看護師も介護業務をしなければいけない?介護施設で働く看護師の実態を紹介

介護職仕事紹介
2024/03/22

介護施設で働く看護師の方で、次のような疑問や不安を持っている方は多いのではないでしょうか?

看護師なのに介護業務をする必要はあるの?
介護施設で働くのが向いていないんじゃないか……

本記事では、介護施設で働く看護師の介護業務の必要性や、介護施設で働く看護師のメリットとデメリット介護施設が向いている看護師の特徴などを紹介します。

介護施設で働く看護師の方で、働き方に悩んでいる方は、ぜひ本記事の内容を参考に、職場の環境と比べてみてください。

介護施設で働く看護師は介護業務も必要?

介護施設で働く看護師は、施設によって介護業務をする必要があることもあります。

ここでは介護施設での看護師について、以下3つのテーマに分けて解説します。

  • 介護施設で働く看護師の役割
  • 介護施設のメインは介護業務
  • 介護施設での看護師の実態

介護施設で働く看護師について知りたい方は、ぜひ詳細をご覧ください。

介護施設で働く看護師の役割

介護施設で働く看護師の役割は、基本的に以下のとおりです。

  • 利用者様の健康管理
  • 服薬や投薬
  • 経管栄養の準備
  • 点滴の実施
  • 簡単な傷の処置

介護職と連携をとりながら、利用者様のバイタルチェックや健康観察などがメイン業務になります。

そのほか、利用者様に体調不良や急変があった場合に、現場に指示を出したり、担当医と情報共有をしたりしながら、適切な判断をすることも大切な役割のひとつです。

介護施設では医療職は看護師だけの場合がほとんどのため、医療に関する業務について介護職をサポートする役割が求められるでしょう。

介護施設のメインは介護業務

介護施設はあくまで生活する場を提供し、利用者様の生活を支援する介護業務がメインです。
看護師は医療職のため、利用者様の病気を治さなければいけないと思う方もいるかもしれません

しかし、原則介護施設では、病院のような療養や治療は行われません。
そのため、看護師も、健康管理や服薬管理など、利用者様の生活をサポートするための医療業務がメインになります。

医療職として患者様の病気を治すサポートがしたいと考えている方は、介護施設よりも病院やクリニックで働くほうが合っているでしょう。

介護施設での看護師の実態

では実際に介護施設で働く看護師は、どのような働き方をしているのでしょうか。
現役介護職として働く、筆者の経験を交えながら紹介します。

介護施設によって若干の違いはありますが、看護師が介護業務に携わっているのが現状です。
とくに人手不足の施設は、看護師が排泄や食事介助などの介護業務をしているケースもあります。

看護師の仕事をするために入社したのに、気づいたら介護業務ばかりやらされていたという方もいます。
介護業務をしたくない看護師の方は、事前に業務内容を確認してから入社しましょう。

看護師が介護施設で働くメリット

介護施設は病院と違って生活支援がメインのため、ゆっくりとした雰囲気が魅力です。
ここでは、看護師が介護施設で働くメリットを3つ紹介します。

  • 夜勤がない
  • 病院に比べると業務の負担が少ない
  • スキルや経験がなくても働きやすい

介護施設で働こうか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

夜勤がない

介護施設の多くは看護師の夜勤がなく、夜勤をしたくない方には魅力的な職場です。
また介護施設の看護師は、勤務時間が一定で規則正しい生活ができるのもメリットです。

子どもが小さく今は夜勤が難しいという方や、毎日決まった時間に勤務したい方にとって、介護施設は働きやすい環境と言えます。

ただ施設によっては、稀に夜勤があったり夜間緊急時の呼び出し対応をしなければいけない場合もあるため、働く前に必ず業務内容を確認しておきましょう。

病院に比べると業務の負担が少ない

介護施設のメイン業務は健康管理をはじめとした生活支援です。
そのため、病院のような医療的ケアが少なく、体力的な負担は少ないと言えるでしょう。

また介護施設の勤務時間は一定の場合が多く夜勤も少ないため、不規則な長時間労働になりにくいのもメリットです。

介護施設は病院のように病気を治すことが目的ではなく、あくまで穏やかに生活してもらうためのサポートがメインです。
治療しなければいけないというプレッシャーが少ないことも、負担が少ない要因でしょう。

