性便秘となることはまれではありません。
  3. ×
    けいれん性便秘は、自律神経の緊張により大腸がけいれんして便の通貨が遅くなり、固い便が出やすい傾向にあります。
  4. ×
    直腸性便秘は、便が直腸に送り出されているのに便意を感じないために生じてしまう便秘のため、この選択肢は誤りです。
  5. ×
    薬の副作用で便秘になることはまれではなく、よく考えられる可能性のために誤りです。
解き方のコツ

がんによる便秘や、便秘の種類も理解していく必要があります。特に、身体機能の低下に伴う便秘を理解することが、正解への一歩となるのではないかと思われます。

問75【解説】

問題文

高齢者の転倒に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 介護が必要になる原因は、転倒による骨折(fracture)が最も多い。
  2. 服用する薬剤と転倒は、関連がある。
  3. 転倒による骨折(fracture)の部位は、足首が最も多い。
  4. 転倒の場所は、屋内では浴室が最も多い。
  5. 過去に転倒したことがあると、再度の転倒の危険性は低くなる。

解答&解説

答:② 服用する薬剤と転倒は、関連がある。
  1. ×
    介護が必要となる原因として、最も多いのは認知症となっています。次いで脳血管疾患、高齢による衰弱、その次に骨折となります。

  2. 眠気や体の怠さを引き起こす副作用のある服用によって転倒に繋がるといったことは大いに考えられます。
  3. ×
    転倒による骨折の部位は、大腿骨近位部(太ももの付け根)が多く、寝たきりになるなど社会的な問題にもなっています。
  4. ×
    転倒の場所で多いのは居室・リビングであり、この選択肢は誤りとなっています。
  5. ×
    過去に転倒したことがあると、再度転倒が生じてしまうリスクを無くさない限り、危険性は高まると考えられます。
解き方のコツ

骨折の部位や場所は、統計として発表されています。基本的に順位は変わりませんが、チェックすると理解しやすいのではないでしょうか。

問76【解説】

問題文

高齢者の糖尿病(diabetes mellitus)に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

  1. アミラーゼ(amylase)の作用不足が原因である。
  2. ヘモグロビンA1c(HbA1c)の目標値は、若年者に比べて低めが推奨される。
  3. 若年者に比べて高血糖の持続による口渇感が強い。
  4. 運動療法は避けたほうがよい。
  5. 若年者に比べて低血糖の自覚症状に乏しい。

解答&解説

答:⑤ 若年者に比べて低血糖の自覚症状に乏しい。
  1. ×
    糖尿病の原因はインスリンの作用不足です。アミラーゼとは糖質を分解して糖にする消化酵素のことです。よって誤りです。
  2. ×
    年齢が若くなるほどHbA1cの目標値が低くなるため、誤りです。
  3. ×
    高齢者は若年者に比べて、喉の渇きを感じにくいため、高血糖の症状が非定型的であると言われます。よって誤りです。
  4. ×
    糖尿病患者の多くは2型糖尿病と言われ、生活習慣の乱れが原因です。運動療法は高血糖の改善や合併症の予防に有効となるため、誤りです。

  5. 加齢とともに低血糖の典型的症状が弱まり、非典型的な症状が出やすくなるため、自覚することが困難になります。

認知症の理解(問77~86)

問77【解説】

問題文

うつ病(depression)による仮性認知症(pseudodementia)と比べて認知症(dementia)に特徴的な事柄として、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 判断障害がみられることが多い。
  2. 不眠を訴えることが多い。
  3. 誇張して訴えることが多い。
  4. 希死念慮がみられることが多い。
  5. 抗うつ薬が効果的であることが多い。

解答&解説

答:① 判断障害がみられることが多い。

  1. 一度に複数のことを理解したり、行動したりすることが困難になるのは、認知症の中核症状です。
  2. ×
    不眠は仮性認知症の症状であり、認知症は進行すると昼夜逆転が生じます。よって誤りです。
  3. ×
    誇張的な訴えが増えるのは仮性認知症の症状であり、認知症は訴えが少なく、無関心または取り繕う傾向があります。よって誤りです。
  4. ×
    気力の低下や気分の落ち込みによって、希死念慮が見られるのは仮性認知症の症状であるため、誤りです。
  5. ×
    仮性認知症は高齢者のうつ病に認められる状態であるため、抗うつ薬が効果的です。よって誤りです。

問78【解説】

問題文

日本における認知症(dementia)の原因のうち、アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)の次に多い疾患として、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 血管性認知症(vascular dementia)
  2. 前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia)
  3. 混合型認知症(mixed type dementia)
  4. レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)
  5. アルコール性認知症(alcoholic dementia)

解答&解説

答:① 血管性認知症(vascular dementia)

  1. 脳の血管が詰まったり、破れたりすることで脳の機能が低下する認知症で、アルツハイマー型認知症に次いで高い割合を占めています。
  2. ×
    脳の中の前頭葉と側頭葉の神経細胞が壊れることで、症状が起こる認知症です。割合は数パーセントに留まるため、誤りです。
  3. ×
    一般的にアルツハイマー型認知症と血管性認知症が組み合わさることで生じる認知症です。アルツハイマー型や血管性の認知症と比べるとその割合は少ないため、誤りです。
  4. ×
    脳の広範囲にレビー小体という異常たんぱく質が蓄積することで、神経細胞に影響を与える認知症です。割合は認知症の原因全体のうち、アルツハイマー型や血管性認知症より少ないため、誤りです。
  5. ×
    アルコール依存症や大量飲酒により、脳萎縮を引き起こすことで生じる認知症です。全体の9割を占める4大認知症に含まれないため誤りです。

問79【解説】

問題文

日本での認知症(dementia)に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

  1. アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)以外の認知症(dementia)の患者数が増加している。
  2. アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)の有病率は、男性より女性が高い。
  3. 年齢が若いほど、認知症発症のリスクが高い。
  4. 生活習慣病(life-style related disease)と認知症発症には関連がない。
  5. 運動は認知症予防に無効である。

解答&解説

答:② アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)の有病率は、男性より女性が高い。
  1. ×
    アルツハイマー型認知症の患者数は増加傾向にあるため、誤りです。

  2. アルツハイマー型認知症の患者数は男性より女性の方が多いと言われています。
  3. ×
    認知症の発症リスクは加齢と共に高くなるため、誤りです。
  4. ×
    生活習慣病によって起こる高血圧や糖尿病は、認知症発症の要因となるため関連性は高いです。よって誤りです。
  5. ×
    生活習慣病予防には食事や睡眠を見直すほか、運動が有効であるため誤りです。

問80【解説】

問題文

認知症初期集中支援チームに関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 認知症(dementia)の人は病院への入院や施設への入所をするべきであるという考えに基づいている。
  2. 既に認知症(dementia)の診断を受けている人への支援は含まれない。
  3. 家族への支援は含まれない。
  4. 支援期間は2~3年である。
  5. チーム員会議を開催してケア方針を決定する。

解答&解説

答:⑤ チーム員会議を開催してケア方針を決定する。
  1. ×
    医療と介護の専門職で構成される認知症初期支援チームは、認知症の人に対して初期支援を集中的に行うことで、在宅生活の継続を目的としているため誤りです。
  2. ×
    40歳以上で認知症が疑われる人または認知症の診断を受けている人を対象とするため、誤りです。
  3. ×
    初期集中支援の内容には、家族支援も含まれるため誤りです。
  4. ×
    支援期間は最大6か月とされ、超過する場合は地域包括支援センターに引き継がれるため誤りです。

  5. 初回アセスメント訪問後、支援チームによるチーム員会議の開催によって支援方針が決められます。

問81【解説】

問題文

クロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob disease)に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 有病率は1万人に1人である。
  2. プリオン病である。
  3. 認知症(dementia)の症状は緩やかに進行する場合が多い。
  4. 致死率は低い。
  5. 不随意運動は伴わない。

解答&解説

答:② プリオン病である。
  1. ×
    有病率は年間で100万人に1人と言われているため、誤りです。

  2. 脳に異常なプリオン蛋白が沈着することで、脳神経細胞の機能が損傷を受ける病気で、プリオン病と総称されます。
  3. ×
    多くの場合、発症して数か月のうちに認知症が急速に進行し、寝たきり状態になるため、誤りです。
  4. ×
    寝たきり状態になった後は、全身衰弱や呼吸麻痺、肺炎などが原因で死に至るため、致死率は高いです。よって誤りです。
  5. ×
    行動異常や歩行障害のほか、ミオクローヌスと呼ばれる不随意運動をしばしば認めるため、誤りです。

