【解説速報】第32回 介護福祉士国家試験

資格取得
2022/01/21

人間の尊厳と自立・人間とコミュニケーション(問1~4)

問1【解説】

問題文

Aさん(78歳、女性、要介護3)は、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用している。72歳から人工透析を受けている。透析を始めた頃から死を意識するようになり、延命治療を選択する意思決定の計画書を作成していた。しかし、最近では、最期の時を自宅で静かに過ごしたいと思い、以前の計画のままでよいか気持ちに迷いが出てきたので、訪問介護(ホームヘルプサービス)のサービス提供責任者に相談した。
サービス提供責任者の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 「この計画書は、医療職が作成するものですよ」
  2. 「一度作成した計画書は、個人の意向で変更するのは難しいですよ」
  3. 「意思確認のための話し合いは、何度でもできますよ」
  4. 「そんなに心配なら、特別養護老人ホームに入所できますよ」
  5. 「この計画書は、在宅ではなく病院での治療を想定したものですよ」

解答&解説

答:③ 「意思確認のための話し合いは、何度でもできますよ」
  1. ×
    計画書は利用者様やご家族の意向、生活環境や病歴などを考慮して事業所が作成するものなので医療職が作成するものではないので不正解。
  2. ×
    その人らしい生活を送っていけるように支援することが介護の柱です。利用者様自身の意思や気持ちが変化したことを無視し、計画書を変更しようとしていないので不正解。

  3. このように利用者様本人の意思を尊重し、計画書に反映させていく姿勢を取っているので正解。
  4. ×
    利用者様本人の「最期の時を自宅で静かに過ごしたい」という意思に反する提案なので不正解。
  5. ×
    計画書に利用者様を合わせようとするのではなく、本人の意思に基づいた変更や更新が必要しなければならないので不正解。

問2【解説】

問題文

利用者の意思を代弁することを表す用語として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. インフォームドコンセント(informed consent)
  2. ストレングス(strength)
  3. パターナリズム(paternalism)
  4. エンパワメント(empowerment)
  5. アドボカシー(advocacy)

解答&解説

答:⑤ アドボカシー(advocacy)
  1. ×
    利用者と介護者などの間で十分な情報を得たうえで合意を得ること。
  2. ×
    利用者の持つ潜在能力や知識など、長所や強み。
  3. ×
    介護者が利用者の利益になるように、と本人の意思に介入したり干渉したりすること。
  4. ×
    利用者が生活や環境を自身でコントロールしていける力をつけるということや、利用者の潜在能力を引き出すような働きかけをすること。

  5. 何らかの事情で利用者が自分の意思や権利を主張することが難しい時に、自己決定の手助けをしたり、権利を擁護したりする活動のこと。

問3【解説】

問題文

他者とのコミュニケーションを通した自己覚知として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 自己の弱みより強みを重視する。
  2. 自己の感情の動きとその背景を洞察する。
  3. 自己の行動を主観的に分析する。
  4. 自己の私生活を打ち明ける。
  5. 自己の価値観を他者に合わせる。

解答&解説

答:② 自己の感情の動きとその背景を洞察する。
  1. ×
    自分の強みを知ることは大切ですが、弱い部分にも目を向ける必要があるので不正解。

  2. 自己確知で最も重要なことで、自分の感情がどこからきているのか?なぜそういう感情になったのか?を分析しなければならないので正解。
  3. ×
    自己を振り返る時には客観的な視点が必要になるので不正解。
  4. ×
    他者に私生活を打ち明けるこは必要ではないので不正解。
  5. ×
    全て他者に合わせるのではなく、相手の価値観を受け入れることが必要なので不正解。

問4【解説】

問題文

高齢者とのコミュニケーションにおける配慮として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 相手と視線が合わせられる位置で話す。
  2. 相手には座ってもらい、自分は立ったまま話す。
  3. 初対面のときから相手と密着した距離で話す。
  4. 相手の表情があまり見えない薄暗い場所で話す。
  5. たくさんの人がいる、にぎやかな場所で話す。

解答&解説

答:① 相手と視線が合わせられる位置で話す。

  1. 認知症ケアに重要なユマニチュードの基本技術です。目線を合わせることにより、対等な立場であるということや、誠実さが相手に伝わるようにします。
  2. ×
    目線が合いづらく、相手の頭上から話しかけてしまうと利用者は威圧感を感じます。また、声も聞き取りにくくなってしまうので不正解。
  3. ×
    初対面の時には利用者も警戒したり、緊張したりしています。相手のパーソナルスペースに強引に立ち入ってしまうと、警戒心は強まってしまうので不正解。
  4. ×
    お互いの表情が見えない状態で話すと、利用者は不安を感じやすくなるので不正解。
  5. ×
    利用者の中には「老人性難聴」などの症状により、耳の聞こえにくい方もおられます。にぎやかな場所で、他の音が邪魔をしてしまい、声が聞き取りにくくなってしまうので不正解。

社会の理解(問5~16)

問5【解説】

問題文

地域包括ケアシステムでの自助、互助、共助、公助に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 自助は、公的扶助を利用して、自ら生活を維持することをいう。
  2. 互助は、社会保険のように制度化された相互扶助をいう。
  3. 共助は、社会保障制度に含まれない。
  4. 共助は、近隣住民同士の支え合いをいう。
  5. 公助は、自助、互助、共助では対応できない生活困窮等に対応する。

解答&解説

答:⑤ 公助は、自助、互助、共助では対応できない生活困窮等に対応する。
  1. ×
    自助は、自主的に行う健康づくりや介護予防の取り組みへの自主的な参加や、地域活動への参加などの交流に参加することを指すので不正解。
  2. ×
    互助は地域のつながり(近隣住民やボランティア団体等)による助け合いなので不正解。
  3. ×
    共助は医療保険や介護保険など社会保険制度に含まれている制度のことなので不正解。
  4. ×
    近隣住民同士の支え合いは互助に含まれるので不正解。

  5. 公助は社会福祉など、法に基づく行政サービスなので正解。

問6【解説】

問題文

「働き方改革」の考え方に対する記述として、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 長時間労働は日本社会の特質で、時間外労働の限度の設定は困難である。 consent)
  2. 有給休暇の取得よりも、働くことが優先される。
  3. 働く人々のニーズに応じた、多様な働き方の選択ができる社会の実現を図る。
  4. 正規雇用者と非正規雇用者の待遇の格差が存在することは、当然である。
  5. 「働き方改革」は、中小企業は対象でない。

ここでいう「働き方改革」とは、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」に基づく諸施策の実施のことである。

解答&解説

答:③ 働く人々のニーズに応じた、多様な働き方の選択ができる社会の実現を図る。
  1. ×
    残業時間の上限は原則として、月45時間・年360時間とし、臨時的な特別な事情がなければ認められないという法律が施行さたので不正解。
  2. ×
    有給休暇が10日以上ある労働者に対して年間5日間、時季を指定して有給を取得されることが義務付けられたので不正解。

  3. 厚生労働省が発表している「働き方改革」の指針に明記されているので正解。
  4. ×
    「働き方改革」で正規雇用者と非正規雇用者の待遇の差をなくすため、「同一賃金同一労働」が2020年4月1日から全国で一斉に施行されるので不正解。
  5. ×
    大企業と中小企業で施行される時期に違いはあるが、中小企業も対象なので不正解。

問7【解説】

問題文

Bさん(80歳、女性、要介護1)は、身寄りがなく一人暮らしをしている。老齢基礎年金で暮らしてきたが、貯金が少なくなり、生活が苦しくなってきた。このため、2万円の家賃支払いも困難になり、通所介護事業所のC相談員に、費用がかかる通所介護(デイサービス)の利用をやめたいと言ってきた。
C生活相談員の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 介護支援専門員(ケアマネージャー)に、通所介護(デイサービス)の利用中止を依頼する。
  2. 介護支援専門員(ケアマネージャー)に、サービス担当者会議で利用中止検討の依頼をする。
  3. 福祉事務所に相談するように助言する。
  4. これまでどおりの利用を説得する。
  5. 無料で利用できる地域の通所型サービスを探す。

解答&解説

答:③ 福祉事務所に相談するように助言する。
  1. ×
    通所介護が必要な利用者の利用を中止することはリスクもあり、また金銭的な問題の根本的な解決にはならないので不正解。
  2. ×
    同上

  3. 老人福祉だけではなく、生活保護などの問題も取り扱っているので正解。
  4. ×
    金銭的な問題を無視しているので不正解。
  5. ×
    利用には施設により異なるが利用料が発生するので不正解。

問8【解説】

問題文

2015年度(平成27年度)以降の社会保障の財政に関する記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 後期高齢者医療制度の財源で最も割合が大きいものは、後期高齢者の保険料である。
  2. 社会保障給付費の財源では、税の占める割合が最も大きい。
  3. 生活保護費の財源内訳は、社会保険料と税である。
  4. 国の一般会計予算に占める社会保障関係費の割合は、30%を超えている。
  5. 社会保障給付費の給付額では、医療費の構成割合が最も大きい。

解答&解説

答:④ 国の一般会計予算に占める社会保障関係の割合は、30%を超えている。
  1. ×
    最も割合が大きいものは公費なので不正解。
  2. ×
    最も大きい割合を占めているのは社会保険料なので不正解。
  3. ×
    生活保護費の財源内訳には社会保険料は入っていないので不正解。

  4. 年度によって多少の差はあれど30%を超えている。平成30年度においては33.7%の割合を占めているので正解。
  5. ×
    社会保障給付費の給付額で最も大きい割合を占めているのは年金なので不正解。

問9【解説】

問題文

介護保険制度の被保険者に関する次の記載のうち、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 加入は任意である。
  2. 第一号被保険者は、65歳以上の者である。
  3. 第二号被保険者は、20歳以上65歳未満の医療保険加入者である。
  4. 第一号被保険者の保険料は、都道府県が徴収する。
  5. 第二号被保険者の保険料は、国が徴収する。

解答&解説

答:② 第一号被保険者は、65歳以上の者である。
  1. ×
    40歳以上の加入が義務付けられているので不正解。

  2. 第一号被保険者は65歳以上なので正解。
  3. ×
    第二号被保険者は、40歳以上64歳未満の区分なので不正解。
  4. ×
    介護保険は、全国の市町村と東京23区が主体となっているので不正解。
  5. ×
    第二号被保険者の場合も、運営は全国の市町村と東京23区ということは変わらない。自身が加入している保険(共済や健康保険組合等)で納めている中から介護保険料は支払われるので不正解。

問10【解説】

問題文

介護予防・日常生活総合支援事業に含まれる事業として、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 家族介護支援事業
  2. 予防給付
  3. 介護給付
  4. 権利擁護事業
  5. 第一号訪問事業(訪問型サービス)

解答&解説

答:⑤ 第一号訪問事業(訪問型サービス)
  1. ×
  2. ×
  3. ×
  4. ×

介護予防・支援サービス事業の中に第一号訪問事業(訪問サービス)が含まれているので正解。その他の選択肢は介護予防・支援サービス事業の中にも、一般介護予防事業の中にも含まれていないので不正解。

問11【解説】

問題文

障害福祉計画に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 厚生労働大臣は基本的な指針を定めなければならない。
  2. 都道府県による策定は努力義務である。
  3. 市町村による策定は努力義務である。
  4. 障害児福祉計画とは計画期間が異なっている。
  5. 文化芸術活動・スポーツの振興についての目標設定をしなければならない。

解答&解説

答:① 厚生労働大臣は基本的な指針を定めなければならない。

  1. 障害者総合支援法第87条に明記されているので正解。
  2. ×
    努力義務ではなく、定めるものとされているので不正解。
  3. ×
    同上
  4. ×
    第5期障害福祉計画と第1期障害児福祉計画の期間は平成30年~平成32年となっており時期は同じなので不正解。
  5. ×
    明記されていないので不正解。

問12【解説】

問題文

Dさん(60歳、女性)は、交通事故で下肢に障害が生じた。現在、入院中のDさんは退院後、在宅での生活を続けるために、「障害者総合支援法」の障害福祉サービス(居宅介護)の利用を希望している。
Dさんが障害福祉サービス(居宅介護)を利用するための最初の手続きとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 地域包括支援センターに相談する。
  2. 医師の診断書を居住する市町村に提出する。
  3. 障害福祉サービス(居宅介護)を提供している事業所と契約する。
  4. 居住する市町村の審査会に、障害福祉サービス(居宅介護)の利用を申し出る。
  5. 居住する市町村の担当窓口に、障害福祉サービス(居宅介護)の支給申請をする。

「障害者総合支援法」とは、「障碍者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。

解答&解説

答:⑤ 居住する市町村の担当窓口に、障害福祉サービス(居宅介護)の支給申請をする。
  1. ×
    地域包括支援センターは介護、医療、福祉、保健分野での支援なので不正解。
  2. ×
    診断書の提出は障害手帳の交付など、手続きに必要で求められた場合に提出するものなので不正解。
  3. ×
    障害福祉サービス(居宅介護)にもサービス計画書は必要。まずはケアプランを作成してから事業所との話し合いをした上で契約になるので不正解。
  4. ×
    審査会は、支給申請後、判定を行う機関のため不適。

  5. 障害福祉サービスを利用する際には、市町村の障害福祉担当窓口への申請が必要。申請後に認定調査、一次判定の後に二次判定で審査会の審査があるので5が正解。

問13【解説】

問題文

2018年度(平成30年度)に創設された共生型サービスの対象となるサービスとして、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 訪問介護
  2. 共同生活援助(グループホーム)
  3. 同行援護
  4. 通所介護(デイサービス)
  5. 通所リハビリテーション

解答&解説

答:④ 通所介護(デイサービス)
  1. ×
  2. ×
  3. ×
  4. ×

共生型サービスの組み合わせは、基本的には訪問介護(ホームヘルプサービス)、通所介護(デイサービス)、短期入所施設介護(ショートステイ)に該当する施設を共生型サービス事業所として運営することができると決められているので4が正解。

問14【解説】

問題文

自閉症(autism)のEさん(22歳、男性、支援区分5)は、就労支援施設に通所している。こだわりが強く、毎月購読している雑誌を処分するとパニックになってしまう。
「障害者虐待防止法」の視点を踏まえて、Eさんの気持ちが安定するように、施設の介護福祉職が、Eさんにかける言葉として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 「決まりですから捨てますよ」
  2. 「読みたい雑誌は取っておきましょう」
  3. 「古紙として再生利用しますからね」
  4. 「Eさんにこの雑誌をあげるわけにはいかないんですよ」
  5. 「次の新しい雑誌がきますよ」

「障害者虐待防止法」とは、「障害者虐待の防止、障害者の擁護者に対する支援等に関する法律」のことである。

解答&解説

答:② 「読みたい雑誌は取っておきましょう」
  1. ×
  2. ×
  3. ×
  4. ×

正解以外の選択肢は全て本人の意思を無視し、勝手に所有物(財産)を処分する行為に該当する。障害者の財産を処分することは「障害者虐待防止法」で禁止されているので2以外は不正解。

問15【解説】

問題文

成年後見制度に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 「2018年(平成30年)の全国統計」によれば、補助、補佐、後見のうち、最も多い申立ては後見である。
  2. 「2018年(平成30年)の全国統計」によれば、親族後見人が7割を占めている。
  3. 成年後見人は、施設入所の契約だけではなく介護も行う。
  4. 任意後見制度では、候補者の中から家庭裁判所が成年後見人を選任する。
  5. 成年後見制度利用支援事業では、成年後見人への報酬は払えない。

「2018年(平成30年)の全国統計とは、「成年後見関係事件の概況-平成30年1月~12月-」(平成31年3月最高裁判所事務総局家庭局)のことである。

解答&解説

答:① 「2018年(平成30年)の全国統計」によれば、補助、補佐、後見のうち、最も多い申立ては後見である。

  1. 後見は全申立てのうち、最も多い割合を占めているので正解。
  2. ×
    親族後見人は59.7%、約6割程度の割合となっているので不正解。
  3. ×
    介護義務は成年後見人にはないので不正解。
  4. ×
    候補者ではなく、自分が選出し、公正証書を交わした成年後見人を家庭裁判所が選任するので不正解。
  5. ×
    いくつかの条件を満たすことで支払えるので不正解。

問16【解説】

問題文

生活保護法における補足性の原理の説明として、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 国の責任において保護を行う。
  2. 全ての国民に無差別平等な保護を行う。
  3. 健康で文化的な生活を維持できる保護を行う。
  4. 資産・能力等を活用した上で保護を行う。
  5. 個人または世帯の必要に応じて保護を行う。

解答&解説

答:④ 資産・能力等を活用した上で保護を行う。
  1. ×
    生活保護法第1条、国の責任において、困窮の程度に応じて必要な保障を行う、とされているので不正解。
  2. ×
    生活保護法第2条で、生活困窮に陥った原因は問わず、経済状態だけに注目して全ての国民に~とされているので不正解。
  3. ×
    生活保護法第3条で、最低限度の健康で文化的な~とされているので不正解。

  4. 生活保護法第4条に明記されているので正解。
  5. ×
    個人または世帯の特別の需要の相違並びに~と明記されているので不正解。

介護の基本(問17~26)

