介護の事故報告書を書く目的は?記入例と合わせて解説【現役の介護福祉士監修】
介護現場では転倒などの事故が発生すると「事故報告書」を書く必要があります。
日々の業務の中、忙しい合間を縫って書くのは大変ですよね。
本記事では……
- 事故報告書の書き方
- 事故報告書を書く基準
- 書く際のポイントなど
現場の介護職のみなさんが疑問に思うことを、具体的な記入例を挙げながら丁寧に解説します。
本記事を読んで事故報告書を書く負担を軽減し、業務改善に活かしていきましょう!
介護の事故報告書とは?
それではまず、介護現場における事故報告書についての解説です。
介護の事故報告書は、どの事業所においても必ず書かなければいけません。
介護現場で働く身として、事故報告書の書く基準や目的はある程度理解しておいたほうがいいでしょう。
介護の事故報告書とは?
介護の事故報告書は、介護現場で事故が発生した場合、行政へ報告するために必要な報告書です。
もちろん報告だけでなく、事故の原因を分析し再発防止策を実施するなど、現場の業務改善にも活かされます。
行政への報告基準は、介護保険法に基づき定められています。知りたい方は、施設がある市町村に問い合わせれば確認できます(各市町村のWEBサイトにも掲載あり)
ちなみに、介護現場で事故報告書の提出を怠ると、行政からの指導や減算の対象になったり、指定効力の停止や取り消しなどの重い処分を受ける可能性があります。
それだけ、介護現場での事故には責任が伴うので、しっかりと報告義務を果たし、事業として誠実に対応するよう努めましょう。
介護現場で事故報告書を書く基準は?
介護現場で事故報告書を書く基準は、簡単に言うと事故が発生したときです。
当たり前の答えになりましたが、現場でよくあるのが「ヒヤリハット」と「事故報告書」の区別です。
基本的な考えとしては、事故になりそうでヒヤリとしたりハッとした状況であれば「ヒヤリハット」で、結果的に事故になった場合は「事故報告書」となります。
例えば、転倒しそうでふらついたけど手すりを持って転倒しなかった場合と、ふらついて転倒してしまった場合の違いです。
ただこの辺りの判断基準は、事業所によって異なるので、必ず管理職や先輩職員に聞いて理解しておきましょう。
介護の事故報告書を書く目的
事故報告書を書く目的は主に以下の3つです。
- 事故の内容を職員全体で共有するため
- 事故を分析し再発防止に努めるため
- 事業所や職員一人一人を守るため
①事故の内容を職員全体で共有するため
介護現場においては事故報告書に限らず、利用者様の状態を全体で共有することが重要です。
特に事故が発生した場合は、発見した当事者だけでなく、職員全員が自分ごととして考えることで現場が引き締まり、介護サービスの向上につながっていきます。
自分は事故当日にいなかったら関係ないやではなく、利用者様のことを第一に考え、安心安全な生活ができるようにチーム全体で取り組んでいきましょう。
②事故を分析し再発防止に努めるため
事故が発生した場合、同じような事故が起きないように事故対策会議を開催し、再発防止策を考えなければいけません。
その際は、事故報告書の内容と発見者の証言をもとに話し合います。
会議に当事者が参加できない場合は、報告書の内容がすべてです。
だからこそ、事故報告書はしっかりと書く必要があります。
介護現場における事故報告書は、単に報告や情報共有だけでなく、事故を分析して業務改善をする目的があることを理解しておきましょう。
③事業所や職員一人一人を守るため
3つ目は、自分たちを守るためです。
事故の内容や原因は、利用者様のご家族にも報告し理解していただく必要があります。
そこで、内容が乏しかったり曖昧だと、ご家族の不信感につながるので適当ではいけません。
また万が一事故が原因で訴訟へと発展した場合には、トラブルを回避する情報開示の役割も持っています。
だからこそ、事実だけを書き、推測や理想論、感想などは書かないほうがいいでしょう。
利用者様やご家族の方と、施設や職員の信頼を築いていくためにも、事故報告書は大変重要であることを改めて知っておきましょう。
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続いては、介護現場での事故報告書の書き方を解説していきます。
今回ご紹介するポイントを押さえておけば、事故報告書を書く際の悩みや面倒だなと思う気持ちが軽くなるので、ぜひ一緒に学んでいきましょう。
関連動画:介護現場で事故が起きたら―事故報告書を書く人や書き方を解説
事故報告書に書く内容
介護現場での事故報告書に書く内容は、主に以下の内容です。
- 利用者様の情報
- 事故の第一発見者
- 事故の発生状況
- 事故発生後の対応状況
- 事故発生前の行動歴と原因
- 再発防止策など
この中で重要なのは、利用者様の行動歴と事故の原因、そして再発防止策です。
行動歴に関しては、ハッキリと分からない部分もありますが、コミュニケーションが可能な利用者様であれば、何をされていたか聞くのがいいでしょう。