問82【解説】

問題文

レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 脳梗塞(cerebral infarction)が原因である。
  2. 初発症状は記憶障害である。
  3. けいれんがみられる。
  4. 人格変化がみられる。
  5. 誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)の合併が多い。

解答&解説

答:⑤ 誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)の合併が多い。
  1. ×
    脳梗塞が原因となるのは脳血管性認知症です。レビー小体型認知症の原因は、脳の広範囲にレビー小体という異常たんぱく質が蓄積することであるため、誤りです。
  2. ×
    初期症状で記憶障害が現れるのは、アルツハイマー型認知症です。レビー小体型認知症の初期症状は、うつ症状や嗅覚異常や便秘などです。よって誤りです。
  3. ×
    けいれんは認知症と混同されやすいてんかんの症状です。よって誤りです。
  4. ×
    人格障害は前頭側頭型認知症にみられる症状であるため、誤りです。

  5. 症状が進むにつれて、摂食障害や嚥下機能の低下が起こりやすくなります。それらの原因で誤嚥性肺炎発症のリスクが高くなります。

問83【解説】

問題文

Bさん(80歳、女性、要介護2)は、1年前にアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)の診断を受け、服薬を継続している。同居の息子は日中不在のため、週に3回、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用し、訪問介護員(ホームヘルパー)と共に活発に会話や家事をしていた。不眠を強く訴えることが増えたため、1週間前に病院を受診したときに息子が主治医に相談した。その後、午前中うとうとしていることが多くなり、飲水時にむせることがあった。歩くとき、ふらつくようになったが、麻痺はみられない。バイタルサイン(vital signs)に変化はなく、食欲・水分摂取量も保たれている。
訪問介護員(ホームヘルパー)のBさんと息子への言葉かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 「日中は横になって過ごしたほうがよいでしょう」
  2. 「歩行機能を保つためにリハビリを始めませんか」
  3. 「嚥下障害が起きてますね」
  4. 「処方薬が変更されていませんか」
  5. 「認知症(dementia)が進行したのでしょう」

解答&解説

答:④ 「処方薬が変更されていませんか」
  1. ×
    週に3回訪問介護を利用しており、ヘルパーと共に会話や家事を行うことができています。日中寝て過ごすことを勧めるのは、認知症の進行を進める原因となるため不適切です。
  2. ×
    Bさんに歩行にふらつきが見られるようになったのは、受診後です。以前は活発に活動できていることから、歩行機能の低下がふらつきの原因とは結び付かないため、不適切です。
  3. ×
    Bさんに飲水時のむせは見られていますが、水分摂取量は保たれているため、嚥下障害が起きているとは考えにくいため不適切です。

  4. Bさんは受診後、午前中の傾眠や飲水時のむせ、歩行時のふらつきが見られています。このことから不眠症状を改善するため、睡眠導入剤が医師から処方されている可能性があります。
  5. ×
    受診後のBさんの変化は、午前中の傾眠や飲水時のむせ、歩行時のふらつきだけです。これらはアルツハイマー型認知症の進行によって起こる症状ではありません。よって認知症が進行したとは言えないため、不適切です。

問84【解説】

問題文

認知症(dementia)の原因疾患を鑑別するときに、慢性硬膜下血腫(chronic subdural hematoma)の診断に有用な検査として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 血液検査
  2. 脳血流検査
  3. 頭部CT検査
  4. 脳波検査
  5. 認知機能検査

解答&解説

答:③ 頭部CT検査
  1. ×
    硬膜下血腫は脳を包む硬膜と脳の表面との間にできます。血液検査では血腫の有無は確認できないため誤りです。
  2. ×
    脳血流検査は、認知症の原因の調査のために血流の低下部分を調べるための検査です。血腫の有無は確認できないため誤りです。

  3. 頭部CT検査で撮影された画像によって、硬膜下に血腫ができていないか調べることができます。CT検査のほか、MRI検査を行う場合もあります。
  4. ×
    脳波検査はてんかんや意識障害、けいれん発作などの診断時に行われる検査です。血腫の有無は確認できないため誤りです。
  5. ×
    認知機能検査は、満70歳以上の高齢者が運転免許の更新時に受ける検査です。記憶力や判断力の低下について調べるための検査であるため、誤りです。

問85【解説】

問題文

認知症(dementia)に伴う注意障害に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 周囲から物音が聞こえてくると、食事を中断したままになる。
  2. 毎日、同じ時間に同じ行動をする。
  3. 旅行の計画を立てることが難しい。
  4. 話そうとすることを言い間違える。
  5. 介護職員から説明を受けたことを覚えていない。

解答&解説

答:① 周囲から物音が聞こえてくると、食事を中断したままになる。

  1. 注意障害とは覚醒し、注意を向けて集中し、それを維持することができない状態を指します。音に気を取られて食事を中断したままになるのは、注意障害にあたります。
  2. ×
    前頭側頭型認知症の症状で、常同行動に関する内容であるため、誤りです。
  3. ×
    計画を立てて順序良く物事を行うことができない実行機能障害に関する内容であるため、誤りです。
  4. ×
    音声や文字などの言語情報の機能が失われた失語に関する内容であるため、誤りです。
  5. ×
    数分前に見聞きしたことが覚えられない記憶障害に関する内容であるため、誤りです。

問86【解説】

問題文

Cさん(87歳、男性、要介護5)は、重度のアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)である。現在、介護老人福祉施設に入所しているが終末期の状態にある。できる限り経口摂取を続けてきたが、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)(aspiration pneumonia)を繰り返し、経口摂取が困難となった。臥床状態(がしょうじょうたい)が続き、声かけに対する反応も少なくなっている。医師から、「死が極めて近い状態である」と伝えられた。
施設で看取(みと)ることになっているCさんへの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 離床している時間をつくる。
  2. 会話によって本人の希望を聞く。
  3. 事前指示書を作成する。
  4. 苦痛があるかないか、状態を観察する。
  5. 本人の好きな食事を用意する。

解答&解説

答:④ 苦痛があるかないか、状態を観察する。
  1. ×
    離床することは、終末期で経口摂取が困難なCさんにとって苦痛であると考えられるため、不適切です。
  2. ×
    声かけに対する反応が少なくなっていることから、Cさんは会話することも苦痛であると考えられるため、不適切です。
  3. ×
    事前指示書とは、判断能力を失う前に自分に行われる医療行為や意向を意思表示するための文書のことです。Cさんが終末期に入る前に必要なことであるため、不適切です。

  4. Cさんの状態を観察し、必要に応じて苦痛を緩和することが最重要です。
  5. ×
    誤嚥性肺炎を繰り返し、経口摂取が困難なCさんへの対応として不適切です。

障害の理解(問87~96)

問87【解説】

問題文

ICF(International Classification of Functioning、 Disability and Health:国際生活機能分類)の社会モデルに基づく障害のとらえ方に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 個人の問題としてとらえる。
  2. 病気・外傷から直接的に生じる。
  3. さまざまな環境との相互作用によって生じる。
  4. 治療してできるだけ回復させることを目的とする。
  5. 医療などによる援助を必要とする。

解答&解説

答:③ さまざまな環境との相互作用によって生じる。
  1. ×
    個人だけでなく、個人と環境の因子によって成り立っているため、誤りです。
  2. ×
    病気や外傷だけでなく、活動や社会参加のような環境因子による障害も生じると考えられているため、誤りです。

  3. 生活機能モデルを共通の考えかたとして、さまざまな専門分野や異なった立場の人々の共通認識に役立つことを目指しています。
  4. ×
    ICFは障害があっても生活できるように環境の整備を目指しています。治療・回復を目的としているわけではないため、誤りです。
  5. ×
    医療的援助に頼らない生活機能の改善を目指しているため、誤りです。

問88【解説】

問題文

リハビリテーションに関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 語源は、「再び適したものにすること」である。
  2. ニィリエ(Nirje. B.)によって定義された。
  3. 医療の領域に限定されている。
  4. 自立生活運動とは関係がない。
  5. 機能回復訓練は社会的リハビリテーションである。