問17【解説】

問題文

Fさん(72歳、女性、要介護2)は、中等度の認知症(dementia)があり、自宅で夫と生活している。ある日、訪問介護員(ホームヘルパー)が訪問すると、夫が散乱したコーヒー豆を片づけていた。Fさんは、「わからなくなっちゃった」と言っていた。訪問介護員(ホームヘルパー)が夫に事情を聞くと、「今も日課でコーヒーを豆から挽いて入れてくれるんだが、最近は失敗することが多くなって、失敗すると自信を失うしね。でも、毎朝、『コーヒーを入れなくちゃ』と言うんだ」と寂しそうに話した。
訪問介護員(ホームヘルパー)の夫への助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 「そばにいて、Fさんと一緒にコーヒーを入れてはどうですか」
  2. 「Fさんと一緒に、喫茶店にコーヒーを飲みに行ってはどうですか」
  3. 「おいしいコーヒーを買ってきて二人で飲んではどうですか」
  4. 「私がFさんからコーヒーの入れ方を教えてもらいましょうか」
  5. 「新しいコーヒーメーカーを買ってはどうですか」

解答&解説

答:① 「そばにいて、Fさんと一緒にコーヒーを入れてはどうですか」

  1. 利用者の日課を尊重することはQOL実践のためにも重要なことなので、本人のやりたいことを工夫して続けられるような声掛けをしているので正解。
  2. ×
  3. ×
  4. ×
  5. ×

これらの選択肢はコーヒーを2人で飲むことだけに注目している。利用者の夫に毎朝挽きたてのコーヒーを入れたいという本人の気持ちや習慣を否定しているので不正解。

問18【解説】

問題文

Gさん(80歳、女性、要介護3)は、脳卒中(stroke)の後遺症により、左片麻痺があり、からだを思うようにコントロールができず、ふらつきが見られる。以前は、2週間に一度は美容院で長い髪をセットしてもらい、俳句教室に行くのを楽しみにしていた。病気にになってからは落ち込むことが増え、介護が必要になったため、介護老人福祉施設に入所した。
ノーマライゼーション(normalization)の考え方を踏まえた、Gさんの生活支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 洗髪しやすいように、長い髪のカットを勧める。
  2. 共同生活のため、夕食は施設の時間に合わせてもらう。
  3. 落ち込んでいるため、居室での生活を中心に過ごしでもらう。
  4. おしゃれをして、施設の俳句クラブに参加するように勧める。
  5. 転倒予防のため、車いすを使用してもらう。

解答&解説

答:④ おしゃれをして、施設の俳句クラブに参加するように勧める。
  1. ×
    長年続けてきた習慣や、本人の楽しみだったことを尊重している提案なので正解。
  2. ×
  3. ×
  4. ×

どれも本人の生活習慣やヘアスタイルの好み等を無視しているので不正解。また、3に関しては閉じこもりがちになると生活不活発病のリスクもあがる。

問19【解説】

問題文

ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health:国際生活機能分類)の視点に基づく環境因子と心身機能の関連を表す記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 電気スタンドをつけて、読書を楽しむ。
  2. 車いすを使用して、美術館に行く。
  3. 聴力が低下すると、コミュニケーションがうまくとれない。
  4. ストレスが溜まると、活力が低下する。
  5. 床面の性状が柔らかいと、バランスを崩す。

解答&解説

答:⑤ 床面の性状が柔らかいと、バランスを崩す。
  1. ×
  2. ×
  3. ×
  4. ×

ICFはそれぞれの要素が相互作用するという概念なので、順序を逆にしても成り立つ選択肢が正解になります。選択肢の中でそれが成り立つのは5だけです。

問20【解説】

問題文

Hさん(80歳、女性、要介護1)は、アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)である。20年前に夫が亡くなった後は、ずっと一人暮らしをしている。これまでの生活を続けていきたいので、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用することにした。
訪問介護員(ホームヘルパー)のHさんへの対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. Hさんの意向を確認して、今までどおり畳で布団の使用を継続した。
  2. 入浴後、手拭いでからだを拭いていたが、バスタオルに変更した。
  3. 訪問介護員(ホームヘルパー)の判断で、食事の前にエプロンをつけた。
  4. 整理整頓のために、壁に立てかけてあった掃除機を押し入れに片づけた。
  5. Hさんの気持ちを切り替えるために、家具の配置を換えた。

解答&解説

答:① Hさんの意向を確認して、今までどおり畳で布団の使用を継続した。
  1. ×
  2. ×
  3. ×
  4. ×

この選択肢の中で、利用者本人の意見(利用者主体)の介護を行っている選択肢は正解の1だけで、あとは訪問介護員(ホームヘルパー)の意見や意思が主体になってしまっているので不正解。

問21【解説】

問題文

「平成30年版高齢社会白書」(内閣府)で示された65歳以上の者の家庭内事故の発生割合が最も高い場所(屋内)として、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 階段
  2. 台所・食堂
  3. 風呂場
  4. トイレ
  5. 居室

解答&解説

答:⑤ 居室
  1. ×
  2. ×
  3. ×
  4. ×

「平成30年版高齢社会白書」では家庭内事故の発生割合が高い場所は、順に居室、台所・食堂、階段、風呂場、玄関、洗面所、トイレとなっている。

問22【解説】

問題文

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)での介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. テレビのニュースを見て、新しい出来事を覚えてもらう。
  2. 利用者それぞれの要求には応えられないので、同じ日課で過ごしてもらう。
  3. 利用者の現在よりも過去の身体的・精神的状態の把握が優先される。
  4. 利用者の、なじみのある人や店との関係は継続していく。
  5. 環境に慣れるまでは、車いすでの移動を勧める。

解答&解説

答:④ 利用者の、なじみのある人や店との関係は継続していく。
  1. ×
    認知症では、新しいことが覚えにくくなる症状もあるため不正解。
  2. ×
    QOLを実践するためには個人を尊重することが大切なので不正解。
  3. ×
    過去の情報も大切だが、現在の状態の把握ができていないと適切な介護はできないので不正解。

  4. 地域包括ケアシステムの柱でもある「住み慣れた地域で、その人らしい生活」を実践するためには大切なことなので正解。
  5. ×
    車いすが必要な身体的な事情がないのに、歩行を制限するようなことがあってはならないので不正解。

問23【解説】

問題文

訪問介護事業所のサービス提供責任者の役割に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 利用者の生活課題に沿って、サービス計画書を作成する。
  2. 具体的な援助目標及び援助内容を記載した訪問介護計画書を作成する。
  3. 利用者の要望に応じて、他の事業所との利用調整を行う。
  4. 判断能力が十分でない人に対して、日常的な金銭管理を行う。
  5. 居宅サービス事業者を招集して、サービス担当者会議を開催する。

解答&解説

答:② 具体的な援助目標及び援助内容を記載した訪問介護計画書を作成する。
  1. ×
    サービス計画書を作成するのはケアマネージャーなので不正解。

  2. サービス計画書を元に利用者や家族、ケアマネージャーとの話し合いを元に訪問介護計画書を作成していくので正解。
  3. ×
    他の事業所との利用調整はケアマネージャーが行うので不正解。
  4. ×
    金銭管理を行うのはトラブルの元になる。サービス提供責任者には金銭管理を代理で行う権限はないので不正解。
  5. ×
    サービス担当者会議の開催はケアマネージャーが主体となって行われるので不正解。

問24【解説】

問題文

介護の実践における多職種連携に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 医師が多職種連携の中心となる介護実践のことである。
  2. 民生委員やボランティアは、多職種連携のチームから除かれる。
  3. 医療と介護の連携とは、利用者の体調不良時に医療機関を受診させることを指す。
  4. 要介護度の改善を優先して、多職種連携によるケアプランを作成する。
  5. 利用者のケアの方向性に関する情報を共有して、課題の解決に取り組む。

解答&解説

答:⑤ 利用者のケアの方向性に関する情報を共有して、課題の解決に取り組む。
  1. ×
    介護においての多職種連携の中心は、地域住民(利用者と家族)なので不正解。
  2. ×
    地域包括ケアシステムでは地域の民生委員やボランティアもチームの一員とされているので不正解。
  3. ×
    体調不良時に限定されていないので不正解。
  4. ×
    要介護度の改善も大切だが、一番に優先されるのは「住み慣れた地域でその人らしく生きていくこと」を念頭においたケアプランの作成なので不正解。

  5. 利用者の要望や生活に基づいたケアの情報を共有をすることにより、多職種連携を実践していくことが大切なので正解。

問25【解説】

問題文

介護福祉職の倫理に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 介護の技術が伴わなくても、利用者の要望を最優先に実施した。
  2. 利用者が求めた医行為は、実践が可能である。
  3. 個人情報の取り扱いについて、利用者に説明して同意を得た。
  4. 暴力をふるう利用者を自室から出られないようにした。
  5. 業務が忙しかったので、施設の廊下で職員同士の打ち合わせを行った。

解答&解説

答:③ 個人情報の取り扱いについて、利用者に説明して同意を得た。
  1. ×
    介護技術はプロの介護員として欠かすことができないので不正解。
  2. ×
    介護職員の医行為は法律に違反するので不正解。

  3. 個人情報の取り扱いについては、本人への説明と同意が義務付けられているので正解。
  4. ×
    「高齢者虐待防止法」「障害者虐待防止法」ともに閉じ込めることは虐待に該当するので不正解。
  5. ×
    利用者に打合せの内容が聞こえてしまうかもしれない等の可能性が考えられるため不正解。

問26【解説】

問題文

高齢者介護施設で、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の保菌者が確認されたときの対応に関する次の記述のうち。最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 入居者全員の保菌の有無を調べる。
  2. 接触感染予防策を実施する。
  3. 保菌者のレクリエーションへの参加を制限する。
  4. 保菌者は最初に入浴する。
  5. 通常用いられる消毒液は無効である。

解答&解説

答:② 接触感染予防策を実施する。
  1. ×
    MRSAの保菌者は感染者と違って治療の必要がないため、入居者全員の保菌の有無を調べる必要はない。

  2. MRSAは接触感染する疾患であるため、感染を防ぐためには日頃から手洗いや消毒などを行うことが大切である。
  3. ×
    MRSAの保菌者は健常者と同じように日常生活を送ることができる。
  4. ×
    通常では入浴で感染する可能性はなく、特別な配慮の必要はない。
  5. ×
    抗生物質は効きにくいが、アルコール液などの消毒液は有効である。

コミュニケーション技術(問27~34)

問27【解説】

問題文

直面化の技法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 利用者の感情と行動の矛盾点を指摘する。
  2. うなずきやあいづちを用いて、利用者の話を促す。
  3. 利用者が話した内容を、整理して伝える。
  4. 利用者が話した内容を、別の言葉を使って簡潔に返す。
  5. 「はい」や「いいえ」だけで答えられる質問をする。

解答&解説

答:① 利用者の感情と行動の矛盾点を指摘する。

  1. 直面化とは、利用者自身が問題に向き合い、取り組めるように促すコミュニケーション技法である。ここでの「感情と行動の矛盾点を指摘すること」は「対決」にあたり、利用者の直面化を促す効果がある。
  2. ×
    うなずきやあいづちを用いて利用者の話を促すのは「受容」である。相手に安心感を与えるときに用いる。
  3. ×
    相手が話した内容を整理して伝えるのは「要約」である。話の内容を整理するほか、利用者の気づきを促すときなどに用いる。
  4. ×
    相手が話した内容を、別の言葉を使って簡潔に返す技法は「言い換え」である。
  5. ×
    「はい」や「いいえ」だけで答えられる質問は「閉ざされた質問」である。簡単に答えることができるため、緊張感のある話はじめの場面や事実確認などに用いる。

問28【解説】

問題文

意欲が低下した人とのコミュニケーションの基本として、最も優先すべきものを1つ選びなさい。

  1. 考え方を変えるように促す。
  2. 早く元気を出すように励ます。
  3. 意欲が自然に回復するまで待つ。
  4. 意欲低下の背景を考える。
  5. 自己決定してもらうのは避ける。

解答&解説

答:④ 意欲低下の背景を考える。
  1. ×
    意欲が低下している人に自身の考え方を変えるように促したところで、意欲がないので取り合ってはもらえない。
  2. ×
    意欲が低下している状態を最も理解しているのは自身であるため、他者が安易に励ますのは逆効果である。
  3. ×
    意欲が自然に回復するまで待っているだけでは、何も変わらない。現状に適したアプローチをすることが必要である。

  4. コミュニケーションのなかで意欲低下に陥った背景を考え、それに関する要因を1つずつ取り除いていくことが大切である。
  5. ×
    他者が決めたことに従っているだけでは、ますます意欲低下してしまう可能性がある。意欲が低下しているからこそ、自身で選び、決定してもらうことが重要である。

問29【解説】

問題文

構音障害のある利用者とのコミュニケーションに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 閉じられた質問の活用を控える。
  2. 聞き取れないところは、再度言ってもらう。
  3. はっきりと発音するように促す。
  4. 耳元で大きな声で話しかける。
  5. 筆談の活用を控える。

解答&解説

答:② 聞き取れないところは、再度言ってもらう。
  1. ×
    構音障害は舌や口唇の運動麻痺などによって、言葉の発音が正しくできなくなってしまう状態のことをいう。簡潔に答えることができる閉じられた質問の活用が有効である。

  2. 構音障害の場合1回で聞き取れなくても、もう1度同じ内容を話してもらうことで聞き取れることも多い。
  3. ×
    構音障害は正しく言葉を発音できない障害であるため、はっきりと発音するように促しても効果はなく、相手を傷付けてしまう。
  4. ×
    聴力が低下しているわけではないので不適切である。
  5. ×
    会話でうまくコミュニケーションが取れないときは、筆談の活用が有効である。

問30【解説】

問題文

視覚障害者とのコミュニケーションに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 挨拶するときは後ろから声をかける。
  2. 話しかけることは最小限にとどめる。
  3. 聴覚、触覚、嗅覚を活用する。
  4. 声の強弱などの準言語の活用は控える。
  5. 方向を示すときは「あちら」「そちら」と表現する。

解答&解説

答:③ 聴覚、触覚、嗅覚を活用する。
  1. ×
    相手を驚かせてしまうため、声をかけるときは前からが基本である。
  2. ×
    相手の声を聴くことで存在を確認しているため、積極的に話しかけたほうが良い。

  3. 視覚が不自由な分、聴覚や触覚、嗅覚を活用すると伝わりやすい。
  4. ×
    視覚障害者は声の強弱や準言語から相手の気持ちや状態を判断しているので、この回答は不適切である。
  5. ×
    指示語では正確な情報を伝えることが難しいため、具体的な表現を用いてコミュニケーションを取ることが大切である。

問31【解説】

次の事例を読んで、問題31、問題32について答えなさい。
〔事例〕
Jさん(20歳、男性)は、中度の知的障害を伴う自閉症(autism)があり、2か月前から就労継続支援B型事業所を利用している。Jさんは、日常生活に関することは自分の感情を伝えることができるが、他者の感情を読み取ることや抽象的な言葉の理解は苦手である。また、社会的な善悪に照らして自分の言動を判断することが難しい。
ある日、事業所で作業中にJさんが興奮して他の利用者を叩いた。介護福祉職は二人を引き離し、Jさんを個室に連れて行って対応した。
作業終了後、同居している家族にJさんの出来事を伝えた。家族はJさんに、「どうしてそんなことをするの。いつもだめなことばかりして」とイライラした口調で叱った。

問題文

Jさんを個室に連れて行ったときの、介護福祉職のJさんに対する最初の言葉かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 「人を叩くのは許されません」
  2. 「相手の気持ちを想像しましょう」
  3. 「自分のしたことを反省しましょう」
  4. 「ここで話をしましょう」
  5. 「なぜ叩いてしまったのですか」

解答&解説

答:④ 「ここで話をしましょう」
  1. ×
    「社会的な善悪に照らして自分の言動を判断することが難しい」との記述があるので、Jさんが「人を叩くことがダメなことである」と理解するのは難しい。
  2. ×
    「他者の感情を読み取ることや抽象的な言葉の理解は苦手」との記述があるので不適切である。
  3. ×
    「自分のしたこと」は抽象的な表現である不適切である。Jさんに話をするときは、内容を具体的に伝えること必要である。

  4. Jさんは個室に連れてこられた理由がわからず混乱している可能性がある。ここでは、今から何をするのかを具体的に説明しているので適切である。
  5. ×
    質問自体は悪くないが、本題に入る前に今から行うことを説明する必要があるので、ここでは不適切である。

問32【解説】

問題文

Jさんを叱った家族への介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 叱ることは正しいと支持する。
  2. 家族の対応は間違っていると否定する。
  3. Jさんへのこれまでの対応や思いを聴く。
  4. 家族の対応には介入せずに黙認する。
  5. 介護福祉職の指示どおりに対応するように伝える。

解答&解説

答:③ Jさんへのこれまでの対応や思いを聴く。
  1. ×
    ここでは、肯定も否定もしない態度をとることが適切である。
  2. ×
    ご家族はさまざまな葛藤を抱えながらJさんと日々生活しているので、第三者である介護福祉職が否定するのは不適切である。

