介護職に男性は貴重?男女比や給与の違い、将来性を解説!
介護職業界の男女比と現状、給与の違い
平成29年度介護労働実態調査によると、介護職業界における男性の割合は24.0%、女性は73.3%と、実に全体の7割近くが女性 となっています。
中でも、利用者の自宅を訪問し、生活援助に携わる訪問介護員の女性比率は多く、全体の87.8%が女性職員です。
一方、社会福祉士や精神保健福祉士といった専門資格を要する生活相談員の仕事は、男性の割合が36.2%と、介護業界の中でも男性が多く活躍する職種となります。
入居や通所など、多様な施設形態のある介護職は、働く場所によって給与の異なる職種です。ここでは、施設形態に合わせた平均給与額を男女別に比較してみましょう。
男性 | 女性 | |||||
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割合(%) | 平均年齢(歳) | 平均月給(円) | 割合(%) | 平均年齢(歳) | 平均月給(円) | |
全体 | 34.8 | 37.6 | 314,760 | 65.2 | 43.9 | 289,070 |
介護老人福祉施設 | 40.1 | 35.7 | 334,130 | 59.0 | 39.6 | 314,190 |
介護老人保健施設 | 40.6 | 36.6 | 326,810 | 59.4 | 41.1 | 306,110 |
介護療養型医療施設 | 25.2 | 40.8 | 287,730 | 74.8 | 47.5 | 274,930 |
訪問介護事業所 | 18.6 | 40.3 | 313,450 | 81.4 | 48.3 | 288,440 |
通所介護事業所 | 29.3 | 38.9 | 282,800 | 70.7 | 43.2 | 257,250 |
認知症対応型共同生活介護 | 28.0 | 39.8 | 278,740 | 72.0 | 46.6 | 266,280 |
出典:厚生労働省「平成29年度介護従業者処遇状況等調査結果」
入居型、通所型、訪問型すべてにおいて、介護業界では男性の方が平均年齢が低く、月給が高くなっている事が分かります。
一方、女性は平均年齢が高いにも関わらず、月給は男性に比べ約12,000円~25,000円低くなっているのが特徴です。
この給与額の差は、男性の方がより管理職に就きやすい職場環境にあると考えられます。
結婚や出産、子育てを機に女性が働き方を見直すのは介護業界も他の職種と変わりません。
また、常に人材確保が求められる介護業界は、自身のライフスタイルに合わせながら、女性が働くことのできる職場でもあります。
一方、男性は仕事のスタイルを変えることなく、ひとつの施設で着実にキャリアを積み重ねていくことができます。
手当の付く夜勤を担当したり、チームリーダーやマネージャーといった管理職に就く機会の多いことが、男性の月給をより高くしていると言えるでしょう。
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ケアきょう求人・転職の無料相談介護職男性は結婚できない?結婚相手に選ぶメリット・デメリットとは?
仕事がきつく、長く続く人が少ないというイメージを持たれることの多い介護職ですが、介護職の男性を結婚相手に選ぶメリットとデメリットとは何なのでしょうか?
介護職男性と結婚するメリット
厚生労働省では、他業種と介護職の賃金格差を縮め優秀な人材を確保することを目的に、介護職員の処遇を改善する取組が推進されています。
平成21年から平成23年にかけて施行された「介護職員処遇改善交付金」は、介護職員1人あたり月1.5万円に相当する額を政府が交付するものでした。
平成24年度からは新たに「介護職員処遇改善加算」が創設され、一定の要件を満たした事業所に対し、介護職員の賃金を引き上げるための加算額が給付されています。
平成30年度の改定では、加算単位数の少ない2区分が廃止され、更なる定着率の向上を目指すため、「介護職員等特定処遇改善加算」が設けられる運びとなりました。
支給の対象者は「経験・技能のある介護福祉士」が基本となっており、勤続10年以上のリーダー的な位置に立つ介護職員の給与を、全産業の平均年収である440万円まで引き上げること等が目的とされています。
「低賃金」であることを謳われてきた介護業界ですが、このように、職員の処遇改善は着実に前進を見せています。介護という専門職でありながらその間口は広く、長く勤務することで給与のベースアップが期待できる仕事です。
また、介護職は正社員以外にも、派遣やパートといった様々な雇用形態での需要が見込まれる業界です。特に、派遣は他の職種と比べても時給が高く、夜勤専従である場合には月に20万~30万円の収入も可能 となっています。
将来は給与アップが期待でき、様々な場面で需要が見込まれる仕事であることは、介護職男性と結婚する上での大きなメリットであると言えるでしょう。
介護職男性と結婚するデメリット
介護業界は、出産や子育て、自宅での介護といった、自身のライフスタイルと両立しながら働く女性の多い職場でもあります。
そのため、男性が正社員として働く場合には、仕事量の多さが負担となるケースも見受けられます。
身体的な負担はもちろん、対人サービス業である介護職の場合には、精神的なストレスを抱える夫の姿に不安を抱える場合もあるでしょう。
また、入居施設で夜勤に当たる場合には、生活リズムの違いによるすれ違いや、妻の子育て負担の増加といったデメリットも考えられます。
介護職男性の転職と採用側の本音
ベッドや車いすへの利用者の移乗、タオルやオムツといった備品の持ち運びなど、介護は力仕事が必要となる場面の多い仕事です。
また、介護サービス利用者の7割は女性が占めるため、実際の現場では男性職員は喜ばれる傾向にあります。
入浴や着替えなど、直接的な身体介護で同性介助を希望する男性利用者にとっても、男性職員は貴重な存在であると言えるでしょう。
採用する事業所としても、利用者に安定したサービスを提供するために、スタッフの入れ替わりは少ないに越したことはありません。
女性は出産や子育てで職場を離れてしまう事もある中、家庭を背負う男性は離職率が低い傾向にあり、長期的な勤務を望むことができるというのも採用側の本音です。
そのため、介護業界は男性の転職時にも需要が高く、実際に活躍できる場面の多い職種となっています。
介護職男性の将来性とは?キャリアプラン例を紹介!