解答&解説

答:① 語源は、「再び適したものにすること」である。

  1. リハビリテーションは、re:「再び」とhabilitation:「適した」とを合わせた言葉で、「再び適合させる」という意味です。
  2. ×
    ニィリエが定義したのは、ノーマライゼーションであるため誤りです。
  3. ×
    基本的な日常動作や、社会生活を営むために物を持ったり歩いたりすることもリハビリテーションに含まれるため、誤りです。
  4. ×
    自立生活運動とは、障害者が地域で生活をするための制度や差別や偏見をなくす社会を創りかえる運動で、リハビリテーションの定義に当てはまります。よって誤りです。
  5. ×
    社会的リハビリテーションとは機能回復訓練ではなく、障害者の生活障害について整理・確認し、問題解決のための援助を行う事を指します。よって誤りです。

問89【解説】

問題文

「Nothing about us without us(私たち抜きに私たちのことを決めるな)」の考え方のもとに、障害者が作成の段階から関わり、その意見が反映されて成立したものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 優生保護法
  2. 国際障害者年
  3. 知的障害者福祉法
  4. 身体障害者福祉法
  5. 障害者の権利に関する条約

解答&解説

答:⑤ 障害者の権利に関する条約
  1. ×
    優生保護法とは、1948年から1996年まで存在した、優生学的断手術、中絶、避妊を合法化した法律です。障害者の尊厳を無視された内容であったため、誤りです。
  2. ×
    国際障害者年とは、国際連合が指定した国際年の一つで障害者の社会生活保障・参加のための国際的努力の推進を目的としています。しかし、作成段階から障害者が関わったものではないため、誤りです。
  3. ×
    知的障害者福祉法とは、社会福祉六法のひとつで知的障害のある方の自立と社会経済活動への参加を促進するため、必要な援助や保護を行うことを定めた法律です。作成段階から障害者が関わったものではないため、誤りです。
  4. ×
    身体障害者福祉法は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律です。作成段階から障害者が関わったものではないため、誤りです。

  5. 障害者の権利に関する条約は、障害を持つ人が障害のない人と同じように生活することができるようになる事を目的に策定されました。特徴として、制定の家庭に障害当事者をはじめとする障害者団体が参画していることが挙げられます。

問90【解説】

問題文

Dさん(31歳、男性)は、脊髄損傷(spinal cord injury)による対麻痺で、リハビリテーションのため入院中である。車いすでの日常生活動作(Activities of Daily Living:ADL)は自立したが、退院後自宅で生活するときに、褥瘡が生じないか心配している。
Dさんの褥瘡が発生しやすい部位として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 頭部
  2. 上腕部
  3. 背部
  4. 腹部
  5. 坐骨結節部(ざこつけっせつぶ)

解答&解説

答:⑤ 坐骨結節部(ざこつけっせつぶ)
  1. ×
    車いすでの日常生活動作が自立とあるため、頭部に褥瘡が発生することはないため、誤りです。
  2. ×
    ①と同様の理由で、上腕部に褥瘡が発生することはないため誤りです。
  3. ×
    車いす上では、体の中心部にもっとも重心がかかるため、背部に褥瘡が発生する確率は比較的低いです。よって誤りです。
  4. ×
    ①と同様の理由で、腹部に褥瘡が発生することはないため誤りです。

  5. 車いすでの生活動作を行う上で、体の中心部にもっとも重心が掛かるため、褥瘡が発生しやすくなります。

問91【解説】

問題文

脊髄の完全損傷で、プッシュアップが可能となる最上位のレベルとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 頸髄(C1~C3)
  2. 頸髄(C7)
  3. 胸髄
  4. 腰髄
  5. 仙髄

解答&解説

答:② 頸髄(C7)
  1. ×
    頚髄(C1~C3)はプッシュアップ可能ですが、最上位レベルではないため誤りです。

  2. 脊髄の完全損傷とあるため、頚髄以下の機能は麻痺しています。よってプッシュアップ可能な最上レベル位はC7となります。
  3. ×
    胸髄は脊柱の完全損傷により、機能が麻痺しているためプッシュアップ不可です。よって誤りです。
  4. ×
    腰髄は脊柱の完全損傷により、機能が麻痺しているためプッシュアップ不可です。よって誤りです。
  5. ×
    仙髄は脊柱の完全損傷により、機能が麻痺しているためプッシュアップ不可です。よって誤りです。

問92【解説】

問題文

筋ジストロフィー(muscular dystrophy)の病態について、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 網膜が変性する。
  2. 運動神経が変性する。
  3. 自己免疫が原因である。
  4. 中脳の黒質が病変部位となる。
  5. 筋線維に変性が生じる。

解答&解説

答:⑤ 筋線維に変性が生じる。
  1. ×
    網膜が変性するのは網膜色素変性症の特徴であるため、誤りです。
  2. ×
    運動神経が変性するのは筋萎縮性側索硬化症(ALS)の特徴であるため、誤りです。
  3. ×
    自己免疫が原因となるのは自己免疫疾患であり、筋ジストロフィーは含まれないため、誤りです。
  4. ×
    中脳の黒質が病変部位となるのはパーキンソン病の特徴であるため、誤りです。

  5. 筋ジストロフィーとは、筋線維の破壊・変性と再生を繰り返しながら、次第に筋萎縮と筋力低下が進行していく遺伝性筋疾患の総称です。2015年に難病指定されています。

問93【解説】

問題文

「障害者虐待防止法」の心理的虐待に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 身体に外傷が生じるおそれのある暴行を加えること。
  2. わいせつな行為をすること。
  3. 著しい暴言、または著しく拒絶的な対応を行うこと。
  4. 衰弱させるような著しい減食、または長時間の放置を行うこと。
  5. 財産を不当に処分すること。

「障害者虐待防止法」とは、「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。

解答&解説

答:③ 著しい暴言、または著しく拒絶的な対応を行うこと。
  1. ×
    身体的虐待に相当するため、誤りです。
  2. ×
    性的虐待に相当するため、誤りです。

  3. 暴言や拒絶的な対応は心理的虐待に相当します。
  4. ×
    放置・放任(ネグレクト)に相当するため、誤りです。
  5. ×
    経済的虐待に相当するため、誤りです。

問94【解説】

問題文

心臓機能障害のある人に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 塩分の制限は必要としない。
  2. 呼吸困難や息切れなどの症状がみられることが多い。
  3. 日常生活で外出を避けるべきである。
  4. ペースメーカーの装着者は、身体障害者手帳の交付対象から除外される。
  5. 精神的なストレスの影響は少ない。

解答&解説

答:② 呼吸困難や息切れなどの症状がみられることが多い。
  1. ×
    塩分の摂りすぎにより、体内の水分量が増えて水分が心臓に負担をかけるため、塩分制限が必要です。よって誤りです。

  2. 軽度症状として呼吸困難や息切れのほか、手足の冷えや動機、足のむくみなどが日常的にみられます。
  3. ×
    持久力や筋力の低下は心臓機能の低下につながるため、散歩などの軽い運動は必要です。よって誤りです。
  4. ×
    ペースメーカー等への依存度や日常生活活動の制限の程度によって、等級別に身体障害者手帳の交付を受けることができます。よって誤りです。
  5. ×
    精神的なストレスは心臓機能障害の引き金となるため、誤りです。

問95【解説】

問題文

発達障害のEさん(5歳、男性)の母親(28歳)は、Eさんのことを一生懸命に理解しようと頑張っている。しかし、うまくいかないことも多く、子育てに自信をなくし、どうしたらよいのかわからずに一人で悩んでいる様子が見られる。
母親への支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 現状を受け入れるように説得する。
  2. 一時的な息抜きのために、レスパイトケアを紹介する。
  3. 同じ立場にあるペアレント・メンターを紹介する。
  4. Eさんへの発達支援を強化するように勧める。
  5. 介護支援専門員(ケアマネジャー)を紹介する。

解答&解説

答:③ 同じ立場にあるペアレント・メンターを紹介する。
  1. ×
    現状を受け入れられなくて悩んでいる母親に、現状を受け入れるように説得するのは明らかに不適切です。
  2. ×
    Eさんの母親に必要なのは一時的な休息ではなく、悩みの相談窓口であるため、レスパイトケアの紹介は不適切です。