  3. Jさんに関する話を聴くことで、ご家族の気持ちの寄り添っているため、適切である。
  4. ×
    「イライラした口調で叱った」という記述があるように、ご家族はかなりのストレスを抱えている。ご家族の協力なしではJさんが快適に生活することは困難であるため、第三者である介護福祉職が介入する必要がある。
  5. ×
    介護福祉職は、Jさんやご家族へ助言することはできるが、対応を指示する権限はないので不適切である。

問33【解説】

次の事例をよんで、問題33、問題34について答えなさい。
〔事例〕
Kさん(80歳、男性)は、中等度の認知症(dementia)があり、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)に入居中である。16時頃、KさんがL介護福祉職に、「仕事は終わりました。家に帰ります」と伝えてきた。その後、L介護福祉職がKさんの居室を訪問すると、Kさんは、「早く家に帰らなくては…」と言いながらタンスから衣類を取り出していた。

問題文

介護福祉職が居室を訪問したときに、最初にとる対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 衣類をタンスへ戻すように促す。
  2. 居室から出ないようにお願いする。
  3. ここに入居したことを覚えていないのかと質問する。
  4. ここは仕事場ではないことを説明する。
  5. 挨拶しながら表情や行動を観察する。

解答&解説

答:⑤ 挨拶しながら表情や行動を観察する。
  1. ×
    タンスから衣類を出している理由も聴かず、元に戻すように促すことは不適切である。
  2. ×
    感染症などの特別な理由がない限り、介護福祉職はKさんの行動を制限することはできない。
  3. ×
    認知症を患っている人に「入居」していることを質問すると、自分が置かれている状況が理解できずに、大きな混乱を招く可能性があるため不適切である。
  4. ×
    Kさんは仕事場だと思い込んでいるため、否定することは適切ではない。相手の気持ちを尊重することが大切である。

  5. タンスから衣類を取り出し帰宅準備している状態ではあるが、時間の経過とともに落ち着く可能性もある。現時点では、挨拶程度の声かけを行い、表情や行動を見守ることが適切である。

問34【解説】

問題文

客観的事実を表す介護記録として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 16時頃、「仕事は終わりました。家に帰ります」という発言があった。
  2. 自宅のことが心配になって「家に帰る」という発言があった。
  3. 不安時に無断外出が心配されるため、様子の観察が必要と考える。
  4. 認知症(dementia)が悪化し、ここがどこなのかを理解していないようだ。
  5. 帰宅願望があたったが、特に問題はなかった。

解答&解説

答:① 16時頃、「仕事は終わりました。家に帰ります」という発言があった。

  1. 実際にあった出来事をそのまま記録しているので適切である。
  2. ×
    「自宅のことが心配になって」とは介護福祉職の想像であり、Kさんは一言も言っていないため不適切である。
  3. ×
    「不安時に無断外出が心配される」は介護福祉職の主観であるため、不適切である。
  4. ×
    「認知症が悪化」や「~ようだ」など根拠のない内容ばかり記載されているため、不適切である。
  5. ×
    内容が簡潔過ぎて不適切である。介護記録は誰が読んでもその時の状況がわかるよう、見聞きしたことをそのまま具体的に記録しておく必要がある。

生活支援技術1(問35~47)

問35【解説】

問題文

一戸建ての住宅に暮らす利用者の地震対策に関する訪問介護員(ホームヘルパー)の助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 家具には、キャスターをつける。
  2. 書棚の上部には、重いものを収納する。
  3. 食器棚は、ガラス扉を外す。
  4. 外への避難経路は、玄関の1方向とする。
  5. 非常時に持ち出す物は、リュックサックにまとめておく。

解答&解説

答:⑤ 非常時に持ち出す物は、リュックサックにまとめておく。
  1. ×
    地震の揺れとともに家具が移動し、危険を伴うので不適切である。
  2. ×
    落下時に大きなケガにつながる恐れがあるので不適切である。
  3. ×
    地震時に食器が飛び出しあちこちに破片がちらばってしまうため不適切である。
  4. ×
    玄関前に家具が倒れ、脱出できない可能性もあるので不適切である。避難経路は複数想定しておくことが大切である。

  5. 必要な荷物を事前にまとめておくと、いざという時に安全な場所まで早く避難することができる。

問36【解説】

問題文

介護保険の給付対象となる住宅改修を利用してトイレを改修するとき、介護福祉職が助言する内容として、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 開き戸は、自動ドアに変更できる。
  2. 和式便器の上に、腰掛便座を設置できる。
  3. 滑りにくい床材に変更できる。
  4. 取り外しが可能な手すりを設置できる。
  5. 現在使用している洋式便器に、洗浄機能を付加できる。

解答&解説

答:③ 滑りにくい床材に変更できる。
  1. ×
    自動ドアに変更することはできないが、開き戸を引き戸にすることはできる。
  2. ×
    腰掛便座は福祉用具に該当するので、住宅改修では設置できない。

  3. 床材が滑りやすく転倒の危険がある場合、住宅改修を利用して滑りにくい床材に変更することができる。
  4. ×
    手すりは取り外しができるものではなく、固定式の手すりのみ設置可能である。
  5. ×
    和式便器を洋式便器に取り換えることはできるが、今ある洋式便器に洗浄機能を付加することはできない。

問37【解説】

問題文

ユニバーサルデザイン(universal design)の7原則に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 高齢者が優先的に使用できる。
  2. 使い方を統一する。
  3. 情報伝達の手段は1つにする。
  4. 使用するためには訓練が必要である。
  5. 誰にでも使える大きさと広さが確保されている。

解答&解説

答:⑤ 誰にでも使える大きさと広さが確保されている。
  1. ×
    高齢者だけではなく、だれもが公平に利用できなければならない。(公平性)
  2. ×
    使う人によってさまざまな使い方ができるものにしなければならない。(自由度)
  3. ×
    情報伝達の手段を1つにするのではなく、必要な情報をすべての人に伝えることができるよう、絵や文字、音や光などのさまざまな手段を用いらなければならない。(分かりやすさ)
  4. ×
    さわるだけで区別できるなど、使い方が直感的にわかるものにしなければならない。(単純性)

  5. 「スペースの確保」についての記述であるため適切である。

問38【解説】

問題文

次の通り記述のうち、高次脳機能障害(higher brain dysfunction)による着衣失行のある人に対する着衣の介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 着替えができない理由を本人に確認する。
  2. 左右がわかるように衣類に印をつける。
  3. 着衣の前に全ての手順を口頭で指示する。
  4. 衣服を畳んで渡す。
  5. 着衣の方法を毎回変えるように勧める。

解答&解説

答:② 左右がわかるように衣類に印をつける。
  1. ×
    着衣失行はやろうという意欲があっても、手順がわからず衣服を着ることができない状態のこという。着替えができない理由を確認したところで、何の解決にもならないため不適切である。

  2. 衣類に印をつけることで、左右の区別ができるようになる。
  3. ×
    高次脳機能障害の人は口頭で説明されることが苦手である。字や絵を用いて手順を簡潔に記した用紙を渡し、それに沿って説明すると伝わりやすい。
  4. ×
    あらかじめ広げたものを渡さないと、上下左右や裏表などの認識ができない。
  5. ×
    着衣の方法は統一し、繰り返し練習する必要がある。

問39【解説】

問題文

更衣のための介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 手指の細かな動作が難しい利用者に、マグネット式のボタンを勧める。
  2. 認知症(dementia)のある利用者に、ボタンエイドの使用を勧める。
  3. 下肢の筋力低下のある利用者に、立位で更衣をするように勧める。
  4. 視覚障害のある利用者に、ソックスエイドの使用を勧める。
  5. 片麻痺のある利用者に、袖ぐりの小さい上衣を勧める。

解答&解説

答:① 「ここで話をしましょう」

  1. 手指の細かな動作が難しい利用者に、マグネット式のボタンを勧める。
  2. ×
    ボタンエイドは手指に障害がある人などが、ボタンを留めるために使う自助具である。ボタン穴に差し込んでボダンを引き出す必要があるため、認知症のある利用者が使うことは難しい。
  3. ×
    下肢の筋力低下のある利用者が立位で更衣を行うと転倒のリスクが高い。更衣の際は座位で行うように促す。
  4. ×
    ソックスエイドはいすに座ったまま靴下を履くことができる自助具である。視覚障害者ではなく、腰痛や股関節の骨折などにより足先まで手が届かない人への使用を勧める。
  5. ×
    片麻痺のある利用者には、袖ぐりの大きい上衣が望ましい。

問40【解説】

問題文

介護老人保健施設の利用者の身じたくに関する専門職の役割として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 介護支援専門員(ケアマネジャー)は、洗面時の関節可動域の制限を改善する。
  2. 支援相談員は、着脱に使用する福祉用具を選定する。
  3. 栄養士は、破損した義歯を修復する。
  4. 看護師は、糖尿病(diabetes mellitus)に伴う管理が必要な利用者の爪切りを行う。
  5. 理学療法士は、身体状況に合わせて衣類を作り直す。

解答&解説

答:④ 看護師は、糖尿病(diabetes mellitus)に伴う管理が必要な利用者の爪切りを行う。
  1. ×
    可動域の訓練は理学療法士が行う。介護支援専門員は利用者のケアマネジメントを担う。
  2. ×
    支援相談員は、相談援助業務を行う専門職のことをいう。
  3. ×
    破損した義歯を修復するのは歯科技工士である。

  4. 糖尿病の利用者は皮膚感覚の障害や、少しの傷でも感染症を起こす可能性が高いため、爪切りは看護師によって行われることが望ましい。
  5. ×
    理学療法士は、運動機能が低下した人に対して、運動機能の維持や改善を目的に物理的手段(治療体操やマッサージなど)を用いる専門職のことをいう。

問41【解説】

問題文

次の記述のうち、ベッドから車いすへの移乗介護で最初に行うこととして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 移乗の目的を説明して同意を得る。
  2. 移乗の方法を説明する。
  3. 衣服を着替えてもらう。
  4. 車いすを介護しやすい位置に調整する。
  5. ベッドの高さを調節する。

解答&解説

答:① 移乗の目的を説明して同意を得る。

  1. はじめに移乗の目的を説明し、同意を得られなければ移乗介助を行うことはできない。
  2. ×
    使用者の意思に関係なく、移乗することを前提で話しているため適切ではない。
  3. ×
    起床時などの場面設定がされていないため、必ず移乗前に衣服を着替える必要はない。
  4. ×
    車椅子の位置は、利用者へ移乗の目的を説明し、同意を得たあとに調整する。
  5. ×
    ベッドの高さを調節するのは移乗介助の直前であるため、ここでは適切ではない。

問42【解説】

問題文

立位をとり静止している利用者の重心線が、点Xから点Yに移動したときに考えられるふらつきとして、適切なものを1つ選びなさい。

画像あり問題(画像準備中)

  1. 左前方へのふらつき
  2. 右前方へのふらつき
  3. 左後方へのふらつき
  4. 後方へのふらつき
  5. 右後方へのふらつき

解答&解説

答:② 16時頃、「仕事は終わりました。家に帰ります」という発言があった。
  1. ×
    右前方へ移動しているため、左へふらつくことはない。

  2. 右前方へと重心が移動するため、ふらつきが起こるのであれば右前方である。
  3. ×
    重心は右前方へと移動しているため、左後方へのふらつきは考えられない。
  4. ×
    前方から力を加えられない限り、後方へのふらつきは考えにくい。
  5. ×
    重心が右前方へ移動するため、右後方へのふらつきは考えにくい。

問43【解説】

問題文

右片麻痺の利用者が、手すりを利用して階段を昇降するときの介護に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 手すりが利用者の右側になるように声をかける。
  2. 階段を昇るとき、利用者の左後方に立つ。
  3. 階段を昇るとき、右足から出すように声をかける。
  4. 階段を降りるとき、利用者の右前方に立つ。
  5. 階段を降りるとき、左足から出すように声をかける。

解答&解説

答:④ 階段を降りるとき、利用者の右前方に立つ。
  1. ×
    手すりは自身で握って使えるよう、利用者の健側(左側)になるように声をかける。
  2. ×
    階段を昇るときは、力が入らない患側(右側)の後方に立つ。
  3. ×
    階段を昇るときは、力の入る健側(左側)の足から出すように声掛けを行う。

  4. 介護者が右前方に立つことで、力の入らない右半身をフォローすることができる。
  5. ×
    階段を降りるときは、手すりを握って患側(右足)から出すように声をかけることで2歩目の健側がスムーズに出る。仮に健側(左側)から出してしまった場合、残された右足には力が入らないため動けない。

問44【解説】

問題文

Mさん(78歳、女性)は、体格指数(BMI)は18.7である。病気や食事制限はない。この1年間で体重が2kg減少し、「最近、歩くのが遅くなり、疲れやすくなった」と言っている。Mさんに普段の食生活を尋ねたところ、お茶漬けやうどんで済ますことが多いと答えた。
介護福祉職が食事バランスガイドを用いて摂取を勧める区分として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 主食
  2. 副菜
  3. 主菜
  4. 牛乳・乳製品
  5. 果物

解答&解説

答:③ 主菜
  1. ×
    お茶漬け(米)やうどんは主食にあたるので、ここでは必要はない。
  2. ×
    副菜も必要な栄養であるが、この事例では健康な身体を作る主菜を勧めることが望ましい。

  3. 主菜は肉や魚、卵や大豆などのたんぱく質を多く含む料理で、血液や筋肉を作る働きがある。「最近、歩くのが遅くなり、疲れやすくなった」と記述があるように、Mさんには筋力の低下が考えられるため、ここでは主菜が適切となる。
  4. ×
    カルシウム不足がうかがえるような記述がないため、ここでは健康な身体作りに必要不可欠な主菜を優先することが望ましい。
  5. ×
    果物は牛乳・乳製品と同様に食事バランスガイドの下位に位置するため、積極的に進める必要はない。

問45【解説】

問題文

いすに座って食事をする利用者の姿勢を確保する介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 顎を上げてもらう
  2. テーブルは、肘がつき腕が自由に動かせるものを用意する。
  3. テーブルと体の間を30cm離す。
  4. 体幹を後方に傾けてもらう。
  5. いすに浅く座ってもらう。

解答&解説

答:② テーブルは、肘がつき腕が自由に動かせるものを用意する。 mellitus)に伴う管理が必要な利用者の爪切りを行う。
  1. ×
    むせやすい人は、顎を少し引くように声掛けを行う。

  2. 肘が自由に動かせ、90度に曲がるくらいの高さが良い。
  3. ×
    テーブルと体の距離は握りこぶし1つ分である。
  4. ×
    顎と同様に少し前かがみの姿勢が望ましい。
  5. ×
    いすに深く腰掛けた状態で、足がしっかりと床につくようにする。

問46【解説】

問題文

高齢者の食生活に関する助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 骨粗鬆症(osteoporosis)の予防として、ビタミンD(vitamin D)の摂取を勧める。
  2. 高血圧症(hypertension)の予防として、果物の摂取を控える。
  3. 便秘の予防として、水分摂取を控える。
  4. ドライマウス(dry mouth)の予防として、柔らかい食べものを勧める。
  5. 逆流性食道炎(reflux esophagitis)の予防として、食後すぐに横になる。

解答&解説

答:① 骨粗鬆症(osteoporosis)の予防として、ビタミンD(vitamin D)の摂取を勧める。

  1. 骨粗鬆症は腸管でのカルシウム不足が原因であるため、カルシウムの吸収を助ける働きをもつビタミンDの摂取は効果的である。
  2. ×
    高血圧症の予防は、塩分を控えることである。
  3. ×
    便秘予防には水分摂取が有効である。
  4. ×
    よく噛んで食べることがドライマウスの予防になるため、柔らかい食べ物を食べることは予防策として適切ではない。
  5. ×
    逆流性食道炎を予防するためには、食後2時間上半身を起こしておくことが望ましい。

問47【解説】

問題文

左半側空間無視のある利用者の食事介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 利用者の左側にトレー(tray)を置く。
  2. トレー(tray)の右側に印をつける。
  3. クロックポジションに従って配膳する。
  4. 食べる様子を観察して適宜食器の位置を変える。
  5. 利用者の右側にテレビをつけておく。

解答&解説

答:④ 食べる様子を観察して適宜食器の位置を変える。
  1. ×
    左側の空間を認知できないので、トレーは右側に置くようにする。
  2. ×
    印はトレーの左側につけるようにする。
  3. ×
    視覚障害者の食事介護にはクロックポジションは有効であるが、この場合は適切ではない。

  4. 半側空間無視のある利用者への食事介護は、食事の様子を観察し、見えやすい場所に適宜食器の位置を変えることが必要である。
  5. ×
    無視側にテレビをつけておくことで認知できない方向への注意喚起になるため、この場合は左側が適切である。

生活支援技術2(問48~60)

問48【解説】

問題文

清拭の介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 目の周りは目尻から目頭に向かって拭く。
  2. 背部は患部を下にして拭く。
  3. 腹部は臍部から恥骨部に向かって拭く。
  4. 両下肢は末梢から中枢に向かって拭く。
  5. 皮膚についた水分は最後にまとめて拭く。