スキルや経験がなくても働きやすい

介護施設は病院と比べて医療業務が少なく、経験やスキルがあまりない看護師でも働きやすい環境になっています。

介護施設の主な医療業務は、以下のようなことがあります。

  • バイタルチェック
  • 服薬管理
  • 経験栄養や痰吸引
  • 簡単な患部の処置
  • 看護記録の管理

以前は病院で働いていたけど、ブランクがあり職場復帰が不安な方にもおすすめの職場です。

看護師の資格を取得したばかりでいきなり病院で働くのが不安な方は、まず介護施設で経験を積んでみるのも選択肢の一つです。

看護師が介護施設で働くデメリット

一方、看護師が介護施設で働くデメリットは、以下の3つです。

  • 病院と比べると給料が低い
  • 看護師の人数が少ない
  • 医療業務以外の仕事をすることもある

メリットとデメリットを比べて、自分が介護施設に合っているか参考にしてみてください。

病院と比べると給料が低い

厚生労働省の調査を見ると、看護師の平均給料は介護事業所と病院を含むすべての職場で、以下のような違いがあります。

勤務先 平均月給
介護事業所 約37.3万円
病院を含むすべての職場 約40.1万円(35〜39歳)

参考:令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果|厚生労働省参考:看護師の年齢階級別平均賃金|厚生労働省

病院は夜勤手当やキャリアアップの選択肢の多さから、給料が上がりやすい環境ですが、介護施設の給料は、病院と比べると物足りなさを感じるでしょう。

看護師の人数が少ない

介護施設や医療機関に比べると看護師の人数が少ないため、以下のようなデメリットを感じるかもしれません。

  • 一人ひとりの業務負担が大きい
  • 困ったときに相談できる相手がいない
  • 欠勤が発生しても代わりがいない

人数が少なく毎日同じメンバーで仕事することが多いため、人間関係が悪化した際に働きにくくなることも予想されます。

介護施設は介護職がメインの職場なので、看護師が多い職場で働きたい場合は病院やクリニックなどの医療機関がおすすめです。

医療業務以外の仕事をすることもある

介護施設の目的は、身体介護や生活支援など介護サービスを提供し、利用者様に穏やかに生活してもらうことです。

介護サービスは基本的に介護職が行いますが、人手不足や施設の方針などの関係で、看護師が行う場合もあります。
看護師として入社したはずなのに、気付いたら介護職のような働き方をしているケースもあります。

医療的ケアをメインに働きたい方は、病院やクリニックなどへの就職を検討しましょう。

介護施設への就職が向いている看護師の特徴とは?

介護施設への就職が向いている看護師には、以下のような特徴があります。

  • 高齢者福祉に興味がある
  • コミュニケーションが好き
  • 長期間のブランクがある

こういった特徴がある看護師は、病院よりも介護施設に向いている可能性が高いです。
詳しい内容を見ていきましょう。

高齢者福祉に興味がある

主に医療機関で働くことが多い看護師ですが、介護サービスを提供する高齢者福祉に興味がある方は、介護施設への就職が向いています。

興味があることでやりがいを感じやすく、スキルアップやキャリアアップにつながります。

介護は医療と異なり、治療ではなく生活支援が主な目的のため、看護師の努力が報われるとは限りません。

どれだけ頑張っても利用者様の病気が治ったり、状態が良くなり自宅に戻ったりする可能性は低いため、高齢者福祉に興味を持ち、特徴を理解することが求められるでしょう。

コミュニケーションが好き

介護施設は生活の場を提供しているため、利用者様とコミュニケーションをとる機会が多くあります。
そのため、コミュニケーションが好きな看護師は、介護施設への就職がおすすめです。

すでに病院で働いている方で、高齢者とのコミュニケーションに楽しさを感じている場合は、介護施設の看護師が向いているかもしれません。

とくに相手の話を聞くのが得意な方は、利用者様の相談相手になれるため、看護業務以外の場面でも利用者様から必要とされるでしょう。

長期間のブランクがある

介護施設の看護師は、複雑な医療業務が少ないため、長期間のブランクがあり復帰が不安な方におすすめの職場です。

介護施設の看護師は、主に以下のような業務を行います。

  • 健康管理
  • 薬の管理
  • 簡単な処置など

採血や注射などの業務はほとんどなく、生活する上で必要な医療的ケアがメインです。

ブランクがある方以外にも、病院での働き方が合わなかった方は、介護施設があっているかもしれないため、転職してみるのもいいでしょう。

介護施設で働く看護師の1日のスケジュール

介護施設で働く看護師の1日のスケジュールは、以下のとおりです。
(今回は介護付き有料老人ホームを例に紹介します)

