介護職と看護職の関係が悪い?改善する方法5ステップ
介護現場には、さまざまな職種の方がいらっしゃいます。いろいろな職種が力を合わせて、介護現場を支えているわけです。
しかし、たびたびお話しを伺うのが、介護職と看護職の衝突…
いったいなぜ衝突が起きてしまうのか?そして、衝突を避けるための5ステップも紹介していきます。
介護職と看護師の衝突の実態
介護現場のストレスランキングでおおむね一位になっている「職場の人間関係」。
介護職同士の関係、管理職との関係、他職種との関係など、さまざまな人間関係において、トラブルが生じてしまいます。
日頃、介護職・看護師の方のお話しを伺っていると、介護職と看護師の衝突というお話をたびたび耳にします。
病院や特養などにお勤めの方では、それが原因で職場を離れる・離れた経験がある、といったお話しもお聞きします。ケアきょうチャンネルに届いたコメントでも、介護職と看護師の衝突・確執を伺うことができます。
介護職から見た看護師への不満
まずは、介護職から見た看護師への不満を見てみましょう
特に多いのが「看護師は介護職よりも上だ」という意識の強い看護師がいるとのこと。
ケアきょうに届いたコメントでも次のようなものがあります。
ただプライドがやたら高い人多いですし、なにかと人のせいにする人も多い。また、忙しい仕事ではありますが、それを理由にイライラされる方もいる。
結局のところ自己反省しかありませんね。できればの話ですが……
「病院、医療の基準と介護現場での基準の差」による問題ということもありそうです。
全てがそうとは思わないし僕の偏見だけど、理論や知識や基本に基づいた病院で訓練されたナースさんと、現場で泥臭く揉まれて、理論より場数 習うより慣れろみたいな介護士とではベクトルがあまりに違うし、ぶつかり合って当然と思う。
看護師から見た介護職への不満
逆に看護師から見て、介護職への悪い印象・お話しとしては、次のようなことがあるようです。
「医療に口を出してくる介護職が嫌だ」という意見もあるようです。
介護士風情が入居者の病状や処置を専門職っぽく語ってたら生意気でうざいし、介護士の方が底辺だからね。
全体的にみると、確執や衝突がある施設も多く、中には介護職と看護師の間の溝が相当大きい施設、人達もいるようです。
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ケアきょう求人・転職の無料相談いったいなぜ?介護職と看護師の衝突原因
では、なぜこのような衝突が起きてしまうのでしょうか?
- 資格による違い
- 仕事による違い
- 収入による違い
等が考えられます。
①資格による違い
一部の看護師の方は「看護師は介護職より上」という意識を持って、介護職に対して露骨に威圧的な言動をとってしまうことがあります。
管理職や、他職種、入居者の家族なども同じように「看護師は介護職より上」という意識を持っていることもあり、看護師が介護職に指示をすることが多くなります。
確かに介護職は医療の知識は看護師に比べたら少なく、医療行為を行えないなどもあります。
しかし、これは逆に看護師も介護の知識は介護職にくらべ少なく、経験の少なさから介護職にくらべうまく介助出来ない、なんてことも当然あります。
異なる職種、異なる専門領域なのですから、決して「看護師は介護職より上」ということはあり得ません。
②仕事による違い
仕事への意識の違い、仕事内容の違いから問題が起きることもあります。
まずは、仕事への意識の違いから見てみましょう。
看護師の方の多くは、介護施設で働く前に医療現場で経験を積んでいます。そのため、医療的なケア、問題の原因を探り、医療的に改善しようとすることが多いです。逆に介護職は、生活支援的なもの、介助をする中で維持・改善させようとすることが多いです。そのため同じ問題に立ち向かう時の意見の衝突が生じてしまうことがあります。
次に、仕事内容の違いを見てみましょう
介護職の仕事としては、施設での身体介護を行うことが多いです。一方看護師は、健康管理が大きな仕事です。この違いから、介護職から見ると、看護師の方が肉体労働が少なく「余裕がある」、「楽をしている」という風に見えてしまうこともあるようです。
③収入による違い
介護職と看護師では、給与の相場が異なります。一般的には、看護師の方が高く設定されていることが多いです。これは、仕事内容や資格の違いによるものです。しかし介護施設においては、同じような介護業務を行うことから、この収入の違いが不満・衝突につながってしまうこともあります。
しかし、看護師は、入居者の医療ニーズを把握し、適切に判断し対応する「責任」を追っています。時には、生死に関わる判断の責任も負うことになります。看護施設に常駐する看護師は少数ですから、一人一人にかかる責任も大きくなります。そういう側面からも収入が高くなります。
介護職と看護師、衝突回避の5ステップ
では、どうすれば介護職と看護師の衝突を回避し、少しでも関係性を改善できるのでしょうか?