解答&解説

答:④ 両下肢は末梢から中枢に向かって拭く。
  1. ×
    目頭から目尻に向かって拭く。
  2. ×
    背部は患部を上にして拭く。
  3. ×
    腹部は「の」の字を描くようにして拭く。

  4. 清拭は末梢から中枢に向かって拭くことが基本である。
  5. ×
    皮膚についた水分は、利用者の体温を下げてしまうので、その都度こまめに拭く必要がある。

問49【解説】

問題文

利用者の状態に応じた入浴の介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 血液透析を受けている人は、透析直後に入浴する。
  2. 胃ろうを造設している人は、入浴を控える。
  3. 心臓機能障害がある人は、半身浴にする。
  4. 酸素療法を行っている人は、鼻カニューレを外して入浴する。
  5. 回腸ストーマを造設している人は、食後1時間以内に入浴する。

解答&解説

答:③ 心臓機能障害がある人は、半身浴にする。
  1. ×
    透析後は血圧が低いため、原則として透析当日の入浴は禁止である。
  2. ×
    胃ろうを造設していても、制限なく入浴することができる。

  3. 心臓機能障害のある人では、入浴による水圧の影響を防ぐため、半身浴が望ましい。
  4. ×
    入浴中は酸素必要量が増すため、鼻カニューレをつけて入浴するようにする。
  5. ×
    回腸ストーマを造設している人は、排泄の少ない食後2時間以降に入るようにする。

問50【解説】

問題文

右片麻痺のある利用者が、ベッドサイドでポータブルトイレを使用するときの設置場所として、最も適切なものを1つ選びなさい。

画像あり問題(画像準備中)

  1. A
  2. B
  3. C
  4. D
  5. E

解答&解説

答:② B
  1. ×
    ベッド柵から手を放した状態でポータブルトイレに移乗する必要があるため不適切である。また、頭側にポータブルトイレを設置することも適切ではない。

  2. 健側(左側)でベッド柵を持ち、ポータブルトイレまでスムーズに移乗することができる。
  3. ×
    ベッド柵を持つことができないため、安全にポータブルトイレへと移乗することができない。
  4. ×
    ポータブルトイレへの移乗時に利用するベッド柵が健側(左側)にないので適切ではない。
  5. ×
    Aと同様に顔周りにポータブルトイレを設置すること自体が適切ではない。

問51【解説】

問題文

膀胱留置カテーテルを使用している利用者への介護福祉職の対応として、最も適切なもとを1つ選びなさい。

  1. 水分摂取を控えてもらう。
  2. カテーテルが折れていないことを確認する。
  3. 排尿バッグは膀胱と同じ高さに置く。
  4. 尿漏れが見られたらカテーテルを抜去する。
  5. 尿量の確認は看護師に依頼する。

解答&解説

答:② カテーテルが折れていないことを確認する。
  1. ×
    水分補給が不足すると尿量が減り、尿の混濁やカテーテルが詰まる可能性があるので、医師から水分を控えるように指示されていない限り、十分な水分摂取をしてもらうことが理想です。

  2. 尿が流れなくなり、カテーテルが詰まる可能性があるため、カテーテルが折れていないことを確認する必要があります。
  3. ×
    尿が逆流する可能性があるため、排尿バッグは膀胱より下の位置に設置する必要があります。
  4. ×
    カテーテルの抜去、及び挿入は医療的処置となるため、介護福祉職は行うことはできません。尿漏れが見られた場合、看護職に対応してもらう必要があります。
  5. ×
    尿量の確認は医療行為ではないため、介護福祉職にも行うことができます。したがってこの選択肢は誤りです。
解き方のコツ

膀胱留置カテーテルを使用している利用者に対して留意することは、チューブが屈曲したり、押しつぶされたりしないように注意する。蓄尿バッグは、膀胱より低い位置に保つ。カテーテルを固定する位置はその都度変える。水分をしっかり取り、尿の停滞を防ぐ、摂取した水分量と排尿量は、できるだけ把握しておく、いった事が挙げられます。

問52【解説】

問題文

解熱を目的にした坐薬(座薬)の挿入に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 挿入時は仰臥位(背臥位)で膝を伸ばす。
  2. 挿入時は腹式呼吸を促す。
  3. 下肢の筋力低下のある利用者に、立位で更衣をするように勧める。
  4. 挿入後は坐薬(座薬)が排出されないことを確認する。
  5. 衣類を整えてから手袋を外す。

解答&解説

答:④ 挿入後は坐薬(座薬)が排出されないことを確認する。
  1. ×
    仰臥位で挿入は行いにくいため不適切です。挿入方法には、仰臥位または膝を曲げて側臥位をとれるようにし、肛門部が十分に見えるように体位を整えるといった方法があります。
  2. ×
    腹式呼吸では腹圧がかかりやすいため、外肛門括約筋を弛緩させ、腹圧をかかりづらくする口呼吸が望ましいです。
  3. ×
    坐薬(座薬)は尖っている方から挿入すると、肛門内部に入りやすいため、本選択肢は不適切です。

  4. 挿入後は、坐薬(座薬)が排出されないことを確認する必要があります。
  5. ×
    坐薬(座薬)を入れる事によって手袋は不潔になるため、衣類を整える前に手袋を外す必要があります。
解き方のコツ

以前は医療行為とみなされていた坐薬(座薬)も現在では介護福祉職が行えることになりました。医療職から使用方法を聞き、適切に使用することが重要です。
手に入るようであれば、使用説明書を読んでみるのも勉強の一環になると思いますよ。

問53【解説】

問題文

肉入りのカレーを常温で保存し、翌日、加熱調理したときの食中毒の原因菌として、最も注意しなければならないものを1つ選びなさい。

  1. ウエルシュ菌
  2. カンピロバクター
  3. サルモネラ菌
  4. 腸炎ビブリオ
  5. 黄色ブドウ球菌

解答&解説

答:① ウエルシュ菌

  1. 汚染された肉や魚類を使用した煮込み料理に生じやすい菌で、酸素が少ない環境を好む菌です。「カレー」や「シチュー」などを調理する場合には、気を付けなければいけません。
  2. ×
    カンピロバクターは、ニワトリや牛といった家禽をはじめ、あらゆる動物が持っている細菌です。通常の加熱調理で死滅するため、本問題の食中毒の原因とは考えにくいです。
  3. ×
    卵とその加工品、食肉の生食、スッポンなどが原因となる食中毒で、カンピロバクターと同じく、加熱することによって死滅します。
  4. ×
    腸炎ビブリオは、海水や海産の「魚介類」などに生息している細菌です。水に弱いため、予防法としては新鮮な魚でもよく流水で洗うこと、魚介類を処理したまな板や包丁は十分に洗浄・消毒するといった事があげられます。
  5. ×
    黄色ブドウ球菌は、人や動物の傷口をはじめ、手指や皮膚などに生息している細菌です。おにぎりやサンドイッチといった手作りの料理に付着することが多く、ほとんどの場合、人の手を介して食品が菌に汚染されることが多いです。
解き方のコツ

ウエルシュ菌は、特に大量の煮込み料理を行った時に生じやすい細菌です。他に食中毒の原因となりえるものとして、病原性大腸菌やボツリヌス菌などがあります。細菌を食べることが問題なので、加熱・環境消毒・手洗いを行って食物へ細菌を付着させないことが重要となっていきます。

問54【解説】

問題文

ノロウイルス(NoroVirus)に感染した人の嘔吐物のついた衣類の処理に関する次の記述のうち、最も適切なもの1つ選びなさい。

  1. 嘔吐物を拭き取ったペーパータオルはごみ箱に捨てる。
  2. 汚染された部分にアルコールを噴霧する。
  3. 汚染された部分を強くもみ洗いする。
  4. 嘔吐物を取り除いた後、次亜塩素酸ナトリウム溶液につける。
  5. 40℃の湯で選択する

解答&解説

答:④ 嘔吐物を取り除いた後、次亜塩素酸ナトリウム溶液につける。
  1. ×
    嘔吐物を処理した手袋やペーパータオルなどから二次感染を防ぐため、専用のビニール袋や感染性廃棄物容器に密閉し管理する必要があります。
  2. ×
    アルコール除菌も効果が無いわけではありませんが、塩素系で消毒したほうが除菌効果が強いため、本問題では誤りとなります。
  3. ×
    2次感染を防ぐためにも、もみ洗いをすることは望ましくありません。塩素系消毒剤で消毒した後に洗う必要があります。

  4. ノロウイルスには塩素系消毒薬が効果的とされており、この選択肢が正解となります。また、他の消毒方法としては熱湯による加熱という方法もあります。
  5. ×
    加熱して消毒する場合は、少なくても85℃から90℃のお湯である必要があります。したがってこの選択肢は誤りです。
解き方のコツ

ノロウイルスに感染した利用者への対応は、マスク・エプロンを着用したうえで行われます。感染症への対応はアルコールを使用することの他に、塩素系で処理する必要があったり、洗濯物を他のものと混ぜない、といった事が重要です。
感染症ごとの対応方法を理解することが重要です。

問55【解説】

問題文

Aさん(85歳,女性,要介護1)は、認知症(dementia)があり判断能力が不十分である。一人暮らしで、介護保険サービスを利用している。訪問介護員(ホームヘルパー)が訪問したときに、物品売買契約書を見つけた。Aさんは,「昨日、訪問販売の業者が来た」「契約書については覚えていない」と話した。
訪問介護員(ホームヘルパー)から連絡を受けたサービス提供責任者が,迅速にクーリング・オフの手続きを相談する相手として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 行政書士
  2. 消費生活センター
  3. 家庭裁判所
  4. 保健所
  5. 相談支援事業所

解答&解説

答:② 消費生活センター
  1. ×
    行政書士は、官公署に提出する許認可などの申請書類の作成・提出手続き代理などを行う専門職であり、相談する相手としては適切ではありません。

  2. 事業者に対する消費者の苦情を聞いたり、相談を行う地方公共団体が設置する機関であり、クーリングオフの手続きを相談する相手として適切です。
  3. ×
    家庭に関する事件の審判や、少年の保護事件の審判などの権限を有する日本の裁判所であり、相談する相手としては適切ではありません。
  4. ×
    保健所は保健・衛生・生活環境等の公衆衛生の向上・増進を図るための機関です。そのため、相談する相手としては適切ではありません。
  5. ×
    相談支援事業所は障害福祉サービス等を申請した障害者(児)について、サービス等利用計画の作成やモニタリングを行う事業であり、クーリング・オフの手続きを相談する相手としては、適切ではありません。
解き方のコツ

各行政機関・事業所の特徴の理解度が求められた問題でした。
クーリング・オフへの対処法は、頻回に試験に出ていますが、主な機関の役割を把握することが大切です。

問56【解説】

問題文

眠れないと訴える高齢者に介護福祉職が行う助言して、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 起床時に日光を浴びるように勧める。
  2. 日中、長い昼寝をするように勧める。
  3. 夕食後2時間以内に就寝するように勧める。
  4. 寝る前に緑茶を飲むように勧める。
  5. 決まった就床時刻を守るように勧める。

解答&解説

答:① 起床時に日光を浴びるように勧める。

  1. 日光を浴びることによって、脳内ではセロトニンという覚醒をうながすホルモンが分泌されます。体内時計を整えることができるため、起床時に日光を浴びることは夜の良質な睡眠に繋がります。
  2. ×
    日中の長い昼寝は生活リズムを狂わしてしまったり、夜の睡眠の質を低下させてしまうため、勧めることは望ましくありません。
  3. ×
    食事を採った後にすぐ眠ると身体は消化吸収に集中することになり、睡眠が浅くなる原因となります。夕食後は少なくとも3時間は時間を置いてから就寝することが望ましいといわれています。
  4. ×
    緑茶には基本的にカフェインという、覚醒作用のある成分が含まれているため、就寝前にとることは、眠りを浅くしてしまう原因になりえます。
  5. ×
    眠れないという高齢者には、生活リズムを整えてもらうために適切な回答のように思えますが、決まった時間に就寝しなければいけないと行動を制限するような発言は望ましくありません。違う声かけで睡眠の質を上げることが望ましいです。
解き方のコツ

介護福祉職の価値観ではなく、利用者の視点に立って、なおかつ問題を解決するための選択が必要となります。
どういった対応をするかも重要ですが、睡眠に影響する行為に関して把握する必要があります。

問57【解説】

問題文

施設における安眠を促すための環境に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 湿度は20%以下に設定する。
  2. 寝衣は、体に密着した形のものを選ぶ。
  3. 冷暖房の風が、体に直接当たるようにする。
  4. 夜間の証明は、部屋全体がはっきり見える明るさにする。
  5. 介護福祉職同士の会話が響かないようにする。

解答&解説

答:⑤ 介護福祉職同士の会話が響かないようにする。
  1. ×
    室内で快適な湿度は40~60%とされており、40%以下になると目や喉の乾燥を感じやすくなります。
  2. ×
    密着したものを着用すると、圧迫感による寝苦しさや風通しが悪くなり発汗につながるため、ゆとりのある服を選ぶ方が、安眠を促しやすくなります。
  3. ×
    冷暖房の風が体に直接当たると、喉や皮膚が乾燥してしまったり、血行不良の原因となり、寝つきを悪くしたり睡眠の質を下げる原因となりえます。
  4. ×
    夜間の照明が明るすぎると、睡眠の妨げとなるため適切ではありません。間接照明などの薄明かりや、足元のみを照らす照明を使用することが理想的です。

  5. 安眠を促すためには、その邪魔となるものを減らすことが必要であり、利用者の耳に不要な会話や音が聞こえないようにする必要があります。
解き方のコツ

自分が寝るときに心地の良い環境がどういったものかと当てはめてみるのも良い手かもしれません。また、人が心地よい環境の数値を知ることは、他の問題にも対応できる知識となるので、要チェックです。

問58【解説】

問題文

睡眠薬を服用している高齢者への介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. アルコールと一緒に服用してもらった。
  2. 服用後、1時間は起きているように伝えた。
  3. 日中、ふらつきがみられたので医師に伝えた。
  4. 通常の量では眠れないと言われたので、追加して飲むように伝えた。
  5. 体調に合わせて服薬時間を変更した。

解答&解説

答:③ 日中、ふらつきがみられたので医師に伝えた。 mellitus)に伴う管理が必要な利用者の爪切りを行う。
  1. ×
    肝臓の代謝に障害が起こったり、酩酊状態になりやすく、薬の副作用を引き起こすなどお互いの作用を増強させるため、アルコールと睡眠薬を併用することはタブーとされています。
  2. ×
    行動を制限・制御しようとする発言をすることは望ましくありません。

  3. 副作用や、日中の行動に異常がみられる場合は医師に相談する必要があります。
  4. ×
    薬の使用量を介護福祉職の判断で決めることは避け、眠れないという訴えがある場合は医師に相談する必要があります。
  5. ×
    上記の使用量の判断と同様に、服薬時間の変更も介護福祉職の判断で行うことは望ましくありません。
解き方のコツ

睡眠薬とアルコールの併用はタブーとされています。また、睡眠薬は医師から処方されているものであり、問題が生じた際には医療職からの助言を受ける必要があります。介護福祉職が判断出来ること・出来ない事の把握をする必要があります。

問59【解説】

問題文

Bさん(83歳,女性)は、介護老人福祉施設に入所している。終末期で、「最期はこの施設で迎えたい」という本人の希望があり、家族もそれを望んでいる。昨日から死前喘鳴が出現し、医師から,「あと数日でしょう」と言われた。
「呼吸が苦しそうだ」と言っている家族への介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 「自然な経過なので体位の工夫をして一緒に見守りましょう」
  2. 「Bさんに意識はないので心配いらないですよ」
  3. 「痰の吸引をすると楽になるので準備しますね」
  4. 「Bさんを励ましてください」
  5. 「すぐに救急車を呼びましょう」

解答&解説

答:① 「自然な経過なので体位の工夫をして一緒に見守りましょう」

  1. 医師から、あと数日であると診断を受けているため、死前喘鳴は自然な経過といえます。少しでも楽な体位に整え、家族には見守るように声をかけることが望ましいです。
  2. ×
    死前喘鳴が出現しているからといって、意識がないとは限りません。また、残される家族にとっての最期の瞬間となる可能性が高いため、声かけ・見守りを促すことが望ましいです。
  3. ×
    吸引しても痰が取れない場合がほとんどであり、音は消えないことが多いです。死前喘鳴の原因音は、喉の奥で唾液や、気道の分泌物が鳴る音であったりするので、痰が原因ではない場合が多いため、吸引を行えば楽になる、というものではありません。
  4. ×
    家族の死への受け止め方にもよりますが、避けようのない死に向かっている本人に励ましを促すのは不適切といえます。福祉職としては、見守りを優先とするべきだと考えられます。
  5. ×
    医師により「あと数日でしょう」と診断を受けているため、救急車を呼ぶことは本人に苦痛を生じさせるのみだと考えられます。したがって、この選択肢も不適切といえます。
解き方のコツ

終末期ケアや、死に向かう利用者に対しての問題は、試験で頻繁に出されます。特に、選択肢1と選択肢4で迷った人が多い問題となったと思われますが、適切な声かけがどういったものか、状況によって判断する必要があるので、知識としての学習以外にも、そういった状況のシミュレーションをすることも重要です。

