徹底解説!児童発達支援管理責任者の要件・給与・仕事内容まとめ

介護職仕事紹介
2021/12/29

平成29年4月に要件が変更となり、福祉職として注目を集める『児童発達支援管理責任者』。
その『児童発達支援管理責任者』の仕事内容や給与、また見直しとなった要件などについてご紹介します。

1. 【仕事内容】子どもの育ちを支える児童発達支援管理責任者

児童発達支援責任者(通称:児発管「じはつかん」)は、障がい児を対象とした個別支援計画の作成や福祉サービス提供のプロセス全体の管理、また、保護者からの相談対応なども行います。
子ども自身の希望やその家族のニーズ、思いなどもくみ取りつつ、子どもたちの成長に合わせた個別支援計画の作成をするため、児童や福祉現場での知識を必要とし、専門性を活かした仕事となっています。

2. 【勤務先】児童発達支援管理責任者の勤務先は?

児童発達支援管理者の勤務先は

  • 障がい児通所支援
  • 障がい児入所支援

に分けられており、中でも障がい児通所支援では

  • 児童発達支援センター
  • 放課後等デイサービス

が主な勤務先となっています。

2.1. 児童発達支援センターとは

障がいのある就学前の児童が通所するため、「障がい児の保育園」ともいわれております。
施設の有する専門機能を活かし

  • 日常における基本的動作の指導
  • 自活に必要な知識や技能を身につけるためのサービス提供
  • 集団生活への適応のための訓練
  • 地域の障がい児やその家族への相談
  • 障がい児を預かる施設への援助・助言

を合わせて行うなど、地域の中核的な存在の施設です。
児童発達支援センターには、福祉サービスを行う『福祉型』と福祉サービスに併せて治療を行う『医療型』があります。

対象者

  • 身体に障がいのある児童
  • 知的障がいのある児童または精神に障がいのある児童(発達障がい児を含む)
  • 児童相談所、市町村の保健センター、医師等により療育の必要性が認められた児童(手帳の有無は問わない)
  • 上肢、下肢または体幹機能に障がいのある児童(医療型)

サービス内容

業務内容
福祉型 日常生活における基本的な動作の指導や知識技能を身につけるためのサービス提供、集団生活への適応訓練
医療型 『福祉型』のサービス+上肢、下肢または体幹機能の障がいのある児童に対する療育や治療

人員配置

  • 児童発達支援管理責任者 1名以上
    (業務に支障がない場合はほかの職務と兼務が可能です。)
  • 嘱託医 1名以上
  • 児童4人に対して児童指導員または保育士 1名以上
  • 栄養士及び調理師 各1名以上
    (40名以下の指定事業所は栄養士を、また、調理業務を全部委託する指定事業所は、調理師を置かないことが出来ます。)
  • その他必要な職員:日常生活を営むのに必要な機能訓練等を行う場合
    (配置した場合は児童指導員などの総数に充てることが出来ます。)

2.2. 放課後等デイサービスとは

障がいのある6歳~18歳までの就学児が、学校の授業終了後や学校休業日に通い、利用できる福祉サービスです。
療育機能や集団生活を通して、家と学校以外の居場所や友だちをつくることができる機能を備えたサービスで、「障がい児童の学童保育」 とも呼ばれています。
民間事業者の参入も進んでおり、利用者の選択肢が増えています。

対象者

  • 学校教育法が規定する学校に就学中の障がいのある児童
  • 発達の特性について医師の診断書がある児童(手帳の有無は問わない)

サービス内容

個別支援計画に基づき、本人の希望を踏まえたサービスを提供します。
創作活動、地域交流の機会の提供、余興の提供を行い、自立した日常生活を営むために必要な訓練をします。

人員配置

  • 管理者 1名(常勤で兼務は可能です。)
  • 児童発達支援責任者 1名以上(常勤で管理者との兼務は可能です。)
  • 児童指導員または保育士 2名以上(障がい児数が10名以下では2名以上。10名を超える場合は児童5名以下ごとに1名追加配属しなければなりません。)
  • 機能訓練相当職員(機能訓練を行う場合のみ必要となります。)

2.3. 入所支援施設とは

障がいのある児童が入所により、日常生活の指導や自活に必要な知識や技能を身につけるためのサービスを提供する施設です。
また、養育困難や児童虐待等の家庭環境が原因で入所している障がい児も多い為、保護を目的ともしている施設です。
知的・視覚・身体障がいなど、その障がいの特性に応じた専門的な機能の強化も行われ、通所支援(児童発達支援センター)と同じように、福祉サービスを行う『福祉型』と福祉サービスに併せて治療も行う『医療型』があります。

対象者

  • 身体に障がいのある児童
  • 知的障がいのある児童または精神に障がいのある児童(発達障がい児を含む)
  • 児童相談所、市町村の保健センター、医師等により療育の必要性が認められた児童(手帳の有無は問わない)
  • 知的障がい児、肢体不自由児、重症心身障がい児(医療型)