  3. ペアレント・メンターとは発達障害の子育てを経験し、トレーニングを受けた親のことです。ペアレント・メンターの支援を受けることがもっとも望ましいです。
  4. ×
    Eさんを理解しようと努めている母親に対して、発達支援を強化させるのは家族に対する配慮が足りないため、不適切です。
  5. ×
    まず、心理的ケアやカウンセリングを行うことが優先であるため、ケアマネージャーの紹介は不適切です。

問96【解説】

問題文

「2016年(平成28年)生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」(厚生労働省)における身体障害者手帳所持者の日常的な情報入手手段として、最も割合が高いものを1つ選びなさい。

  1. 家族・友人・介助者
  2. パソコン
  3. 携帯電話
  4. テレビ
  5. ラジオ

解答&解説

答:④ テレビ
  1. ×
    家族・友人・介助者が近くに居る時でもテレビが付いていることが多く、情報入手手段としてはテレビの方が上回っています。よって誤りです。
  2. ×
    パソコンは個人情報流出のリスクや機器や通信費用が高いという理由で、テレビより利用が少ない結果となりました。よって誤りです。
  3. ×
    携帯電話は聴覚や肢体に障害を持った人の利用が低い結果となりました。よって誤りです。

  4. 視覚・聴覚・肢体のいずれかに障害があっても、情報を得られることからテレビが身体障害者の情報入手手段として一番利用されていると考えられます。
  5. ×
    ラジオは聴覚障害のある人の利用が極端に低い結果となりました。よって誤りです。

こころとからだのしくみ(問97~108)

問97【解説】

問題文

心的外傷後ストレス障害(posttraumatic stress disorder:PTSD)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 原因となった体験が繰り返し思い起こされる。
  2. 1か月以内で症状は治まる。
  3. 小さな出来事が原因となる。
  4. 被害妄想を生じる。
  5. 気分が高ぶる。

解答&解説

答:① 原因となった体験が繰り返し思い起こされる。

  1. PTSDとは、強烈なショック体験や極端な精神的ストレスがトラウマとなって記憶に残り続けることです。
  2. ×
    時間が経っても出来事が繰り返し想起されるため、誤りです。
  3. ×
    自然災害や火事、事故、犯罪被害といった非日常的な出来事を体験することが原因となるため、誤りです。
  4. ×
    被害妄想とは、実際に被害はないのに自分に被害や気概が及ぼされていると思いこむことなので、誤りです。
  5. ×
    想起されるのはポジティブな感情ではなく、ネガティブな感情であるため、誤りです。

問98【解説】

問題文

健康な人の体温に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 高齢者の体温は小児より高い。
  2. 早朝の体温が最も高い。
  3. 腋窩温は口腔温より高い。
  4. 体温調節中枢は視床下部にある。
  5. 環境の影響を受けない。

解答&解説

答:④ 体温調節中枢は視床下部にある。
  1. ×
    一般的に高齢者の体温は若い人よりも約0.2度低いとされるため、誤りです。
  2. ×
    人間の体温は一日のうちで早朝が一番低く、夕方が一番高くなるため、誤りです。
  3. ×
    口腔温の方が腋窩温よりも0.3~0.5度高いとされるため、誤りです。

  4. 体温調節中枢は視床下部の視索前野と呼ばれる領域にあります。
  5. ×
    人間の体は気温の変化に伴って体温調節を行うため、誤りです。

問99【解説】

問題文

義歯を使用したときの影響として、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 唾液分泌量が増加する。
  2. 話す言葉が明瞭になる。
  3. 舌の動きが悪くなる。
  4. 口のまわりのしわが増える。
  5. 味覚が低下する。

解答&解説

答:② 話す言葉が明瞭になる。
  1. ×
    義歯の装着がドライマウスの原因となるため、誤りです。

  2. 義歯を装着することで話し言葉が明瞭になります。
  3. ×
    義歯を装着することで、咀嚼能力が向上するため嚥下機能が維持できます。よって誤りです。
  4. ×
    歯茎にあった義歯を装着することで、口の周りのしわが減るため誤りです。
  5. ×
    義歯を装着したことで味覚が低下することはないため、誤りです。

問100【解説】

問題文

1週間の安静臥床で筋力は何%程度低下するか、次のうちから最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 1%
  2. 5%
  3. 15%
  4. 30%
  5. 50%

解答&解説

答:③ 15%
  1. ×
    1日で1~3%の筋力低下が起こると言われています。よって誤りです。
  2. ×
    2、3日で約5%の筋力低下が起きるとされています。よって誤りです。

  3. 1週間の安静臥床によって、筋力は10~15%低下します。なお、低下した筋力を取り戻すには1か月かかると言われています。
  4. ×
    2週間で約30%低下すると言われています。よって誤りです。
  5. ×
    3~5週間では約50%まで低下するとされています。よって誤りです。

問101【解説】

問題文

栄養素の働きに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

  1. たんぱく質は、最大のエネルギー源となる。
  2. ビタミンD(vitamin D)は、糖質をエネルギーに変える。
  3. カリウム(K)は、骨の形成に関わる。
  4. ビタミンB1(vitamin B1)は、カルシウム(Ca)の吸収に関わる。
  5. ナトリウム(Na)は、血圧の調節に関わる。

解答&解説

答:⑤ ナトリウム(Na)は、血圧の調節に関わる。
  1. ×
    三大栄養素(糖質、たんぱく質、脂質)のうち、最大のエネルギー源となるのは脂質である。
  2. ×
    ビタミンDは、骨を丈夫にする働きがあり、腸管からのカルシウムの吸収を促進する。
  3. ×
    カリウム(K)は、筋肉や血液などに含まれ、体液の浸透圧をコントロールする役割がある。
  4. ×
    ビタミンB1は、糖質の代謝を助ける働きがある。

  5. ナトリウム(Na)は浸透圧の調節をする働きがあり、血圧の調節に関わる。
解き方のコツ

栄養素の働きに関する問題は、試験に出やすい分野である。5大栄養素の働きを熟知しておくことが必要である。

問102【解説】

問題文

Fさん(80歳、女性)は、普段の食事は自立している。日常生活では眼鏡がないと不自由である。ある日、いつもより食事に時間がかかっていた。介護福祉職が確認したところ、Fさんは、「眼鏡が壊れて使えなくなってしまった」と答えた。
食事をとるプロセスで、Fさんが最も影響を受ける段階として、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 先行期
  2. 準備期
  3. 口腔期
  4. 咽頭期
  5. 食道期

解答&解説

答:① 先行期

  1. 眼鏡がないことで、目で見て食べ物を認識するプロセスに影響を受ける。
  2. ×
    準備期とは、目で見て認識した食べ物を口に入れ、咀嚼する段階であり、顎や舌、歯の働きが重要である。
  3. ×
    口腔期とは、食物を咽頭に送り込む段階である。
  4. ×
    咽頭期では、嚥下反射により食塊を食道に送り込む。
  5. ×
    眼鏡がないことと、食道の通過障害の関連はない。
解き方のコツ

摂食嚥下障害は、摂食嚥下の一連の動作の5段階のうち、どの段階が障害されているのかを考える必要があり、摂食嚥下の5期を理解しておくことが重要である。

問103【解説】

問題文

入浴(中温浴、38~41℃)の効果に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 脳が興奮する。
  2. 筋肉が収縮する。
  3. 血圧が上昇する。
  4. 腎臓の働きを促進する。
  5. 腸の動きを抑制する。

解答&解説

答:④ 腎臓の働きを促進する。
  1. ×
    副交感神経が優位となり、リラックス効果がある。
  2. ×
    毛細血管への刺激が少なく、浮力効果により筋肉の負担が軽減され、筋肉は弛緩するため誤りである。
  3. ×
    中温浴では血管は拡張し、血圧は低下するため誤りである。