問60【解説】

問題文

高齢者施設において介護福祉職が行う死亡後の介護について、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. ペースメーカーを取り除く。
  2. 口が閉じない場合は紐で顔を固定する。
  3. 衣類は着衣がしやすい服を選ぶ。
  4. 全身清拭には水を使用する。
  5. 家族に,死亡後の介護を一緒に行うかどうかを確認する。

解答&解説

答:⑤ 食べる様子を観察して適宜食器の位置を変える。
  1. ×
    ペースメーカーを取り除くのは、死後であっても介護福祉職には行うことができません。
  2. ×
    紐で顔を固定するのは故人・家族に対して失礼になります。口を閉めために、喉の奥から左右の下顎の骨の付け根に綿を詰める、頬に綿を詰めるだけでなく綿で歯を作成し、口角が上がるよう調節するといった方法があります。
  3. ×
    着衣がしやすい服を選ぶのではなく、遺族が用意した浴衣や、故人が好んでいた衣類に着替えさせることが一般的です。
  4. ×
    水ではなく、アルコール、またはアルコールを入れたお湯で清拭を行います。

  5. 家族によっては、死亡後の介護を一緒に行いたくない場合、または一緒に行いたい場合があるので、介護福祉職の判断で誰と死亡後の介護の方法を決めるのは不適切です。
解き方のコツ

死亡後の介護は、歴史的な背景も踏まえて学習すると理解しやすい内容になっています。また、死亡後も医療的なことは介護福祉職には行えないことを覚えておきましょう。

介護過程(問61~68)

問61【解説】

問題文

介護過程の目的に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 利用者の価値観を変える。
  2. 利用者の療養上の世話をする。
  3. 利用者の経済的負担を軽減する。
  4. 利用者の望んでいる、よりよい生活を実現する。
  5. 利用者の生活習慣を改善する。

解答&解説

答:④ 利用者の望んでいる、よりよい生活を実現する。
  1. ×
    利用者の価値観は尊重される必要があり、変えることを目標にすることは望ましくありません。
  2. ×
    療養上の世話は医療職の領域であり、介護過程の目標としては不適切となります。
  3. ×
    経済的負担を軽減することは、介護過程の目的には含まれません。

  4. 介護過程は、利用者が望んでいる「よりよい生活」「よりよい人生」の実現または継続を支援することです。具体的な目標は、利用者の自己実現を目指し続けること、多職種協働・連携による適切な支援の提供となります。
  5. ×
    よりよい生活を送るためには、生活習慣の改善も必要となる場合もありますが、介護過程の目的しては不適切となります。
解き方のコツ

介護過程の目的は、利用者が望んでいるもの、利用者主体である必要があります。客観的な最善策ではなく、利用者がどうしたいかを主軸に置く必要があります。

問62【解説】

問題文

介護計画の作成に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 抽出されたニーズを踏まえて目標を設定する。
  2. 内容が明確であれば支援方法の記述は省略する。
  3. 支援方法は「~させる」という使役分で記載する。
  4. 利用者の正しい理解を促すため専門用語を用いる。
  5. 評価の見直しの時期は決めない。

解答&解説

答:① 抽出されたニーズを踏まえて目標を設定する。

  1. 介護計画は、アセスメントによって抽出される「生活全般の解決すべき課題」に対して作成させる必要があります。よって、この選択肢は正しいです。
  2. ×
    内容が明確であっても、支援方法の記述は省略してはいけません。支援計画を見るのは介護福祉職だけではなく、家族や他職種も見る可能性があるため、詳細に記す必要があります。
  3. ×
    介護計画は利用者主体であるため「~させる」といった表現で記述することは望ましくありません。
  4. ×
    誰が見ても分かりやすいように、専門用語は用いらずに分かりやすい表現をすることが求められます。
  5. ×
    評価の見直しの時期・期間を定める必要があります。評価の見直しによって、新たに発生するニーズや、問題への対応が生じる場合があります。
解き方のコツ

介護計画では、問題61と同様に利用者主体であること、そして誰が見ても分かりやすい内容とする必要があります。誰が見ても、というのは利用者を含め、家族や他の職種といった人たちのことで、そういった人たちが不快になったり、理解できない内容は好ましくありません。

問63【解説】

問題文

介護計画の実施に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 介護福祉職の価値観に沿って実施する。
  2. 実施した状況は客観的に記録する。
  3. 計画の内容は実施の直前に家族に伝える。
  4. 他職種への経過報告は目標の達成後に行う。
  5. 利用者の満足度よりも目標の達成を優先する。

解答&解説

答:② 実施した状況は客観的に記録する。
  1. ×
    介護計画の作成・実施は利用者の価値観に沿って実施する必要があります。

  2. 主観的な記述ではなく、客観的に、分かりやすく記録をすることを心掛ける必要があります。
  3. ×
    計画の内容は、計画策定後に家族に伝えることが望ましいです。
  4. ×
    目標の達成後の報告も必要ですが、介護計画の見直しの必要が出てくる場合もあるため、経過報告は定期的に、または何か利用者の状況に変化があった場合に行う必要があります。
  5. ×
    利用者の満足度・目標の達成のどちらも重要ですが、目標の達成を優先することは望ましくありません。どちらも同じく、よりよい結果を目指していく必要があります。
解き方のコツ

実施した状況は、客観的に記録し、適宜報告、実施する前に家族に伝えるといったことが必要となります。
問題61と問題62と同様に、介護計画がなぜ作成されるのかを理解することが、正解にたどり着く早道となります。

問64【解説】

次の事例を読んで、問題64,問題65について答えなさい。
〔事例〕
Cさん(75歳,男性,要介護1)は、脳梗塞(cerebral infarction)を発症した。2カ月前から在宅復帰を目的として介護老人保健施設に入所している。次女は遠方から時々面会に来ているが、長女とは音信不通の状態が続いている。
Cさんは現在、右片麻痺で歩行には杖を使用している。担当の理学療法士から,「レクリエーションには積極的に参加するなど意欲はあるが、歩行状態が思うように改善しないと悩んでいた」との報告があった。
その後、歩行訓練やレクリエーションに参加しなくなり、居室のベッドで寝て過ごすことが多くなった。また、時々尿失禁をするようにになった。
Cさんは,「自宅に帰りたいのに、このまま車いすになったらどうしよう」と担当の介護福祉職に打ち明けた。

問題文

Cさんの介護過程の展開に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 長女から入所前の情報を収集する。
  2. 現状を再アセスメントし、生活課題を抽出する。
  3. 自宅に戻った後の介護計画を立案する。
  4. 尿失禁に対応する介護計画の実施を優先する。
  5. 介護計画の最終的な計画は理学療法士が担当する。

解答&解説

答:② 現状を再アセスメントし、生活課題を抽出する。
  1. ×
    長女は音信不通であり、その理由も分からないため、長女からの情報は現実的ではありません。

  2. Cさんの状態が変わってきているため、再アセスメントを行い、新たな生活課題、それに対する介護計画を作成する必要があります。
  3. ×
    自宅に戻りたいという要望はありますが、自宅に戻るために必要な能力・状況を作り出すことが優先される必要があります。
  4. ×
    尿失禁に対応する介護計画を作成することも大切ですが、優先するべきは家のベットで過ごしてしまい、状態が悪化してしまう可能性のある今の状況からに対する介護計画が優先させる必要があり、本選択肢は不適切となります。
  5. ×
    理学療法士による意見も大切ですが、介護計画は関わっている介護福祉職や医療職といった、多職種で作成することが重要です。
解き方のコツ

現実的な手段で、利用者にとって一番優先されなければならないものは何かを問う質問となっていました。作成者主体ではなく、利用者の視点で考えることが重要です。
また、文面から状況を読み解く力も必要となるため、事例問題は様々な種類を勉強することが確実に解くための勉強方法になります。

問65【解説】

問題文

次の記述のうち、Cさんの短期目標として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 車いすの使用方法を確認する。
  2. 居室のベッドで安静に過ごす。
  3. 次女との同居を実現する。
  4. 今まで以上に、意欲的に歩行訓練に取り組む。
  5. 居室を出てレクリエーションに参加する。

解答&解説

答:⑤ 居室を出てレクリエーションに参加する。
  1. ×
    「自宅に帰りたいのに、このまま車いすになったらどうしよう」と言っているように、Cさんは車いすを使用したくないため、短期目標とすることは不適切です。
  2. ×
    現状を改善しない限り、身体の機能が更に低下する恐れがあり、居室のベッドで過ごすことを目標にするべきではありません。
  3. ×
    本事例ではCさんと次女ともに、同居の希望に関しての記述がなく、次女も遠方での生活があるため、本選択肢は不適切といえます。
  4. ×
    レクリエーションの参加が減っている中で、その参加を増やすことを目標とすることは望ましくありません。まずは、レクリエーションに参加することを目標とすることが適切だと考えられます。

  5. 短期目標は、生活課題を解決するために何をするか、具体的で身近な表現にする必要があります。ベッドで過ごしがちとなってしまったCさんが、これ以上身体の機能を低下させないためにも、短期目標として設定するのは本選択肢が理想的となります。
解き方のコツ

問題64と同様に利用者にとっての最善を選択する必要があります。
短期目標とは、現実的で達成しやすいものを設定されます。短期目標・長期目標ではどういったものが考えられるのかを学習する必要がありますね。

問66【解説】

次の事例を読んで、問題66,問題67について答えなさい。
〔事例〕
Dさん(77歳,男性,要介護2)は、妻と二人で暮らしている。定年まで、高校の体育の教師で野球部の監督をしていた。起居動作に問題はないが、認知症(dementia)と診断されたため、現在、通所介護(デイサービス)を週3回利用している。通所介護(デイサービス)では、短期目標「役割を持ち,意欲的に生活する(3カ月)」と設定し、体操を指導する役割をお願いしていた。
実施1カ月が経過した頃、テレビで高校野球を見たDさんは暗い表情で,「生徒を全国大会に連れて行けなかったのは私の責任だ」と嘆いていた。この日は、担当の介護福祉職が体操の指導をお願いしても,「今すぐ行かなければ」と断った。

問題文

Dさんが体操の指導を断った理由の解釈として、最も可能性が高いものを1つ選びなさい。

  1. 介護福祉職に依頼されたため。
  2. 妻に会いに自宅に帰りたいため。
  3. 高校野球のことが気になっているため。
  4. 立ち上がり動作が不安定なため。
  5. 体育の授業を行うため。

解答&解説

答:③ 高校野球のことが気になっているため。
  1. ×
    今までは体操を依頼するとその役割をこなしてくれていたため、可能性としては低いと考えられます。
  2. ×
    その可能性も考えられますが、テレビで高校野球を見た後の出来事で、今回は妻に会いたいために帰りたいとは考えにくいです。

  3. 自身が野球部の監督をしていたこと、テレビで高校野球を見た後に「生徒を全国大会に連れて行けなかったのは私の責任だ」と言っている事から、この選択の可能性が一番高いです。
  4. ×
    起居動作(立ち上がりや、座るなどの行為)に問題はないと書かれているので、この可能性は考えにくいです。
  5. ×
    定年までは体育教師をされていましたが、選択肢2番と同様に、高校野球を見た後の出来事のため、この可能性も低いといえます。
解き方のコツ

問題文から、利用者が何を考えているかを解く問題でした。事例を読み解く能力が重要となるため、様々な事例問題を解いていくことが正解の鍵となります。
また、言葉の意味を把握することも重要です。「起居動作」の意味が分かれば、選択肢の幅が減った問題でもあり、そういった点も把握することが解決への一歩にもなります。

問67【解説】

問題文

その後も体操の指導を継続していたDさんは、参加者から体操の順番が違うと指摘されて指導の意欲を失い、一人でいることが多くなった。しかし、体操の時間になると遠くからその様子を眺めていた。
Dさんが今後も現在の役割を継続するために、優先して取り組むべき課題として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 体操に対する関心を取り戻すこと。
  2. 体操の内容を変更すること。
  3. 体操を指導する自信を回復すること。
  4. 体操の正しい順番を学び直すこと。
  5. 指摘した参加者に謝ること。

解答&解説

答:③ 体操を指導する自信を回復すること。
  1. ×
    体操の時間になると、遠くからその様子を見ている事から、関心は失っていないと考えられます。
  2. ×
    体操の内容によって指導の意欲を失ったわけでないため、内容を変更することが現在の役割を継続することに結びつくとは考えにくいです。

  3. 体操の指導を行わなくなった理由は、体操の時間になると遠くから見ているという、参加をしたいという気持ちが見られることから、参加者からの指摘によって自信が無くなったためだと考えられます。したがって、自信を回復することが役割を継続するために重要になります。
  4. ×
    指摘される以前は指導を行えていたため、正しい順番に学び直す事よりも自信を取り戻すことが優先されます。
  5. ×
    指摘した参加者に謝ることも必要かもしれませんが、直接的な解決には至らないため、答えとしては不適切です。
解き方のコツ

状況から、利用者が体操に関心を持っているか、そしてどうしたいかという気持ちを理解しているかが問われました。
事例問題は自分に当てはめたり、その場を想像してみると解きやすくなるものもあります。

問68【解説】

問題文

Eさん(70歳,女性,要介護1)は、夫,長男と共に農業をしていた。半年前に脳梗塞(cerebral infarction)で左片麻痺になった。現在は介護老人保健施設に入所し、リハビリテーションに取り組んでいる。介護福祉職が居室を訪れたとき、Eさんが,「料理は苦手なの」「そろそろ夏野菜の収穫の時期ね。収穫は楽しいし、採れたての野菜を近所に配るとみんな喜ぶのよ」と言った。その後,「夫には家事に専念しなさいと言われているから…」とうつむいて言った。
介護福祉職は介護福祉職間のカンファレンス(conference)でEさんの思いを共有した。Eさんの思いとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 農業に関わっていきたい。
  2. 家事に専念したい。
  3. 後継者の育成に関わりたい。
  4. 家でのんびりしたい。
  5. 料理の自信をつけたい。

解答&解説

答:① 消費生活センター

  1. 農業に関して楽しいと言っていること、夫から家事に専念してほしいと言われ落ち込んでいる様子から、Eさんは農業に関わっていきたいと思っていると考えられます。
  2. ×
    家事に専念するように言っているのは夫であり、そのように言われたことに関してうつむいている様子から、Eさんの思いとしては不適切だと考えられます。
  3. ×
    事例からは、後継者の育成に関しての発言はなく、答えとしては不適切です。
  4. ×
    選択肢3番と同様に、事例からは家でのんびりしたいという思いは分からず、不適切であると考えられます。
  5. ×
    料理が苦手であること、また料理をしたいという発言はないため、Eさんは料理の自信をつけたいと思っているとは考えにくいです。
解き方のコツ

発言や、発言をした際の表情や動作によって利用者の心理を理解することが求められた問題でした。
他の事例問題同様、自分に当てはめてみると分かりやすいかもしれません。
また、事例に載っておらず、判断ができない選択肢の取捨選択も問題を解くためには重要な要素となってきます。

発達と老化の理解(問69~76)

問69【解説】

問題文

Aちゃん(1歳3か月)は、父親に抱かれて散歩中である。前方から父親の友人がやってきて、父親がにこやかに友人と話をしていると、Aちゃんは父親にしがみつき、父親の顔と父親の友人の顔を交互に見ている。しばらくすると、Aちゃんは緊張が解けた様子で、友人が立ち去るときには少し笑顔を見せた。
Aちゃんの様子を説明する用語として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 3か月微笑
  2. 社会的参照
  3. クーイング
  4. 自己中心性
  5. 二項関係

解答&解説

答:② 社会的参照
  1. ×
    3か月微笑とは、生後3~4ヶ月になると、誰に対してでも笑顔を見せるようになる微笑反応のことであり、初めは不安そうな素振りを見せていた状況や、年齢を考えると3か月微笑ではないでしょう。

  2. 社会的参照とは、問題が起きた時や、行動を選択しなければいけない場面において、自分だけでは行動の選択がしにくい時、周りの人の表情や態度、反応をみて行動を決定するような現象のことを言います。にこやかに話す父親を見て、同じような行動をとったと考えられ、Aちゃんが笑顔を見せた理由は社会的参照と考えられます。
  3. ×
    クーイングとは生後1か月頃をすぎると徐々に表れる舌を使わない独自の発声方法による「アーアー」「アーウ」といったものです。
  4. ×
    自己中心性とは J.ピアジェが、幼児の精神構造の特徴を表わすために用いた概念であり、自分と他人が区別できないことを指します。
  5. ×
    二項関係とは、情報伝達の発信者と受信者のみが関わる構造の情報伝達のことをいいます。事例では、父親、父親の友人、Aちゃんの3人がいることからこの選択肢は不適切と言えます。
解き方のコツ

乳幼児に関する問題は、試験に出やすい分野となっています。
言葉の意味を理解することが重要です。乳幼児が成長するにあたって、どういった変化が生じるかを知ることが、正解への早道となります。