サービス内容

  • 食事、排せつ、入浴等の介護
  • 日常生活上の相談支援、助言
  • 身体能力、日常生活能力の維持・向上のための訓練
  • レクリエーション活動等の社会参加活動支援
  • コミュニケーション支援
  • 身体能力、日常生活能力の維持・向上のための訓練

『医療型』は『福祉型』のサービス内容に加えて持病の治療や看護、また、医学的管理が加わったサービス行われます。

人員配置

児童指導員及び保育士

  • 主として知的障がい児又は自閉症児を入所させる施設(児童4.3名に対して1名以上)
  • 主として盲児又はろうあ児を入所させる施設(乳児又は幼児4名に対して1名以上、少年5名に対して1名以上)
  • 主として肢体不自由児を入所させる施設(児童3.5名に対して1名以上)

児童発達支援管理責任者 1人以上

3. 【給料】児童発達支援管理責任者の平均年収は276万円~!!

児童発達支援管理者はサービス全体の管理する立場でもあるので、給料の平均値は全体的に高く、月給平均23万~24万円。年収にすると約276万~288万円となります。
中には管理者との兼務をこなす場合は年収400万円~の給料もあったりと、高めの設定となっています。

4. 【資格要件】実務経験と研修の受講の両方が必要

児童発達支援管理者になるための要件は、

  • 実務経験
  • 研修の受講

の2つが必要となります。

また、行政区によっても要件を満たす解釈も違ってくるようですので、担当の行政区に問い合わせて確認することをお勧め致します。

4.1. 実務経験が必要

以下のⅠ~Ⅲのいずれかの要件をみたしていることが必要です。
また、実務経験を証明するためには就業していた事業所や施設、学校などで実務経験証明書を記載してもらう必要があります。

Ⅰ.①及び②の期間が通算して5年以上で、当該期間から③の通算期間を除いた期間が3年以上である者
Ⅱ.④の期間が通算して10年以上で、当該期間から⑤の通算期間を除いた期間が3年以上である者
Ⅲ.①、②及び④の通算期間から③及び⑤の通算期間を除いた期間が3年以上かつ⑥の通算期間が5年以上である者
①次の(1)から(6)に掲げる者が相談支援業務(身体上・精神上の障がい、または、環境上の理由により日常生活に支障がある方または児童の自立に関して相談に応じ、助言、指導などの支援を行うこと)に従事した期間
(1) 地域生活支援事業、障がい児相談支援事業、身体障がい者相談支援事業、知的障がい者相談支援事業に従事する者
(2) 児童相談所、児童家庭支援センター、身体障がい者更生相談所、精神障がい者社会復帰施設、知的障がい者更生相談所、福祉事務所、発達障がい者支援センターに従事する者
(3) 障がい児入所施設、乳児院、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設、障がい者支援施設、精神保健福祉センター、救護施設、更生施設、老人福祉施設、介護老人保健施設、地域包括支援センターに従事する者
(4) 障がい者職業センター、障がい者就業・生活支援センターに従事する者
(5) 幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、高等専門学校に従事する者
(6) 医療機関において従事する者で、次のいずれかに該当する者

  • 社会福祉主事任用資格者
  • 訪問介護員2級以上に相当する研修の修了者
  • ②に掲げる資格を有する者
  • ①の(1)から(6)に掲げる従事する期間が1年以上の者

②次の(1)から(5)に掲げる者であって、以下のいずれかの資格を有して直接支援業務(身体上、精神上の障がいがある方または児童に付いて食事、入浴、排せつなどの介護を行い、その方やその方の介護者に対して介護に関する指導を行うこと。また、日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、生活能力の向上の為に必要な訓練・支援を行うこと)に従事した期間

  • 社会福祉主事任用資格者
  • 訪問介護員2級以上に相当する研修の修了者
  • 保育士、児童指導任用資格者
  • 精神障がい者社会復帰指導員

(上記4点を以下「社会福祉主事任用資格者等」という)

(1) 障がい児入所施設、老人福祉施設、介護老人保健施設、助産施設、乳児院、病院又は診療所の療養病床関係病室、母子生活支援施設、保育所、幼保連携型認定こども園、児童厚生施設、児童家庭支援センター、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設、障がい者支援施設に従事する者
(2) 障がい児通所支援事業、老人居宅介護等事業、児童自立生活援助事業、放課後児童健全育成事業、子育て短期支援事業、乳児家庭全戸訪問事業、養育支援訪問事業、地域子育て支援拠点事業、一時預かり事業、小規模住居型児童養育事業、家庭的保育事業、小規模保育事業、居宅訪問型保育事業、事業所内保育事業、病児保育事業、子育て援助活動支援事業、障がい福祉サービス事業に従事する者
(3) 医療機関等、保険医療機関、保険薬局、訪問看護事業所において介護業務に従事する者
(4) 特例子会社、助成金受給事業所に従事する者
(5) 幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、高等専門学校に従事する者
③救護施設、更生施設、老人福祉施設、介護老人保健施設、地域包括支援センターで相談支援業務に従事した期間
または、老人福祉施設、介護老人保健施設、療養病床、老人居宅介護等事業、特例子会社、助成金受給事業所に従事し、社会福祉主事資格者等を有する者が直接支援業務に従事した期間
④②の(1)から(5)に掲げる者であって、社会福祉主事任用資格者等でない者が直接支援業務に従事した期間
⑤老人福祉施設、介護老人保健施設、療養病床、老人居宅介護等事業、特例子会社、助成金受給事業所に従事し、社会福祉主事資格者等でない者が直接支援業務に従事した期間
⑥医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、管理栄養士、栄養士、精神保健福祉士の資格を有し、該当資格に係る業務に従事した期間