時間 仕事内容
9:00 出勤、ミーティング、申し送りなど
9:30 利用者様の健康チェック
10:00 入浴前後の対応(バイタル測定や処置など)
11:30 経管栄養の準備やインシュリン注射など
12:00 食事介助のサポート
13:00 休憩
14:00 体調不良者の対応やカンファレンスへの参加など
15:30 入浴前後の対応(バイタル測定や処置など)
17:00 経管栄養の準備やインシュリン注射など
18:00 記録チェック後、退勤

体調不良者や緊急対応が必要な方がいない場合は、基本的にこのようなスケジュールになります。

このほか、施設によって排泄介助やシーツ交換などの介護業務をする場合もあります。

病院で働く看護師との違いは?

介護施設で働く看護師と病院で働く看護師の違いは、以下のとおりです。

介護施設 病院
施設の特徴 日常生活の支援が目的 病気やケガの治療が目的
サービス対象者 要介護認定を受けた高齢利用者 病気やケガで通院または入院している患者
求められる役割 ・利用者の健康管理
・利用者の健康維持のための医療的ケア
・医師の診療の補助
・医療を必要とする患者のケア
連携する職種 ・介護職
・ケアマネジャー
・生活相談員
・リハビリ職
・医師(必要な施設の場合)
・医師
・リハビリ職
・薬剤師
・臨床検査技師
・看護助手

治療や療養が目的の病院では、看護師の仕事内容は、医師の補助をはじめとした医療業務がメインです。

一方で介護施設の目的は日常生活上の支援のため、利用者の健康管理が主な仕事内容になります。

介護職と良好な関係を保つために必要なこと

看護師が介護施設で働く場合、介護職との良好な関係の構築は不可欠です。
介護職と良好な関係を保つためには、以下3つのことを意識してみてください。

  • 些細なコミュニケーションを大切にする
  • お互いの役割を理解する
  • 利用者様について話し合う

それぞれ詳しい内容を見ていきましょう。

些細なコミュニケーションを大切にする

介護職と看護師が良好な関係を保つためには、業務にかかわる話だけでなく、以下のような些細なコミュニケーションを交わすことが大切です。

  • 「おはようございます」や「お疲れ様です」などの挨拶
  • 医療的ケアやサポートに対する「ありがとう」の言葉
  • 休日の過ごし方といったちょっとしたプライベートの話

挨拶をするのは当然ですが、感謝の気持ちもしっかりと伝えることで信頼関係の構築につながります。

仕事以外のプライベートな話も時々することで、お互いの距離が近づき、仕事を頼みやすい関係になるでしょう。

お互いの役割を理解する

看護師と介護職は仕事内容だけでなく、利用者様に対する視点も異なります。
たとえば、食事摂取量が少ない利用者様に対して、看護師と介護職では以下のような視点の違いがあります。

  • 看護師:栄養状態や窒息のリスクの考え食べやすい食事形態を考える
  • 介護職:利用者様の食べたいものを考え本人のメンタルの健康を考える

すべての看護師と介護職に当てはまるわけではなく、あくまで傾向があるということです

お互いが「なぜそのような考えや視点でケアしているのか」ということを理解することで、それぞれの仕事に対する敬意が生まれるでしょう。

利用者様について話し合う

看護師も介護職も異なる視点で仕事をしていても、利用者様が第一であることに変わりはありません。
そのため、日頃から利用者様について、以下のようなことを話し合うことで、信頼関係が生まれます。

  • 負担なく飲んでもらうための水分介助
  • 利用者様に負担の少ない排泄介助
  • もっとも最適な入浴時間

ケアの目的が異なると対立しやすく、職種間の連携に影響するだけでなく、施設全体で理想的な介護サービスを提供できなくなります。

介護職と意見交換し良好な関係を築きながら、利用者様にとって最適なケアは何かを考えていきましょう。

まとめ

介護施設で働く看護師は、原則利用者様の健康管理がメイン業務ですが、施設の方針や状況によって介護業務をする場面があります。

介護業務が苦手で医療業務だけをしたい方は、事前に施設の方針を確認して介護業務をしない施設を選んだり、病院やクリニックなどへの就職がおすすめです。

介護施設にも病院やクリニックなどにも、それぞれメリットやデメリットがあります。
それぞれの特徴を確認した上で、自分に合った施設を選びましょう。

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