問70【解説】

問題文

高齢者の年齢規定に関する記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 高齢者等の雇用の安定等に関する法律では、高齢者を75歳以上としている。
  2. 「高齢者虐待防止法」では、高齢者を65歳以上としている。
  3. 高齢者の医療に関する法律では、後期高齢者を65歳以上としている。
  4. 道路交通法では、免許証の特例がある高齢者を60歳以上としている。
  5. 老人福祉法では、高齢者を55歳以上としている。

「高齢者虐待防止法」とは,「高齢者虐待の防止、高齢者の擁護者に対する支援等に関する法律」のことである。

解答&解説

答:② 「高齢者虐待防止法」では、高齢者を65歳以上としている。
  1. ×
    この法律において高齢者とは、55歳以上と厚生労働省に定められています。また、本法律は定年の引上げ、継続雇用制度の導入等による高年齢者の安定した雇用の確保の促進、高年齢者等の再就職の促進等を目的としています。

  2. 「高齢者虐待防止法」では、高齢者を65歳以上としています。虐待の種類として「身体的虐待」「心理的虐待」「経済的虐待」「介護等放棄」があげられます。
  3. ×
    「高齢者の医療の確保に関する法律」では、後期高齢者の年齢は75歳以上とされています。同法律では「前期高齢者」は「65歳から74歳」となっており、区別して覚えましょう。
  4. ×
    「道路交通法」の免許証の特例は70歳から適用されます。具体的には、免許更新時に講習を受ける義務や、高齢運転者標識の貼り付けの努力義務等があります。
  5. ×
    「老人福祉法」での高齢者は65歳以上とされています。高齢者虐待防止法と同じ年齢となっているので、一緒に覚えられると良いですね。
解き方のコツ

老人福祉法や、道路交通法といった各法律の高齢者の定義は様々であり、選択に迷った人も多い問題となったのではないでしょうか。
高齢者に焦点を当て、表にしてみるのも理解するための1つの手だと思われます。

問71【解説】

問題文

加齢に伴う嚥下機能の低下の原因に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 舌骨の位置の上昇
  2. 咽頭の位置の上昇
  3. 舌骨上筋の増大
  4. 咽頭挙上の不足
  5. 咳嗽反射の増強

解答&解説

答:④ 咽頭挙上の不足
  1. ×
    加齢と共に嚥下関連筋の筋量舌骨の位置が下がり嚥下機能の低下に繋がる場合はありますが、舌骨の位置の上昇によって嚥下機能の低下が引き起こされるとは考えにくいため、本選択肢は不適切となります。
  2. ×
    選択肢1番と同様に、加齢により咽頭の位置が下がり嚥下機能の低下に繋がるということは考えられますが、上がることによって嚥下機能が低下するとは考えにくいです。
  3. ×
    選択肢1番2番と同様です。舌骨上筋が増大すれば、嚥下機能も改善されると考えられ、この選択肢は不適切となります。

  4. 咽頭挙上とは、舌が勢いよく口蓋(上顎)に向かって押し上がり、喉が上がることをいいます。飲み込みに必要な行為であり、咽頭挙上が不足していると嚥下機能の低下に繋がります。
  5. ×
    咳嗽反射とは、気管・気管支内に入り込む異物を押し出そうとする反射のことであり、この機能が低下すると嚥下機能の低下に繋がりますが、増強された場合は嚥下機能の向上につながるため、不適切となります。
解き方のコツ

嚥下機能の低下が、加齢によりどういった筋力が低下することによって引き起こされやすいかを理解する必要があります。基本的に筋力が増大する場合、また咳嗽反射といった防衛的機能は、嚥下機能の向上させるので、そういった点も覚えておきましょう。

問72【解説】

問題文

老年期の記憶と注意機能に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 自分の若い頃の記憶では、40歳代の出来事をよく覚えている。
  2. 数字の逆唱課題で答えられる数字の個数は、加齢による影響を受けない。
  3. 複数のことを同時に行う能力は、加齢によって低下する。
  4. 騒がしい場所での作業効率は、若年者より高齢者が高い。
  5. エピソード記憶は、加齢による影響を受けない。

解答&解説

答:③ 複数のことを同時に行う能力は、加齢によって低下する。
  1. ×
    人によって個人差があるため、40歳代の出来事をよく覚えているとは言い切れません。したがって、本選択肢は適切ではありません。
  2. ×
    複数のことを同時に行うために必要な記憶は作動記憶と呼ばれ、加齢により低下する傾向があります。よって、適切ではありません。

  3. 選択肢2番と同様に、作業記憶に関しての説明です。加齢より低下する傾向があり、適切な回答となります。
  4. ×
    若年者よりも高齢者の方が作業をしにくい環境に適しているとは考えにくく、本選択肢は不適切です。
  5. ×
    いつ(時間)、どこで(場所)といった過去のできごとの記憶の事をエピソード記憶と呼び、加齢による記憶能力の低下がみられます。
解き方のコツ

記憶の種類には「短期記憶」「長期記憶」「エピソード記憶」「手続き記憶」「意味記憶」といったものがあり、加齢による影響を受けやすいもの、受けにくいものとわかれています。基本的には記憶は加齢による影響を受けると考えられていますが、「短期記憶」「手続き記憶」は加齢による影響が少ないと言われています。

問73【解説】

問題文

高齢者において、心不全(heart failure)が進行した時に現れる症状に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 安静にすることで速やかに息切れが始まる。
  2. 運動によって呼吸苦が軽減する。
  3. チアノーゼ(cyanosis)が生じる。
  4. 呼吸苦は、座位より仰臥位(背臥位)の方が軽減する。
  5. 下肢に限局した浮腫が生じる。

解答&解説

答:③ チアノーゼ(cyanosis)が生じる。
  1. ×
    心不全見られる症状として、坂道や階段での移動といった運動後の息切れがみられます。安静にすることによって息切れが始まるものではありません。
  2. ×
    運動をすることにより、心不全の症状・呼吸の苦しさが増えると考えられます。

  3. 心不全によって心臓の拍動が弱まると、心臓から押し出される血液の量が減ってしまうため、チアノーゼが生じることがあります。他に症状として「動機」「徒労を感じやすくなる」「低血圧」「冷や汗」「意識障害」等が挙げられます。
  4. ×
    座位になることによって、横隔膜が下がり、呼吸面積が広がることにより、呼吸がしやすくなるため、仰臥位(背臥位)よりも座位の方が呼吸苦は軽減しやすくなります。
  5. ×
    体を起こしていると水分は下にいくため、下肢にむくみが生じやすくなります。しかし、限局して生じるわけではありません。
解き方のコツ

病状についての理解度が求められる問題となっていました。心不全の他にも、不整脈、心筋梗塞、心臓弁膜症、狭心症といった、加齢に伴って生じやすい病気を理解することが望ましいですね。

問74【解説】

問題文

Bさん(82歳,男性)は脳卒中(Stroke)による右片麻痺がある。ほとんどベッド上の生活で、排泄もおむつを使用している。一週間前から咳と鼻汁があり37.2℃の微熱で、元気がなく、いつもより動きが少なかった。食欲も低下して食事を残すようになっていた。今日、おむつの交換をしたときに仙骨部の皮膚があかくなり一部に水疱ができていた。
Bさんの皮膚状態とその対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 圧迫によって血流が悪くなったためである。
  2. 仙骨部にこうしたことが起こるのは、まれである。
  3. 食事量の低下とは無関係である。
  4. 体位交換は、できるだけ避ける。
  5. おむつの交換は、できるだけ控える。

解答&解説

答:① 圧迫によって血流が悪くなったためである。

  1. 褥瘡(床ずれ)になる前段階と考えられます。褥瘡は寝たきりなどによって、体重で圧迫されている場所の血流が悪くなったり滞ることで起きるため、状態がより悪化する前に、対応策を講じる必要があります。
  2. ×
    仰臥位(背臥位)の状態では仙骨部に体重がかかりやすく、赤くなったり褥瘡ができやすい箇所の1つとなっています。
  3. ×
    栄養状態の悪化は、皮膚状態が改善しづらくなったり、血流が悪くなる原因になるため、無関係ではありません。
  4. ×
    同じ個所に体重がかかり続けるのを避けるため、定期的な体位交換を行うことが必要です。
  5. ×
    皮膚状態を良好に保つためには、清潔を保つ必要があります。皮膚が赤くなることによっておむつの交換を避ける必要はないため、この選択肢は誤りとなります。
解き方のコツ

褥瘡や発赤となる原因を理解することが必要です。同じ位置に負荷がかかり続けたり、低栄養状態だと皮膚状態は悪化しやすい傾向にあります。また、その対応策や介護福祉職が出来ることも把握しておきましょう。

問75【解説】

問題文

次のうち、高齢者の栄養状態を良好に維持するための対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 歯科健康診査を受ける。
  2. 複数の薬剤を併用する。
  3. 外出を控える。
  4. 一人で食事する。
  5. たんぱく質を制限する。

解答&解説

答:① 歯科健康診査を受ける。

  1. 歯科健康診査による栄養指導は、高齢者の栄養状態を良好に維持するための対応として適切です。
  2. ×
    複数の薬剤を併用することが、栄養状態が良好となることに直接結びつくものではありません。生活習慣や食生活が重要であり、選択としては不適切です。
  3. ×
    外出を控えることと、栄養状態とは直接的な関係は薄いと考えられます。外出することは適度な運動、良好な精神状態を保つのにも繋がり、栄養状態を良好にするきっかけにもなりえます。
  4. ×
    一人で食事をする(個食)は好きなものを選びがちであり、栄養に偏りが生じやすいと考えられています。食事の楽しさを得るためにも、家族や友人等と複数人で食事をすることが望ましいでしょう。
  5. ×
    たんぱく質を制限することが、栄養状態を良好にするとは考えにくいため、本選択肢は不適切です。
解き方のコツ

栄養状態をより良くするためには、食事を採る環境を考える必要、そしてそれを客観的に診察してもらう必要があります。栄養状態は自分自身では把握しにくいので、周りの人たちが関わってくるものだと考えても良いでしょう。

問76【解説】

問題文

糖尿病(diabetes mellitus)のある高齢者が転倒して、骨折(fracture)した。入院治療後に再び自宅治療を続けるための専門職の役割として、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 看護師は、糖尿病(diabetes mellitus)の薬の処方箋を交付する。
  2. 理学療法士は、糖尿病(diabetes mellitus)の食事メニューを考える。
  3. 管理栄養士は、自宅で料理ができるような作業訓練をする。
  4. 訪問介護員(ホームヘルパー)は、居宅サービス計画を立案する。
  5. 介護支援専門員(ケアマネジャー)は、訪問リハビリテーションの利用を提案する。

解答&解説

答:⑤ 介護支援専門員(ケアマネジャー)は、訪問リハビリテーションの利用を提案する。
  1. ×
    薬の処方箋を交付するのは、医師の役割であるため誤りです。
  2. ×
    糖尿病の食事メニューを考えるのは、管理栄養士の役割であるため誤りです。
  3. ×
    自宅で料理ができるような作業訓練は、作業療法士の役割であるため誤りです。
  4. ×
    居宅サービス計画の立案は、ケアマネージャーの役割であるため誤りです。

  5. 介護支援専門員が訪問リハビリテーションの利用を提案します。

認知症の理解(問77~86)

問77【解説】

問題文

2012年(平成24年)の認知症高齢者数と2025年(平成37年)の認知症高齢者数に関する推計値(「平成29年版高齢社会白書」(内閣府))の組み合わせとして、適切なものを1つ選びなさい

  1. 162万人ー約400万人
  2. 262万人ー約500万人
  3. 362万人ー約600万人
  4. 462万人ー約700万人
  5. 562万人ー約800万人

解答&解説

答:④ 462万人ー約700万人
  1. ×
  2. ×
  3. ×

  4. 平成29年版高齢社会白書によると、2012年の認知症高齢者は462万人で、65歳以上の高齢者の約7人に1人の割合を占めているのに対し、2025年には約5人に1人となる推計がなされています。
  5. ×

平成37年とは令和7年のことである。

問78【解説】

問題文

認知症(dementia)の行動・心理症状(BPSD)に関する記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. トイレの水を流すことができない。
  2. 物事の計画を立てることができない。
  3. 言葉を発することができない。
  4. 親しい人がわからない。
  5. 昼夜逆転が生じる。

解答&解説

答:⑤ 昼夜逆転が生じる。
  1. ×
    失行に当てはまり、認知症の中核症状であるため誤りです。
  2. ×
    計画的にものごとが実行できなくなる実行機能障害は、認知症の中核症状であるため誤りです。
  3. ×
    失声症に当たり、認知症のBPSDではないため誤りです。
  4. ×
    見当識障害に当てはまり、認知症の中核症状であるため誤りです。

  5. 睡眠障害は認知症のBPSDです。

問79【解説】

問題文

高齢者のせん妄(delirium)の特徴として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 薬剤によって生じることがある。
  2. 症状の変動は少ない。
  3. 意識レベルは清明であることが多い。
  4. 徐々に悪化する場合が多い。
  5. 幻覚を伴うことは少ない。

解答&解説

答:① 薬剤によって生じることがある。

  1. 病気のほか、薬剤が原因で起きることもあります。
  2. ×
    夕方から夜間にかけて変動する精神障害であるため、誤りです。
  3. ×
    認知症とは異なり、意識障害があるため誤りです。
  4. ×
    症状は一過性・一時的であるため誤りです。
  5. ×
    妄想や幻覚、幻聴を伴うため誤りです。

問80【解説】

問題文

認知症(dementia)の初期症状に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 血管性認知症(vascular dementia)では、幻覚が認められる。
  2. 正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus)では、歩行障害が認められる。
  3. 前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia)では、エピソード記憶の障害が認められる。
  4. アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer`s type)では、失禁が認められる。
  5. レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)では、もの盗られ妄想が認められる。

解答&解説

答:② 正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus)では、歩行障害が認められる。
  1. ×
    レビー小体型認知症の初期症状の説明であるため、誤りです。

  2. 歩行障害のほか、物忘れや無気力、尿失禁などの初期症状がみられます。
  3. ×
    アルツハイマー型認知症の初期症状の説明であるため、誤りです。
  4. ×
    失禁は認知症の進行に伴う症状であるため、誤りです。
  5. ×
    もの盗られ妄想は認知症の初期症状ですが、レビー小体型認知症の初期症状は幻視や記憶障害であるため、誤りです。

問81【解説】

問題文

認知症(dementia)の発症リスクを低減させる行動に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 抗認知症薬を服用する。
  2. 睡眠時間を減らす。
  3. 集団での交流活動に参加する。
  4. 運動の機会を減らす。
  5. 飽和脂肪酸を多く含む食事を心がける。

解答&解説

答:③ 集団での交流活動に参加する。
  1. ×
    抗認知症薬は発症した認知症の進行を遅らせるために使われるため、誤りです。
  2. ×
    睡眠不足は発症リスクを上げる要因となるため、誤りです。

  3. 人との交流によって脳に刺激が与えられるため、発症リスクを抑えることができます。
  4. ×
    運動は脳に刺激を与え、発症リスクを抑える効果があるため、運動の機会を減らすのは誤りです。
  5. ×
    肉類などの飽和脂肪酸の過剰摂取は、発症リスクを上げるため、誤りです。

問82【解説】

問題文

抗認知症薬に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 若年性アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer`s type with early onset)には効果がない。
  2. 高度のアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer`s type)には効果がない。
  3. レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)には効果がない。
  4. 症状の進行を完全に止めることはできない。
  5. 複数の抗認知症薬の併用は認められていない。

解答&解説

答:④ 症状の進行を完全に止めることはできない。
  1. ×
    2016年に抗認知症薬の種類が追加され、若年性アルツハイマー型認知症への効果が確認されているため、誤りです。
  2. ×
    軽度から高度まで進行度に応じた抗認知症薬が使用されているため、誤りです。
  3. ×
    ドネペジル(アリセプト)はレビー小体型認知症にも適応しています。

  4. 認知症の進行速度を緩やかにすることはできますが、完全に止めることは出来ません。
  5. ×
    進行度や周辺症状に応じて、複数の薬を併用する場合があります。

問83【解説】

問題文

前頭側型認知症(frontotemporal dementia)の症状のある人への介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 周回がある場合は、GPS追跡機で居場所を確認する。
  2. 甘い食べ物へのこだわりに対しては、甘い物を制限する。
  3. 常同行動がある場合は、本人と周囲の人が納得できる生活習慣を確立する。
  4. 脱抑制がある場合は、抗認知症薬の服薬介護をする。
  5. 施設内で職員に暴力をふるったときは、警察に連絡する。

解答&解説

答:③ 常同行動がある場合は、本人と周囲の人が納得できる生活習慣を確立する。
  1. ×
    徘徊ではなく周回とあり、GPSを使用する理由がないため誤りです。
  2. ×
    小分けにするなどして管理するのが望ましいです。食べ物に制限をかけると、異食のリスクが高くなるため誤りです。

  3. 時間へのこだわりを利用して、本人が納得できる生活習慣とするのが望ましいです。
  4. ×
    身体拘束のドラッグロックに当たるため、安易に行ってはいけません。
  5. ×
    まず上司や管理者へ報告して、利用者と話をしてもらうことが最優先であるため、誤りです。