もし意思疎通が難しい方であれば、〇〇していたと思われるといったように推測であることを記載するとともに、最後に援助に入った際の記録も追記しておくといいでしょう。
再発防止策に関しては、事故対策会議のように他職種で話し合いの場を設けて、事故を客観的に分析し、適切な改善策を考えていきましょう。
もっと早く対応すれば良かったのに…というふうに、当事者が感情的になる場面が介護現場ではよくありますが、まずは起きたことを整理し原因究明と再発防止策を考えることが最優先となります。
事故報告書を書くときのポイント
続いて、事故報告書を書くときのポイントを、分かりやすく書くコツとともに解説していきます。
- 事故の発生当日に書く
- ありのままを書く
- 誰が読んでも分かるように書く
- 推測を記載する場合は推測であることを分かるよう書く
- 可能であれば原因と対策もあらかじめ記載しておく
では上記のポイントを踏まえて、分かりやすい事故報告書を書くコツを紹介していきます。
- When:いつ
- Where:どこで
- Who:誰が
- What:何を
- Why:なぜ
- How:どのように
5W1H1に関しては、事故報告書に限らず、ヒヤリハットや普段の利用者様の様子を記録する際にも使える型なので、覚えておきましょう。
また、事故報告書は事故発生の当日に書くようにしましょう。
なぜなら人の記憶というものは、時間が経つと薄れていくからです。
どうしても当日難しい場合は、箇条書きでもいいので事故の様子を記録して、後日清書できるようにしておきましょう。
その他、事故の状況や前後の行動歴を記録する際には、時系列で書くと理解しやすいので意識してみてください。
客観的な事実を書く
「他の介助で忙しかった」「利用者様が歩いていることに気付かなかった」などの主観的内容は記載せず、その時の状況がどうであったかを客観的に書きましょう。
些細なことであっても、実際に目で見たことをありのままに書けば問題ありません。
可能性や推測を記載する場合は、〇〇と思われるといった文章を入れて、推測であることが分かるようにしておきましょう。
難しい専門用語や略語は使わない
誰が見ても分かるようにするには、難しい専門用語や略語は避けて一般的な言葉に置き換える必要があります。
例えば、食介ではなく食事介助、体交ではなく寝返りなど、介護職以外の方が見ても分かるようにしましょう。
私が以前いた職場では、移乗介助のことをトランスと言ってましたが、その職場だけでしか通用せず、他の職場で「何それ?」って言われたことがあります。
事故報告書は職場以外にも、行政やご家族の方が見ることもあります。そのため、介護現場でしか使われない言葉は避けるのが好ましいでしょう。
要点を整理して簡潔に書く
分かりやすい報告書にするには、無駄な内容は省いて簡潔に書くことが求められます。
要点をまとめるのが難しい場合は、とりあえず箇条書きでありのままの事実を書いていきましょう。
その中で不要な部分を削りながら整理していけばOKです。
例えばこんな感じです……
- A様の部屋に食事の声かけに行く
- A様が倒れていた
- トイレの前で
- 右側を向いて横向きに
- 意識はしっかりしていた
- 本人様はトイレに行こうとしたと言われる
- 痛みの確認をすると腰が痛いとのこと
- 傷や腫れなどの外傷はない
- 看護師に報告する
- 他の職員に応援を呼ぶ
- バイタルを測定する
- 2人介助でベッドにお連れする
- その際は普段通り立つことができる
- 歩くことも可能な状態
- 看護師が状態確認し医師へ連絡
- 念の為病院受診となる
これらを要約すると以下のようになります。
お食事のお声かけでA様のお部屋に訪室すると、A様がトイレ前で体右側を下にして倒れていた。意識はいつも通りある。外傷はないが、腰の右側が痛いと言われる。看護師に報告し、他職員の応援を依頼する。バイタル測定し、血圧158/66 脈90 体温36.7 SPO2:95% 腰の痛みあるため職員2人対応でベッドへお連れする。その際、普段通り立つことができ、歩くことも可能だった。その後、看護師が状態を確認し主治医へ報告。病院受診となる。
慣れるまでは大変かもしれませんが、慣れてくると頭の中で整理しながら書けるようになります。
感情はひとまず置いといて
事故報告書を書く際は、一旦自分の感情を置いておきましょう。
「もっと早く介助するべきだった」「他の職員が助けてくれなかった」などの不満な気持ちが芽生えるのは仕方ないことです。
ただ、それらを報告書に入れてしまうと、事実と感情が混ざってしまい、適切な分析ができなくなる可能性があります。
まずは自分の感情は抜いて、冷静に事実を書くことを心がけましょう。
事故報告書のチェックリスト
事故報告書を書く際、主観的にならないよう事業所ごとに「チェックリスト」を作っておくといいでしょう。
ここでは、実際の介護現場でも使える事故報告書を書く際のチェックリストをご紹介します。
- 5W1Hで書いていますか?