  4. 血液の循環が良くなり腎臓の働きは促進される。
  5. ×
    腸の働きは活発になるため誤りである。
解き方のコツ

入浴は湯温によってその効果に違いがみられるため、それぞれの入浴効果や注意するべきことを理解しておくようにする。

問104【解説】

問題文

Gさん(83歳、女性)は、認知機能は正常で、日常生活は杖歩行で自立し外出もしていた。最近、外出が減ったため理由を尋ねたところ、咳やくしゃみで尿が漏れることが多いため外出を控えていると言った。
Gさんの尿失禁として、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 機能性尿失禁
  2. 腹圧性尿失禁
  3. 溢流性尿失禁
  4. 反射性尿失禁
  5. 切迫性尿失禁

解答&解説

答:② 腹圧性尿失禁
  1. ×
    機能性尿失禁とは、身体機能の低下によりトイレに間に合わない、認知症のためトイレで排泄できないというような、排尿機能には問題がないにも関わらず尿失禁が起こるものである。

  2. 腹圧性尿失禁とは、咳やくしゃみをした時や重いものを持ち上げた場合など、腹圧がかかった時に尿が漏れてしまう尿失禁である。
  3. ×
    溢流性尿失禁とは、尿が出しにくくなる排尿障害の症状が見られ、本人の意思とは関係なく少しずつ尿が漏れ出てしまう尿失禁であり、前立腺肥大や膀胱周囲の神経の障害などで起こる。
  4. ×
    反射性尿失禁とは、膀胱からの尿意が脊髄反射で膀胱括約筋を刺激してしまうことにより起こる尿失禁である。脊髄損傷による下半身麻痺や意識障害などで起こる。
  5. ×
    切迫性尿失禁では、急に尿がしたくなり我慢ができず漏れてしまうため、トイレが近くなる、トイレに駆け込むというような行為が見られる。
解き方のコツ

尿失禁の種類の知識を問う問題であり、尿失禁に関しては出題傾向が高い傾向がある。それぞれの尿失禁の種類やその原因を理解しておくことが必要である。

問105【解説】

問題文

次のうち、便秘の原因として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease)
  2. 経管栄養
  3. 消化管切除
  4. 感染性腸炎(infectious enteritis)
  5. 長期臥床(ちょうきがしょう)

解答&解説

答:⑤ 長期臥床(ちょうきがしょう)
  1. ×
    炎症性腸疾患とは、腸に炎症を起こす自己免疫疾患であり、下痢や血便、腹痛などが見られるため誤り。
  2. ×
    経管栄養の流動食の組成などで機能性便秘を来すこともあるが、最も適切とは言えないため誤り。
  3. ×
    便秘の原因として、最も適切とは言えないため誤り。
  4. ×
    感染性腸炎では下痢を起こすため誤り。

  5. 長期臥床により、大腸のぜん動運動が低下すると、便を送り出しにくくなるため、便秘の原因となる。
解き方のコツ

便秘の原因について問う問題である。便秘の原因や対応の方法を理解しておくようにする。

問106【解説】

問題文

高齢者の睡眠の特徴に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 熟睡感が増加する。
  2. 深睡眠が増加する。
  3. 深夜の睡眠時間が増加する。
  4. 睡眠周期が不規則になる。
  5. 入眠までの時間が短縮する。

解答&解説

答:④ 睡眠周期が不規則になる。
  1. ×
    高齢者の睡眠の特徴の1つとして、ノンレム睡眠の減少があげられ、ノンレム睡眠が減少すると、熟睡感が減少する。
  2. ×
    高齢者は深睡眠が減少する。そのため、少しの物音で覚醒したり、尿意で目が覚めやすくなる。
  3. ×
    高齢者の睡眠の特徴として、夜間の睡眠時間が減少する。

  4. 高齢者の睡眠の特徴として、睡眠周期が不規則になり中途覚醒や早朝覚醒が増える。
  5. ×
    高齢者の睡眠の特徴として、すぐに眠れない入眠障害がみられることがある。
解き方のコツ

高齢者の睡眠では、ノンレム睡眠が減少し、レム睡眠が増加する特徴がある。レム睡眠は急脳が覚醒している状態であり眠りが浅くなる。このことが分かっていると、どのような状態になるかが推測できる。

問107【解説】

問題文

睡眠に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

  1. レム睡眠のときに夢を見る。
  2. レム睡眠から入眠は始まる。
  3. ノンレム睡眠では筋緊張が消失する。
  4. ノンレム睡眠では速い眼球運動がみられる。
  5. 高齢者ではレム睡眠の時間が増加する。

解答&解説

答:① レム睡眠のときに夢を見る。

  1. レム睡眠とは、身体は休んでいるが脳は覚醒している状態であり、レム睡眠時に夢を見る。
  2. ×
    正常な睡眠状態では、入眠はノンレム睡眠から始まる。入眠の始まりの段階はうとうとしている状態で声をかければすぐに目覚めるが、脳の働きは覚醒時に比べて大きく低下している。
  3. ×
    レム睡眠が、脳は働いているが筋緊張が消失し弛緩している状態となり身体は休んでいる状態である。
  4. ×
    レム睡眠は急速眼球運動(Rapid Eye Movement)の頭文字のREMからきている。早い眼球運動が見られるのは、レム睡眠の時である。
  5. ×
    高齢者ではノンレム睡眠の減少がみられるが、全体の睡眠時間は減少するため、レム睡眠の時間は増加しない。
解き方のコツ

高齢者の睡眠の特徴、レム睡眠とノンレム睡眠の時に起こる身体の変化を理解しておく。

問108【解説】

問題文

死斑が出現し始める時間として、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 死後5分以内
  2. 死後20~30分
  3. 死後3時間
  4. 死後8~12時間
  5. 死後48時間

解答&解説

答:② 死後20~30分
  1. ×
  2. ×
  3. ×
  4. ×
解き方のコツ

死斑は血液の流れが止まることによる皮膚に見られる色調の変化であり、死後20~30分で発生し、死後2~3時間で斑点の融合が見られる。死後10時間くらいまでは死斑は固定されないため体位による移動が見られる。

医療的ケア(問109~113)

問109【解説】

問題文

介護福祉職が経管栄養を実施するときに、注入量を指示する者として、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 医師
  2. 看護師
  3. 訪問看護事業所の管理者
  4. 訪問介護事業所の管理者
  5. 介護支援専門員(ケアマネジャー)

解答&解説

答:① 医師
  1. ×
  2. ×
  3. ×
  4. ×
解き方のコツ

介護福祉職が医療的ケアの経管栄養を実施する際には、医師の指示書が必要である。指示書には注入するものの種類、量、注入時間などが書かれており、経管栄養を実施する際に毎回確認をする必要がある。

問110【解説】

問題文

気管粘膜のせん毛運動に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 痰の粘度が高いほうが動きがよい。
  2. 空気中の異物をとらえる運動である。
  3. 反射的に咳を誘発する。
  4. 気管内部が乾燥しているほうが動きがよい。
  5. 痰を口腔の方へ移動させる。

解答&解説

答:⑤ 痰を口腔の方へ移動させる。
  1. ×
    痰の粘度が高いと、気管にへばりつき気管粘膜のせん毛運動の動きが悪くなる。そのため、痰が硬くならないように、体液バランスを整える必要がある。
  2. ×
    呼吸器官の表面の粘膜は分泌物で常に湿った状態になっており、空気中の異物などをとらえて気管や肺の奥深くに入らないようにする働きを持つ。せん毛運動はとらえた異物などを痰として排出しようとする働きである。
  3. ×
    痰の貯留がある場合に、痰を体外へ排出しようと反射的に咳が出る。
  4. ×
    気管内部が乾燥しているとせん毛運動機能が働きにくくなるため、体液バランスのコントロールや加湿が必要である。

  5. 気道粘膜のせん毛は口腔の方向に向かって運動することにより、痰はベルトコンベアーに乗って運ばれるように移動していく。
解き方のコツ

痰を生じて排出するしくみを理解しておく必要がある。痰がどのようにして出来るのか、痰を出しやすくするために、どのようなケアを行うかも合わせて理解しておくと良い。

問111【解説】

問題文

介護福祉職が実施する喀痰吸引で、口腔内と気管カニューレ内部の吸引に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 気管カニューレ内部の吸引では、カニューレの内径の3分の2程度の太さの吸引チューブを使用する。
  2. 気管カニューレ内部の吸引では、滅菌された洗浄水を使用する。
  3. 気管カニューレ内部の吸引では、頸部を前屈した姿勢にして行う。
  4. 吸引時間は、口腔内より気管カニューレ内部のほうを長くする。
  5. 吸引圧は、口腔内より気管カニューレ内部のほうを高くする。