問84【解説】

問題文

Cさん(78際、男性、要介護2)は、4年前にアルツハイマー型認知症(dementia of Alzheimer’s type)と診断を受け、通所介護(デイサービス)を週1回利用している。以前からパソコンで日記をつけていたが、最近はパソコンの操作に迷い、イライラして怒りっぽくなったと娘から相談を受けた。
介護福祉職が娘に対して最初に行う助言の内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. パソコンの処分
  2. パソコンの使い方の手助け
  3. 日記帳の購入
  4. 薬物治療について主治医に相談
  5. 施設入所について介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談

解答&解説

答:② 介護支援専門員(ケアマネジャー)は、訪問リハビリテーションの利用を提案する。
  1. ×
    ご本人の習慣を取り上げることになるため、誤りです。

  2. 最初の助言としては、娘さんに操作の手助けを提案するのが適切です。
  3. ×
    イライラの理由はパソコン操作ができなくなったことであるため、日記帳の購入は問題の解決になりません。したがって誤りです。
  4. ×
    受診する場合には経過観察が必要となるため、最初に医師相談は適切といえないため誤りです。
  5. ×
    4と同じ理由で、最初に施設入所を勧めるのは適切でないため誤りです。

問85【解説】

問題文

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)で生活している軽度のアルツハイマー型認知症(dementia of Alzheimer’s type)のDさんは、大腿骨の頸部を骨折(fracture)して入院することになった。認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の介護福祉職が果たす役割として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 理学療法士に、リハビリテーションの指示をしても理解できないと伝える。
  2. 介護支援専門員(ケアマネジャー)に、地域ケア会議の開催を依頼する。
  3. 医師に、夜間は騒ぐ可能性があるので睡眠薬の処方を依頼する。
  4. 看護師に、日常生活の状況を伝える。
  5. 保佐人に、治療方法の決定を依頼する。

解答&解説

答:④ 看護師に、日常生活の状況を伝える。
  1. ×
    事例から読み取れない記述があるため誤りです。
  2. ×
    地域ケア会議は地域包括支援センターが開催します。
  3. ×
    処方薬の内容を医師に伝えるまでは良いですが、処方の依頼は身体拘束に当たるため、誤りです。

  4. 生活場所が変わるため、Dさんの日常生活の状況を看護師に伝える必要があります。
  5. ×
    治療方法に関して、Dさんが同意可能か事例からは読み取れないため誤りです。

問86【解説】

問題文

Eさん(75歳、男性)は、1年ほど前に趣味であった車の運転をやめてから、やる気が起こらなくなり自宅に閉じこもりがちになった。そのため、家族の勧めで介護教室に参加するようになった。最近、Eさんは怒りっぽく、また、直前の出来事を覚えていないことが増え、心配した家族が介護福祉職に相談した。
相談を受けた介護福祉職の助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 「認知症(dementia)でしょう」
  2. 「趣味の車の運転を再開するといいでしょう」
  3. 「老人クラブに参加するといいでしょう」
  4. 「音楽を流して気分転換するといいでしょう」
  5. 「かかりつけ医に診てもらうといいでしょう」

解答&解説

答:⑤ 「かかりつけ医に診てもらうといいでしょう」
  1. ×
    医療機関で診断を受ける必要があるため、誤りです。
  2. ×
    Eさんが怒りっぽくなり、最近の出来事を覚えていないことが直近の問題です。車の運転を再開しても解決につながらないため誤りです。
  3. ×
    Eさんは既に介護予防教室に参加しているため、誤りです。
  4. ×
    介護福祉職本位の助言であるため誤りです。

  5. 直前の記憶が薄れているので、医師への相談が適切です。

障がいの理解(問87~96)

問87【解説】

問題文

ICIDH(International Classification of Impairments, Disabilities and Handicaps:国際障害分類)における能力障害として、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 日常生活動作(Activities of Daily Living:ADL)の障害
  2. 運動麻痺
  3. 失語
  4. 職場復帰困難
  5. 経済的不利益

解答&解説

答:① 日常生活動作(Activities of Daily Living:ADL)の障害

  1. 日常生活動作に関する障害を意味します。
  2. ×
    機能障害に分類されます。
  3. ×
    機能障害に分類されます。
  4. ×
    社会的不利に分類されます。
  5. ×
    社会的不利に分類されます。

問88【解説】

問題文

「障害者差別解消法」に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 法の対象者は、身体障害者手帳を持っている人である。
  2. 合理的配慮とは、全ての障害者に同じ配慮をすることである。
  3. 共生社会の実現を目指している。
  4. 障害者は、合理的配慮の提供に努めなければならない。
  5. 障害者差別解消支援地域協議会は、民間事業者で組織される。

「障害者差別解消法」とは、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」のことである。

解答&解説

答:③ 共生社会の実現を目指している。
  1. ×
    法の対象者は障害の有無にかかわらず、全ての国民であるため、誤りです。
  2. ×
    同じ配慮ではなく、一人一人の特徴や状況に応じて発生する障害を取り除くため、適切な配慮をすることなので誤りです。

  3. 法律の目的は障害のある人もない人も、互いにその人らしさを認め合いながら共に生きる社会を目指すことです。
  4. ×
    合理的配慮の提供に努めるのは障害をもたない健常者であるため誤りです。
  5. ×
    国及び地方公共団体の機関のうち、障害者施策に関連する部署をはじめ、NPO法人などの団体、学識経験者などで組織されるため誤りです。

問89【解説】

問題文

痙直型や不随意運動型(アテトーゼ型(athetosis))などの分類がある疾患として、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 筋ジストロフィー(muscular dystrophy)
  2. 脊髄小脳変性症(spinocerebellar degenerayion)
  3. 脳血管疾患(cerebrovascular disease)
  4. 脳性麻痺(cerebral palsy)
  5. 脊髄損傷(spinal cord injury)

解答&解説

答:④ 脳性麻痺(cerebral palsy)
  1. ×
  2. ×
  3. ×

  4. 痙直型・アテトーゼ型のほか、強剛型、緊張低下・失調型、混合型・痙直強剛型があります。
  5. ×

問90【解説】

問題文

内因性精神障害に分類される疾患として、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 脳腫瘍(brain tumor)
  2. アルコール依存症(aicohol dependence)
  3. パニック障害(panic disorder)
  4. 認知症(dementia)
  5. 統合失調症(schizophrenia)

解答&解説

答:⑤ 統合失調症(schizophrenia)
  1. ×
    外因性精神障害に分類されるため誤りです。
  2. ×
    外因性精神障害に分類されるため誤りです。
  3. ×
    不安障害に分類されるため誤りです。
  4. ×
    後天的原因により生じる知能障害であり、精神障害とは異なるため誤りです。

  5. 内因性精神障害に分類されます。

問91【解説】

問題文

Fさん(26歳)は重度の知的障害があり、施設入所支援を利用している。次のうち、Fさんが地域移行する時の社会資源として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. ケアハウス
  2. 共同生活援助(グループホーム)
  3. 自立支援医療
  4. 精神科病院
  5. 同行援護

解答&解説

答:② 共同生活援助(グループホーム)
  1. ×
    生活が自立した方向けの施設のため、誤りです。

  2. 選択肢のうち、夜間に生活支援を受けられるのはグループホームだけです。
  3. ×
    Fさんは施設入所支援を利用しているため、誤りです。
  4. ×
    Fさんは治療ではなく生活支援を必要とするため、誤りです。
  5. ×
    Fさんは外出時だけでなく日常生活全般で支援を必要とするため、誤りです。

問92【解説】

問題文

自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)の特性として、最も適切なものを選びなさい。

  1. 読み書きの障害
  2. 社会性の障害
  3. 注意の障害
  4. 行為障害
  5. 運動障害

解答&解説

答:② 社会性の障害
  1. ×

  2. 対人関係が苦手で自分のやり方に強いこだわりを持つ発達障害の一つです。
  3. ×
  4. ×
  5. ×

問93【解説】

問題文

筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 免疫疾患である。
  2. 振戦や筋固縮が主な症状である。
  3. 視力や聴力は保たれる。
  4. 運動失調が現れる。
  5. 全身の臓器に炎症を起こす。

解答&解説

答:③ 視力や聴力は保たれる。
  1. ×
    運動神経細胞の死滅によって起きる疾患であるため、誤りです。
  2. ×
    手足が動かせないだけでなく、嚥下障害や呼吸障害を伴う症状があるため誤りです。

  3. 体を動かせなくなりますが、五感は保たれます。
  4. ×
    初期症状として見られることはありますが、疾患の説明としては誤りです。
  5. ×
    臓器の炎症ではなく、神経の炎症を伴うため誤りです。

問94【解説】

問題文

Gさん(56歳、男性)は糖尿病性網膜症(diabetic retinopathy)に伴う眼底出血を繰り返して、治療を受けていた。医師から失明は避けられないと説明を受けた。その後、Gさんは周囲に怒りをぶつけたり、壁に頭を打ち付けたりという行動が見られるようになった。
このときのGさんの障害受容の状況として、最も適切なものを選びなさい。

  1. ショックではあるが、不安はそれほど強くない。
  2. 自分には障害はないと否認する。
  3. 前向きに自己努力を図ろうとする。
  4. 否認ができずに混乱する。
  5. 新しい価値観や役割を見いだす。

解答&解説

答:④ 否認ができずに混乱する。
  1. ×
    Gさんの行動から、不安や苛立ちが感じられるため誤りです。
  2. ×
    Gさんの行動から、自身の障害を認識していることが分かるため誤りです。
  3. ×
    Gさんの行動から、障害を受け入れられないことが分かるため誤りです。

  4. 医師の言葉を受け入れられず、混乱していると考えられます。
  5. ×
    Gさんの行動から、その状況まで至っていないことが分かるため誤りです。

問95【解説】

問題文

パーキンソン病(Parkinson disease)のHさんは、最近、立位時の前傾姿勢が強くなり、歩行時の方向転換が不安定になり始めた。日常生活動作には介助を必要としない。
Hさんのホーエン・ヤール重症度分類として、最も適切なものを選びなさい。

  1. ステージⅠ
  2. ステージⅡ
  3. ステージⅢ
  4. ステージⅣ
  5. ステージⅤ

解答&解説

答:③ ステージⅢ
  1. ×
    ステージIでは姿勢反射障害がないため誤りです。
  2. ×
    ステージⅡでは姿勢反射障害がないため誤りです。

  3. 姿勢反射障害がありますが、日常生活動作に介助を必要としないため、重症度分類はステージⅢです。
  4. ×
    ステージⅣでは日常生活動作に介助を要するため誤りです。
  5. ×
    ステージⅤでは日常生活動作に介助を要するため誤りです。

問96【解説】

問題文

制度化された地域の社会資源として、最も適切なものを選びなさい。

  1. 家族会が行う悩み相談
  2. 近隣の住民からの善意の声かけ
  3. 同居家族が行う身の周りの介護
  4. コンビニエンスストアによる見守り
  5. 民生委員が行う相談・援助

解答&解説

答:⑤ 民生委員が行う相談・援助
  1. ×
    誰もが利用できる家族会の悩み相談は、公的なサービスではないため誤りです。
  2. ×
    近隣住民の声掛けは、公的なサービスではないため誤りです。
  3. ×
    家族による介護は、公的なサービスではないため誤りです。
  4. ×
    実際に自治体と見守り協定を結んでいるコンビニもありますが、公的なサービスではないため誤りです。

  5. 民生委員は地域住民の立場から生活や福祉全般に関する相談・援助活動を行うよう制度化されています。

こころとからだのしくみ(問97~108)

問97【解説】

問題文

マズロー(Maslow.A.)の欲求階層説の所属・愛情欲求に相当するものとして、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 生命を脅かされないこと
  2. 他者からの賞賛
  3. 自分の遺伝子の継続
  4. 好意がある他者との良好な関係
  5. 自分自身の向上

解答&解説

答:④ 好意がある他者との良好な関係
  1. ×
    第1段階の生理的欲求に当たるため、誤りです。
  2. ×
    第4段階の承認欲求に当たるため、誤りです。
  3. ×
    第2段階の安全欲求に当たるため、誤りです。

  4. 第3段階の社会的欲求に当たります。
  5. ×
    第5段階の自己実現欲求に当たるため、誤りです。

問98【解説】

問題文

皮膚の痛みの感覚を受け取る大脳の機能局在の部位として、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 頭頂葉
  2. 前頭葉
  3. 側頭葉
  4. 後頭葉
  5. 大脳辺緑系

解答&解説

答:① 頭頂葉

  1. 空間の知覚機能・接触・圧力・温度・痛みなどの感覚情報処理を行う部分です。
  2. ×
    思考、意思、創造力などをつかさどる部分なので誤りです。
  3. ×
    言語理解、感情制御、記憶や物事の判断、聴覚をつかさどる部分なので、誤りです。
  4. ×
    色・形などの視覚情報を処理する部分なので誤りです。
  5. ×
    情動の表出や本能、記憶をつかさどる部分なので誤りです。

問99【解説】

問題文

爪や指の変化と、そこから推測される疾患・病態との組み合わせとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 爪の白濁ーチアノーゼ(cyanosis)
  2. 巻爪ー心疾患
  3. さじ状爪ー鉄欠乏症貧血(iron deficiency anemia)
  4. ばち状指ー栄養障害
  5. 青紫色の爪ー爪白癬

解答&解説

答:③ さじ状爪ー鉄欠乏症貧血(iron deficiency anemia)
  1. ×
    爪白癬が原因と考えられるため誤りです
  2. ×
    物理的な外力が原因と考えられるため誤りです。

  3. 鉄欠乏性貧血に特有の症状です。
  4. ×
    肺や気管支などの呼吸器系疾患が原因と考えられるため誤りです。
  5. ×
    チアノーゼが原因と考えられるため誤りです。

問100【解説】

問題文

口臭に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 歯がない場合に起こりやすい。
  2. 唾液量が多いと生じる。
  3. ウイルス感染の原因となることがある。
  4. 食事量が増加した場合に起こりやすい。
  5. 他者との交流を避ける原因となることがある。

解答&解説

答:⑤ 他者との交流を避ける原因となることがある。
  1. ×
    歯周病や虫歯などが原因となるため誤りです。
  2. ×
    唾液分泌の減少により、細菌の増殖が原因で生じるので誤りです。
  3. ×
    ウィルス感染による疾患が原因で口臭が強くなることはありますが、その逆はないので誤りです。
  4. ×
    食事量が減少すると唾液の分泌が少なくなり、口臭の原因となります。したがって誤りです。

  5. 口臭は他者との交流を避ける原因になります。

問101【解説】

問題文

高齢者の大腿骨頸部骨折に関する記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 転落によって生じることが最も多い。
  2. 骨折の直後は無症状である。
  3. リハビリテーションは早期に開始する。
  4. 保存治療を行う。
  5. 予後は良好である。

解答&解説

答:③ リハビリテーションは早期に開始する。
  1. ×
    転倒が最も多い。
  2. ×
    痛みを訴えることが多い。

  3. 早期に開始することで、治癒が早くなるため正解。
  4. ×
    一般的には行われない。
  5. ×
    寝たきりとなる可能性もあるため良好とはいえない。

問102【解説】

問題文

摂食、嚥下のプロセスに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 先行期は、唾液分泌が増加する
  2. 準備期は、嚥下性無呼吸がみられる。
  3. 口腔期は、喉頭が閉鎖する。
  4. 咽頭期は、食塊を形成する。
  5. 食道期は、随意的な運動である。

解答&解説

答:① 先行期は、唾液分泌が増加する

  1. 食物を認識して口に運ぶ前の時期をいう。
  2. ×
    食塊を形成する時期である。
  3. ×
    食塊を口腔から咽頭へ送り込む時期である。
  4. ×
    食塊が咽頭を通過する時期である。
  5. ×
    蠕動運動により胃へと運ばれる時期である。

問103【解説】

問題文

Jさん(80歳、男性)は、アルツハイマー型認知症と診断され、半年前から認知症対応型共同生活介護(グループホーム)に入居している。最近Jさんは、トイレに行きたいと言ってグループホーム内を歩き回った後に失禁するようになった。
Jさんの排泄の様子として最も適切なものを選びなさい。

  1. 反射性尿失禁
  2. 心因性頻尿
  3. 溢流性尿失禁
  4. 機能性尿失禁
  5. 腹圧性尿失禁

解答&解説

答:④ 機能性尿失禁
  1. ×
    脊髄損傷などにより、意識に関係なく出てしまうことをいう。
  2. ×
    緊張や不安によって起こる頻尿のこと。
  3. ×
    残尿が膀胱から漏れてしまう失禁をいう。

  4. 排尿機能は正常ですが、身体機能の低下や認知症などのために起こる。
  5. ×
    重い荷物を持った時やジャンプして出る場合などをいう。

問104【解説】

問題文

正常な尿に関する記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 1日に約1グラムのたんぱく質が排出される。
  2. 1日に約10グラムのブドウ糖が排出される。
  3. 排尿直後はアンモニア臭がする。
  4. 排尿直後はアルカリ性である。
  5. 排尿直後は、淡黄色で透明である。