- 客観的事実のみで書いていますか?
- 感情的な文章になっていませんか?
- 専門用語や略語は使っていませんか?
- 誤字脱字はありませんか?
- 誰が読んでも分かりやすいと思いますか?
- 推測がわかる記述になっていますか?
- 事故前後の状況も記載しましたか?
- ダラダラと長い文章になっていませんか?
- 利用者様の援助の改善に活かせる内容ですか?
介護現場で事故に遭遇すると、誰もが感情的になりやすくなります。
ただ、職員の気持ちが優先した報告書になってしまうと、その後の事故対策会議で原因究明や再発防止策を話し合う時の混乱につながる可能性があります。
事故の状況を客観的にありのままに書くことで、自分自身の援助を見直す機会にもなるので、チェックリストを心に留めながら徐々に習慣化していきましょう。
介護の事故報告書【例文】
介護現場での事故報告書の目的や書き方が分かったところで、次に報告書の例文を見ていきましょう。
介護の事故報告書に記載する内容は、主に以下の項目になります。
- 事故の概要:対象利用者、発見者、発生時間、報告書の作成日など
- 事故の発生状況:どのような状況で事故が発生したか、発生時の状況
- 初期対応:事故発見直後にした対応
- 連絡・報告事項:ご家族や行政への報告の詳細
- 医療的処置の有無:看護師による消毒やガーゼ保護、または病院受診したかなど
- 事故の原因:その事故が発生した要因は何か?(介護者、環境、利用者3つの視点から分析)
- 再発防止策:原因を分析し、事故が再度起こらないように援助方法を見直す
報告書の例としては、以下のような形のものがあります。
介護現場では似たような事故が多いので、これから紹介する例文を見て、自分の事業所で書く際の参考にしてみてください。
転倒などで怪我をしてしまった場合
介護事故でよくあるのが「転倒」です。
まずは転倒時の事故報告書の記入例を見ていきましょう。
【記入例】
▼事故の内容
食堂で昼食の準備をしていると後ろからガタッと音がしたため振り向くと、A様がふらつきながら右側に転倒するところを目撃。
転倒前は椅子に座っていたが、椅子は後ろに引かれておりご自分で立ち上がって歩いた様子あり。
▼事故発生時の対応
すぐに駆け付け意識レベル確認。声かけに転倒あるが「痛い痛い」と言われている。転倒した際に、右肩をテーブル角にぶつけており擦り傷ができている。その他、腫れなどの外傷はなし。すぐにPHSで応援依頼、看護師にも報告。バイタル測定しお部屋で休んでいただく。看護師から医師に連絡。腫れや痛みが治まらない場合は受診の指示あり。現状は様子観察となる。
▼発生原因
(利用者要因)
- 歩行能力の低下により転倒リスクが高い
- 認知症の症状があり、ご自分の身体状況を把握できていない
- 意思疎通は難しいが、パット内に排便が出ていたため、トイレに行きたかった可能性が考えられる
(環境要因)
- 座っていた周辺はテーブル以外に掴まるところがなく、つたい歩きがしにくい環境
- 座っていた席が職員から目の届きにくい場所だった
(介護者要因)
- 利用者様に背を向けて食事の準備をしていた
- 朝食後のトイレで排便がなかったが、昼食前にトイレ誘導せずに食堂へご案内した
▼再発防止策
- 食事前はトイレ誘導を行う(今回の場合は11時)
- 利用者様の方を見ながら食事の準備をする
- A様の食事席を職員から近い位置に変更する(他利用者様との相談が必要⇒介護主任に依頼済み)
備品を壊した・失くしたなどの場合
利用者様のお部屋を掃除した際に、花瓶を割ってしまったり、補聴器や高級時計が紛失するなども介護の現場では起こり得ることです。
こういった事例にも、しっかりと対策を決めて再発防止に取り組む必要があります。
【記入例】
▼事故の内容
B様の入浴介助後にドライヤーをしていると、補聴器を外していなかったことに気付く。すでに水に濡れた状態で確認すると、電源が入らず故障していた。