解答&解説

答:② 気管カニューレ内部の吸引では、滅菌された洗浄水を使用する。
  1. ×
    気管カニューレ内部の吸引では、カニューレ内径の2分の1以下の太さの吸引チューブを使用する。

  2. 気管カニューレ内部は原則として病原性の微生物はいない状態であり、洗浄水は滅菌されたものを使用する必要がある。
  3. ×
    気管カニューレ内部の吸引では、気管カニューレ部分が見えやすく清潔にチューブが挿入でき、安楽が保てる姿勢にする。
  4. ×
    気管カニューレ内部の吸引では低酸素を起こしやすいため、吸引時間は口腔吸引よりも短くする必要がある。
  5. ×
    吸引圧は医師の指示に基づき行うが、気管カニューレ内部の吸引では気管の損傷や低酸素状態になるリスクがあるため、吸引圧が口腔内よりも高くすることはない。
解き方のコツ

介護福祉職による喀痰吸引の手順を正しく理解しておく必要がある。あわせて、吸引部位の違いによって異なる点を知っておくようにする。

問112【解説】

問題文

Hさん(80歳、男性)は嚥下機能の低下があり、胃ろうを1か月前に造設して、自宅に退院した。現在、胃ろう周囲の皮膚のトラブルはなく、1日3回の経管栄養は妻と介護福祉職が分担して行っている。経管栄養を始めてから下肢の筋力が低下して、妻の介助を受けながらトイレへは歩いて行っている。最近、「便が硬くて出にくい」との訴えがある。
Hさんに対して介護福祉職が行う日常生活支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 入浴時は、胃ろう部を湯につけないように注意する。
  2. 排泄時は、胃ろう部を圧迫するように促す。
  3. 排便は、ベッド上で行うように勧める。
  4. 経管栄養を行っていないときの歩行運動を勧める。
  5. 栄養剤の注入量を増やすように促す。

解答&解説

答:④ 経管栄養を行っていないときの歩行運動を勧める。
  1. ×
    胃ろう部に感染の兆候がなければ、保護せずにそのまま入浴しても問題はない。
  2. ×
    胃ろう部を圧迫すると、皮膚トラブルなどが生じる恐れがあるため圧迫しないように気をつける必要がある。
  3. ×
    胃ろうを増設していてもADLを制限する必要はなく、通常の日常生活を送ることが可能である。

  4. 経管栄養を行っていない時間以外は通常の生活を送ることが可能であり、歩身体機能の維持・向上のため歩行運動を勧めるようにする。
  5. ×
    栄養剤の注入量は医師が決めるものであり、介護福祉職が量を増やすように促すことはできない。
解き方のコツ

胃ろうを造設しても、基本的には通常の生活を送ることが可能であるため、活動量が減少しADLが低下しないような生活を心がける。ただし、胃ろう部分を圧迫しないような工夫も必要である。

問113【解説】

問題文

経管栄養の実施に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 経管栄養の準備は、石鹸と流水で丁寧に手を洗ってから行う。
  2. 栄養剤は、消費期限の新しいものから使用する。
  3. 胃ろうや腸ろう周囲の皮膚は、注入開始前にアルコール消毒を行う。
  4. カテーテルチップシリンジは、1回使用したら廃棄する。
  5. 口腔ケアは、数日に1回行う。

解答&解説

答:① 経管栄養の準備は、石鹸と流水で丁寧に手を洗ってから行う。

  1. 経管栄養の必要物品を準備する前に必ず石鹸と流水またはアルコール製剤での手洗いを行う。
  2. ×
    栄養剤は期限の早いものから使用するようにする。
  3. ×
    注入前に胃ろうや腸ろうの周囲の皮膚の消毒は必要ない。挿入部は注入液の漏れや分泌物がある時にはぬらしたガーゼなどでやさしくふき取り、通常時は石鹸とぬるま湯で洗浄を行うなどして清潔を保持する。
  4. ×
    カテーテルチップシリンジは1~2週間に1回程度の交換頻度とし、使用後はきれいに洗浄し消毒して十分に乾燥させておく。
  5. ×
    経管栄養を実施している場合は、口腔内で細菌が繁殖しやすくなるため、1日に数回口腔ケアを行うようにする。
解き方のコツ

経管栄養を実施している場合、経管栄養の手順だけでなく準備や後片付けのほか、関連したケアを正しく行う必要があり、何のためにそれをするのかという視点を持ち理解を深めると良い。

総合問題1(問114~116)

総合問題1

次の事例を読んで、問題114から問題116までについて答えなさい。

〔事例〕

Jさん(83歳、女性)は一人暮らしである。人と付き合うのが苦手で、近所付き合いもあまりなく、一人で静かに生活していた。
80歳を過ぎた頃から右膝に痛みが出て、変形性膝関節症(knee osteoarthritis)と診断されたが、近くのスーパーへ買物や、近所の散歩には出かけていた。
1か月ほど前から膝の痛みが悪化し、散歩にも行かなくなった。食事量が減って痩せてきてしまい、一日中、座ってテレビを見て過ごしている。

問114【解説】

問題文

現在のJさんに心配される病態として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. フレイル(frailty)
  2. 不定愁訴
  3. 寛解
  4. 不穏
  5. せん妄(delirium)

解答&解説

答:① フレイル(frailty)

  1. 膝の痛みから閉じこもりがちになることで歩行能力の低下をきたす可能性があり、実際に食事量の減少により体重減少があること、一日中、座ってテレビを見て過ごしており活動量が減少していることから、フレイルの状態に移行することが心配される。
  2. ×
    不定愁訴とは、頭痛や疲労感、不眠などの多岐にわたる主観的な自覚症状があるものの、検査での客観的な所見が見られず、その原因がはっきりしない状態のことを指す。
  3. ×
    寛解とは、病気が治癒したわけではないが症状や検査による所見が治まっている状態を指す。
  4. ×
    不穏とは、行動が活発で興奮して落ち着きがない状態のことを指す。
  5. ×
    せん妄とは、時間や場所が分からなくなるなどの質見当識障害からはじまり、睡眠障害や、幻覚、妄想、錯乱状態をきたす意識障害のことを指す。
解き方のコツ

要介護状態への移行を防止するため起こりえる病態を予測することは重要であり、高齢者が要介護状態になる原因としフレイルがあげられる。医療用語の意味を正しく理解できているかが問われている。

問115【解説】

問題文

Jさんは、食事量は回復したが、膝に痛みがあり、家の中ではつかまり歩きをしていた。要介護認定を受けたところ要支援2と判定され、家の近くの第一号通所事業(通所型サービス)を利用することになった。
通所初日、車で迎えに行くと、Jさんは、「心配だからやっぱり行くのはやめようかしら」と介護福祉職に言い、玄関の前からなかなか動かなかった。
このときの介護福祉職の言葉かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 「急ぎましょう。すぐに車に乗ってください」
  2. 「心配なようですから、お休みにしましょう」
  3. 「歩けないようでしたら、車いすを用意しましょうか」
  4. 「初めてだから心配ですね。私もそばにいるので一緒に行きませんか」
  5. 「Jさんが行かないと、皆さん困ってしまいますよ」

解答&解説

答:④ 「初めてだから心配ですね。私もそばにいるので一緒に行きませんか」
  1. ×
    相手の心情に配慮していない対応は不適切である。
  2. ×
    介護福祉職が独断で計画されているサービスを中止する判断をするのは不適切である。
  3. ×
    不安に感じていることと提案している内容が一致しておらず不適切である。

  4. 相手の心情を受け止め、安心させるようなコミュニケーションは適切である。
  5. ×
    相手を責めるような発言は不適切である。
解き方のコツ

不安を感じている人へのコミュニケーションは、相手の心情や視点に立った対応を念頭におくことが重要である。

問116【解説】

問題文

その後、Jさんは少しずつ回復し、膝の痛みもなく、家の中では何もつかまらずに歩くことができている。一人で散歩に出ようという意欲も出てきた。
Jさんは、介護福祉職にもっと安定して歩けるように練習をしていきたいことや、外出するときは膝の負担を減らすために杖を使用したいと思っていることを話した。
Jさんに合った、杖を使った歩き方として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 杖(左手で持つ)を出す→右足を出す→左足を出す
  2. 杖(右手で持つ)を出す→左足を出す→右足を出す
  3. 杖(左手で持つ)と右足を出す→左足を出す
  4. 杖(右手で持つ)と左足を出す→右足を出す
  5. 杖(左手で持つ)と左足を出す→右足を出す