男性が介護職でキャリアアップするためには、資格を取得し、現場で着実に経験を積み重ねていく必要があります。
人材確保のすそ野を拡大している介護業界は、未経験者の参入を促進すると共に、それぞれの意欲や能力に応じたキャリアアップ制度が取り入れられている現場です。
ここでは、平成29年度介護従事者処遇状況等調査結果の平均月給を参考に、介護職未経験の男性のキャリアプラン例をご紹介します。
ステップ1.無資格未経験OKの事業所や施設に就職
人材確保に力を注いでいる介護業界は、無資格未経験でもOKな求人が揃う職種です。
保有資格がない場合の平均給与額は、260,560円となっています。
就職先を選ぶ際には、将来的な資格取得に向けて協力的な職場であるか、面接時に相談してみる事をおすすめします。
特に、介護職が初めてとなる場合には実際に施設を見学し、面接前に現場の雰囲気をつかんでおくと良いでしょう。
ステップ2.介護職員初任者研修を受講する
介護職員初任者研修は、介護職として働く上で基本となる知識や技術を習得するための研修です。
資格の取得には、約130時間のカリキュラムと筆記修了試験に合格することが必要となります。
費用は4万~8万円、期間は1カ月~1カ月半を要します。
民間のスクールで受講できる他、職業安定所の求職者支援制度を利用し、無料で受講できる場合もあります。
仕事をしながらスクールに通うことも可能ですが、就職前に取得しておけば、初めての介護職でも求人の幅が広がりますね。
平均月給は281,550円と、無資格と比べ20,990円アップするのも大きなポイントです。
ステップ3.介護福祉士実務者研修
かつての「ホームヘルパー1級」にあたる介護福祉士実務者研修は、2年以上の過程を要する介護福祉士養成校と同等の水準で行われる研修です。
受講資格はありませんが、専門的な内容となるため、ある程度実務経験を重ねてから受講するのがおすすめとなるでしょう。
介護福祉士実務者研修は、国家資格である介護福祉士試験を受験するために必要な資格でもあります。
また、資格を取得することで「サービス提供責任者」になることができるのも大きな特徴のひとつです。
資格取得には450時間のカリキュラム修了が必須となります。
通信講座であってもスクーリングが必要となるため、カリキュラムを選択する際には、仕事をしながら無理なく通うことのできるスクールを選択されると良いでしょう。
介護福祉士実務者研修を修了することで、平均月給は289,770円と、更に8,220円アップすることになります。
ステップ4.実務経験が3年以上経過したら介護福祉士資格へチャレンジ
介護職のキャリアパスの最上位となるのが、介護職唯一の国家資格である介護福祉士です。
年に1度の介護福祉士試験を受験するためには、実務者研修修了と、3年以上の実務経験が必要となります。
総得点125点に対し、60%程度(75点)の得点、かつ11科目すべてで最低1問以上正解することが合格基準です。
参考書や問題集で自己学習することも可能ですが、スクールで開講されている受験対策講座であれば、より効率的に学習することもできるでしょう。
介護福祉士の平均月給は310,620円と、無資格と比べると実に50,000円以上のベースアップが可能となっています。
ステップ5.介護実践の専門職やマネジメント職へ
一定のキャリアを積み、知識と技術を修得した介護福祉士は、チームリーダーとしてスタッフの指導や教育にあたる事になります。
将来的には、管理職や施設長といったマネジメント職も視野に入れることができるでしょう。
介護業界の労働者の平均月給が227,275円、平均賞与は572,079円であるのに対し、管理職の平均月給は356,679円、平均賞与にいたっては709,230円となっています。
また、介護業界は介護士だけでなく、ケアマネジャーと呼ばれる生活支援専門員も活躍する現場です。
介護保険サービスを利用する際に必要なケアプランの作成や、介護給付費の管理を担うケアマネジャーは、介護福祉士がステップアップのために取得することの多い資格です。
介護福祉士としての経験を活かすことのできる仕事である他、平均月給も351,280円と介護福祉士よりも高い事が人気の理由と言えるでしょう。
介護現場に欠かすことのできない男性職員
利用者の様々なニーズに対応することが求められる介護現場では、女性職員はもちろん、男性職員もまた貴重な人材です。
男性職員の活躍は、体力的な面だけでなく、利用者に対して多面的なサービスを提供できるという大きなメリットを有しています。
処遇改善のための様々な働きが見られる昨今、介護は将来性のない仕事だと一概に言うことはできません。
今後、高齢化社会に伴い様々な介護サービスが必要となる中、男性介護職のニーズは更に高まることとなるでしょう。
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