ザブングルが介護レクリエーションを通じて考える、芸人が介護業界に貢献できること

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お笑いとレク、「人を笑わせる」のは共通しているけれど……

現在、介護ボランティアに励んでいるザブングルのお二人。以前カイゴメディア ケアきょう編集部でも介護への向き合い方についてインタビューさせていただき、大きな反響を呼びました。

今回はお二人が介護レクを行うとのことで、その様子に密着。

介護レクとは、高齢者介護施設で行われているレクリエーションのこと。
レクリエーションは、クイズや折り紙などの頭や手を使うものから、体を動かすようなものまで様々ですが、高齢者が集まって楽しみながら交流を深める目的だけではなく、身体・脳・心の健康によい影響を与えることが期待されています。

人前でのパフォーマンスに慣れているとはいえ、お笑いと介護レクはまったくの別物。人を喜ばせる点では同じでも、アプローチの仕方が異なる難しさがあるのだとか。そのため、緊張した面持ちで本番を迎えます。

加藤
介護レクでは、食べ物にまつわることだったり、しりとりだったりが楽しそうに参加して頂けるので、そういうのをやろうと思っています。今までやった中でも反応が好感触だったのは特に食べ物ですね。これは全国で共通しています。
松尾
食べ物の話は参加しやすいのはあるでしょうね。その土地ごとのおいしいものを把握しておくようにしています。クイズをやることもあるんですが、これは難易度の設定が難しいんです。15分くらいはかかる難しめのクイズだと思って出題したら、2秒で正解が出てしまうこともあります。逆に全然答えが出ないこともあって。

加藤
とにかく介護レクで毎回思うのは、人前で皆さんを笑顔にするという目的は同じでも、お笑いの営業とはまったく違う。最初はもっとネタをやって笑かす方向がいいのかと考えていましたが、そうじゃないんです。
松尾
もし、“芸人の営業”というくくりで来ていたら、おそらく普通にネタをやっちゃって失敗していたと思います。基本的に利用者様の8割以上が僕たちのことも知らないですし。コントをやっても、なんだそれ、っていう反応になると思います。

そうこうしているうちに、開始のアナウンスが流れてきました。

「お笑い芸人のザブングルさんが皆様にお笑いを届けに来てくださいました。14時から始まりますので、どうぞ皆様、一階の食堂にお集まりくださいませ」

アナウンスが流れたことで、二人の緊張がさらに高まったようです。

加藤
利用者様たちが食堂や大広間にいるところに入っていって、なんとなくレクリエーションが始まることが多いんですよ。『すみません今日はお願いしますね』って。10か所以上の施設にレクリエーションをしに行きましたが、こういう風に大々的に紹介されるのは初めてなので、緊張します。なんだか今から営業が始まるような雰囲気ですね……。

レクが始まると、途中までは緊張した様子が見え隠れしていましたが、利用者の皆さんが徐々にノッてきて、温かく楽しい雰囲気が作られました。その場の全員が楽しく参加してくれて、レクは大成功!

芸人だからこそできる笑顔の引き出し方

松尾
僕自身も楽しかったです。やっぱりこっちも楽しまないと、全体の雰囲気も楽しくならないので、自分も普通に楽しむようにしました。レクリエーションでは特に、全員と同じ空気感を作りたいと思ってやっています。中には、今は放っておいてほしい、という方ももちろんいらっしゃいますので、そこはしっかりと察知して、無理矢理巻き込むことはしません。でも、少しでも楽しい空気を感じていただいたり、何かしらで向き合ったりしたいですね。
芸人だからこそできる巻き込み方や、コンビでやっている強みもあって。一人が進行して、もう一人はなるべく皆さんの声を聞いて一体感を作っていく。芸人の良さや技術を活かせる場なんじゃないかなと思っています

施設のコンシェルジュの君島さん(ネクサスコート青葉台)も、利用者様の笑顔を見られて大満足。「皆さんとても盛り上がっていて、プロの芸人さんがやられるレクはひと味もふた味も違うと思いました。ご年配の方々の心を掴むというのがすごく上手。場をグイグイ引っ張って、笑顔を引き出して下さって、利用者様もノリノリでした。100点どころか、120点、いや、200点です!」とのこと。

また、「ザブングルのお二人は謙虚でさわやかで、もともといい印象を持っていましたし、こうして真摯にボランティアをされていることでますます応援したいと思いました」という君島さんは、芸人が介護業界に関わることについても好感触。

介護ボランティアを通して芸人が貢献できることとは?

ザブングルのお二人が、介護ボランティアを始めたことで、介護業界にも芸人の世界にも、双方に良い作用があったように思えます。
もともとは、謹慎中に何か社会の役に立とうと考えたとき、介護ボランティアが最も心を込めてやれるのではないか、というのが始まりだったようです。

松尾
事務所と相方と話し合って、社会に恩返しをしたいと思って、まずボランティア活動をすること自体は決まっていたんです。それで、詐欺団体の被害に遭った中にご年配の方々が少なからずいらっしゃったので、介護業界でお役に立つのが、僕たちも気持ちを入れやすいんじゃないか、と。正直に言うと、今回の謹慎のことがなかったら、恥ずかしながら介護について考えていなかったと思います。
いざ働いてみたら、親のことや自分の将来について考えさせられましたし、今まで意識していなかっただけで、全然他人事じゃないんですよね。
加藤
僕もまったく同じです。親も自分も、いずれ全員が通る道……ですよね。遅かれ早かれ。社会に還元するというのはもちろんですが、こうして詳しくなったり、学べたりしたことは、単純に自分にとってもよかったです。

介護ボランティアに関わって初めて知ったこともたくさんありました。

加藤
驚きはたくさんありすぎるんですが、その中でも強く思ったのは、前回のインタビューの繰り返しにはなりますが、思った以上に大変だということ。また、長く働かれているスタッフの方は、利用者様といい意味で家族のように接しているんですよね。敬語で接しているものだとばかり思っていましたが、接し方にも色々あって、敢えて敬語を使わないのも喜んでいただけることがあるんだな、と。

また、普段なにげなく見ていたものについても、様々な気づきがあったようです。

加藤
駅にある車椅子の方用のトイレなんかも、使い方がわかっていない設備がたくさんあったと知りましたし、道を歩いていて、この段差がなければいいのに、と思うことも増えました。

松尾
今まで見えてなかった世界が見えてくるんですよね。まだまだ他にもこういうことはあるはずです。それに気づけて、考えるようになっただけでも、ひとつ大人になれた感覚があります。

今後のザブングルのお二人の、介護職との向き合い方についても語ってくれました。

加藤
僕たちが一番役に立てるのはやっぱりレクリエーションなんですよね。お風呂やトイレのお手伝いももちろんやりたい。ですが、手応えだったり、いいものを提供できたり、という点で言えば、レクリエーションが最も発揮できると感じています。だから、今後も必要としていただけるのであれば、こういったことはぜひやっていきたいです
松尾
あと、まずはもっと僕らのように介護について知らなかった人たちに向けて、こういう世界だよ、と発信していけたら、というのが一番です。自分が資格を取って介護施設で働くという選択肢もありますが、それ以上に介護職を選ぶ人がもっと増えてほしいですし、知ってもらうという面で僕らができることはきっと多いはずですから。僕も含めて誰もが必要になってくることですし、ぜひ皆さんに知っていただきたい、と強く思っています。

撮影協力:ネクサスコート青葉台様、インタビュー:カイゴメディア ケアきょう編集部、 記事構成:朝井麻由美

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