解答&解説

答:① 杖(左手で持つ)を出す→右足を出す→左足を出す
  1. ×
  2. ×
  3. ×
  4. ×
解き方のコツ

安定した歩行とするためには、杖は健側の手で持ち、杖→患側の足→健側の足の順番に出す。

総合問題2(問117~119)

総合問題2

次の事例を読んで、問題117から問題119までについて答えなさい。

〔事例〕

Kさん(80歳、女性)は夫が亡くなった後、自宅で一人暮らしをしていた。ある日、一人娘のLさんが訪ねると、ごみが散乱しており、冷蔵庫の中には古くなった食材がたくさん入っていた。
変化に驚いたLさんはKさんと病院を受診したところ、認知症(dementia)と診断された。Lさんは、Kさんに家庭的な雰囲気の中で生活をしてほしいと考えた。その結果、Kさんは認知症対応型共同生活介護(グループホーム)を利用することになった。
入居して1週間が経過し、Kさんと関わったM介護福祉職は、Kさんは短期記憶の低下により、最近の出来事については話すことは難しいが、自分が学校に通っていた頃の話や、子どもの頃に歌っていた歌については生き生きと話すことを確認した。

問117【解説】

問題文

M介護福祉職は、Kさんが今持っている認知能力を活用して、ほかの利用者と交流する機会を作りたいと考え、Kさんとほかの利用者に参加してもらう活動を企画することにした。
M介護福祉職が企画した活動の手法として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. リアリティ・オリエンテーション(reality orientation)
  2. ピアカウンセリング(peer counseling)
  3. スーパービジョン(supervision)
  4. 回想法
  5. 社会生活技能訓練

解答&解説

答:④ 回想法
  1. ×
    リアリティー・オリエンテーション(reality orientation)は、「現実見当識訓練」と呼ばれ、認知症の症状である日にちや季節などが分からないというような見当識障害を解消するために行う、日常生活の中に取り入れる訓練である。
  2. ×
    ピアカウンセリング(peer counseling)とは、同じような立場や境遇にある人が、対等な立場で話を聞き合い、支え合いながら解決策を見つけ出していくことである。
  3. ×
    スーパービジョン(supervision)とは、対人援助職者が専門的スキルを向上させることを目的として、スーパーバイザーと呼ばれる指導者と定期的に面接を行い教育・指導を受けることである。

  4. 回想法とは、心理療法の一つで過去の体験や懐かしい思い出を語り合う、誰かに話すことで、脳が活性化され認知症の進行の予防や改善の効果があるとされている。
  5. ×
    社会生活技能訓練とは、精神の障害を持った人が社会生活の中での人との関わりや、より良い人間関係を維持する技能を身につけるために行われるものである。
解き方のコツ

様々な場面に適した面接技法やコミュニケーションの手法がある。それぞれの特徴や名称を理解しておく。

問118【解説】

問題文

ある日、M介護福祉職がKさんの入浴介護を行っていたところ、手のひらや指の間に赤い丘疹を確認した。M介護福祉職がKさんに、「かゆくないですか」と聞くと、「かゆい」と答えた。そのため、病院を受診したところ、角化型疥癬(hyperkeratotic scabies)と診断された。
Kさんへの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 入浴後の洗濯物は、ビニール袋に入れて運ぶ。
  2. マスクを着けてもらう。
  3. 個室に隔離する必要はない。
  4. 介護は素手で行う。
  5. ほかの利用者よりも先に入浴してもらう。

解答&解説

答:① 入浴後の洗濯物は、ビニール袋に入れて運ぶ。

  1. 角化型疥癬では交換した衣類などの洗濯物はビニール袋に入れて運び、熱処理後に洗濯をする。
  2. ×
    角化型疥癬は衣類や寝具、皮膚から剥がれ落ちた角質に触れることで感染が広がる接触感染であり、マスクの着用は必要ではない。
  3. ×
    角化型疥癬は感染力が強く、個室隔離を必要とする。
  4. ×
    感染力の強い角化型疥癬の介護を行う場合は感染拡大の防止のため、手袋、予防衣の着用が必要である。
  5. ×
    ほかの利用者への感染を防止するため、入浴は一番最後としタオルやバスマットの共有をしないようにする。
解き方のコツ

角化型疥癬は通常疥癬に寄生するヒゼンダニの数が比べて非常に多く、感染力が高い疥癬である。通常疥癬と角化型疥癬の違いを理解しておく必要がある。

問119【解説】

問題文

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)を利用するKさんの要介護度に変更があった場合に影響があるものとして、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 介護保険料
  2. 認知症対応型共同生活介護費
  3. 介護サービスの利用者負担割合
  4. 食費
  5. 居住費

解答&解説

答:② 認知症対応型共同生活介護費
  1. ×
    介護保険料は所得に応じて保険者ごとに金額が定められており、要介護度は影響しない。

  2. 認知症対応型共同生活介護費(グループホーム)は要介護度別に介護報酬が定められており、介護度が上がると費用も増加する。
  3. ×
    介護サービスの利用者負担割合は所得に応じて決められており、介護保険の対象となる介護報酬の1~3割の自己負担がある。
  4. ×
    認知症対応型共同生活介護(グループホーム)における食費は介護保険の適応外であり、施設によって決められている。しかし、低所得で負担限度額の認定条件に該当する場合は負担する限度額までの負担となり、基準費用額との差額は介護保険から給付を受けることができる。
  5. ×
    認知症対応型共同生活介護(グループホーム)における居住費についても食費と同様の扱いである。
解き方のコツ

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)で利用者が負担しなければならない費用のうち、介護度によって金額が変わるものと、所得によって負担する割合や金額が変わるものがあり、その違いを理解しておく必要がある。

総合問題3(問120~122)

総合問題3

次の事例を読んで、問題120から問題122までについて答えなさい。

〔事例〕

Aさん(10歳、男性)は、自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)であり、多動で発語は少ない。毎日のように道路に飛び出してしまったり、高い所に登ったりするなど、危険の判断ができない。また、感情の起伏が激しく、パニックになると止めても壁に頭を打ちつけ、気持ちが高ぶると騒ぎ出す。お金の使い方がわからないため好きなものをたくさん買おうとする。
現在は、特別支援学校に通っており、普段の介護は母親が一人で担っている。

問120【解説】

問題文

Aさんのこのような状態に該当するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 注意障害
  2. 遂行機能障害
  3. 強度行動障害
  4. 記憶障害
  5. 気分障害

解答&解説

答:③ 強度行動障害
  1. ×
    注意障害は、注意力が散漫で他の刺激に気が移りやすく、一つのことに集中することができなくなる状態であり、高次脳機能障害の一つである。
  2. ×
    遂行機能障害とは、約束の時間が守れない、仕事が計画通りに終わらない、途中で投げ出してしまうというような、先の目標の達成に向け計画を立てて実行することができない障害のことである。

  3. 強度行動障害とは、著しい多動や騒がしさ、自称行為や物を壊す行為などにより周囲の人に影響を及ぼす行動をあらわす言葉である。
  4. ×
    記憶障害は、認知症の中核症状の1つで自分の体験した記憶や過去の出来事が抜け落ちてしまう障害のことである。
  5. ×
    気分障害は、うつ病や双極性障害などに代表される気分の変化によって日常生活に支障をきたす病気の総称のことである。
解き方のコツ

様々な日常生活に支障をきたす状態を表す障害の名称やどのような状況や疾患の人に起こりやすいのかを正しく理解しておく必要がある。

問121【解説】

問題文

Aさんの将来を考え、家族以外の支援者と行動できるようにすることを目標に障害福祉サービスを利用することになった。介護福祉職と一緒に散歩に行き、外出時のルールを覚えたり、移動中の危険回避などの支援を受けている。
Aさんが利用しているサービスとして、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 同行援護
  2. 自立生活援助
  3. 自立訓練
  4. 生活介護
  5. 行動援護