4.2. 実務経験に加えて研修の受講が必要

児童発達支援監理責任者になるためには、相談支援従事者初任者研修(2日間)と児童発達支援管理者研修を受講・修了しなければなりません。

相談支援従事者初任者研修

相談支援専門員になるには 児童発達支援管理責任者になるには
必要日数 5日間 2日間

相談支援従事者初任者研修はと2日間のいずれかの日程に分かれています。相談支援専門員になるには5日間の日程が必要となりますが、児童発達支援管理責任者になるための受講であれば、2日間の日程の受講のみで大丈夫です。

児童発達支援管理者研修

児童発達支援管理者研修は3日間の日程で、児童福祉法や発達支援、関係機関との連携など、障がい児支援に欠かせない事項を学びます。

5. 【変更点】なぜ平成29年4月に児童発達支援管理責任者の要件が変更になったのか

これまでは児童発達支援管理責任者になるために必要な実務経験として「定められた施設や業務における5~10年の直接支援・相談支援」というものがありました。
極端な話、児童分野における経験が無くても高齢介護の分野で10年の実務経験があれば児童発達支援管理責任者の要件を満たすことができたのです。
民間の参入などで放課後等デイサービスが増加する一方、サービスの質が低い事業所や適切なサービスが提供されていない事業所が増えているとの指摘を受け、国は実務経験や実務経験の加算できる機関の改正を行い、児童福祉に特化した要件へと変更したのです。

5.1. 実務要件の変更

「児童または障がい者に対する支援を内容とする業務に従事した期間が通算3年以上」が必要となりました。
つまり、高齢者介護施設での実務経験だけでは要件を満たさないということになります。

5.2. 実務経験に認定される機関の増加

児童福祉施設や児童福祉に関わる事業、また学校など、実務経験に認定される機関が追加されました。
そのため、経験豊富な教員や保育士など教育や福祉に関わってきた人も実務経験があれば要件を満たすことができるようになりました。

5.3. 経過措置

平成29年3月31日までの児童発達支援管理責任者として働いている人を対象に、改定後の要件を満たしていなくても平成30年3月31日までその職務についても良いとした経過措置を設けています。
もちろん、児童発達支援管理責任者としての業務も実務経験としてカウントされますので、3年以上の経験がある場合は実務経験証明書を取得し、申請することが可能です。

6. 【比較】他の資格との違い

ここで、児童発達支援管理責任者と福祉職、保育士とはどのような違いがあるのか。仕事内容や給与面を比べてみましょう。

6.1. 仕事内容の違い

関連機関や利用者の家族との連絡・調整を行い、サービス提供の全体の管理を行う職種ですので、平日の日勤のみという働き方が多いと思います。
しかし、入所支援施設に関しては、スタッフが急遽休む場合や利用者に不測の事態があった場合は、現場に駆け付け夜勤を代行したり、対応をする場合もあります。

6.2. 給与の違い

給与 児童発達支援管理責任者 保育士 介護士
月収 33万円以上 21万~23万円 21万~24万円

保育士の平均月収は21万~23万円。福祉施設で働く介護職員(介護福祉士とは限らない)の平均月収は21万~24万円。 管理者との兼務を要する場合が多いかとは思いますが、この場合年収400万円以上、月収に換算すると33万円以上と、保育士や介護士よりも給料が高く、また、福祉職の中でも高い給料水準となっています。 管理者という立場ですので、仕事量は多いかとは思いますが、それでも高めの水準ではないでしょうか。

6.3. 要件の違い

上記でご紹介させていただいた通り、介護士や保育士、教員の取得とは違って、要件を満たすことは複雑です。
しかし、実績を積むことを重視した職種ではありますので、期間を要しますが、専門性が高めることができます。

7. まとめ:児童発達支援管理責任者として働くことの魅力

保育所で働いていた保育士の方や小学校の先生なども児童福祉の業界に参入しやすくなり、また、その教育・保育の経験を活かした働き方に注目が集まっています。
子供の成長を見届けながら、現場での知識・専門性を試されるやりがいのある児童発達支援管理責任者。
今、目指しやすい環境ともなっているので、障がい児保育・療養に興味のある方は今後の参考にしていただければ幸いです。

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