解答&解説

答:⑤ 排尿直後は、淡黄色で透明である。
  1. ×
    たんぱく質は排出されない。
  2. ×
    ブドウ糖は排出されない。
  3. ×
    アンモニア臭はしない。
  4. ×
    弱酸性である。

  5. 正常な尿の特徴となるため正解。

問105【解説】

問題文

弛緩性便秘の原因に関する記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 食物繊維の摂取不足
  2. 排便を我慢する習慣
  3. 腹圧の低下
  4. 大腸のけいれん
  5. がんによる通過障害

解答&解説

答:① 食物繊維の摂取不足
  1. ×
  2. ×
  3. ×
  4. ×

問106【解説】

問題文

抗ヒスタミン薬の睡眠への影響として、適切なものを1つ選びなさい

  1. 睡眠後、短時間で覚醒する。
  2. 夜間に十分睡眠をとっても、日中に強い眠気がある。
  3. 睡眠中に足が痛がゆくなる。
  4. 睡眠中に無呼吸が生じる。
  5. 夢の中の行動が、そのまま現実の行動として現れる。

解答&解説

答:② 夜間に十分睡眠をとっても、日中に強い眠気がある。
  1. ×
  2. ×
  3. ×
  4. ×

問107【解説】

問題文

終末期に自分が望むケアをあらかじめ書面にしておくことを表す用語として正しいものを1つ選びなさい。

  1. ターミナルケア
  2. インフォームドコンセント
  3. リビングウィル
  4. デスカンファレンス
  5. グリーフケア

解答&解説

答:③ リビングウィル
  1. ×
    終末期のケアの意味。
  2. ×
    医師と患者が、十分な情報を得たうえで治療方法の合意をすること。

  3. 生前の意志の意味。
  4. ×
    死後のケアの意味。
  5. ×
    遺族の複雑な心境を取り除くように行われるケアの意味。

問108【解説】

問題文

死亡直前にみられる身体の変化として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 関節の強直
  2. 角膜の混濁
  3. 皮膚の死斑
  4. 下顎呼吸の出現
  5. 筋肉の硬直

解答&解説

答:④ 下顎呼吸の出現
  1. ×
    死後にみられる。
  2. ×
    死後にみられる。
  3. ×
    死後にみられる。

  4. 呼吸の乱れが発生する。
  5. ×
    死後にみられる。

医療ケア(問109~113)

問109【解説】

問題文

介護福祉士が医師の支持の下で行う喀痰吸引の範囲として正しいものを1つ選びなさい。

  1. 咽頭の手前まで
  2. 咽頭まで
  3. 喉頭まで
  4. 気管の手前まで
  5. 気管分岐部まで

解答&解説

答:① 咽頭の手前まで

  1. 適している。
  2. ×
    適切ではない。
  3. ×
    適切ではない。
  4. ×
    適切ではない。
  5. ×
    適切ではない。

問110【解説】

問題文

2011年(平成23)の社会福祉士及び、介護福祉士法の改正にもとずいて、
介護福祉士による実施が可能になった喀痰吸引等の制度に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 喀痰吸引や経管栄養は、医行為から除外された。
  2. 喀痰吸引等を行うためには、実施研修を修了する必要がある。
  3. 介護福祉士は病院で喀痰吸引を実施できる。
  4. 介護福祉士は、この制度の基本研修の講師ができる。
  5. 実施できる行為の1つとして、インスリン注射がある。

解答&解説

答:② 喀痰吸引等を行うためには、実施研修を修了する必要がある。
  1. ×
    除外されていない。

  2. 正しい。
  3. ×
    病院では主に看護師が対応する。
  4. ×
    看護師資格が必要である。
  5. ×
    インスリン注射は介護福祉士が行うことができない。

問111【解説】

問題文

Kさん(76歳)は、日ごろから痰がからむことがあり、介護福祉士が喀痰吸引を行っている。
鼻腔内吸引を実施したところ、吸引物に血液が少量混じっていた。
Kさんは、「痰は取りきれたようだ。」と言っており、呼吸は落ち着いている。
このときの介護福祉士の対応に関する記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 出血していそうなところに吸引チューブをとどめる。
  2. 吸引圧を弱くして再度吸引する。
  3. 血液の混じりがなくなるまで繰り返し吸引する。
  4. 鼻腔と口腔のなかを観察する。
  5. 鼻腔内を消毒する。

解答&解説

答:④ 鼻腔と口腔のなかを観察する。
  1. ×
    適していない。
  2. ×
    吸引圧は設定値から変更しない。
  3. ×
    出血があった際は看護師に報告する。

  4. 正しい。
  5. ×
    消毒は看護師や医師が対応する。

問112【解説】

問題文

口腔内、鼻腔内の喀痰吸引に必要な物品の管理に関する次の記述のうち、
最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 吸引チューブの保管方法のうち、乾燥法では、浸漬法に比べて短時間で細菌が死滅する。
  2. 浸漬法で用いる消毒液は、72時間を目安に交換する。
  3. 吸引チューブの洗浄には、アルコール消毒液を用いる。
  4. 吸引チューブの洗浄水は、24時間を目安に交換する。
  5. 吸引物は、吸引びんの70~80%になる前に廃棄する。

解答&解説

答:⑤ 複数のことを同時に行う能力は、加齢によって低下する。
  1. ×
    適切ではない。
  2. ×
    24時間おきに交換する。
  3. ×
    滅菌水を用いる。
  4. ×
    8時間を目安に交換する。

  5. 適切である。

問113【解説】

問題文

経験栄養の実施時に、冷蔵庫に保管していた栄養剤を指示どおりの温度にせずそのまま注入した時に起こる状態として、最も可能性の高いものを1つ選びなさい。

  1. 呼吸困難
  2. 胃ろう周囲のびらん
  3. 下痢
  4. 褥瘡
  5. 低血糖

解答&解説

答:③ 下痢
  1. ×
    適切ではない。
  2. ×
    適切ではない。

  3. 適切な温度を管理しないことで起こる発生原因になる。
  4. ×
    適切ではない。
  5. ×
    適切ではない。

総合問題1(問114~116)

総合問題1

次の事例を読んで、問題114から問題116までについて答えなさい。

Lさん(78歳、女性)は1人暮らしをしている。「もったいない」が口癖で、物を大切にし食べ物を残さないようにして生活している。
半年前、脳の細い血管が詰まっていることがわかり、入院して治療を受けた。左半身にしびれがあり、右ひざの変形性関節症で痛みもあったために、介護保険の申請をしたところ、要介護1になった。
家事はできるだけ自分でしたいという希望から、週に2回、訪問介護を利用して、掃除と調理を訪問介護員と一緒にしている。

問114【解説】

問題文

Lさんが入院するきっかけになった脳の疾患として、適切なものを1つ選びなさい。

  1. ラクナ梗塞
  2. くも膜下出血
  3. 慢性硬膜下血腫
  4. 正常圧水頭症
  5. 高次脳機能障害

解答&解説

答:① ラクナ梗塞

  1. 細い血管が詰まってしまうことで起こる。
  2. ×
    くも膜下への出血で起こる。
  3. ×
    激しく頭をぶつけた場合に発症しやすい。
  4. ×
    小刻みな歩行や物忘れ、尿失禁などの症状が出やすい。
  5. ×
    病気や事故によって発症しやすい。

問115【解説】

問題文

ある日、Lさんと一緒に調理していた訪問介護員は、賞味期限が2日前に切れた缶詰をみつけた。Lさんに対して訪問介護員がとる行動として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 黙って処分する
  2. 食べてはいけないと伝える。
  3. 食べやすいように、缶のふたを開けておく。
  4. 食べ方を相談する。
  5. 保存容器に残して保管するように勧める。

解答&解説

答:④ 食べ方を相談する。
  1. ×
    利用者を尊重する対応をするべきである。
  2. ×
    理由を伝えるべきである。
  3. ×
    食べることをまずは相談する。

  4. 適している。
  5. ×
    適していない対応である。

問116【解説】

問題文

介護保険の申請をしてから半年がたち、更新申請の時期になった。
この半年でLさんは、訪問介護員が来ない日もいすに座って調理するなど回復してきている。更新申請の結果、Lさんは要支援1になった。
次のうち、Lさんの介護予防サービス、支援計画書を作成する者として適切なものを1つ選びなさい。

  1. 訪問介護事業所の訪問介護員
  2. 生活支援体制整備事業の生活支援コーディネーター
  3. 地域包括支援センターの主任介護支援専門員
  4. 訪問介護事業所のサービス提供責任者
  5. 生活介護のサービス管理責任者

解答&解説

答:③ 地域包括支援センターの主任介護支援専門員
  1. ×
    適していない。
  2. ×
    適していない。

  3. 適している。
  4. ×
    適していない。
  5. ×
    適していない。

総合問題2(問117~119)

総合問題2

次の事例を読んで、問題117から問題119までについて答えなさい。

Mさん(80歳、男性)は、2年前にアルツハイマー型認知症と診断された。Mさんは自宅で暮らし続けることを希望して、介護保険サービスを利用しながら妻と二人で生活していた。
その後、Mさんの症状が進行して妻の介護負担が大きくなったため、Mさんは、U社会福祉法人が運営する介護老人福祉施設に入所することになった。
Mさんの入所当日、担当のA介護福祉職は、生活相談員が作成した生活歴や家族構成などの基本情報の記録を事前に確認したうえで、Mさんと関わった。

問117【解説】

問題文

次のうち、A介護福祉職が確認した記録として適切なものを1つ選びなさい。

  1. 施設サービス計画書
  2. インシデント報告書
  3. エコマップ
  4. プロセスレコード
  5. フェイスシート

解答&解説

答:⑤ フェイスシート
  1. ×
    ケアマネージャーが作成したケアプランの意味。
  2. ×
    事故の危険性があったことを記載。
  3. ×
    周辺の社会資源の相関関係を表した地図。
  4. ×
    看護者と患者の相互作用に関する文章。

  5. 援助を目的とした情報。

問118【解説】

問題文

入所当日の昼食後、A介護福祉職はMさんに歯ブラシと歯磨き粉を渡して、歯磨きを促した。しかし、MMさんは歯ブラシと歯磨き粉を持ったまま、不安そうな顔で歯を磨こうとしなかった。
このときのMさんの症状に該当するものとして、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 幻視
  2. 失行
  3. 振戦
  4. 脱抑制
  5. 常同行動

解答&解説

答:② 失行
  1. ×
    ないはずのものが見えること。

  2. 行動ができないことをいう。
  3. ×
    手の震えをいう。
  4. ×
    衝動や感情を抑えきることができない様子。
  5. ×
    同じ言動や行動を繰り返すこと。

問119【解説】

問題文

面会に訪れた妻はA介護福祉職に「最近は夫を施設に入れて申し訳ない気持ちもあったが、元気そうな夫を見て、今はこの施設を利用して良かったと思っている」と話した。
A介護福祉職は妻の発言を受けて、介護サービスをもっと気軽に利用してもらうための取り組みが必要であると考えた。そこでA介護福祉職は施設職員と検討した。
その結果、地域の家族介護者を対象に介護に関する情報提供や交流を図る場を無料で提供することを、独自の事業として継続的に行うことを法人として決定したうえで、必要な手続きを行うこととした。
U社会福祉法人が行うこととした事業に該当するものとして、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 公益事業
  2. 日常生活自立支援事業
  3. 相談支援事業
  4. 自立相談支援事業
  5. 地域生活支援事業

解答&解説

答:① 公益事業

  1. 適している。
  2. ×
    適切ではない。
  3. ×
    適切ではない。
  4. ×
    適切ではない。
  5. ×
    適切ではない。

総合問題3(問120~122)

総合問題3

次の事例を読んで、問題120から問題122までについて答えなさい。

Bさん(22歳、男性)は、19歳の時に統合失調症を発症し、精神保健指定医の新札の結果、入院の必要があると診断された。Bさん自身からは入院の同意が得られず、父親の同意で精神科病院に入院した。
その後、数回の入退院を繰り返した後、21歳から居宅介護を週1回、訪問看護を月2回、デイケアを週3回利用しながら1人暮らしをしている。
居宅介護では、料理や掃除、買物などの会議福祉職の支援を受けているが、Bさんも調子の良いときには一緒に行っている。訪問看護では、Bさんは、服薬を忘れることがあるため、看護師と一緒に薬の飲み忘れがないか確認している。また、デイケアでは、運動と園芸のグループに参加している。

問120【解説】

問題文

Bさんが19歳で精神科病院に入院した時の入院形態として、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 任意入院
  2. 医療保護入院
  3. 応急入院
  4. 措置入院
  5. 緊急措置入院

解答&解説

答:② 医療保護入院
  1. ×
    自分の意志で入院すること。

  2. 適している。
  3. ×
    患者や家族から同意がなくても、医師の診察で72時間を限度に行われる入院。
  4. ×
    事象行為のある患者に2名の医師の診察により、知事の決定によって行われる入院。
  5. ×
    72時間に限り1名の医師の診察の結果、知事の決定によって行われる入院。

問121【解説】

問題文

Bさんは、居宅介護のC介護福祉職にはデイケアや生活のことについて安心して話すようになってきた。ある日、C介護福祉職が掃除していて、薬が2週間分内服されていないことを見つけた。
また、Bさんは「Cさんにだけ話します。みんなが私の悪口を言って、電波を飛ばして監視しています」とおびえながら話した。話を聞いたC介護職のBさんに対する最初の言葉かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 「今すぐ薬を飲んでください」
  2. 「悪口の内容を詳しく教えてください」
  3. 「薬を飲んでいないからですよ」
  4. 「医師に話しておきますね」
  5. 「それは不安ですね」

解答&解説

答:⑤ 「それは不安ですね」
  1. ×
    適切ではない。
  2. ×
    適切ではない。
  3. ×
    適切ではない。
  4. ×
    適切ではない。

  5. 適切である。

問122【解説】

問題文

Bさんは、C介護福祉職と話したことをきかっけに、定期的に服薬できるようになり、以前と同じ支援を受けながら暮らしを続けている。最近は、デイケアで就労を目指すグループ活動に自ら参加するようになった。Bさんは「就労に挑戦してみたい」という気持ちはあるが、就労経験のある他のメンバーの失敗談を聞くと「自信がない」とも言っている。
Bさんへの支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 自分で料理と掃除ができるようになることが優先であると話す。
  2. 服薬ができなかったことを取り上げ、治療に専念するように話す。
  3. 無理せず、今の生活を維持することが大切であると話す。
  4. 長所を一緒に探し、どのような仕事が向いているのか考えようと話す。
  5. 他のメンバーの失敗原因を考え、失敗しない対策をしようと話す。

解答&解説

答:④ 長所を一緒に探し、どのような仕事が向いているのか考えようと話す。
  1. ×
    適切ではない。
  2. ×
    適切ではない。
  3. ×
    適切ではない。

  4. 適切である。
  5. ×
    適切ではない。

総合問題4(問123~125)

総合問題4

次の事例を読んで、問題123から問題125までについて答えなさい。

Dさん(59歳、女性)は30年前に関節リウマチを発症して、現在障がい者支援施設に入所している。
Dさんは、朝は手の動きが悪く痛みがあるが、午後、痛みが少ないときは関節を動かす運動を行っている。足の痛みで歩くのが難しく車いすを使用しているが、最近は手の痛みが強くなり、自分で操作することが難しい。
また食欲がなく、この1カ月間で体重が2キロ減っている。夜中に目が覚めてしまうこともある。

問123【解説】

問題文

Dさんの朝の症状の原因として、最も可能性の高いものを1つ選びなさい。

  1. 睡眠不足
  2. 低栄養
  3. 平衡感覚の低下
  4. 筋力低下
  5. 関節の炎症

解答&解説

答:⑤ 関節の炎症
  1. ×
    適切ではない。
  2. ×
    適切ではない。
  3. ×
    適切ではない。
  4. ×
    適切ではない。

  5. 適切である。

問124【解説】

問題文

使っていた車いすを自分で操作することが困難になったDさんが、「障がい者総合支援法」で電動車いすを購入するときに利用できるものとして、適切なものを1つ選びなさい。

  1. 介護給付費
  2. 補装具費
  3. 自立支援医療費
  4. 訓練等給付費
  5. 相談支援給付費

解答&解説

答:② 補装具費
  1. ×
    適切ではない。

  2. 適切である。
  3. ×
    適切ではない。
  4. ×
    適切ではない。
  5. ×
    適切ではない。

問125【解説】

問題文

Dさんは、「ここ数日、朝だけでなく1日中、何もしないのに手足の痛みが強くなってきた。」と訴えている。
日常生活で、Dさんが当面留意すべきこととして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 前あきの衣類より、かぶりの衣類を選ぶ。
  2. ベッドのマットレスは、柔らかいものを使用する。
  3. 関節を動かす運動は控える。
  4. できるだけ低いいすを使う。
  5. 頸部が屈曲位になるように、高めの枕を使用する。

解答&解説

答:③ 関節を動かす運動は控える。
  1. ×
    前あきの衣類が着替えがしやすいため。
  2. ×
    柔らかすぎても不適切である。

  3. 適切である。
  4. ×
    低いものは使いにくい恐れがある。
  5. ×
    頸部に負担が増加する。

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