▼事故発生時の対応
すぐにB様に謝罪する。それと同時に上司や相談員にも報告し、ご家族への連絡を依頼する。
後日、ご家族から折り返しの電話があり「まぁ本人が分かってないですからね。仕方ないですよ。おそらく補聴器なしでも大丈夫だと思うので、もし意思疎通が難しそうだったら言ってください。新しいの買うか考えますから」と言われる。
▼発生原因
(利用者要因)
- 本人様が補聴器をご自分で管理できない
- 入浴中に補聴器を外す必要があることを理解できない
(環境要因)
- 入浴前の補聴器使用者リストがなかった
(介護者要因)
- B様が補聴器を使用していることを確実に把握できていなかった
- 補聴器などのアクセサリー類を入浴前に確認しなかった
▼再発防止策
- 補聴器使用者をリストアップ
- 補聴器などのアクセサリー類を外すよう注意喚起の張り紙をする
- 入浴日はあらかじめ補聴器を部屋に置いておく
こういった物品の故障や紛失は訪問介護で多いですが、施設介護でもある事例です。
私が働く施設では、高級時計を紛失してしまった利用者様のご家族から「弁償してほしい」と言われたことがあります。
認知症の方で職員管理も難しい高価な物だったので、複数回の話し合いでなんとか和解しましたが、対応を間違うと訴訟になっていた可能性がある事例でした。
誤って違う薬を飲ませてしまった場合
薬に関する事故は、命の危険もあり他の事故以上に気を付けたい事例です。
特に血圧を下げる薬や糖尿病の薬(血糖値を下げる薬)などは、間違って飲ましてしまうと非常に危険です。
【記入例】
▼事故の内容
C様に朝食後薬を飲ませたつもりが、飲ませた後にD様の薬だったことに気が付く。すぐに看護師に報告。C様に異常がないか確認。バイタル測定実施。内服直後は特にお変わりなかった。
▼事故発生時の対応
看護師に薬の情報を確認してもらう。誤って飲ませた薬は、下剤と利尿剤だった。C様の薬は主治医に確認後、改めて飲んでいただく。D様の薬は新しいものを出してもらい飲んでいただく。C様に関しては、主治医より24時間の経過観察の指示あり。昼と夜でバイタル測定と体調確認を行っていく。
▼発生原因
(利用者要因)
- ご自分で薬を管理できない
- 他人の薬であることが分からない
(環境要因)
- フロアにはスタッフが1人しかおらず、薬のダブルチェックができなかった
- 薬ボックスの名前と顔写真の表示が古く消えかかっていた
(介護者要因)
- 夜勤明けのスタッフが服薬介助をしていた
- 利用者様の前で内服者情報を声に出して読み上げなかった
- 施設全体でマニュアルが徹底できていなかった
▼再発防止策
- 服薬介助のマニュアルを勉強会をして再徹底する
- 薬ボックスのリニューアル
- 夜勤明けは服薬介助をしない
- フロア業務が落ち着いてから服薬介助に移る
これは実際に私の働く施設であった事例です。
飲ませ間違えた薬が下剤と利尿剤だったので、幸い何事もなく良かったですが(良くはないですけどね)、血圧の薬や精神系の薬であれば、最悪死に至る可能性もあったと言えます。
ちなみに過去に、埼玉の特別養護老人ホームでパーキンソン病の治療薬を別の方に飲ませて、その後嘔吐があり救急搬送されたが病院で死亡したという事例がありました。
引用元:別の入所者の薬飲ませ女性死亡 埼玉の特養、取り違え(日本経済新聞)
服薬介助については、他の介助よりもいっそうの集中力を持って行うようにしましょう。
事故報告書はみんなが悩んでる
介護職が事故報告書に関して悩むことは、主に以下の3つです。
- たまたま事故を発見したから書くことになった
- そもそも書き方が分からない
- 時間がかかりすぎる
時間に関してはケアきょうのアンケートで、15分〜30分が中央値でしたが、1時間以上かかるという人が10%以上いるという結果も出ています。
関連動画:【介護】みんな悩む…介護職が事故報告書で悩んでいることは…?