解答&解説

答:⑤ 行動援護
  1. ×
    同行援助とは、視覚障害があり移動に著しい困難を有する場合、外出時に同行して移動に必要な情報を提供するとともに、移動の援護などを行うものである。
  2. ×
    自立生活援助とは、障害者支援施設やグループホームなどを利用していた知的障害や精神障害などの障害者で、地域で一人暮らしを希望する人に対して自立した日常生活や社会生活を営むことができるように一定期間、定期的に巡回訪問や随時対応を行い支援するものをいう。
  3. ×
    自立訓練とは、障害があり人が自立した日常生活や社会生活が送れるように、生活能力の維持・向上のための訓練や助言などの支援を行うことである。
  4. ×
    生活介護とは、常に介護を必要とする障害者に対して、入浴や排泄、食事等の介護や家事、生活等に関する相談・助言などの日常生活上の支援、創作的活動や生産活動の機会の提供、身体機能や生活能力の向上のために必要な援助を行うことである。

  5. 行動援助では、主に外出時に生ずる危険の回避や外出前後の行為や移動中に必要な介護、排泄及び食事の介護、その他行動する際に必要な援助を行う。
解き方のコツ

障害福祉のサービスは様々な種類があり、それぞれの内容や対象者を理解しておく必要がある。

問122【解説】

問題文

Aさんのサービス利用開始から6か月が経ち、支援の見直しをすることになった。Aさんの現状は、散歩では周囲を気にせず走り出すなど、まだ危険認知ができていない。介護福祉職はルールを守ることや周りに注意するように声かけをするが、注意されるとイライラし、パニックになることがある。
一方で、スーパーではお菓子のパッケージを見て、硬貨を出し、長時間その場から動こうとしない。介護福祉職は、Aさんがお菓子とお金に注目している様子から、その力を引き出す支援を特別支援学校に提案した。
介護福祉職が特別支援学校に提案した支援の背景となる考え方として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. エンパワメント(empowerment)
  2. アドボカシー(advocacy)
  3. ピアサポート(peer support)
  4. ノーマライゼーション(normalization)
  5. インクルージョン(inclusion)

解答&解説

答:① エンパワメント(empowerment)

  1. エンパワメント(empowerment)とは、自立した生活をゴールにしながら、利用者の抱えている課題を本人が解決し、本来の能力を引き出すことができるように働きかけることである。
  2. ×
    アドボカシー(advocacy)とは、判断能力の低下や自分で意思や権利の主張をすることが困難な人に代わり、代理人が権利の主張を代弁、自己決定をサポートすることである。
  3. ×
    ピアサポート(peer support)とは、同じような立場にある人や対等な立場の人同士が支え合うことを表す言葉である。
  4. ×
    ノーマライゼーション(normalization)とは、障害福祉の基本的な概念であり、障害を持つものも持たないものも平等に同様の生活や権利は保証されるように環境を整備し、改善していくという考え方である。
  5. ×
    インクルージョン(inclusion)とは、障害や疾病があっても、地域の資源などを活用することで、社会から排除されることなく、健康で文化的な生活の実現ができるように、社会の構成員が相互に支え合うという考え方のことである。
解き方のコツ

障害福祉でよく使用されるカタカナ語の理解をしておく必要がある。

総合問題4(問123~125)

総合問題4

次の事例を読んで、問題123から問題125までについて答えなさい。

〔事例〕

Bさん(45歳、女性)はアパートで一人暮らしをしていた。家族や親戚との付き合いはなかったが、趣味も多く、充実した生活を送っていた。
ある日、車で買物に行く途中、交通事故を起こし、U病院に救急搬送され手術を受けた。
手術の数日後、医師から、頸髄損傷(cervical cord injury)があり、第5頸髄節まで機能残存するための手術をしたこと、今後の治療方針、リハビリテーションによって今後の生活がどこまで可能になるかについて、丁寧に説明を受けた。

問123【解説】

問題文

Bさんの今後の生活に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 自力歩行ができる。
  2. 自走式標準型車いすを自分で操作して、一人で外出することができる。
  3. 自発呼吸が困難になり、人工呼吸器が必要な生活になる。
  4. 電動車いすを自分で操作することが可能になる。
  5. 指を使った細かい作業が可能になる。

解答&解説

答:④ 電動車いすを自分で操作することが可能になる。
  1. ×
  2. ×
  3. ×
  4. ×
解き方のコツ

頚髄は手指や腕を司る神経であり、この部位が損傷を受けると首から下の筋肉が麻痺し、感覚の障害がみられる。
第5頚髄節が残存している場合は、力は強くはないが方やひじを曲げることができ、自助具を用いて自力で食事をしたり、字を書いたりすることが可能である。自力での歩行は困難であり、平坦な道であれば自力で車いすの操作をして移動をすることが可能であるが、坂道やスロープなどを上がるのは困難なこともあり、電動車いすを活用していく。

問124【解説】

問題文

Bさんは、入院当初は落ち込んでいたが、徐々に表情が明るくなり、U病院でのリハビリテーションにも積極的に取り組むようになった。現在はVリハビリテーション病院に転院して、退院後の生活に向けて身体障害者手帳を取得し、準備を進めている。Bさんは、以前のようなアパートでの一人暮らしはすぐには難しいと考え、障害者支援施設への入所を考えている。
障害者支援施設に入所するために、Bさんがこの時期に行う手続きとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 居宅サービス計画を作成するために、介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談する。
  2. 要介護認定を受けるために、市町村の窓口に申請する。
  3. 施設サービス計画を作成するために、介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談する。
  4. サービス等利用計画を作成するために、相談支援専門員に相談する。
  5. 障害支援区分の認定を受けるために、市町村の窓口に申請する。

解答&解説

答:⑤ 障害支援区分の認定を受けるために、市町村の窓口に申請する。
  1. ×
    居宅サービス計画は介護保険のサービスを利用する場合に必要な書類である。
  2. ×
    介護保険のサービスを利用する場合に、要介護認定を受ける必要がある。
  3. ×
    施設サービス計画は、介護保険の入所者がどのような施設サービスを受けるのかが書かれた書類である。
  4. ×
    サービス等利用計画の作成には障害区分認定の結果が必要である。

  5. 障害福祉サービスの利用を希望する場合、障害区分認定を受ける必要があり、市町村の窓口で申請する。
解き方のコツ

障害福祉サービスの支給決定に関する問題である。介護保険と混同しないようにそれぞれの制度について理解をしておく必要がある。

問125【解説】

問題文

その後、Bさんは希望どおり障害者支援施設に入所した。入所した施設では、C介護福祉職がBさんの担当になった。C介護福祉職は、Bさんから、「日常生活で、もっと自分でできることを増やし、いずれは地域で生活したい」と言われた。そこでC介護福祉職は、施設内の他職種と連携して支援を行う必要があると考えた。
C介護福祉職が連携する他職種とその業務内容に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 工作などの作業を行いながら身体機能の回復を図るために、看護師と連携する。
  2. 運動機能の維持・改善を図るために、理学療法士と連携する。
  3. 趣味活動を増やすことを目的に、管理栄養士と連携する。
  4. 活用できる地域のインフォーマルサービスを検討するために、義肢装具士と連携する。
  5. 栄養状態の面から健康増進を図るために、社会福祉士と連携する。

解答&解説

答:② 運動機能の維持・改善を図るために、理学療法士と連携する。
  1. ×
    工作などの作業を行いながら身体機能の回復を図る専門職は作業療法士である。

  2. 理学療法士は運動機能の維持・改善を図るためにリハビリを行う。
  3. ×
    趣味活動を増やすことを目的にした活動を支援するのは介護福祉職である。
  4. ×
    活用できる地域のインフォーマルサービスを検討するのは、社会福祉士である。
  5. ×
    栄養状態の面から健康増進を図るのは管理栄養士である。
解き方のコツ

障害者支援施設ではたくさんの専門職が連携しながら支援を行っており、それぞれの業務の内容を理解しておく必要がある。

引用:各問題は、2021年(令和3年)第33回介護福祉士国家試験問題より抜粋
この解答・解説はケアきょう独自の見解によるものですので、実際の正解とは異なる場合があります。
この速報の内容は事前の予告なく、内容を修正する場合があります。

おすすめ役立ち情報

役立ち情報一覧に戻る

ピックアップ