ケアきょうでは介護職から衝突を回避するための5つステップにまとめてみました。
看護師の方も対しても、これも似たことが言えると思うので参考にしていただければ幸いです。
- まずはお互いの違いを理解する
- 医療専門職としての看護師の考えを尊重する
- 医療介護で必要な医学の知見を蓄える
- 介護のプロとして働き、お互いに信頼感を得る
- お互いに助け合う仕組み、関係を築く
順に見ていきましょう
①お互いの違いを理解する
今まで述べてきましたように、看護師と介護職は役割や業務内容が違います。施設によっては看護師も介護業務をするところがありますから、両者の境界が曖昧になっているかもしれません。
しかし基本的な立場が違います。上下関係でもなく、優劣でもありません。 その違いを理解することが、良好な関係を築く第一歩でとなります。無駄に委縮する必要も、対立する必要もありません。
②医療専門職としての看護師の考えを尊重する
医療の話になれば、やはり看護師が「プロ」です。医療的判断に関して看護師の話を無視したり、勝手に介護職が決断しては、看護師からしたらムカついて当然です。
「医療的判断は看護師の仕事」と認識し、意見を尊重することで、そういった無用のトラブルを避けることが出来ますし、介護職の業務負担を減らすことにもつながります。入居者の心身の問題で気になることがあったら、積極的に看護師に相談してもいいかもしれません。頼られて気を悪くする人は少ないですし、介護職としても心配やストレスを減らすことが出来ます。
また、医療的判断に必要な情報を提供することは介護職の仕事ですので、よくある医療的判断に関しては、事前にどのような情報が必要なのかを共有しあっておくと良いかと思います。
③介護で必要な医学の知見を蓄える
どんな仕事でも同じですが、働きながら学ぶことは大切です。
介護職も業務に関連した知識はもちろん、医学的な知識もある程度身につけていくことが望ましいでしょう。施設の入居者に一番近いのは介護職であり、そのわずかな変化を一番早く発見し得るのも介護職です。そして入居者の異常を早期発見するには、医学的な観察眼が必要となります。
ただしそうやって学ぶことは、看護師と張り合うためではありません。
むしろ看護師がどんな視点を持っているかを知り、その言わんとするところを理解するためです。
④プロとして働き、お互いに信頼感を得る
介護職は「介護のプロ」、看護師は「医療業務のプロ」です。お互いがプロとしての業務をこなすことが第一です。人間関係が気になりますが、ある程度は割り切って接することも大切です。苦手な看護師がいたとしても、介護のプロとして、見つけた問題や、利用者の身体の異常などを伝えることで「あの人はしっかり報告してくれる」と認識してくれるようになるでしょう。
また、周囲の方からも「しっかりしている」「あの人に任せれば何とかなる」と信頼されるような働きをしていればトラブルは生じにくくなります。
⑤お互いに助け合う関係、仕組みを築く
最後に、お互いに助け合う仕組み、関係を気づくことです。
これは、職場全体の改善につながることで、④までが出来ていて初めて行えることかもしれませんので、それを念頭において聞いてください。
人間関係を円滑に進める心理学的手法の一つに 「返報の法則」があります。 人は他者から良いことをしてもらうと、「お返ししなければ」という心理が無意識的に働く、という法則です。この法則は介護の職場においてももちろん有効です。
たとえば、看護師のちょっとした仕事を手伝ってあげましょう。大変なことでなく、ごく簡単なことでいいのです。
しかし看護師は恩に感じて、あなたに対して「何かしなくちゃ」と考えます。同時に好感を持ってくれます。そして何かの機会に、あなたの仕事を手伝ってくれることでしょう。
こういったことを当たり前に行える人を増やしていくことで、職場全体の環境も良くなるかもしれません。その第一歩は、あなたのちょっとした、ささやかな親切にあるかもしれません。
まとめ
人間関係とは難しく厄介なものです。毎日行く職場のこととなれば尚更ストレスです。互いの違いを理解すること、自分の仕事に徹すること、相手に親切にすることなど書かせていただきましたが、唯一絶対の解決法はありません。それぞれ個別に向き合い、時間を掛けて、解決の道を探るしかないと思います。
ただ、どうしても分かり合えない、歩み寄れない人間関係も残念ながらあるでしょう。そういう関係において無理に努力しても、消耗するだけです。思い切って距離を置いたり、完全に仕事の関係だと割り切ったりして、自分を守ることも大切です。
ぜひ頑張っていきましょう!
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