そして事故報告書に対する悩みとして、書き方に悩んでる人が多いことが分かっています。
ということで、事故報告書の書き方に悩む人に解決法をお伝えしていきます。
書き方に悩んでる人が多い
介護現場では多くの人が、事故報告書の書き方に悩んでいます。
その理由として、事故報告書を書く機会が少ないことが挙げられます。
やはり人間は慣れてないことに対して苦手意識を持ちます。
なので、日頃から同僚や先輩スタッフが書いた事故報告書をよく観察して参考にしておきましょう。
本記事のポイントをしっかり押さえておくことも重要です。
先述でお伝えしたとおり「簡潔に要点をまとめ、誰が見ても分かりやすい文章」を心がけましょう。
おすすめの練習法としては、事業所の事故報告書を1枚練習用に持っておいて、そこに赤字でポイントや例文を書いておくといいでしょう。
事故が起きてから書くというのでもいいのですが、できれば事故には遭遇したくないのが本音。
いつ事故を発見しても冷静に対応できるよう、事故報告書の書き方や対応方法を学んでおくことは現場の介護職の大切な努めです。
ありのままを書いても不利にならない【怖がらず事実を書こう】
事故が起きるとどうしても、自分のせいで起きたんじゃないかという不安に陥ります。
たしかに介護者側の要因があるのは事実ですが、それがすべてではありませんし、事故を介護者が完全に防ぐのは不可能です。
だから、怖がらずにありのままの事実を書きましょう。
逆に自分に非がないように事実を曲げた内容を書くと、後で嘘がバレてしまった場合に不利な状況になります。
さらに、起きた事故が原因で訴訟になった場合、事故報告書の内容が事実と異なってると施設側に責任が問われ、自分だけでなく施設を運営する法人やそこで働く人たちにも影響していきます。
事故報告書の本来の目的は……
- 起きた事実をありのままに書く
- その内容から原因を分析
- 原因から再発防止策を考える
- 援助方針を改善して利用者様の生活を良くする
もちろん介護保険法において、行政に報告する義務もありますが、それ以上に利用者様に安心で安全な生活を提供するために必要なものです。
事故報告書を書く際は、まず感情をそっと横に置いて、見た事実をありのままに書く習慣をつけていきましょう。
まとめ
今回は、介護現場での事故報告書の目的や書き方を解説してきました。
- 事故の内容を職員全体で共有するため
- 事故を分析し再発防止に努めるため
- 事業所や職員一人一人を守るため
- 事故の発生当日に書く
- ありのままを書く
- 誰が読んでも分かるように書く
- 推測を記載する場合は推測であることを分かるよう書く
- 可能であれば原因と対策もあらかじめ記載しておく
- 5W1Hで書く
- 客観的な事実を書く
- 難しい専門用語や略語は使わない
- 要点を整理して簡潔に書く
- 感情はひとまず置いておく
ちなみに厚生労働省が発表した、全国の特養と老健で1年間に事故で死亡した入居者の数は「1,547人」でした。(2017年度)
特養で1,117人、老健で430人
事故には少なからず介護者側の過失も含まれています。
だからと言って、全ての責任を介護者側が負う必要はありません。
なぜなら、介護現場での事故は色々な要因が重なって発生しているからです。
その色々な要因を証明するためにも、介護現場で事故が起きた際は、事故報告書の記録が大変重要になってきます。
利用者様はもちろんですが、自分の身を守るためにも、事故報告書の目的や書き方をしっかりと理解しておきましょう。
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